説明

コンテンツ配信システム、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信方法、そのプログラムおよびコンテンツ再生装置

【課題】環境負荷を抑えて、コンテンツを配信することができるコンテンツ配信システムを提供すること。
【解決手段】環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信システム、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信方法、そのプログラムおよびコンテンツ再生装置する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP(Internet Protocol)ネットワークに接続し、コンテンツ配信装置(サーバー)から配信されたコンテンツを再生することの出来るコンテンツ再生装置(IPTV:IP対応テレビ)が登場している。従来から、このようなクライアントとサーバーとの間でコンテンツおよびその(ビットレートなどの)品質を決定する仕組みとして、SIP(Session Initiation Protocol;非特許文献1参照)、SDP(Session Description Protocol;非特許文献2、非特許文献3参照)がある。これは、ある決まったフォーマットによりクライアント、サーバーのいずれか一方がコンテンツ品質の選択肢を提案し、他方がいずれかを選択して回答する折衝の仕組みである。
【0003】
また、サーバー側の負荷に応じて、クライアントからの要求に対する応答に制限を加える方法として、特許文献1で提供される技術がある。これは、各クライアントの要求の負荷を、負荷の種類毎(例えばCPU負荷X、同時接続数Y)に計算し、サーバーの負荷に対し、それぞれの負荷の種類毎にサーバー負荷を越えないようにリクエスト処理を制限するもので、制限を超えるリクエストに対してはサービスを提供しないように処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−328417号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】RFC3261
【非特許文献2】RFC4566
【非特許文献3】RFC3264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、地球環境の保護に対する関心が高まっている。地球環境の保護をエコと呼び、エコのためなら、そのための少しの努力、我慢を惜しまない文化が出来つつある。特に、地球温暖化に関係するとされる二酸化炭素(CO2)を増加させないことに対する要求が高まっている。今後あらゆる分野で二酸化炭素排出量の削減し、環境負荷を抑える取り組みがなされるのは間違いないと考えられる。
【0007】
一方、特許文献1の技術は、リクエスト処理を制限することで、サーバー負荷を抑えているものの、環境負荷を抑えることはできないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、環境負荷を抑えて、コンテンツを配信することができるコンテンツ配信システム、コンテンツ配信装置、コンテンツ配信方法、そのプログラムおよびコンテンツ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明のコンテンツ配信システムは、環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、 前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うことを特徴とする。
【0010】
(2)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツ再生装置に、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置を備え、前記コンテンツ配信装置は、前記複数の電力源のそれぞれの使用電力を検出する電力検出部と、 前記コンテンツ配信装置の負荷量を検出する負荷検出部と、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記検出した使用電力と負荷量とに基づいて、前記コンテンツ配信装置の負荷量が所定の最大負荷量となったときに、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように、配信するコンテンツのビットレートを決定する折衝部と、前記折衝部が決定したビットレートのコンテンツデータを配信するコンテンツ配信部とを備えることを特徴とする。
【0011】
(3)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のコンテンツ配信システムであって、前記電力検出部は、前記複数の電力源のうち、最も環境負荷の大きい電力源を除く電力源の供給可能電力を、少なくとも検出し、前記折衝部は、配信するコンテンツのビットレートを決定する際に、前記供給可能電力を用いることを特徴とする。
【0012】
(4)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のコンテンツ配信システムであって、前記折衝部は、コンテンツを配信している途中で、前記所定の環境負荷に抑えられなくなると、前記電力検出部が検出する使用電力と供給可能電力と、前記負荷検出部が検出する負荷量とに基づき判定したときは、前記所定の環境負荷に抑えられるように、前記配信しているコンテンツのビットレートを決定し、前記コンテンツ配信部は、前記配信しているコンテンツのビットレートを、前記決定したビットレートに変更することを特徴とする。
【0013】
(5)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のいずれかのコンテンツ配信システムであって、前記環境負荷は、二酸化炭素の排出であり、前記複数の電力源は、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーと、二酸化炭素を排出する非クリーンエネルギーとであることを特徴とする。
【0014】
(6)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述コンテンツ配信システムであって、前記コンテンツの配信に伴って消費する電力が前記第2の電力の使用を抑制する度合いである環境指標に基づいて、料金を決定する課金処理部を備えることを特徴とする。
【0015】
(7)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツ再生装置に、コンテンツを配信する複数のコンテンツ配信装置を備え、 前記複数のコンテンツ配信装置のうち、少なくとも一つは、供給される電力源が他と異なり、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置を選択することを特徴とする。
【0016】
(8)また、本発明のコンテンツ配信システムは、上述のいずれかのコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うのは、該コンテンツ再生装置から環境負荷を抑えた配信を指示されているときであることを特徴とする。
【0017】
(9)また、本発明のコンテンツ配信装置は、環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うことを特徴とする。
【0018】
(10)また、本発明のコンテンツ配信方法は、環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うステップを有することを特徴とする。
【0019】
(11)また、本発明のプログラムは、環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信装置のコンピュータを、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行う手段として機能させる。
【0020】
(12)また、本発明のコンテンツ再生装置は、複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うコンテンツ配信装置が配信したコンテンツを受信し、再生するコンテンツ再生装置であって、コンテンツ配信装置に、環境負荷を抑えた配信を指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、環境負荷を抑えて、コンテンツを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態によるコンテンツ配信システムの構成を示す概念図である。
【図2】同実施形態におけるコンテンツ再生装置7の外観図である。
【図3】同実施形態における電力制御装置3、コンテンツ配信装置4、データベース装置5、および、コンテンツ再生装置7のハードウェア構成を示すハードウェアブロック図である。
【図4】同実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】同実施形態における「エコモード」の設定に関する処理を表すシーケンス図である。
【図6】同実施形態におけるコンテンツ再生時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】同実施形態におけるコンテンツ再生要求の例を示す図である。
【図8】同実施形態におけるシーケンスS203にて、負荷検出部403が通知する情報の例を示す図である。
【図9】同実施形態における供給量情報の例を示す図である。
【図10】同実施形態におけるコンテンツDB504が記憶するコンテンツデータに関する情報の例を示す図である。
【図11】同実施形態における折衝部404が記憶しているビットレートと使用電力との関係の例を示す図である。
【図12】同実施形態における折衝部404が送信するコンテンツ品質の決定結果を通知するSIPメッセージの例を示す図である。
【図13】同実施形態における履歴DB502が記憶する履歴情報の例を示す図である。
【図14】同実施形態における使用電力と平均余剰電力との比と、環境指標と、料金(単価)との関係を示す図である。
【図15】同実施形態における課金DB501が記憶するユーザ毎の請求料金の例を示す図である。
【図16】同実施形態における折衝部404によるコンテンツ品質決定の処理を説明するフローチャートである。
【図17】同実施形態における課金処理部408による課金処理を説明するフローチャートである。
【図18】この発明の第2の実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す概念図である。
【図19】同実施形態におけるコンテンツ配信装置4−A、4−Bの構成を示す機能ブロック図である。
【図20】同実施形態におけるコンテンツ再生時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図21】同実施形態における地点A、Bで検出されるクリーンエネルギー使用量などの例を示す図である。
【図22】同実施形態におけるコンテンツ品質結果通知の例を示す図である。
【図23】この発明の第1の実施形態の変形例におけるセッション中に動的にコンテンツ品質を変更する処理を説明するシーケンス図である。
【図24】同変形例におけるコンテンツ再生要求の例を示す図である。
【図25】同変形例におけるコンテンツ品質結果通知の例を示す図である。
【図26】同変形例における折衝部404によるイベントの検出処理を説明するフローチャートである。
【図27】同変形例におけるコンテンツ品質変更要求の例を示す図である。
【図28】コンテンツ再生装置7の画面表示の一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態によるコンテンツ配信システムの構成を示す概念図である。本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、電力会社からの系統電力1、太陽光発電パネル2、電力制御装置3、コンテンツ配信装置4、ディスプレイ47、キーボード48、データベース装置5、ネットワーク6、複数のコンテンツ再生装置7、イーサネット(登録商標)スイッチ装置10を備える。太陽光発電パネル2、電力制御装置3、コンテンツ配信装置4、ディスプレイ47、キーボード48、データベース装置5は、サービス事業者が設置し、コンテンツ再生装置7は、ユーザがユーザ宅に設置する。
【0024】
図1において、実線は、イーサネット(登録商標)ケーブル、光ファイバ、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどのデータ線による接続を、一点鎖線は、電力線の接続を示す。すなわち、イーサネット(登録商標)スイッチ装置10には、UTP(Unshielded Twist Pair Cable;非シールドより対線)ケーブルなどのイーサネット(登録商標)ケーブルで、電力制御装置3、コンテンツ配信装置4、ネットワーク6が接続されている。コンテンツ配信装置4には、DVI(Digital Visual Interface)ケーブルなどで、ディスプレイ47が接続され、USBケーブルなどでキーボード48が接続され、ファイバチャネル用の光ファイバ、同軸ケーブル、あるいは、イーサネット(登録商標)ケーブルなどで、データベース装置5が接続されている。また、系統電力1および太陽光発電パネル2からの電力は電力制御装置3に入力され、さらに電力制御装置3により、これらの電力から分配された電力が、コンテンツ配信装置4およびデータベース装置5に入力される。なお、データベース装置5は、コンテンツ配信装置4に直接接続されているが、イーサネット(登録商標)スイッチ装置10などを介して接続されていてもよい。
図2は、コンテンツ再生装置7の外観図である。コンテンツ再生装置7は、映像を表示する表示部74、音声を出力するスピーカー75、コンテンツの選択などの操作入力を行うためのリモートコントローラ761を備える。
【0025】
図3は、電力制御装置3、コンテンツ配信装置4、データベース装置5、および、コンテンツ再生装置7のハードウェア構成を示すハードウェアブロック図である。電力制御装置3は、CPU31、主記憶部32、補助記憶部33、電力センサー34、電源部35、通信部36、蓄電池37を備える。CPU31と、主記憶部32と、補助記憶部33、電力センサー34と、通信部35とは、内部バスで接続されている。電源部35は、太陽光発電パネル2からの電力と、系統電力1からの電力と、蓄電池37からの電力との入力を受け、これらを分配して、コンテンツ配信装置4、データベース装置5へ電力供給する。なお、電源部35は、太陽光発電パネル2からの電力を優先して分配し、太陽光発電パネル2から供給された電力では不足するときに、蓄電池37からの電力を分配し、さらに、それでも不足するときに、系統電力1からの電力を分配する。また、電源部35は、太陽光発電パネル2から供給された電力に余剰があるときは、その余剰電力で蓄電池37を充電する。電力センサー34は、太陽光発電パネル2と系統電力1と蓄電池37から供給されている、それぞれの電力(ワット数)を検出する。
【0026】
CPU31は、補助記憶部33に記録された制御プログラムを読出し、主記憶部32をワーキングメモリとして使用して実行することにより当該装置の各種制御を行うとともに、必要な場合に通信部36を使ってコンテンツ配信装置4などと通信する。通信部36は、例えば、イーサネット(登録商標)端子であるが、RS232C(Recommended Standard 232-C)など、その他の通信インターフェースであっても良い。
【0027】
コンテンツ配信装置4は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバなどのコンピュータであり、CPU41、主記憶部42、補助記憶部43、電力センサー44、電源部45、通信部46を備える。CPU41と、主記憶部42と、補助記憶部43と、電力センサー44と、通信部46とは、内部バスで接続されている。なお、ここでは、コンテンツ配信装置4は、1台のコンピュータからなるとして説明したが、複数台のパーソナルコンピュータやワークステーションから構成されもよい。電源部45は、電力制御装置3より当該装置を稼動させるための電力の供給を受ける。電力センサー44は、電源部45に供給されている電力を検出する。
【0028】
CPU41は、補助記憶部43に記録され、コンテンツ配信装置4として動作させるための制御プログラムを読出し、主記憶部42をワーキングメモリとして使用して実行することにより各種制御を行うとともに、必要な場合に通信部46を使って、電力制御装置3、データベース装置5、コンテンツ再生装置7などと通信する。通信部46は、例えば、イーサネット(登録商標)端子、DVI端子、USB端子、光ファイバ端子であるが、RS232C(Recommended Standard 232-C)など、その他の通信インターフェースであっても良いし、それらの組み合わせでも良い。また、通信部46には、図1にて図示した、ディスプレイ47、キーボード48などの入出力デバイスが接続される。管理者は、これらの入出力デバイスを用いて、コンテンツ配信装置4の管理操作をすることができる。補助記憶部43に記録された制御プログラムは、OS(Operating System)、HTTPサーバープログラム、アプリケーションサーバプログラムなどから構成される。後述するコンテンツ配信装置4を構成する各部分(機能ブロック)はこれらの機能を共用利用する。
【0029】
データベース装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバなどのコンピュータであり、CPU51、主記憶部52、補助記憶部53、通信部54を備える。CPU51と、主記憶部52と、補助記憶部53と、通信部54とは、内部バスにより接続されている。なお、ここでは、データベース装置5は、1台のコンピュータからなるとして説明したが、複数台のパーソナルコンピュータやワークステーションから構成されもよい。CPU51は、補助記憶53に記録された制御プログラムを読出し、主記憶部52をワーキングメモリとして使用して実行することにより各種制御を行うとともに、必要な場合に通信部54を使ってコンテンツ配信装置4と通信する。また、補助記憶部53に記録された制御プログラムには、OS(Operating System)、データベース管理ソフトが含まれており、CPU51は、これらの制御プログラムを実行して、コンテンツ配信装置4からの要求に基づき、補助記憶53内のデータを管理する。また、図示していないが、データベース装置5も、コンテンツ配信装置4と同様に、管理者による管理操作を可能とするようにキーボード、マウス、モニタなどの入出力デバイスを備えていても良い。通信部54は、例えば、イーサネット(登録商標)端子、光ファイバ端子であるが、その他の通信インターフェースであってもよい。
【0030】
コンテンツ再生装置7は、例えば、ネットワーク対応のデジタルテレビジョン受像装置、あるいは、デジタルテレビジョン装置などのディスプレイおよびスピーカーが接続されたセットトップボックス、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダなどであり、CPU71、主記憶部72、補助記憶部73、表示部74、スピーカー75、入力部76、通信部77、リモートコントローラ761を備える。CPU71と、主記憶部72と、補助記憶部73と、表示部74と、スピーカー75と、入力部76と、通信部77とは、内部バスにより接続されている。
【0031】
CPU71は、補助記憶73に記録された制御プログラムを読出し、主記憶部72をワーキングメモリとして使用して実行することにより各種制御を行う。また、CPU71は、ユーザ操作を入力部76で受け取り、必要場合に通信部77を使って、コンテンツ配信装置4などと通信する。また、CPU71は、通信部77により、コンテンツ配信装置4から受信した映像データを復号して、表示部74、スピーカー75に出力する。入力部76は、実際には、赤外線または他の無線通信手段を利用したリモコン761の受信部である。補助記憶73は、フラッシュメモリ、磁気ディスクなどにより構成される。
【0032】
図4は、本実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す機能ブロック図である。系統電力1は、電力会社から購入する電力である。電力会社では現在主に火力、水力、原子力など様々なエネルギー源により発電しており、中には地球環境に優しい(二酸化炭素を排出しない、資源を利用しない)ものもあるが、多くの割合は、いわゆる化石燃料に代表される枯渇性エネルギーを元にしており、二酸化炭素を排出する環境負荷の大きな電力であると言える。ここでは、系統電力1を非クリーンエネルギーと呼ぶ。
太陽光発電パネル2は、地球資源を利用せず太陽の光を直接電気に変換する装置であり、これによって得られた電力は、二酸化炭素を排出しない環境負荷の小さいエネルギーである。この種のエネルギーとしては他に風力発電などもあるが、ここでは総称してクリーンエネルギーと呼ぶ。なお、本実施形態では、蓄電池37に蓄えられる電力は、太陽光発電パネル2から供給されるものであるので、蓄電池37から供給される電力も、クリーンエネルギーである。
【0033】
電力制御装置3は、系統電力1と太陽光発電パネル2から電力供給を受け、コンテンツ配信装置4などに電力を供給すると同時に、それぞれの供給量(電力)などを示す供給量情報を、デジタル信号にしてコンテンツ配信装置4に通知する。電力制御装置3は、電力情報部301と、電力供給部302と、蓄電池37とを備える。電力情報部301は、系統電力1、太陽光発電パネル2、蓄電池37の各々からの電力供給量などを、図3の電力センサー34を用いて検出し、それらに基づき算出した非クリーンエネルギー量、クリーンエネルギー量、クリーンエネルギー蓄積電力量、蓄積速度を示す供給量情報として保持しており、また、図3の通信部36を介して、この供給量情報をデジタル信号としてコンテンツ配信装置4に通知する。
【0034】
電力供給部302は、系統電力1と、太陽光発電パネル2、および蓄電池37から供給を受けた電力を、当該装置、コンテンツ配信装置4、データベース装置5に供給する。蓄電池37は、太陽光発電パネル2によって発電される電力の内、コンテンツ配信装置4などによって消費されない余剰分を蓄えるものである。この電力は太陽光発電パネル2による発電量が不足するときなどに放電される。放電するときの電力の制御方法としては、例えば、常に最大電力(1kWなど)、あるいは、ある程度抑えた電力(100Wなど)など、予め設定された電力以下で必要な電力を供給するようにしてもよいし、蓄電されている電力量を、予め設定された放電可能時間(例えば最低1時間)で割った値以下で必要な電力を供給するようにしてもよいし、その他の制御方法であってもよい。
【0035】
コンテンツ配信装置4は、電力検出部401、電力情報管理部402、負荷検出部403、折衝部404、セッション管理部405、コンテンツ管理部406、履歴管理部407、課金処理部408、ネットワーク通信部409を備える。電力検出部401は、電力制御装置3の電力情報部301から供給量情報を定期的に受信し、電力情報管理部402からの要求に対して、その時点での供給量情報を提供する。電力情報管理部402は、電力検出部401から提供された供給量情報を保持し、折衝部404の要求に対して、その時点での供給量情報を提供する。
【0036】
負荷検出部403は、図3の電力センサー44を用いて、コンテンツ配信装置4自身が消費している電力を検出する。また、負荷検出部403は、セッション管理部405に問い合わせて、コンテンツ配信装置4にかかっている負荷を示す情報を取得する。負荷検出部403は、折衝部404の要求により、その時点での、電力の情報、負荷を示す情報を提供する。負荷を示す情報としては、後述するように、例えば、セッション数や、総ビットレートがある。折衝部404は、ネットワーク通信部409を介して、コンテンツ再生装置7から受信したコンテンツ再生要求に対し、コンテンツ配信装置4の負荷量が所定の最大負荷量となったときに、クリーンエネルギーのみでコンテンツ配信装置4の使用電力を賄えるように、配信するコンテンツのビットレートを決定して、ネットワーク通信部409を介して応答する。折衝部04は、その決定の際に、電力情報管理部402、負荷検出部403、セッション管理部405、コンテンツ管理部406によって管理されている各種情報を参照する。折衝部04は、決定されたコンテンツ品質を示す情報を含む応答を、特定のフォーマットに従ったレスポンスメッセージとして生成し、ネットワーク通信部409を介して、要求の送信元のコンテンツ再生装置7に送信する。
【0037】
セッション管理部405は、データベース装置5が備えるユーザDB503を管理し、コンテンツ再生装置7によって要求されて確立されたコンテンツ視聴の単位をセッションとして、コンテンツ再生装置7のユーザIDと対応付けてユーザDB503に格納し、管理する。また、セッション管理部405は、負荷を示す情報としてセッション数、総ビットレートを含むセッション管理情報を負荷検出部403に提供し、セッション終了時に履歴管理部407に対して履歴作成を要求する。コンテンツ管理部406は、データベース装置5が備えるコンテンツDB54を管理する。例えば、コンテンツ管理部406は、折衝部404の要求に従い、コンテンツDB54が記憶するコンテンツデータおよび概要情報を読み出し、ネットワーク通信部409を介してコンテンツ再生装置7に送信する。ここで、コンテンツデータとは、コンテンツの映像、音声を符号化したデータである。概要情報とは、コンテンツのタイトル、概要など、視聴者にコンテンツを紹介するためのデータである。
【0038】
履歴管理部407は、データベース装置5が備える履歴DB502を管理する。例えば、履歴管理部407は、セッション管理部405からの要求に従い、コンテンツ再生装置7によってコンテンツが再生される度に、再生されたコンテンツの識別、その品質、視聴開始時刻および終了時刻などを含む履歴情報を作成し、履歴DB502に格納する。課金処理部408は、データベース装置5が備える課金DB501を管理する。例えば、課金処理部408は、履歴DB502に登録された各履歴情報を、履歴管理部407を経由して参照して集計することで最終的なコンテンツ視聴料金を計算し、計算されたユーザ毎のコンテンツ視聴料金を、課金DB501に格納する。その後、オペレータの操作を受けて、課金処理部408は、課金DB501を参照して、各ユーザの月ごとの請求書を発行する。サービス事業者は、この請求書を用いて、料金回収を行う。ネットワーク通信部409は、イーサネット(登録商標)に代表されるネットワークインターフェース(通信部46)を用いて、インターネットなどのネットワーク6を通じて接続されたコンテンツ再生装置7とのデータ通信を行う。
【0039】
データベース装置5は、課金DB501、履歴DB502、ユーザDB503、コンテンツDB504を備える。課金DB501は、各ユーザの月毎などのコンテンツ視聴料金を記憶し、課金処理部408からの登録要求、検索要求などに応答し、データの格納、検索処理を行う。履歴DB502は、各ユーザの視聴毎の履歴情報を記憶し、履歴管理部407からの登録要求、検索要求などに応答し、データの格納、検索処理を行う。ユーザDB503は、ユーザの識別情報、ユーザ名、パスワードなどのユーザ情報を記憶し、セッション管理部405からの登録要求、検索要求などに応答し、特定のユーザに関連したデータの格納、検索処理を行う。コンテンツDB504は、様々なVoD(Video On Demand)コンテンツのコンテンツデータおよび概要情報を記憶し、コンテンツ管理部406からの検索要求や配信要求に応答し、データの検索処理を行う。
【0040】
コンテンツ再生装置7は、ユーザ入力部701、エコモード設定部702、設定DB703、コンテンツ要求部704、コンテンツ制御部705、通信部706、データ受信部707、映像出力部708、音声出力部709を備える。ユーザ入力部701は、ユーザ操作による入力を受け、入力内容を各部に通知する。ユーザ操作による入力は、具体的にはリモートコントローラ761や、本体上部などに備わっているボタンが受ける。コンテンツ再生装置7は、基本的にユーザ入力部701へのユーザ操作による入力をトリガとして動作する。
【0041】
エコモード設定部702は、コンテンツ再生装置7を環境に配慮したモードで動作するかどうかを設定する部分である。具体的には、エコモード設定部702は、ユーザ入力部701を介して、メニュー画面の設定項目に対するユーザ操作による要求を受けて、要求されたモードを、設定DB703に記録する。設定DB703は、エコモードに設定されているか否かを示すエコモード設定情報を含む、コンテンツ再生装置7内での各種設定を記憶する。
【0042】
コンテンツ要求部704は、コンテンツ制御部705の指示により、コンテンツ制御部705から指定されたコンテンツの配信要求を、通信部706を経由してコンテンツ配信装置4に行う。また、コンテンツ要求部705は、配信要求に対する応答メッセージを受信して、コンテンツ制御部705に通知する。なお、コンテンツ要求部704は、コンテンツの配信要求を行う際に、設定DB703に記録されたエコモード設定情報を参照して、配信要求を行う。コンテンツ制御部705は、ユーザ入力部701の指示により、コンテンツ配信の要求をコンテンツ要求部704に行い、コンテンツ配信の要求に対する応答メッセージをコンテンツ要求部704から受ける。コンテンツ制御部705は、受けた応答メッセージを処理して、コンテンツ配信のセッションを確立し、また、コンテンツ配信の開始、一時停止、停止などの要求を、通信部706を介してコンテンツ配信装置7に対して行う。
【0043】
通信部706は、ネットワーク6、ネットワーク通信部409を経由してコンテンツ配信装置4の各部と通信する。データ受信部707は、コンテンツ配信装置4により配信されるコンテンツデータを受信および復号し、映像データと、音声データに分離して、それぞれを映像出力部708、音声出力部709に転送する。映像出力部708は、転送された映像データの映像を、図3の表示部74に表示させる。音声出力部709は、転送された音声データの音声を、図3のスピーカー75に出力させる。なお、コンテンツ配信装置4は、複数のコンテンツ再生装置7に対して同時にサービスを提供することができ、図4には、複数のコンテンツ再生装置7を図示したが、複数のコンテンツ再生装置7は全て同様の構成である。
【0044】
図5は、「エコモード」の設定に関する処理を表すシーケンス図である。本実施形態においてエコモードとは、環境負荷を抑えた配信を指示するモード、すなわち、地球環境を保護するために二酸化炭素の排出量削減が可能であれば、それを自動的に選択するモードであり、エコモードに設定されている間は、コンテンツ再生装置7のコンテンツ要求部704がそのモードを前提として、コンテンツ配信に使用する電力をクリーンエネルギーにて賄えるように、コンテンツ配信装置4の折衝部404との間でコンテンツの品質の折衝を行う。エコモードでないモードとは、コンテンツの品質の折衝の際に、そのような考慮をしないモードである。
【0045】
まず、ユーザがリモートコントローラ761などを用いて、コンテンツ再生装置7に対して、エコモードに設定するための操作を行うと(S11)、この操作をユーザ入力部701が検出し、エコモード設定部702に通知する。この通知を受けると、エコモード設定部702は、エコモードに設定されたことを、設定DB703に記録する(S12−a)。なお、この記録した設定情報は、実際のコンテンツ再生に伴うコンテンツ品質折衝の際に、コンテンツ要求部704からコンテンツ配信装置4に送信される配信要求のメッセージに記載される。
【0046】
なお、本実施形態では、エコモードの設定をコンテンツ再生装置7にて記憶するとしたが、サービス事業者側(コンテンツ配信装置4またはデータベース装置5)で記憶するようにしてもよい。その場合には、シーケンスS11の後、エコモード設定部702は、エコモードに設定するための操作を検出したことの通知を受けると、コンテンツ要求部704にエコモード設定の要求を送り、コンテンツ要求部704は、設定情報をコンテンツ配信装置4に送信する(S12−b)。コンテンツ配信装置4では、この設定情報を、ネットワーク通信部409を介して、セッション管理部405が受信する。そして、セッション管理部405は、受信した設定情報を、ユーザDB503に記録する(S13−b)。エコモードの設定をコンテンツ再生装置7にて記憶する場合も、サービス事業者側で記憶する場合も、タイミングが異なるものの、設定情報がコンテンツ要求部704からコンテンツ配信装置4に送信されるという点で同一である。
【0047】
また、本実施形態では、エコモードの設定を、サービス事業者から提供されるサービス内容に関わらず実施するとしたが、サービス事業者がエコモード設定をサポートすることを表明した時のみに実施しても良い。表明の仕方としては、例えば、コンテンツ配信装置4から返却されるHTTPレスポンスのヘッダに「Supported: eco-mode」というような内容が書かれていても良いし、返却されるHTMLドキュメント、あるいは、JavaScript(登録商標)命令を通じてコンテンツ再生装置7に通知するようにしてもよい。
さらに、エコモード設定をサポートしていることを、コンテンツ配信装置4が提供しているコンテンツ毎に表明するようにしても良い。表明の仕方としては、各コンテンツの再生に関わるリンクの属性として指定するようにしても良い(例:<a href=”http:...” eco=”yes”>, <a href=”http:.....?eco=yes”>, <a href=”sip:....?eco=yes>, または<object>の属性として指定するなど)。なお、このような場合、エコモードのサポートする場合に限って、本実施形態などで説明される制御が行われるようにしてもよい。
【0048】
図6は、コンテンツ再生時の処理の流れを示すシーケンス図である。コンテンツ再生装置7のユーザ入力部701は、ユーザによるリモートコントローラ761などを使ったコンテンツの再生のための操作を検出する(S201)。この時、具体的には、コンテンツ配信装置4の不図示の部分により配信されたHTML(HyperText Markup Language;エイチティーエムエル)などで表示された画面であって、コンテンツ配信装置4が配信可能なコンテンツのリストが表示された画面上で、リスト表示されたコンテンツの1つを選択する操作が、コンテンツの再生のための操作である。すると、その操作を検出したユーザ入力部701は、コンテンツ制御部705に、その操作により指定されたコンテンツの識別情報を含む再生の指示をする。
【0049】
この再生の指示を受けると、コンテンツ制御部705は、受けた指示に含まれるコンテンツの識別情報、および、設定DB703が記憶する設定情報を含むコンテンツ再生要求を生成し、通信部706を介して、コンテンツ配信装置4に対して送信する(S202)。例えば、この時のコンテンツ再生要求は、図7のようなSIPメッセージとなる。なお、ここでは、コンテンツ再生要求としてSIPを用いる例を挙げるが、SIP以外のプロトコルを用いてもよい。ここで、INVITEの行(1行目)は、SIPにおいてセッションの開始を要求する命令である。Fromの行(2行目)は、メッセージの送信元、すなわちコンテンツ再生装置7の論理的なユーザ名を示す。Toの行(3行目)は、メッセージの宛先、つまりこの場合は再生を要求するコンテンツの識別子となり、コンテンツのリストが表示された画面上での選択により指定されたコンテンツの識別情報「vod1」を元に生成される。
【0050】
空行(4行目)以降は、SDPのフォーマットで書かれている。v、o、s、tの行(5行目から8行目)はSDPで決められているヘッダである。mの行(9行目)は要求するメディアの種類を示す行であり、ここでは末尾の「33」でMPEG−TS形式を指定している。cの行(10行目)はコンテンツ再生装置7のネットワークアドレスを表す。bの行(11行目)は処理できる最大帯域を示す行であり、ここでは「15000」で15000Kbps(Kilo bit per second)を指定している。a=fmtpの行(12行目)は、mの行で指定されたメディアの種類「33」に対するパラメータを指定しており、ここでは、設定情報に基づくパラメータを指定している。
【0051】
設定情報に基づくパラメータとして、図7の例では、「eco」と、「bitrate=2000-」と、「brightness=50-」とを指定している。「eco」とはエコモードであることを示し、二酸化炭素の排出量削減を考慮した品質折衝を要求していることを示す。「bitrate=2000-」は、その場合でも、2000Kbps以上とすることを指定していることを示す。「brightness=50-」は、液晶ディスプレイのバックライトあるいはプロジェクターのランプが100%未満かつ50%以上の強度で同程度に見えるコンテンツ(50%の場合は、元々の色情報が200%の明度になっている。すなわち、コントラストは低下する)がある場合には、それらのうち、最も小さな強度で同程度に見えるコンテンツを要求していること示す。
【0052】
図6に戻って、コンテンツ再生要求のメッセージ(S202)は、ネットワーク通信部409を介して、コンテンツ配信装置4の折衝部404によって受け付けられる。折衝部404は、コンテンツ再生要求のメッセージを受けると、そのメッセージに基づき、エコモードに設定されているか否かを判定する。ここでは、エコモードに設定されていたとする。すると、折衝部404は、エコモードに設定されていると判定し、サーバー側(コンテンツ配信装置4およびデータベース装置5)の負荷を検出するため、負荷検出部403に問い合わせる。負荷検出部403は、コンテンツ配信装置4が現在使用している電力を、電力センサー44から取得し、また、セッション管理部405より負荷を示す情報を取得し、これらを折衝部404に通知する(S203)。なお、負荷を示す情報としては、現在サービス中のセッション数、および配信に使用中の総ビットレート数、同じ時間帯の統計上のセッション数の平均値および標準偏差がある。
【0053】
ここで、同じ時間帯の統計上のセッション数の平均値および標準偏差とは、予め決められた時間帯であって、現在時刻を含む時間帯の過去のセッション数の平均値および標準偏差である。例えば、毎正時から1時間毎に時間帯が区切られており、現在時刻が19:32であるときは、例えば、過去1ヶ月の19:00から20:00のセッション数の平均値および標準偏差である。なお、セッション数は、時間帯毎に1回計測され、その平均値および標準偏差であってもよいし、例えば、1分おきなど、時間帯中に複数回計測され、それらの平均値および標準偏差であってもよい。また、同じ時間帯に、曜日の概念や、平日、休日の概念を含めるようにしてもよい。また、これらの平均値および標準偏差は、セッション管理部405が算出し、更新するようにしてもよいし、予め算出された値がプログラム内などに設定されていてもよい。また、時間帯は、上述のように等間隔に区切るのではなく、例えば、セッション数の変化の激しい時間帯は、細かく区切り、セッション数の変化の少ない時間帯は、大きく区切るというように、異なる間隔で区切るようにしてもよい。
【0054】
図8は、このシーケンスS203にて、負荷検出部403が取得し、折衝部404に通知する情報の例を示す図である。図8に示すように、負荷検出部403は、例えば、現在コンテンツ配信装置使用電力「50kW」、現在セッション数「500セッション」、現在総ビットレート「5000Mbps」、現在時間帯における統計上のセッション数平均「450セッション」、現在時間帯における統計上のセッション数標準偏差「175セッション」を取得し、折衝部404に通知する。
【0055】
図6に戻って、次に、折衝部404は、クリーンエネルギー量を取得する(S204)。そのために、折衝部404は、電力情報管理部402より、クリーンエネルギー使用電力、非クリーンエネルギー使用電力、クリーンエネルギー蓄積電力量、蓄積速度を含む供給量情報を取得する。図9は、折衝部404が電力情報管理部402より取得する供給量情報の例を示す図である。図9に示すように、折衝部404は、例えば、クリーンエネルギー使用電力「50kW」、非クリーンエネルギー使用電力「0kW」、クリーンエネルギー蓄積電力量「50kWh」、蓄積速度「+5kW」を取得する。
【0056】
図6に戻って、次に、折衝部404は、クリーンエネルギーのみでコンテンツの配信が行えるように、コンテンツの品質(コンテンツデータ)を決定する(S205)。すなわち、折衝部404は、コンテンツ再生要求にて指定されたコンテンツのコンテンツデータであって、コンテンツDB504が記憶する品質の異なる複数のコンテンツデータの中から、シーケンスS203、S204で取得した情報と、後述するビットレートと使用電力との関係とに基づき、想定されるセッション数であっても、クリーンエネルギーでコンテンツ配信に必要な電力を賄えるように、コンテンツデータを選択する。
【0057】
図10は、コンテンツDB504が記憶するコンテンツデータに関する情報の例を示す図である。コンテンツDB504は、各コンテンツの一つまたは複数の品質のコンテンツデータをコンテンツIDと対応付けて記憶するとともに、図10に示すように、コンテンツID「vod−1」と、ビットレート「2000」と、明るさ「100」とを対応付けて記憶し、コンテンツID「vod1−1−60」と、ビットレート「2000」と、明るさ「60」とを対応付けて記憶し、コンテンツID「vod1−2」と、ビットレート「4000」と、明るさ「100」とを対応付けて記憶するというように、自身で記憶しているコンテンツデータのコンテンツIDと、ビットレートと、明るさとを対応付けて記憶する。
【0058】
ここで、コンテンツID「vod1−1」〜「vod1−4」に対応付けられているコンテンツデータは、全てコンテンツの識別情報「vod1」で示される同じ内容のコンテンツのデータであり、品質だけが異なる。例えば、コンテンツID「vod1−1」のコンテンツデータは、ビットレートが2000kbpsであるのに対し、コンテンツID「vod1−2」のコンテンツデータは、ビットレートが4000kbpsである。また、コンテンツID「vod1−1」のコンテンツデータは、明るさ設定は通常通り(100%)であるが、コンテンツID「vod1−1−60」のコンテンツデータは、バックライトが60%の明るさとしたときに、コンテンツID「vod1−1」のコンテンツデータと同程度の明るさに表示されるデータとなっている。
【0059】
つまり、例えば、デコード後に、ある4つの白点の明るさがそれぞれ、(0、30、60、100)となるデータがあるとする。バックライトの明るさが100%の時は、上記それぞれの点に対するデータは(0、30、60、100)そのものとなる。バックライトの明るさが60%の時は、上記それぞれの点に対するデータを(0、50、100、100)としておけば、実際にはそれぞれ(0、30、60、60)という明るさ、つまり、配信側がほぼ意図した明るさで表示することが出来る。但し、4つ目の点が100ではなく60の明るさで表示されるように、本来もっと明るく表示されるべき点がそうでなくなり、ある一定の明るさ以上になると被写体が真っ白に塗りつぶされてしまう「白とび」という現象が発生するため、全体的に暗めの映像に対して適用する方がよい結果が得られる。
【0060】
図11は、折衝部404が記憶しているビットレートと使用電力との関係の例を示す図である。折衝部404は、図11で例示した、ビットレート「2000kbps」と対応付けて、使用電力「10W」とエコモード時「○」とを記憶し、ビットレート「4000kbps」と対応付けて、使用電力「20W」とエコモード時「○」とを記憶し、ビットレート「10000kbps」と対応付けて、使用電力「50W」とエコモード時「○」とを記憶し、ビットレート「2000kbps」と対応付けて、使用電力「100W」とエコモード時「×」とを対応付けて記憶するというように、ビットレートとそのビットレートで配信する際の使用電力とそのビットレートをエコモード時に許可するか否かを示す情報とを対応付けて記憶する。なお、ここでは、エコモード時「○」は、エコモード時に、そのビットレートでの配信を許可することを示し、エコモード時「×」は、許可しないことを示す。
【0061】
図6に戻って、次に、折衝部404は、コンテンツ品質の決定結果をコンテンツ再生装置4に送信する(S206)。さらに、折衝部404の指示に従い、セッション管理部405は、コンテンツ品質の決定結果をユーザDB503に格納してセッション確立を行う。図12は、折衝部404が送信するコンテンツ品質の決定結果を通知するSIPメッセージの例を示す図である。図12において、SIP/2.0 200の行(1行目)は、図7の1行目に例示したINVITE要求が成功したことを示す。その他の行は、図7のSIPメッセージと同様であるが、図7と異なる特徴的な部分は12行目の「a=fmtp:33」の行であり、「eco=2」で環境指標が2、「bitrate=4000」でビットレートが4000kbps、「brightness=60」で明るさ設定が60のコンテンツデータに決定されたことを示す。
【0062】
その他の違いとしては、11行目の「a=fmtp:33 uri=...; session=」の行である。ここでパラメータとして返されたものは、再生開始や再生一時停止などのビデオ再生制御リクエストを送る際に使われる識別子である。識別子としては「uri=rtsp:〜」のようにRTSP(Realtime Streaming Protocol;RFC2326)を用いたが、特にこれに限定するわけではなく、再生制御を行うことの出来る任意のプロトコルでよい。また、「uri=rtsp://100.1.1.100」で指定されているIPアドレス「100.1.1.100」は、コンテンツ配信装置4のアドレスであり、通常図7のSIPメッセージの送信先と同じである。しかし、コンテンツ配信装置4の構成によっては、SIPメッセージを送受信するサーバー装置と、RTSPメッセージを送受信するサーバー装置が異なる場合もあり、その場合には異なるIPアドレスになることもある。
【0063】
このコンテンツ品質の決定結果を通知するメッセージは、コンテンツ再生装置7の、コンテンツ要求部704が受信し、メッセージ内容に従い、コンテンツ制御部705に対して、映像出力部708、音声出力部709に対するパラメータ設定と、再生開始要求の送信(S207)とを指示する。例えば、メッセージ中の「brightnes=60」に従い、バックライトの出力が60%となるような設定を、映像出力部708にするように指示する。また、ここで、再生開始要求は、例えば、RTSPのPLAYコマンドなどであるが、その他のプロトコルによる再生開始の要求であってもよい。この再生開始要求を、コンテンツ配信装置4のセッション管理部405が受けると、コンテンツ配信装置4のコンテンツ管理部406が、図12のSIPメッセージで指定した品質のコンテンツデータをコンテンツDB504から読出して、配信する(S208)。配信されたコンテンツデータを、コンテンツ再生装置7のデータ受信部707が受信し、映像出力部708、音声出力部709に転送して、コンテンツの映像、音声を出力する。あとは、コンテンツ制御部705が、配信停止要求(S209)、コンテンツ再生終了要求(S210;セッション終了要求)をコンテンツ配信装置4に送信することによって、セッションが終了する。
【0064】
セッションが終了するとセッション管理が発行する指示により、コンテンツ配信装置4の履歴管理部407は、コンテンツを配信したセッションの履歴情報の作成を行い、履歴DB502に格納する(S211)。図13は、履歴DB502が記憶する履歴情報の例を示す図である。履歴DB502は、図13に例示するように、ユーザID「alice」と、視聴日「11/3」と、コンテンツID「vod12−3」と、視聴時間「120分」と、環境指標「3」とを対応付けて記憶し、ユーザID「alice」と、視聴日「11/4」と、コンテンツID「vod5−2」と、視聴時間「60分」と、環境指標「2」とを対応付けて記憶するというように、ユーザIDと視聴日とコンテンツIDと視聴時間と環境指標とからなるレコードに、各セッションの履歴情報を記憶する。なお、視聴日は、日付けだけでなく、時刻を含んでいてもよい。
【0065】
図14は、使用電力と平均余剰電力との比と、環境指標と、料金(単価)との関係を示す図である。履歴管理部407は、この使用電力と平均余剰電力との比と、環境指標との関係を用いて、各セッションの環境指標を決定し、履歴情報とする。また、課金処理部408は、この環境指標と、料金(単価)との関係を用いて、課金処理を行う。平均余剰電力とは、クリーンエネルギーの余剰電力を、予想されるセッション最大数(所定の最大負荷)と現在セッション数との差で割った値であるが、詳細は後述する。新たなセッションによる使用電力と平均余剰電力との関係において、使用電力が余剰電力内で収まる範囲であれば、エコに反することはないので、使用電力の余剰電力に対する割合が小さいほど、事業者にとって利益であり、ユーザにもインセンティブとして還元すべきと考えられる。そのような考え方に従って、環境指標(省エネの度合い)と料金単価との関係について、例えば、図14のように予め設定されている。
【0066】
すなわち、平均余剰電力に対して、使用電力が非常に小さく割合が0.1以下の場合、省エネに対する貢献度が高いと言うことで、環境指標3とし、単価は1時間あたり40円である。また、平均余剰電力に対する使用電力の割合が0.1を超えて0.5以下の場合、環境指標2とし、単価は1時間あたり60円である。平均余剰電力に対する使用電力の割合が0.5を超えて1以下の場合、環境指標1とし、単価は1時間あたり80円である。平均余剰電力に対する使用電力の割合が1を超えている、あるいは、平均余剰電力が0の場合、環境指標0とし、単価は1時間あたり100である。但し、これらの設定は、事業者の運用方針により任意に設定できるものである。
【0067】
例えば、平均余剰電力が40Wであり、コンテンツID「vod1−2−60」のコンテンツデータを配信した場合、図10に示したように、このコンテンツデータのビットレートは、4000kbpsなので、図11より、使用電力は20Wである。したがって、使用電力/平均余剰電力=20/40=0.5となり、図14より、環境指標=2、単価60円となる。ここで環境指標を0〜3の4段階としたが、これに限定することはなく、段階数を4よりも多くあるいは少なくしてもよいし、使用電力と平均余剰電力とをパラメータとする予め決められた数式を用いて算出するなどして、連続的な値としてもよい。料金(単価)についても、同様に連続的な値にしても良いし、ある閾値を設けていくつかの段階にしてもよい。
【0068】
なお、明るさ設定60に関しては、事業者側の負荷には特に影響はないため、料金低下などのインセンティブを行わなくてもよい。これは主にコンテンツ再生装置7の消費電力削減に寄与するものであり、その点でユーザには既にメリットを与えていることになるからである。
【0069】
図6に戻って、次に、コンテンツ配信装置4の課金処理部408は、月に1回、毎月のサービス料金として、履歴DB502が記憶する履歴情報を元に、ユーザごとに請求料金を計算し、課金DB501に格納する(S211)。図15は、課金DB501が記憶するユーザ毎の請求料金の例を示す図である。課金DB501は、図15に示すように、例えば、ユーザID「alice」と、課金月「2009/11」と、非eco視聴時間「60」と、非eco料金「100」と、eco=1視聴時間「60」と、eco=1料金「80」と、eco=2視聴時間「180」と、eco=2料金「180」と、eco=3視聴時間「120」と、eco=3料金「80」と、合計料金「440」とを対応付けて記憶し、その他のユーザについても、同様に、ユーザID、課金月、非eco視聴時間、非eco料金、eco=1、2、3の視聴時間および料金、合計料金を記憶する。課金処理部408は、この課金DB501が記憶するデータを元に請求書を作成し、事業者が、この請求書に基づき、銀行に口座引落しを依頼する、あるいは、請求書をクレジット会社に送付する、ユーザに送付するなどの方法で決済を行う。
【0070】
図16は、折衝部404によるコンテンツ品質決定の処理を説明するフローチャートである。このコンテンツ品質決定の処理は、図6のシーケンスS205にて行われる処理であり、電力情報管理部402、負荷検出部403、セッション管理部405にデータを問い合わせながら、折衝部404が行う。まず、折衝部40は、予想されるセッション最大数と、現在セッション数とから、増加予想数を計算する(S1001)。予想されるセッション最大数は、ここでは単純に、負荷検出部403から通知された同じ時間帯におけるセッション数の平均値と標準偏差の値の和として計算する。例えば、図8に示すような情報が通知されたときは、予想されるセッション最大数は、450+175=625である。これは統計的には68%の確率で625セッション以下に収まると言える数字である。増加予想数は、予想される最大セッション数から現在のセッション数を引いた値である。すなわち、625−500=125である。ここで増加予想数の算出はこれに限定するものではなく、例えば、増加予想数を、予想される最大セッション数から現在のセッション数を引いた値に係数を掛けた値とし、使用状況を元に精度が高くなるように係数を変更するなど、適宜最適化してもよい。
【0071】
次に、折衝部404は、クリーンエネルギーの余剰電力を計算する(S1002)。クリーンエネルギーの発電電力は、電力情報管理部402から通知されるクリーンエネルギー使用電力と蓄積速度との和であり、例えば、電力情報管理部402から図9に示す供給量情報を取得したときは、50+5=55kWである。そして、余剰電力は、クリーンエネルギーの発電電力から現在使用している電力を引いた値、55−50−0=5kWである。すなわち、蓄電池37への蓄積速度を、余剰電力とみなすことができる。ここで、蓄電池37があるため余剰電力を正確に導くことが出来るが、蓄電池37を備えていない場合は、他の方法によって推測する。例えば、一時的に使用電力を何らかの方法で増加させ、そのときに非クリーンエネルギーが使用されるかを検出し、使用されていなければ余剰電力があると予想する方法や、太陽光発電パネル2の仕様上の平均発電電力(これ自体は過去からの実績により統計的に求めても良い)を予め設定しておき、それとの差分を計算する方法などである。なお、余剰電力の検出は、電力情報部301など電力制御装置3が行い、検出した余剰電力を供給量情報に含めて、コンテンツ配信装置4に通知するようにしも良い。
【0072】
次に、折衝部404は、クリーンエネルギー発電量を超えない1セッションあたりの平均余剰電力を計算する(S1003)。すなわち、余剰電力を増加予想数で割って、ここでは、5/125=0.04kW=40Wとなる。次に、折衝部404は、指定されたコンテンツのコンテンツデータに関する情報を、コンテンツ管理部406から取得し、平均余剰電力以下に抑えられるコンテンツデータを選択する(S1004)。消費電力を平均余剰電力40W以下に抑えられるのは、図11のビットレートと使用電力との関係から、ビットレートが4000kbps以下のものである。さらに、シーケンスS202のコンテンツ再生要求にて指定されたビットレートの条件を満たしたものを、折衝部404は選択する。
【0073】
例えば、図7のコンテンツ再生要求のメッセージでは、2000kbps以上と指定されているので、ビットレートが2000kbps以上、4000kbps以下であることが条件である。ここで、コンテンツの識別情報が「vod1」であり、コンテンツデータに関する情報が図10に示す例であるときは、ビットレートが2000kbps以上、4000kbps以下なのは、コンテンツIDが「vod1−1」、「vod1−1−60」、「vod1−2」、「vod1−2−60」のいずれかのコンテンツデータである。なお、折衝部404が、2000kbpsと4000kbpsのいずれを選ぶようにするかは、運用者の方針によってどちらに決めても良いし、別のパラメータに基づき決定するようにしても良いが、折衝部404は、より品質の高い4000kbpsを選択することが望ましい。より品質の高いものを選択することで、よりユーザに与える不快感を抑えることができる。また、同じく図7のコンテンツ再生要求にて「brightness=50」が設定されているため、明るさ設定60であるものとして、折衝部404は、コンテンツID「vod−1−2−60」のコンテンツデータを選択する。
【0074】
図17は、課金処理部408による課金処理を説明するフローチャートである。この課金処理は、図6のシーケンスS212にて行われる処理である。まず、課金処理部408は、課金処理を未処理のユーザの中から1つを選択する(S2001)。この選択基準は、例えば、ユーザID順でもよいし、レコード順でもよいし、ランダムな順であってもよい。次に、課金処理部408は、ステップS2001にて選択したユーザについて、課金の対象期間の履歴データを履歴DB502から取得する(S2002)。例えば、図13でユーザID=aliceの履歴情報については、対象期間が11月であれば、5件取得する。
【0075】
次に、課金処理部408は、環境指標ごとに料金を算出する(S2003)。図13の例では、環境指標0(非eco)の料金は、60分×100円/60分=100円であり、環境指標1の料金は、60分×80円/60分=80円であり、環境指標2の料金は、180分×60円/60円=180円であり、環境指標3の料金は、120分×40円/60分=80円である。次に、課金処理部408は、ステップS2003において算出した各環境指標の料金を合計して、合計料金を計算する(S2004)。図13の例では、100円+80円+180円+80円=440円となる。次に、課金処理部408は、ステップS2003、S2004の算出結果を課金DB501に格納する(S2005)。そして、これらステップS2001からS2005までの処理を、全てのユーザに対して行うまで繰り返す(S2006)。
【0076】
なお、ここでは、単純に、視聴時間により従量課金的に料金を決定したが、その他の任意の課金方法が可能である。例えば、定額料金5000円で、エコモードでの視聴が無制限になるようにしてもよい。その場合でも、課金処理部408は、履歴DB502の履歴情報に基づき、料金を算出する。
また、ここでは、コンテンツのビットレートの高低を環境指標の計算に用いた。これにはFEC(Forward Error Correction)機能のための追加帯域も含まれる。通常FEC機能を用いる場合、コンテンツデータそのものに加え、エラー訂正のための10%〜20%のデータを追加で送る必要があり、追加帯域が発生する。例えば、コンテンツ自体のビットレートが2000kbpsで、FECのビットレートが200kbpsなら、FECを使用する場合には、合計の2200kbpsがコンテンツのビットレートとなる。したがって、FECを送らない方がビットレートは小さくなり、消費電力が下がるので、FECを付すか否かにより、ビットレートを変更するようにしてもよい。FECの要否は、例えば、SDPにおいては、m行によって示される(m行がある場合に使うことを意味する)。
【0077】
また、ここでは、折衝結果をビットレートの高低という形で反映させたが、これに限るものではない。ビットレートは直接コンテンツ配信装置4の使用電力の量に影響を与えるが、使用電力の量が変わらなくてもクリーンエネルギーの発電量が変化すれば環境指標は変化するので、環境指標を使用電力とは無関係に決められても良い。例えば、常に日本から遠いサハラ砂漠において環境指標が高くなる傾向があるのであれば、事業者としてはそちら(但し、反応速度が悪いという犠牲をユーザに払ってもらう必要がある)を選択したい場合が出てくるので、それに対し、何らかのインセンティブをユーザに与えるようなことも考えられる。
【0078】
また、図16のステップS1002で、クリーンエネルギーの純粋な余剰電力を考えたが、そうではなく、多少系統電力1の電力を使っても良いとして、系統電力1からの電力を含めて余剰電力を考えても良い。例えば、系統電力1の電力を100Wまで使っても良いと考え、クリーンエネルギーの余剰電力が0Wであれば余剰電力は100W、クリーンエネルギーの余剰電力が50Wであれば余剰電力は150Wと考える。系統電力1の電力にも風力発電、地熱発電などによるものが含まれ、系統電力1の使用がエコでないとは完全に言い切れず、また、多少の系統電力1の電力を頼ることは現実的には妥当であると考えられるからである。さらに、この時には蓄電池37を備えていない場合、特別な処理をして余剰電力を計算せずに、使っても良いと考える系統電力1からの電力の値を余剰電力の値として用いて、ステップS1003の演算を行ってもよい。
【0079】
また、本実施形態では、環境負荷として二酸化炭素の排出量を考え、コンテンツ配信装置4は、二酸化炭素の排出量がゼロに抑えられるように、すなわち全てクリーンエネルギーとなるようにビットレートを決定し、コンテンツを配信したが、単位時間当たりの二酸化炭素の排出量が予め設定された値に抑えられるように、あるいは、単位電力量当たりの二酸化炭素の排出量が予め設定された値に抑えられるようにビットレートを決定するようにしてもよい。例えば、単位時間当たりの二酸化炭素の排出量を1kg/hとする場合を考える。太陽光発電パネル2に関して、単位電力量当たりの二酸化炭素の排出量が0kg/kWhであり、供給可能な電力が45kWであり、系統電力1に関して、単位電力量当たりの二酸化炭素の排出量が0.4kg/kWhであるとき、使用電力の合計をXkWとすると、45kW×0kg/kWh+(X−45)kW×0.4kg/kWh=1kg/hを満たすようにすればよい。すなわち、X=47.5kWまで、電力を使用可能である。また、この場合、太陽光発電パネル2と、系統電力1との2つの電力源からだけでなく、3つ以上の環境負荷の異なる電力源から電力が供給されるようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態において、コンテンツ配信装置4の使用電力を対象として、クリーンエネルギーのみで賄えるように、ビットレートを決定しているが、コンテンツ配信装置4とデータベース装置5の使用電力を対象として、クリーンエネルギーのみで賄えるように、ビットレートを決定するようにしてもよい。さらに、スイッチ装置10の使用電力をも対象として、クリーンエネルギーのみで賄えるように、ビットレートを決定するようにしても良い。
【0081】
また、本実施形態において、コンテンツ再生装置7の使用電力について考慮していなかったが、これを考慮しても良い。すなわち、コンテンツ再生装置7に、ビットレートに応じた使用電力を予め設定しておき、図7のSIPメッセージの中に例えば、「a=fmtp:33 terminal=10W/Mbps」(1Mbpsあたり10W使用)というようなデータを入れておき、サーバー側の使用電力の計算の際にこの値を考慮して行う。この使用電力は、コンテンツ再生装置7本体のみだけでなく、家庭内LANにおける機器、例えば無線LANルーターなどビットレートの変化に応じて使用電力が異なる機器について考慮できることが望ましく、簡単にはユーザがメニュー画面などで自由に設定できるようにしておくのが望ましい。
【0082】
このように、本実施形態におけるコンテンツ配信装置4は、希望するユーザに対して、コンテンツの配信に用いる電力をクリーンエネルギーにて賄えるように、ビットレートなどのサービスの品質を変更するので、ユーザに与える不快感を抑えつつ、二酸化炭素の排出量削減などの環境保護に適ったコンテンツ配信を行うことができる。
【0083】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、コンテンツ配信装置4は1地点に設置されていたが、第2の実施形態では、コンテンツ配信装置4は、地球上の複数地点に設置される。図18は、本実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す概念図である。本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、系統電力1、太陽光発電パネル2−A、2−B、電力制御装置3−A、3−B、コンテンツ配信装置4−A、4−B、データベース装置5、ネットワーク6、複数のコンテンツ再生装置7を備える。図18に示すように、本実施形態では、サービス事業者は、地点Aに、太陽光発電パネル2−A、電力制御装置3−A、コンテンツ配信装置4−Aを設置し、地点Bに、太陽光発電パネル2−B、電力制御装置3−B、コンテンツ配信装置4−Bを設置している。データベース装置50は、コンテンツ配信装置4−A、4−Bが接続され、地点A、地点B以外の地点に設置されている。なお、データベース装置50は、地点A、地点Bのいずれかに設置されていてもよい。また、本実施形態においても、図1のように各地点にイーサネット(登録商標)スイッチ10が設置されているが、ここでは、図示を略する。
【0084】
太陽光発電パネル2−A、2−Bは、図1に示した第1の実施形態における太陽光発電パネル2と同様である。電力制御装置3−A、3−Bは、データベース装置5に電力を供給していないことを除き、図1に示した第1の実施形態における電力制御装置3と同様である。なお、データベース装置50が、地点A、地点Bのいずれかに設置されているときは、該地点の電力制御装置がデータベース装置5に電力を供給するようにしてもよい。
【0085】
図19は、コンテンツ配信装置4−A、4−Bの構成を示す機能ブロック図である。コンテンツ配信装置4−A、コンテンツ配信装置4−Bは、折衝部404に替えて折衝部1404を備える点と、セッション管理部405に替えてセッション管理部1405を備える点とを除き、コンテンツ配信装置4と構成は同じである。折衝部1404とセッション管理部1405は、それぞれ、折衝部404とセッション管理部405に比べ、多地点でのサーバーに対応出来る機能を備えている点が異なる。
【0086】
地点Aと地点Bとは例えば、日本と、ヨーロッパなどのように、地球上で昼、夜の時間帯が異なる地点であってもよいし、いずれかが、サハラ砂漠など、コンテンツ再生装置7のあるユーザ宅からは遠隔地であっても、晴天の確率が高く、太陽光発電パネルによる発電に適した地点であってもよい。ユーザが日本にいる、すなわち、コンテンツ再生装置7が日本にある場合、地理的に、あるいは、ネットワーク上で近い方のコンテンツ配信装置、すなわちコンテンツ配信装置4−Aの方が、コンテンツ再生装置7からの要求に対するレスポンスが速く、より品質の高いサービスを提供することができる。
【0087】
図20は、コンテンツ再生時の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、シーケンスS1201、1202は、図6のシーケンスS201、S202と同じである。また、コンテンツ再生装置7は、コンテンツ配信装置4−A、4−Bのうち、地理的に近い方の装置、あるいは、ネットワーク上で近い方の装置に対して、コンテンツ再生要求を送信する。ここでは、コンテンツ配信装置4−Aに対して、送信したとする。次に、コンテンツ配信装置4−Aの折衝部1404は、シーケンスS1202のコンテンツ再生要求を受信すると、この受信したコンテンツ再生要求と同じメッセージ(図7)をコンテンツ配信装置4−Bにも転送する。そこで、コンテンツ配信装置4−A、4−Bの両方で、図6のシーケンスS203〜S205と同様の処理(それぞれ、シーケンスS1204−A〜S1206−A、S1204−B〜S1206−B)を行う。
【0088】
シーケンスS1204−A〜S1206−A、S1204−B〜S1206−Bでは、地点A、B各々における負荷量、クリーンエネルギー量検出を行うことになるが、ここでは、負荷検出部403によって検出される負荷量については、どちらも図8に示した値で同一であり、電力情報受信部402により取得されるクリーンエネルギー量だけが異なっているものし、シーケンスS1205−AおよびS1205−Bで、地点Aのコンテンツ配信装置4−Aと、地点Bのコンテンツ配信装置4−Bが検出するクリーンエネルギー使用量などの例を、図21に示す。地点Aでは、クリーンエネルギー使用電力が40kW、非クリーンエネルギー使用電力が5kWであり、余剰電力はない。地点Bでは、クリーンエネルギー使用電力が50kW、非クリーンエネルギー使用電力が0kWであり、蓄電池37への蓄積が行われている10kW程度の余剰電力がある。結果的に、平均余剰電力はそれぞれ0W、80Wとなる。コンテンツ配信装置4−A、4−B各々の折衝部1404が選択するコンテンツデータはそれぞれ、コンテンツID「vod1−1−60」(消費電力10W、環境指標0)のコンテンツデータ、コンテンツID「vod1−3」(消費電力40W、環境指標1)となる。
【0089】
次に、コンテンツ配信サーバー4−Bの折衝部1404は、シーケンスS1206−Bにて決定したコンテンツデータのコンテンツ品質を、例えば、図22に示すコンテンツ品質結果通知のメッセージにして、コンテンツ配信装置4−Aの折衝部1404に通知する(S1207)。さらに、コンテンツ配信装置4−Bは、コンテンツ品質結果通知の内容をユーザDB503に格納してセッションを確立する。なお、図22のコンテンツ品質結果通知のメッセージは、図12のメッセージとは、12行目のaの行において、「eco=1;flexible;bitrate=2000−;brightness=50−」(環境指標1)が指定され、また、「a=fmtp:33 uri=...」などで示されるアドレスがコンテンツ配信サーバー4−BのIPアドレスである「100.2.1.100」である点が異なる。
【0090】
次に、コンテンツ配信装置4−Aの折衝部1404は、シーケンスS1207にて通知されたメッセージを受信すると、コンテンツ配信装置4−A、4−Bの各々にて決定した結果の環境指標を比較して、環境指標の高い方を選択する判定処理を行う(S1208)。
【0091】
上述の例では、コンテンツ配信装置4−Bの環境指標の方が高いが、この判定処理にて、コンテンツ配信装置4−Aを選択したときは、コンテンツ配信装置4−Bのセッション確立をキャンセルするためにコンテンツ再生終了要求(SIPのBYEメッセージなど)をコンテンツ再生装置4−Bへ送る(S1250)。このコンテンツ再生終了要求を受信すると、コンテンツ配信装置4−Bのセッション管理部1405は、ユーザDB503に格納しているセッションの情報を削除して、セッションを解放する。なお、このとき、コンテンツ配信装置4−Bは、リクエストの送信元がコンテンツ配信装置4−Aであることはパケットの送信元アドレスを見て判定できるため、このときにはコンテンツ配信履歴はないと判断し、履歴作成を行うことはしない。次に、コンテンツ配信装置4−Aの折衝部1404は、コンテンツ品質結果通知をコンテンツ再生装置7へ送信する(S1251)さらに、折衝部1404の指示に従い、セッション管理部1405は、ユーザDB503に、コンテンツ品質結果通知の内容を格納し、セッションを確立する(S1251)。以降は、コンテンツ配信装置4−Aとコンテンツ再生装置7との間で、図6のシーケンスS207〜S212と同様に動作する。なお、これらシーケンスS207〜S212については、図20では省略している。
【0092】
上述の例のように、コンテンツ配信装置4−Bの環境指標の方が高く、シーケンス1208の判定処理にて、コンテンツ配信装置4−Bを選択したときは、コンテンツ配信装置4−Aの折衝部1404は、シーケンスS1202のコンテンツ再生要求に対するセッション確立の処理をキャンセル(折衝部1404内部の処理)し、セッションを廃棄する(S1260)。次に、折衝部1404は、コンテンツ配信装置4−Bから受信したコンテンツ品質結果通知のメッセージを、そのままコンテンツ再生装置7へ転送し、セッションを確立する(S1261)。この時、折衝部1404の指示に従い、セッション管理部1405は、コンテンツ配信装置4−Bからの配信を仲介しているセッションであることを示す情報を付して、コンテンツ配信装置4−Bから受信したコンテンツ品質結果通知をユーザDB503に格納し、セッションを管理する。
【0093】
コンテンツ再生装置7は、コンテンツ品質結果通知のメッセージ中のアドレスを参照して動作することで、コンテンツ配信装置4−A、4−Bのいずれが選択されたのかを意識することなく動作することが出来る。コンテンツ品質結果通知のメッセージ(図22)に含まれる配信制御用のアドレスが「100.2.1.100」なので、このアドレスをリクエストの送信先として用いることで、コンテンツ配信装置4−Bに対してRTSPのPLAY、PAUSEなどのリクエストを発行し、映像の再生などを行う(S1262)。
【0094】
コンテンツ再生を終了する際には、コンテンツ再生装置7は、シーケンスS1202にてコンテンツ再生要求を送信した装置、ここではコンテンツ配信装置4−Aに対してコンテンツ再生終了要求を送信する(S1263)。
コンテンツ再生終了要求を受信すると、コンテンツ配信装置4−Aのセッション管理部1405は、このセッションがコンテンツ配信装置4−Bでの配信を仲介していることが分かっているので、そのコンテンツ再生終了要求をコンテンツ配信装置4−Bへ転送する(S1264)。コンテンツ配信装置4−Bのセッション管理部1405は、転送されたコンテンツ再生終了要求を受信し、セッション終了処理を行い、図6のシーケンスS211と同様に履歴作成処理を行う(但し、コンテンツ配信装置4−A、4−Bのいずれも、コンテンツ配信装置4−Aが仲介したセッションであることは判定できるため、履歴作成処理をコンテンツ配信装置4−A側で実施するようにしてもよい)。
【0095】
なお、シーケンスS1202のコンテンツ再生要求は、コンテンツデータを配信する装置をコンテンツ配信装置側にて決定してよいか否かを示す情報を含むようにしてもよい。この情報が、コンテンツ配信装置側にて決定してよいことを示すときは、上述のように、複数のコンテンツ配信装置のうち適切なものを選択する処理を行い、そうでないときは、コンテンツ再生要求を受けたコンテンツ配信装置がコンテンツデータを配信する。
また、本実施形態では、地点Aと地点Bとの2地点に、コンテンツ配信装置を配置するとして説明したが、3つ以上の地点にコンテンツ配信装置を配置するようにしてもよい。例えば、地点A、B、Cの3地点にコンテンツ配信装置を設置した場合、コンテンツ再生要求を受けたコンテンツ配信装置が、そのコンテンツ再生要求を残りの2つのコンテンツ配信装置に転送する。さらに、3つのコンテンツ配信装置における環境指標に基づき、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置を選択する。
【0096】
このように、複数の地点に設置されたコンテンツ配信装置の中から、コンテンツの配信に用いる電力をクリーンエネルギーにて賄えるものを選択するので、二酸化炭素の排出などの環境負荷を抑えて、コンテンツ配信を行うことができる。なお、この選択により、コンテンツ再生装置7と、選択されたコンテンツ配信装置が設置された地点との関係に影響を受ける、レスポンスタイムなどのサービス品質を選択している。
【0097】
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1および第2の実施形態では、セッション毎(コンテンツを再生する度)にコンテンツの品質を決めて履歴を作成し課金していたが、本変形例では、1つのコンテンツを再生している途中で品質を変更する。これは、例えば、コンテンツを再生している途中で、例えば、コンテンツ配信装置側のセッション数が予想より大幅に超えて負荷があがってしまったとか、クリーンエネルギーの供給量が予想以上に減ってしまったというように、クリーンエネルギーのみで、コンテンツ配信の電力が賄えなくなる場合に行う。本変形例において、各装置の構成は、基本的に第1の実施形態と同じであるが、コンテンツ配信装置4の折衝部404、コンテンツ管理部406が、第1の実施形態とは異なるので、以下、これらを中心に、説明する。
【0098】
図23は、本変形例におけるセッション中に動的にコンテンツ品質を変更する処理を説明するシーケンス図である。シーケンスS301〜308は、図6のシーケンスS201〜208と基本的に同様であるが、シーケンスS302、S306で送信されるメッセージはそれぞれ、図24の12行目、図25の12行目のように、「a=fmt:33」の行に「flexible」というパラメータが、コンテンツ再生装置7により設定されているところが異なる。なお、「flexible」は、コンテンツデータ配信中でも動的に品質変更が可能であることを示すパラメータである。
【0099】
次に、品質変更の要求に関する何らかのイベントが発生したとする。すると、このイベントの発生を折衝部404が検出する(S309)。折衝部404は、負荷検出部から取得するセッション数などの負荷情報と、電力情報管理部402から取得するクリーンエネルギー使用電力などの供給量情報に基づき、このイベントを検出する。イベントを検出すると、折衝部404は、コンテンツの品質の変更を決定し、決定結果の品質を示す情報を含むコンテンツ品質変更要求を、コンテンツ再生装置7に送信する(S310)。コンテンツ品質変更要求を受信すると、コンテンツ再生装置7は、品質変更に伴う必要な処理があれば行い、コンテンツ品質変更要求に対する応答(コンテンツ品質変更結果通知)を返す(S311)。この応答は、例えば、SIPの200 OKメッセージである。また、品質変更に伴う必要な処理としては、データ受信部707が備えるコンテンツデータのデコーダに対して、ビットレートなどのパラメータ設定を変更する処理が挙げられる。
【0100】
コンテンツ品質変更結果通知を受信すると、セッション管理部405は、品質の変更内容を、ユーザDB503が記憶するセッションの情報に反映し、履歴管理部407は、同一ビットレートだった期間に対して、履歴情報を作成し、履歴DB502に格納する(S312)を行う。この処理は図6のシーケンスS211と同じである。S313では、切り替わったコンテンツデータを送信する。それ以降は、S209以降と同じなので、省略する(但し、S211の課金処理は、切り替わった後のセッションに対して行う)。
【0101】
図26は、折衝部404によるイベントの検出処理を説明するフローチャートである。折衝部404は、この処理を、コンテンツ再生装置7からの要求処理とは独立して、定期的に実行する。ステップS3001〜S3003では、図16のステップS1001〜1003と同様の処理を行い、結果的にクリーンエネルギー発電量を超えない1セッションあたりの電力である平均余剰電力Xを計算する。次に、折衝部404は、平均余剰電力Xが、所定の閾値以上か否かを判定する(S3004)。閾値以上(十分に余剰電力がある)であるときは(S3004−Yes)、品質変更しないと決定し、処理を終了する。一方、閾値以下(余剰電力が不足している)であるときは(S3004−No)、ステップS3005へ進む。
【0102】
ステップS3005では、折衝部404は、セッション管理部405がユーザDB503から取得したセッションの情報を参照し、「eco」かつ「flexible」が設定されているセッションのうち、未処理のセッションを選択する。該当するセッションがないときは(S3005−No)、品質変更しないと決定し、処理を終了する。一方、該当するセッションがあるときは(S3005−Yes)、折衝部404は、ステップS3007に進み、現在再生中のコンテンツと同じコンテンツデータ、かつ、コンテンツ再生要求にて設定された条件を満たすコンテンツデータの中に、さらにビットレートの低いものがあるか否かをコンテンツ管理部406に問い合わせる。例えば、現在再生中のコンテンツデータが4000kbpsであり、かつ、コンテンツ再生要求にて設定された条件が2000kbps以上であるときには、2000kbps以上、4000kbps未満のコンテンツデータをコンテンツDB504が記憶しているか否かを問い合わせる。
【0103】
折衝部404は、該当するコンテンツデータがあり、ビットレートを低くすることが可能か否かを判定する(S3008)。可能でないときは(S3008−No)、ステップS3005に戻り、他のセッションについて処理を繰り返す。一方、可能であるときは(S3008−Yes)、品質変更すると決定して、イベント検出処理を終了する。その後、折衝部404は、該当するコンテンツデータへ変更するコンテンツ品質変更要求を、コンテンツ再生装置7に送信する。
【0104】
なお、品質変更すると決定した後は、ステップS3001からやり直して、その他のセッションについても判定するようにしてもよい。この場合、1つのセッションが品質変更されて負荷状況が変化しているので、より正確に、その他のセッションについて判定することができる。また、品質変更すると決定しても、イベント検出処理を終了せずに、ステップS3005からステップS3008の処理を行い、全てのセッションについてビットレートを落とすことが可能か否かを判定した後、可能と判定したものについて、コンテンツ品質変更要求を送信するようにしてもよい。その場合、より処理がシンプルになり、また、全てのセッションについて、ある時点での同一の条件で判定されるのでユーザにとっての公平性が増す。
【0105】
図27は、シーケンスS310のコンテンツ品質変更要求の例を示す図である。図27の例は、2000kbpsのコンテンツデータへの変更を要求する例である。図25のコンテンツ品質結果通知と比較すると、1行目でINVITEメッセージであることを示している点と、7行目でSDP Offerであることを示している点と、12行目で指定しているビットレートが2000kbpsである点が異なる。
【0106】
なお、本変形例は、第1の実施形態の変形例として説明したが、第2の実施形態についても、同様にしてコンテンツを再生している途中で、品質を変更することができる。さらに、第2の実施形態のように、複数地点でコンテンツ配信装置を稼働している場合、もし環境指標を高めることが出来るのであれば、異なる地点に設置されたコンテンツ配信装置(例えば、第2の実施形態のコンテンツ配信装置4−Aと4−B)の間でセッションを引き継ぐようにしてもよい。この場合、仲介を受け持つコンテンツ配信装置の折衝部1404が互いの品質変更検出処理結果を比較し、セッション確立を必要なら行い、送信するメッセージ(図27)の「a=fmtp:33 uri」パラメータのIPアドレスが変更されることで実現できる。
【0107】
このように、セッション数が増加したり、クリーンエネルギーの発電量が低下したりするなどして、コンテンツを再生している途中で、コンテンツの配信に用いている電力をクリーンエネルギーで賄えなくなっても、ビットレート、あるいは、配信する装置を変更するなど、品質を変更して、コンテンツ配信に用いる電力をクリーンエネルギーで賄えるようにするので、環境負荷を抑えて、コンテンツ配信を行うことができる。
【0108】
なお、上述の各実施形態では、使用する電力をクリーンエネルギーと、非クリーンエネルギーとの2段階に分け、環境指標を算出したが、より多段階に分けて、環境指標を算出するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、コンテンツ再生要求にて環境を優先したコンテンツの配信を要求する「eco」をパラメータとして設定したが、例えば、上述の環境指標を用いるなどして、その優先度合いをパラメータとして設定するようにしてもよい。その場合、コンテンツ配信装置の折衝部では、設定された環境指標を満たすように、品質を決定する。
【0109】
ここまで主にネットワーク上のメッセージのやりとりについて詳述してきたが、それらに伴い、コンテンツ再生装置7の画面上で何らかの表示をしてもよい。例えば、図6のS201において、コンテンツ選択するためのコンテンツリストにおいて、エコモードに関する何らかの情報を表示しておくことが考えられる。図28は、表示の一例を示す外観図である。符号1001は、コンテンツ「エコと私」が現時点でエコモードにおいて4Mbpsの品質で再生可能であることを示す。2Mbpsの品質であれば選択しないが、4Mbpsの品質であれば選択するというユーザにとって有意義な表示となる。また、エコモードでなく通常の再生を望む場合にはエコモードを使わない符合1002の[プレミアム]という選択を出来ても良い。この時には前述したとおり、例えば、<a>タグにエコモードの情報を付加しないなどとされ、本実施例で説明されるエコモードに関する制御を行わないようにすればよい。
【0110】
符号1003については、エコモードにおいて8Mbpsの品質で再生されるが、「サハラ(サハラ砂漠)」に設置されたコンテンツ配信装置4を選択することを示す。この場合、遅延が大きくなるかもしれないが、「サハラ砂漠」ということが分っているので、ユーザは安心できる。なお、符号1001の「4Mbps」、符号1003の「8Mbps」については、コンテンツリスト画面をコンテンツ配信装置4が送信する際に、図6において、エコモードが指定されたと仮定したときのシーケンスS203〜S205を予め実行しておくことによって表示することができる。
【0111】
また、図4における電力情報部301と、電力供給部302との機能を実現するためのプログラム、または、電力検出部401と、電力情報管理部402と、負荷検出部403と、折衝部404と、セッション管理部405と、コンテンツ管理部406と、履歴管理部407と、課金処理部408と、ネットワーク通信部409との機能を実現するためのプログラム、または、ユーザ入力部701と、エコモード設定部702と、コンテンツ要求部704と、コンテンツ制御部705と、通信部706と、データ受信部707との機能を実現するためのプログラム、または、図19における電力検出部401と、電力情報管理部402と、負荷検出部403と、折衝部1404と、セッション管理部1405と、コンテンツ管理部406と、履歴管理部407と、課金処理部408と、ネットワーク通信部409との機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0112】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0113】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1…系統電力
2…太陽光発電パネル
3…電力制御装置
4…コンテンツ配信装置
5…データベース装置
6…ネットワーク
7…コンテンツ再生装置
10…イーサネット(登録商標)スイッチ装置
31…CPU
32…主記憶部
33…補助記憶部
34…電力センサー
35…電源部
36…通信部
37…蓄電池
41…CPU
42…主記憶部
43…補助記憶部
44…電力センサー
45…電源部
46…通信部
47…ディスプレイ
48…キーボード
51…CPU
52…主記憶部
53…補助記憶部
54…通信部
71…CPU
72…主記憶部
73…補助記憶部
74…表示部
75…スピーカー
76…入力部
77…通信部
761…リモートコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うこと
を特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記コンテンツ再生装置に、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置を備え、
前記コンテンツ配信装置は、
前記複数の電力源のそれぞれの使用電力を検出する電力検出部と、
前記コンテンツ配信装置の負荷量を検出する負荷検出部と、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記検出した使用電力と負荷量とに基づいて、前記コンテンツ配信装置の負荷量が所定の最大負荷量となったときに、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように、配信するコンテンツのビットレートを決定する折衝部と、
前記折衝部が決定したビットレートのコンテンツデータを配信するコンテンツ配信部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記電力検出部は、前記複数の電力源のうち、最も環境負荷の大きい電力源を除く電力源の供給可能電力を、少なくとも検出し、
前記折衝部は、配信するコンテンツのビットレートを決定する際に、前記供給可能電力を用いること
を特徴とする請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記折衝部は、コンテンツを配信している途中で、前記所定の環境負荷に抑えられなくなると、前記電力検出部が検出する使用電力と供給可能電力と、前記負荷検出部が検出する負荷量とに基づき判定したときは、前記所定の環境負荷に抑えられるように、前記配信しているコンテンツのビットレートを決定し、
前記コンテンツ配信部は、前記配信しているコンテンツのビットレートを、前記決定したビットレートに変更すること
を特徴とする請求項3に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記環境負荷は、二酸化炭素の排出であり、
前記複数の電力源は、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーと、二酸化炭素を排出する非クリーンエネルギーとであること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記コンテンツの配信に伴って消費する電力が前記第2の電力の使用を抑制する度合いである環境指標に基づいて、料金を決定する課金処理部を備えることを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記コンテンツ再生装置に、コンテンツを配信する複数のコンテンツ配信装置を備え、
前記複数のコンテンツ配信装置のうち、少なくとも一つは、供給される電力源が他と異なり、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置を選択すること
を特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うのは、該コンテンツ再生装置から環境負荷を抑えた配信を指示されているときであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかの項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うこと
を特徴とするコンテンツ配信装置。
【請求項10】
環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うステップ
を有することを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項11】
環境負荷が異なる複数の電力源から電力を供給され、通信回線を介して接続されたコンテンツ再生装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信装置のコンピュータを、
前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ配信の要求に対して、前記複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行う手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
複数の電力源から供給される電力による環境負荷が、所定の環境負荷に抑えられるように決定したサービス品質で、コンテンツ配信を行うコンテンツ配信装置が配信したコンテンツを受信し、再生するコンテンツ再生装置であって、
コンテンツ配信装置に、環境負荷を抑えた配信を指示すること
を特徴とするコンテンツ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−197767(P2011−197767A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61033(P2010−61033)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】