説明

コンテンツ配信方法およびコンテンツ配信システム

【課題】通信品質を確保しつつ複製コンテンツ配信を行い得るコンテンツ配信方法およびコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】制御サーバ(401)は、ネットワーク制御により第2のコンテンツサーバ(302)と第1のコンテンツサーバ(301)との間に第1のセッションを確立する。また、制御サーバ(401)は、ネットワーク制御により第1のコンテンツサーバ(301)と端末(101)との間に第2のセッションを確立する。第2のコンテンツサーバ(302)は、前記第1のセッションを用いて第1のコンテンツサーバ(301)にコンテンツを送信する。第1のコンテンツサーバ(301)は、前記第2のセッションを用いて端末(101)にコンテンツを送信し、該コンテンツの複製を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質が保証されたユニキャストによるコンテンツ配信に関し、特に、中継するコンテンツサーバにおいて複製を作成しながら配信を行うコンテンツ配信方法およびコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、TISPAN(Telecommunications and Internet converged Services and Protocols for Advanced Networking)等の標準化団体では、NGN(Next Generation Network)等の管理型ネットワークを用いたコンテンツの配信手順の仕様を定めている(例えば、非特許文献1,2を参照)。同手順では、ユーザ端末からコンテンツの配信要求を送信すると、セッション確立プロトコルに従い、通信品質(通信帯域、遅延等)を確保しながら、コンテンツ配信用のメディアストリームを構築する。このメディアストリームを通してコンテンツが配信される。
【0003】
人気のあるコンテンツに対しては、多数のユーザ端末からのコンテンツの配信要求が送信される。その場合、当該コンテンツの配信を行う配信サーバ(コンテンツサーバ)の処理能力、配信サーバが接続されているネットワークリソースが不足し、多数のユーザ端末からの配信要求に同時に応えることができなくなる。
【0004】
このような問題を解決するには、アクセスの集中するコンテンツを複製し、これを複数の配信サーバに記憶させ、配信することが有効である。
しかし、どのコンテンツに人気があり複製する必要があるのかは予想困難であるといった問題や、配信サーバ間でコンテンツの複製を行う際にネットワークリソースを消費してしまうという問題がある。
【0005】
このような問題を解決する手段として、配信サーバの分散化が考えられている。代表的な技術としては、ピアツーピア(peer-to-peer, P2P)や、コンテンツデリバリネットワーク(Contents Delivery Network, CDN)がある。例えば、P2P技術の一つであるWinnyでは、ユーザのコンテンツの要求が発生すると、コンテンツを中継している端末上にコンテンツの複製を作成する(例えば、非特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ETSI TS 183 027 V2.9.0 (2008-02) Telecommunications and Internet converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN); IPTV functions supported by the IMS subsystem
【非特許文献2】ETSI TS 183 063 V2.1.0 (2008-06) Telecommunications and Internet converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN); IMS-based IPTV stage 3 specification
【非特許文献3】金子勇著,「Winnyの技術」,アスキー,ISBN4-7561-4548-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、利用頻度の高いコンテンツについて、ネットワーク上で複製しながら配信を行う上述したような技術では、コンテンツの配信に利用するメディアフローを作成する際に、通信品質の確保が行われないていないという問題点がある。従って、コンテンツの閲覧中に配信速度が低下し、表示が止まる等の問題が生じている。
【0008】
本発明はかかる事情を考慮してなされたものであり、通信品質を確保しつつ複製コンテンツ配信を行い得るコンテンツ配信方法およびコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るコンテンツ配信方法は、端末が、コンテンツの配信要求および第1のメディアストリーム情報を含む第1のセッション確立要求を第1のコンテンツサーバに送信するステップと、前記第1のコンテンツサーバが、前記コンテンツの配信要求および第2のメディアストリーム情報を含む第2のセッション確立要求を第2のコンテンツサーバに送信するステップと、前記第2のコンテンツサーバが、前記第2のセッション確立要求に対する第1のセッション確立応答を前記第1のコンテンツサーバに送信するステップと、制御サーバが、前記第2のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第1のセッション確立応答に応じて前記第2のコンテンツサーバと前記第1のコンテンツサーバとの間のメディアストリームのための第1のセッションを確立するステップと、前記第1のコンテンツサーバが、前記第1のセッション確立要求に対する第2のセッション確立応答を前記端末に送信するステップと、前記制御サーバが、前記第1のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第2のセッション確立応答に応じて前記第1のコンテンツサーバと前記端末との間のメディアストリームのための第2のセッションを確立するステップと、前記第2のコンテンツサーバが、前記第1のセッションを用いて前記第1のコンテンツサーバにコンテンツを送信するステップと、前記第1のコンテンツサーバが、前記第2のセッションを用いて前記端末に前記コンテンツを送信するステップと、前記第1のコンテンツサーバが、前記コンテンツの複製を記憶するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信品質を確保しつつ複製コンテンツ配信を行い得るコンテンツ配信方法およびコンテンツ配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムを示すブロック図
【図2】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムにおけるコンテンツ配信準備過程を示すブロック図
【図3】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムが用いるキーテーブルの一例を示す図
【図4】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける複製配信過程を示すブロック図
【図5】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける複製配信過程のシーケンス図
【図6】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける通常配信過程を示すブロック図
【図7】上記実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける通常配信過程のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムを示すブロック図である。本システムは、端末101,102と、転送ノード201〜203と、コンテンツサーバ301,302と、制御サーバ401とがネットワークNに接続されたものである。図1および以降の図においては、端末の数を2台とし、転送ノードの数を3台とし、制御サーバの数を1台とし、コンテンツサーバの数を2台としているが、構成機器の数はこれらに限定されない。
【0013】
本システムは、端末101,102からの要求により、コンテンツサーバ301,302からネットワークN上の転送ノードを介してコンテンツを配信するシステムである。コンテンツ配信の基本的なプロトコルとして、セッション制御プロトコル(Session Initiation Protocol)を用いる。
【0014】
端末101,102は、ユーザがコンテンツを利用するための機器であって、種々の携帯電話機やパーソナルコンピュータ等であり、ネットワークNに接続して通信する機能を備える。
転送ノード201〜203は、ネットワークN上において、コンテンツサーバ301,302から配信されるコンテンツを端末101,102に対して転送するノードであって、その際には、制御サーバ401からのネットワーク制御に従う。
【0015】
コンテンツサーバ301,302は、それぞれ記憶手段3011,3021を備え、ユーザの端末に対して配信すべきコンテンツのデータを記憶している。配信対象のコンテンツとしては、動画像コンテンツや音声コンテンツなど任意である。これらコンテンツサーバ301,302は、配信すべきコンテンツを当初より記憶するものと、別のコンテンツサーバ等からコンテンツの複製を受け取って記憶し、当該別のコンテンツサーバと同様にコンテンツ配信をするものとがある。このような複製コンテンツの配信により、配信サーバの分散化がなされる。
【0016】
コンテンツサーバ301は、端末101,102とコンテンツサーバ302との間におけるコンテンツ配信の中継経路上に位置しており、コンテンツサーバ302よりも端末101,102に対して近くに位置している。例えば後述する動作例において、コンテンツサーバ301は、コンテンツサーバ302のコンテンツの複製を記憶し、端末101,102に対して配信動作を行う。
【0017】
制御サーバ401は、端末101,102、転送ノード201〜203、コンテンツサーバ301,302の間のセッション確立プロトコルに従ったネットワーク制御を行うためのサーバである。ネットワーク制御の内容としては、セッション確立、ネットワークリソースの確保である。より具体的には、メディアストリームのコネクションの設定、帯域の確保である。その他、コンテンツ配信の際の機器認証等を制御サーバ401が行ってもよい。
【0018】
記憶手段501は、コンテンツ配信の際に参照されるキーテーブル502を記憶するための手段であって、ネットワークN上に構築される。後述するように、キーテーブル502は、コンテンツIDと、該コンテンツIDにより識別されるコンテンツを記憶し配信するコンテンツサーバの端末IDとを関連付けるものである。記憶手段501は、ネットワークN上に分散していてもよい。従って、キーテーブル502は、ネットワークN上で分散して配置してもよい。キーテーブル502を複数の端末に分散して保持する構成とすれば、ネットワークNに負荷をかけることなく、コンテンツ(を提供するコンテンツサーバ)を高速に検索することが可能となる。
【0019】
以上のように構成された本実施形態に係るコンテンツ配信システムの動作を説明する。コンテンツ配信は、(1)コンテンツ配信準備過程、(2)複製配信過程、(3)通常配信過程に大別される。
(1)コンテンツ配信準備過程
図2に示すように、先ず、配信対象のコンテンツAのデータをコンテンツサーバ302の記憶手段3021に配置する。コンテンツAは、例えば動画像コンテンツや音声コンテンツであり、ユーザによる視聴のために、ネットワークNを通じて端末101または102に対して配信される。コンテンツ配信の準備過程においては、このようにコンテンツのデータをサーバ上に配置するとともに、配信の際に参照されるキーテーブル502を設定してネットワークN上の記憶手段501に記憶させる。
【0020】
図3は、キーテーブルの一例を示す図である。同図に示すキーテーブル502は、コンテンツAのコンテンツIDと、コンテンツサーバ302の端末IDとの対応関係を表すものである。
複製配信を行う本実施形態では、同一のコンテンツIDに対して複数のコンテンツサーバの端末IDが対応付けられることになる。
【0021】
キーテーブル502は、例えば、制御サーバ401によるネットワーク制御との関係で、例えばコンテンツの配信サービスを提供する側で事前に設定しておく。なお、配信サービスが稼働したのちの状況に応じて、キーテーブル502の内容を適宜に更新可能な構成としてもよい。例えば、セッション確立プロトコルに従って動作可能であることを前提とし、コンテンツの複製を記憶した任意のコンテンツサーバが自動的にキーテーブル502を更新してもよい。
【0022】
この例では、コンテンツAのコンテンツID(例えば、「001」とする)には、コンテンツサーバ301の端末ID(例えば、「301」とする)と、コンテンツサーバ302の端末ID(例えば、「302」とする)が対応付けられている。これは、コンテンツサーバ301とコンテンツサーバ302は、コンテンツAを配信するコンテンツサーバの候補であることを意味する。
【0023】
なお、コンテンツ配信準備過程では、キーテーブル502においてコンテンツIDに対応付けられたコンテンツサーバのすべてが、当該コンテンツのデータを実際に格納しておく必要はない。例えば本実施形態では、当該コンテンツ配信準備過程において、コンテンツサーバ301はコンテンツAのデータを保持していないものとする。このことは、コンテンツAのデータを保持しているコンテンツサーバ302から、コンテンツサーバ301に対してコンテンツAの複製を送信する必要があることを意味する。
(2)複製配信過程
図4は複製配信過程を示すブロック図、図5は同複製配信過程のシーケンス図である。
【0024】
先ずユーザは、例えば端末101において、Web等で提供される番組表から所望の番組を選択する。これにより、コンテンツAのコンテンツIDが取得される。このコンテンツID(例えば「001」であるとする)を検索キーとしてキーテーブル502を検索する。図3に示したキーテーブル502によれば、コンテンツサーバの端末ID(例えば「301」および「302」)が取得される。
【0025】
端末101は、取得した端末IDによって識別されるコンテンツサーバ301,302に対し、セッション確立要求Req1を送信する。この際、複数のコンテンツサーバ301および302の両者に対して同時にセッション確立要求Req1を送信してもよいし、シーケンシャルにセッション確立要求Req1を送信してもよい。なお、図4および図5には、端末101からコンテンツサーバ301に対するセッション確立要求Req1が示されており、端末101からコンテンツサーバ302に対するセッション確立要求については示されていない。
【0026】
端末101からコンテンツサーバ301に向けて送信されたセッション確立要求Req1は、制御サーバ401を経由する。先ず制御サーバ401は、この端末101からのセッション確立要求Req1に応じて、端末101とコンテンツサーバ301との間における、転送ノード(この例では、転送ノード201および202)を含むコンテンツ配信経路に対するネットワーク制御NC1を行う。上述したように、ネットワーク制御の内容としては、セッション確立、ネットワークリソースの確保である。より具体的には、メディアストリームのコネクションの設定、帯域の確保である。セッション確立要求Req1にはメディアストリームの情報が記載されており、ネットワーク制御NC1は、この情報に従って行われる。次に制御サーバ401は、セッション確立要求Req1をコンテンツサーバ301に転送する。
【0027】
セッション確立要求Req1は、コンテンツAの配信要求を含む。制御サーバ401を経てセッション確立要求Req1を受信したコンテンツサーバ301は、当該コンテンツを有していないため、当該コンテンツを有しているコンテンツサーバ302に対して新たなセッション確立要求Req2(受信したセッションとは異なるセッションIDを持つ)を送信する。
【0028】
このコンテンツサーバ301からコンテンツサーバ302へのセッション確立要求Req2は、セッション確立要求Req1と同様、制御サーバ401を経由する。先ず制御サーバ401は、このコンテンツサーバ301からのセッション確立要求Req2に応じて、端末101とコンテンツサーバ301との間における、転送ノード(この例では、転送ノード202および203)を含むコンテンツ配信経路に対するネットワーク制御NC2を行う。ネットワーク制御NC2の内容は、端末101とコンテンツサーバ301との間のネットワーク制御と同様のものである。ただし、セッション確立要求Req2には、コンテンツサーバ301とコンテンツサーバ302との間のメディアストリームの情報が記載されており、ネットワーク制御NC2は、この情報に従って行われる。次に制御サーバ401は、セッション確立要求Req2をコンテンツサーバ302に転送する。
【0029】
ここで、コンテンツサーバ301がコンテンツサーバ302を知る手段としては、例えばキーテーブル502を参照すればよい。あるいは、上述したコンテンツ配信準備過程において、コンテンツIDと複製元のコンテンツサーバの端末IDとを自端末(この例ではコンテンツサーバ301)内に記憶しておき、それを参照するように構成してもよい。
【0030】
コンテンツサーバ301からのセッション確立要求Req2を受信したコンテンツサーバ302は、コンテンツサーバ301との間のセッションを確立できコンテンツの配信が可能であるならば、セッション確立応答Res2をコンテンツサーバ301に送信する。このセッション確立応答Res2についても、制御サーバ401を経由する。制御サーバ401は、セッション確立要求Req2の場合と同様にネットワーク制御NC3を行いつつ、セッション確立応答Res2をコンテンツサーバ301に送信する。
【0031】
セッション確立応答Res2を受信したコンテンツサーバ301は、セッション確立応答Res1を端末101に送信する。
これにより、端末101がセッション確認応答Res1を受信した段階で、コンテンツサーバ302からコンテンツサーバ301へのメディアストリームS2と、コンテンツサーバ301から端末101へのメディアストリームS1が確立され、コンテンツAはコンテンツサーバ302からコンテンツサーバ301を経由し、端末101へ配信される。このとき、コンテンツサーバ301では、コンテンツサーバ302から受信したコンテンツを端末101へ転送するとともに、コンテンツサーバ301の記憶手段3011にコンテンツAを記憶し、複製とする。
【0032】
以上のような複製配信過程によれば、セッション確立要求Req1,Req2が、いずれも制御サーバ401を経由し、同制御サーバ401によるネットワーク制御NC1〜NC4により、セッション確立要求Req1,Req2に記載のメディアストリームの情報をもとに、コンテンツサーバ301と302との間、コンテンツサーバ301,302と端末101の間の転送ノード201〜203に対して、セッション制御プロトコルに基づく帯域の確保やメディアストリームのコネクションの設定を行い、通信品質を保証したメディアストリームを生成することができる。
(3)通常配信過程
図6は通常配信過程を示すブロック図、図7は同通常配信過程のシーケンス図である。
【0033】
端末102がコンテンツID(001)のコンテンツAの配信を要求する際、キーテーブル502を参照し、コンテンツサーバの端末ID(ここでは「302」,「301」)を取得する。ここで、端末102がコンテンツサーバ301を選択し、セッション確立要求Req1をコンテンツサーバ301に送信した場合、コンテンツサーバ301は自身の記憶手段3011にコンテンツAの複製を保持しているため、セッション確立応答Res1を端末102に返信する。その際、制御サーバ401により、転送ノード201,202にて、帯域確保及びメディアストリームのコネクション設定がなされ、品質が確保されたメディアストリームS1が生成される。その後、コンテンツAはコンテンツサーバ301から端末102へ直接、配信される。
【0034】
上述した複製配信過程と同様、端末102からコンテンツサーバ301に向けて送信されたセッション確立要求Req1は、制御サーバ401を経由する。先ず制御サーバ401は、この端末102からのセッション確立要求Req1に応じて、端末102とコンテンツサーバ301との間における、転送ノード(この例では、転送ノード201および202)を含むコンテンツ配信経路に対するネットワーク制御NC1を行ってセッション確立要求Req1をコンテンツサーバ301に転送する。
【0035】
また、コンテンツサーバ301から端末102へのセッション確立応答Res1の送信の際にも、同様のネットワーク制御NC2を行う。
以上説明した本発明の実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
TISPAN等の標準化団体において規定されているNGN等の管理型ネットワークを通じて提供されるユニキャストコンテンツ配信方式では、コンテンツ配信要求を処理するために、コンテンツの複製をあらかじめ多数のコンテンツ配信サーバに配備しておく必要があったが、本発明の実施形態によれば、あらかじめ複製を配備しなくても、コンテンツ配信中に、配信経路上のコンテンツサーバに複製を作成することが可能となる。例えば、端末101,102とコンテンツサーバ302との間の中継経路上のコンテンツサーバ301に複製を作成することができる。複製の配置を中継経路上に限定しているので、ネットワークリソースの消費を少なくすることができる。また、ユーザに近いコンテンツサーバ301から配信することで、コアネットワークのネットワークリソースを有効利用することができる。
【0036】
コンテンツのIDと複製を保持している端末IDの対応関係はキーテーブル502として参照する必要があるが、キーテーブル502を複数の端末で分散保持管理することにより、高速に検索可能である。この場合、分散ハッシュテーブル(Distributed Hash Table, DHT)の技術を利用してもよい。
【0037】
P2P、CDNでは、中継経路上の端末にキャッシュを作成する機能があるが、セッション制御プロトコルを利用しないため、品質(通信帯域、遅延等)が保証されず、ユーザがコンテンツ閲覧中に表示が一時停止するなどの問題がある。これに対し本発明の実施形態では、コンテンツの配信に利用するメディアストリームを作成する際、セッション制御プロトコルを利用し、通信品質の管理、確保を行うようにした。従って、コンテンツの閲覧中に配信速度が低下したり、表示が止まる等の問題を回避することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
101,102…端末;201〜203…転送ノード;301,302…コンテンツサーバ;401…制御サーバ;501,3011,3021…記憶手段;N…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末が、コンテンツの配信要求および第1のメディアストリーム情報を含む第1のセッション確立要求を第1のコンテンツサーバに送信するステップと、
前記第1のコンテンツサーバが、前記コンテンツの配信要求および第2のメディアストリーム情報を含む第2のセッション確立要求を第2のコンテンツサーバに送信するステップと、
前記第2のコンテンツサーバが、前記第2のセッション確立要求に対する第1のセッション確立応答を前記第1のコンテンツサーバに送信するステップと、
制御サーバが、前記第2のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第1のセッション確立応答に応じて前記第2のコンテンツサーバと前記第1のコンテンツサーバとの間のメディアストリームのための第1のセッションを確立するステップと、
前記第1のコンテンツサーバが、前記第1のセッション確立要求に対する第2のセッション確立応答を前記端末に送信するステップと、
前記制御サーバが、前記第1のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第2のセッション確立応答に応じて前記第1のコンテンツサーバと前記端末との間のメディアストリームのための第2のセッションを確立するステップと、
前記第2のコンテンツサーバが、前記第1のセッションを用いて前記第1のコンテンツサーバにコンテンツを送信するステップと、
前記第1のコンテンツサーバが、前記第2のセッションを用いて前記端末に前記コンテンツを送信するステップと、
前記第1のコンテンツサーバが、前記コンテンツの複製を記憶するステップとを有することを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項2】
コンテンツIDとコンテンツサーバの端末IDとを対応付けるキーテーブルを記憶手段が記憶するステップと、
前記端末が、前記コンテンツIDを検索キーとして前記キーテーブルを検索し、前記第1のコンテンツサーバの端末IDを取得するステップと、を有し、
前記記憶手段は、ネットワークを介して接続された複数の前記端末上に分散配置されることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配信方法。
【請求項3】
コンテンツの配信要求および第1のメディアストリーム情報を含む第1のセッション確立要求を端末から受信し、前記コンテンツの配信要求および第2のメディアストリーム情報を含む第2のセッション確立要求を送信する第1のコンテンツサーバと、
前記第2のセッション確立要求に対する第1のセッション確立応答を前記第1のコンテンツサーバに送信する前記第2のコンテンツサーバと、
前記第2のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第1のセッション確立応答に応じて前記第2のコンテンツサーバと前記第1のコンテンツサーバとの間のメディアストリームのための第1のセッションを確立し、前記第1のセッション確立要求に対する第2のセッション確立応答を前記第1のコンテンツサーバが前記端末に送信した際に、前記第1のメディアストリーム情報に基づくネットワーク制御を行うことにより、前記第1のコンテンツサーバと前記端末との間のメディアストリームのための第2のセッションを確立する制御サーバと、を具備し、
前記第2のコンテンツサーバが、前記第1のセッションを用いて前記第1のコンテンツサーバにコンテンツを送信し、
前記第1のコンテンツサーバが、前記第2のセッションを用いて前記端末に前記コンテンツを送信し、
前記第1のコンテンツサーバが、前記コンテンツの複製を記憶することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項4】
コンテンツIDとコンテンツサーバの端末IDとを対応付けるキーテーブルを記憶する記憶手段をさらに具備し、
前記端末は、前記コンテンツIDを検索キーとして前記キーテーブルを検索し、前記第1のコンテンツサーバの端末IDを取得し、
前記記憶手段は、ネットワークを介して接続された複数の前記端末上に分散配置されることを特徴とする請求項3記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−288216(P2010−288216A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142477(P2009−142477)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】