説明

コンデンサ保持具

【課題】複数のコンデンサを並列に実装する際、隣り合うコンデンサ間に確保すべき間隔を、従来品以上に低減可能なコンデンサ保持具を提供すること。
【解決手段】コンデンサ保持具1は、コンデンサ6の先端を嵌め込み可能な形状とされた本体部3と、本体部3に固定されており、所定の取付箇所に対してはんだ付け可能なリード部5とを備える。本体部3は、コンデンサ6の先端が嵌め込まれた際に、コンデンサ6の先端に設けられた圧力弁6Bを露出させる開口部19と、圧力弁6Bの周囲においてコンデンサの先端面に凸部21,23で当接する端面当接部13とを有する形状とされている。リード部5は、端面当接部13に当接したコンデンサ6の先端面を含む平面を基準面として、当該基準面を挟んでコンデンサ6とは反対側となる位置において、本体部3に対して固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板に取り付けられるコンデンサを、所定位置で保持するコンデンサ保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、薄型化に伴い、プリント配線板上に実装される電子部品についても、より低背型であること(=プリント配線板上での高さがより低いこと)が求められている。
【0003】
そのような背景のもと、コンデンサについても、プリント配線板上に立てて取り付けるとプリント配線板上での高さが比較的高くなるため、プリント配線板上で横倒しにする(=長手方向をプリント配線板表面に対して略並行に配置する)ことにより、その突出量を抑えることがある。
【0004】
また、上記のようにコンデンサを横倒しにする場合、コンデンサ保持具をプリント配線板上に配設して、そのようなコンデンサ保持具により、横倒しにしたコンデンサを保持することも提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に記載のコンデンサ保持具(特許文献1でいう取付脚(7))は、エポキシ樹脂等の絶縁材からなる保持具本体に、金属リード(特許文献1でいう第3の突起(11a),(11b))を設けた構造になっている(特許文献1:段落[0010]参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−208984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載されたコンデンサ保持具において、金属リードについては、強度等を考慮してある程度の太さを確保する必要がある。また、この金属リードの一部分は、保持具本体の樹脂部分に埋め込まれているが、この埋め込まれた部分の周囲にある樹脂部分についても、強度等を考慮してある程度のサイズを確保する必要がある。そのため、このような金属リードが樹脂部分に埋め込まれた箇所は、相応にかさ高い構造となる。
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載されたコンデンサ保持具は、コンデンサの長手方向両端間において、コンデンサを側方から保持する構造になっていたので、上述のようなかさ高い構造となる部分が、コンデンサの側方に配置されることになる。
【0009】
そのため、例えば、複数のコンデンサを並列に実装したい場合に、上記特許文献1に記載されたコンデンサ保持具を利用すると、隣り合うコンデンサ間にかさ高い構造となる部分が挟み込まれることになるため、その分だけ、コンデンサの実装密度が低下してしまう、という問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のコンデンサを並列に実装する際、隣り合うコンデンサ間に確保すべき間隔を、従来品以上に低減可能なコンデンサ保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載のコンデンサ保持具は、電気絶縁材料で形成され、コンデンサの先端を嵌め込み可能な形状とされた本体部と、金属材料で形成され、前記本体部に固定されており、所定の取付箇所に対してはんだ付け可能なリード部とを備え、前記コンデンサの先端が前記本体部に嵌め込まれるとともに、前記リード部が前記取付箇所にはんだ付けされることにより、前記取付箇所において前記コンデンサを保持可能なコンデンサ保持具であって、前記本体部は、前記コンデンサの先端が嵌め込まれた際に、前記コンデンサの先端に設けられた圧力弁を露出させる開口部と、前記圧力弁の周囲において前記コンデンサの先端面に当接する当接部とを有する形状とされており、前記リード部は、前記当接部に当接した前記コンデンサの先端面を含む平面を基準面として、当該基準面を挟んで前記コンデンサとは反対側となる位置において、前記本体部に対して固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のコンデンサ保持具において、コンデンサとしては、電解コンデンサを想定している。この電解コンデンサの一般的な形態は、円筒状のケースを備え、そのケースの一端からリードが延びており、ケースの他端には内圧が過大になったときに膨張又は破裂する圧力弁を備える形態となっている。以下の説明において、コンデンサの長手方向とは、上述した円筒状ケースの軸方向のことを意味し、コンデンサの径方向とは、上述した円筒状ケースの径方向のことを意味する。また、コンデンサの先端とは、上述したケースの他端(すなわち、リードが設けられていない方の端部)のことを意味する。
【0013】
本発明のコンデンサ保持具によれば、本体部に嵌め込まれたコンデンサを取付箇所において保持することができるので、コンデンサに振動や衝撃が伝わった場合でも、その振動や衝撃でコンデンサに過大な負荷がかかるのを防止することができる。
【0014】
また、このコンデンサ保持具において、リード部は、上述の基準面を挟んでコンデンサとは反対側となる位置において、本体部に対して固定されている。そのため、リード部を設けてあることに起因してコンデンサの端面側の構造がかさ高くなるとしても、コンデンサの側方の構造については、かさ高い構造となることがない。
【0015】
したがって、このようなコンデンサ保持具であれば、コンデンサの側方にリード部が配設されるもの(例えば、上記特許文献1に記載のもの)に比べると、コンデンサの長手方向に一致する寸法が増大するとしても、コンデンサの径方向に一致する寸法については低減することができる。よって、複数のコンデンサを並列に実装する際に、本発明のコンデンサ保持具を利用すれば、隣り合うコンデンサ間に確保すべき間隔を、従来品以上に低減することができる。
【0016】
また、リード部が、上述の基準面を挟んでコンデンサとは反対側となる位置にあると、コンデンサをプリント配線板から引き離す方向へ移動させようとする力がコンデンサに作用した場合、その力がコンデンサ保持具に作用すると、コンデンサ保持具はリード部を回転中心として倒れる方向へ変位しようとする。そのため、コンデンサから作用する力が、リード部を真っ直ぐに引き抜こうとする力となる場合より、コンデンサ保持具がプリント配線板から引き抜かれにくくなる。
【0017】
さらに、本発明のコンデンサ保持具において、本体部は、コンデンサの先端に設けられた圧力弁を露出させる開口部を備えている。したがって、圧力弁の機能を阻害することなくコンデンサ保持具を装着することができる。
【0018】
しかも、開口部以外の部分では、コンデンサの先端が本体部に嵌め込まれることで、コンデンサの先端が本体部によって囲まれるので、圧力弁を露出させる開口部以外に部分において、本体部はコンデンサの破裂を抑制する。
【0019】
したがって、破裂に伴って飛散するおそれがある電解液の飛散方向を、主にコンデンサの長手方向となるように制限でき、長手方向以外の周囲に及ぶ被害を限定的なものとすることができる。
【0020】
ところで、コンデンサの外装は、一般にアルミケースになっているため、このアルミケースが高周波ノイズの放射源になることがある。この点、本発明のコンデンサ保持具でコンデンサを保持すれば、アルミケースの近傍に金属のリード部が設けられた状態になるので、アルミケースにノイズ電流が流れても、容量結合によりリード部を介してノイズ電流がアースに落ちる。
【0021】
したがって、本発明のコンデンサ保持具であれば、金属のリード部とは異なる電気絶縁性の部材でプリント配線板に固定されているものとは異なり、単にコンデンサの保持を行うだけではなく、コンデンサの高周波ノイズ対策をも行うことができる。
【0022】
また、コンデンサは、比較的公差が大きい電子部品であり、長手方向寸法や直径にいくらか個体差がある。そのため、仮にコンデンサの側方にリード部が設けてあったとすれば、コンデンサ自体の径方向の公差に起因して、コンデンサ側面とリード部との間の距離に個体差が生じることがあり、上述のような高周波ノイズ対策効果にもばらつきが生じることがある。
【0023】
この点、本発明のコンデンサ保持具の場合、コンデンサを本体部に嵌め込んだ際に、コンデンサの先端面が当接部に当接することで、コンデンサの先端面とリード部との間の距離は、コンデンサ自体の長手方向の公差によらず、コンデンサ保持具側で設定した通りの距離となる。
【0024】
したがって、本発明のコンデンサ保持具であれば、コンデンサ自体の長手方向の公差によらず、上述のような高周波ノイズ対策効果を、安定して発現させることができる。
なお、径方向に公差があるコンデンサを保持するに当たって、コンデンサの側方にリード部が設けてあると、リード部は本体部が径方向に拡大変形するのを阻害する要因となるおそれがある。この場合、リード部間の距離が狭めになっていると、公差範囲内で径の大きいコンデンサは、コンデンサ保持具によって過剰に高い保持圧で保持されるおそれがある。その一方、リード部間の距離が広めになっていると、公差範囲内で径の小さいコンデンサは、コンデンサ保持具による保持圧が不足し、適切に保持できない状態となるおそれがある。
【0025】
この点、本発明のコンデンサ保持具であれば、リード部がコンデンサの端面側に設けてあるので、リード部は本体部が径方向に拡大変形するのを阻害する要因にはなりにくい。したがって、少なくともリード部が原因で、コンデンサの保持圧が過剰に大きくなったり小さくなったりすることはなく、保持圧の最適化も容易となる。
【0026】
次に、請求項2に記載のコンデンサ保持具は、請求項1に記載のコンデンサ保持具において、前記リード部は、前記本体部へ前記コンデンサの先端を嵌め込むときの嵌め込み方向から見たときに、前記コンデンサの先端面と重なる位置において、前記本体部に対して固定されていることを特徴とする。
【0027】
このように構成されたコンデンサ保持具であれば、リード部がコンデンサの先端面と重なる位置にあるので、コンデンサを長手方向へと変位させる力がコンデンサに作用した場合に、その力をリード部が存在する部分で受けることができる。
【0028】
したがって、リード部がコンデンサの先端面と重なる位置にはない場合に比べ、コンデンサからコンデンサ保持具に作用する力を、コンデンサ保持具側でよりしっかりと受け止め、コンデンサの変位をより確実に防止することができる。
【0029】
また、コンデンサの先端面にある圧力弁が、コンデンサの異常に伴って破裂した場合、コンデンサ保持具にも破裂に伴う力が作用するおそれがあるが、リード部がコンデンサの先端面と重なる位置にあれば、コンデンサ保持具の本体部をリード部で補強でき、コンデンサ保持具の本体部がコンデンサの破裂に伴って破損するのを抑制できる。
【0030】
次に、請求項3に記載のコンデンサ保持具は、請求項2に記載のコンデンサ保持具において、前記リード部は、間隔を空けて配置された一対の金属体からなり、前記一対の金属体は、はんだ付けに利用される一方の端部から連続する部分が、他方の端部に達する途中まで平行に延びるとともに、前記途中の箇所からは前記他方の端部に近づくほど互いに接近する方向へ曲げられており、前記途中の箇所から前記他方の端部に至る部分が、前記本体部へ前記コンデンサの先端を嵌め込むときの嵌め込み方向から見たときに、前記コンデンサの先端面と重なる位置において、前記本体部に対して固定されていることを特徴とする。
【0031】
このように構成されたコンデンサ保持具によれば、一対の金属体は、他方の端部において互いの間隔が狭くなっていて、この他方の端部側がコンデンサの先端面と重なる位置にある。したがって、はんだ付けの都合上、一方の端部間の間隔がいくらか広めになっている場合でも、他方の端部側を確実にコンデンサの先端面と重なる位置に配置することができる。
【0032】
請求項4に記載のコンデンサ保持具は、請求項3に記載のコンデンサ保持具において、前記一対の金属体は、前記本体部に形成された貫通孔に圧入されることによって当該貫通孔を貫通する位置に配置されており、しかも、前記貫通孔の両側から突出する部分のうち、前記他方の端部から連続する部分が互いに接近する方向へ曲げられていることを特徴とする。
【0033】
このように構成されたコンデンサ保持具によれば、金型を使って本体部を成形するときに、その金型内にリード部となる金属体を配置しておかなくても、本体部の成形後に金属体を圧入することで、簡単にリード部を本体部に対して取り付けることができる。
【0034】
請求項5に記載のコンデンサ保持具は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコンデンサ保持具において、前記本体部は、前記コンデンサの先端が嵌め込まれた際に弾性変形して、前記コンデンサの外周面に圧接する状態となる弾性圧接片を備えることを特徴とする。
【0035】
このように構成されたコンデンサ保持具によれば、弾性圧接片でコンデンサをしっかりと保持することができ、コンデンサの径方向寸法に公差があっても、コンデンサにがたつきが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンデンサ保持具を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその使用状態を示す斜視図、(c)は別の角度から見た使用状態を示す斜視図。
【図2】コンデンサ保持具を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその左側面図、(c)はその正面図、(d)はその右側面図、(e)はその背面図、(f)はその底面図。
【図3】コンデンサ保持具を示す図であり、(a)はその使用状態を示す左側面図、(b)はA−A線断面を拡大して示す説明図。
【図4】コンデンサ保持具を示す図であり、(a)はその使用状態を示す正面図、(b)はB−B線断面の一部を拡大して示す説明図。
【図5】コンデンサ保持具を示す図であり、(a)は複数のコンデンサ保持具を並列で使用する状態を示す平面図、(b)は複数のコンデンサ保持具を並列で使用する状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
コンデンサ保持具1は、図1(a)に示すように、本体部3と、一対のリード部5を備えている。これらのうち、本体部3は、電気絶縁性材料(例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等)で形成され、リード部5は、金属材料(例えば、銅系合金)で形成されている。
【0038】
このコンデンサ保持具1において、本体部3には、図1(b)及び同図(c)に示すように、円柱状に形成されたコンデンサ6の先端が嵌め込まれる。そして、この状態で、コンデンサ保持具1のリード部5及びコンデンサ6のリード部6Aがプリント配線板(図示略)にはんだ付けされ、これにより、コンデンサ保持具1がコンデンサ6とともにプリント配線板上に実装される。
【0039】
したがって、コンデンサ6は、プリント配線板上においてコンデンサ保持具1によって保持された状態となり、コンデンサ保持具1が設けられていない場合に比べ、しっかりと定位置で保持されることになる。また、コンデンサ6に振動や衝撃が伝わった場合でも、その振動や衝撃でコンデンサ6のリード部6Aに過大な負荷がかかるのを防止できる。
【0040】
次に、コンデンサ保持具1の細部の構造について説明する。
このコンデンサ保持具1において、本体部3は、図2(a)〜同図(f)に示すように、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際にコンデンサ6の先端をコンデンサ6の外周側から囲む筒状部11と、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際にコンデンサ6の端面周縁に当接する端面当接部13と、筒状部11の下部において左右両側に形成された一対の脚部15とを備えている。
【0041】
筒状部11の上部で端面当接部13との境界部分には、左右両側に凹部17が形成されており、リード部5の上端は、凹部17内において本体部3の外部へ露出している。また、一対のリード部5は、凹部17内において、双方の上端間が狭まる方向へ曲げられている(図3(a)及び同図(b)参照。)。
【0042】
このリード部5は、本体部3に形成された貫通孔に圧入されることによって当該貫通孔を貫通する位置に配置されたものであり、貫通孔を貫通させた後、貫通孔の上下両側から突出する部分のうち、上端から連続する部分を互いに接近する方向へ曲げたものである。
【0043】
このような方法でリード部5を本体部3に対して固定するため、リード部5の一部には、部分的に幅が拡がっている幅広部5Aが設けられ、この幅広部5Aが貫通孔内に圧入されることで、リード部5が貫通孔から容易には抜けないようになっている。また、リード部5の上端から連続する部分が互いに接近する方向へ曲げられた後は、この曲げられた部分が、リード部5の上方へ本体部3が引っこ抜けるのを阻止する部分となる。
【0044】
このような方法でリード部5を本体部3に対して取り付ければ、金型を使って本体部3を成形するときに、その金型内にリード部5となる金属体を配置しておかなくても、本体部3の成形後に金属体を圧入することで、簡単にリード部5を本体部3に対して取り付けることができる。
【0045】
また、このように曲げられたリード部5の上端側は、図3(b)に示した通り、コンデンサ6の先端面と重なる位置にある。そのため、コンデンサ6を長手方向へと変位させる力がコンデンサ6に作用した場合に、その力をリード部5が存在する部分で受けることができ、これにより、コンデンサ6の変位をより確実に防止することができる。
【0046】
また、コンデンサ6の圧力弁6Bが、コンデンサ6の異常に伴って破裂した場合、コンデンサ保持具1にも破裂に伴う力が作用するおそれがあるが、リード部5がコンデンサ6の先端面と重なる位置にあれば、コンデンサ保持具1の本体部3をリード部5で補強でき、コンデンサ保持具1の本体部3がコンデンサ6の破裂に伴って破損するのを抑制できる。
【0047】
さらに、一対のリード部5は、上端において互いの間隔が狭くなっているものの、下端間は上端間よりも間隔が広くなっている。ここで、リード部5の下端は、その取り付け強度なども考慮してはんだ付け位置が設定されるため、下端から上端に至るまで、一対のリード部5間の間隔が一定であると、双方のリード部5の位置をコンデンサ6の先端面と確実に重なる位置にすることが難しくなることがある。しかし、この点は、上記のようにリード部5の上端を互いに内側に曲げておけば、リード部5の上端側を確実にコンデンサの先端面と重なる位置に配置することができる。
【0048】
端面当接部13の中央付近には、開口部19が形成されている。コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際、この開口部19からは、図4(a)に示すように、コンデンサ6の先端面にある圧力弁6Bが露出する。したがって、このような開口部19が設けてあれば、圧力弁6Bの機能を阻害することなくコンデンサ保持具1をコンデンサ6に装着することができる。
【0049】
ちなみに、開口部19以外の部分では、コンデンサ6の先端が本体部3に嵌め込まれることで、コンデンサ6の先端が本体部3によって囲まれるので、圧力弁6Bを露出させる開口部19以外に部分において、本体部3はコンデンサ6の破裂を抑制する。
【0050】
したがって、破裂に伴って飛散するおそれがある電解液の飛散方向を、主にコンデンサ6の長手方向となるように制限でき、長手方向以外の周囲に及ぶ被害を限定的なものとすることができる。
【0051】
端面当接部13の背面側には、図2(e)に示すように、背面側に向かって突出する凸部21,22が形成されている。コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際、端面当接部13は、図4(b)に示すように、凸部21,23において、コンデンサ6の先端面に当接する構造になっている。
【0052】
筒状部11の下部には、弾性圧接片25が設けられている。この弾性圧接片25は、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際、弾性変形しつつ前記コンデンサ6の外周側へと押し退けられて、コンデンサ6の外周に圧接する状態になる。そのため、このような弾性圧接片25が設けてあれば、コンデンサ6の外周寸法に公差がある場合でも、その公差を弾性圧接片25の弾性変形で吸収し、コンデンサ6をぴったりと保持することができる。
【0053】
また、弾性圧接片25は、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれる際に、コンデンサ6の端面に一端引っかかり、その後、引っかかっていた弾性圧接片25がコンデンサ6の端面から外れてから、コンデンサ6が本体部3の奥へと押し込まれることになる。
【0054】
そのため、弾性圧接片25がコンデンサ6の端面から外れる際には、適度なスナップ感が生じ、その直後、コンデンサ6は、弾性圧接片25が引っかかっていたことによる抵抗がなくなるのに伴い、完全に本体部3に押し込まれた状態(コンデンサ6の先端面が凸部21,23に当接する状態)に至る。
【0055】
したがって、コンデンサ6を本体部3に押し込む際、利用者はスナップ感を頼りにして、コンデンサ6を適正な位置まで本体部3に押し込むことができ、スナップ感が感じられないような押し込み量とならないように留意することができる。
【0056】
以上のように構成されたコンデンサ保持具1によれば、本体部3に嵌め込まれたコンデンサ6を取付箇所において保持することができるので、コンデンサ6に振動や衝撃が伝わった場合でも、その振動や衝撃でコンデンサ6に過大な負荷がかかるのを防止することができる。
【0057】
また、このコンデンサ保持具1において、リード部5は、コンデンサ6の先端面を含む面を基準面P(図4(b)中の一点鎖線参照。)として、この基準面Pを挟んでコンデンサ6とは反対側となる位置において、本体部3に対して固定されている。そのため、リード部5を設けてあることに起因してコンデンサ6の端面側の構造はある程度かさ高い構造になるものの、コンデンサ6の側方の構造については、かさ高い構造となることがない。
【0058】
したがって、このようなコンデンサ保持具1をコンデンサ6に装着すれば、コンデンサ6の側方にリード部5が配設されることとなるもの(例えば、上記特許文献1に記載のもの)に比べると、コンデンサ6の長手方向に一致する寸法が増大するとしても、コンデンサ6の径方向に一致する寸法については低減することができる。
【0059】
よって、図5(a)及び同図(b)に示すように、複数のコンデンサ6を並列に実装する際に、このコンデンサ保持具1を利用すれば、隣り合うコンデンサ6間に確保すべき間隔を、従来品以上に低減し、プリント配線板PWB上におけるコンデンサ6の実装密度を向上させることができる。
【0060】
さらに、このコンデンサ保持具1でコンデンサ6を保持すれば、コンデンサ6の外装となっているアルミケースの近傍に金属のリード部5が設けられた状態になるので、アルミケースにノイズ電流が流れても、容量結合によりリード部5を介してノイズ電流がアースに落ちる。
【0061】
したがって、このコンデンサ保持具1であれば、金属のリード部5とは異なる電気絶縁性の部材でプリント配線板PWBに固定されている保持具とは異なり、単にコンデンサ6の保持を行うだけではなく、コンデンサ6の高周波ノイズ対策をも行うことができる。
【0062】
しかも、このような高周波ノイズ対策を行うに当たって、コンデンサ6とリード部5との距離が、コンデンサ6の個体差に起因してばらつくと、高周波ノイズ対策効果にもばらつきが生じるが、コンデンサ保持具1の場合、コンデンサ6を本体部3に嵌め込んだ際に、コンデンサ6の先端面が凸部21,23(本発明でいう当接部に相当。)に当接することで、コンデンサ6の先端面とリード部5との間の距離は、コンデンサ6自体の長手方向の公差によらず、コンデンサ保持具1側で設定した通りの距離となる。
【0063】
したがって、このようなコンデンサ保持具1であれば、コンデンサ6自体の長手方向の公差によらず、上述のような高周波ノイズ対策効果を、安定して発現させることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、コンデンサ6の外周に圧接する弾性圧接片25を設けてあったが、本体部3の形態がコンデンサ6の先端を圧入可能な形態にされていれば、弾性圧接片25を設けるか否かは任意である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・コンデンサ保持具、3・・・本体部、5・・・リード部、5A・・・幅広部、6・・・コンデンサ、5A・・・リード部、6B・・・圧力弁、11・・・筒状部、13・・・端面当接部、15・・・脚部、17・・・凹部、19・・・開口部、21,23・・・凸部、25・・・弾性圧接片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁材料で形成され、コンデンサの先端を嵌め込み可能な形状とされた本体部と、金属材料で形成され、前記本体部に固定されており、所定の取付箇所に対してはんだ付け可能なリード部とを備え、前記コンデンサの先端が前記本体部に嵌め込まれるとともに、前記リード部が前記取付箇所にはんだ付けされることにより、前記取付箇所において前記コンデンサを保持可能なコンデンサ保持具であって、
前記本体部は、前記コンデンサの先端が嵌め込まれた際に、前記コンデンサの先端に設けられた圧力弁を露出させる開口部と、前記圧力弁の周囲において前記コンデンサの先端面に当接する当接部とを有する形状とされており、
前記リード部は、前記当接部に当接した前記コンデンサの先端面を含む平面を基準面として、当該基準面を挟んで前記コンデンサとは反対側となる位置において、前記本体部に対して固定されている
ことを特徴とするコンデンサ保持具。
【請求項2】
前記リード部は、前記本体部へ前記コンデンサの先端を嵌め込むときの嵌め込み方向から見たときに、前記コンデンサの先端面と重なる位置において、前記本体部に対して固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ保持具。
【請求項3】
前記リード部は、間隔を空けて配置された一対の金属体からなり、
前記一対の金属体は、はんだ付けに利用される一方の端部から連続する部分が、他方の端部に達する途中まで平行に延びるとともに、前記途中の箇所からは前記他方の端部に近づくほど互いに接近する方向へ曲げられており、前記途中の箇所から前記他方の端部に至る部分が、前記本体部へ前記コンデンサの先端を嵌め込むときの嵌め込み方向から見たときに、前記コンデンサの先端面と重なる位置において、前記本体部に対して固定されている
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ保持具。
【請求項4】
前記一対の金属体は、前記本体部に形成された貫通孔に圧入されることによって当該貫通孔を貫通する位置に配置されており、しかも、前記貫通孔の両側から突出する部分のうち、前記他方の端部から連続する部分が互いに接近する方向へ曲げられている
ことを特徴とする請求項3に記載のコンデンサ保持具。
【請求項5】
前記本体部は、前記コンデンサの先端が嵌め込まれた際に弾性変形して、前記コンデンサの外周面に圧接する状態となる弾性圧接片を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコンデンサ保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−49253(P2012−49253A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188509(P2010−188509)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】