説明

コンバイン

【課題】エンジン及びエアクリーナの吸気を有利に行なわせることができるものでありながら、かつ排出クラッチレバーを採用するものでありながら、穀粒排出オーガの運転部からの操作を適切かつ容易に行なうことができるようにする。
【解決手段】エンジン11のためのエアクリーナ13を運転座席7aの後方に設けてある。穀粒排出オーガに対して伝動する排出クラッチを入り状態と切り状態に切換える排出クラッチレバー51をエアクリーナ13の横一側方に設けてある。穀粒排出オーガを旋回操作する旋回アクチュエータと穀粒排出オーガを昇降操作する昇降アクチュエータを操作するスイッチ装置60を、排出クラッチレバー51の走行機体横方向側であって、エアクリーナ13の上方に設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの上方に配置された運転座席が装備された運転部を有した走行機体と、前記運転部に対して走行機体後方側に位置する配置で前記走行機体に設けられた穀粒タンクと、前記穀粒タンクから脱穀粒を排出する穀粒排出オーガを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインにおいて、従来、例えば特許文献1に記載されたものがあった。特許文献1に記載されたものでは、運転座席の後方に配置されたエンジン用のエアクリーナを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−79579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインでは、エンジンのためのエアクリーナを運転座席の後方に設けると、エンジンの放熱をエアクリーナに影響しにくくできる。また、エアクリーナの吸気を塵埃が極力少ない箇所で行なわせることができる。
【0005】
上記したコンバインでは、穀粒タンクから脱穀粒を排出する作業を行なう場合、一般に、穀粒排出オーガを走行機体から後方向きに延出する状態にして行われることから、穀粒排出オーガを旋回及び起伏操作する操作手段、排出クラッチを操作する操作手段を運転座席の後側に設けると、運転部から機体後方側を向く体勢で穀粒排出オーガを操作することができ、操作中でも、穀粒排出オーガの位置や穀粒吐出などの状況を見やすい。
【0006】
エアクリーナ、及び穀粒排出オーガの操作手段を運転座席の後方に設けるに当り、排出クラッチを操作させる電動モータなどのアクチュエータを採用しなくて済むように、排出クラッチを操作する排出クラッチレバーを採用しながら、排出クラッチレバーをエアクリーナの上方に設けた場合、排出クラッチレバーがエアクリーナの上方に位置する支持箇所から上向きに比較的長く延出する状態となり、排出クラッチレバーの握り部が高い箇所に位置して、排出クラッチレバーの操作が行いにくくなっていた。
【0007】
本発明の目的は、エンジン及びエアクリーナの吸気を有利に行なわせることができるものでありながら、かつ排出クラッチレバーを採用するものでありながら、穀粒排出オーガの運転部からの操作を適切かつ容易に行なうことができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明は、エンジンの上方に配置された運転座席が装備された運転部を有した走行機体と、前記運転部に対して走行機体後方側に位置する配置で前記走行機体に設けられた穀粒タンクと、前記穀粒タンクから脱穀粒を排出する穀粒排出オーガを備えたコンバインにおいて、
前記エンジンのためのエアクリーナを前記運転座席の後方に設け、
前記穀粒排出オーガに対して伝動する排出クラッチを入り状態と切り状態に切換える排出クラッチレバーを、前記エアクリーナの横一側方に設け、
前記穀粒排出オーガを旋回操作する旋回アクチュエータと前記穀粒排出オーガを昇降操作する昇降アクチュエータを操作するスイッチ装置を、前記排出クラッチレバーの走行機体横方向側であって、前記エアクリーナの上方に設けてある。
【0009】
本第1発明の構成によると、エアクリーナをエンジンから上方に離れた箇所に位置させて、エンジンの放熱をエアクリーナに及びにくくできるとともにエアクリーナの吸気箇所を塵埃発生が少ない高い位置に設定することができる。
【0010】
本第1発明の構成によると、排出クラッチレバーの支持をエアクリーナから横一側方に外れた箇所で行なわせて、排出クラッチレバーの握り部があまり高く位置しない状態にしながら排出クラッチレバーを運転座席の後方に設けることができる。
【0011】
スイッチ装置と排出クラッチレバーが走行機体横方向に並ぶ状態にしながらスイッチ装置及び排出クラッチレバーをエアクリーナの横一側方に設けた場合、スイッチ装置と排出クラッチレバーのいずれか一方がエアクリーナから横側方に比較的離れた箇所に位置して手が届きにくくなる。本第1発明の構成によると、スイッチ装置を排出クラッチレバーの走行機体横方向側であって、エアクリーナの上方に設けてあるから、排出クラッチレバーをエアクリーナの横一側方に設けるものでありながら、排出クラッチレバーがエアクリーナからあまり離れなくて排出クラッチレバーに手を届きやすくでき、排出クラッチレバーとスイッチ装置を、同時に手を添えることが可能な位置関係にして運転座席の後方に設けることができる。
【0012】
従って、エンジンの放熱によるエアクリーナの温度上昇を防止できてエンジンに高温の空気が吸引されることを防止できるとともにエアクリーナの吸気を塵埃が少ない高い箇所で行なわせてフィルターの早期劣化を防止できるものでありながら、穀粒排出オーガを運転部から操作するに当り、機体後方側を向く体勢をとって穀粒排出オーガの位置や穀粒吐出などの状況を容易に見ながらスイッチ装置及び排出クラッチレバーを操作することができる。スイッチ装置と排出クラッチレバーに同時に手を添えた状態でも、排出クラッチレバーを容易に操作することができ、穀粒排出オーガの位置や穀粒吐出の調整を適切に行なって能率よく排出作業を行なうことができる。
【0013】
本第2発明では、前記排出クラッチレバーを走行機体前後方向に揺動操作するよう構成してある。
【0014】
本第2発明の構成によると、排出クラッチレバーを入り側と切り側のいずれに操作しても排出クラッチレバーとスイッチ装置の走行機体横方向で間隔があまり変化せず、排出クラッチレバーとスイッチ装置に同時に手を添えて操作する場合でも、排出クラッチレバーを操作する手を自然にかつスムーズに動かしてスイッチ装置に影響を与えない状態で操作することができる。
【0015】
従って、排出クラッチレバーとスイッチ装置に同時に手を添えることができる位置関係で排出クラッチレバーとスイッチ装置を設けるものでありながら、スイッチ装置に影響を与えないで排出クラッチレバーを操作して穀粒排出オーガの調節操作をスムーズに行うことができる。
【0016】
本第3発明では、前記エアクリーナをプレエアクリーナに連通させるよう前記エアクリーナから走行機体上方向きに突出する吸気筒を、前記排出クラッチレバーと前記スイッチ装置の間に配置してある。
【0017】
本第3発明の構成によると、排出クラッチレバーとスイッチ装置に同時に手を添えても排出クラッチレバーを操作しやすい配置関係で排出クラッチレバーとスイッチ装置を設けることによって排出クラッチレバーとスイッチ装置の間に形成される隙間を設置スペースに利用して吸気筒を設けて、エアクリーナの吸気箇所をより高い箇所に設定することができる。
【0018】
従って、排出クラッチレバーとスイッチ装置の間に吸気筒をコンパクトに設けながら、エアクリーナの塵埃吸引をより発生しにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】エンジンの吸気構造及び穀粒排出オーガの操作装置を示す正面図である。
【図4】穀粒排出オーガの操作装置を示す側面図である。
【図5】排出クラッチレバーの操作位置を示す側面である。
【図6】エンジンの燃焼排出を排出する構造を示す側面図である。
【図7】(a)は、排出クラッチの入り状態を示す正面図、(b)は、排出クラッチの切り状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム2の前部に連結された刈取り部3と、機体フレーム2の後部に設けられた脱穀装置4及び穀粒タンク5と、穀粒タンク5の後端側の下部に搬送始端部が連結された穀粒排出オーガ20とを備えて構成してある。
【0021】
このコンバインは、稲、麦などの穀粒の収穫作業を行なう。
すなわち、自走機体は、機体フレーム2の前端側の自走機体横方向での端部に設けられたエンジン11を有した原動部10を備え、このエンジン11からの駆動力によって左右一対のクローラ走行装置1,1を駆動して自走する。自走機体は、エンジンボンネットに兼用の座席支持台12、エンジン11の上方に配置した状態で座席支持台12の天板上に取り付けられた運転座席7aを有した運転部7を備えており、この運転部7に搭乗して運転するように乗用型になっている。
【0022】
刈取り部3は、機体フレーム2の前端部に上下揺動自在に支持された刈取り部フレーム3aが油圧シリンダ(図示せず)によって揺動操作されることにより、刈取り部3の前端部に設けられた分草具3b、及び分草具3bの後方に位置するバリカン形の刈取装置3cが地面近くに下降した下降作業状態と、分草具3b及び刈取装置3cが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0023】
つまり、刈取り部3を下降作業状態に下降させて自走機体を走行させることにより、刈取り部3は、分草具3bによって植立穀稈を刈取対象と非刈取対象とに分草し、刈取対象の植立穀稈を刈取装置3cによって刈り取り処理し、刈取り穀稈を脱穀装置4に供給する。脱穀装置4は、刈取り部3から供給された刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン(図示せず)によって挟持して後方側に搬送することにより、刈取穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒タンク5は、脱穀装置4から排出された脱穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク5に貯留された脱穀粒は、穀粒排出オーガ20によって排出する。
【0024】
エンジン11に対する燃焼用空気の供給、及びエンジン11からの燃焼排気の排出について説明する。
図1,2,3に示すように、運転座席7aの後方に、エアクリーナ13を座席支持台12の上方に配置して、かつ穀粒タンク5の上端部の前側に配置して設け、このエアクリーナ13の走行機体横方向での内側に位置する端部に設けられた排気口13aとエンジン11の吸気部11aを、座席支持台12の天板12aを貫通した吸気管14によって連通させてある。エアクリーナ13の上方にプレエアクリーナ15を配置し、このプレエアクリーナ15の排気口15aと、エアクリーナ13の走行機体横方向での内側に位置する端部に設けられた吸気口13bを、エアクリーナ13の吸気口13bから走行機体上方向きに突設された吸気筒16によって連通させてある。
【0025】
つまり、エンジン11が発生させる吸引力をエアクリーナ13及びプレエアクリーナ15に作用させ、燃焼用空気をプレエアクリーナ15に吸引させてろ過処理による塵埃除去を行わせ、プレエアクリーナ15による塵埃除去が行われた燃焼用空気をエアクリーナ13に吸引させて再度、ろ過処理による塵埃除去を行わせ、エアクリーナ13による塵埃除去が行なわれた燃焼用空気をエンジン11に供給する。
【0026】
図6は、エンジン11の燃焼排気を排出する構造を示す側面図である。この図及び図1に示すように、エンジン11の排気管部11bに接続管17を介して吸気部が接続されたマフラー18を座席支持台12の内部に設け、マフラー18の吸気部が位置する側とは反対側の端部に設けられた排気管18aの開口を、座席支持台12に対して走行機体横方向での内側に位置する箇所に設けた走行機体上下向きの排気ガイド筒19の下端部の内側に入り込ませてある。排気ガイド筒19は、機体フレーム2に立設された支柱19aに支持されている。
【0027】
つまり、エンジン11からマフラー18に流入してマフラー18の排気管18aから排出された燃焼排気を、排気ガイド筒19に下端側の開口から流入させて排気ガイド筒19に沿わせて上昇させ、排気ガイド筒19の上端に位置する開口から空中に排出する。
【0028】
図3,4に示すように、エアクリーナ13は、機体フレーム2に走行機体横方向に並べて立設された一対の支柱フレーム6a,6bのうちの機体外方側に位置する支柱フレーム6aから機体前方きに延出した支持アーム6cにエアクリーナ13の横向き円柱状の左右中間部で支持されている。一対の支柱フレーム6a,6bは、横フレーム6dで連結されている。吸気筒16は、外方側の支柱フレーム6aにおけるエアクリーナ支持箇所から上方に延長された延長部分の上端部に取り付けられた板金製の連結部材8に連結されており、プレエアクリーナ15は、吸気筒16及び連結部材8を介して外方側の支柱フレーム6aに支持されている。
【0029】
穀粒排出オーガ20について説明する。
図1,2に示すように、穀粒排出オーガ20は、穀粒タンク5の後壁の下部に接続ケース23を介して搬送始端側が連結された機体上下向きの縦スクリューコンベヤ21と、この縦スクリューコンベヤ21の搬送終端部に搬送始端部が連結された横スクリューコンベヤ22とを備えて構成してある。
【0030】
縦スクリューコンベヤ21のスクリュー21aを穀粒タンク5の底部内に設けられた排出スクリュー9の搬送終端側に連動させ、縦スクリューコンベヤ21のスクリュー21aと横スクリューコンベヤ22のスクリュー22aを連動させてあり、穀粒タンク5の前側に設けた排出クラッチ30によって縦スクリューコンベヤ21及び横スクリューコンベヤ22を駆動及び停止操作できるようにしてある。
【0031】
すなわち、図7(a)は、排出クラッチ30の入り状態を示す正面図である。図7(b)は、排出クラッチ30の切り状態を示す正面図である。これらの図に示すように、排出クラッチ30は、穀粒タンク5の前壁から前方に突出した排出スクリュー9のスクリュー軸9aの端部に一体回転自在に設けた排出スクリュー駆動プーリ31と、排出スクリュー駆動プーリ31に対して走行機体横方向での内側に位置する箇所に設けられた伝動軸32に一体回転自在に取り付けられた伝動プーリ33と、伝動プーリ33と排出スクリュー駆動プーリ31に巻回された伝動ベルト34と、伝動ベルト34の下方に設けたテンションアーム35とを備えて構成してある。
【0032】
伝動軸32は、エンジン11の出力軸に連動されている。テンションアーム35は、機体フレーム2に設けられた支持部材36に軸芯35aまわりに揺動昇降自在に支持されている。
【0033】
図7(a)に示すように、排出クラッチ30は、テンションアーム35が上昇操作されて入り位置ONになると、テンションアーム35の遊端側に設けてあるテンション輪35bが伝動ベルト34を緊張状態に押圧操作することにより、入り状態になる。入り状態になった排出クラッチ30は、エンジン11から伝動プーリ33に伝達された駆動力を伝動ベルト34によって排出スクリュー駆動プーリ31に伝達して排出スクリュー9を駆動し、かつ排出スクリュー駆動プーリ31に伝達した駆動力を排出スクリュー9から縦スクリューコンベヤ21及び横スクリューコンベヤ22のスクリュー21a,22aに伝達する。
【0034】
図7(b)に示すように、排出クラッチ30は、テンションアーム35が下降操作されて切り位置OFFになると、テンション輪35bが伝動ベルト34に対する押圧作用を解除して伝動ベルト34を緩み状態に操作することにより、切り状態になる。切り状態になった排出クラッチ30は、伝動プーリ33から排出スクリュー駆動プーリ31に対する伝動を絶って排出スクリュー9を停止させ、かつ縦スクリューコンベヤ21及び横スクリューコンベヤ22のスクリュー21a,22aに対する伝動を絶つ。このとき、テンションアーム35は、機体フレーム2に設けられたハーネスカバー37の上角部に当接して、テンション輪35bが機体フレーム2に当接しないようにハーネスカバー37によって受け止め支持される。ハーネスカバー37は、前照灯、制御器などに電力や情報を供給するように機体フレーム2の上面側に配設された電線38を覆っている。
【0035】
縦スクリューコンベヤ21の搬送筒21bを、穀粒タンク5に固定された接続ケース23にスクリュー21aの回転軸芯と同一の旋回軸芯Zまわりに回転自在に支持させてある。接続ケース23と搬送筒21bにわたって電動モータで成る旋回モータ40が装備された旋回駆動機構41を設け、旋回モータ40が駆動操作されることにより、旋回駆動機構41が作動して横スクリューコンベヤ22を旋回軸芯Zまわりに旋回操作し、旋回モータ40が停止操作されることにより、旋回駆動機構41が停止して横スクリューコンベヤ22を旋回操作位置に維持するようにしてある。
【0036】
横スクリューコンベヤ22の搬送筒22bを縦スクリューコンベヤ21の搬送筒21bの搬送終端側部21cに旋回軸芯Zと直交する昇降軸芯Pまわりに上下揺動自在に支持させてある。縦スクリューコンベヤ21の搬送終端側部21cに対して横スクリューコンベヤ22の搬送筒22bと一体に揺動する操作体42と縦スクリューコンベヤ21の搬送終端側部21cにわたって油圧シリンダで成る昇降シリンダ43を装着し、昇降シリンダ43が伸縮操作されることにより、横スクリューコンベヤ22が昇降シリンダ43によって昇降軸芯Pまわりに昇降操作され、昇降シリンダ43が停止操作されることにより、横スクリューコンベヤ22が昇降操作位置に昇降シリンダ43によって保持されるようにしてある。
【0037】
図3は、穀粒排出オーガ20の操作装置50を示す正面図である。図4は、穀粒排出オーガ20の操作装置50を示す側面図である。これらの図に示すように、穀粒排出オーガ20の操作装置50は、運転座席7aの後方に、排出クラッチレバー51とスイッチ装置60を設けて構成してある。排出クラッチレバー51は、エアクリーナ13の走行機体内側での横側方に設け、スイッチ装置55は、エアクリーナ13の上方に設けてある。
【0038】
つまり、排出クラッチレバー51によって穀粒排出オーガ20を穀粒排出状態と排出停止状態とに切換え操作し、スイッチ装置60によって穀粒排出オーガ20の旋回及び昇降操作を行なうようにしてある。
【0039】
すなわち、排出クラッチレバー51は、支柱フレーム6bに固定されたレバー支持部材52にエアクリーナ13の上端よりも低い配置高さに配置したレバー支軸53を介して枢支されている。排出クラッチレバー51の基部が操作ロッド54を介して排出クラッチ30のテンションアーム35に連結されている。
【0040】
排出クラッチレバー51を、レバー支軸53の走行機体横向き軸芯まわりにレバーガイド55のガイド溝によって形成される操作経路56に沿わせて走行機体前後方向に揺動操作して操作経路56の機体後方側端部に設定された入り位置[入]に操作すると、操作ロッド54が引っ張り操作されてテンションアーム35を入り位置ONに引き上げ操作する。これにより、排出クラッチ30が入り状態になって穀粒排出オーガ20が穀粒排出状態になる。
【0041】
すなわち、エンジン11から排出クラッチ30によって排出スクリュー9に伝達された駆動力が排出スクリュー9の搬送終端側から縦スクリューコンベヤ21のスクリュー21aに伝達されるとともにこのスクリュー21aから横スクリューコンベヤ22のスクリュー22aに伝達されて縦スクリューコンベヤ21及び横スクリューコンベヤ22が駆動される。縦スクリューコンベヤ21は、排出スクリュー9によって穀粒タンク5から穀粒タンク5の後側に排出された脱穀粒を排出スクリュー9から受け継いで揚送して搬送終端部から横スクリューコンベヤ22の搬送始端部に送り込む。横スクリューコンベヤ22は、縦スクリューコンベヤ21から送り込まれた脱穀粒を横搬送して搬送終端部に位置する吐出筒22c(図1参照)から排出する。
【0042】
排出クラッチレバー51を操作経路56に沿わせて揺動操作して操作経路56の機体前方側端部に設定されている切り位置[切]に操作すると、操作ロッド54が緩め操作されてテンションアーム35を切り位置OFFに下げ操作する。これにより、排出クラッチ30が切り状態になって穀粒排出オーガ20が排出停止状態になる。すなわち、排出スクリュー9に対する伝動が絶たれて縦スクリューコンベヤ21及び横スクリューコンベヤ22のスクリュー21a,22aに対する伝動が絶たれる。
【0043】
スイッチ装置60は、排出クラッチレバー51の走行機体横方向側に配置して、かつエアクリーナ13から上方向きに突設された吸気筒16に対して排出クラッチレバー51が位置する側とは反対側に隣接する状態で配置して連結部材8に取付け部材70を介して取り付けられている。取付け部材70は、連結部材8から前方向きに延出する状態で連結部材8に片持ち状態で支持されている。スイッチ装置60は、取付け部材70の前方下方に傾斜する取付け面70aに取り付けられた昇降スイッチ61及び旋回スイッチ62を備えており、正面視で運転座席7aの左右中間部の上方箇所に位置する状態で、かつ側面視でエアクリーナ13に対して運転座席7a側寄りの位置に位置する状態で配置されている。
【0044】
昇降スイッチ61を上昇側あるいは下降側に切換え操作すると、昇降スイッチ61からの指令を基に動作する制御手段(図示せず)を介して昇降シリンダ43を上昇側あるいは下降側に駆動操作でき、横スクリューコンベヤ22を上昇側あるいは下降側に操作することができる。
【0045】
旋回スイッチ62を左旋回側あるいは右旋回側に切換え操作すると、旋回スイッチ62からの指令を基に動作する制御手段を介して旋回モータ40を左旋回側あるいは右旋回側に駆動操作でき、横スクリューコンベヤ22を左旋回側あるいは右旋回側に旋回操作することができる。
【0046】
図6に示すように、排気ガイド筒19の上下方向での中間部から延出された支持アーム63の延出端部に支柱64を介してオーガ受け65が設けられている。オーガ受け65は、横スクリューコンベヤ22が縦スクリューコンベヤ21から走行機体前方向きに延出した格納状態に操作された際、横スクリューコンベヤ22の長手方向での中間部を横側方で受け止め支持するものである。
【0047】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、排出クラッチレバー51をエアクリーナ13の走行機体内方側での横側方に設けた例を示したが、排出クラッチレバー51をエアクリーナ13の走行機体外方側での横側方に設けて実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【0048】
(2)上記した実施例では、操作経路56の走行機体前方側端部に排出クラッチレバー51のクラッチ切り位置を設け、操作経路56の走行機体後方側端部に排出クラッチレバー51のクラッチ入り位置を設けた例を示したが、操作経路56の走行機体前方側端部にクラッチ入り位置を設け、操作経路56の走行機体後方側端部にクラッチ切り位置を設ける構成を採用して実施してもよい。
【0049】
(3)上記した実施例では、排出クラッチレバー51を機体前後方向に揺動操作するよう構成した例を示したが、排出クラッチレバー51を機体横方向に揺動操作する構成を採用して実施してもよい。
【0050】
(4)上記した実施例では、吸気筒16にプレエアクリーナ15を接続した例を示したが、プレエアクリーナ15を設けず、エアクリーナ13から吸気筒16を突設するだけで実施してもよい。
【0051】
(5)上記した実施例では、穀粒排出オーガ20を昇降シリンダ43によって昇降操作し、電動モータで成る旋回モータ40によって旋回操作する例を示したが、モータとネジ機構を組み合わせた駆動機構によって昇降操作する構成や、油圧モータによって旋回操作する構成を採用して実施してもよい。
【0052】
(6)上記した実施例では、支柱フレーム6aを機体フレーム2から立設した例を示したが、例えば支柱フレーム6aを座席支持台12から立設してもよく、支柱フレーム6aを穀粒タンク5に支持させてもよい。
【符号の説明】
【0053】
5 穀粒タンク
7 運転部
7a 運転座席
11 エンジン
13 エアクリーナ
15 プレエアクリーナ
16 吸気筒
20 穀粒排出オーガ
30 排出クラッチ
40 旋回アクチュエータ
43 昇降アクチュエータ
51 排出クラッチレバー
60 スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの上方に配置された運転座席が装備された運転部を有した走行機体と、前記運転部に対して走行機体後方側に位置する配置で前記走行機体に設けられた穀粒タンクと、前記穀粒タンクから脱穀粒を排出する穀粒排出オーガを備えたコンバインであって、
前記エンジンのためのエアクリーナを前記運転座席の後方に設け、
前記穀粒排出オーガに対して伝動する排出クラッチを入り状態と切り状態に切換える排出クラッチレバーを、前記エアクリーナの横一側方に設け、
前記穀粒排出オーガを旋回操作する旋回アクチュエータと前記穀粒排出オーガを昇降操作する昇降アクチュエータを操作するスイッチ装置を、前記排出クラッチレバーの走行機体横方向側であって、前記エアクリーナの上方に設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記排出クラッチレバーを走行機体前後方向に揺動操作するよう構成してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記エアクリーナをプレエアクリーナに連通させるよう前記エアクリーナから走行機体上方向きに突出する吸気筒を、前記排出クラッチレバーと前記スイッチ装置の間に配置してある請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−193833(P2011−193833A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65978(P2010−65978)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】