説明

コンバイン

【課題】より確実にタンク壁面に穀粒のブリッジが出来ないようにしてグレンタンクからオーガへ穀粒をスムーズに排出するための構成を備えたコンバインを提供すること。
【解決手段】収穫した穀粒を一次的に貯留するグレンタンク12を備えたコンバインにおいて、タンク12の底部内部の長手方向に配置した収穫物の排出用タンク螺旋17の上方に穀粒の攪拌を行う拡散棒36と該拡散棒36の回転駆動を行う拡散伝動軸35をタンク螺旋17と並列配置した揺動装置30を設ける。揺動装置30は既存の螺旋17の回転軸33の回転力を利用することにより、安価に伝動可能となり、確実に揺動するのでグレンタンク12内の穀粒拡散効果が得られ、水分の多い穀粒、濡れた穀粒でもグレンタンク12内に詰まることなくスピィーディに排出可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクに特徴のあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインはエンジンを搭載し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈取、脱穀などに使用するが、刈取装置で刈り取った穀稈は脱穀装置に送られ、脱穀された後、グレンタンクに一時的に貯留される。グレンタンクに貯留されている穀粒はオーガからトラックなどに排出される。
従来のグレンタンクからオーガへの穀粒排出時に穀粒の詰まりを防止するために種々の対策が講じられてきた。下記特許文献1に開示されたグレンタンクからオーガへの穀粒排出時に穀粒の詰まり防止する構造はグレンタンク底部のラセン体の上側に山形の流板を取り付け、該山形の流板を揺動させる構成としてタンク壁面に穀粒のブリッジが出来ないようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−68414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたタンク壁面に穀粒のブリッジが出来ないようにするために設けた山形の流板を揺動させる構成でも、穀粒のブリッジが解消しないことがあった。
本発明の課題は、より確実にタンク壁面に穀粒のブリッジが出来ないようにしてグレンタンクからオーガへ穀粒をスムーズに排出するための構成を備えたコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、収穫した穀粒を一時的に貯留するグレンタンク(12)を備えたコンバインにおいて、グレンタンク(12)の底部の長手方向に穀粒を外部に排出するためのタンク螺旋(17)を配置し、該タンク螺旋(17)の上方に穀粒の攪拌を行う拡散棒(36)と該拡散棒(36)の回転駆動を行う拡散伝動軸(35)をタンク螺旋(17)と並列に備える揺動装置(30)を配置したことを特徴とするコンバインである。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記揺動装置(30)の拡散棒(36)は拡散伝動軸(35)の軸芯方向に対して平行でなく、所定角度で傾斜させて取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記揺動装置(30)の拡散棒(36)の先端と、該拡散棒(36)の先端の延長線上に位置するグレンタンク(12)の内側の壁面(12a)との間隙を、拡散棒(36)の揺動時の上死点と下死点とで変わるように拡散棒(36)を拡散伝動軸(35)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記揺動装置(30)の拡散伝動軸(35)をタンク螺旋(17)の回転軸(33)を通る鉛直線よりずらし、しかもタンク螺旋(17)の穀粒取り込み側の近くに配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記揺動装置(30)の拡散伝動軸(35)の伝動機構(37)を構成する伝動アーム(37a,37b)のうちで、少なくとも長い方の伝動アーム(37a)に複数の取付穴(37aa)を設け、長い方の伝動アーム(37a)と短い方の伝動アーム(37b)の連結位置を前記複数の取付穴(37aa)のいずれかに選択することで、拡散伝動軸(35)の伝動機構(37)の長さを変更可能としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、揺動装置30は既存のタンク螺旋17の回転軸33の回転力を利用することにより、安価に伝動可能となり、確実に揺動するのでグレンタンク12内の穀粒拡散効果が得られ、また拡散棒36を断面円形の丸棒とすれば、拡散棒36が拡散伝動軸35の回りを回転する際の抵抗が大きくなることがない。そのため水分の多い作物、濡れた作物でもグレンタンク12内に詰まることなくスピィーディに排出可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、拡散伝動軸35の伸びる方向に対して平行でなく、所定角度で傾斜させて拡散棒36が拡散伝動軸35に取り付けられているので、拡散棒36に引掛かる水分の多い穀稈や夾雑物が拡散棒36の大きな振幅動作により自然落下する。従って、夾雑物が多い作物でも、清浄の手間がなくなり、連続作業が可能になる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、拡散棒36の先端の延長線上に位置するグレンタンク12の壁面12aと拡散棒36の先端の間隙を、拡散棒36の揺動時の上死点と下死点で変わるように拡散棒36を拡散伝動軸35に取り付けることで穀粒がグレンタンク12内で動くので穀粒や夾雑物がグレンタンク12内を流れて落ち易くなると共に拡散棒36の負荷も軽減され、拡散性能を発揮できる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、拡散伝動軸35をタンク螺旋17の回転軸33を通る鉛直線よりずらし、しかもタンク螺旋17の穀粒取り込み側に近くに配置することにより、穀粒取り込み側のグレンタンク12の壁面12aと拡散伝動軸35との間隔も狭くなり、常に穀粒の揺動流出効果が得られるため、夾雑物が混在した穀粒排出作業でも流れがスムーズとなりスピーディーな穀粒の排出が可能となる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、伝動機構37の伝動アーム37a,37bの連結位置の調整により、作物条件に応じて拡散棒36の振幅が変更できることにより、グレンタンク12内での穀粒の流れがスムーズとなり、詰まりを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図である。
【図2】図1のコンバインのグレンタンク部分の平面略図である。
【図3】図1のグレンタンク底部のタンク螺旋の回転軸と拡散伝動軸との伝動機構を示す機体前方向から見た図である。
【図4】図1のグレンタンクの機体正面図(図4(a))と図4(a)を矢印A方向から見た矢視図(図4(b))である。
【図5】図1のグレンタンクの底部の機体前方向から見た図である。
【図6】図1のグレンタンク内部の要部側面図(図6(a))とグレンタンク底部の機体前方向から見た図(図6(b))である。
【図7】図1のグレンタンク内部の要部側面図である。
【図8】図1のグレンタンクの揺動装置の要部側面図である。
【図9】図1のグレンタンク底部の機体前方向から見た図である。
【図10】図1のグレンタンク底部の機体前方向から見た図である。
【図11】図1のグレンタンク底部の機体前方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は本実施例の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2はオープン可能なグレンタンク部分の構成とグレンタンク内部の穀粒搬送螺旋の駆動系を示す平面図である。
【0017】
図1に示すコンバインの走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン8、HST(図示せず)、変速装置(図示せず)、脱穀装置9、操縦席10およびグレンタンク12を搭載する。
【0018】
コンバインの作動は次のように行われる。まず、エンジン8を始動して図示しない変速用、操向用などの操作レバーをコンバインが前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0019】
穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置9に供給される。脱穀装置9で脱穀されて得られた穀粒は揚穀筒(図示せず)を経てグレンタンク12へ搬送され、グレンタンク12に一時貯留される。
【0020】
図2に示すようにエンジン8からの駆動力はベルト18とベベルギア機構25を経由して伝達されタンク螺旋回転軸33が回転する。図2に示すグレンタンク12は、開閉自在にした例であるが、グレンタンク12のオープン時にエンジン8が駆動したままであると、エンジン8の駆動で作動するグレンタンク12からの排穀用の螺旋17の駆動用ベルト18が作動したままであり、グレンタンク12のオープン時に螺旋駆動用ベルト18のある部位にオペレータが接近できるので、危険である。
【0021】
そこでグレンタンク12のオープン時には必ずエンジン8の駆動が停止するように次の構成を採用することができる。
すなわち図2のグレンタンク12の駆動系を含む概略平面図に示すように、オーガ排穀用の螺旋17の駆動用のベルト18の周辺にグレンタンク前カバー20を設けておき、該カバー20が開かないとグレンタンク12をオープンできない構造とし、さらに該カバー20を開くとリミットスイッチ21が切れてエンジン8が停止する構成にする。
こうして、グレンタンク12をオープンさせるときには前記ベルト18を覆うグレンタンク前カバー20を開く必要があり、該ベルト18が外れることでエンジン8が自動停止して安全性が高まる。
【0022】
また、図3のグレンタンク12の底部のタンク螺旋17の回転軸33と拡散伝動軸35との伝動機構37を説明するグレンタンク底部を機体前方向より見た図に示すように、タンク螺旋17の回転軸33からの駆動力は伝動機構37の一対の伝動アーム37a,37bを介して後述する揺動装置30の拡散伝動軸35を揺動可能にしている。
【0023】
本実施例では図4(a)の機体前面から見たグレンタンク12の正面図と図4(b)のグレンタンク12の内部の底部を示す側面図に示すようにグレンタンク12の内部のタンク螺旋17の上方部位に穀粒を拡散させる揺動装置30を設けた。該揺動装置30はタンク螺旋17の回転軸33と並行して設けた拡散伝動軸35と該伝動軸35に取り付けられた複数のL字状の拡散棒36を備え、拡散伝動軸35の駆動はタンク螺旋17の回転軸33から伝動機構37を介して得る構成とし、拡散伝動軸35に取り付けた拡散棒36を拡散伝動軸35の揺動範囲に応じて揺動させる構成である。
【0024】
図3に示す拡散伝動軸35の伝動機構37はタンク螺旋17の回転軸33の駆動系のある側の端部(コンバイン前側)に固着した偏心カム38の振れを一対の連結した伝動アーム37a,37bによって揺動装置30の拡散伝動軸35に伝達する。
【0025】
即ち、タンク螺旋17の端部に偏心カム38を固定し、伝動アーム37aの一端部に設けた保持部材によって、この偏心カム38の外周に嵌合したベアリングを回転自在に保持する。また、拡散伝動軸35の端部に伝動アーム37bの一端部を固定する。そして、この伝動アーム37aの他端部と、伝動アーム37bの他端部とを軸着する。これにより、タンク螺旋17が回転すると、偏心カム38の回転によって保持部材を介して伝動アーム37aが図視において斜め上方向へ往復揺動し、伝動アーム37bを介して拡散伝動軸35が往復回動する。
【0026】
また、図5のグレンタンク12の底部を機体前方向から見た図に示すように拡散伝動軸35を断面多角形(図示した例では6角形)とし、その両側に断面コ字状の支持プレート35’を介して背面視で左右にハ字状に拡散棒36を配置した構成としても良い。
拡散伝動軸35を断面多角形とすることで、これを断面円形にする場合に比較して、負荷が掛かった際に拡散棒36の位相に狂いが生じるおそれがなく、また拡散棒36の支持プレート35’への取付角度、取付位置の調整により穀粒の揺動を効果的に行える利点がある。
【0027】
このように揺動装置30は既存のタンク螺旋17の回転軸33の回転を利用することにより、安価に伝動可能となり、確実に揺動するのでグレンタンク12内の穀粒拡散効果が得られる。水分の多い作物、濡れた作物でもタンク12内に詰まることなくスピィーディに排出可能となる。
【0028】
揺動装置30の伝動機構37はグレンタンク12の前方側に設けているので、グレンタンク12を図2に示すようにオープンすることにより、タンク12の前方が機体より離れた位置まで開放され、拡散伝動軸35や拡散棒36の交換等のメンテナンスが容易に行える。
【0029】
また、図4に示すようにグレンタンク12の前側に伝動機構37を設け、グレンタンク前カバー20によりこの伝動機構37の部分を覆う構成としているため、グレンタンク12をオープンしなくてもグレンタンク前カバー20を開けて伝動機構37の部分のメンテナンスが容易に行える。
【0030】
揺動装置30の伝動機構37の一対の伝動アーム37a,37bの長さを変更可能なように長い方の伝動アーム37aに、図3に示すように複数の取付穴37aaを設けることで短い方の伝動アーム37bとの連結位置を調整できる。
【0031】
揺動装置30の拡散伝動軸35の伝動機構37の一対の伝動アーム37a,37bのうちで、少なくとも長い方の伝動アーム37aに複数の取付穴37aaを設けておき、長い方の伝動アーム37aと短い方の伝動アーム37bの連結位置を前記複数の取付穴37aaのいずれかに選択することで、拡散伝動軸35の伝動機構37の長さを変更可能とした。
【0032】
いままで、作物の違い、茎水分(穀稈の水分)の違いにより、穀粒・夾雑物の流れが異なり、グレンタンク12内でのタンク螺旋17への穀粒の流れが悪化したり、引掛かりにより、穀粒の詰まりを生じる場合があったが、上記伝動機構37の伝動アーム37a,37bの連結位置の調整により、作物条件に応じて拡散棒36の振幅を変更可能とすることにより、グレンタンク12内での穀粒の流れがスムーズとなり、詰まりを解消できる。
【0033】
本実施例の拡散棒36は丸棒にした。これは、穀粒がタンク12内に充填された状態で揺動させるため、通常は過大な負荷が生じるが、拡散棒36が丸棒であると、拡散棒36の駆動時に穀粒からの負荷が軽減され、夾雑物の引掛かりも少くなるためである。
【0034】
また図6(a)のグレンタンク12内の要部側面図と図6(b)のグレンタンク12底部の機体前方向から見た図に示すように、拡散部の面積を大きくするために拡散棒36の代わりにプレート状の拡散板45にしてもよい。プレート状の拡散板45にすることにより、拡散板45の下方には穀粒が溜まりにくくなり、比較的大きな空間ができる。
従って、拡散板45の振幅運動時には、前記空間により拡散板45が動きやすく、負荷が減少される。従って、拡散板45の耐久性の向上、引掛かり防止効果が得られ、また拡散板45による拡散範囲は拡散棒36に比べて大きくなる。
【0035】
また図7のグレンタンク12内部の要部側面図に示すように、拡散棒36の先端を拡散伝動軸35の軸方向に対して平行でない方向に傾斜させ、拡散棒36への引っ掛かりを無くすようにしても良い。拡散棒36を傾斜させることにより、拡散棒36に引掛かる水分の多い穀稈や夾雑物が、拡散棒36の大きな振幅動作により自然落下する。
従って、夾雑物が多い作物でも、清浄の手間がなくなり、連続作業が可能になる。
【0036】
また図8の揺動装置30の側面図に示すように、一対の拡散棒36の先端を拡散伝動軸35の軸方向に対して前後180°位相をずらせて配置し、前後に先端を向けた構成にしてもよい。
一対の丸棒からなる拡散棒36を180°位相で設けているため、伝動軸35の伸びる方向の機体の前後方向の任意の位置に配列可能となり、拡散棒36を機体の左右方向に重ねたり、離したりと自在に位置変更が可能で、作物条件により適宜の配置が可能となり、グレンタンク12内での穀粒の詰まりを無くしてスピィーディーに排出できる。
【0037】
図9のグレンタンク12の底部を機体前方向から見た図に示すように、拡散棒36先端とグレンタンク12の傾斜面12aとの隙間を拡散棒36が上段位置にあるときに狭い隙間D1となり、下段位置にあるときに広い隙間D2となるように拡散棒36を配置した構成とすると、拡散棒36の動きにより、該拡散棒36が上死点と下死点にあるときにグレンタンク12の傾斜面12aと拡散棒36の先端との間隔が変化することにより、穀粒がグレンタンク12内で動くので穀粒や夾雑物がグレンタンク12内を流れ落ち易くなると共に拡散棒36の負荷も軽減され、拡散性能を発揮できる。
【0038】
図10のグレンタンク12の底部を機体前方向から見た図に示すように、拡散伝動軸35をタンク螺旋17の回転軸33を通る鉛直線よりずらし、しかもタンク螺旋17の穀粒取り込み側に近くに配置することにより、穀粒取り込み側のグレンタンク12の傾斜壁面12aと拡散伝動軸35との間隔も狭くなり、常に穀粒の揺動流出効果が得られるため、夾雑物が混在した穀粒排出作業でも流れがスムーズとなりスピーディーな穀粒の排出が可能となる。
【0039】
揺動装置30の拡散伝動軸35は前後方向のタンク側壁に支持され、拡散伝動軸35は前側のタンク側壁の外側でタンク螺旋17の回転軸33からの伝動機構37を連結しているが、拡散伝動軸35をタンク12の前側から抜き出すことができるような構成にしている。
そのため、グレンタンク12をオープンし、タンク12の前方の拡散伝動軸35とタンク螺旋17の回転軸33と前記伝動機構37の連結を外すことのみで、タンク12の前方へ拡散伝動軸35が容易に抜けるため、メンテナンス性が良い。
【0040】
また、グレンタンク12をオープンし、上下に並列する拡散伝動軸35とタンク螺旋17がタンク12の前方に設けた固定ボルトを外すことだけで同時に抜けるので、タンク12の螺旋17と拡散伝動軸35を一緒に取り外しできるので、メンテナンス性が良い。
【0041】
図11のグレンタンク12の底部を機体前方向から見た図に示すように、拡散伝動軸35の上方に傘状のカバー46を設けることにより、穀粒の拡散伝動軸35への抵抗及び拡散棒36への抵抗が軽減され、また拡散伝動軸35の上側への引掛かりがなくなる。なおタンク螺旋17の上側にも傘状のカバー49を配置するとタンク螺旋17の回転への抵抗が軽減される。
【0042】
また図4に示すようにグレンタンク12の側板カバー47から拡散棒36の取り外しが出来るように、前後方向に長辺部がある窓をグレンタンク12側面に設け、側板カバー47で開閉可能とした。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の脱穀装置はコンバインなどの収穫した穀粒の処理装置に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
2 走行フレーム 3 走行装置
4 クローラ 6 刈取装置
7 分草具 8 エンジン
9 脱穀装置 10 操縦席
12 グレンタンク 14 フィードチェン
15 オーガ 17 タンク螺旋
18 駆動用ベルト 20 グレンタンク前カバー
21 リミットスイッチ 25 ベベルギア機構
30 揺動装置 35 拡散伝動軸
35’ 断面コ字状の支持プレート
36 拡散棒 37 伝動機構
37a,37b 伝動アーム
38 偏心カム 45 拡散板
46 揺動装置カバー 47 側板カバー
49 タンク螺旋カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫した穀粒を一時的に貯留するグレンタンク(12)を備えたコンバインにおいて、
グレンタンク(12)の底部の長手方向に穀粒を外部に排出するためのタンク螺旋(17)を配置し、該タンク螺旋(17)の上方に穀粒の攪拌を行う拡散棒(36)と該拡散棒(36)の回転駆動を行う拡散伝動軸(35)をタンク螺旋(17)と並列に備える揺動装置(30)を配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記揺動装置(30)の拡散棒(36)は拡散伝動軸(35)の軸芯方向に対して平行でなく、所定角度で傾斜させて取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記揺動装置(30)の拡散棒(36)の先端と、該拡散棒(36)の先端の延長線上に位置するグレンタンク(12)の内側の壁面(12a)との間隙を、拡散棒(36)の揺動時の上死点と下死点とで変わるように拡散棒(36)を拡散伝動軸(35)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記揺動装置(30)の拡散伝動軸(35)をタンク螺旋(17)の回転軸(33)を通る鉛直線よりずらし、しかもタンク螺旋(17)の穀粒取り込み側の近くに配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項5】
前記揺動装置(30)の拡散伝動軸(35)の伝動機構(37)を構成する伝動アーム(37a,37b)のうちで、少なくとも長い方の伝動アーム(37a)に複数の取付穴(37aa)を設け、長い方の伝動アーム(37a)と短い方の伝動アーム(37b)の連結位置を前記複数の取付穴(37aa)のいずれかに選択することで、拡散伝動軸(35)の伝動機構(37)の長さを変更可能としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−92086(P2011−92086A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248969(P2009−248969)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】