説明

コンバーチブルトップ用の後部ガラスカバーとヘッドライナー・クリップを連結する方法

コンバーチブルトップは、トップカバーと、後部ガラスと、ヘッドライナーを具える。連結システムは、この後部ガラスとトップカバーに取り付けたある材料でできた成型リングを具える。連結システムは、ヘッドライナーに取り付けたクリップを具える。成型リングは、後部ガラスとトップカバーとの間の室内側の面に形成したスロットを具える。このスロットにクリップを挿入して、トップカバーの内側にヘッドライナーを固定することができる。ヘッドライナーをコンバーチブルトップに固定する方法も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
この出願は、2008年11月26日付にて提出された米国仮出願第61/118,279号に基づく利益の享受を求める。
【0002】
技術分野
この発明は、後部ガラスと、トップカバーと、ヘッドライナーとを、インサイチュウで成形したエラストマー製リングによって連結するコンバーチブルトップの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的にコンバーチブルトップには後部ガラスが設けられており、この後部ガラスの周囲は柔軟な布製のトップカバーに連結されている。この後部ガラスは、接着、締結クリップ、あるいは後部ガラスとトップカバーに対して別に形成又は成形したエラストマー製リングによって、トップカバーに連結することができる。
【0004】
ヘッドライナーを具えるコンバーチブルトップは、騒音が低減され、コンバーチブルトップ全体の外観が良くなるため好まれている。コンバーチブルトップのヘッドライナーの組み付けは、ヘッドライナーを後部ガラスとトップカバーに固定させる必要があるため、煩雑である。ヘッドライナーを後部ガラスの上側周辺に取り付けるには、追加の組付工程と締結具が必要である。
【0005】
出願人がこの発明によって解決しようとする課題は、ヘッドライナーをコンバーチブルトップに組み付けるときの煩雑さを低減させることである。
【発明の概要】
【0006】
一実施例によれば、本発明の開示は、コンバーチブルトップのトップカバー、後部ガラス、およびヘッドライナー用の連結システムを提供している。この連結システムは、成形したリングを具えている。この成形リングは後部ガラスとトップカバーとの間に取り付けられる。このリングは、後部ガラスとトップカバーとの間に、リングの室内側面に形成したスロットを規定している。連結システムは、また、リング状のクリップを具えている。このクリップはヘッドライナーに取り付けられている。このクリップはスロット内に挿入されて、トップカバーの内側にヘッドライナーを固定している。
【0007】
この発明のその他の態様によれば、このクリップには、スロットの側部に係合する一またはそれ以上の返し部が設けられている。このクリップはヘッドライナーを取り付けるフランジを具えていても良い。
【0008】
一の実施例によれば、連結システムは、トップカバー、後部ガラス、及びヘッドライナー用に設けられている。この連結システムは、後部ガラスとコンバーチブルトップカバーの開口部に取り付けた成形リングを具えている。連結システムは、この成形したリングの中にインサート成型したリング状部材を具えている。このリング状部材は、後部ガラスとトップカバー開口部との間の成形したリング内に成型されている。連結システムは保持クリップを具える。このクリップは、ヘッドライナーに固定されている。このクリップは、トップカバーの内側でリング状部材に組み付ける。
【0009】
別の実施例によれば、本発明は、ヘッドライナーをコンバーチブルトップに固定する方法を開示している。この方法は、後部ガラスとトップカバーを金型に配置するステップを具える。トップカバーは、後部ガラスを受ける開口部を規定する。リングは、後部ガラスの周辺とトップカバーによって規定されている開口部に成形されている。後部ガラス周辺と開口部との間のリングにスロットが形成されている。リング状のクリップをヘッドライナーに取り付けて、クリップをスロットに挿入してヘッドライナーをリングに組み付ける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、コンバーチブルトップが設けられている車輌を示す部分的後部斜視図である。
【図2】図2は、図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図3は、後部ガラス、トップカバー及びヘッドライナークリップを、これらを互いに連結するエラストマー製リングと共に透視的に示す部分的斜視図である。
【図4】図4は、インサイチュウでエラストマーを用いて成型する工程において、後部ガラス、トップカバー及びヘッドライナークリップを互いに連結する位置で示す金型の平面図である。
【図5】図5は、ヘッドライナークリップを装填した金型の断面図である。
【図6】図6は、後部ガラスをトップカバーに連結し、ヘッドライナーとクリップを有するヘッドライナークリップ受けを規定する、インサイチュウで形成したエラストマー製リングを示す代替の実施例の部分的断面図である。ヘッドライナーとクリップはエラストマー製リングと別に示されている。
【図7】図7は、図6に示すエラストマー製リングの形成に使用される金型の部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、コンバーチブルトップ12を装備した車輌10が示されている。リヤウインドとも呼ばれる後部ガラス16は、コンバーチブルトップ12の一部であり、コンバーチブルトップ12の部分である柔軟なトップカバー18に固定されている。
【0012】
図2を参照すると、インサイチュウで成型されたエラストマー製リング20が示されており、これが後部ガラス16とトップトップカバー18を連結している。ヘッドライナー24は、柔軟なトップトップカバー18の内側でコンバーチブルトップに固定されている。ヘッドライナー24は、ヘッドライナー取付クリップ28によって保持リングインサート26に固定されている。このヘッドライナー取付クリップ28はフランジ30を具えており、これはヘッドライナー24の縁部32に一点鎖線34の位置で固定されている。
【0013】
図3を参照すると、保持リングインサート26が、後部ガラス16と柔軟なカバー18と共に詳細に示されており、これらはエラストマー製リング20と共に保持リングインサート26に並置されて透視的に示されている。保持リングインサート26は、係止用T字型リブ36を具えていて、その周囲にエラストマー製リング20がインサイチュウで成型されている。保持リングインサート26は、インサート成型工程で形成されるエラストマー製リング20のインサート部材である。後部ガラス16と柔軟なトップカバー18のエッジ部分も同様に、エラストマー製リング20にインサート成型されている。エラストマー製リング20は、三段階のインサート成型工程で形成される。エラストマー製リング20は後部ガラス16の全周縁に延在しており、トップカバー18と保持リングインサート26と後部ガラス16を連結する、連続インサイチュウ成型エラストマー製リング20を形成する。保持リングインサート26は、後部ガラス16の周辺に外付けであるがほぼ合致している連続リング内に形成することが望ましい。
【0014】
保持リングインサート26は、本体部分42の反対側端部にヘッドライナークリップ受40を具えている。中間フランジ44は、本体部分42の中間領域から外側に向けて延在している。以下に詳しく述べるとおり、この中間フランジ44を用いて成型工程中に保持リングインサート26を支持している。
【0015】
図4を参照すると、下側金型48は、下側金型48にトップカバーが部分的に重なった状態で平面図として示されている。後部ガラス16は、後部ガラス16の周縁エッジ50の成型アウトボードに配置した保持リングインサート26と共に、金型の中に配置されている。図4は、所定の位置にある後部ガラス16、トップカバー18、及び保持リングインサート26を有する成型工程開始前の下側金型48を示す。
【0016】
図5を参照すると、下側金型48は成型位置にあり、下側金型48を閉じる上側金型52と共に示されている。上側金型52の中に、凹部54が設けられており、これがエラストマー製インサート20の外側表面を形成している。下側金型48に溝56が設けられており、保持リングインサート26を受けている。溝56の中にショルダー部対58が規定されている。中間フランジ44は、成型工程前、及び成型工程中に、このショルダー部58上の保持リングインサート26を支持する。ヘッドライナークリップ受40用にクリアランス溝60が設けられている。中間フランジ44は、成形工程中にクリアランス溝60をシールして、成形工程中のヘッドライナークリップ受40へのモールド溢れを防いでいる。下側金型48と上側金型52の間にはガラス受スペース62とカバー受スペース64が設けられている。
【0017】
図1乃至図5に示す実施例の成型工程は以下のとおりである。上側金型52を下側金型48から外す。図4に概ね示すように、後部ガラス16と、保持リングインサート26と、柔軟なトップカバー18を下側金型48の上に置く。次いで上側金型52を下側金型48の上に配して、所定位置でクランプする。次いで、下側金型48と上側金型52の間に規定する成型キャビティに溶融エラストマーを注入して、後部ガラス16の周縁エッジ50の周囲に規定した環状空間を完全に満たす。溝56は、クリアランス溝60を除いて、エラストマーで完全に満たされる。インサイチュウで成型したエラストマー製リング20が、トップカバー及び保持リングインサート26に後部ガラスを連結する。次いで、エラストマー製リング20が硬化して、後部ガラス16、柔軟なトップカバー18、及び保持リングインサート26に連結する。
【0018】
図6を参照すると、代替の実施例が示されており、ここでは、後部ガラス68が、インサイチュウで成型したエラストマー製リング72によってコンバーチブルトップのトップカバー70に連結されている。エラストマー製リング72は溝74を規定している。ヘッドライナー76は、溝74で受けている圧入コネクタリング78によって連結される。圧入コネクタ78には係止用返し部80が複数個設けられており、溝74内にコネクタ78を確実に保持するようにしている。圧入コネクタは、ヘッドライナー76の縁84に連結されたフランジ82を具えている。縁84は、ステッチ線86でフランジ82に連結されている。
【0019】
図7を参照すると、図6の実施例を形成する金型が示されており、これは、成型工程中に共に配置する上側金型90と下側金型92を具える。上側成型キャビティ94は上側金型90によって規定される。下側成型キャビティ96は下側金型92によって規定される。溝形成用リップ98が、下側成型キャビティ96内に設けられており、エラストマー製リング72に溝74を形成するようにしている。ガラス受スペース100が、上側金型90と下側金型92との間に設けられており、トップカバー受スペース102が、上側金型90と下側金型92との間に設けられている。
【0020】
図6および図7の実施例によるコンバーチブルトップにヘッドライナー76を組み付ける方法は、以下に述べるとおりである。後部ガラス68とトップカバー70は、図4に示すものと同様に金型の中に装填されるが、保持リングインサート26は用いていない。下側金型92の上に上側金型90を閉じて、互いにクランプする。次いで、溶融エラストマーを上側成型キャビティ94と下側成型キャビティ96に注入して、溝形成用リブ98の領域を除いてこのキャビティを満たす。リング72を形成しているエラストマーが部分的に硬化して、上側金型90を下側金型92から外す。ヘッドライナー76は、圧入コネクタ78を溝74に挿入することでリング72に固定される。係止用返し部80は、挿入後溝74から圧入コネクタ78が外れないようにしている。圧入コネクタ78は後部ガラス68を囲む連続環状細長部材であると理解すべきである。代替的に、圧入コネクタ78を、後部ガラス68の周りに延在する一連のセグメントとして形成してもよい。しかし、いずれかの実施例でも、ヘッドライナーは皺が生じないように取り付けるべきである。
【0021】
本発明の実施例を図に示して説明したが、これらの実施例は、本発明の考えられるすべての態様を図に示して説明しようとするものではない。むしろ、この明細書の中で使われている表現は、内容を特定する制限的なものではなく、むしろ例示的なものであって、発明の精神とその範囲から逸脱すること無く様々な変更を行うことができると理解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバーチブルトップのトップカバー、後部ガラス、及びヘッドライナー用の連結システムにおいて:
前記後部ガラスと前記トップカバーに取り付けた成型リングであって、当該リングが、前記後部ガラスと前記トップカバーとの間のリングの内側面に設けたスロットを規定している、成型リングと;
前記スロットに挿入して前記ヘッドライナーを前記トップカバー内部に固定する、ヘッドライナーに取り付けた環状クリップと;
を具えることを特徴とする連結システム。
【請求項2】
請求項1に記載の連結システムにおいて、前記スロットが、前記環状クリップに係合する第1及び第2の側部を具えることを特徴とする連結システム。
【請求項3】
請求項1に記載の連結システムにおいて、前記環状クリップは、当該クリップの内側部および外側部に形成され、前記スロットの第1の側部と第2の側部に係合する複数の返し部を具えることを特徴とする連結システム。
【請求項4】
請求項1に記載の連結システムにおいて、前記環状クリップが、前記ヘッドライナーを取り付けるフランジを具えることを特徴とする連結システム。
【請求項5】
コンバーチブルトップのトップカバー、後部ガラス、及びヘッドライナー用の連結システムにおいて:
前記後部ガラスと前記トップカバーの開口部に取り付けた成型リングと;
前記後部ガラスと前記トップカバーの開口部の間の前記成型リング内に成型されたインサートである、リング状部材と;
前記ヘッドライナーに固定され、前記トップカバーの内側で前記リング状部材に組み付けた保持クリップと;
を具えることを特徴とする連結システム。
【請求項6】
請求項5に記載の連結システムにおいて、前記保持クリップのヘッド部分が前記成型リングから突出しており、前記保持クリップが前記ヘッド部分に固定されており、前記保持クリップの一部としてフランジが設けられており、このフランジが前記ヘッドライナーの縁に固定されていることを特徴とする連結システム。
【請求項7】
請求項5に記載の連結システムにおいて、前記保持クリップが係止用のT字型リブを具えており、当該リブの周りに前記成型リングがインサイチュウで成型されていることを特徴とする連結システム。
【請求項8】
請求項5に記載の連結システムにおいて、前記保持クリップが、更に、係止用のT字型リブとヘッド部分との間に延在する本体部分を具えており、前記係止用のT字型リブとヘッド部分との間の前記本体部分に中間フランジが設けられており、当該中間フランジが前記本体部分の対向する側部から外側に向けて延在して、前記リング状部材が前記成型リング内に挿入成形される際に前記保持クリップを支持することを特徴とする連結システム。
【請求項9】
請求項5に記載の連結システムにおいて、前記後部ガラスが、前記成型リングによって封入された周縁エッジを有することを特徴とする連結システム。
【請求項10】
ヘッドライナーをコンバーチブルトップに固定する方法において:
後部ガラスを金型に設定するステップと;
トップカバーを前記金型に設定するステップであって、当該トップカバーが前記後部ガラスを受ける開口部を規定しているステップと;
前記後部ガラスの周縁に、前記トップカバーで規定された開口に向けたポリマー材料でできたリングを成型するステップと;
前記後部ガラスの周縁と前記トップカバーで規定された開口との間の前記リングにスロットを形成するステップと;
前記ヘッドライナーにリング状クリップを取り付けるステップと;
前記クリップを前記スロットに挿入することによって前記ヘッドライナーを前記リングに組み付けるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記リング内に前記スロットを形成するステップが、成型工程の一部として行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記リング状クリップは、前記連結リングを前記スロット内に保持する複数の返し部を具える圧入連結リングであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記圧入連結リングが、前記ヘッドライナーの縁に連結したフランジを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
後部ガラスとトップカバーに成型されたエラストマー製リングにヘッドライナーを連結するためのコンパーチブルトップ用のヘッドライナークリップ・連結リングにおいて:
前記後部ガラス周縁に連続的に延在するヘッドライナーに取り付けた前記連結リングに形成したフランジと;
前記フランジに対して間隔をあけた位置において前記連結リングに形成したされた少なくとも一の返し形状のリブであって、前記後部ガラスと前記トップカバーの間で前記エラストマー製リングによって受けている返し形状のリブと;
を具えることを特徴とするヘッドライナークリップ・連結リング。
【請求項15】
請求項14に記載のコンバーチブルトップ用のヘッドライナークリップにおいて、前記フランジが連続したフランジであることを特徴とするヘッドライナークリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509805(P2012−509805A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537731(P2011−537731)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065846
【国際公開番号】WO2010/062926
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(509022521)マグナ カー トップ システムズ ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】