説明

コンベアシステム

【課題】上流から供給される荷物を複数のコンベアのいずれかに振り分ける際に、振り分け先を的確に判定することのできるコンベアシステムを提供すること。
【解決手段】第一コンベア50と第二コンベア60とを備えるコンベアシステム10であって、第一コンベア50または第二コンベア60に送り出される荷物の形状を示す情報を取得し、取得した情報から、荷物の形状と所定の形状との近さの度合いを示す定形度を算出する定形度算出部25と、定形度算出部25により算出された定形度に基づいて、荷物を第一コンベア50または第二コンベア60のいずれに送り出すかを判定する分岐制御部40と、分岐制御部40の判定結果に従って、荷物を第一コンベア50および第二コンベア60のいずれか一方に送り出す分岐装置45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流から供給される複数の荷物のそれぞれを、互いに異なる仕分け方式で荷物が仕分けられる複数のコンベアに振り分けるコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の荷物のそれぞれを、それぞれの宛先等に応じて仕分ける仕分けコンベアが存在する。
【0003】
仕分けコンベアには例えば1以上の分岐コンベアが接続されており、仕分けコンベアにより搬送される複数の荷物のそれぞれは、それらの宛先等に応じた分岐コンベアに送り出される。これにより、これら複数の荷物は仕分けられる。
【0004】
また、このような仕分けコンベアは、採用する仕分け方式によって複数の種類に分けられる。
【0005】
例えば、仕分け装置として方向転換機を備え、方向転換機によって荷物の方向転換を行うことで当該荷物を分岐コンベアに送り出す自動仕分けコンベアと、荷物の分岐コンベアへの送り出しが手動で行われる手動仕分けコンベアとがある。
【0006】
また、仕分け方式という観点でみると、荷物の側面を押すことで仕分け先に方向転換するもの、および、荷物を底面で支持しつつ回転させることで仕分け先に方向転換するものなど、自動仕分けコンベアも様々に分類される。
【0007】
また、互いに異なる仕分け方式で仕分けを行う2つの仕分けコンベアを備え、それらの上流から供給される荷物のそれぞれを、2つの仕分けコンベアのうちの一方に振り分けるコンベアシステムも存在する。
【0008】
例えば、自動仕分けコンベアと手動仕分けコンベアとを備えるコンベアシステムに関する技術も開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の技術によれば、上流から搬送されてくる荷物のそれぞれの重量およびサイズから、それぞれの荷物の振り分け先(自動仕分けコンベアおよび手動仕分けコンベアのいずか一方)を自動的に判別する。さらに、それぞれの荷物を、判別結果に示される振り分け先に送り出す。
【0010】
例えば、ある荷物が、その大きさおよび重量がともに所定範囲内であれば、自動仕分けコンベアに振り分け、それ以外であれば、手動仕分けコンベアに振り分ける。
【0011】
このように、特許文献1に記載の技術は、荷物の振り分け先を自動仕分けコンベアおよび手動仕分けコンベアのいずれにすべきかの判断を自動化することで、複数の荷物に対する仕分け作業全体の効率化を図ろうとする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−290511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の技術では、荷物の振り分け先の判断が充分ではない場合もある。
【0014】
例えば、仕分け装置の一種であるダイバータは、荷物の側面を押すことで、当該荷物を分岐コンベアに送り出す。そのため、送り出しの確実性の観点から、ダンボール箱のように側面にある程度の面積の平面が存在する荷物の仕分けに適している。
【0015】
しかしながら、ある荷物の重量およびサイズ(縦、横、高さ)がいずれも所定の範囲内であっても、その側面が、例えば外方または内方に凸の曲面で構成されている場合、ダイバータでは正確に分岐コンベアの方向に送り出せない可能性がある。
【0016】
また、直線的に荷物を分岐コンベアに押し出すプッシャー式の仕分け装置の場合も、同様に、このような定形度が小さな形状の荷物を的確に分岐コンベアは送り出せずに仕分けエラーが発生する可能性がある。
【0017】
従って、従来では、このような仕分けエラーの発生を防止するために、様々な形状が混在する複数の荷物をコンベアシステムに投入することはできなかった。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、互いに異なる仕分け方式で仕分けを行う複数のコンベアを備えるコンベアシステムであって、上流から供給される荷物をこれら複数のコンベアのいずれかに振り分ける際に、振り分け先を的確に判定することのできるコンベアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記従来の課題を解決するため、本発明のコンベアシステムは、第一の仕分け方式で荷物の仕分けが行われる第一コンベアと、前記第一の仕分け方式とは異なる第二の仕分け方式で荷物の仕分けが行われる第二コンベアとを備えるコンベアシステムであって、前記第一コンベアまたは前記第二コンベアに送り出される荷物の形状を示す情報を取得し、取得した情報から、前記荷物の形状と所定の形状との近さの度合いを示す定形度を算出する定形度算出部と、前記定形度算出部により算出された定形度に基づいて、前記荷物を前記第一コンベアまたは前記第二コンベアのいずれに送り出すかを判定する分岐制御部と、分岐制御部の判定結果に従って、前記荷物を前記第一コンベアおよび前記第二コンベアのいずれか一方に送り出す分岐装置とを備える。
【0020】
この構成によれば、仕分け対象の荷物の定形度が求められ、その定形度に応じて、互いに仕分け方式の異なる第一コンベアおよび第二コンベアのうちの一方に振り分けられる。
【0021】
従って、例えば全体として円柱状、円錐状、角錐状、または球状の荷物、もしくは、側面に大きく張り出した凸部がある荷物などの定形度の小さな荷物であっても、当該荷物はその定形度に応じた仕分けコンベア(第一コンベアまたは第二コンベア)に振り分けられる。
【0022】
つまり、このような定形度の低い荷物が複数の荷物の中に混在している場合であっても、これら複数の荷物を安心して当該コンベアシステムに投入できる。また、当該コンベアシステムは、これら複数の荷物に対する効率のよい仕分け作業を実行することができる。
【0023】
また、前記定形度算出部は、前記荷物の形状を示す情報である前記荷物の上面視を光学的に検出する第一検出器と、前記荷物の形状を示す情報である前記荷物の側面視を光学的に検出する第二検出器と、前記第一検出器により検出された上面視に外接する最小の長方形における前記上面視の面積の割合である上面視面積比、および、前記第二検出器により検出された側面視に外接する最小の長方形における前記側面視の面積の割合である側面視面積比の少なくとも一方を算出する面積比算出部とを有し、前記上面視面積比および側面視面積比の少なくとも一方を前記定形度として算出するとしてもよい。
【0024】
この構成によれば、荷物の定形度は、荷物の上面視および側面視に基づいて算出される。これら荷物の上面視および側面視は、例えば、エリアセンサ等の安価なセンサによって検出可能であり、かつ、定形度は簡単な処理で得ることができる。
【0025】
また、前記第一の仕分け方式は、仕分け装置が荷物に当接し仕分け先に押し出すことで仕分けを行う方式であり、前記面積比算出部は、前記側面視に外接する最小の長方形の一部である部分範囲における、前記側面視の割合を、前記側面視面積比として算出し、前記部分範囲は、前記荷物が前記第一コンベアに送り出された場合に、前記仕分け装置が前記荷物に当接する範囲であるとしてもよい。
【0026】
この構成によれば、例えば荷物の形状全体としては定形度が小さいが、第一コンベアに備えられた仕分け装置によって安全に仕分けできる荷物は、第一コンベアに送り出される。
【0027】
つまり、定形度は小さいものの、仕分け装置による自動仕分けが実質的に可能な荷物を、自動仕分けの対象から排除しないことができる。その結果、複数の荷物に対する仕分け作業全体の効率をより向上させることができる。
【0028】
また、前記第一の仕分け方式は、前記第二の仕分け方式よりも単位時間当たりの仕分可能数が高い方式であり、前記分岐制御部は、前記定形度と所定の閾値との比較を行い、前記定形度が前記所定の閾値以上である場合、前記第一コンベアに前記荷物を送り出すと判定し、前記定形度が前記所定の閾値より小さな場合、前記第二コンベアに前記荷物を送り出すと判定するとしてもよい。
【0029】
この構成により、定形度の小さな荷物は、例えば人手で仕分け作業が行われる第二コンベアに送り出し、定形度の大きな荷物は、例えば仕分け装置で高速な仕分けが行われる第一コンベアに送り出す、という的確な振り分け先の判定が、定形度と閾値との比較という単純な処理で実現される。
【0030】
また、本発明のコンベアシステムはさらに、前記荷物のサイズを計測するサイズ計測部を備え、前記分岐制御部は、前記サイズ計測部により計測されたサイズが大きいほど、大きな値を前記所定の閾値として前記比較に用いるとしてもよい。
【0031】
また、本発明のコンベアシステムはさらに、前記荷物のサイズを計測するサイズ計測部を備え、前記分岐制御部は、前記サイズ計測部により計測されたサイズが所定のサイズより大きい場合、前記計測されたサイズが前記所定のサイズ以下の場合よりも大きな値を、前記所定の閾値として用いて前記比較を行うとしてもよい。
【0032】
これらのように、定形度についての閾値を、荷物のサイズに応じて変化させてもよい。
【0033】
例えば、縦幅または横幅等のサイズが大きな荷物は、定形度が比較的大きな場合であっても、サイズが大きいがゆえに仕分け装置による仕分け先への送り出しが確実には行われず、仕分けエラーが発生する可能性がある。
【0034】
そこで、本発明の一態様におけるコンベアシステムでは、荷物が大きい場合には、定形度についての閾値を大きくし、当該荷物の振り分け先が第一コンベアであると判定し難くする。これにより、仕分け装置における、荷物の大きさに起因する仕分けエラーの発生が抑制され、複数の荷物に対する仕分け作業全体の効率をより向上させることができる。
【0035】
また、本発明は、本発明のコンベアシステムにおける特徴的な動作ステップを含む、荷物の仕分け方法として実現することもできる。また、それら各ステップをコンベアシステムに実行させる制御プログラムとして実現することもできる。
【発明の効果】
【0036】
本発明のコンベアシステムによれば、所定の形状を基準とする荷物の定形度に応じて、当該荷物の振り分け先を第一コンベアにするか第二コンベアにするかを判定することができる。つまり、本発明は振り分け先を的確に判定することのできるコンベアシステムを提供することができる。
【0037】
例えば、第一コンベアが、定形度の大きな荷物の仕分けを高速に行うことが可能な仕分け方式を採用したコンベアであり、第二コンベアが荷物の形状にとらわれずに安全に仕分けすることができる仕分け方式を採用したコンベアである場合を想定する。
【0038】
この場合、本発明のコンベアシステムによれば、複数の荷物のうち、定形度の比較的小さなものを第二コンベアに、定形度の比較的大きいものを第一コンベアに的確に振り分けることができる。そのため、様々な形状の数多くの荷物に対する仕分け作業が、安全かつ効率よく実行される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態のコンベアシステムの概要を示す図である。
【図2】実施の形態のコンベアシステムの主要な構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態における上面視検出器および側面視検出器の配置例を示す斜視図である。
【図4】(A)は、実施の形態における上面視検出器と検出対象の荷物とを示す上面概要図であり、(B)は、当該荷物についての上面視面積比を説明するための図である。
【図5】(A)は、実施の形態における側面視検出器と検出対象の荷物Aとを示す側面概要図であり、(B)は、当該荷物についての側面視面積比を説明するための図である。
【図6】実施の形態におけるコンベアシステムの基本的な動作の流れを示すフロー図である。
【図7】(A)は、実施の形態のコンベアシステムによって適切に振り分けられる定形度の小さな荷物の一例を示す図であり、(B)は、当該荷物の側面視を示す図であり、(C)は、当該荷物の上面視を示す図である。
【図8】(A)は、実施の形態のコンベアシステムによって適切に振り分けられる定形度の小さな荷物の別の一例を示す図であり、(B)は、当該荷物の本来的な上面視を示す図であり、(C)当該荷物の実際の上面視を示す図である。
【図9】(A)は、実施の形態におけるダイバータと荷物との大きさの関係の一例を示す図であり、(B)は、部分範囲における側面視面積比を説明するための図である。
【図10】実施の形態の変形例におけるコンベアシステムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施の形態におけるコンベアシステム10について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
まず、実施の形態のコンベアシステム10の構成について図1および図2を用いて説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施の形態のコンベアシステム10の概要を示す図である。
【0043】
図2は、本発明の実施の形態のコンベアシステム10の主要な構成を示すブロック図である。なお、図2において実線の矢印は情報の流れを示し、点線の矢印は荷物の移動を示している。
【0044】
本実施の形態におけるコンベアシステム10は、上流からフィーディングコンベア15により搬送される荷物の重量等を計測装置20で計測し、計測結果に従って当該荷物を分岐装置45によって、第一コンベア50または第二コンベア60に振り分けるシステムである。
【0045】
第一コンベア50に振り分けられた荷物、および、第二コンベア60に振り分けられた荷物は、それぞれ、第一コンベア50および第二コンベア60において荷物の宛先等に応じて仕分けられる。
【0046】
図1および図2に示すように、コンベアシステム10は、フィーディングコンベア15と、計測装置20と、メインコンベア30と、分岐制御部40と、分岐装置45と、第一コンベア50と第二コンベア60とを備える。
【0047】
第一コンベア50には分岐コンベア55が接続されており、分岐コンベア55を仕分け先とする荷物はダイバータ52により分岐コンベア55に送り出される。
【0048】
なお、ダイバータ52は、どの荷物を分岐コンベア55に送りだすべきかを示す指示に従って動作する。この指示は、例えば計測装置20によって読み取られた荷物の宛先情報に基づいてコンベアシステム10の全体を制御する制御装置(図示せず)からダイバータ52に送られる。
【0049】
また、第二コンベア60には分岐コンベア65が接続されており、分岐コンベア65に送り出すべき荷物は人手により分岐コンベア65に送り出される。例えば、分岐コンベア65の近くに設置されたランプ(図示せず)の点灯により、作業者はどの荷物を分岐コンベア65に送り出すべきかを判断する。
【0050】
このように、第一コンベア50は、ダイバータ52により自動かつ高速に荷物の仕分けを行う自動仕分けコンベアであり、第二コンベア60は、人手により荷物の仕分けを行う手動仕分けコンベアである。
【0051】
ある荷物について、第一コンベア50および第二コンベア60のどちらに振り分けるかは、計測装置20による計測結果に基づいて分岐制御部40により判断される。
【0052】
分岐装置45は、メインコンベア30によって搬送されてくる荷物のそれぞれを、分岐制御部40からの指示に従い、第一コンベア50および第二コンベア60のいずれか一方に振り分ける装置である。
【0053】
本実施の形態においては複数のローラが荷物の搬送方向を変更することにより荷物の方向転換をするターンローラ式の方向転換機が分岐装置45として採用されている。
【0054】
つまり、分岐装置45には、荷物を底面で支持しつつその荷物を振り分け先の方向に搬送する機構が採用されている。そのため、ダイバータ52等の荷物に当接し仕分け先に押し出す方式の方向転換機による自動仕分けが困難または不可能な荷物であっても、安全かつ確実な振り分けが可能である。
【0055】
なお、メインコンベア30を省略し、計測装置20から分岐装置45に直接荷物を送り込むよう構成してもよい。
【0056】
分岐制御部40は、計測装置20から荷物ごとの計測結果を受け取って、荷物ごとの振り分け先の指示を分岐装置45に送信する。
【0057】
計測装置20は、上流のフィーディングコンベア15から供給される荷物の、重量、サイズを計測し、さらに、当該荷物の定形度を算出する。
【0058】
図2に示すように、計測装置20は、重量計測部21、サイズ計測部22、および定形度算出部25を備える。
【0059】
定形度算出部25は、上面視検出器26、側面視検出器27、および面積比算出部28を有する。
【0060】
重量計測部21は、複数の荷物それぞれの重量を計測する構成部であり、サイズ計測部22は、複数の荷物それぞれのサイズ(縦、横、高さ)を計測する構成部である。
【0061】
サイズ計測部22は、例えば、後述する上面視検出器26および側面視検出器27から荷物の形状を示すデータを取得し、取得したデータから当該荷物のサイズを求める。
【0062】
定形度算出部25は、複数の荷物それぞれの定形度を算出する構成部である。荷物の定形度とは、その荷物の形状と所定の形状との近さの度合いを示す情報である。例えば、直方体を所定の形状とした場合、8つの角が丸められた箱と、円柱状の箱とでは、円柱状の箱の方が定形度が小さい。
【0063】
以下、図3〜図5を用いて、定形度算出部25による定形度の算出の方法について説明する。
【0064】
図3は、実施の形態における上面視検出器26および側面視検出器27の配置例を示す斜視図である。
【0065】
上面視検出器26は、本発明のコンベアシステムにおける第一検出器の一例であり、側面視検出器27は、本発明のコンベアシステムにおける第二検出器の一例である。
【0066】
本実施の形態において、上面視検出器26および側面視検出器27のそれぞれは、複数の光軸を用いて有無を検出することのできるエリアセンサである。
【0067】
上面視検出器26は、投光器26aと受光器26bとを有し、側面視検出器27は、投光器27aと受光器27bとを有する。
【0068】
上面視検出器26および側面視検出器27は、例えば図3に示すように配置され、上面視検出器26と側面視検出器27とで形成される矩形領域内に荷物を通過させることで、当該荷物の上面視および側面視が検出される。
【0069】
具体的には、上面視検出器26において、投光器26aには所定の間隔ごとに発光部が配置されている。また、受光器26bにはそれら発光部に対向する位置に受光部が配置されている。
【0070】
これにより、投光器26aと受光器26bとの間に当該間隔ごとの光軸が形成される。なお、当該間隔は例えば5mmであり、この場合、光軸ピッチが5mmであると表現される。
【0071】
上面視検出器26は、投光器26aと受光器26bとの間を荷物が通過する際の、所定の時間ごとのこれら光軸それぞれの遮断の有無により、当該荷物の上面視を検出する。
【0072】
また、側面視検出器27は、上面視検出器26と同様に、投光器27aと受光器27bとの間に形成された光軸それぞれの遮断の有無により、当該荷物の側面視を検出する。
【0073】
例えば、図3に示す荷物Aの上面視および側面視を検出する際の定形度算出部25の処理について、図4(A)〜図5(B)を用いて説明する。
【0074】
図4(A)は、上面視検出器26と検出対象の荷物Aとを示す上面概要図である。
【0075】
図4(B)は、荷物Aについての上面視面積比を説明するための図である。
【0076】
図4(A)に示すように、荷物Aは、フィーディングコンベア15によって搬送され、上面視検出器26の投光器26aと受光器26bとの間を通過し、メインコンベア30によって更に下流に搬送される。
【0077】
この通過の際に、上面視検出器26は、荷物Aの上面視を検出する。
【0078】
具体的には、投光器26aと受光器26bとの間を荷物Aが通過している間のあるタイミングで、どの光軸が遮断されているか(または、どの光軸が受光器26bに到達しているか)を検出することで、当該タイミングにおいて荷物Aの投光器26aと受光器26bとの間に位置していた部分の横方向(図4(A)におけるY軸方向)の位置が1以上の線分として検出される。
【0079】
言い換えると、上面視検出器26に形成された複数の光軸を含む平面で荷物Aを切断した場合の切断面を上方から見た場合の切断面の存在位置が、1以上の線分として検出される。
【0080】
上面視検出器26は、この検出処理を所定の時間間隔ごとに行う。さらにこれにより検出された複数の線分を、当該時間間隔と荷物Aの通過速度とに応じた距離間隔で検出タイミング順に並べることで、荷物Aの上面視は得られる。
【0081】
面積比算出部28は、上面視検出器26から荷物Aの上面視を示す上面視データを受け取ると、当該上面視の面積、および、当該上面視に外接する最小の長方形を算出する。
【0082】
面積比算出部28はさらに、このように算出した長方形の面積に対する上面視面積の割合である上面視面積比を算出する。
【0083】
図4(B)に示すように、この長方形の長辺の長さをLとし、短辺の長さをWとし、上面視面積をS1とすると、荷物Aの上面視面積比は、“S1/WL”となる。
【0084】
なお、最小の長方形が正方形になる場合は、長辺および短辺の区別はなく、WとLとは同じ値(当該正方形の一辺の長さ)となる。
【0085】
また面積比算出部28は、荷物Aについての側面視面積比も、上面視面積比と同様の手順で算出する。
【0086】
図5(A)は、側面視検出器27と検出対象の荷物Aとを示す側面概要図である。
【0087】
図5(B)は、荷物Aについての側面視面積比を説明するための図である。
【0088】
図5(A)に示すように、荷物Aは、フィーディングコンベア15によって搬送され、上面視検出器26の投光器26aと受光器26bとの間を通過する際に、側面視検出器27の投光器27aと受光器27bとの間も通過する。
【0089】
この通過の際に、側面視検出器27は、荷物Aの側面視を検出する。
【0090】
その検出手法は、上記の上面視の検出と同様であり、投光器27aと受光器27bとの間に形成された光軸のうちどの光軸が遮断されているか(または、どの光軸が受光器27bに到達しているか)の検出結果、並びに、検出の時間間隔および荷物Aの通過速度から、荷物Aの側面視は得られる。
【0091】
面積比算出部28は、側面視検出器27から荷物Aの側面視を示す側面視データを受け取ると、当該側面視の面積、および、当該側面視に外接する最小の長方形を算出する。
【0092】
図5(B)に示すように、この長方形の長辺の長さをHとし、短辺の長さをRとし、側面視面積をS2とすると、荷物Aの側面視面積比は、“S2/HR”となる。
【0093】
なお、最小の長方形が正方形になる場合は、長辺および短辺の区別はなく、HとRとは同じ値(当該正方形の一辺の長さ)となる。
【0094】
このようにして求められた上面視面積比および側面視面積比の少なくとも一方は、荷物Aの定形度を示す値として扱われる。つまり、本実施の形態において、荷物Aの定形度とは、荷物Aの上面視または側面視の少なくとも一方における、所定の形状との近さの度合いを示す値である。
【0095】
例えば、上面視面積比および側面視面積比のいずれかが“0.8”より小さい場合、分岐制御部40により荷物Aの定形度は閾値より小さいと判定される。
【0096】
このような定形度の算出のために、定形度算出部25は、例えば、上面視面積比および側面視面積比のうち小さな方を、荷物Aの定形度として決定する。
【0097】
例えば、荷物Aの上面視面積比が“0.6”であり、側面視面積比が“0.9”である場合、定形度算出部25は、荷物Aの定形度として“0.6”を決定する。
【0098】
分岐制御部40は、荷物Aの定形度である“0.6”を示す情報を受け取り、閾値である“0.8”と比較する。その結果、“0.6”は“0.8”より小さいため、分岐装置45に、荷物Aを、手動仕分けコンベアである第二コンベア60に送り出すよう指示する。
【0099】
つまり、定形度が小さな荷物は、ダイバータ52などの、側方から荷物を押す方式の仕分け装置では、的確な方向に方向転換できないなどの問題が発生する可能性がある。
【0100】
そこで、分岐制御部40は、このような荷物は、人手で仕分け作業が行われる第二コンベア60に振り分けられるように、分岐装置45を制御する。
【0101】
なお、上面視面積比および側面視面積比と、定形度とは、正の相関関係にあればよい。そのため、例えば、上面視面積比および側面視面積比の少なくとも一方に係数を乗じた値を定形度としてもよい。
【0102】
また、例えば、予め、面積比の範囲と定形度とを対応付けた定形度テーブルを定形度算出部25が記憶しておいてもよい。この場合、例えば、定形度テーブルに“0<面積比<0.8:定形度=0、0.8≦面積比≦1:定形度=1”という情報を記録しておく。
【0103】
定形度算出部25は、上述のように荷物Aの上面視面積比および側面視面積比を算出し、これらのうち小さな方を、荷物Aを代表する面積比として決定する。定形度算出部25はさらに、定形度テーブルを参照することで、当該面積比に対応する定形度、つまり“1”または“0”を決定する。つまり、定形度テーブルを用いた処理によっても定形度が算出される。
【0104】
さらに、分岐制御部40は、定形度算出部25から当該定形度を示す情報を受け取り、閾値“0.5”と比較する。つまり、定形度が“1”であれば、定形度は閾値より大きいため、分岐制御部40は、荷物Aを第一コンベア50に振り分けるように分岐装置45を制御する。また、定形度が“0”であれば、定形度は当該閾値より小さいため、分岐制御部40は、荷物Aを第二コンベア60に振り分けるように分岐装置45を制御する。
【0105】
なお、上記説明では、本発明の特徴である定形度を中心に、振り分け先の決定処理について説明した。しかし、具体的には、分岐制御部40は、荷物の定形度だけでなく荷物の重量等の属性も考慮して、振り分け先の決定を行う。
【0106】
以下、本実施の形態のコンベアシステム10の基本的な動作の流れを、図6を用いて説明する。
【0107】
図6は、実施の形態におけるコンベアシステム10の基本的な動作の流れを示すフロー図である。
【0108】
コンベアシステム10に仕分け対象の荷物が投入されると、フィーディングコンベア15により計測装置20まで当該荷物が搬送される。
【0109】
計測装置20の重量計測部21は、当該荷物の重量を計測し(S10)、計測装置20のサイズ計測部22は、荷物のサイズ(縦、横、高さ)を計測する(S11)。
【0110】
また、計測装置20の定形度算出部25は、上述の処理より当該荷物の定形度を算出する(S12)。
【0111】
分岐制御部40は、計測装置20によって計測または算出された当該荷物の重量等の属性情報を受け取り、当該荷物の振り分け先を判定する。具体的には以下の処理が行われる。
【0112】
分岐制御部40は、当該荷物の重量が所定の範囲内であるか否かを判定する。当該荷物の重量が所定の範囲内であれば(S13でYes)、当該荷物のサイズが所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0113】
当該荷物のサイズが所定の範囲内であれば(S14でYes)、当該荷物の定形度が所定の条件を満たすか否かを判定する。ここで、所定の条件とは、当該定形度が閾値以上であるという条件である。
【0114】
例えば、閾値が“0.8”であり、当該定形度が“1”であれば、定形度が所定の条件を満たし(S15でYes)、分岐制御部40は、当該荷物を第一コンベア50に送り出すと判定する。
【0115】
分岐装置45は、この判定結果に従って、当該荷物を第一コンベア50に送り出す(S16)。
【0116】
なお、当該荷物の重量が所定の範囲内でない場合(S13でNo)、当該荷物のサイズが所定の範囲内でない場合(S14でNo)、または、定形度が所定の条件を満たさない場合(S15でNo)は、分岐制御部40は、当該荷物を第二コンベア60に送り出すと判定する。
【0117】
分岐装置45は、この判定結果に従って、当該荷物を第二コンベア60に送り出す(S17)。
【0118】
本実施の形態のコンベアシステム10は、以上の処理の流れを仕分け対象の複数の荷物のそれぞれについて行うことで、これら荷物を、それぞれの属性に適した仕分けコンベア(第一コンベア50または第二コンベア60)に振り分けることができる。
【0119】
その結果、これら複数の荷物は、それぞれの荷物に応じた態様で仕分け先へ搬送される。つまり、これら複数の荷物に対する仕分け作業が安全かつ効率よく実行される。
【0120】
なお、図6においては、荷物の重量、サイズ、定形度の順で計測または算出が実行され、荷物の重量、サイズ、定形度の順で、所定の基準との比較が行われている。しかしながら、これら処理の順はこれに限られない。これら比較処理が行えるのであれば、これらの処理の順は任意に決定可能である。
【0121】
また、例えば、仕分け対象の複数の荷物それぞれの重量およびサイズが、第一コンベア50および第二コンベア60での仕分けが可能な範囲内であることが分かっている場合を想定する。この場合、重量およびサイズの計測(S10、S11)、並びに、重量およびサイズとこれらそれぞれについての所定の範囲との比較(S13、S14)は省略してもよい。
【0122】
以上、説明したように、本実施の形態のコンベアシステム10では、互いに仕分け方式の異なる2つの仕分けコンベアである第一コンベア50および第二コンベア60を備え、複数の荷物の第一コンベア50および第二コンベア60への振り分けを行う。
【0123】
ここで、コンベアシステム10は、この振り分けの際に上述の荷物の定形度という属性を利用する。これにより、複数の荷物のそれぞれは、それぞれの形状に適した振り分け方式の仕分けコンベアへ振り分けられる。その結果、複数の荷物に対する振り分けを従来よりも的確に行うことができる。
【0124】
つまり、例えば重量とサイズは自動仕分け可能な範囲であるが、その形状が自動仕分けに不適な荷物がある場合、当該荷物は、手動仕分けがなされる第二コンベア60に振り分けられる。
【0125】
図7(A)は実施の形態のコンベアシステム10によって適切に振り分けられる定形度の小さな荷物の一例を示す図である。
【0126】
例えば図7(A)に示すように、円柱形状の荷物Bが仕分け対象の荷物である場合を想定する。
【0127】
この場合、側面視は図7(B)に示す形状であり、上面視は、図7(C)に示す形状である。このような形状に近い形状の荷物の一例としては、例えば自動車のタイヤが挙げられる。
【0128】
また、図7(B)および図7(C)に示すように、荷物Bの縦幅をLとし、横幅をWとし、高さをHとする。なお、荷物Bは円柱形状であるため、図7(B)および図7(C)におけるR、L、Wは同一の値である。
【0129】
この想定において、縦幅L、横幅W、および高Hが、自動仕分け可能な範囲内であり、重量も自動仕分け可能な範囲である場合、従来であれば、自動仕分けコンベアに振り分けられることになる。
【0130】
しかしながら、当該自動仕分けコンベアに、例えばダイバータのような側面を押圧するタイプの方向転換機が採用されている場合、図7(A)および図7(C)に示すように、荷物Bの側面は曲面であるため、側面が押圧された場合に、例えば周方向に回転することで荷物Bを仕分け先の方向に送り出せず、仕分けエラーが発生する可能性がある。
【0131】
しかしながら、本実施の形態のコンベアシステム10によれば、このようなエラーの発生を抑制することができる。
【0132】
具体的には、荷物Bは、側面視および上面視が図7(B)および図7(C)に示す形状であるため、定形度算出部25は、側面視面積比として“1”を、上面視面積比として“π/4”を算出する。
【0133】
定形度算出部25は、側面視面積比および上面視面積比のうち小さな方、つまり、“π/4”を、荷物Bの定形度として決定し、分岐制御部40に送信する。
【0134】
分岐制御部40には、例えば閾値が“0.8”と設定されており、当該定形度“π/4”はこの閾値より小さい。そのため、分岐制御部40は、荷物Bを第二コンベア60に送り出すと判定する。
【0135】
つまり、本実施の形態のコンベアシステム10によれば、荷物Bは定形度が小さいと判定され、これにより、自動仕分けコンベアである第一コンベア50ではなく、手動仕分けコンベアである第二コンベア60に振り分けられる。その結果、荷物Bは安全かつ確実に仕分け先に搬送される。
【0136】
また、例えば直方体、または、直方体に近い形状など、本来的な形状は定形度が小さくない形状の荷物であっても、梱包が不十分であるなどの理由で、従来のコンベアシステムでは、自動仕分けコンベアにおいてエラーが発生する場合もある。
【0137】
しかしながら、本実施の形態のコンベアシステム10によれば、荷物の定形度という属性を利用することにより、このような不測の事態にも対応することができる。
【0138】
図8(A)は実施の形態のコンベアシステム10によって適切に振り分けられる定形度の小さな荷物の別の一例を示す図である。
【0139】
図8(A)に示す荷物Cは、その本体の上面視は長方形に近い形状である。なお、図示していないが、側面視も同様に長方形に近い形状である。
【0140】
そのため、荷物Cの上面視面積比は、本来的には、図8(B)に示すように、“S1/WbLb”となり、この値は1に近い値となる。また、上記のように側面視も長方形に近い形状であるため、荷物Cは、本来的には定形度は大きいと判断されるべき荷物である。
【0141】
しかしながら、図8(A)に示すように、例えば荷物Cの梱包が不十分であるため、荷物Cの本体から、例えば梱包用の紐の一部である余剰物が荷物Cから垂れ下がっている場合を想定する。
【0142】
この想定下において、仮に、荷物Cを第一コンベア50に振り分けた場合、ダイバータ52によって、分岐コンベア55に荷物Cを送り出そうとする場合、この余剰物が、ダイバータ52と第一コンベア50の搬送面との間に噛み込み、仕分けエラーが発生する可能性がある。
【0143】
しかしながら、本実施の形態のコンベアシステム10では、このような余剰物は定形度算出部25によって認識され、荷物Cの上面視は図8(C)に示す形状として検出される。
【0144】
つまり、余剰物を含む荷物C全体の上面視が検出される。また当該上面視に外接する最小の長方形の面積は、“WcLc”となる。
【0145】
この場合、余剰物のない荷物Cの上面視面積S1から、余剰物のある荷物Cの上面視面積S1´への増加分に比べ、外接長方形の面積の増加分(WbLbからWcLcへの増加分)のほうがはるかに大きい。
【0146】
つまり、余剰物のある荷物Cの上面視面積比(S1´/WbLb)は、比較的小さな値になる。例えば図8(C)に示す場合の上面視面積比が“0.6”である場合、閾値を“0.8”とすると、当該上面視面積比は、閾値より小さな値となる。
【0147】
従って、分岐制御部40は、荷物Cを第二コンベア60へ送り出すと判定する。
【0148】
このように、本実施の形態のコンベアシステム10は、仕分け対象の荷物の現実の形状から定形度を算出する。
【0149】
そのため、上記の荷物Cのような梱包不十分な荷物のみならず、取っ手または肩掛け用のベルトが付属するカバンなど、全体形状が必ずしも一定ではない荷物、または、本体だけ見れば定形度が大きいと判断される荷物が仕分け対象である場合であっても、これら荷物の定形度を適切に算出することができる。
【0150】
その結果、荷物の形状が変化し易いことを起因とする仕分けエラー、および、荷物本体の定形度が大きいことによる誤判定を起因とする仕分けエラーの発生が抑制される。
【0151】
なお、本実施の形態において、側面視面積比は、側面視に外接する最小の長方形の全体に対する側面視の割合であるとした。
【0152】
しかしながら、この長方形の一部である部分範囲における側面視の割合を、側面視面積比として算出してもよい。
【0153】
例えば、仕分け装置としてダイバータ52が採用された場合、ダイバータ52の荷物に対する当接可能な範囲は、そのダイバータ52の大きさによって変わる。
【0154】
従って、その当接可能な範囲に対応するように側面視面積比を算出することで、定形度を用いた振り分け先の判定をより精度よく行うことができる。
【0155】
図9(A)は、実施の形態におけるダイバータ52と荷物との大きさの関係の一例を示す図である。
【0156】
図9(A)に示すように、ダイバータ52の上辺の、第一コンベア50の搬送面からの高さがhであると想定する。
【0157】
この場合、荷物Aの側面の、底面から高さhまでの範囲にダイバータ52が当接する。そのため、荷物Aにおけるこの範囲の定形度が、ダイバータ52が荷物Aを確実に分岐コンベア55に送り出せるかについての重要な要素であると言える。
【0158】
そこで、面積比算出部28は、図9(B)に示すように、荷物Aに外接する最小の長方形の一部である、底辺からhまでの部分範囲の面積(hR)を求める。面積比算出部28はさらに、当該部分範囲における側面視の面積(S2´)を、側面視面積比(S2´/hR)として求める。
【0159】
この、部分範囲における側面視面積比(S2´/hR)は、図5(B)に示す、荷物Aの側面視全体を考慮した側面視面積比(S2/HR)に比べると大きな値となる。つまり、当該部分範囲の定形度は比較的大きく、ダイバータ52による自動仕分けが可能であると判断することができる。
【0160】
このように、荷物全体の形状の定形度を考慮すると、手動で仕分けたほうがよいと判断される荷物であっても、荷物の部分的な形状の定形度が大きければ、自動仕分けが可能である場合がある。
【0161】
そこで、ダイバータ52が荷物に当接する範囲における定形度を振り分け先の判定に用いる。
【0162】
これにより、荷物全体としては定形度が小さな荷物であっても、第一コンベア50における当該荷物に対する仕分け作業に実質的に問題が発生しない場合、当該荷物は分岐装置45によって第一コンベア50に送り出される。
【0163】
すなわち、仕分け対象の複数の荷物の全体において、第二コンベア60よりも単位時間当たりの仕分け可能数が高い第一コンベア50に振り分けられる荷物の割合が大きくなる。その結果、これら複数の荷物の仕分け作業全体の効率がより向上する。
【0164】
また、本実施の形態におけるコンベアシステム10は、ダイバータ52により荷物の仕分けが行われる第一コンベア50と、手動で荷物の仕分けが行われる第二コンベア60を備えるとした。
【0165】
しかしながら、コンベアシステム10は、仕分け方式の互いに異なる2つのコンベアとして、2つの自動仕分けコンベアを備えてもよい。
【0166】
図10は、実施の形態の変形例におけるコンベアシステム11の概要を示す図である。
【0167】
図10に示すコンベアシステム11は、図1に示すコンベアシステム10と比べると、第二コンベア60にターンローラ式の方向転換機62が備えられている点で異なっている。それ以外の構成は、コンベアシステム11とコンベアシステム10とで同一である。
【0168】
方向転換機62はターンローラを有し、上述のように底面で荷物を搬送しかつ方向転換する装置であり、単位時間当たりの仕分け可能数はダイバータ52には劣るものの、定形度の小さな荷物であっても安全かつ確実に分岐コンベア65に送り出すことができる。
【0169】
つまり、コンベアシステム11は、コンベアシステム10と同じく、定形度が大きな荷物は第一コンベア50で高速に仕分けを行わせ、定形度が小さな荷物は、安全かつ確実に仕分けられる第二コンベア60で仕分けを行わせることができる。
【0170】
なお、本実施の形態において、定形度算出部25は、ある荷物について、上面視面積比および側面視面積比のうち小さな方を、当該荷物の定形度として決定するとした。
【0171】
しかしながら、例えば、上面視面積比および側面視面積比の双方を用いて定形度を算出してもよい。ある荷物の上面視面積比および側面視面積比のそれぞれは、当該荷物の定形度と正の相関関係がある値である。従って、例えば、上面視面積比と側面視面積比との和が大きいほど定形度が大きくなる関数または当該和と定形度とが対応付けられたテーブルを用いて、定形度を算出してもよい。
【0172】
また、例えば、荷物の上面視および側面視いずれか一方のみに着目し、当該一方の定形度を当該荷物の定形度として決定してもよい。
【0173】
例えば、特定の種類の複数の荷物が仕分け対象であり、それらの上面視面積比を無視しても振り分け先の判定に実質的に問題が生じない場合を想定する。
【0174】
この場合、定形度算出部25は、これらの荷物の側面視面積比のみを算出することでそれぞれの荷物の定形度を求めてもよい。これにより、例えば計測装置20の処理負荷が削減される。
【0175】
また、定形度の算出は、計測装置20ではなく、分岐制御部40が行ってもよい。例えば、分岐制御部40は、上面視検出器26および側面視検出器27から上面視データおよび側面視データを受け取り、さらに、これらデータを用いて定形度を算出する。
【0176】
つまり、仕分け対象の荷物の定形度に基づいて当該荷物の振り分け先を判定できるのであれば、これら一連の処理を行うための複数の機能を実現する複数の処理部はどのように組み合わされてもよい。
【0177】
また、定形度についての閾値は、特定の値に限定されない。例えば、“a”という値を定形度についての閾値として分岐制御部40に設定し、コンベアシステム10に、テストとして複数の荷物の仕分けを行わせる。
【0178】
その結果、本来的にはダイバータ52による仕分けが安全に行えるような荷物まで、第二コンベア60に振り分けられた場合、 “a”を小さな値に変更する。
【0179】
また、逆に、定形度の大きさに起因してダイバータ52で仕分けエラーが発生する荷物まで、第一コンベア50に振り分けられた場合、 “a”を大きな値に変更する。
【0180】
つまり、定形度についての閾値は、このようなテストの結果から最適な値を求めればよい。また、経験則または論理計算から求めてもよい。
【0181】
また、定形度についての閾値を、荷物ごとに変更してもよい。例えば、荷物の大きさに応じて閾値を変更してもよい。
【0182】
例えば比較的大きな荷物の場合、この荷物を第一コンベア50の搬送路上から確実に分岐コンベア55に送り出すためには、高い精度で、当該荷物の方向を変更する必要がある。
【0183】
従って、荷物のサイズが大きいほど、定形度についての閾値を大きくする。つまり、荷物のサイズに比例するように閾値を変化させる。
【0184】
または、荷物のサイズが、所定のサイズより大きい場合、所定のサイズ以下である場合よりも大きな値を、定形度についての閾値として設定する。つまり、荷物のサイズに応じた複数の異なる閾値を予め定めておく。
【0185】
つまり、荷物のサイズが大きい場合には、小さな値を定形度についての閾値として用いることで、当該荷物の振り分け先が第一コンベア50であると判定し難くする。
【0186】
なお、ここでいう「荷物のサイズ」とは、例えば、荷物の縦幅、横幅、および高さのいずれか、または、荷物の縦幅、横幅、および高さのうちの2以上の値の和である。
【0187】
つまり、分岐制御部40は、荷物のサイズのサイズに応じて定形度についての閾値を変更し、変更後の閾値を用いて当該荷物の振り分け先の判定を行ってもよい。
【0188】
これにより、定形度が大きいことにより第一コンベア50に送り出された荷物が、サイズが大きいことに起因して仕分け先に送り出されないというエラーの発生の可能性が低減される。
【0189】
また、本実施の形態において、コンベアシステム10は、第一コンベア50および第二コンベア60の2つの仕分けコンベアを備えている。しかしながら、コンベアシステム10は3以上の仕分けコンベアを備えてもよい。
【0190】
コンベアシステム10に3以上の仕分けコンベアを備えた場合であっても、複数の荷物のそれぞれは、それぞれの定形度に応じた仕分けコンベアへ送り出される。
【0191】
例えば、図10に示す方向転換機62を備える仕分けコンベアを第三コンベアとして、コンベアシステム10にさらに備えた場合を想定する。
【0192】
この場合、例えば、定形度を“大”、“中”、“小”の三段階に分ける。さらに、定形度が“大”のものは、高速な自動仕分けが行われる第一コンベア50に、定形度が“中”のものは、低速な自動仕分けが行われる第三コンベアに、定形度が“小”のものは、手動仕分けが行われる第二コンベア60に振り分ける。
【0193】
このように判定することで、複数の荷物のそれぞれは、それぞれの定形度に適した仕分けコンベアに送り出され、仕分け作業全体が安全かつ効率よく実行される。
【0194】
また、例えば、定形度が制限値を下回った場合、第一コンベア50および第二コンベア60のいずれにも送り出さず、コンベアシステム10による仕分け対象から外すという制御が行われてもよい。
【0195】
例えば、分岐制御部40が、計測装置20から出力されたある荷物についての定形度が制限値を下回ったことを検出した場合、分岐装置45より上流のメインコンベア30等を停止するよう制御する。これにより、作業員は当該荷物をメインコンベア30から取り出すことができる。
【0196】
こうすることで、例えば、定形度があまりに小さいために、第二コンベア60であっても搬送および仕分けが安全に行えない可能性がある荷物を、コンベアシステム10から排除することができる。
【0197】
また、コンベアシステム10は、荷物の形状と所定の形状との近さの度合いを示す定形度ではなく、荷物の形状と所定の形状との違いの度合いを示す異形度を、振り分け先の判定に用いてもよい。
【0198】
このような異形度の算出のために、定形度算出部25は、例えば、荷物Aの上面視面積比および側面視面積比のそれぞれの逆数を算出する。さらに算出した2つの逆数のうちの大きな方を、荷物Aの異形度として決定する。
【0199】
例えば、荷物Aの上面視面積比が“0.6”であり、側面視面積比が“0.9”である場合、それぞれの逆数は“1/0.6”および“1/0.9”である。この場合、定形度算出部25は、荷物Aの異形度として“1/0.6”を決定する。
【0200】
また、定形度についての閾値が“0.8”である場合、その逆数である“1.25”を異形度についての逆数として分岐制御部40に設定しておく。
【0201】
分岐制御部40は、荷物Aの異形度である“1/0.6”を示す情報を受け取り、閾値である“1.25”と比較する。その結果、“1/0.6”は1.25より大きいため、分岐装置45に、荷物Aを、手動仕分けコンベアである第二コンベア60に送り出すよう指示する。
【0202】
なお、上記例の場合、異形度は定形度と反比例の関係にある属性である。しかし、異形度は定形度と負の相関関係にあればよい。例えば、“1−上面視面積比”および“1−側面視面積比”のうちの大きい方を異形度と決定してもよい。
【0203】
この場合、上面視に外接する最小の長方形における上面視以外の面積の割合と、側面視に外接する最小の長方形における側面視以外の面積の割合とのうちの大きい方を異形度とすることと等価である。
【0204】
このように、異形度は定形度と負の相関関係にある属性である。従って、簡単に言うと、定形度が小さな荷物は第二コンベア60に振り分け、定形度が大きな荷物は第一コンベア50に振り分けるという処理と、異形度が大きな荷物は場合に第二コンベア60に振り分け、異形度が小さな荷物は第一コンベア50に振り分けるという処理とは等価である。
【0205】
そのため、異形度を振り分け先の判定に用いた場合であっても、定形度を振り分け先の判定に用いた場合と同様に、振り分け先の的確な判定を行うことができる。
【0206】
また、定形度算出部25は、面積比の範囲と異形度とを対応付けた異形度テーブルを参照することで、異形度を算出してもよい。
【0207】
また、面視面積比および側面視面積比の双方を用いて異形度を算出してもよい。例えば、上面視面積比と側面視面積比との和が大きいほど異形度が小さくなる関数または当該和と異形度とが対応付けられたテーブルを用いて、異形度を算出してもよい。
【0208】
また、例えば、荷物の上面視および側面視いずれか一方のみに着目し、当該一方の異形度を当該荷物の異形度として決定してもよい。
【0209】
また、本実施の形態において、上面視検出器26および側面視検出器27のそれぞれは、エリアセンサであるとした。
【0210】
しかしながら、上面視検出器26および側面視検出器27のそれぞれは、例えばカメラであってもよい。つまり、定形度の算出に必要な精度で上面視および側面視を検出できるのであれば、その手法および装置は特定のものに限定されない。
【0211】
以上、本発明の実施の形態および種々の変形例について説明した。しかしながら、本発明は、上述の実施の形態および変形例に限定されるものではない。
【0212】
本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明のコンベアシステムは、互いに異なる仕分け方式で仕分けを行う複数のコンベアを備えるシステムであって、複数のコンベアのうちのいずれに荷物を振り分けるかを判定するに際し、荷物の定形度に応じて的確に判定することができる。そのため、多種多様な荷物を仕分けることが要求される物流の現場における仕分けのためのコンベアシステム等として有用である。
【符号の説明】
【0214】
10、11 コンベアシステム
15 フィーディングコンベア
20 計測装置
21 重量計測部
22 サイズ計測部
25 定形度算出部
26 上面視検出器
26a、27a 投光器
26b、27b 受光器
27 側面視検出器
28 面積比算出部
30 メインコンベア
40 分岐制御部
45 分岐装置
50 第一コンベア
52 ダイバータ
55、65 分岐コンベア
60 第二コンベア
62 方向転換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の仕分け方式で荷物の仕分けが行われる第一コンベアと、前記第一の仕分け方式とは異なる第二の仕分け方式で荷物の仕分けが行われる第二コンベアとを備えるコンベアシステムであって、
前記第一コンベアまたは前記第二コンベアに送り出される荷物の形状を示す情報を取得し、取得した情報から、前記荷物の形状と所定の形状との近さの度合いを示す定形度を算出する定形度算出部と、
前記定形度算出部により算出された定形度に基づいて、前記荷物を前記第一コンベアまたは前記第二コンベアのいずれに送り出すかを判定する分岐制御部と、
分岐制御部の判定結果に従って、前記荷物を前記第一コンベアおよび前記第二コンベアのいずれか一方に送り出す分岐装置と
を備えるコンベアシステム。
【請求項2】
前記定形度算出部は、
前記荷物の形状を示す情報である前記荷物の上面視を光学的に検出する第一検出器と、
前記荷物の形状を示す情報である前記荷物の側面視を光学的に検出する第二検出器と、
前記第一検出器により検出された上面視に外接する最小の長方形における前記上面視の面積の割合である上面視面積比、および、前記第二検出器により検出された側面視に外接する最小の長方形における前記側面視の面積の割合である側面視面積比の少なくとも一方を算出する面積比算出部とを有し、
前記上面視面積比および側面視面積比の少なくとも一方を前記定形度として算出する
請求項1記載のコンベアシステム。
【請求項3】
前記第一の仕分け方式は、仕分け装置が荷物に当接し仕分け先に押し出すことで仕分けを行う方式であり、
前記面積比算出部は、前記側面視に外接する最小の長方形の一部である部分範囲における、前記側面視の割合を、前記側面視面積比として算出し、
前記部分範囲は、前記荷物が前記第一コンベアに送り出された場合に、前記仕分け装置が前記荷物に当接する範囲である
請求項2記載のコンベアシステム。
【請求項4】
前記第一の仕分け方式は、前記第二の仕分け方式よりも単位時間当たりの仕分可能数が高い方式であり、
前記分岐制御部は、前記定形度と所定の閾値との比較を行い、前記定形度が前記所定の閾値以上である場合、前記第一コンベアに前記荷物を送り出すと判定し、前記定形度が前記所定の閾値より小さな場合、前記第二コンベアに前記荷物を送り出すと判定する
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベアシステム。
【請求項5】
さらに、前記荷物のサイズを計測するサイズ計測部を備え、
前記分岐制御部は、前記サイズ計測部により計測されたサイズが大きいほど、大きな値を前記所定の閾値として前記比較に用いる
請求項4記載のコンベアシステム。
【請求項6】
さらに、前記荷物のサイズを計測するサイズ計測部を備え、
前記分岐制御部は、前記サイズ計測部により計測されたサイズが所定のサイズより大きい場合、前記計測されたサイズが前記所定のサイズ以下の場合よりも大きな値を、前記所定の閾値として用いて前記比較を行う
請求項4記載のコンベアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105436(P2011−105436A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261305(P2009−261305)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】