説明

コンベヤ設備

【課題】コンベヤラインの途中に、当該コンベヤラインが通る通路を遮断する防火シャッターが設けられたコンベヤ設備のシャッター降下動作時の安全を図る。
【解決手段】コンベヤライン2の途中に設けられたシャッター昇降用空間部6に、上下揺動自在な被搬送物中継用ローラー7が設けられると共に、押し下げ操作されることにより当該被搬送物中継用ローラー7を被搬送物支持中継位置から退避位置へ切り換える上下動被操作レバー8aが併設され、シャッター降下時に被操作レバー8aを押し下げる操作部21がシャッター1の下端に設けられたコンベヤ設備において、シャッター1の下端に上下動検出片20aを備えた障害物検知センサー20が設けられ、前記操作部21は、検出片20aよりも下方に突出するようにシャッター下端に付設された操作片22aで構成され、通路3の床面3aには、操作片22aが遊嵌する凹部25aが設けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤラインの途中に、当該コンベヤラインが通る通路を遮断する防火シャッターが設けられたコンベヤ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコンベヤ設備では、特許文献1にも記載されるように、コンベヤラインの途中に、当該コンベヤラインが通る通路を遮断するシャッターの昇降用空間部が形成されるので、シャッターが開いている状態において前記シャッター昇降用空間部を被搬送物が安全確実に通過し得るように、当該シャッター昇降用空間部に、被搬送物支持中継位置と当該空間部の外側に逃げた退避位置との間で上下揺動自在な被搬送物中継用ローラーが設けられると共に、押し下げ操作により当該被搬送物中継用ローラーを被搬送物支持中継位置から退避位置に切り換えるための被操作レバーが併設され、シャッター降下時に前記被操作レバーを当該シャッター下端の操作部で押し下げて前記ローラーを被搬送物支持中継位置から退避位置に切り換えるように構成される。
【特許文献1】特開2005−145704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記コンベヤラインが通る通路が人や運搬車両などの通路も兼ねている場合、即ち、人や車両の通行用通路脇にコンベヤラインが敷設されている場合には、シャッターが火炎発生時などにおいて自動的に降下閉動するときに、そのシャッター下のコンベヤライン脇を通行中の人や車両にシャッターが上から衝突する危険を回避するための安全対策を講じる必要が生じる。この場合の安全対策としては、シャッターの下端に、当該シャッター下端の前記通路巾方向の略全長にわたって連続し且つ障害物との当接により押し上げられる上下動検出片を備えた障害物検知センサーを付設し、このセンサーの検知信号でシャッターの降下を自動停止させるように制御するのが最も一般的であるが、このような障害物検知センサーがシャッターの下端に付設された場合、シャッター降下時にシャッター昇降経路内に突出している前記被操作レバーを前記センサーが検知してしまい、実際には障害物がないにもかかわらずシャッターが途中で停止し、所期の目的通りに機能しなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るコンベヤ設備を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、コンベヤライン2の途中に、当該コンベヤライン2が通る通路3を遮断するシャッター1の昇降用空間部6が形成され、この空間部6に、被搬送物支持中継位置P1と当該空間部6の外側に逃げた退避位置P2との間で上下揺動自在な被搬送物中継用ローラー7が設けられると共に、押し下げ操作されることにより当該被搬送物中継用ローラー7を被搬送物支持中継位置P1から退避位置P2へ切り換える上下動被操作レバー8a,8bが併設され、シャッター降下時に前記被操作レバー8a,8bを押し下げる操作部21が前記シャッター1の下端に設けられたコンベヤ設備において、前記シャッター1の下端に、当該シャッター下端の前記通路巾方向の略全長にわたって連続し且つ障害物との当接により押し上げられる上下動検出片20aを備えた障害物検知センサー20が設けられ、シャッター下端の前記操作部21は、前記検出片20aよりも下方に突出するようにシャッター下端に付設された操作片22a,22bで構成され、このシャッター1で遮断される前記通路3の床面3aには、前記操作片22a,22bが遊嵌する凹部25a,25bが設けられた構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記操作片22a,22bは、前記検出片20aの真下に位置する押し下げ作用板部24を備えたものとすることができる。又、請求項3に記載のように、前記操作片22a,22bは、前記検出片20aの真下位置に対して横側方に位置する押し下げ作用板部24を備えたものとし、床面3a側の前記凹部25a,25bは前記検出片20aの真下位置から前記操作片22a,22bの押し下げ作用板部24のある側にずらして設け、シャッター降下遮断時に前記検出片20aの下端面が全長にわたって連続して床面3aに当接するように構成することができる。
【発明の効果】
【0006】
上記構成の本発明に係るコンベヤ設備によれば、降下するシャッターの下でコンベヤライン脇の通路部分で人や車両などの障害物があるか否かを検出する手段として、当該シャッター下端の前記通路巾方向の略全長にわたって連続し且つ障害物との当接により押し上げられる上下動検出片を備えた障害物検知センサーをシャッターの下端に付設するものであるから、通路側に設けられた光電センサーなどが人や車両を検出状態にあるときはシャッターにインターロックをかけて降下遮断動作しないように制御する場合と比較して、シャッター側で安全対策のための全てを構成することができ、又、上記のような障害物検知センサーをシャッターの下端全域に備えた既製の安全対策済みシャッターをそのまま利用することができ、降下するシャッターで人身事故などが生じるのを防止する安全対策を容易且つ安価に実施することができる。そして勿論、シャッター降下を妨げる障害物、即ち、シャッター降下時に前記障害物検知センサーが検出する人や車両、或いはコンベヤライン上の被搬送物などがないときは、当該シャッターが備える操作片で被搬送物中継用ローラーを退避位置に切り換え、シャッターを確実に下降限まで降下させることができる。しかも、障害物検知センサーの上下動検出片よりも下方に突出する前記操作片の存在にかかわらず、シャッター降下遮断時に当該シャッターの下端(障害物検知センサーの上下動検出片の下端面)と床面との間に隙間を生じさせることがなく、当該シャッターによる防火性能を低下させてしまう恐れもない。
【0007】
尚、請求項2に記載の構成によれば、操作片の取り付けによって障害物検知センサーの前後巾が局部的に大きくなるのを最小限に抑えることができ、コンベヤラインの途中に設けられるシャッター昇降用空間部の前後巾を従来のものと変えることなく本発明を実施することができる。又、請求項3に記載の構成によれば、シャッター降下遮断時に当該シャッターの前後空間が床面側の前記凹部を経由して連通してしまうのを床面に当接する障害物検知センサーの検出片で防止することができ、所期通りの高い防火性能を維持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1において、1は防火シャッターであって、コンベヤライン2が貫通する通路3を火災発生時などに自動遮断するものである。通路3は、コンベヤライン2とその片側の人や車両などの通行用通路部分4とが並列する巾を有し、シャッター1はこの通路3の全巾を開閉できる巾を有するもので、天井側に配設されたドラム5によって巻き込み繰り出し操作されることにより、通路3の左右両側壁に付設されたガイドレール1a,1bに左右両側辺が案内される状態で垂直に昇降する。このシャッターの制御装置、即ち、ドラム5を駆動するモーターの制御装置は、火災発生時などに入力される通路遮断指令によってシャッター1を繰り出して降下させ、通路3を遮断する。従って、この実施形態においてコンベヤライン2を構成する駆動ローラーコンベヤは、駆動ローラーコンベヤ2A,2Bに分断され、両駆動ローラーコンベヤ2A,2B間にシャッター1が昇降するシャッター昇降用空間部6が形成されている。
【0009】
シャッター昇降用空間部6には、図2〜図4に示す被搬送物支持中継位置P1と図5に示すように当該空間部6の外側に逃げた退避位置P2との間で上下揺動自在な被搬送物中継用ローラー7が設けられると共に、前記シャッター1の昇降経路内に突出し且つシャッター1で押し下げられることにより前記ローラー7を被搬送物支持中継位置P1から退避位置P2へ切り換える左右一対の被操作レバー8a,8bが併設されている。
【0010】
上記被搬送物中継用ローラー7と被操作レバー8a,8bとの関連構成は、先に示した特許文献1により従来周知のものであるが、図2〜図5に基づいて簡単に説明すると、前記被搬送物中継用ローラー7は、両駆動ローラーコンベヤ2A,2Bの内、一方の駆動ローラーコンベヤ、図示例では駆動ローラーコンベヤ2Aのシャッター昇降用空間部6に隣接する端部に設けられた左右一対の上下動アーム9a,9bの遊端部間に、両駆動ローラーコンベヤ2A,2Bの各駆動ローラー10(その駆動機構の図示は省略)と平行に軸支されている。左右一対の上下動アーム9a,9bは、コンベヤの左右両側フレーム11a,11bの外側に配設された左右一対の起立基板12a,12bに、互いに同心状の支軸13により基部が上下揺動自在に支承され、この支軸13の周りに左右一対の上下動アーム9a,9bが例えば重力により回動垂下することにより、被搬送物中継用ローラー7が図5に示す退避位置P2に切り換わるように構成されている。
【0011】
被操作レバー8a,8bは、左右一対の起立基板12a,12bの前記支軸13より上方で且つシャッター昇降用空間部6に寄った位置において互いに同心状の支軸14により軸支された左右一対の係止レバー15a,15bから固着連設されたもので、係止レバー15a,15bと共に上下動アーム9a,9bの外側を上下に揺動することができる。左右一対の係止レバー15a,15bの遊端部には、上下動アーム9a,9bの基部近傍下側辺に形成された被係合部16に対して係脱自在な係止ローラー17が軸支され、図2に示すように、これら係止レバー15a,15bが支軸14から真下に垂下する姿勢にある状態で前記係止ローラー17が、重力に抗して支軸13の周りで上方に揺動した上下動アーム9a,9bの被係合部16に係合することにより、被搬送物中継用ローラー7が被搬送物支持中継位置P1に保持されるように構成されている。
【0012】
又、上記のように被搬送物中継用ローラー7が係止レバー15a,15bにより被搬送物支持中継位置P1に保持されているとき、被操作レバー8a,8bが支軸14から斜め前方上方に向かって傾斜し、その遊端被操作部18が側面視において、被搬送物支持中継位置P1に保持されている被搬送物中継用ローラー7の上方位置でシャッター1の昇降経路内に位置するように構成されている。更に係る状態にあるとき、上下動アーム9a,9bの被係合部16に係止ローラー17が嵌まり込む方向に係止レバー15a,15bを付勢する重錘部19a,19bが当該係止レバー15a,15bのそれぞれから連設されており、これら重錘部19a,19bの付勢力により、係止レバー15a,15bが上下動アーム9a,9bを係止する垂下姿勢に保持され、被搬送物中継用ローラー7が被搬送物支持中継位置P1に保持されるように構成されている。
【0013】
シャッター1には、その下端に障害物検知センサー20が取り付けられている。この障害物検知センサー20は、シャッター下端の前記通路3の巾方向の略全長にわたって連続する上下動検出片20aを備えている。この上下動検出片20aは、シャッター下端に取り付けられた長尺箱型のセンサー本体20bから下方に突出するようにスプリングなどの付勢手段により下向きに付勢されたもので、障害物との当接により長さ方向の何れか1箇所でも付勢力に抗して押し上げられたとき(従って、全体が平行に上昇したときは勿論のこと、部分的に押し上げられて全体が傾斜したときも含めて)、センサー本体20b内のリミットスイッチをON動作するものであり、このとき障害物検知センサー20からシャッター制御装置に対し非常停止のための障害物検知信号が出力される。
【0014】
上記のシャッター1が降下したとき、被操作レバー8a,8bの遊端被操作部18を押し下げ操作する操作部21として、当該シャッター1の下端、具体的には障害物検知センサー20のセンサー本体20bに、各被操作レバー8a,8bの真上に位置するように左右一対の操作片22a,22bが取り付けられている。これらシャッター下端の操作片22a,22bは、図2Aに示すように、垂直な取付板部23と当該取付板部23の下端から直角水平に延出する押し下げ作用板部24とから成るL字形板材から構成され、その押し下げ作用板部24が被操作レバー8a,8bの真上で且つ障害物検知センサー20の上下動検出片20aの真下に位置するように、取付板部23がセンサー本体20bの一側面(被操作レバー8a,8bの上下動支軸14のある側の側面)に取り付けられている。又、シャッター1が降下して通路3を遮断したとき、障害物検知センサー20の上下動検出片20aが通路床面3aに当接できるように、当該通路床面3aには、各操作片22a,22bの下端部が遊嵌する凹部25a,25bが設けられている。
【0015】
尚、操作片22a,22bは、図2Bに示すように、押し下げ作用板部24とこの押し下げ作用板部24の左右両端から垂直に立ち上がる左右一対の取付板部23a,23bとから成る角U字形板材から構成することもできる。この場合は、左右一対の取付板部23a,23bをセンサー本体20bの前後両側面に取り付けることができ、押し下げ作用板部24が両持ち構造となるので、薄板から構成しても十分な押し下げ強度を持たせることができる。
【0016】
以上のように構成されたコンベヤ設備では、通常は図1に実線で示すように、シャッター1はドラム5に巻き込まれて上昇限まで上げられ、通路3が完全に開放されている。そして被搬送物中継用ローラー7は、図2〜図4に示すように被搬送物支持中継位置P1に保持され、両駆動ローラーコンベヤ2A,2B間のシャッター昇降用空間部6を塞いでコンベヤライン2を接続している。従って、駆動ローラーコンベヤ2A,2Bの一方から他方へ各コンベヤの駆動ローラー10の回動により搬送される被搬送物は、被搬送物支持中継位置P1にある被搬送物中継用ローラー7で支持されながらシャッター昇降用空間部6を安全に通過することができる。この被搬送物中継用ローラー7上を被搬送物が通過するとき、当該被搬送物中継用ローラー7を軸支する上下動アーム9a,9bに作用する下向きの回転力は、当該上下動アーム9a,9bの被係合部16と係止レバー15a,15b側の係止ローラー17とを介して支軸14から真下に垂下する姿勢にある係止レバー15a,15bで受け止められ、被搬送物中継用ローラー7は確実に被搬送物支持中継位置P1に保持される。
【0017】
上記の使用状態において、火災報知機などからの信号又は手動操作により通路遮断指令がシャッター制御装置に入力されると、ドラム5がシャッター繰り出し方向に回動し、上昇限位置に保持されていたシャッター1が通路3の左右両側壁のガイドレール1a,1bに案内されながら垂直に降下することになる。このシャッター1の降下経路中に、図1に仮想線で示すように、コンベヤライン2脇の通行用通路部分4を通行する人や車両、或いは被搬送物中継用ローラー7上を通過中の被搬送物など、シャッター1の降下を妨げる障害物があると、降下するシャッター1の下端全長にわたって取り付けられている障害物検知センサー20の上下動検出片20aが当該障害物に当接し、シャッター1の降下に伴って上下動検出片20aが相対的に突き上げられてセンサー本体20bが内蔵するリミットスイッチがON動作し、シャッター制御装置に対し障害物検知信号が出力されるので、降下するシャッター1が非常停止することになる。この非常停止後の制御は従来周知のように行わせることができるが、防火シャッター1の場合、通路3を遮断するのが最終目的であるから、シャッター1の降下を非常停止させて警報などにより当該事態を報知した後、非常停止したシャッター1を一旦設定高さ分だけ上昇させ、その後、設定時間経過後に再度シャッター1を降下させるように制御することができる。
【0018】
上記のような障害物がなくてシャッター1の降下が進むと、当該シャッター1の下端の操作部21を構成する左右一対の操作片22a,22bが左右一対の被操作レバー8a,8bの遊端被操作部18を押し下げることになる。而して、シャッター1の降下に伴って両被操作レバー8a,8bの遊端被操作部18が前記操作片22a,22bによって押し下げられると、図2に仮想線で示すように、これら両被操作レバー8a,8bが支軸14の周りに下方へ回動するのに伴って係止レバー15a,15bも当該被操作レバー8a,8bと一体に支軸14の周りで回動し、係止ローラー17が上下動アーム9a,9b側の被係合部16から離脱する。この結果、係止レバー15a,15bによる上下動アーム9a,9bの支持が解除されて上下動アーム9a,9bがフリーになるので、図5に示すように、当該上下動アーム9a,9bが重力で支軸13の周りに下方へ回動して支軸13から真下に垂下する姿勢になり、被搬送物中継用ローラー7がシャッター昇降用空間部6の横側方の退避位置P2に切り換えられることになる。
【0019】
シャッター1は、上記のように被搬送物中継用ローラー7が被搬送物支持中継位置P1から退避位置P2に切り換えられて空き状態になったシャッター昇降用空間部6内を、被操作レバー8a,8bを押し下げつつ降下するが、図2に仮想線で示すように、被操作レバー8a,8b及び係止レバー15a,15bと共に一体に支軸14の周りに回動する重錘部19a,19bが支軸14を通る垂直中立線を反対側に超えると、被操作レバー8a,8b、係止レバー15a,15b及び重錘部19a,19bは、図5に示すように、被操作レバー8a,8bが支軸14から真下に垂下して遊端被操作部18がシャッター1の昇降経路から横側方に離れた退避姿勢に重力バランスで保持される。
【0020】
一方、降下するシャッター1は、図5に示すように、その下端、即ち、障害物検知センサー20の上下動検出片20aが通路3の床面3aに当接する下降限まで降下して停止することになる。このときシャッター1の下端の操作部21を構成する左右一対の操作片22a,22bは、床面3aに設けられている凹部25a,25b内に遊嵌する。換言すれば、操作片22a,22bが凹部25a,25b内に遊嵌することにより、シャッター1は、図5に示すように、その下端(障害物検知センサー20の上下動検出片20a)が通路3の床面3aに当接する下降限まで降下して停止することができる。尚、このようにシャッター1が下降限まで降下したとき、障害物検知センサー20の上下動検出片20aが床面3aによって相対的に押し上げられた状態(床面検出状態)となるように構成しても良いし、上下動検出片20aが床面3aによって押し上げられる直前の、上下動検出片20aが床面3aに近接したときがシャッター1の下降限となるように、シャッター1の降下を止めるストッパーを設けても良い。
【0021】
被操作レバー8a,8bを押し下げる高さに達した以降でシャッター1の降下を妨げる障害物があった場合、即ち、シャッター1の降下を妨げる障害物の高さが、シャッター1の操作部21で押し下げられる前の被操作レバー8a,8bの遊端被操作部18よりも低い場合でも、当該障害物をシャッター下端の障害物検知センサー20によって検出できる。従って、降下するシャッター1が被操作レバー8a,8bを押し下げつつあるか又は、被操作レバー8a,8bを押し下げて被搬送物中継用ローラー7を退避位置P2に切り換えた後であっても、障害物検出に伴ってシャッター1に非常停止をかけることができる。
【0022】
尚、上記実施形態では左右一対の被操作レバー8a,8bを設けているが、コンベヤライン2の左右何れか片側にのみ被操作レバー8a(又は8b)を配設することができる。この場合は、被操作レバー8a(又は8b)に対応する側の操作片22a(又は22b)と凹部25a(又は25b)のみを設ければ良い。又、コンベヤライン2の左右何れか片側にのみ被操作レバー8a(又は8b)を配設する場合、具体的には左右一対の上下動アーム9a,9bを支軸13などにより一体化し、被操作レバー8a(又は8b)を配設した側にのみ係止レバー15a(又は15b)及び重錘部19a(又は19b)を設けても良いし、左右一対の上下動アーム9a,9bそれぞれに対して係止レバー15a,15b及び重錘部19a,19bを設け、左右一対の係止レバー15a,15bを支軸14などにより一体化し、何れか一方の係止レバー15a(又は15b)に被操作レバー8a(又は8b)を連設しても良い。
【0023】
又、上記実施形態では、シャッター下端の操作部21として設けられた操作片22a,22bは、障害物検知センサー20の上下動検出片20aの真下に位置する押し下げ作用板部24を有するものであるから、図5に示すように、シャッター1の下端(障害物検知センサー20の上下動検出片20a)が床面3aに当接する下降限に達したとき、前記操作片22a,22b(押し下げ作用板部24)が遊嵌する床面3a側の凹部25a,25bの真上を障害物検知センサー20の上下動検出片20aが横断することになり、凹部25a,25bの前後巾を最小限に狭めても上下動検出片20aの前後両側で凹部25a,25bが開口する状態になる。即ち、通路3を遮断したシャッター1の前後の空間が凹部25a,25bを介して連通することになり、防火(防煙)性能が若干といえども低下する。
【0024】
上記の問題点を解消するため、シャッター下端の操作部21として設けられる操作片22a,22bを、図6に示される操作片22aのように、障害物検知センサー20の上下動検出片20aの真下位置に対して横側方に位置する押し下げ作用板部24を備えた構造とすることができる。この構成によれば、通路3の床面3aに設けられる凹部25a,25bは、障害物検知センサー20の上下動検出片20aの真下位置に対して横側方にずれて設けられることになり、シャッター1が下降限に達して操作片22a,22b(押し下げ作用板部24)が床面3a側の凹部25a,25bに遊嵌し、前記上下動検出片20aが床面3aに当接したとき、当該上下動検出片20aの前後の片側に凹部25a,25bが位置し、当該上下動検出片20aがその全長にわたって連続して床面3aに当接することになる。従って、通路3を遮断したシャッター1の前後の空間が凹部25a,25bを介して連通することは避けられ、若干といえども防火(防煙)性能が低下することはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】A図はコンベヤライン及びシャッターを備えた通路の側面図、B図は同通路のシャッター位置での正面図である。
【図2】A図はシャッター下端の構成とコンベヤライン要部の構成とを示す側面図、B図はシャッター下端の構成の変形例を示す側面図である。
【図3】図2Aの一部切欠き正面図である。
【図4】図2Aのコンベヤライン要部の平面図である。
【図5】シャッターが通路を遮断した状態でのコンベヤライン要部の一部切欠き側面図である。
【図6】A図は本発明の別実施形態を示す要部の側面図、B図は同別実施形態のシャッターが通路を遮断した状態での要部の側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 防火シャッター
2 コンベヤライン
2A,2B 駆動ローラーコンベヤ
3 通路
4 人や車両などの通行用通路部分
5 シャッター巻き込み繰り出し用ドラム
6 シャッター昇降用空間部
7 被搬送物中継用ローラー
8a,8b 被操作レバー
9a,9b 上下動アーム
10 駆動ローラー
13,14 支軸
15a,15b 係止レバー
16 被係合部
17 係止ローラー
18 被操作レバーの遊端被操作部
19a,19b 重錘部
20 障害物検知センサー
20a 上下動検出片
20b センサー本体
21 操作部
22a,22b 操作片
23,23a,23b 取付板部
24 押し下げ作用板部
25a,25b 凹部
P1 被搬送物支持中継位置
P2 退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤラインの途中に、当該コンベヤラインが通る通路を遮断するシャッターの昇降用空間部が形成され、この空間部に、被搬送物支持中継位置と当該空間部の外側に逃げた退避位置との間で上下揺動自在な被搬送物中継用ローラーが設けられると共に、押し下げ操作されることにより当該被搬送物中継用ローラーを被搬送物支持中継位置から退避位置へ切り換える上下動被操作レバーが併設され、シャッター降下時に前記被操作レバーを押し下げる操作部が前記シャッターの下端に設けられたコンベヤ設備において、前記シャッターの下端に、当該シャッター下端の前記通路巾方向の略全長にわたって連続し且つ障害物との当接により押し上げられる上下動検出片を備えた障害物検知センサーが設けられ、シャッター下端の前記操作部は、前記検出片よりも下方に突出するようにシャッター下端に付設された操作片で構成され、このシャッターで遮断される前記通路の床面には、前記操作片が遊嵌する凹部が設けられている、コンベヤ設備。
【請求項2】
前記操作片は、前記検出片の真下に位置する押し下げ作用板部を備えている、請求項1に記載のコンベヤ設備。
【請求項3】
前記操作片は、前記検出片の真下位置に対して横側方に位置する押し下げ作用板部を備え、床面側の前記凹部が前記検出片の真下位置から前記操作片の押し下げ作用板部のある側にずれて設けられ、シャッター降下遮断時に前記検出片の下端面が全長にわたって連続して床面に当接するように構成された、請求項1に記載のコンベヤ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−254085(P2007−254085A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79866(P2006−79866)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】