説明

コンポジット材料の製造方法

一定の幅を有する一方向導電性繊維の層を供給すること、繊維の第1面を、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1層に接触させること、並びに、樹脂及び繊維を一緒に、1つ又は複数の含浸ロールに通すことによって加圧することを含むプリプレグの製造方法であって、導電性繊維及び樹脂に加えられる圧力が40kg/(1cm幅の導電性繊維)を超えず、樹脂が繊維の隙間に入り込み、かつ、樹脂の第1外側層を一方向導電性繊維が本質的に存在しない状態のままにしておくのに十分な量で、樹脂が存在する、上記プリプレグの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体(laminate)を形作るように積み重ねられ、次いで硬化されるときに、特に、落雷によって引き起こされる損傷に対する向上した耐性を有するコンポジット材料を形成する、繊維及び樹脂マトリックスを含むプリプレグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンポジット材料は、特に、非常に小さい材料密度で優れた機械的特性をもたらす点において、従来の構造材料を凌ぐ、十分に実証された利点を有する。結果的に、このような材料の使用は、益々広く受け入れられつつあり、それらの適用範囲は、「産業」並びに「スポーツ及びレジャー」から、高性能航空宇宙部材にまで渡る。
【0003】
エポキシ樹脂のような樹脂を含浸させた繊維配列を含むプリプレグは、このようなコンポジット材料の生成に広く用いられている。通常、このようなプリプレグのかなりの数の層が、望まれるだけ「積層」(“laid−up”)され、得られる積層体が、通常高温に曝されることによって硬化されて、硬化したコンポジット積層体を生成する。
【0004】
一般的なコンポジット材料は、樹脂層が介在する(interleaf)、複数のプリプレグ繊維(例えば、炭素繊維)層の積層体から形成されている。炭素繊維は、いくらかの導電性を有するが、インターリーフ層の存在は、導電性が、コンポジットでは、積層体の面において顕著に示されるだけであることを意味する。積層体の表面に直交する方向(いわゆるz方向)における導電性は低い。
【0005】
当技術分野における専門家には、十分に画定された樹脂層によって隔てられた、十分に画定された繊維層を有するこのようなインターリーフ積層体が、均一な層状化積層体を製造するために、非常に好まれる。このような明確に画定された層は、機械的特性、特に、例えば耐衝撃性によって評価される靱性(toughness)の向上をもたらすと考えられる。
【0006】
z方向における導電性の欠如は、落雷のような電磁気障害に対するコンポジット積層体の脆弱性の一因となることが、一般に受け入れられている。落雷は、非常に甚大であり得る損傷をコンポジット材料に引き起こすことがあり、飛行中の航空機構造体に起こると破局的であり得る。したがって、これは、このようなコンポジット材料から形成される航空宇宙構造体にとって特有の問題である。
【0007】
コンポジット材料の重量を増すという犠牲を払って導電性要素を付加することを通常含む、落雷に対する保護をこのようなコンポジット材料にもたらす広範な技術及び方法が、先行技術において示唆されている。
【0008】
WO2008/056123では、樹脂インターリーフ層に中空導電性粒子を添加し、その結果、それらが、隣接する繊維層と接触し、z方向に電気的経路を作り出すことによって、落雷に対する耐性が改善された。しかし、これは、しばしば、労力を要する加工方法を必要とし、疲労特性を低下させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、軽量であり、優れた機械的特性を有する導電性コンポジット材料が、当技術分野において依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、一定の幅を有する一方向導電性繊維(unidirectional conductive fibres)の層を供給すること、繊維の第1面を、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1層に接触させること、並びに、樹脂及び繊維を一緒に、1つ又は複数の含浸ロールに通すことによって加圧することを含み、導電性繊維及び樹脂に加えられる圧力が40kg/(1cm幅の導電性繊維)を超えず、樹脂が繊維の隙間に入り込み、かつ、樹脂の第1外側層を一方向導電性繊維が本質的に存在しない状態のままにしておくのに十分な量で、樹脂が存在する、プリプレグの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明による方法の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従って製造された、硬化した積層体の横断面の画像である。
【図3】図3は、本発明に従って製造された、硬化した積層体の横断面の画像である。
【図4】図4は、本発明に従って製造された、硬化した積層体の横断面の画像である。
【図5】図5は、本発明に従って製造された、硬化した積層体の横断面の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第2の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法によって得られるプリプレグに関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、一方向導電性繊維のトウ(tows)を連続的に供給すること、繊維の面を、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1層に接触させること、並びに、樹脂及び繊維を一緒に、少なくとも1つのS−ラップ(wrap)段階を通し、樹脂が繊維の隙間に入り込むのに十分なだけ加圧し、樹脂の第1外側層を残すことを含む、プリプレグの製造方法に関する。
【0014】
何らかの範囲又は量の指定において、特定の何らかのより大きい値(上限値)は、特定の何らかのより小さい値(下限値)に結び付けられ得ることが指摘されるべきである。
【0015】
用語「一方向導電性繊維を本質的に含まない」は、その樹脂層が1体積%未満の一方向導電性繊維を含むことを意味すると解釈することができる。しかし、他の材料は、望まれる場合、その樹脂層に存在し得ることが指摘されるべきである。
【0016】
本発明によって製造されるプリプレグは、分裂した(disrupted:乱れた)繊維層を有することが見出されており、その結果、複数のこのようなプリプレグが、互いに積み重ねられて、樹脂インターリーフ層によって隔てられた、分裂した導電繊維の複数の構造層を含むプリプレグ積層物(stack)を生成し、次いで、硬化されてコンポジット積層体を生成すると、z方向におけるずっと大きな導電性が得られ、同時に、優れた靱性特性が保持される。さらに、これは、必ずしも重量における如何なる増加を招くことなく、達成できる。
【0017】
知られているインターリーフのあるプリプレグは、通常、2段階プロセスで製造される。第1段階では、繊維を、隙間に入り込む樹脂に接触させ、その後、粒子材料(通常は強化剤(toughener)粒子)をしばしば含む別の樹脂に接触させる。この第2段階は、粒子材料を含む樹脂を、単に置くことだけが意図され、そうすることで、導電性繊維を含まない均一な厚さの樹脂層(これは、複数のこのようなプリプレグが互いに積み重ねられた時に、インターリーフ層となる)を生成する。
【0018】
本発明は、1段階プロセスを用い、望まれる分裂した構造を生成する。これは、2段階プロセスにおけるものと同じ樹脂層を生成するが、厚さは均一でなく、実際に、ある場所ではゼロであって、隣接する導電性繊維構造層の間の接触を許すと考えられる。
【0019】
したがって、向上した導電性は、隣接する繊維層の間に存在し、それらの分裂した特質によって可能になる、接触点によって生じる橋架け効果に帰因すると考えられる。分裂の度合いは、樹脂インターリーフ層が本質的に保存され、生成される硬化したコンポジットが、必要とされる靱性を有することを保証するようなものである。こうして、高い導電性及び高い靱性という見掛け上相容れない要件を満たすために、中程度の分裂性が実現される。
【0020】
こうして、均一な繊維層が、繊維を含まない均一な樹脂層によって隔てられているべきであるという、当技術分野における通常の理解に反して、繊維層の分裂を許容すること、又は助長さえすることによって、従来の均一なインターリーフコンポジットの機械的性能を有する導電性コンポジット材料を得られることが見出された。
【0021】
本発明の方法は、何千もの繊維が、通常ロールによって導かれる、一連の段階を通過することを含む連続法である。通常はシート状の樹脂に繊維が出合う位置が、含浸段階の始まりである。
【0022】
繊維が樹脂と接触し、含浸ゾーンに達する前、それらは、通常、複数のトウとして配置され、各トウは何千ものフィラメント(例えば、12,000本)を含む。これらのトウは、ボビン(bobbins)に装着され、最初に、繊維の一様な分離を保証するために、コーミング(combing)ユニットに供給される。ボビン供給位置の直後の、通常とは異なる低い繊維張力が、最終のプリプレグにおける繊維の分裂に、さらなる増進をもたらすことが見出された。こうして、この位置での1本のフィラメント当たりの張力は、好ましくは、0.007から0.025g、好ましくは0.01から0.015gである。
【0023】
本発明の方法において、好ましくは、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第2層が、繊維の別の面に、通常は第1層と同時に、接触させられ、樹脂が繊維の隙間に入り込むように、樹脂の第1及び第2層が加圧される。このような方法は、繊維の各面が1つの樹脂層と接触するが、最終のプリプレグにおける全ての樹脂は1段階で含浸されるので、1段階プロセスであると見なされる。
【0024】
樹脂及び繊維の1段階含浸プロセスが、樹脂及び繊維に大きな圧力が加えられることなく、穏やかに実施されることが、本発明の本質的要素であることが理解される。これは、大きな圧力が、余りに大きな度合いの分裂を誘発する傾向があるためである。こうして、所望の制御された分裂が、1段階含浸及び含まれる低い圧力の組合せによって生じる。
【0025】
樹脂含浸は、通常、樹脂及び繊維をロールに通すことを含み、ロールは、様々な仕方で配置され得る。2つの主な配置は、単純な「ニップ」配置、及び「S−ラップ」配置である。
【0026】
S−ラップ段階では、どちらもシート状の樹脂及び繊維が、2つの別々に回転するロール(S−ラップロールとして知られている)を回って、文字「S」の形で通る。別のロール配置は、広く用いられる「ニップ」を含み、この場合、繊維及び樹脂が一緒に、それらが2つの隣接する回転ロールの間のピンチ位置の間を通る時に、ピンチされる、又はニップされる。樹脂及び繊維に誘起される圧力は、ロールの間の開き、速度、ロールと樹脂及び繊維との間の相対速度、並びにロールの接触面積のようなパラメータによって制御できる。
【0027】
S−ラップが、繊維の隙間への、信頼性及び再現性のある樹脂の含浸にとって理想的な条件を提供し、同時にまた十分な分裂をもたらすことが理解される。
【0028】
しかし、圧力が、例えば隣接ロール間のギャップの制御によって、低く保たれれば、ニップ段階もまた可能である。
【0029】
大きな圧力は理論では優れた樹脂の含浸をもたらすが、それらは、本発明による1段階プロセスでは、プリプレグの出来にとって有害であり得ることが見出された。樹脂含浸は、信頼性がなく、必要とされる許容範囲外になり得ることが見出された。
【0030】
従って、導電性繊維及び樹脂に加えられる圧力は、好ましくは35kg/(1cm幅の導電性繊維層)を超えず、より好ましくは30kg/cmを超えない。
【0031】
繊維に樹脂を含浸させた後、しばしば、冷却段階、並びにさらなる処理段階(例えば、積層化、スリット形成及び分割)が行われる。
【0032】
繊維への樹脂の含浸を容易にするために、これを、樹脂粘度が下がるように、高温で、例えば60から150℃、好ましくは100から130℃で実施することが、一般に行われている。これは、含浸の前に、望みの温度に、樹脂及び繊維を加熱することによって、例えば、それらを赤外線ヒーターに通すことによって、最も都合よく達成される。前記のように、含浸の後に、形成されたプリプレグの粘着性を低下させるために、通常、冷却ステップが行われる。この冷却ステップは、含浸段階の終了を特定するために用いることができる。
【0033】
本来的に低い粘度を有する樹脂は、硬化した最終のコンポジットにおいて、向上した導電性をもたらし得ることもまた、見出された。こうして、例えばTA AR−2000で実施されるように、0.25mlの試料容積及び10rad/sの角振動数を有する振動を用い、500μmのギャップを有する25mmの平行プレートの間で測定して、好ましくは、樹脂は、70℃で、300Pas未満、より好ましくは100から250Pasの粘度を有する。
【0034】
200から400mm、より好ましくは220から350mm、最も好ましくは240から300mmの直径のロールが、所望の分裂した繊維構造を実現するための正しい条件をもたらすことが見出された。
【0035】
例えば、S−ラップ配置の場合、2つのロールは、それらの中心間のギャップが、250から500mm、好ましくは280から360mm、最も好ましくは300から340mm、例えば320mmであるように間隔を置いて好ましくは配置される。
【0036】
S−ラップロールの2つの隣接する対は、それぞれのロールの中心間が、200から1200mm、好ましくは300から900mm、最も好ましくは700から900mm、例えば800mm、好ましくは離れている。
【0037】
含浸ロールは、様々な仕方で回転し得る。それらは、自由回転であるか又は駆動され得る。駆動されている場合、それらは、通常、回転速度と、ロール上の樹脂及び繊維の通過速度との間に違いがないように駆動される。時には、樹脂及び繊維の通過に対して、僅かに増した速度、又は減らした速度を用いることが望ましいことであり得る。このような違いは、当技術分野において、「トリム(trim)」と呼ばれる。
【0038】
より効果的で制御された分裂が、正味で正のトリムにより達成できることが、驚くべきことに見出された。全ての含浸ロールに正のトリムを加えることは、一般的には可能でないので、通常、全体としての正味の正のトリムを維持すると同時に、いくつかには、負のトリムが与えられる。5%未満、好ましくは3%未満の正味の正のトリムが、良好な結果を生じることが見出された。例えば、4組の含浸ロールに対する、−2%/0%/+2%/+1%のトリムは、0.25%の正味の正のトリムを生じる。
【0039】
含浸ロールは、多様な材料から製造され得るが、それらは、通常、金属の外面を有する。クロム仕上げのロールが好ましいことが見出された。
【0040】
樹脂の取扱いを向上させるために、通常、それはバッキング材(裏当て材)、例えば紙の上に支えられている。この場合、典型的には、巻物から、樹脂は供給されて、繊維と接触し、バッキング材は、樹脂と繊維の接触部分の外面にきちんとそのまま残る。それに続く含浸プロセスの間に、バッキング材は、樹脂の一様な含浸を実現するために、圧力を加えるのに役立つ外面材となる。
【0041】
バッキング材が圧縮可能である場合、含浸プロセスによって繊維層に生じる力は低下することが分かった。これは、圧縮可能な紙は、含浸の間、最初に圧縮された状態になり、そうなって初めて、含浸プロセスによる力が繊維に伝えられるためであると考えられる。こうして、非圧縮性の紙が、含浸の間に樹脂及び繊維に作用する力を増大させて、繊維のより大きな分裂、及び樹脂のより良好な含浸を生じるという理由で、好ましい。圧縮性の適切な尺度は、圧縮率と呼ばれる、紙の厚さとその材料の密度の比である。0.001kg−1−2未満の圧縮率を有するバッキング紙が好ましいことが見出された。
【0042】
例えば、カレンダー加工又はスーパーカレンダー加工され、シリコーンで差異コーティングされた(differential silicone coated)、0.00083の圧縮率を有するグラシン系の剥離紙が、カレンダー加工又はスーパーカレンダー加工されておらず、0.00127の圧縮率を有する別の紙に比べて、うまく機能する。スーパーカレンダー加工されたグラシン系の紙は、Mondi及びLaufenbergのような多くの製造業者から市販されている。
【0043】
樹脂は、熱硬化性樹脂を含み、当技術分野において通常知られているもの、例えば、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミド、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル、不飽和ポリエステル、シアネートエステル樹脂、又はこれらの混合物から選択され得る。エポキシ樹脂が特に好ましい。硬化剤、及び任意選択で促進剤もまた、望まれる場合、含められてもよい。
【0044】
導電性繊維は、導電性であるコンポジット材料に用いられるのに適するどのような繊維であってもよい。好ましい繊維は、炭素繊維である。
【0045】
通常、構造層における繊維は、一般に、3から20μm、好ましくは5から12μmの範囲の直径を有する円形若しくはほぼ円形の横断面を有する。
【0046】
粒子材料が、第1の、及び存在する場合第2の、樹脂層内に分散していれば、非常に望ましい。加圧で、樹脂は隙間に押し込まれ、粒子材料の濾過が起こる結果、粒子材料が繊維構造体に対して押し付けられ、いくつかの粒子が繊維の外側部分にそれら自体を埋め込んで、その構造を分裂させる(乱す)助けとなる。例えば、樹脂は、5から20wt%の粒子材料を含み得る。
【0047】
このように、過半の、例えば少なくとも70wt%の、粒子材料が、最終的には、第1の、及び存在する場合第2の、外側樹脂層に位置する。
【0048】
粒子材料は、多様な材料からなり得るが、好ましくは、それらは、靱性又は導電性の向上のようなさらなる有用な機能を付与する。適切である材料には、ポリアミド6、ポリアミド6/12、ポリアミド12、粒子(フェノール樹脂のような樹脂若しくはガラスビーズにより形成される)への導電性コーティング、銀のようなコーティング、カーボンの粒子及び/又は微粒子、並びにその他が含まれる。
【0049】
プリプレグが本発明の方法によっていったん製造されると、通常、それらの複数が、互いに積み重ねられ、第1の、及び存在する場合第2の、樹脂層によって形成される樹脂インターリーフ層によって隔てられた、分裂した導電性繊維の複数の構造化層を含む、プリプレグ積層物を生成する。
【0050】
通常、繊維の配向は、例えば、隣り合う層の繊維が、いわゆる0/90配置(隣り合う繊維層の間の角度を示す)で、互いに直行しているように配置することによって、積層物を通して変わる。言うまでもなく、多くの他の配置の中でも特に、0/+45/−45/90のような他の配置が可能である。
【0051】
次いで、プリプレグ積層物は、高温に曝されることによって硬化され、この場合、熱硬化性樹脂が硬化する。通常、これは、オートクレーブ又は真空バッグ法のような公知の方法で、高圧化に実施される。
【0052】
繊維層の分裂は本質的なものであるが、得られる積層体の層状の特性は保持される。こうして、本発明による硬化した積層体の断面の写真は、通常10から60μmの厚さで、隣り合う繊維層の間のほんの少数の接触点を有する、明確なインターリーフ層を示す。
【0053】
本発明に従って製造された、硬化したコンポジット積層体は、著しく低い電気抵抗を有し、下に記載される試験法に従ってz方向で測定して、5Ω未満の、好ましくは2Ω未満の、より好ましくは1Ω未満の電気抵抗を有する3mmの厚さの積層体が可能である。よく整った繊維及びインターリーフ層を有する類似のコンポジットは、ずっと大きな電気抵抗を有する。
【0054】
一旦成形されると、硬化したコンポジット積層体のインターリーフ層は、通常、繊維構造層よりずっと薄い。こうして、硬化したコンポジット積層体における構造層の全厚とインターリーフ層の全厚との比は、10:1から3:1である。
【0055】
第3の態様において、本発明は、隙間に熱硬化性樹脂を含む、充填された(packed:詰まった)一方向導電性繊維の構造層、及び熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1外側層を含むシート状プリプレグに関し、これは、少なくとも1つの他のこのような(同様の)プリプレグと層状化され、高温の下で硬化されたとき、起伏のある(undulating)上側及び下側表面を有する、充填された一方向炭素繊維の硬化した構造層を含む、硬化したシート状コンポジット材料を生成し、硬化した構造層は通常、樹脂の中間層によって隔てられており、この起伏(undulations)は、隣接する構造層の間に接触点が存在するようなものである。
【0056】
第4の態様において、本発明はまた、起伏のある上側及び下側表面を有し、樹脂の中間層によって隔てられた、分裂した一方向導電性繊維の硬化した構造層を含む、硬化したシート状コンポジット材料にも関し、この起伏は、隣接する構造層の間に接触点が存在するようなものである。
【0057】
第3及び第4の態様によるプリプレグ及びコンポジットは、本明細書に開示されている技術的特徴のいずれかを有し得る。
【0058】
本発明が、図を参照して、これから例示される。
【0059】
図1を見ると、本発明の方法は、右から左へ進み、炭素繊維トウ(各トウは、個別の12,000本の炭素フィラメントを有する)の370個のスプールを支えることができるクリール(creel)ユニット8で始まる。クリール上の各繊維ボビンは、トウ毎に均一な、機械への繊維張力を制御するために、ストラップ−バネの配置構成によって、ぴんと張られる。繊維トウは、クリールからコーム(comb)へ前進する。それらがコームに入る前に、個々のトウの張力の測定が、図1の位置10で行われる。個々の12k炭素繊維トウの張力は、ここで、ハンドヘルド(hand held)繊維張力計により測定される。ストラップ−バネアセンブリーによるクリールへの繊維制動負荷は、この位置で繊維張力が約160g/トウであるように制御される。
【0060】
加工ウェブのそれぞれからの10本のトウがランダムに選択され、品質管理のために測定され、繊維トウの公称張力が、好ましい個々のトウ張力である160g/トウにあることが確認される。次いで、繊維トウは、コーム12を通過する。繊維コームは、炭素繊維トウを引き離し、それらを整列させて繊維拡幅棒(spreading bar)セクションに送り、プリプレグ繊維の面積重量(areal weight)が許容範囲内であるように繊維ウェブの全幅を制御する働きをする。次に、繊維トウは、炭素繊維に加わる全体の全張力を測定するロードセルロール14を通る。次いで、繊維は拡幅棒16を通過する。これらの棒は、繊維の引張り及び拡がりを、それらがピンチ位置22で樹脂コーティングフィルムと接触する前に、最終的な繊維張力及び繊維配列に制御する。
【0061】
ピンチ位置22を形成する2本の棒は、それらが回転しないように固定されているが、これの前の他の棒は実際に回転する。第1拡幅棒16は、拡幅棒システムに入る全体の全繊維張力をモニターするためのロードセルロールである。繊維トウは、この拡幅棒セクションにおいて、樹脂を含浸させる準備として、赤外線ヒーター(示されていない)によって加熱される。赤外線ヒーターは、良好な繊維への含浸の促進を助けるために、繊維のサイジング剤を軟化させる。繊維サイジング剤は、繊維の取扱いを助けるために、製造の時点で炭素繊維に付けられるエポキシ溶液であるが、ある場合には、サイジング剤は、繊維の拡がり及び含浸を制限し得る。
【0062】
予めコーティングされた2つの樹脂フィルム巻物(1つはプリプレグウェブの上18、1つはプリプレグウェブの下20)が、プリプレグ装置の巻戻し部(unwinds)に装着されている。これらのフィルム巻物は、上方フィルム巻戻し18及び下方フィルム巻戻し20によって供給される樹脂を提供する。樹脂と繊維は、ピンチ位置22で出会う。この位置では、それ程の含浸は起こらない。
【0063】
予めコーティングされた樹脂フィルムは、この268gsmの繊維面積重量の製品に対して、公称69gsmであるので、最終製品における34重量%の樹脂含有量が実現される。樹脂は、スーパーカレンダー加工された両面差異値シリコーン離型剤コーティング紙の、よく固着する側(tight side)にコーティングされている。巻戻し部18及び20でのフィルム巻物の制動張力は、高温S−ラップ含浸ゾーン24、28を通して、折り皺なくプリプレグウェブを走らせるように、制御され、最終の繊維ウェブ張力に合わせられる。
【0064】
次いで、樹脂及び繊維は、第1S−ラップコンパクター(compactor)24を、次に、さらなる加熱のために、別の赤外加熱段階26を通過する。プリプレグは、IRヒーターの下で、120から130℃に加熱され、その結果、図1に示されるように、12k炭素繊維トウの構造繊維層への樹脂の含浸のために、ウェブが第2、第3及び第4の加熱S−ラップロールセットに入る前に、樹脂粘度は下げられる。IRヒーター26の後の、プロセスのこの段階で、樹脂は、繊維への含浸にとって十分に低い粘度を有する。
【0065】
樹脂及び繊維は、さらに3つのS−ラップコンパクター28を通過し、そこで、含浸が起こって、信頼性があり十分な含浸を有する分裂した繊維層が生成される。これらのS−ラップロールセットは、135から140℃に加熱され、直径270mmであり、また、それらの間に350から450mmのギャップがあるように隔てられている。
【0066】
これらのロールの回転速度は、ウェブの巻き付き力(wrapping force)が、プリプレグウェブの構造繊維層を分裂させる働きをし、また、良好な含浸を達成するために炭素繊維内への樹脂の大きな流れを生じるだけ大きいように、制御される。S−ラップ巻き付き力による構造繊維層の分裂は、低抵抗値に必要であることが見出されており、含浸は、使用者の工程におけるプリプレグテープの自動積層作業がうまくいくために必要である。
【0067】
次いで、繊維及び樹脂は、冷却プレート30の上を通る。プリプレグウェブは、20から22℃にプリプレグを冷却するために、この冷却プレートで冷却されるので、工程紙は、冷却プレートに続く、通常のさらなるプリプレグ加工段階(これらは、ここでは示されていないが、当業者には知られている)の前に、取り除くこができる。
【実施例】
【0068】
コンポジット積層体の抵抗試験方法
300mm×300mm×3mmの大きさのパネルを、オートクレーブでの硬化によって準備する。パネルのレイアップ(layup)は、0/90である。次に、36mm×36mmである試験試料(通常、3から4枚)を、パネルから切断する。試料の正方形の面は、炭素繊維を露出させるために、研磨されるべきである(例えば、研磨機(Linisher machine)で)。これは、硬化の間に、ピールプライ(peel ply)が用いられる場合、必要ではない。過度の研磨は、第1層を超えて入り込み得るので、避けられるべきである。次に、正方形の面は、導電性金属(通常、スパッタリング装置による金の薄い層)によりコーティングされる。試料の側面の如何なる金又は金属も、試験の前に、研磨によって除去されるべきである。金属コーティングは、低い接触抵抗を保証するために必要である。
【0069】
電圧と電流の両方を変えることが可能な電源(TTi EL302P、プログラマブル30V/2A電力供給ユニット、Thurlby Thandar Instruments、ケンブリッジ、英国)を、抵抗を求めるために用いる。試料を、電源の電極(錫メッキ銅編組(braids))に接触させ、クランプを用いてその場所に保持する(電極が互いに触れていないこと、又は他の金属表面に接触していないことを、これは誤った結果を生じ得るので、確かめる)。1つの編組から他方への電気的経路を防ぐために、クランプが、非導電性のコーティング又は層を有することを確かめる。1アンペアの電流を流し、電圧を記録する。次いで、オームの法則を用い、抵抗を計算できる(V/I)。試験は、値の範囲を得るために、切断試料の各々で実施する。試験の信頼性を確保するために、各試料を2回試験する。
【0070】
衝撃後圧縮(CAI)試験方法
室温での衝撃後圧縮(CAI)試験は、宇宙航空コンポジット試験の当業者によく知られている試験プロトコルに従って実施した。本実施例で従った具体的試験法は、AITM 1−0010であった。ISO7500−1のクラス1に校正され、関係する荷重範囲において1%以内で正確な試験機を用いて、圧縮測定を行った。試験は23℃±2℃で行った。厚さ約4mmの疑似等方性積層体を、EN2565の方法Bに従って準備した。パネルが、検出できる欠陥を有さないことを衝撃の前に確認するために、それらを、非破壊試験(C−スキャン)によって調べた。材料:鋼 Rm=2000MPa(EN2760による)、又は等しい硬度の鋼から形成された半球状衝撃体を用いて、試料に衝撃を加えた。圧子(indentor)の先端は、16±0.5mmの直径、及び8±0.25mmの半球半径を有し、粗さ:Ra<0.8mmであった。半球状アダプター(直径3mm)を有し、0.01mmの範囲内に校正された深さ計(depth gauge)を用いて、衝撃を加えた試料上の凹みの深さを測定した。深さ測定は、衝撃後30分以内に行った。
【0071】
凹み深さ、層剥離及び残留圧縮強度への衝撃エネルギーの影響を、少なくとも1mmの凹み深さを示す試料から、かなりより小さい凹み深さを示す試料に渡って決定し得るように選択した、様々なエネルギーに渡って、試料に衝撃を加えた。
【0072】
層剥離面積は、Olympus Omniscan装備を有するC−スキャンを用いて測定した。衝撃を加え、測定した後、ガイドへの荷重転移を最低限にするように設計された抗座屈サイドガイド(antibuckling side guide)を装備する圧縮装置を用い、破断に至るまで試料に荷重を加えることによって、残留圧縮強度を求めた。
【0073】
圧縮荷重装置の校正には、歪みゲージ及び適切な自動歪み記録装備を用いた。深さ1mmの凹みを生じることが経験的に求められたエネルギーで衝撃を加えた試料について、BVID 1mmでのCAIを求めた。
【0074】
(例1〜6)
これらの例では、樹脂をホットメルト法で混合し、この場合、液体及び粉末成分を最初にブレンドし、次いで、さらなる粉末成分(これらは、硬化剤、及び公称直径20ミクロンの強化ポリアミド6粒子(ArkemaによるOrgasol)であった)と再び混合した。
【0075】
過熱することなく、また過度の樹脂の進行(advancement)若しくは発熱反応のいずれの危険を冒すことなく混合容器から樹脂を注げる「可流動性粘度」(“flowable viscosity”)であるように、硬化剤及び強化粒子は、第1段階ブレンドに、高剪断及び適切な温度(80℃)で混合した。この混合ステップは、バッチ方式プロセスで、又は、例えば、連続混合し、高温樹脂を直接コーティング装置に供給するための2軸押出機を用いる、連続混合プロセスで実施され得る。
【0076】
この例では、バッチ混合プロセスが完了したら、十分に混ざった樹脂配合物を、混合容器から、リバースロールフィルム化装置のコーティング浴に注いだ。フィルム化プロセスは、リバースロールホットメルト樹脂コーティングの実施に典型的であった。計量ロール及びアプリケータロールは、プロセス温度(85℃)に加熱され、それらの間にコーティングギャップを設けた。ライン速度、コーティングギャップ及びアプリケータロールの速度は、公称で69gm−2の樹脂コーティングが、Laufenberg又はMondiのような製造業者による、業界において通常用いられるもののようなスーパーカレンダー加工されたグラシン系の両面剥離紙に、コーティングされるように制御した。フィルムの巻物を、このコーティング重量で製造し、次いで、使用するために、プリプレグラインに運んだ。
【0077】
プリプレグラインは、樹脂の種類が、70℃で345Pasの粘度を有する、WO2008/040963のバッチ1349及び1351に用いられたものである、プリプレグを製造するように設定した。プリプレグにおける樹脂の公称の量は、34重量%であり、これは、各層が公称69gm−2であるため、合計で138gm−2である、2層のコーティングフィルムを用いることによって達成する。プリプレグの繊維面積重量グレードは、プリプレグ製品において、268gm−2の繊維である。繊維グレートの種類は、IMA(Hexcelによる)であり、サイジングの種類は、1本のIMA炭素繊維トウに直径約6ミクロンの12,000本の公称炭素フィラメント数を有するIMA繊維へのものである。
【0078】
炭素繊維の種類IMAは、公称0.445gm−1の単位長当たりの質量を有する。業界においてよく知られている計算を用いて、370スプールの、IMA 12k炭素繊維トウを、炭素繊維クリールユニットに装着し、各トウをプリプレグラインに通した。これにより、約615mm幅で、公称268gm−2の炭素繊維ウェブが形成された。2つのコーティングされた樹脂フィルムを、1つの樹脂層が、炭素繊維ウェブの上側表面に付けられ、1つの樹脂フィルムが、炭素繊維ウェブの下側表面に樹脂層を付け得るように、プリプレグ装置に装着した。これは、プリプレグ加工に対する典型的な1段階手法である。
【0079】
樹脂/繊維/樹脂層の「プリプレグウェブ」を、ニップ段階を用いないで4つの逐次S−ラップ段階を通して(図1に示されるように)、又は1つのS−ラップ及び3つのニップ段階を用いて、プリプレグラインを通して送った。含浸ゾーンは、この樹脂系に適する温度(120℃)に加熱し、プリプレグウェブがこの高温含浸ゾーン内に留まっている時間内に、樹脂の流れが達成され得るように、ライン速度を制御した。ニップ段階は、42kg/(1cm幅の導電性繊維)の圧力を生じ、それ故に、本発明の範囲外となるように計算した。S−ラップ段階は、30kg/(1cmの導電性繊維)未満の圧力を生じた。
【0080】
比較の目的で、典型的な2段階プロセスもまた用いたが、このプロセスは、分裂(乱れ)を引き起こすことなく繊維に樹脂を含浸させる段階、及び、レイアップの間に中間層を生じるさらなる樹脂層に接触させる、より低い温度の第2段階を含む。
【0081】
プリプレグのプロセスは、また、孔のない密な積層体構造で、繊維への浸透(含浸)が望みのレベルであるプリプレグが得られるように、炭素繊維トウの張力(120と160g/トウの間のコーム部分に入る張力)、温度(120℃)、S−ラップによる圧力、及び速度(5m/分)を制御するようなものであった。プリプレグは、1つのフィルムコーティング剥離紙を保持し、1つのコーティング剥離紙を単なるポリエチレン保護層に置き換えて、巻芯に巻いた。
【0082】
次いで、前記プリプレグを用いて、300mm×300mmの12枚重ね0°90°積層体を、このようなプリプレグに対する通常の硬化サイクルで硬化させて製造した。通常の硬化サイクルは、全て約6barの圧力下に、2℃/分の加熱速度で180℃、2時間の硬化、次に、雰囲気温度までの冷却である。
【0083】
次いで、この積層体を、約38mm×38mmの8つの正方形を得るように切断した。次に、硬化した積層体のこれらの正方形の端部を、研磨機で滑らかにして、滑らかで一様で良好な端部、及び約36mm×36mmの最終径を得た。次いで、下に記載されるように、正方形積層体試料の抵抗を測定した。測定は、厚さ3mmで約36mm×36mmの硬化したコンポジットに関し、積層体の両面に導電層(金スパッター)を付けた。次に、抵抗を、オームで測定した。
【0084】
積層体は、また、記載された手順に従って、それらの衝撃後圧縮(CAI)特性についても試験した。抵抗及びCAI試験の結果は、表1で下に示される。比較例A〜Dは、本発明の範囲外にある。
【表1】

【0085】
本発明に従ってプリプレグの繊維を分裂させる(乱す)と、機械的強度に影響を及ぼすことなく、導電性が劇的に増加することが分かる。
【0086】
比較例B〜Dは、非常に低い電気抵抗を有するが、これは、高圧ニップ段階によって導入される分裂の増加に関連すると考えられることが指摘されるべきである。しかし、分裂の度合いは、抵抗値が再現性に劣るようなものであり、樹脂含浸の度合いは、必要とされる厳しい許容範囲内ではなかった。例1〜6だけが、良好な導電性と良好な機械的性能の両方をもたらす。
【0087】
(例7〜8)
上の例を繰り返したが、今回は、含浸ロールの配置が異なり、36kg/(1cm幅の導電性繊維)の圧力を及ぼし、そのため本発明の範囲内にあるニップロールを含む。結果は、層間せん断強さ(Interlaminar Shear Strength)、引張り強さ(Ultimate Tensile Strength)、有孔引張り(Open Hole Tension)、及び衝撃後圧縮(Compression After Impact)のような当技術分野において広く用いられる様々な機械的特性と一緒に、表2において下に示される。
【表2】

【0088】
(例9〜10)
例6を繰り返したが、今回は、ロールを通る導電性繊維及び樹脂の速度に対する、ロールの速度を変えた。このような変化は、当技術分野において「トリム」(“trim”)と呼ばれ、正(ロールが繊維より速く駆動される場合)、又は負(ロールが繊維より遅く駆動される場合)であり得る。
【0089】
結果は、表3において下に示される。
【表3】

【0090】
(例11)
例6を再び繰り返したが、今回は、70℃で241Pasの粘度を有する、より低い粘度の樹脂を用いた。
【0091】
結果は表4において下に示される。
【表4】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の幅を有する一方向導電性繊維層を供給すること、繊維の第1面を、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1層に接触させること、並びに、樹脂及び繊維を一緒に、1つ又は複数の含浸ロールに通すことによって加圧することを含むプリプレグの製造方法であって、導電性繊維及び樹脂に加えられる圧力が40kg/(幅1cmの導電性繊維)を超えず、樹脂が繊維の隙間に入り込み、かつ、樹脂の第1外側層を一方向導電性繊維が本質的に存在しない状態のままにしておくのに十分な量で、樹脂が存在する、上記プリプレグの製造方法。
【請求項2】
熱硬化性樹脂を含む樹脂の第2層を、繊維の第2面に接触させる場合、樹脂の第1及び第2層を、繊維と一緒に、繊維の隙間に樹脂が入り込むように加圧する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ロールが、少なくとも1つのS−ラップ段階を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
導電性繊維及び樹脂に加えられる圧力が、35kg/(1cm幅の導電性繊維)を超えず、好ましくは、30kg/(1cm幅の導電性繊維)を超えない、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
樹脂が、0.001kg−1−2未満の圧縮率を有するバッキング紙に支持されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
樹脂との接触の前で、繊維がそれらの初めの巻き物又はボビンを出た直後に測定して、繊維が、0.007から0.025g/フィラメントの張力の下にある、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粒子材料が、第1の、及び存在する場合第2の、樹脂層内に分散している、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
含浸の後、粒子材料の少なくとも70%が、第1の、及び存在する場合第2の、外側層にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
樹脂が、10rad/sのせん断速度で、300Pas未満の70℃での粘度を有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
5%未満のレベルで、正味の正のトリムが、ロールに適用される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法によって得られるプリプレグ。
【請求項12】
高温の下での硬化によって得られる、硬化したコンポジット積層体であって、請求項11に記載の複数のプリプレグを含み、硬化した樹脂のインターリーフ層によって隔てられた複数の一方向導電性繊維構造層を含む上記積層体。
【請求項13】
インターリーフ層が、10から60マイクロメートルの平均厚さを有する、請求項12に記載の硬化した積層体。
【請求項14】
硬化したコンポジット積層体における構造層の全厚とインターリーフ層の全厚の比が、10:1から3:1である、請求項12又は13に記載の硬化したコンポジット。
【請求項15】
隙間に熱硬化性樹脂を含む充填された一方向導電性繊維の構造層、及び熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1外側層を含むシート状プリプレグであって、少なくとも1つの他の同様のプリプレグと層状化され、高温の下で硬化されたとき、起伏のある上側及び下側表面を有する、充填された一方向炭素繊維の硬化性構造層を含む硬化したシート状コンポジット材料を生成し、構造層が概して樹脂の中間層によって隔てられており、この起伏が、隣接する構造層の間に接触点が存在するように形成されている上記プリプレグ。
【請求項16】
起伏のある上側及び下側表面を有し、樹脂の中間層によって隔てられた、分裂した一方向導電性繊維の硬化した構造層を含み、この起伏が、隣接する構造層の間に接触点が存在するように形成されている、硬化したシート状コンポジット材料。
【請求項17】
樹脂の中間層が10から60マイクロメートルの平均厚さを有する、請求項15に記載のシート状プリプレグ、又は請求項16に記載の硬化したシート状コンポジット材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−530839(P2012−530839A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516865(P2012−516865)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051052
【国際公開番号】WO2010/150022
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(504132032)ヘクセル コンポジット、リミテッド (20)
【出願人】(511311853)
【Fターム(参考)】