説明

コージェネレーションシステム

【課題】 本発明の目的は、熱余り状態が予測される時期等において、熱電併給装置の出力を適切に低下させることにより、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を適切に抑制することができるコージェネレーション及びその運転方法を提供する点にある。
【解決手段】 運転制御手段が、熱余り対処時期において、熱電併給装置の部分出力における運転効率が電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、出力低下運転として、熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行し、熱電併給装置の部分出力における運転効率が電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも低い又は同等である場合には、出力低下運転として、熱電併給装置の出力を電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転を実行する、又、抑制電主出力運転において、抑制幅を余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力に基づいて調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を回収して湯水として貯える貯湯槽と、前記熱電併給装置の稼動時に前記熱電併給装置の設定出力を電力負荷に追従させる電主運転制御を実行する運転制御手段とが設けられているコージェネレーションシステム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるコージェネレーションシステムでは、エンジン駆動発電機や燃料電池等の熱電併給装置を備えて、熱電併給装置の発電電力を電気機器等の電力消費部に供給すると共に、熱電併給装置の発生熱を、例えばその熱により加熱した湯水として一旦貯湯槽に貯えて、給湯部や暖房機器等の熱消費部に供給するように構成される。
そして、このようなコージェネレーションシステムを各家庭等に設けることで、その家庭で消費される電力の少なくとも一部を熱電併給装置の発電電力で補うことができるので、商用電源からの受電電力を少なくすることができる上に、そのときの発生熱を湯水として利用することができるため、省エネルギ性及び経済性の点で有効である。
【0003】
このようなコージェネレーションシステムでは、例えば、運転制御手段により、数分(例えば1分)等の比較的短い出力調整周期で、熱電併給装置の設定出力を、電力消費部における電力負荷に追従させる電主運転制御を実行するように構成される場合がある。
【0004】
電主運転制御を実行するコージェネレーションシステムでは、その電主運転制御を実行することにより、現電力負荷を発電電力で賄うことができるものの、現在要求されている現熱負荷には対応しておらず、現熱負荷に対して熱が余る熱余り状態が発生して、省エネルギ性が悪化する場合がある。
【0005】
そこで、電主運転制御を実行するときの熱電併給装置の発生熱量に対して比較的熱負荷が小さく熱余り状態が発生すると予測される場合には、運転制御手段は、熱電併給装置の出力を低下させて、熱電併給装置の熱の発生を抑制して、上記熱余り状態を抑制する場合がある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、上記のように熱余り状態が予測される場合の熱電併給装置の出力を低下させる形態としては、熱電併給装置の出力を最小出力等の部分出力に設定する形態や、熱電併給装置の出力を電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する形態がある。
【0006】
電主運転制御を実行するコージェネレーションシステムでは、熱電併給装置の出力が電力負荷の急激な減少に対して敏感に追従することができずに、熱電併給装置の発電電力が電力負荷を上回り、熱電併給装置の発電電力の電力負荷に対する余剰分である余剰電力が発生する場合がある。
そして、この余剰電力は、電気ヒータにより貯湯槽に貯える熱に変換して有効利用することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−286008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コージェネレーションシステムにおいて、熱余り状態が予測された場合に、上記のように熱電併給装置の出力を部分出力に設定する構成では、熱電併給装置の発生熱が大幅に減少されることから、熱余り状態を確実に解消して、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を大幅に抑制することができる。しかしながら、熱電併給装置の部分出力における運転効率が低い場合には、熱電併給装置の出力をその運転効率が低い部分出力に設定することによる省エネルギ性の悪化が懸念され、更には、熱電併給装置の発生熱が大幅に減少することから、予測とは異なって実際には比較的大きかった熱負荷に対する熱不足状態が発生し易くなることから、このような熱不足状態に伴う省エネルギ性の一層の悪化が懸念される。
【0009】
一方、コージェネレーションシステムにおいて、熱余り状態が予測された場合に、上記のように熱電併給装置の出力を抑制電主出力に設定する構成では、熱電併給装置の発生熱の減少分が少ないことから、予測とは異なって実際には比較的大きかった熱負荷に対する熱不足状態が発生し難くなって、その熱不足状態に伴う省エネルギ性の悪化を抑制することができる。しかしながら、熱電併給装置の出力を比較的大きい抑制電主出力に設定することで、熱電併給装置の発生熱の減少分が少ないことから、熱余り状態を解消できずに、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化についてはあまり抑制することができない。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱余り状態が予測される時期において、熱電併給装置の出力を適切に低下させることにより、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を適切に抑制することができるコージェネレーションを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るコージェネレーションシステムの運転方法は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を回収して湯水として貯える貯湯槽と、前記熱電併給装置の稼動時に前記熱電併給装置の設定出力を電力負荷に追従させる電主運転制御を実行する運転制御手段とが設けられているコージェネレーションシステムの運転方法であって、その特徴構成は、前記運転制御手段が、予測電力負荷に対して前記電主運転制御を実行したと仮定した場合に熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期である熱余り対処時期において、前記燃料電池の出力を低下させる出力低下運転を実行するように構成され、
前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、前記運転制御手段に、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行させ、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも低い又は同等(本願において同等とは、運転効率の差が5%程度以内である場合も含む。)である場合には、前記運転制御手段に、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を前記電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転を実行させる点にある。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係るコージェネレーションシステムは、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を回収して湯水として貯える貯湯槽と、前記熱電併給装置の稼動時に前記熱電併給装置の設定出力を電力負荷に追従させる電主運転制御を実行する運転制御手段とが設けられているコージェネレーションシステムであって、その第1特徴構成は、前記運転制御手段が、予測電力負荷に対して前記電主運転制御を実行したと仮定した場合に熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期である熱余り対処時期において、前記燃料電池の出力を低下させる出力低下運転を実行し、且つ、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行し、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも低い又は同等である場合には、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を前記電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転を実行する点にある。
【0013】
即ち、上記コージェネレーションシステムの運転方法の特徴構成、及び、上記コージェネレーションシステムの第1特徴構成によれば、過去の電力負荷から予測した予測電力負荷に対して電主運転制御を実行したと仮定した場合に、将来において過去の熱負荷から予測した予測熱負荷に対して熱余り状態の発生が予測される時期、又は、現在の現熱負荷に対して熱余り状態が発生している時期としての熱余り対処時期に、上記運転制御手段が、上記出力低下運転を実行して、熱電併給装置の出力を低下させるので、上記熱余り状態を抑制することができる。
【0014】
更に、上記運転制御手段は、熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、熱電併給装置の出力を部分出力に設定することにより省エネルギ性があまり悪化しないと判断して、上記出力低下運転として、熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行して、熱電併給装置の発生熱を最小限に抑制して、熱余り状態を効率良く確実に抑制し、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を大幅に抑制することができる。
一方、上記運転制御手段は、熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも小さい場合には、熱電併給装置の出力を部分出力に設定することにより省エネルギ性が悪化すると判断して、上記出力低下運転として、上記部分出力運転ではなく、電力負荷よりも若干の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する形態で電力負荷に追従させる抑制電主出力運転を実行して、熱電併給装置の発生熱や電気ヒータにより熱に変換される余剰電力を抑制し、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を抑制しながら、予測とは異なって実際には比較的大きかった熱負荷に対する熱不足状態の発生を抑制して、このような熱不足状態に伴う省エネルギ性の悪化も抑制することができる。
尚、上記部分出力は、例えば、最小出力、又は、電力負荷よりも低い出力のなかで最も高い運転効率を発揮する出力として設定することができ、一方、上記抑制電主出力は、電力負荷に対して熱余り状態や余剰電力の発生を抑制しえる程度に設定された抑制幅分小さい出力として設定することができる。
【0015】
本発明に係るコージェネレーションシステムの第2特徴構成は、前記熱電併給装置の発電電力の電力負荷に対する余剰分である余剰電力を前記貯湯槽に貯える熱に変換する電気ヒータと、
前記余剰電力を演算又は計測する余剰電力導出手段とを備え、
前記運転制御手段が、前記熱電併給装置の出力を前記電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転において、前記抑制幅を前記余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力に基づいて調整する点にある。
【0016】
即ち、上記コージェネレーションシステムの第2特徴構成によれば、上記余剰電力導出手段により、上記電気ヒータに供給される余剰電力を演算又は計測すると共に、運転制御手段により、電力負荷よりも若干の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する形態で電力負荷に追従させる抑制電主出力運転を実行する場合において、その抑制幅を、上記余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力に基づいて調整することで、電力負荷のできるだけ多くを熱電併給装置の発電電力で補うと共に、電気ヒータにより熱に変換される余剰電力を出来るだけ少なくして、熱余り状態の発生を一層抑制することができ、結果、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を一層抑制することができる。
【0017】
本発明に係るコージェネレーションシステムの第3特徴構成は、前記運転制御手段が、前記余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力の平均値又は積算値を算出し、前記抑制幅を前記平均値又は積算値に応じて設定する点にある。
【0018】
即ち、上記コージェネレーションシステムの第3特徴構成によれば、運転制御手段が、抑制電主出力運転において、余剰電力導出手段の演算又は計測結果に基づいて抑制幅を調整するに、その抑制幅を、頻繁に変動する余剰電力の瞬時値ではなく、比較的緩慢に変動する余剰電力の平均値又は積算値に応じて設定することで、熱電併給装置の出力を比較的安定して、出力の頻繁な変動による熱電併給装置の損傷及び効率低下を抑制することができる。尚、上記平均値又は積算値としては、期間をずらしながら順次くり返して計算する移動平均値又は移動積算値や、1日毎等の所定の期間毎に計算する期別平均値又は期別積算値等を用いることができる。
【0019】
本発明に係るコージェネレーションシステムの第4特徴構成は、前記運転制御手段が、前記抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に熱不足状態が予測されない条件で抑制幅の上限値を設定する点にある。
【0020】
即ち、上記コージェネレーションシステムの第4特徴構成によれば、運転制御手段が、抑制電主出力運転において、余剰電力導出手段の演算又は計測結果に基づいて抑制幅を調整するに、抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に熱不足状態が予測されない形態で抑制幅の上限値を設定する、言換えれば、抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に熱不足が予測されない抑制電主出力範囲の最下限に対する抑制幅を上限値として決定し、抑制幅が上限値以下になるように制限することで、熱余り状態を回避するための抑制電主出力運転を実行する場合に、その熱余り状態が予測される時期以降における熱不足状態の発生を抑制することができ、結果、省エネルギ性の悪化を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るコージェネレーションシステムについて図面に基づいて説明する。
このコージェネレーションシステムは、図1及び図2に示すように、電力と熱とを発生する熱電併給装置としての燃料電池1と、その燃料電池1が発生する熱を冷却水にて回収し、その冷却水を利用して、貯湯槽2への貯湯及び熱消費端末3への熱媒供給を行う貯湯ユニット4と、燃料電池1及び貯湯ユニット4の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部5などから構成されている。
【0022】
前記燃料電池1は、その出力を調整可能に構成され、その燃料電池1の電力の出力側には、系統連係用のインバータ6が設けられ、そのインバータ6は、燃料電池1の発電電力を商用電源7から受電する受電電力と同じ電圧及び同じ周波数にするように構成されている。
前記商用電源7は、例えば、単相3線式100/200Vであり、受電電力供給ライン8を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷9に電気的に接続されている。
また、インバータ6は、発電電力供給ライン10を介して受電電力供給ライン8に電気的に接続され、燃料電池1からの発電電力がインバータ6及び発電電力供給ライン10を介して電力負荷9に供給するように構成されている。
【0023】
前記受電電力供給ライン8には、電力負荷9の負荷電力を計測する電力負荷計測手段11が設けられ、この電力負荷計測手段11は、受電電力供給ライン8において商用電源7側に電流が流れる所謂逆潮流が発生するか否かをも検出するように構成されている。
そして、逆潮流が生じないように、インバータ6により燃料電池1から受電電力供給ライン8に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、その余剰電力を熱に代えて回収する電気ヒータ12に供給されるように構成されている。
【0024】
前記電気ヒータ12は、複数の電気ヒータから構成され、冷却水循環ポンプ15の作動により冷却水循環路13を通流する燃料電池1の冷却水を加熱するように設けられ、インバータ6の出力側に接続された作動スイッチ14によりON/OFFが切り換えられている。
また、作動スイッチ14は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ12の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ12の消費電力を調整するように構成されている。
尚、上記余剰電力は、インバータ6の出力として計測される燃料電池1の発電電力から、電力負荷計測手段11で計測される電力負荷を差し引いた電力値として演算可能であり、よって、上記電力負荷計測手段11及びインバータ6が、余剰電力を演算又は計測するための余剰電力導出手段Xとしても機能する。
ちなみに、上記のように余剰電力を演算して、電気ヒータ12の消費電力をその余剰電力以上となるように、作動スイッチ14によりON/OFFが切り換えられるので、電力負荷計測手段11で計測される電力負荷から、燃料電池1の発電電力を引き電気ヒータ12の消費電力を加えた分の電力が、商用電源7から受電する受電電力により賄われることになる。尚、この余剰電力は、例えば電気ヒータ12へ供給される電力を余剰電力として計測可能な余剰電力計測手段を設けるなどして、別の方法で演算又は計測しても構わない。
【0025】
前記貯湯ユニット4は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯槽2、湯水循環路16を通して貯湯槽2内の湯水を循環させる湯水循環ポンプ17、熱源用循環路20を通して熱源用湯水を循環させる熱源用循環ポンプ21、熱媒循環路22を通して熱媒を熱消費端末3に循環供給させる熱媒循環ポンプ23、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させる貯湯用熱交換器24、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる熱源用熱交換器25、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させる熱媒加熱用熱交換器26、ファン27を作動させた状態でのバーナ28の燃焼により貯湯槽2内から取り出した湯水及び熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる補助加熱用熱交換器29などを備えて構成されている。
【0026】
前記湯水循環路16は、その一部が並列になるように分岐接続され、その接続箇所に三方弁18が設けられており、分岐された一方側の流路には、ラジエター19が設けられている。
そして、三方弁18を切り換えることにより、貯湯槽2の下部から取り出した湯水がラジエター19を通過するように循環させる状態と、貯湯槽2の下部から取り出した湯水がラジエター19をバイパスするように循環させる状態とに切り換えるように構成されている。
【0027】
前記貯湯用熱交換器24においては、燃料電池1から出力される熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させるように構成されている。
前記熱源用熱交換器25においては、燃料電池1が発生する熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させるように構成されている。
そして、補助加熱手段Mが、ファン27、バーナ28、補助加熱用熱交換器29により構成されている。
また、熱源用循環路20には、熱源用湯水の通流を断続させる熱源用断続弁40が設けられている。
【0028】
前記冷却水循環路13は、貯湯用熱交換器24側と熱源用熱交換器25側とに分岐され、その分岐箇所に、貯湯用熱交換器24側に通流させる冷却水の流量と熱源用熱交換器25側に通流させる冷却水の流量との割合を調整する分流弁30が設けられている。
そして、分流弁30は、冷却水循環路13の冷却水の全量を貯湯用熱交換器24側に通流させたり、冷却水循環路13の冷却水の全量を熱源用熱交換器25側に通流させることもできるように構成されている。
【0029】
前記熱媒加熱用熱交換器26においては、熱源用熱交換器25や補助加熱用熱交換器29にて加熱された熱源用湯水を通流させることにより、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させるように構成されている。
前記熱消費端末3は、床暖房装置や浴室暖房装置などの暖房端末にて構成されている。
【0030】
また、貯湯槽2から取り出した湯水を給湯するときの給湯熱負荷を計測する給湯負荷計測手段31が設けられ、熱消費端末3での端末熱負荷を計測する端末熱負荷計測手段32も設けられている。
【0031】
前記運転制御部5は、燃料電池1の運転中には冷却水循環ポンプ15を作動させる状態で、燃料電池1の運転及び冷却水循環ポンプ15の作動状態を制御すると共に、湯水循環ポンプ17、熱源用循環ポンプ21、熱媒循環ポンプ23の作動状態を制御することによって、貯湯槽2内に湯水を貯湯する貯湯運転や、熱消費端末3に熱媒を供給する熱媒供給運転を行うように構成されている。
【0032】
ちなみに、給湯するときには、熱源用断続弁40を閉弁した状態で貯湯槽2から取り出した湯水を給湯するように構成され、貯湯槽2から取り出した湯水を補助加熱手段Mにて加熱したり、貯湯槽2から取り出した湯水に水を混合させて、図外のリモコンにて設定されている給湯設定温度の湯水を給湯するように構成されている。
したがって、貯湯槽2では、貯湯槽2の容量の範囲内で、燃料電池1の出力に応じて追加された湯水から、給湯用として取り出された湯水を差し引いた分の湯水が貯湯されていることになる。
【0033】
先ず、運転制御部5による燃料電池1の運転の制御について説明を加える。
前記運転制御部5は、燃料電池1の稼動時に燃料電池1の出力を、現在要求されている現電力負荷に対して追従する電主出力に設定する電主運転制御を実行する。
【0034】
詳しくは、運転制御部5は、上記電主運転制御において、1分等の比較的短い所定の出力調整周期毎に、上記現電力負荷を求め、最小出力(例えば250W)から最大出力(例えば1000W)の範囲内で、図3(a)に示すように連続的に、上記現電力負荷に追従する電主出力を決定し、燃料電池1の出力をその決定した電主出力に設定する。
尚、上記最小出力は、許容範囲内で0W又はそれに近い極めて小さい出力に設定しても構わない。
【0035】
尚、上記現電力負荷は、電力負荷計測手段11の計測値に基づいて求められ、更に、その現電力負荷は、前の出力調整周期における電力負荷の平均値として求められる。また、現電力負荷を、実際の電力負荷よりも所定の余裕分小さめに求めても構わない。
【0036】
上記のような電主運転制御では、運転制御部5が、現電力負荷を計測してから燃料電池1の出力を電主出力に設定するまでに、若干の時間遅れが存在する。
即ち、図3(b)に示すように、燃料電池1の実際の発電電力は、現電力負荷の変化状態に対して若干遅れて変化するようになる。そして、燃料電池1の発電電力が現電力負荷の急激な減少に対して敏感に追従することができずに、燃料電池1の発電電力が現電力負荷を上回り、余剰電力が発生し、その余剰電力が上述した電気ヒータ12に供給される。
【0037】
更に、運転制御部5は、上記電主運転制御において、この余剰電力を減少させて、電気ヒータ12による発生熱を抑制して、熱余り状態の発生を抑制するべく、以下に示す電主出力運転を実行するように構成されている。以下、この電主出力運転について説明を加える。
【0038】
ちなみに、熱余り状態とは、例えば、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が満杯であり、ラジエター19を作動させる状態や、熱媒供給運転中に燃料電池1から出力される熱が熱消費端末3で要求されている端末熱負荷や給湯負荷よりも大きくて、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が満杯であり、ラジエター19を作動させる状態である。
【0039】
(電主出力運転)
運転制御部5は、電主出力運転において、燃料電池1の出力を、現電力負荷よりも一定の量又は割合で示される一定幅分小さい電主出力に設定するように構成されている。
即ち、図4(a)に示すように、電主出力運転では、最小出力から最大出力の範囲内で、現電力負荷から一定幅分小さい電主出力を決定し、燃料電池1の出力をその決定した電主出力に設定する。
即ち、現電力負荷から一定分小さい出力が、最小出力から最大出力の範囲内である場合には、その出力が電主出力となり、現電力負荷から一定幅分小さい出力が、最大出力よりも大きい場合には、最大出力を電主出力として決定し、現電力負荷から一定幅分小さい出力が、最小出力よりも小さい場合には、最小出力を電主出力として決定する。
【0040】
そして、このような電主出力運転を実行することで、図4(b)に示すように、燃料電池1の実際の発電電力が現電力負荷の変化状態に対して若干遅れて変化した場合でも、余剰電力を抑制することができる。
【0041】
尚、上記電主出力は、電主運転制御において、最小出力から最大出力の範囲内で現電力負荷に追従するように設定される電主出力に対して、上記一定幅分小さい出力として設定することができる。また、この場合には、電主出力が最小出力未満とならないように、上記電主出力から上記一定幅分小さい出力が最小出力よりも小さい場合には、最小出力を電主出力に決定する。
【0042】
そして、運転制御部5は、予測電力負荷に対して上記電主運転制御を実行したと仮定した場合に熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期である熱余り対処時期において、燃料電池1の出力を低下させる出力低下運転を実行するように構成されている。以下、この出力低下運転について説明を加える。
【0043】
運転制御部5は、出力低下運転として、以下に示す部分出力運転又は抑制電主出力運転を実行可能に構成されている。
【0044】
(部分出力運転)
運転制御部5は、部分出力運転において、燃料電池1の出力を部分出力に設定するように構成されており。そして、この部分出力運転を実行することで、上述した余剰電力を大幅に抑制することができる。
尚、上記部分出力は、最小出力、又は、電力負荷よりも低い出力のなかで最も高い運転効率を発揮する出力等として設定することができる。
【0045】
(抑制電主出力運転)
運転制御部5は、抑制電主出力運転において、燃料電池1の出力を、現電力負荷よりも所定の量又は割合で示される抑制幅分小さい抑制電主出力に設定するように構成されている。よって、燃料電池1の実際の発電電力が現電力負荷の変化状態に対して若干遅れて変化した場合でも、余剰電力を抑制することができる。
尚、この抑制電主出力運転における燃料電池1の出力の現電力負荷に対する抑制幅は、上述した電主出力運転における燃料電池1の出力の現電力負荷に対する低下幅(一定幅)よりも大きく設定される。
【0046】
更に、運転制御部5は、この抑制電主出力運転において、燃料電池1の出力を現電力負荷に対して低下させる幅である抑制幅を、余剰電力導出手段Xで演算又は計測される余剰電力に基づいて調整するように構成することができる。
【0047】
即ち、図6に示すように、運転制御部5は、上記抑制電主出力運転において、先ず、余剰電力導出手段Xにより余剰電力Eoを演算又は計測すると共に、その現在の余剰電力Eoと過去一定期間の余剰電力Eoとから、余剰電力Eoの移動平均値Ave(Eo)を演算する(ステップ#2)。
【0048】
次に、上記余剰電力Eoの移動平均値Ave(Eo)が所定の上限値e1(例えば50W)よりも大きいか否かを判定する(ステップ#3)。
そして、上記余剰電力Eoの移動平均値Ave(Eo)が所定の上限値e1(例えば50W)以下である場合には、上記抑制幅Edを上記移動平均値Ave(Eo)に設定する。
このように、抑制電主出力運転において、抑制幅Edを、余剰電力導出手段Xで演算又は計測される余剰電力の移動平均値Ave(Eo)に設定することで、燃料電池1の発電電力を出来るだけ大きくしながら、電気ヒータ12により熱に変換される余剰電力を出来るだけ少なくすることができる。
尚、上記抑制幅Edは、上記移動平均値Ave(Eo)ではなく、例えば、瞬時値である余剰電力Eoに設定しても構わない。
【0049】
一方、上記余剰電力Eoの移動平均値Ave(Eo)が所定の上限値e1(例えば50W)よりも大きい場合には、商用電源7からの受電電力の過剰な増加による省エネルギ性の悪化を抑制するべく、上記抑制幅Edを上記上限値e1に設定する(ステップ#4)。
尚、このステップ#3及びステップ#4を省略して、上記抑制幅Edを常に上記移動平均値Ave(Eo)に設定するように構成しても構わない。また、上記移動平均値の代わりに、1日毎等の所定の期間毎の余剰電力の平均値として計算される期別平均値に応じて抑制幅を調整しても構わない。また、上記移動平均値の変わりに、過去一定期間の余剰電力の移動積算値や1日毎等の所定の期間毎の余剰電力の積算値として計算される期別積算値に応じて抑制幅を調整しても構わない。
【0050】
更に、運転制御部5は、上記抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に、後述する熱不足状態が予測されない形態で抑制幅Edの上限値e1を設定することができる。
【0051】
尚、熱不足状態とは、例えば、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が空であり、補助加熱手段Mを作動させる状態や、熱媒供給運転中に燃料電池1から出力される熱が熱消費端末3で要求されている端末熱負荷や給湯負荷よりも小さくて、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が空であり、補助加熱手段Mを作動させる状態である。そして、例えば図5に示すように、1日等の判定対象期間における予測電力負荷と予測熱負荷を求め、その予測電力負荷に対して抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に燃料電池1の発生熱が予測熱負荷に対して不足する熱不足状態が発生するか否かを判断することができる。
【0052】
即ち、抑制電主出力を変化させながら、上記のような熱不足状態が発生するか否かの判断を行うことにより、抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に熱不足が予測されない抑制電主出力範囲を求めることができ、その抑制電主出力範囲の最下限の現電力負荷に対する抑制幅を上限値e1として決定する。
そして、抑制幅Edがその上限値e1以下になるように制限することで、抑制電主出力運転を実行することによる熱不足状態の発生を抑制することができ、結果、省エネルギ性の悪化を回避することができる。
【0053】
更に、運転制御部5は、図7に示すように、後述する熱余り対処時期であるか否かを判定し(ステップ#11)、その熱余り対処時期である場合において、上述した部分出力運転又は抑制電主出力運転のうちの一方の出力低下運転を実行する(ステップ#12)ように構成されている。
【0054】
次に、上記ステップ#11における熱余り対処時期の判定について、説明を加える。
前記運転制御部5は、例えば図5に示すように、1日等の判定対象期間における予測電力負荷と予測熱負荷を求め、その予測電力負荷に対して電主運転制御を実行したと仮定した場合に燃料電池1の発生熱が予測熱負荷に対して余る熱余り状態が発生するか否かを判断し、熱余り状態が発生する前の時間帯を、熱余り状態の発生が予測される時期として求める。
また、運転制御部5は、ラジエター19を作動させて放熱を開始する時間帯、又は、その放熱量を積算し、その積算値が設定値以上となった時間帯を、熱余り状態が発生している時期として求める。
そして、上記のような熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期が、上記熱余り対処時期として決定される。
【0055】
更に、運転制御部5は、上記出力低下運転として、上記部分出力運転を実行するか、上記抑制電主出力運転を実行するかを、燃料電池1の部分出力における運転効率に基づいて決定するように構成されている。
【0056】
即ち、図8に示すように、燃料電池1の部分出力における運転効率Aが電主運転制御を実行した場合の運転効率(即ち、燃料電池1の電主出力における運転効率)a1よりも高いか否かを判定する(ステップ#21)。
そして、燃料電池1の部分出力における運転効率Aが電主運転制御を実行した場合の運転効率a1よりも高い場合には、燃料電池1の出力を部分出力に設定することにより省エネルギ性があまり悪化しないと判断して、運転制御部5に出力低下運転として部分出力運転を実行させる(ステップ#22)。
一方、燃料電池1の部分出力における運転効率Aが電主運転制御を実行した場合の運転効率a1よりも低い又は同等である場合には、熱電併給装置の出力を部分出力に設定することにより省エネルギ性が悪化すると判断して、運転制御部5に出力低下運転として抑制電主出力運転を実行させる(ステップ#23)。
【0057】
尚、上記運転効率Aやa1は、電力負荷9へ供給する電力を商用電源7からの受電電力で補うのではなく燃料電池1の発電電力で補うことによるメリットである発電メリットとして、下記の数1に示す式により求めることができる。
【0058】
〔数1〕
運転効率(発電メリット)=燃料電池1の出力×(1/商用電源7の発電効率−1/燃料電池1の発電効率)
【0059】
尚、上記ステップ#21における燃料電池1の部分出力における運転効率Aが電主運転制御を実行した場合の運転効率a1よりも高いか否かの判定は、運転制御部5自身が行っても構わないが、別に、コージェネレーションシステムの設計者や利用者が判定して、運転制御部5を、出力低下運転として、上記部分出力運転を実行するように構成するか、上記抑制電主出力運転を実行するように構成するかを決定しても構わない。
【0060】
尚、上記ステップ#21の判定を運転制御部5が実行する場合には、その部分出力における運転効率Aを、燃料電池1の過去の部分出力時の燃料消費量と発電電力と発生熱量とから演算して、随時更新するように構成することができ、このように構成することで、燃料電池1の経時的な状態の変化に合わせて、出力低下運転として、上記部分出力運転を実行するか、上記抑制電主出力運転を実行するかを、切り換えることができる。
【0061】
尚、上記部分出力を、最小出力とする場合には、その最小出力における運転効率Aのみを随時更新するように構成することができる。一方、上記部分出力を、電力負荷よりも低い出力のなかで最も高い運転効率を発揮する出力とする場合には、その部分出力として設定される可能性がある燃料電池1の各出力における運転効率Aを、上記のように随時更新するように構成することができる。
【0062】
尚、時系列的な電力負荷、及び、時系列的な熱負荷は、運転制御部5により以下に示すように管理される。
即ち、運転制御部5は、例えば、熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷として、単位時間あたりの実電力負荷、実給湯熱負荷、及び、実端末熱負荷の夫々を、電力負荷計測手段11及びインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、及び、端末熱負荷計測手段32にて計測する。
そして、運転制御部5は、電力負荷計測手段11及びインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、及び、端末熱負荷計測手段32にて計測された値を記憶することにより、時系列的な電力負荷及び時系列的な熱負荷を1時間等の単位時間毎に管理するように構成されている。
また、運転制御部5は、実際の使用状況に応じて時系列的な電力負荷及び時系列的な熱負荷を更新する場合には、電力負荷計測手段11及びインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、及び、端末熱負荷計測手段32にて計測された値と、既に記憶されている値とを所定の割合で足し合わせ、その足し合わせた値を記憶するように構成されている。
【0063】
以下、熱余り対処時期における運転効率に基づく部分出力運転及び抑制電主出力運転の判定、及び、部分出力運転における部分出力の設定方法の実施例として、第1乃至第3実施例を説明する。
【0064】
〔第1実施例〕
第1実施例として、上述した数1に示す式により求めた発電メリットとして求めた燃料電池1の各出力における運転効率が、下記の表1に示すように、出力が大きい程高くなる場合を想定した実施例について説明する。尚、上記数1に示す式において、商用電源7の発電効率は0.366としている。
【0065】
【表1】

【0066】
現電力負荷に対して追従する電主出力が1000W,750W又は500Wである場合には、燃料電池1のその電主出力よりも小さい部分出力の運転効率が、その燃料電池1の電主出力における運転効率よりも低いことから、運転制御部5に出力低下運転として、燃料電池1の出力を部分出力に設定する部分出力運転ではなく、燃料電池1の出力をその電主出力よりも抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転が実行される。
【0067】
〔第2実施例〕
第2実施例として、上述した数1に示す式により求めた発電メリットとして求めた燃料電池1の各出力における運転効率が、下記の表2に示すように、出力が大きい程低くなる場合を想定した実施例について説明する。尚、上記数1に示す式において、商用電源7の発電効率は0.366としている。
【0068】
【表2】

【0069】
現電力負荷に対して追従する電主出力が1000W,750W又は500Wである場合には、燃料電池1のその電主出力よりも小さい部分出力(300W)の運転効率が、その燃料電池1の電主出力における運転効率よりも高いことから、燃料電池1の出力を電主出力よりも抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転ではなく、燃料電池1の出力を部分出力(300W)に設定する部分出力運転が実行される。
【0070】
〔第3実施例〕
第3実施例として、上述した数1に示す式により求めた発電メリットとして求めた燃料電池1の各出力における運転効率が、下記の表3に示すように、出力が750Wであるときを最高とし、500W,300W,1000Wの順に低くなる場合を想定した実施例について説明する。尚、上記数1に示す式において、商用電源7の発電効率は0.366としている。
【0071】
【表3】

【0072】
現電力負荷に対して追従する電主出力が1000Wである場合には、燃料電池1のその電主出力よりも小さい部分出力(750W)の運転効率が、その燃料電池1の電主出力における運転効率よりも高いことから、燃料電池1の出力を電主出力よりも抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転ではなく、燃料電池1の出力を部分出力(750W)に設定する部分出力運転が実行される。
現電力負荷に対して追従する電主出力が750W又は500Wである場合には、燃料電池1のその電主出力よりも小さい部分出力の運転効率が、その燃料電池1の電主出力における運転効率よりも低いことから、運転制御部5に出力低下運転として、燃料電池1の出力を部分出力に設定する部分出力運転ではなく、燃料電池1の出力をその電主出力よりも抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転が実行される。
【0073】
上記実施形態では、貯湯槽2に加えて、熱消費端末3を設けて、熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷としたコージェネレーションシステムを例示したが、熱消費端末3を設けずに、給湯熱負荷を熱負荷とするコージェネレーションシステムとしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、電気ヒータ12が燃料電池1の冷却水を加熱するように構成されているが、電気ヒータ12にて貯湯槽2内の湯水を加熱するように構成して実施することも可能である。
【0075】
上記実施形態では、熱電併給装置として、燃料電池1を例示したが、熱電併給装置として、例えば、ガスエンジンなどの内燃機関と発電装置とを組み合わせたものや、スターリングエンジンなどの外燃機関と発電装置とを組み合わせたものなどを適応することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係るコージェネレーションシステムは、例えば燃料電池を熱電併給装置として備え、熱余り状態が予測される時期において、熱電併給装置の出力を適切に低下させることにより、熱余り状態に伴う省エネルギ性の悪化を適切に抑制するためのコージェネレーションシステム及びその運転方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】コージェネレーションシステムの概略構成図
【図2】コージェネレーションシステムの制御ブロック図
【図3】電主運転制御における説明図
【図4】電主出力運転における説明図
【図5】予測電力負荷及び予測熱負荷を示すグラフ
【図6】抑制電主出力運転における抑制幅の調整処理を示すフローチャート
【図7】抑制電主出力運転の実行についての判定処理を示すフローチャート
【図8】抑制電主出力運転の形態についての決定処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0078】
1:燃料電池(熱電併給装置)
2:貯湯槽
5:運転制御部(運転制御手段)
X:余剰電力導出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を回収して湯水として貯える貯湯槽と、前記熱電併給装置の稼動時に前記熱電併給装置の設定出力を電力負荷に追従させる電主運転制御を実行する運転制御手段とが設けられているコージェネレーションシステムの運転方法であって、
前記運転制御手段が、予測電力負荷に対して前記電主運転制御を実行したと仮定した場合に熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期である熱余り対処時期において、前記燃料電池の出力を低下させる出力低下運転を実行するように構成され、
前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、前記運転制御手段に、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行させ、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも低い又は同等である場合には、前記運転制御手段に、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を前記電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転を実行させるコージェネレーションシステムの運転方法。
【請求項2】
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を回収して湯水として貯える貯湯槽と、前記熱電併給装置の稼動時に前記熱電併給装置の設定出力を電力負荷に追従させる電主運転制御を実行する運転制御手段とが設けられているコージェネレーションシステムであって、
前記運転制御手段が、予測電力負荷に対して前記電主運転制御を実行したと仮定した場合に熱余り状態の発生が予測される時期又は熱余り状態が発生している時期である熱余り対処時期において、前記燃料電池の出力を低下させる出力低下運転を実行し、且つ、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも高い場合には、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を部分出力に設定する部分出力運転を実行し、前記熱電併給装置の部分出力における運転効率が前記電主運転制御を実行した場合の運転効率よりも低い又は同等である場合には、前記出力低下運転として、前記熱電併給装置の出力を前記電力負荷よりも所定の抑制幅分小さい抑制電主出力に設定する抑制電主出力運転を実行するコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記熱電併給装置の発電電力の電力負荷に対する余剰分である余剰電力を前記貯湯槽に貯える熱に変換する電気ヒータと、
前記余剰電力を演算又は計測する余剰電力導出手段とを備え、
前記運転制御手段が、前記抑制電主出力運転において、前記抑制幅を前記余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力に基づいて調整する請求項2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記余剰電力導出手段で演算又は計測される余剰電力の平均値又は積算値を算出し、前記抑制幅を前記平均値又は積算値に応じて設定する請求項3に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
前記運転制御手段が、前記抑制電主出力運転を実行したと仮定した場合に熱不足状態が予測されない形態で前記抑制幅の上限値を設定する請求項3又は4の何れか一項に記載のコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−214606(P2006−214606A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25176(P2005−25176)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】