説明

コーティングされた凍結乾燥成型品

【課題】少なくとも1種類以上の活性物質と、場合により1種類以上の足場形成剤と、場合により1種類以上の補助物質と、少なくとも1種類の膜形成剤を含むコーティングとを備える凍結乾燥成型品の提供。
【解決手段】アスコルビン酸等の活性物質、親水コロイドの群、好ましくは多糖類等の足場形成剤、および、場合により、1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を凍結させ、更にビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー等の膜形成剤でコーティングされた凍結成型品成型品、パーツキット構成の該凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、該凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの、医薬品および化粧品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類以上の活性物質と、場合により1種類以上の足場形成剤と、場合により1種類以上の補助物質と、少なくとも1種類の膜形成剤を含むコーティングとを備える凍結乾燥成型品に関する。さらに、本発明は、これらの凍結乾燥成型品を製造するための方法、パーツキット構成の凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの、医薬品および化粧品としての用途のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結乾燥は、水和材料を迅速に製造できる方法である。この場合、乾燥される物質に含まれる水量によっては、高多孔性マトリックスが凍結乾燥プロセス中に製造される。この場合、氷晶が、凍結プロセス中にマトリックス溶液において含水から生じ、乾燥される。この氷晶は、凍結乾燥プロセスの昇華後の孔構造を決定するこの孔構造により、凍結乾燥材料の再水和挙動に極めて重要である、広い内部表面積が得られる。材料の組成によっては、この広い内部表面積により極めて短い再水和時間となる。
【0003】
さらに、材料の組成は、凍結乾燥される多孔性マトリックスの機械的安定性にとって極めて重要でもある。凍結乾燥される活性物質含有材料または成型品は、医薬品用途および化粧品用途に公知で広く用いられるので、特にその製造に際し、凍結乾燥プロセス後の材料の機械的安定性および取り扱い性が中心課題となる。形状の安定した活性物質マトリックスを形成できるように、最終凍結乾燥物質に一定の機械的強度を与える補助物質が、既存の活性物質に加えて通常添加されなければならない。このためには、化粧品または医薬品領域での使用に無害である足場形成物質および足場形成ポリマー、いわゆる足場形成剤が使用される。詳細には、この足場形成剤は、天然ポリマーであって、例えば、コラーゲンベースの親水コロイドもしくは植物性または動物性多糖ベースの親水コロイド等の親水コロイド類の群から選択される天然ポリマーである。一般に、足場形成ポリマーの含有量が多くなるにつれて、凍結乾燥製品の機械的強度が高くなり、水和率が低下する。高ポリマー濃度は、安定性および耐摩耗性、ひいては良好な取扱特性を備えた無塵製品に繋がる一方、含有されるポリマーの膨潤挙動のため、完璧に湿潤するのにより時間を要する。しかし、足場形成剤が低濃度であると、ごく短時間で湿潤可能な製品となるが、十分な機械的安定性および強度を有さず、それにより極めて脆く、粉っぽい製品となる。
【0004】
このように、現時点で取得可能な凍結乾燥製品は、迅速な溶解と十分な機械的安定性との妥協案となるのが常である。
低機械的強度を有する凍結乾燥材料を安定させるために、材料上に安定保護層を連続的に塗布することが考えられる。これによると、ごく低量の構造ポリマーまたは全く構造ポリマーを含有しない活性物質含有内核と、不安定活性物質含有核を安定化させる外側ポリマー層とからなる組成分布を有する成型品が得られる。
【0005】
この場合、成型品の物理的/化学的特性を修正するために、詳細には、このような成型品の溶解挙動を安定化させ促すためにも、膜形成ポリマーまたは構造提供ポリマーで成型品をコーティングすることは、先行技術から理論的に知られ、広く利用されており、医薬品分野(例えば錠剤コーティング技術)で幅広い利用領域を有する。例えば、胃液に耐性のある活性物質の製剤を得るために、耐酸性コーティングを用いて錠剤を製造できる。いわゆる徐放性製剤を製造するための、活性物質の放出を制御または遅らせることができるコーティングも公知である。さらに、粉形成、吸湿、および他の不安定作用を防ぐために、ならびに概して材料の機械的安定のために、一般に錠剤製造においてコーティングが用いられる。
【0006】
この場合、製造は3段階プロセスで通常行なわれる。錠剤製造後、錠剤は、第2工程で溶媒に溶解したコーティングを施され、第3工程で、例えば乾燥または蒸発により溶媒が取り除かれる。このプロセスをコーティングまたは被覆のために利用するには、被覆材料の安定性が十分であることが求められる。この場合、製造方法から、材料は機械圧力に対して安定性がなくてはならない。というのは、一定・均一なコーティングを得るために、コーティングは一般に回転ドラムまたは他の移動装置で行なわれるからである。一方、材料は、塗布されるコーティング剤に対して安定性がなくてはならない。このことは、コーティングが施される即可溶性材料の場合、特に問題となる。この場合、特別な課題としては、材料(即可溶性により特徴付けられる)がコーティング材料に対して即可溶性を発揮しないように、または、コーティングが完了するまで材料の形状が安定維持される好適な方法で即可溶性を遅らせることができるように、材料をコーティング材料に対して安定化させることである。
【0007】
各種の易可溶性の凍結乾燥活性物質含有成型品およびその製造方法が先行技術から公知である。例えば、特許文献1、特許文献2、または特許文献3には、即可溶性により特徴付けられる足場形成ポリマーにより安定化される固体活性物質組成物が記載される。しかし、これらの場合、これらの組成物はすぐに乾燥され、型または最終パッケージ(例えば、瓶またはブリスター)に包装される。このことは、この方法で得られる成型品が低い機械的安定性を示すことと関連する。ばらばらの形態で得られる個々の成型品、および相応の機械的安定性のある成型品は、この方法では得ることができない。材料が最終パッケージに直に残るので、材料の均一なコーティングがなされないのは自明であり、低安定性のために不可能である。
【0008】
さらに、足場形成ポリマーで安定化される固体の即可溶性活性物質の調製物は、特許文献4または特許文献5ならびに特許文献6および特許文献7から公知である。これらの明細書に記載される調製物は組成中に十分に高い安定化ポリマー含有量を有し、その結果、追加の安定化コーティングは明らかに必要なく、記載もされていない。しかし、比較的可溶性が劣るという上記欠点は、これらの明細書で記載される組成物中の足場形成剤が比較的高含有量であることに直接起因する。例えば、特許文献5による調製物は機械的作用、例えば指でこすることによってのみ溶解する。特許文献6および特許文献7の組成物は、溶解率に関して別記することなく、良好な可溶性または分散性についてのみ言及する。対照的に、特許文献4に記載される調製物は極めて良好な溶解率を明示する。しかし、ラクトースまたはマンニトール等の賦形剤を大量に(50重量%を超えて)含有することにより高い機械的安定性を備えるが、その結果、特に高い活性物質含有量を有する調製物を得ることはできない。このように、高含有量の活性物質および低含有量の構造提供補助物質を有する易可溶性調製物をコーティングによって安定化させることは、これらの開示物の主題ではない。
【0009】
ポリマー構造形成剤で安定化され、液体が加えられると溶解され、さらに被覆またはコーティングによって物理的化学的特性が修正される固体活性物質調製物が、特許文献8、または特許文献9、特許文献10、特許文献11および特許文献12に記載される。しかし、これらの文献では、前述のコーティングは、即可溶性が得られなくなるぐらいにこれらの活性物質調製物の溶解挙動に影響する、として開示される。むしろ、これらのコーティングは、胃酸耐性調製物の製造、または徐放性調製物の製造を意図したものであり、そのため、例えば、経口投与の場合の唾液のような水性または生理学的媒体においては、必然的に著しく低い溶解度となる。このように、上記文献で開示される調製物は、固体活性物質含有成型品または調製物を安定化させる一方で、即溶解性を確保または保持する好適なコーティング技術について、何ら示唆しない。
【0010】
さらに、上記文献で開示される調製物は全て、タンパク質の群から選択される足場形成剤を必ず含む。このようなタンパク質新生足場形成剤は凍結乾燥組成物の安定性において極めて重要である。というのは、凍結乾燥組成物は公知のように架橋結合、いわゆる熱脱水架橋結合されるからである。凍結乾燥プロセスに続いて(すなわち乾燥した状態で)膜コーティングを備えるのに十分安定な材料は、この架橋結合により得られる。凍結状態でのコーティングは記載されていない。さらに、この方法に必要な凍結乾燥ペレットの機械的安定性の観点から、足場形成ポリマーの含有量が十分に高いことが求められ、50重量%未満の活性物質含有量を有する組成物は上記文献で記載される方法では得られない。活性物質の含有量の増加は、凍結乾燥成型品の機械的安定性の損失を伴い、特に親水性活性物質が使用される場合、塗布しようとするとすぐ壊れてしまうので、順次塗布することができない。
【0011】
さらに、特許文献13は凍結乾燥成型食品、特に凍結乾燥アイスクリームを記載する。この凍結乾燥アイスクリームは、チョコレート(理論上は膜形成剤と呼べる)でコーティングされる。しかし、この場合でもコーティングは、凍結乾燥工程後にのみ行なわれるが、凍結乾燥工程は、場合により、膜形成剤でコーティングされた成型用トレイ内で行なわれてもよい。しかし、膜形成剤でコーティングされた活性物質含有成型品は、上記文献では開示されていない。
【0012】
したがって、易可溶性固体活性物質組成物をコーティングするための上記方法は、既に十分な機械的安定性を有する調製物に対してのみ適切である。しかし、特に脆い、例えば、機械的に不安定な活性物質組成物を、機械的安定性を向上させるために、コーティングで安定させることを意図する場合、詳細には、構造提供ポリマー補助物質または足場形成ポリマー補助物質を全く含まないか、ごく少量のみ含むか、または特に高含有量の活性物質を有する機械的に不安定な活性物質組成物において、プロセス中に発生する機械圧力のために、本来機械的に不安定な調製物は大抵の従来コーティング法には適さないという課題が生じる。一方、即可溶性である固体調製物は、溶剤に非常に影響を受けやすいので、安定化の途中またはコーティング法の途中で溶解が起こってしまうようには、コーティング剤と反応してはならない。さらに、使用されるコーティング材料は、コーティングされた後も成型品が即可溶性のままであるようにするものでなくてはならない。特に、最終凍結乾燥成型品が、上記方法で記載されるように、最終的にコーティングを施される場合、このことは問題になる。この場合、コーティングは、上記方法の全てにおいて、調製物が固体乾燥形態の時行なわれる。
【0013】
所望の特性(高含有量の活性物質、少量の足場形成補助物質、高溶解率および高いまたは十分な機械的安定性)を有する凍結乾燥成型品を、ばらばらの成型品、詳細には、一回投与量単位形態での使用のための成型品を提供するために、コーティングによって安定化させる試みがなされる場合、親水性コーティング溶液(例えば、グリセリンベースのもの)は、最終製品の吸湿性(すなわち、水分に影響されやすい)を増やし、さらに、不安定なコーティングに繋がることが明らかになった。このことは、詳細には、包装材料での膜の汚れや摩耗によって示される。水性ベースのコーティング溶液は、上記理由により、すなわち、高溶解率ひいては水性溶媒に著しく影響されることにより、このような凍結乾燥調製物には不適切である。例えば、中性油のような油脂ベース、または特許文献13に記載されるような疎水性ポリマーベースの疎水性コーティングを使用すると、特に水性媒体または生理学的液体(唾液)において、溶解率が大幅に減少する程度まで、活性物質含有成型品の溶解挙動が減少する。このことは、活性物質の迅速な放出および活性物質の迅速な適用が望まれるなら、特に不利です。これらの理由により、親水性コーティング組成物ベースのコーティングが好ましい。しかし、このようなコーティングは、ここで望まれる成型品に対して上記理由から今まで記載されておらず、また、入手もできない。
【0014】
即可溶性成型品に親水性コーティングを施すとしたら、1つの可能性としては、凍結乾燥の前に、凍結した成型品にコーティングを施すことです。利点は、成型品がコーティング法を施されているの間の機械圧力に耐えられるように、氷構造が組成物に十分な機械的安定性を与えるという事実にある。組成物の特に迅速な可溶性は実質的に凍結乾燥組成物の孔構造に起因するので、また、この即可溶性能は凍結状態ではこの程度まで存在しないことから、凍結乾燥成型品の早期溶解または液体誘発不安定性という他の課題が、凍結組成物をコーティング溶媒でコーティングすることにより回避される。この場合のコーティング溶媒は、次の凍結乾燥工程で、溶液の溶媒、通常、活性物質組成物の含水量と共に取り除かれる。さらに、このことにより、この方法の有効性が向上する。というのは、最終製品がコーティング工程に付される方法と比べて、コーティング溶媒を取り除くための追加のプロセスが省けるからである。さらに、凍結成型品をコーティングする方法により、吸湿性活性物質は凍結成型品で深部温度によって確実に保護される一方、すでに乾燥した組成物中の前述の反応性活性物質がコーティング溶媒と接触し、一定時間コーティング溶媒にさらされる。そのことにより、湿潤状態で分解可能な活性物質の活性を著しく失うこととなる可能性がある。
【0015】
さらに、凍結成型品をコーティングし、次いで凍結乾燥する方法により、活性物質組成物の配合の選択に関し、高い多様性がもたらされる。足場形成構造ポリマーは著しく低い濃度で使用可能である。それらの添加も完全に省けるのが理想的である。それにより、成型品の内部に構造ポリマーを必要とせず、ポリマー薄膜形成コーティング層によってのみ機械的に安定される乾燥成型品が得られる。
【0016】
凍結状態でコーティングされる即可溶性固体調製物は、特許文献14で述べられているが、アイスペレットは次の凍結乾燥工程に付されることなくコーティングされている。さらに、疎水性コーティングが用いられているが、上記理由により水性系での活性物質の利用には不利である。さらに、次に凍結乾燥プロセスに付される成型品に対する疎水性コーティングは、疎水性コーティングが昇華中、組成物内部からの液体の放出を妨げるか、またはかなり制限するのせ、不適切である。これは凍結乾燥プロセスへの悪影響である。
【0017】
特許文献15には、外用投与のための、活性物質および足場形成剤の混合物からなる即可溶性凍結乾燥成型品が記載される。凍結乾燥プロセスの前に、凍結状態でこれらの成型品に表面コーティングを施す可能性が記載される。しかし、活性物質層または色を加えるためのコーティングであって、成型品に含まれるアルギン酸ベースの構造ポリマーを架橋することにより成型品の溶解率を減少させるコーティングのみが記載される。この場合、コーティング、特に膜形成剤を用いたコーティングによって成型品を機械的に安定させる可能性は開示されない。上記明細書中で開示される活性物質組成物に含まれる足場形成構造ポリマーが高含有量であることから(少なくとも10重量%、好ましく15−100重量%)、この可能性はすでに足場形成剤により十分な程度にもたらされる。
【0018】
十分な機械的安定性を有する、高含有量の活性物質および極少量の足場形成剤を有する凍結乾燥成型品を、膜形成剤を用いて薄いコーティングにより得る可能性は、特許文献15には開示されない。具体的には、数多くの重要な極めて強力な活性物質(光、温度、酸化または湿度に関して極めて不安定であることで知られる)を化粧品および医薬品用途のために組み込むという、従来の限定された可能性を考慮して、このような極めて強力であり、分解されるおそれがある極めて不安定な活性物質を、保存性に優れ、保存期間と投与期間全体にわたって活性物質の含有量の最適かつ再現可能な提供、ひいては、可能な限り高い安全性と適用効率とを有し、長期間にわたり高い安定性が得られる形態にすることに関心が集まっている。
【0019】
活性物質の効率的な安定化の他に、それぞれの用途の目的に応じて最適に構成された最適な投与形態での活性物質の提供が特に注目される。用途に適した形態の選択は、特に、用途のタイプと場所、ターゲット集団とその特性、活性物質の投与量のタイプと量、あるいは、それらの投与形態、ならびに、例えば、活性物質の物理的および生化学的特性、特に、この場合には考慮されなければならないそれらの生物学的利用能と全身作用に関する物理的および生化学的特性に依存する。
【0020】
特に、外用のための投与形態および経口投与形態は、この場合における安定で極めて効力のある活性物質の提供のために特に注目される。この場合は、このような投与形態は、特に、水性および/または水を含む製剤あるいは環境で使用することができ、そのような水性の環境の中で急速に溶解する投与形態に特に適しており好ましい。これは、特に、経口投与のための活性物質系の場合に重要である。
【0021】
現在に至るまで、各種方法、投与形態および投与系が、前述の不安定で易分解性および/または易分解可能な物質を安定化させるために、および、化粧品および/または医薬品組成物を外用または経口投与に長期間利用し続けられるように開発された。この場合言及されなければならない方法には、活性物質(例えば、リポソーム)をカプセル化する方法、特別な乳化技術または安定化溶媒の使用、もしくは、安定な誘導体形態または活性物質前駆体ならびに前駆体由来の活性物質を変換させる物質を含む投与系に不安定活性物質を提供することが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2004−149468号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0081912号明細書
【特許文献3】米国特許第4305502号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第69227467号明細書
【特許文献5】特開2003−238693号公報
【特許文献6】国際公開04/011537号
【特許文献7】国際公開05/073296号
【特許文献8】米国特許第5843347号明細書
【特許文献9】米国特許第5578307号明細書
【特許文献10】米国特許第5405616号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0701815号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第4201179号明細書
【特許文献13】英国特許第1206033号
【特許文献14】特開540105289号公報
【特許文献15】独国特許出願公開第10248314号明細書(国際公開2004/035023号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
これらの方法の欠点には、限定された積載密度、手間のかかる製造、水反応性、水溶性、または水不溶性の活性物質が保管期間中に溶媒水と接触すること、および大抵不十分であまり信頼できず再現性に劣る、安定化活性物質の組成物からの放出速度論が含まれる。
さらに、高濃度の活性物質投与形態に関し、最終消費者にとって簡単であり特定の一回分服用量の投与を容易にする、いわゆる1回分単位の投与形態に特に関心が高まっている。この場合の1回分単位の投与形態とは、粉末剤または顆粒とは対照的に、錠剤もしくはカプセル剤等の1つの投与単位中に、投与単位あたりに所望の必要な量の活性物質を含む投与形態であって、溶解性が劣るまたは外用への適合性がないという欠点を有しない投与形態であると理解される。
【0024】
したがって、不安定な活性物質を経口投与および/または外用投与するために、凍結乾燥によって水分安定化された、このような易可溶性の1回分単位の投与形態に関し、特に大量の活性物質が投与される場合には、より大きな形態の実施形態にますます注目が集まっている。概して、この点における特別な課題は、即溶解性の形態の活性物質を高含有量で提供することであり、可能な限り完全にまたは残留物を残さないで溶解し、可能な限り高い活性物質の含有量を有し、可能な限り少ない割合で担体または補助物質を組成物中に含むものが望まれている。というのは、既に詳述したように、調製物が残留物なしで迅速完全に分解することは、担体または補助物質が増加するにつれて減少する。
【0025】
したがって、良好に投与することができ、活性物質を高含有量で有し、特に、できるだけ低い含有量の不溶性または膨潤性の担体物質とともに不安定活性物質を含み、それにより、できるだけ速く完全に溶解し、および化粧品および医薬品としての外用ならびに経口での使用について最大限可能な機械的安定性を有する、大きな1回分単位の投与形態を提供する必要がある。
【0026】
したがって、本発明の目的は、極めて多量の活性物質、特に不安定活性物質が長期間安定化され、投与の際に、急速に、効率よく、特異的に、そして高い活性状態で放出・投与される組成物であって、活性物質の安定化は活性物質組成物を凍結乾燥することにより達成されるのが好ましい組成物を提供することである。さらに、目的は、これらの安定な活性物質の組成物を、特に、いわゆる単回投与単位または単独投与の用途の形態で化粧品としてまたは医薬品としての用途に使用できるように、高い機械的強度と十分な大きさを有するように設計することにある。この場合、組成物は、外用、ならびに経口投与または経口的な用途に等しく適していると考えられる。さらに、凍結乾燥組成物の溶解率に悪影響を及ぼさない機械的安定化であって、安定化された構造提供足場形成剤の量をできるだけ減らすことにより、理想的には全く排除することにより、凍結乾燥最終製品の高分解率を確実にする機械的安定化の可能性を見つけることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
驚くべきことに、特許文献15に基づいて、成型品をコーティングすることにより機械的安定性の付随する課題を補うことにより、安定で大型の活性物質含有成型品が、50重量%以上の活性物質と、15重量%以下の足場形成剤とを含んで製造できる(この量は特許文献15に開示される量を超える)ことがわかった。驚くべきことに、詳細には、大量の足場形成剤により達成される必要な安定性および溶解率の減少はなしに、不安定活性物質が大量に導入可能であった。
【0028】
好適な膜形成親水性コーティングを選択し、このコーティングを凍結成型品に塗布し、次にコーティングした凍結成型品を凍結乾燥することにより、凍結乾燥され機械的に安定で高濃度の活性物質成型品であって、本発明の足場形成剤の極めて低い含有量により、特許文献15に記載される系のような既知の系と比較して、その溶解挙動が再びさらに著しく改善された活性物質成型品を得ることができたのは驚くべきことである。
特許文献15にも、本明細書で論じられる他の文献のいずれにも、活性物質を前述のような高含有量で有し、化粧品用および医薬品用一回分投与量での投与に対して機械的安定性、溶解挙動およびサイズに関し良好な特性を示す膜形成剤でコーティングする固体凍結乾燥成型品を開示しない。
【0029】
本発明は、少なくとも1種類以上の活性物質と、場合により1種類以上の足場形成剤と、場合により1種類以上の補助物質と、少なくとも1種類の膜形成剤を含むコーティングとを備える凍結乾燥成型品を提供する。
さらに、本発明は、これらの凍結乾燥成型品を製造するための方法、パーツキット構成でのそのような凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの、医薬品および化粧品としての用途のための使用を提供する。
【0030】
成型品は、本発明の意味においては、一定の形状(例えば具体的には、球形、立方体、角錐、星型)の幾何学的物体であると理解されるが、海洋生物(例えば、ヒトデ)等の動物、ムール貝等の魚介類、植物および植物の一部(例えば、葉など)の形のような、自然の形状を再現した成型品であってもよい。下記で記載される本発明で使用される成型品製造方法によれば、これらの全ての形状を得ることができる。均一な球形(例えば具体的には、球面形状)が本発明に好ましい。なぜなら、膜形成コーティングでコーティングする場合、球面形状自体は、均一なコーティングという点で特に有利であることを示すからであり、特に好ましい表面積/体積比のために、機械的に安定な成型品を形成するのに特に上手く加工可能であるからである。すでに乾燥した生成物を通り抜ける昇華距離は、球状またはボール形状の成型品の全面に対して対称かつ短い。このことは、凍結乾燥プロセスにおいて、すでに乾燥した材料を通り抜ける蒸気の移動を容易にする。
【0031】
本発明の1つの態様では、言及される成型品が容器の中に複数含まれる。これにはまた、異なる幾何学的形状または異なる大きさの成型品の混合物が含まれてもよい。成型品が個別にパッケージされてもよいが、好ましくは、特に化粧品としての用途では、複数の成型品が、容器の中で互いに隣接した状態で置かれる。
【0032】
使用される成型品の体積は、例えば、それらの生成方法によっては限定されない。便宜上、体積は、好ましくは約0.1cm、好ましくは0.3cm、より好ましくは、少なくとも約0.5cm、さらに好ましくは、少なくとも約0.6cmである。使用される体積の上限は、便宜上、約6cm、好ましくは約5cm、より好ましくは、約4cmである。特に、成型品の大きさは、成型品について所望の投与形態、または外用の部位によって決まる。したがって、外用の化粧品としてまたは医薬品としての使用においては、大きな体表面または毛髪への塗布(例えば、背中などへの湿った成型品の直接の塗布、または入浴剤としての使用)により、大きな成型品を使用することができ、一方、小さい成型品は、体の小さい領域(例えば、頬など)に使用する際に好ましい。
【0033】
大きさは、また、経口投与のための成型品の生成に適合させることもできる。例えば、成型品の大きさを、関連のあるターゲットグループに適合させることが考えられる。高齢の使用者には、より取り扱いやすい大きな成型品を提供し、例えば、若い使用者や子供には、彼らの体の大きさに合わせ、彼らの年齢から予測される用途に合わせた成型品を提供することが考えられる。
【0034】
便宜上、成型品の直径(任意の幾何学的形状の成型品の中の2点間の最大距離)は、少なくとも約3mm、好ましくは少なくとも約5mm、より好ましくは少なくとも約7mm、さらに好ましくは、少なくとも約8mm、便宜上は60mmまで、好ましくは約50mmまで、より好ましくは約40mmまで、さらに好ましくは約20mmまでである。
上記の理由から、特に好ましい成型品は、略球状の幾何学的形状を有し、球の直径は3mm〜30mm、好ましくは5mm〜20mm、より好ましくは7mm〜15mm、さらに好ましくは8mm〜14mmである。少なくとも6mmの直径を有する球状の成型品が特に好ましい。
【0035】
本発明の凍結乾燥成型品には、少なくとも1種類以上の活性物質、好ましくは、少なくとも1種類の活性物質が、コーティング・凍結乾燥された全組成物基準で50重量%以上で含まれる。活性物質には、特に、外用ならびに経口投与または経口的な用途に適する、化粧品用または治療用または医薬品用の活性物質が含まれる。好ましくは、本発明により使用される成型品には、少なくとも1種類の化粧品用および/または医薬品用の活性物質が含まれる。したがって、本発明の凍結乾燥成型品は、化粧品または治療用の製品であることが好ましい。
【0036】
化粧品用の成型品または本発明の意味に含まれる化粧品用の活性物質を使用して生成された成型品は、これらが疾患、障害、身体の異常、または病気による不快感を緩和するかあるいは取り除くために主に意図されない限りは、German Food and Feed Code(LFGB)の意味に含まれる実質的な生成物、すなわち、外見もしくは体臭をきれいにする、整える、またはそれらに影響を与えるため、あるいは、嗅覚によって印象を伝えるために、ヒトへの外用が意図される物質、あるいはそのような物質由来の調製物である。この意味では、本発明にしたがって使用される化粧品用の成型品は、例えば、入浴剤、皮膚の洗浄およびクレンジング用の製品、皮膚のケア用製品、特に、顔面皮膚のケア用製品、目の化粧品、唇のケア用製品、爪のケア用製品、足のケア用製品、頭髪のケア用製品であり(特に、頭髪の洗浄用製品、ヘアーコンディショナー製品、頭髪を軟化させるリンスなど)、太陽光線防護用の製品、日焼け用の製品、および美白化粧品、脱色用の製品、防臭剤、抗ハイドロテック剤(antihydrotic)、脱毛剤、防虫剤など、あるいはこのような製品の組み合わせである。
【0037】
美容上、または状況によっては、例えば、皮膚科学的に治療上有効な物質の例は以下のものがあり得る:抗にきび剤、抗菌剤、抗蒸散剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、皮膚の状態を整える製品、皮膚を滑らかにする製品、皮膚の水和状態を高める製品(例えば、グリセリンまたは尿素)、日焼け防止剤、角質溶解薬、フリーラジカル用のフリーラジカル捕捉剤、抗脂漏症剤、フケ防止剤、防腐性のある活性物質、皮膚の老化の兆候を処置するための活性物質、ならびに/あるいは、皮膚の分化および/または増殖および/または色素沈着を調節する薬剤、ビタミンC(アスコルビン酸)等のビタミン類、およびその誘導体、刺激性の副作用を有する活性物質、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイド類(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アントラリン類(ジオキシアントラノール)、アントラノイド類、過酸化物(特に、過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩類、代謝拮抗物質、ビタミンDおよびその誘導体、カテキン類、フラボノイド類、セラミド類、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸(例えば、γ−リノレン酸);分子量1000kDa未満のタンパク新生活性物質、例えば、酵素、補酵素、ペプチド、酵素阻害剤、水和剤、皮膚沈静剤、洗剤または発泡剤、および無機または合成の艶消充填剤、または、ファンデーション用の顔料または着色剤および粒子等の化粧品用物質、メーキャップ製剤、ならびに、目、唇、および顔の化粧による美化および着色のための他の製品、ならびに研磨剤。
【0038】
さらに、植物性物質の抽出物、またはそれから得られる抽出物あるいは個々の物質も挙げることができる。一般に、植物性活性物質の抽出物は、通常は、以下からなる群から選択される:固体の植物抽出物、液体の植物抽出物、親水性植物抽出物、親油性植物抽出物、植物の個々の成分;およびフラボノイドやそのアグリコンのようなそれらの混合物:ルチン、ケルセチン、ジオスミン、ハイペロサイド、(ネオ)へスペリジン、へスペリチン、イチョウ(例えば、イチョウフラボングリコシド)、クラテグス(Crataegus)抽出物(例えば、オリゴマーのプロシアニジン)、そば粉(例えば、ルチン)、エンジュ(Sophora japonica)(例えば、ルチン)、樺の葉(例えば、ケルセチングリコシド、ハイペロサイド、およびルチン)、セイヨウニワトコ(例えば、ルチン)、ライムブロッサム(lime blossom)(例えば、ケルセチンおよびファルネソールを含むエッセンシャルオイル)、セントジョーンズワート(St. John's wort)の油(例えば、オリーブオイル抽出物)、キンセンカ、アルニカ(例えば、エッセンシャルオイルを含む花の油性溶媒抽出物、フラボノイドを含む極性抽出物)、メリッサ(例えば、フラボン、エッセンシャルオイル)、免疫賦活剤:エキナセアプルプレア(Echinacea purpurea)(例えば、アルコール抽出物、フレッシュ樹液、圧搾ジュース)、エレウテロコッカスセンテコサス(Eleutherokokkus senticosus);アルカロイド:ラウオルフィア(Rauwolfia)(例えば、プラジマリン(Prajmalin))、ニチニチソウ(例えば、ビンカミン);他の植物生薬:アロエ、トチノキ(例えば、アエシン)、ニンニク(例えば、ニンニク油)、パイナップル(例えば、ブロメリン)、朝鮮人参(例えば、ジンセノサイド)、ミルクシスル(Silybum marianum)の実(例えば、シリマリンに標準化した抽出物)、ナギイカダ(Butcher's broom)の根(例えば、ラスコゲニン)、カノコソウ(例えば、バレポトリエート、Tct.ヴァレリアン(Tct. Valerianae))、カバカバ(Kava-Kava)(例えば、カバラクトン)、ホップ(例えば、ホップビター物質)、パッシフローラ(passiflorae)抽出物、リンドウ(例えば、エタノール抽出物)、アントラキノン含有薬物抽出物、例えば、アロイン含有アロエベラジュース、花粉抽出物、藻類抽出物、甘草抽出物、ヤシ抽出物、ガルフィミア(galphimia)(例えば、母液)、ヤドリギ(例えば、水−エタノール抽出物)、フィトステロール(例えば、β−シトステリン)、モウズイカ(水−アルコール抽出物)、モウセンゴケ(例えば、リキュールワイン抽出物)、シーバックソーン(sea-buckthorn)の果実(例えば、これから抽出したジュースまたはシーバックソーンオイル)、ウスベニタチアオイの根、プリムローズ根抽出物、以下から選択される新鮮な植物抽出物:ゼニアオイ、ヒレハリソウ、セイヨウキヅタ、つくし、ノコギリソウ、ヘラオオバコ(例えば、圧搾ジュース)、イラクサ、クサノオウ、パセリ;ノロレナロバタ(Norolaena lobata)、ミントマリーゴールド、テーオマジーム(Teeoma siems)、苦瓜から選択される植物抽出物、ならびにアロエ抽出物。
【0039】
好ましい化粧品用および医薬品用の活性物質には、特に、水分の添加によって引き起こされる分解または酸解離定数に関する高い不安定性を有する活性物質が含まれ、これはさらに、活性物質、いわゆる酸性活性物質中の酸性基により、水溶液中で酸性のpH値を生じる。この酸性活性物質は今まで凍結乾燥プロセスによっても、または極めて低濃度や極めて長い乾燥時間で極めて低温度でのプロセスによる極めて高いコストを費やしても安定凍結乾燥形態に満足には移行できなかった。
【0040】
化粧品において広く使用されるこれらの不安定な酸性活性物質の群から選択される特に好ましい活性物質は、アスコルビン酸またはビタミンCおよびその誘導体、またはビタミンAおよびその誘導体である。
【0041】
アスコルビン酸の誘導体は以下を含む:グリコシド、例えば、アスコルビルグルコシドまたはアスコルビン酸エステル(例えば、アスコルビルリン酸ナトリウムまたはアスコルビルリン酸マグネシウムまたはパルミチン酸アスコルビルおよびステアリン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸リン酸エステル)、L−アスコルビン酸リン酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸リン酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);L−アスコルビン酸リン酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩);L−アスコルビン酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);ならびに、L−アスコルビン酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩))。
【0042】
概ね化粧品に使用される上記成型品とは対照的に、治療的に使用される成型品(医薬品)は、少なくとも1種類の医薬品用または治療用の活性物質、特に皮膚科学的活性物質を含む成型品であり、これは、「Arzneimittelgesetz」(独国医薬品法)の意味においては、病気、疾患、身体の損傷または病理的障害の治癒、軽減、または予防が意図される。そのような薬剤または活性物質は、外用、ならびに経口投与または経口的な用途のいずれについても意図される。
【0043】
外用のための活性物質は、特に、皮膚への作用を有し、経皮的活性物質でもある。これらには例えば、以下が含まれる:皮膚病の治療剤、外用鎮痛剤(例えば、デキストロプロポクシフェン、ペンタゾシン、ぺチジン、ブプレノルフィン);抗リューマチ剤/消炎剤(NSAR)(例えば、インドメタシン、ジクロフェナック、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸オキシカム));ステロイドホルモン(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン、エチニルエストラジオール、メドロエルゴタミン、ジヒトロエルゴトキシン);痛風治療薬(例えば、ベンズブロマロン、アロプリノール);以下を含む皮膚用外用剤:抗菌剤(例えば、銀塩または銀コロイド)、抗真菌薬、抗ウィルス活性物質、抗炎症活性物質、止痒活性物質、麻酔活性物質(例えば、ベンゾカイン)、コルチコイド、抗にきび薬、抗寄生虫活性物質;外用ホルモン;静脈治療剤;免疫抑制剤など。これらは全て外用である。
【0044】
好ましい外用の治療剤は、鎮痛剤、例えば、免疫抑制剤、ホルモン、神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ニキビ、酒さなどのような皮膚病治療薬、および抗ヘルペス剤である。
【0045】
経口投与または経口的な用途のための治療用活性物質は、以下の群から選択することができる:抗ヒスタミン剤、抗生物質、ペプチド薬、抗菌剤、気管支治療薬(bronchial therapeutics)(例えば、抗喘息薬、鎮咳薬、粘液溶解薬など)、抗糖尿病薬(例えば、グリベンクラミド)、ホルモン、ステロイドホルモン(例えば、デキサメタゾン)、強心配糖体(例えば、ジギトキシン)、心臓と循環器の治療薬(例えば、β−遮断薬、不整脈治療剤、抗高張液(antihypertonic)、カルシウム拮抗剤など)、向精神薬および抗鬱剤(例えば、三環系抗鬱薬(NSMRI)、セロトニン特異的再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルエピネフィリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニンおよびノルエピネフィリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミノオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)など)、神経弛緩薬、鎮痙剤、または抗癲癇薬、睡眠薬、鎮静剤、麻酔薬、消化管治療薬、脂質低下薬、鎮痛剤(例えば、偏頭痛薬、パラセタモール、サリチル酸、およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフィン、ナプロキセンなど))、消炎剤、血管拡張剤、利尿剤、痛風治療薬、細胞増殖抑制剤、筋弛緩剤、植物抽出物、プロビタミン(例えば、β−カロテン)、ビタミン類(例えば、ビタミンC、A、B、Eなど)、ケイ酸、ミネラル、および微量元素(例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、セレニウム、ヨードなど)、栄養補助食品、ならびに保健食品など。これらは全て経口投与用および経口的な用途用である。
【0046】
外用ならびに経口投与または経口的な用途の両方に使用され、不安定な酸性活性物質の群から選択される、特に好ましい医薬品用の活性物質は、サリチル酸およびその誘導体、例えば、アセチルサリチル酸(ASS)である。他の好ましい不安定な、酸性の、凝固点降下活性物質は、クロフィブリン酸、イブプロフェン、ジェムフィブロジル、フェノプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ベンザフィブレート、トルフェナミン酸、ジクロフェナク、マクロフェナミン酸、パラセタモール、アシトレチン、アクリバスチン、アザライン酸、クロモリン、エタクリン酸、フロセミド、ペニシリンおよびその誘導体、リセドロン酸およびその誘導体、リポ酸、ならびにウルソジオールである。
【0047】
本発明の凍結乾燥成型品は、いずれもコーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の活性物質を有する。
【0048】
これらは、特に、酸性活性物質、すなわち、活性物質中の酸性基により水溶液中で酸性のpH値を生じる活性物質の群から選択される活性物質である。そのような酸性活性物質は、特に、その1重量%の溶液または水懸濁液が、20℃で7未満のpH値を有する活性物質であるか、あるいは、25℃でpKa値が7以下である活性物質である。
ここで、pKa値とは、酸解離定数(acid constant)Ksの負の10を底とする対数(negative decadic logarithm)を示す。この酸解離定数は物質定数であり、プロトリシス下での水との平衡反応における物質(HA)反応の程度についての情報をもたらす。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、HAは、ブレンステッド酸(ブレンステッドにちなむ)を示し、これは、水等の溶媒にプロトンHを供与して、陰イオンAを残すことができる。より一般的には、ブレンステッドの定義は、非水性系にも適用され、この場合、任意のプロトン化可能な溶媒Yについて以下が当てはまる:
【0051】
【数2】

【0052】
ここで、酸解離定数Ksは、この反応の平衡定数を示し、酸の強度の尺度である。酸が強いほど、反応は右項にシフトする。これは、pKs値が小さいほど、酸が強いことを示す。
【0053】
pKs値は、いわゆる半滴定法においてpHを測定することによって求められる。このプロセスでは、濃度が分かっている酸の溶液が提供され、pH値が、例えば、pH測定用プローブによって測定される。その後、酸は、提供された酸と同じ価数の塩基の標準溶液で一部中和される。このプロセスでは、提供された酸の物質量の正確に半分が添加される。pH値がここで再び求められる。以下が当てはまる:
【0054】
【数3】

【0055】
物質量の半量の添加後は、c[A]=c[HA]であるので、いわゆる半滴定点にpKs=pHが成り立つ。
このような酸性活性物質は、pH値依存性の高い解離傾向を有しており、そのため、活性物質が中性からアルカリ性のpH値の範囲では解離した形態で、したがって高いイオン濃度で存在する。このようにイオン濃度が増加すると、凍結乾燥プロセスに上記悪影響を伴いつつ凝固点降下させる作用となる。組成物は特に凝固点降下物質を多く含む。このような解離性活性物質の凝固点降下の効果により、大量の未凍結水と高い活性物質濃度を持つ大きい氷晶が、凍結した成型品の中に形成され、これにより凍結乾燥された最終生成物の部分的構造の崩壊、いわゆる成型品の融解を招いた。これが、前述の酸性活性物質は、凍結乾燥プロセスによっても、または、極めて長い乾燥時間で極めて低温度でのプロセスによる、極めて低濃度または高いコストを費やしても、安定な凍結乾燥形態に満足には移行できなかった理由である。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明のコーティングされた凍結乾燥成型品には、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、アスコルビン酸およびその誘導体の群から選択される50重量%以上の活性物質が含まれる。
別の好ましい実施形態では、本発明の凍結乾燥成型品には、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、サリチル酸およびその誘導体の群から、好ましくはアセチルサリチル酸およびその誘導体の群から、50重量%以上の活性物質が含まれる。
【0057】
本発明の成型品は、いずれもコーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、最大25重量%、好ましくは最大10重量%の極少量の足場形成剤を1種類以上含むのが好ましい。このような足場形成剤は一般にいわゆる親水コロイドであり、(部分的に)水溶液系の中でゲルまたは粘性溶液を形成する、水溶性または水膨潤性の、天然または合成ポリマーである。好ましくは、足場形成剤は、多糖類、ムコ多糖類、動物性ポリアミノ糖類(例えば、キチンまたはその誘導体、具体的には、キトサン)から選択されるか、あるいは、グルコサミノグリカンおよび合成ポリマーから選択される。足場形成剤は、多糖類の群から選択されることが好ましい。多糖類としては、例えば、ホモグリカンまたはヘテログリカン(例えば、アルギン酸塩、特に、アルギン酸ナトリウム)、カラギーナン、ペクチン、トラガカントガム、グアーガム、プルラン、トレハロース、カルボガム、寒天、アラビアガム、キサンタンガム、天然および修飾された澱粉(例えば、陽イオンで修飾された澱粉誘導体)、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリン、グルカン(例えば、β−1,3−グルカンまたはβ−1,4−グルカン、例えば、セルロース)、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸など)、および動物性のポリアミノ糖類(例えば、キチンまたはその誘導体、特にキトサン)である。合成ポリマーには、例えば、以下が含まれる:セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、合成のセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化されたカルボキシメチルセルロース、セルロースエステル、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエーテル)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリエチレングリコールなど。数種類の足場形成剤の混合物も使用できる。本発明によれば、特にアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩が特に好ましい。親水性かつ易水溶性の足場形成剤が好ましく、特に、カルシウムを含まないアルギン酸ナトリウム(3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、さらに好ましくは1.5重量%未満のカルシウムを含むアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸およびキトサンまたは陽イオンで修飾された澱粉または陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0058】
好ましい実施形態では、本発明の凍結乾燥成型品には、陽イオン性足場形成剤の群から選択される少なくとも1種類の足場形成剤が含まれる。一般的には、これらは、生理学的環境条件(室温、中性のpH値の範囲、水性環境)下で、それらの表面上に負電荷よりも正電荷を多く持つ足場形成剤であると理解される。
【0059】
特に、陽イオンで修飾されたポリマーには、陽イオン基によってその中のポリマー骨格の少なくとも1つの側鎖基が置換されているものが含まれる。本発明によれば、陽イオンによって修飾されたポリマーは、置換度(Sga)が1%以上であることが特に好ましい。この場合、置換度は、修飾されたポリマー中の陽イオン基のタイプに応じて、当業者に公知のそれぞれに適している標準的な試験方法にしたがって求めることができる。
【0060】
一般的に、陽イオン性ポリマーまたは足場形成剤という用語には、具体的に、特に、キトサン等の修飾されたキチン誘導体が含まれるが、カチオン化セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)またはカチオン化澱粉等の、他の化学的に修飾された生体ポリマーもまた含まれる。
【0061】
セルロースまたは澱粉等の多糖類をベースとする陽イオン性の生体ポリマーには、この場合は、ポリマーの側鎖の中のいくつかのヒドロキシ基が、カチオン基または酸性媒体中でプロトン化によって陽イオン性の基に変換させることができる基でエーテル化されているものが含まれる。これらの置換基は、例えば、三級アミノ基または四級アンモニウム塩、あるいは、スルホニウム基またはホスホニウム基からなってもよい。
【0062】
活性物質(例えば、アスコルビン酸およびその誘導体、またはアセチルサリチル酸およびその誘導体)の群から選択される活性物質が使用される場合例えば、キトサンまたはカチオン化された澱粉誘導体またはカチオン化セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)、場合により上記足場形成剤の他のものと混合された易可溶性カチオン性足場形成剤を使用することが特に好ましい。
【0063】
好適な実施形態では、タンパク質の群から選択される足場形成剤の使用は除外される。
親水性かつ易水溶性の足場形成剤の使用は、一方では製造プロセスの理由により好ましく、他方では、このような親水性足場形成剤の使用は、製剤の易可溶性(例えば口の中で、唾液によって、または水または水溶液を加えた場合)、高分解率または溶解率、それによる皮膚への易分散性を導く。詳細には、コーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、10重量%以下の好適な低量での易可溶性足場形成剤の使用は、本発明による成型品の高溶解率を導く。特に好適な実施形態では、活性物質組成物に足場形成構造ポリマーを添加をすることは全く必要とされない。
【0064】
明確にするために、活性物質含有組成物と共に(すなわち、凍結乾燥成型品の内核領域で)均一な分布状態で存在するポリマー足場形成剤と、外側コーティングを形成するポリマーとを区別しなければならない。本発明によれば、足場形成構造ポリマーを必要としない上述の特に好適な実施形態の1つは、以下で定義されるような膜形成ポリマーの外側コーティングを含む。好適な実施形態での足場形成構造ポリマーの欠如は、成型品の内部領域を形成する活性物質組成物と関連がある。
【0065】
例えば、純粋な、乾燥された、添加剤を含まない活性物質と比較して、本発明の活性物質の成型品において少量の足場形成剤を使用することは、適用性と取り扱いに関して、特に外用において役割を果たす、適切で機械的に安定な投与形態で活性物質を提供できるようにするために不可欠である。他方では、足場形成剤の含有量は、活性物質成型品の十分な安定性を達成する際の決め手となる。
【0066】
本発明によれば、足場形成剤として使用されることが好ましい多糖類は、約10から約10、好ましくは約10から約10の平均モル質量を有することが適している。
本発明の凍結乾燥成型品は、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、25重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の足場形成剤の含有量を含むことを特徴とする。
【0067】
足場形成剤は、皮膚適合性かつ粘膜適合性であり、外用される際にも、経口投与または経口的に投与される際にも、毒性である可能性を有さず、刺激作用または他の不和性反応を有さない。これらは、薬理学的には無害であり、したがって場合により、本発明による化粧品用および医薬品用の外用および経口または経口的な使用のための担体材料として適している。
これらの足場形成剤(特に多糖類)はまた、特定の治療効果も有し得る。したがって、足場形成剤であるアルギン酸(ナトリウム)(これが使用されることが好ましい)は、ある程度まで抗ウイルス作用を有しているが、本発明の意味では活性物質ではない。
【0068】
本発明による成型品にはさらに、場合により1種類以上の補助物質が含まれる。補助物質には以下が含まれる:鉱油等の脂肪物質(例えば、パラフィン油、ワセリン油、シリコン油)、植物性油(例えば、ココナッツ油、スイートアーモンド油、アプリコット油、コーン油、ホホバ油、オリーブ油、アボカド油、ゴマ油、パーム油、ユーカリ油、ローズマリー油、ラベンダー油、マツ油、タイム油、ミント油、カルダモン油、橙花油、大豆油、ぬか油、米油、菜種油およびヒマシ油)、小麦の胚種油およびそれから単離されたビタミンE、月見草油)、植物性のレシチン(例えば、大豆レシチン)、植物性、動物性の脂または脂肪から単離されたスフィンゴ脂質/セラミド(例えば、獣脂)、ラノリン、酪酸の油(butyric oil)、脂肪酸エステル、トリグリセリド等の脂肪アルコールのエステル、ならびに、皮膚の温度に相当する融点を持つワックス(動物性ワックス(例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、およびキャンデリラワックス(candelilla wax)、ミネラルワックス(例えば、微結晶性ワックス)、および合成のワックス(例えば、ポリエチレンワックスまたはシリコンワックス))、ならびに美容目的に適している全ての油(いわゆる、化粧品用の油)(例えば、CFTA 論文、題名 Cosmetic Ingredient Handbook,第1版,1988年,The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association,Inc.,Washingtonに記載されているもの)、上記の洗浄用界面活性剤に加えて、pH調整剤、緩衝剤、界面活性剤(例えば、分散剤、乳化剤など)、賦形剤、安定剤、共溶媒、医薬品用もしくは化粧品用に一般的に使用されるかまたは他の着色剤および顔料(特に、成型品の色のデザインに主に使用され、人体への投与および色のデザインには使用されないもの(例えば、活性物質の群に列挙された装飾用の着色剤、保存剤、軟化剤、潤滑剤としての顔料および着色剤)。
【0069】
特に好ましい補助物質は中性油(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)である。
本発明により好適な他の補助物質は、マンニトールならびにpH調整剤、塩酸および水酸化ナトリウムの群から選択される。
全組成物基準で最大50重量%の補助物質を、本発明の凍結乾燥成型品に加えることができる。
【0070】
本発明の成型品において、活性物質と補助物質との合計量は、いずれもコーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0071】
コーティングされた凍結乾燥成型品における活性物質と補助物質の重量比は、好ましくは約10:1から100:1、より好ましくは約20:1から50:1であり、重量比20:1が特に好ましく、活性物質の合計量(重量%)は補助物質の合計量(重量%)と関連付けられる。
【0072】
本発明の成型品は、ヒトおよび動物において、外用の化粧品および医薬品、および経口または経口的な使用に役立つ。本発明の成型品は、水または水溶液(場合により、1種類以上の活性物質および/または1種類以上の補助物質を追加で含む)で湿らされるかまたは溶解される。液体量と、使用される成型品の材料の溶解度によっては、成型品は、毛髪または皮膚に適用するために、溶液を形成しつつ完全に溶解可能であるか、あるいは、ゲルを形成しつつ分解可能である。
【0073】
好ましくは、多価アルコールをさらに含む水溶液であって、低粘性(50mPas未満)で、油を含まないか油の含有量が極少量(水溶液の全組成物基準で10重量%未満の)の水溶液が溶解のために使用される。さらに、特に、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオン等のアルカリ土類イオンを含まない(水溶液の全組成物基準で1重量%未満のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンが含まれる)活性剤溶液、ならびに、約5から7の間のpH値を有している活性剤溶液が好ましい。
【0074】
入浴剤としての用途に適している水量での本発明の成型品の溶液も、本発明によれば、外用に含まれる。しかし、成型品が少量の約0.5ml〜5.0ml、または成型品の自重の約10倍から100倍の水、または活性物質および/または補助物質の溶液で湿らされると同時に、皮膚もしくは毛髪上に直接、または適切な容器の中で溶液またはゲルを形成し、30秒以内で残渣なしに完全に分解されるような使用が行われることが好ましい。この場合の溶解は、機械的影響(たとえば、攪拌、摩擦、押しつぶし、またはマッサージ)なしに、または、安定化コーティング殻を壊すのに十分な程度の若干の機械圧力のみによって起こるのが好ましい。活性剤溶液を投与することにより生じる機械圧力およびそれに関連する活性剤液の静水圧は、この目的のためにすでに十分であるのが好ましい。
【0075】
本発明はまた、一体の空間的配置(アプリケーションパッケージ、セット、パーツキットなど)での、本発明にしたがって使用される少なくとも1種類の成型品、および、場合により1種類以上の活性物質および/または少なくとも1種類以上の補助物質を含む少なくとも1種類の水溶液(いわゆる活性剤溶液)との組み合わせに関する。活性物質溶液は、例えば、高揮発性活性物質および/または補助物質の溶液(例えば、エッセンシャルオイル、香水等の特定部分)であってもよい。製造プロセスの理由により、凍結乾燥によって成型品に導入すべきでなく、または導入できない。皮膚への外用に関して特に所望され、好ましい保湿効果があり、この保湿効果が原因であるか、もしくは吸湿傾向が原因で、水分不安定性の活性物質の安定性をこれ以上維持できないことから本発明の凍結乾燥成型品に取り込ませることができない活性物質および/または補助物質もまた含有可能である。このような保湿作用があるが吸湿作用もある物質の一例は、グリセリンである。
【0076】
一方では、本発明の成型品と、他方では、活性物質の溶液とのパーツキットの組み合わせの構成により、これらの2種類の成分は、パーツキット構成から別々に取り出すことができ、さらに使用するためにその外側で混合され、溶解されることを可能にする。しかし、2種類の成分の混合が、パーツキットのパッケージング自体の中で行われること、およびその後、溶解した成分が、さらなる化粧品または医薬品としての外用、経口および/または経口的な使用のためにそこから直接供給されることもまた考えられる。これは、最終使用者がこれを直接行うことができることが好ましい。
【0077】
本発明の成型品は、いずれもコーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の活性物質1種類以上を含むのが好ましい。したがって、特定される活性物質量は、膜形成剤でのコーティングを含む凍結乾燥成型品に関する。
【0078】
水分に不安定および/または酸性活性物質が特に好ましい。例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、および/またはサリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))である。
【0079】
全乾燥組成物中の活性物質の含有量は、例えば、DIN,Pharm.Eur., Amtliche Sammlung von Untersuchungsverfahren(ASU,Official Collection of Testing Methods),DAB,USPなどにしたがって認められている適切な分析方法によって求めることができる。適切な方法は、活性物質の種類によって選択される。具体的には、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、および/またはサリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))等の特に好ましい活性物質は、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)によって分析することができる。ビタミンCおよびアセチルサリチル酸の定量的決定のためのHPLC法は、場合により試料調製を調節して、USP31,NF26,第2巻,2008年による公式な研究論文「Aspirin Tablets」および「Ascorbic acid Injections」から採用することができる。
【0080】
存在する活性物質および/または存在する可能性のある補助物質の量および種類に応じて、本発明の成型品は、コーティングされる凍結乾燥成型品の全重量基準で、25重量%以下、好ましく10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の足場形成剤を含み、アルギン酸ナトリウム、キトサンまたはカルボキシメチルセルロースであるのが特に好ましい。
【0081】
全乾燥組成中の足場形成剤の全含有量は、この場合は、存在するポリマー鎖の加水分解と、その後の、個々の単量体成分のクロマトグラフィーによる定量的検出によって求めることができる。異なる足場形成剤と、特別な活性物質および補助物質の特別な組み合わせのために、この方法を使用できない場合には、定量的なポリマ含有量は、全重量と、定量的に求めることができる補助物質および活性物質および水との差から数学的に求めることができる。処方の個々の成分を求めるための定量的方法は、すでに上記で言及された方法の公式な蔵書から取り入れられる。
【0082】
成型品は、1種類以上の補助物質を約20重量%まで、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下で含むことができる。
この場合の好ましい補助物質は、油脂群から、特に、化粧品用油脂群から選択される。特に好ましい補助物質は中性油(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、ホホバ油およびスクワランである。
【0083】
本発明による成型品は、少なくとも1種類の膜形成剤での被覆またはコーティングを含む。膜形成剤は特に、合成および天然ポリマーおよびコポリマーを含み、例えば、親水コロイドとして列挙される構造ポリマーである。さらに、準合成セルロース誘導体、(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セラック、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、合成アクリルポリマー(例えば、メタクリレート(Eudragit)、ゼイン等である。
【0084】
さらに、Seitz, J.A. Aqueous Film Coating [Encyclopedia of pharmaceutical technology, J.Swarbrick and J.C. Boylan; Marcel Dekker, New York (1988) 1; 337−349] and Cole, G.C. Introduction and overview of pharmaceutical coating, in Pharmaceutical Coating Technology, G. Cole, J. Hogan and M. Aulton; Taylor and Francis LTD., London (1995), 1−5.,およびAulton M., Mechanical Properties of film coats, Pharmaceutical coating technology, G. Cole et.al., Taylor and Francis, London (1995), 280−362で記載されるポリマーが使用可能である。
【0085】
本発明によれば、膜形成剤は、親水性ポリマーの群から選択されるのが好ましく、より好ましくは合成ポリマーの群から、特に好ましくはビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(例えば、Kollidon VA64(trade mark)の群から選択される。
膜形成剤を用いたコーティングが凍結乾燥全組成物で占める割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0086】
場合により、成型品にはまた残留水も含まれる。しかし、本発明によれば、成型品に含まれる活性物質は、特に水分ならびに水分により引き起こされる不安定性および溶解から保護されるべきなので、水含有量は可能な限り低く保たれなければならない。活性物質(親水性、疎水性)の種類によっては、含水量は10重量%までとされてもよい。凍結乾燥により成型品として製造された後の含水量は、貯蔵中に変化する可能性がある。原則として、含水量は増加する。好ましくは、製造後の成型品の含水量は最大10重量%、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満である。
【0087】
特に好ましい成型品には:
・1種類以上の活性物質を50重量%以上、特に、酸性活性物質(例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)またはその誘導体(アスコルビルグルコシド)、またはサリチル酸またはその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))
・1種類以上の足場形成剤を25重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に、他糖類(例えば、アルギン酸ナトリウム、特にカルシウムを含まないアルギン酸ナトリウム)、または陽イオン性の足場形成剤(例えば、キトサンおよび/またはカチオン化澱粉)、または修飾された足場形成剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカチオン化カルボキシメチルセルロース)およびそれらの混合物
・1種類以上の補助物質を20重量%以下、(例えば、特に、中性油またはトリグリセリド等の油脂)
・膜形成剤でのコーティングを10重量%以下、特に合成親水性ポリマー(例えば、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(例えば、Kollidon VA64 (trade mark)))、および
・最大10重量%、好ましくは最大5重量%、より好ましくは1重量%未満の水が含まれる。
ただし、成型品は液体が添加されるといかなる機械的影響を受けることなく、30秒以内、好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、さらに好ましくは5秒以内に完全に分解し溶解する。
【0088】
好ましくは、上記組成の成型品のような、1種類以上の活性物質を少なくとも50重量%と、1種類以上の足場形成剤を25重量%以下または10重量%以下、場合により1種類以上の足場形成剤、および膜形成剤でのコーティングとを含む本発明の成型品は:
・密度が0.005g/cm3から0.8g/cm3、好ましくは0.01g/cm3から0.8g/cm3であり、
・体積が0.1cm3から6cm3、好ましくは0.6cm3から6cm3であり、
・直径が少なくとも6mm(成型品の2点間の最大距離)であり、および/または
・好ましくは、球状の立体構造を有し、特に好ましくは球形である。
【0089】
本発明の成型品は、内核と膜形成剤での薄い外側コーティングとにおいて、成分が均一に分布している多孔性成型品である。
この場合、他の成分を場合によりコーティングに添加してもよい。例えば、着色剤、他の活性物質または補助物質(例えば、無機塩)、触媒(例えば、酵素)、緩衝剤、吸湿性関連物質、抗菌物質(例えば、銀コロイドまたは銀化合物)。成型品の全材料の溶解およびそれによる完全な均一化が起こるまで二相を分離した状態で維持するために、コーティングおよび成型品全体の物理的/化学的不均等性を利用して、二相での不均等性または空間的分離を意図的に利用するシステムを提供することが、この場合特に考えられる。例えば、内核および外側コーティングで2つの化学反応物質の空間的分離を得るために、このシステムを利用することができる。これにより、乾燥した保存可能な状態での反応を防ぎ、システムが水和反応または溶解によって活性化される場合のみ、2つのこれまで分離していた固定化反応物質を可動化およびそれによる反応に導く。このように、例えば、より安定な活性物質を組成物内核に提供し、外側殻に化学変換剤(活性物質誘導体または前駆体から、活性物質であるが、より不安定な活性物質を放出する)を提供することができる。早期反応は、異なる層での空間的分離および固定化によって阻止される。殻層に着色剤を添加することによって、着色に関して魅力的な成型品を提供することも可能である。着色剤を、例えば外側薄コート層に集中させることにより、少量の着色剤で、その同量の着色剤が成型品組成物全体に均一にある場合よりも、かなりよりはっきりとした着色を得ることができる。このことは、外用投与の際に、着色剤が多すぎることにより、望ましくない着色剤残渣を皮膚に残すことなく、低量の着色剤で良好な着色を得るのに有利である。
【0090】
例えば、上述されるような本発明の成型品は:
・少なくとも70重量%の水、
・少なくとも5重量%の多価アルコール、
・最大10重量%の、特に、化粧品用の活性物質の群から選択されるような1種類以上の活性物質、
・特に、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドまたはホホバ油等の化粧品用の油の群から選択される補助物質等の、最大20重量%の1種類以上の補助物質を含み、5〜7のpH値と、さらには、特に1重量%未満の、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオン等のアルカリ土類イオンの含有量を有している、水性液体/活性剤溶液で溶解されるのが好ましい。
【0091】
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0092】
さらに、本発明の主題は、コーティングされた凍結乾燥成型品の製造方法であって、そのコーティングは凍結成型品に施され、そのコーティングされた凍結成型品はその後凍結乾燥されることを特徴とする。詳細には、本発明の主題は、以下の工程を含む方法である。
【0093】
(a)1種類以上の活性物質、場合により1種類以上の足場形成剤、および、場合により、1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を調製する工程と、
(b)混合物を型に注ぐ工程と、
(c)型の中の前記混合物を凍結させ、凍結成型品を得る工程と、
(d)型から凍結成型品を取り出し、場合により、凍結成型品の角を丸める工程と、
(e)凍結成型品に、少なくとも1種類の膜形成剤と少なくとも1種類の溶媒および/または分散剤を含むコーティング組成物を吹き付ける工程と、
(f)膜形成剤でコーティングされた凍結成型品を凍結乾燥させると同時に、凍結乾燥成型品を形成させる工程とを含む方法である。
【0094】
製造は、最初に、活性物質の水溶液を調製し、場合により、攪拌しながら足場形成剤の溶液に混合することによって行なわれるのが好ましい。次に、場合により、さらに補助物質が混合液に添加され混合されても良い。
【0095】
足場形成剤、活性物質、および補助物質のような、溶液または懸濁液中に含まれる固体の量は、得られる成型品の密度(成型品の幾何学的形態の体積に対する成型品の重量)に重要な影響を与える。そして、密度は、成型品の多孔性に重要な量であり、したがって、水、または活性物質および/または補助物質の溶液で湿らされた場合の成型品の溶解速度について重要な量である。多孔性材料の大きな表面により、水相と固体の成型品との間での徹底的な交換が再水和プロセスの間に起こり得るので、凍結乾燥成型品の多孔性構造は、即溶解性に不可欠な条件である。溶液中での活性物質の濃度、足場形成剤の濃度、ならびに状況によっては補助物質の濃度が高いほど密度は高くなり、それにより、成型品の多孔度は下がり、逆もまた同様である。しかし、成型品の多孔度は、材料の密度だけによるものではない。むしろ、物質の多孔性は、実質的には、材料の密度と氷晶の大きさの2つのパラメーターの関数である。水懸濁液中での高い固体含有量は、凍結乾燥された最終的な生成物中での材料の密度を増大させ、再水和剤/固体間の接触表面を小さくする。凍結勾配が大きいと小さい氷晶を生じ、これは、大きな物質内表面をもたらし、次いで再水和を促進する。したがって、小さい材料密度と小さい氷晶が、凍結乾燥成型品の急速な湿潤と溶解に有利である。
【0096】
凍結成型品をコーティングすることにより不均一材料が得られるので、また、成型品内にできる多孔性核は膜形成層によって外部から遮蔽されるので、コーティングする膜の構成および溶解に使用される媒体へのその膜の挙動は、コーティングされた成型品の溶解に根本的に重要である。特に、多孔性膜コーティングにより、液体が高多孔性核への移動し、ひいては成型品が迅速に溶解するのを可能にする。水性ベースの溶解媒体が化粧品および医薬品の用途に使用されるのが好ましいので、コーティングは、コーティングされた成型品を湿らしたり溶解したりする際の問題を避けるために、親水性膜形成剤の群から選択されるのことが重要である。さらに、凍結乾燥プロセスにおける膜形成剤の水分透過性能は、上述の理由と関連する。というのは、昇華の間に水蒸気は膜層を通して成型品から出なくてはならないからです。
【0097】
それぞれ、多孔性の密度/程度と溶解速度に関して、本発明の成型品の処方での製剤と製造は、それを用いて得られる成型品の密度が約0.01g/cm3から0.8g/cm3、好ましくは約0.015g/cm3から0.5g/cm3、好ましくは約0.02g/cm3から0.25g/cm3となるように構成される。密度という用語は、本明細書中で使用される場合は、組成物の外側の幾何学的形状の体積に対する成型品の重量を示す。
【0098】
個々の成型品の重量は、当然、それらの大きさに依存する。一般的には、個々の成型品の重量は、約10mgから300mg、好ましくは20mgから200mgである。例えば、11mmの直径を有している球は、好ましくは20mgから160mg、より好ましくは30mgから150mgまでの範囲の重量を有する。他の好ましい範囲は、他の直径を有している球に対応して計算される。
【0099】
凍結乾燥にさらされる溶液の製造は、最初に、活性物質の水溶液を調製し、場合により、その水溶液に1種類以上の足場形成剤の溶液を混合し、次に、場合により、さらに補助物質をその混合液に混合することによって行なわれるのが好ましい。油溶性活性物質が使用される場合は、油溶性活性物質は、場合により補助物質として使用される油(特に、スクワレンおよびトリグリセリド)で溶解されることが好ましく、その後、活性物質または足場形成剤の水溶液に添加される。この製造方法は、安定な溶液または懸濁液が短時間に形成される点で有効である。乳化剤または界面活性剤(例えば、洗浄用界面活性剤または湿潤剤)は必要ないか、または極少量が必要であり、油溶性もしくは油性の補助物質または活性物質が使用される場合には、処理の際に溶液または懸濁液の相分離は起こらない。しかし、水溶性の活性物質が使用されることが好ましい。
【0100】
このように製造された溶液または懸濁液は、次いで、成型品に対応する所望の幾何学的形状の空洞を有している型に注がれる。型は、ゴム、シリコンゴム、加硫ゴム(ゴム)製などが好ましい。ゴム製の型が好ましい。型材は、場合によりコーティングされ得る。その中に溶液が注ぎ込まれる成型品の空洞は、一般的には、所望の成型品の形状を有している。すなわち、空洞の体積は、後に得られる成型品の体積に実質的に相当する。
【0101】
空洞の中に充填される溶液または懸濁液の容積は、凍結させると増える(水と氷の密度の差)ので、空洞は、通常は完全には充填されない。この方法で、完全に対称な成型品が得られる。例えば、これは、低温不活性な溶液(例えば、液体窒素)中へ滴下する方法によっては不可能である。なぜなら、この場合は、非対称な温度分布が起こり、結果として、均一な形態からの多少の狂いが毎回生じるからである。しかし、このような不均一な形状の成型品は、化粧品用の最終生成物の分野では特に望ましくない。一般に、これは、滴下法によって生成された成型品には、本発明で使用されるような方法には必要のない機械的な後処理が必要であることを意味する。滴下法によって生成された成型品の場合には、この方法ではかなりの凹凸が外面上に生じ、これは大きな成型品の場合にはより顕著になるので、そのような後処理が成型品の体積が大きくなるに伴いさらに必要となる。
【0102】
溶液が型の空洞に充填された後、溶液または懸濁液は凍結させられる。溶液の冷却または凍結は、任意の方法で、例えば、冷風を吹き付けること、冷たい食塩水が流れているプレート上に置くことによって、冷却することで、または液体ガスの中に型を浸すこと(例えば、液体窒素の中に浸すこと)でも行うことができる。このプロセスの冷却速度は、形成される氷晶の大きさに影響を与える。これは次いで、形成される成型品の内核での孔の大きさの分布に影響を与える。いくつかの大きい結晶が形成される場合は、成型品はいくつかの大きな孔を示す。多くの小さい結晶が形成される場合には、成型品は多くの小さい孔を有する。溶液または懸濁液の冷却速度が速いほど、結晶は小さくなる。この場合、成型品が少なくとも−20℃未満であらゆる角度から同時に凍結される凍結形状が好ましい。
【0103】
必要な凍結温度は、他の条件の中でも、溶液または懸濁液の中に含まれる活性物質または補助物質の凝固点降下作用がどの程度大きいかに依存する。温度は、水の凝固点未満から液体窒素の温度(−196℃)までが好ましい。好ましくは、凍結温度は、約−20℃から−80℃、特に好ましくは−30℃から−50℃である。溶液または懸濁液が凍結された後、成型品が型から取り出され、必要である場合には角が丸められる。次に、凍結成型品に、少なくとも1種類の膜形成剤と少なくとも1種類の溶媒および/または分散剤を含むコーティング組成物を吹き付けることによってコーティングがなされる。このような溶媒および/または分散剤は、水・アルコール混合液であることが好ましい
【0104】
コーティング組成物は、全組成物基準で、15重量%以上のアルコールと、70重量%以下の水と、5重量%以上の膜形成剤とを含む組成物であることが好ましい。
場合により、親水性膜形成剤の水溶液は、凝固点降下物質(例えば、一価または多価アルコールまたは塩)を含むことができる。吹き付けプロセス中の早期氷形成は、凝固点降下物質によって阻止される。さらに、凍結成型品の外側は、これら添加剤によって短時間で融解し、膜形成ポリマーは、凍結成型品としっかり接着する安定な膜を形成することができる。凝固点降下物質は、凍結乾燥中に、成型品から再び取り除くことができるものから選択される。それらの中には、一価のアルコール、特にメタノールおよびエタノールが含まれる。膜形成剤溶液中で凍結成型品を転がしたり、または浸したりも可能である。この場合、溶媒および/または分散剤、好ましくは水・アルコール混合液における膜形成剤溶液は、それぞれの場合、全溶液量基準で、少なくとも5重量%のアルコールと、少なくとも50重量%の水と、少なくとも10重量%の膜形成剤とを含む組成物を有するのが好ましい。理論的には、水と混合できるアルコールまたは溶媒の全てに膜形成剤を溶解させることができる。しかし、水・エタノール混合液の使用が特に好ましい。
【0105】
場合により、活性物質誘導体および/または前駆体の化学的変換に適する物質ばかりでなく、水、アルコールおよび膜形成剤の混合液に可溶性である着色剤、活性物質または補助物質等の他の物質もこの混合液に添加できる。
このようにしてコーティングされた成型品は、この後凍結乾燥プロセスに供される。凍結乾燥は、それ自体公知の方法で、例えば、独国特許出願公開第4328329C2号明細書、独国特許出願公開第4028622C2号明細書、または独国特許出願公開第10350654A1号明細書にも記載されているような一般的に知られている凍結乾燥プロセスにしたがって行うことができる。
【0106】
本発明には具体的に、以下の好ましい実施形態が含まれる:
[1]少なくとも1種類以上の活性物質と、場合により1種類以上の足場形成剤と、場合により1種類以上の補助物質と、少なくとも1種類の膜形成剤を含む表面コーティングとを備えることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[2][1]に記載の凍結乾燥成型品であって、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の活性物質を有することを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0107】
[3][1]または[2]に記載の凍結乾燥形成品であって、コーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の、活性物質および補助物質の合計量を有することを特徴とする凍結乾燥成型品。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、活性物質全量(重量%)と補助物質全量(重量%)との関係は、それぞれ、活性物質と補助物質の重量比が10:1から100:1であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0108】
[5][1]から[4]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、活性物質の1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃でpH値が7未満であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[6][1]から[4]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、活性物質が、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質の群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0109】
[7][1]から[6]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、活性物質が、アスコルビン酸およびその誘導体、サリチル酸およびその誘導体、特に、アセチルサリチル酸、クロフィブリン酸、イブプロフェン、ジェムフィブロジル、フェノプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ベンザフィブレート、トルフェナミン酸、ジクロフェナク、マクロフェナミン酸、パラセタモール、アシトレチン、アクリバスチン、アザライン酸、クロモリン、エタクリン酸、フロセミド、ペニシリンおよびその誘導体、ビタミンAおよびその誘導体、リセドロン酸およびその誘導体、リポ酸、ならびにウルソジオールからなる群より選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0110】
[8][7]に記載の凍結乾燥成型品であって、少なくとも1種類の酸性活性物質が、アスコルビン酸およびその誘導体の群またはアセチルサリチル酸およびその誘導体の群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[9][1]から[8]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、アスコルビン酸およびその誘導体の群から選択される活性物質が、コーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上含まれることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0111】
[10][1]から[8]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、サリチル酸およびその誘導体の群、好ましくは、アセチルサリチル酸およびその誘導体の群から選択される活性物質が、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上含まれることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[11][1]から[10]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤の含有量が、いずれの場合も凍結乾燥成型品の全組成物基準で、25重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0112】
[12][1]から[11]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤は含まれないことを特徴とする凍結乾燥成型品。
[13][1]から[12]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤が、親水コロイドの群、好ましくは多糖類、ポリアミノ糖類、グルコサミノグリカン、および/または合成ポリマー、またはそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0113】
[14][13]に記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤が、アルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロース、陽イオンで修飾された澱粉またはキトサン、もしくはそれらの混合物であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[15][1]から[14]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、タンパク質群由来の足場形成剤は除外されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0114】
[16][1]から[15]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤を有するコーティングの含有量が、いずれの場合も凍結乾燥成型品の全組成物基準で、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0115】
[17][1]から[16]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、コーティング用膜形成剤は親水性ポリマーの群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[18][17]に記載の凍結乾燥成型品であって、コーティング用膜形成剤は合成ポリマーの群から、好ましくはビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーの群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
[19][1]から[18]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、液体が添加されると30秒以内、好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、さらにより好ましくは5秒以内で完全に分解されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【0116】
[20][1]から[19]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、0.1cm3から6cm3の体積、0.01g/cm3から0.8g/cm3の密度、および/または少なくとも6mmの直径を有する球状の幾何学的形状を有することを特徴とする凍結乾燥成型品。
[21]コーティングされた凍結乾燥成型品の製造方法であって、コーティングが凍結成型品に施され、その後そのコーティングされた凍結成型品が凍結乾燥されることを特徴とする製造方法。
【0117】
[22]凍結乾燥成型品の製造方法であって、
(a)1種類以上の活性物質、場合により1種類以上の足場形成剤、および、場合により、1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を調製する工程と、
(b)混合物を型に注ぐ工程と、
(c)型の中の前記混合物を凍結させ、凍結成型品を得る工程と、
(d)型から凍結成型品を取り出し、場合により、凍結成型品の角を丸める工程と、
(e)凍結成型品に、少なくとも1種類の膜形成剤と少なくとも1種類の溶媒および/または分散剤を含むコーティング組成物を吹き付ける工程と、
(f)膜形成剤でコーティングされた凍結成型品を凍結乾燥させると同時に、凍結乾燥成型品を形成させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【0118】
[23][22]または[23]のいずれかに記載の方法であって、膜形成剤はコーティング用に使用され、親水性ポリマーの群から、好ましくは合成ポリマーの群から、特に好ましくはビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーの群から選択されることを特徴とする方法。
[24][22]または[23]に記載の方法であって、溶媒および/または分散剤は、水・アルコール混合液であることを特徴とする方法。
[25][22]から[24]のいずれかに記載の方法であって、コーティング組成物は、全組成物基準で、15重量%以上のアルコールと、70重量%以下の水と、5重量%以上の膜形成剤とを含む組成物であることを特徴とする方法。
【0119】
[26][21]から[25]のいずれかに記載の方法にしたがって得られる凍結乾燥成型品。
[27][1]から[20]または[26]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の、化粧品としての使用。
[28][1]から[20]または[26]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の、医薬品としての使用。
[29][27]または[28]に記載の使用であって、外用に投与がなされることを特徴とする使用。
【0120】
[30][27]から[29]のいずれかに記載の使用であって、凍結乾燥成型品が水、または1種類以上の活性物質および/または場合により補助物質の水溶液で湿らされ、30秒以内に分解され、その後、皮膚または毛髪に塗布されることを特徴とする使用。
[31][1]から[20]または[26]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の使用であって、活性物質の経口投与または経口的な用途であることを特徴とする使用。
[32][1]から[20]または[26]のいずれかに記載の少なくとも1種類の凍結乾燥成型品、ならびに、1種類以上の活性物質および/または場合により1種類以上の補助物質を含む少なくとも1つの水溶液を、一体の空間的配置の中に含むパーツキットの組み合わせ。
【0121】
[33][32]に記載のパーツキットの組み合わせの化粧品としての使用。
[34][32]に記載のパーツキットの組み合わせの治療薬としての使用。
[35][27]から[31]および[33]から[34]のいずれかに記載の使用であって、使用が最終使用者によって直接行われることを特徴とする使用。
【0122】
本発明は以下の実施例によってさらに詳細に説明される。
【実施例】
【0123】
[実施例1:後処理にコーティングを含む、カルボキシメチルセルロース/アスコルビン酸の球の製造]
0.5g カルボキシメチルセルロース
16.0g アスコルビン酸
83.5g 水
0.5gのカルボキシメチルセルロースを、攪拌しながら83.5gの水に添加し、カルボキシメチルセルロースが完全にかつ均一に溶けるまで攪拌する。その後、16.0gのアスコルビン酸を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3.0以下である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、冷風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、場合により機械的に後処理をする。直径約11mmの凍結球体が得られ、場合により−20℃以下の温度で凍結状態で貯蔵される。
−10℃未満の冷貯蔵室で、凍結成型品は、振動状態で、全球体がコーティング剤で均一にコーティングされるまで、以下を含む溶液で均一に吹き付けられる:
80g エタノール
10g RO水(逆浸透水)
10g Kollidon VA−64
【0124】
余分なエタノールは、振動で蒸発してもよい。コーティングされた冷凍球体は、この後凍結乾燥プロセスに供される。Kollidon VA−64でコーティングされた、機械的に安定な凍結乾燥成型品が得られる。
コーティング剤の量、ひいては凍結乾燥成型品の機械的安定性は、吹き付けられるコーティング剤の量によって容易に制御可能である。
コーティングされた凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0125】
[実施例2:後処理にコーティングを含む、キトサン/アセチルサリチル酸の球の製造]
0.2g キトサン
16.0g アセチルサリチル酸
83.8g 水
0.2gのキトサンを、攪拌しながら83.8gの水に添加し、そこに希塩酸を多少添加し、キトサンが完全に溶けるまで攪拌し続ける。その後、16.0gのアセチルサリチル酸を攪拌しながらキトサン溶液に分散させ、混合物(pH値が3.0以下である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、冷風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、場合により機械的に後処理をする。直径約11mmの凍結球体が得られ、場合により−20℃以下の温度で凍結状態で貯蔵される。
−10℃未満の冷貯蔵室で、凍結成型品は、振動状態で冷風に吹き付けられながら、全球体がコーティング剤で均一にコーティングされるまで、以下を含む溶液で均一に吹き付けられる:
85g エタノール
15g Kollidon VA−64
【0126】
余分なエタノールは、振動および冷風吹きつけで蒸発してもよい。コーティングされた冷凍球体は、この後凍結乾燥プロセスに供される。Kollidon VA−64でコーティングされた、機械的に安定な凍結乾燥成型品が得られる。
コーティング剤の量、ひいては凍結乾燥成型品の機械的安定性は、吹き付けられるコーティング剤の量によって容易に制御可能である。
コーティングされた凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0127】
[実施例3:後処理にコーティングを含む、アスコルビン酸の球の製造]
16.0g アスコルビン酸
84.0g 水
16.0gのアスコルビン酸を84.0gの水に溶解させる。溶液のpH値は3.0以下であり、溶液は0〜10℃の温度に維持される。均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、冷風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、場合により機械的に後処理をする。直径約11mmの凍結アスコルビン酸球体が得られ、場合により−20℃以下の温度で凍結状態で貯蔵される。
−10℃未満の冷貯蔵室で、凍結成型品は、振動状態で、全球体がコーティング剤で均一にコーティングされるまで、以下を含む溶液で均一に吹き付けられる:
90g エタノール
10g Kollidon VA−64
【0128】
余分なエタノールは、振動で蒸発してもよい。コーティングされた冷凍球体は、この後凍結乾燥プロセスに供される。Kollidon VA−64でコーティングされた、アスコルビン酸の機械的に安定な凍結乾燥成型品が得られる。
コーティング剤の量、ひいては凍結乾燥成型品の機械的安定性は、吹き付けられるコーティング剤の量によって容易に制御可能である。
コーティングされた凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、5秒未満である。
【0129】
[実施例4:後処理にコーティングを含む、カチオン化澱粉/アスコルビン酸の球の製造]
1.0g ホホバ油
16.0g アスコルビン酸
81.0g 水
2.0gのカチオン化澱粉を、攪拌しながら81.0gの水に添加し、澱粉が完全にかつ均一に溶けるまで攪拌し続ける。その後、16.0gのアスコルビン酸と1.0gのホホバ油を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3.0以下である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、冷風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、場合により機械的に後処理をする。直径約11mmの凍結球体が得られ、場合により−20℃以下の温度で凍結状態で貯蔵される。
−10℃未満の冷貯蔵室で、凍結成型品は、振動状態で、全球体がコーティング剤で均一にコーティングされるまで、以下を含む溶液で均一に吹き付けられる:
80g エタノール
10g RO水
10g Kollidon VA−64
【0130】
余分なエタノールは、振動で蒸発してもよい。コーティングされた冷凍球体は、この後凍結乾燥プロセスに供される。Kollidon VA−64でコーティングされた、機械的に安定な凍結乾燥成型品が得られる。
コーティング剤の量、ひいては凍結乾燥成型品の機械的安定性は、吹き付けられるコーティング剤の量によって容易に制御可能である。
コーティングされた凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類以上の活性物質と、場合により1種類以上の足場形成剤と、場合により1種類以上の補助物質と、少なくとも1種類の膜形成剤を含むコーティングとを備えることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項2】
請求項1に記載の凍結乾燥成型品であって、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の活性物質を有することを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の凍結乾燥成型品であって、活性物質が、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質の群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、アスコルビン酸およびその誘導体の群、またはサリチル酸およびその誘導体の群、好ましくは、アセチルサリチル酸およびその誘導体の群から選択される活性物質が50重量%以上含まれることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、いずれの場合も凍結乾燥成型品の全組成物基準で、足場形成剤の含有量が10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項6】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤は含まれないことを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤が、親水コロイドの群、好ましくは多糖類、ポリアミノ糖類、グルコサミノグリカン、および/または合成ポリマー、またはそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項8】
請求項7に記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤が、アルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、またはキトサン、もしくはそれらの混合物であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、足場形成剤を有するコーティングの含有量が、いずれの場合もコーティングされた凍結乾燥成型品の全組成物基準で、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、コーティング用膜形成剤は、親水性ポリマーの群から、好ましくは合成ポリマーの群から、特に好ましくはビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーの群から選択されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の凍結乾燥成型品であって、液体が添加されると30秒以内、好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、さらにより好ましくは5秒以内で完全に分解されることを特徴とする凍結乾燥成型品。
【請求項12】
コーティングされた凍結乾燥成型品の製造方法であって、コーティングが凍結成型品に施され、その後、そのコーティングされた凍結成型品が凍結乾燥されることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
凍結乾燥成型品の製造方法であって、
(a)1種類以上の活性物質、場合により1種類以上の足場形成剤、および、場合により、1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を調製する工程と、
(b)混合物を型に注ぐ工程と、
(c)型の中の前記混合物を凍結させ、凍結成型品を得る工程と、
(d)型から凍結成型品を取り出し、場合により、凍結成型品の角を丸める工程と、
(e)凍結成型品に、少なくとも1種類の膜形成剤と少なくとも1種類の溶媒および/または分散剤を含むコーティング組成物を吹き付ける工程と、
(f)膜形成剤でコーティングされた凍結成型品を凍結乾燥させると同時に、凍結乾燥成型品を形成させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の、化粧品または治療薬としての使用。
【請求項15】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の少なくとも1種類の凍結乾燥成型品、ならびに、1種類以上の活性物質および/または場合により1種類以上の補助物質を含む少なくとも1つの水溶液を、一体の空間的配置の中に含むパーツキットの組み合わせ。

【公開番号】特開2010−254691(P2010−254691A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−97413(P2010−97413)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(509044785)ドクトル ズーヴェラッハ スキン アンド ヘルス ケア アーゲー (6)
【Fターム(参考)】