説明

コーティングしたニコチン含有チューインガム、その製造および使用

【課題】対象にニコチンを送達するためのコーティングしたチューインガム製品に関する。また、ニコチンを送達する方法およびシステムならびに該コーティングしたチューインガム製品の使用および製造が考えられる。
【解決手段】少なくとも1つのガム・コア、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、少なくとも1つのコーティング層および所望により、少なくとも1以上の他の添加剤を含み、ここに、少なくとも1つの該コーティング層は緩衝される、口腔内の急速な経粘膜取込みにより対象にいずれかの形態のニコチンを送達するためのコーティングされたチューインガム製品。また、いずれかの形態のニコチンの送達方法、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減方法ならびに該コーティングされたチューインガムの製造方法、および対象の口腔内のニコチンの急速な経粘膜取込みを得るその形態の使用が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象にニコチンを送達するためのコーティングしたチューインガム製品に関する。また、ニコチンを送達する方法およびシステムならびに該コーティングしたチューインガム製品の使用および製造が考えられる。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコ喫煙の有害効果の認識で、政府機関および種々の健康グループならびに他の利害関係を持つ組織による多数のキャンペーンおよびプログラムが存在し、タバコ喫煙から起因する健康の有害な影響についての情報が普及している。さらに、その有害な影響についてのこの認識の結果として、喫煙率を低減させる試みに指向された多数のプログラムが存在している。
【0003】
ニコチンは有機化合物であり、タバコの主要なアルカロイドである。ニコチンは、巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコにおいて用いるタバコ中の主要な習慣性の成分である。しかしながら、また、ニコチンは常習性薬物であり、喫煙者は、ある時間うまく喫煙を止めた後に再発する強い傾向を特徴的に示す。ニコチンは、コーヒーおよび茶からのカフェインの次に、世界で第2の最も使用される薬物である。
【0004】
タバコ喫煙に関する主要な問題は健康に関してその甚大な影響を持つ。今日、喫煙に関連する疾患は、1年当たり約3〜400万の死を惹起すると推測されている。米国公衆衛生局長官の喫煙の健康への影響に関する1988年の報告書では、米国単独で、約300.000人の死亡が、毎年タバコ喫煙に関連する疾患によって引き起こされると推測された。事実、過度の喫煙は、世界中の主要な健康問題のうちの1つと今や認識されている。タバコ喫煙の恐るべき結果は、タバコの使用に対して非常に強い行動を取るように多くの医学協会および保健機関に促した。
【0005】
たとえタバコ喫煙が今日多くの先進国において減少していても、社会が世界で第2に最も用いられる薬物を取り除くことができる方法を理解することは難しい。
【0006】
ヘビー・スモーカーができる最も有利なことは、喫煙することを縮小するか、好ましくはさらに完全に止めることである。しかしながら、経験は、ほとんど、タバコ喫煙の結果、依存障害あるいは渇望を生じるので、ほとんどの喫煙者がこれを非常に困難であると感じることを示す。WHOは、その障害の国際分類において、タバコ依存といわれる診断を行っている。アメリカ精神医学協会のごとき他では、中毒ニコチン依存と呼んでいる。喫煙を止めるこれらの困難性は、それらのヘビー・スモーカーがニコチンに依存するという事実から起因することは一般的に受け入れられている。しかしながら、最も重要な危険因子は一酸化炭素、タール製品、アルデヒドおよび青酸のごときタバコの燃焼中に成形される物質である。
【0007】
ニコチンの効果
ニコチンの投与は、満足を与えることができ、通常の方法は、例えば、巻きタバコ、葉巻、パイプを喫煙するのいずれかにより喫煙することによる。しかしながら、喫煙は、健康危害を有し、従って、喫煙からの中止を促すために用いるおよび/または喫煙の代替品として用いることができる快い方法でニコチンを投与する代替方法を処方することが望ましい。
【0008】
タバコを吸う場合、ニコチンは喫煙者の血液へ急速に吸収され、吸入後約10秒以内に脳に達する。ニコチンの急速な取込みは消費者に急速な満足または快感(kick)を与える。次いで、満足は、タバコの喫煙時間中、およびその後ある期間持続する。喫煙の有害、有毒、発癌性で、かつ習慣性の性質は、タバコを喫煙する習慣を崩壊させるのを助ける方法、組成およびデバイスについての努力を与えてきた。
【0009】
ニコチンは、タバコ植物に由来する習慣性の有毒なアルカロイドCNCNCHである。また、ニコチンは、殺虫剤としても用いられる。約40ミリグラムのニコチンは成人を殺すことができる(Merck Index)。
【0010】
ニコチン代替製品
喫煙を低減させる一つの方法は、喫煙による以外の形態または方法でニコチンを提供することであり、いくらかの製品が開発されこの要求を実現させている。ニコチン含有製剤は、現在、タバコ依存についての優位な処置方法である。
【0011】
喫煙率の低下の達成における成功は、現在知られている製品を用いては、比較的貧弱である。現在の状態は、行動的なアプローチおよび薬理学的アプローチの双方を含んでいる。単独で喫煙率を低下させるいくらかの行動的または薬理学的なアプローチを用いた後、最初に喫煙を中止したタバコ喫煙者の80%を超える者が一般的に再発し、約1年の期間内にそれらの以前の割合で喫煙する習慣に戻る。
【0012】
禁煙することを望む人のための援助として、ニコチンチューインガム製品のごときいくつかの方法および形態の市場で入手可能なニコチン代替品が存在する。いくつかの方法および手段は、タバコを使用する対象の要望を減少させるために記載され、それは、例えば、米国第5,810,018号(経口ニコチンスプレー)、米国第5,939,100号(ニコチン含有ミクロスフェア)および米国第4,967,773号(ニコチン含有ロゼンジ)に記載されたニコチンまたはその誘導体を対象に投与する工程を含む。
【0013】
ニコチン含有点鼻薬が報告されている(Russellら, British Medical Journal, Vol. 286, p. 683 (1983); Jarvisら, Brit. J. of Addiction, Vol. 82, p. 983 (1987))。しかしながら、点鼻薬は、投与するのが難しく、かつ仕事または他の公共の状況ににつき便利ではない。噴霧により鼻腔へ直接送達する方法によるニコチンの投与法は、米国第4,579,858号、DE 3241437およびWO/93 127 64から知られている。しかしながら、鼻用ニコチン製剤の使用での局所的鼻刺激が存在し得る。また、投与の難しさの結果、投与されたニコチンの用量は予測できない。
【0014】
ニコチンの経皮投与用の皮膚パッチの使用が報告されている(Rose, Pharmacologic Treatment of Tobacco Dependence, (1986) pp. 158-166, Harvard Univ. Press)。今日広範囲に用いられているニコチン含有皮膚パッチは、局所刺激を引き起こし、ニコチンの吸収は遅く、皮膚の血流により影響される。
【0015】
また、タバコに似ている吸入用デバイスは、ニコチン気体の取込みために知られ、米国第5,167,242号に示されている。該手段および方法は、ニコチンに対する嗜癖と関連する問題に取り組んでいる。
【0016】
ニコチンチューインガム
今日まで最も成功した喫煙率を低下させるものの一つは、禁断症状を低下させるように設計されたニコチン含有チューインガムに依拠する。報告された成功率は、プラセボのものの約2倍である。ニコチン・ガムの使用はいくつかの問題に苦み、例えば、ニコチン含有ガムは、大部分の喫煙者が経験する渇望を十分には急速に満足させないことが判明したという。
【0017】
先行技術およびその問題
喫煙代替品および/または禁煙補助剤として用いられ、ニコチンに基づく1つの成功した製品は、チューインガムNicoretteRである。この製品は、食品医薬品局(FDA)によって承認された最初のニコチン代替品形態のうちの1つで、依然として、最も用いられているニコチン代替品製品のうちの1つである。NicoretteRチューインガムは、数年間に約60カ国で市販されている。このチューインガムにおいて、ニコチンは、ガムベース中に分散された不溶性陽イオン交換体(ポルアクリレックス(polacrilex))との複合体の形態で存在する。そのニコチンは、噛むことに起因して徐々にガムから放出され、そのチューイング手法、すなわち、ゆっくりまたは活発にに依存して約30分後にタバコを喫煙するのと同様の血漿中レベルを達成する。この製品と関係する特許は、例えば、米国特許第3,877,468号、第3,901,248号および第3,845,217号である。
【0018】
WO 98/23165は、ニコチンがコーティング中に存在できるチューインガムを開示する。この概念は、コーティングさせたチューインガムからのニコチンの急速な放出を供するが、ニコチンの十分に急速な口内取込みは供さない。直ちに吸収されない放出されたニコチンの画分は、唾液によって胃腸(G.I.)管に流され、それにより、海馬および他のG.I.副作用を恐らく引き起こす。一旦、G.I.経路により吸収されると、この嚥下されたニコチンは、初回通過効果に付される。
【0019】
WO00/13662は、活性体が二相のチューインガム組成物により投与される活性体の全身性の経口投与用のチューインガムを開示する。この二相の送達は、いずれかのコーティングからではなく、ガムマトリックス自体により得られる。
【0020】
WO 00/19977は、活性体の送達用の実質的に水分がなく、かつ可能にコーティングされたチューインガムを開示する。その可能なコーティングは、緩衝されるものとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国第3,877,468号明細書
【特許文献2】国際公開第98/23165号
【特許文献3】国際公開第00/13662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ニコチンへの人の渇望に対する満足を与えるか、または喫煙なくして喫煙の満足感を供するためのニコチンの投与のための手段および方法を開発することは、前記の問題に徴して高度に望ましく、また、それは先行技術の手段および方法と関連する問題を回避できる。これに関して、本発明は、この要求および注目に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
対象の口腔内の急速な経粘膜取込みを得るように対象にニコチンを送達することを試みる場合の当該技術分野における前記の不利益を考慮して、本発明は、対象の口腔内のニコチンの急速な経粘膜取込みを得るための新しく、かつ改善された製品、システムおよび方法を提供する。
【0024】
本発明の目的は、かかる従前に知られている製品および方法の不利益を回避するような対象におけるニコチンの急速な取込みについての効果的でかつ有効な製品、ならびに方法およびシステムを提供することにある。
【0025】
かくして、本発明は、対象の口腔内へいずれかの形態のニコチン含有のコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで、コーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、対象の口腔内で唾液中に放出され、全身循環に吸収されるのを可能とすることを含むいずれかの形態のニコチンを送達する方法、ならびに該コーティングされたチューインガムの製造方法を含む。
【0026】
また、本発明は、喫煙またはタバコ含有物質を使用する衝動の低減を得るおよび/または喫煙なくして喫煙の満足感を供する方法であって、少なくとも部分的にタバコ含有物質を前記のコーティングされた該チューインガム製品で置き換え、対象の口腔内へのいずれかの形態のニコチンを含有するコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで、そのコーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、口腔内の唾液中に放出され、対象の全身循環に吸収されるのを可能とする工程を含む該方法を提供する。
【0027】
さらに、本発明は、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るための該コーティングされたチューインガム製品および少なくとも1つの他の手段を含むいずれかの形態のニコチンを対象に送達するシステム、ならびに喫煙またはさもなければタバコの使用に対する衝動の低減を得るための前記および少なくとも1つの他の方法によるコーティングされたチューインガム製品を含む喫煙なくして喫煙の満足感を与えるシステムを提供する。該システムは、少なくとも1つの他の方法が、口腔内噴霧、鼻内噴霧、経皮パッチ、吸入デバイス、ロゼンジ、錠剤および非経口方法、皮下方法、静脈内方法、経直腸方法、経膣方法および経粘膜方法を介する投与よりなる群から選択されるか;あるいはタバコの使用であるシステムである。
【0028】
依然として、さらに、本発明は、少なくとも1つのチューインガム・コア、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤(nicotine mimicking agent)、少なくとも1つのコーティング層、および所望により1以上の他の添加剤を含み、ここに、少なくとも1つの該コーティング層は緩衝されるコーティングしたチューインガム製品に関する。
【0029】
該製品は、緩衝されるべき少なくとも1つのコアをさらに含み、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つであるべきいずれかの形態のニコチンを含み得る。少なくとも1つのコーティングは、該ガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.3〜4のpH単位だけ増加させ、好ましくは、0.5〜2のpH単位だけ増加させるように本発明により緩衝される。該製品は、カリウムもしくはナトリウムのごときアルカリ金属またはアンモニウムの炭酸水素塩またはセスキ炭酸塩のごとき炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩またはクエン酸塩、例えば、クエン酸三ナトリウムおよびクエン酸三カリウムならびにそれらの混合物よりなる群から選択される緩衝剤の使用により緩衝される。
【0030】
該製品の使用は、本発明により、いずれかの形態のニコチンを対象に急速に送達し、また、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の急速なおよび/または持続性のおよび/または完全な低減を得る、および/または喫煙なくして喫煙の満足感に似ている喫煙の満足感および通常の喫煙またはタバコの使用後に得られる喫煙に対する衝動の低減を供するために用いられるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本明細書に用いた「チューインガム製品」なる用語は、全ての噛むことができるガム製品を意味することを意図する。
「喫煙またはタバコの使用に対する衝動の速い低減」なる用語は、本明細書では、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を達成するような対象の初期のプライミングを意味することを意図する。
「持続性」なる用語は、本明細書では経時的な延長を意味することを意図する。
「完全な低減」または「完全な」なる用語は、本明細書では完全なまたは実質的に完全な低減を意味することを意図する。
「放出制御」なる用語は、対象の口腔内でガムを活発に噛むことの援助によりガムから物質を放出し、それにより、活発に噛むことが放出される物質の量を制御することを意味することを意図する。
「徐放性」なる用語は、ある期間、例えば、数分ないし1時間にわたる、例えば、噛むに際してニコチンがガムから放出されることを意味することを意図する。
「単位製剤」なる用語は、1つのチューインガム製品を意味することを意図する。
「一時的な」なる用語は、ある期間後の比較状態、例えば、生物学的または生理学的な状態が、変化に先立つその値または挙動に戻るであろう非永久的な変化を意味することを意図する。
「舌下」および「舌下的に」なる用語は、本明細書では、口腔の組織の全てまたはいずれかの部分に関係することを意図する。
【0032】
コーティングされたチューインガム
現行のニコチン・チューインガムは、ニコチンの徐放性およびゆっくりした取込みを供する。これは、ニコチンの最初の速い取込みが達成され、喫煙者、すなわち、対象に、満足感を与える喫煙の場合の実際の満足感に似ていない。従って、前記のように、本発明は、対象におけるニコチンの吸収を改善するコーティングされたチューインガム製品に関し、ここに、その吸収は、ニコチンチューインガムの分野において知られた現在の手段および方法を用いるより、急速である。口腔内のニコチンのかかる急速な経粘膜取込みは、より多くの巻きタバコ様の満足感ならびに喫煙およびタバコの使用に対する衝動のより急速な低減を与えることを予測させる。
【0033】
本発明により、コーティングされたチューインガム製品は、該ニコチンの吸収を改善するために用いられる。そのコーティングされたチューインガム製品は、少なくとも1つのチューインガム・コア、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、少なくとも1つのコーティング層および少なくとも1つの他の添加剤を含み、ここに、少なくとも1つの該コーティング層は緩衝される。
【0034】
また、少なくとも1つのコアは、異なる具体例において緩衝できる。そのコアは、少なくとも1つのコーティング層として緩衝される同一または異なる方法で緩衝できる。
【0035】
少なくとも1つのコーティング層および所望により少なくとも1つのコアの該緩衝は、コーティングされたチューインガム製品を生成し、当該技術分野で知られたチューインガム製品に比較して、ニコチンの改善された吸収速度論を与える。
【0036】
そのチューインガム製品は、薬用チューインガムであり得る。薬用チューインガムは、本明細書では、チューインガムが薬物送達システムとして作用するガムが、嚥下することを意図しないガムより主としてなるベースを含む固体または半固体の単一用量製剤を意味することを意図する。それらは、噛むことにより放出される1以上の活性物質を含有する。唾液中の活性物質の溶解または分散後に、かかるチューインガムを、i)口腔疾患の局所処置、およびii)口腔中の経粘膜取込みを介する吸収後の全身送達のために用いる。
【0037】
緩衝剤
口腔から全身循環へのニコチンの吸収は、唾液のpH、血漿のpHおよび約7.8であるニコチンのpKaに依存する。7.4の血漿および6.8の唾液のpHを仮定すると、ニコチンの約10%だけが、遊離塩基形態で存在するであろう。かくして、粘膜を通して優位に吸収された形態である遊離塩基形態でのニコチンの吸収を促すために、唾液のpHを増加しなければならない。次いで、8.8のpHでは、約90%のニコチンが遊離塩基形態にて存在するであろう。
【0038】
かくして、本発明により、そのコーティングされたチューインガム製品は緩衝される。これは、生理学的に許容される緩衝物質または剤を含有するか、または他の手段により達成できる。他の手段を用いて、自己緩衝添加剤またはガムベースのごとき緩衝剤として通常は作用しないその製品中のいずれかの成分による緩衝を含むことを意図する。
【0039】
本発明により、少なくとも1つのコーティング層が緩衝される。また、特定の具体例において、少なくとも1つのコアが緩衝される。
【0040】
特定の具体例において、その少なくとも1つのコーティング層は、ガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.3〜4のpH単位だけ増加させ、好ましくは、0.5〜2のpH単位だけ増加させるように緩衝される。緩衝は、コーティングされた層または複数の層の溶融、分解または溶解中に対象の唾液の一時的な緩衝を達成するように設計される。その変化は一時的であるので、pHはある期間後にその通常の値に戻るであろう。
【0041】
同様に、少なくとも1つのコアを緩衝できる。これは、pHにおける該変化が、ガム製品のコアを噛んでいる間保証するのを可能とし、その噛むことは、適当な緩衝剤または物質あるいは他の手段が、唾液中のpHの一時的な変化、例えば、pHにおける増加を生成するのを可能とする。
【0042】
唾液の該pHにおけるここに増加としての該変化を使用すると、口腔内のニコチンの経粘膜の取込みは変化し、唾液が本発明により緩衝されない場合のニコチンの取込みと比較して増加する。また、本発明による口腔中のニコチンの経粘膜の取込みは本発明により緩衝されないニコチンについてより速いので、ほとんどニコチンは嚥下して、胃腸(G.I.)管に達しないであろう。G.I.管に達するニコチンは、吸収された本来のニコチンの合計量を低下させる初回通過代謝に付されるであろう。これは、本発明により緩衝剤と共投与されないニコチンのバイオアべイラビリティは、緩衝剤と一緒に投与された場合より一般的に低いことを意味する。
【0043】
本発明のさらなる具体例は、少なくとも1つのコーティング層が、カリウムもしくはナトリウムのごときアルカリ金属またはアンモニウムの炭酸水素塩またはセスキ炭酸塩を含めた炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩またはクエン酸塩よりなる群から選択される緩衝剤またはそれらの混合物の使用により緩衝される組合せを含む。
【0044】
さらなる具体例は、クエン酸三ナトリウムおよびクエン酸三カリウムおよびそれらの混合物を用いることができる。
【0045】
依然としてさらなる具体例には、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム;およびリン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムのごとき異なるリン酸塩系、および水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム;およびそれらの混合物を用いることができる。
【0046】
アルカリ金属の炭酸塩;グリシン酸塩およびリン酸塩は、好ましい緩衝剤である。
【0047】
1以上の緩衝剤が、1以上の緩衝剤よりも唾液中でほとんど可溶性でないポリマーおよび/または脂質でいくらかの範囲まで、マイクロカプセル化できるか、あるいは顆粒としてコーティングできる。かかるマイクロカプセル化は、溶解速度を制御し、それにより、緩衝効果の時間枠が延長される。
【0048】
依然としてさらにpHの対応する増加なくして、緩衝能力を増加させるために、特定の具体例において、第1の緩衝剤に対して、例えば、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム緩衝剤のごとき第2または補助的緩衝剤を用いることができる。その第2のまたは補助的緩衝剤は、この目的に好ましいアルカリ金属の炭酸水素塩よりなる群から選択できる。かくして、本発明のさらなる具体例は、アルカリ金属の炭酸塩またはリン酸塩およびアルカリ金属の炭酸水素塩の混合物を含み得る。
【0049】
チューインガム組成物中の緩衝剤または複数の緩衝剤の量は、特定の具体例において、前記のごとき7を超えるまで唾液のpHを上昇させ、口腔内の唾液のpHが7を超える、例えば、pH7〜11に一時的に維持するのに好ましくは十分なものである。
【0050】
ニコチンは、異なる形態、例えば、異なる複合体または塩で投与できる。投与された異なるニコチン形態のpHにおけるかかる増加を達成するのに必要とされる緩衝剤の量は、当業者により容易に計算される。pHにおける増加の程度および期間は、用いた(複数の)緩衝剤のタイプおよび量に、ならびに、すなわち、少なくとも1つのコーティング層において、および所望により少なくとも1つのコアにおいて、緩衝剤が製品に分布し、さらに後記の項内でさらに記載される場合に依存する。
【0051】
ガム・コアのコーティング
チューインガムをコーティングするプロセスは当該技術分野においてよく知られている。本発明は、対象に投与されたいずれかの形態のニコチンの取込みを促すためのコーティングを供する。チューインガム製品をコーティングすることの公知の意図は、サクサク感(crispiness)を加え、味を増強するか、または例えば、貯蔵中に、ガムを保護するか、あるいはガム製品の悪いまたは刺激的な味を和らげることであり得る。
【0052】
本発明により、チューインガムは、少なくとも1つの1つのコーティング層を含むコーティングされたチューインガムである。
【0053】
本発明による異なる具体例は、糖衣、フィルム・コーティング、プレス/圧縮コーティングまたは溶融コーティングを使用できる。
【0054】
フィルム・コーティングおよび糖衣では、溶媒、例えば、水または有機溶媒の蒸発と組み合わせて、そのコーティング手順は手作業であり得か、あるいはそのコーティングは、異なる形状の回転パンまたは流動床中でガム・コア/ペレット上でスプレーできる。
【0055】
糖衣は、複数工程であり、以下の工程:
1.コアのシーリング
2.サブコーティング
3.スムーシングまたグロッシン(glossing)
4.着色
5.艶出し
6.所望により、印字
に分けることができる。
【0056】
糖衣したコアはより滑らかなプロフィールを有し、本来のコアからの目に見えるエッジはほとんど残存していない。例えば、スクロース溶液上の粉末でのダスティングまたはスクロース溶液中の乾燥粉末の適用のいずれかによるサブコーティングを用いることができる。そのコアは、例えば、糖衣パンを用いるパンニング技術またはある程度の自動化が可能な高機能の技術により糖衣できる。
【0057】
糖衣中の糖は、まさにスクロースでなくてもよい。また、他のタイプの糖は、例えば、糖アルコール(多価アルコール、ポリオール)で同様にできる。
【0058】
また、糖衣に用いた糖は、特定の具体例により、カロリーが低いかまたは実質的になく、通常の糖より虫歯を促さない人口甘味料であるか、または糖および/または糖アルコールとの組合せであり得る。
【0059】
フィルム・コーティングは、コアを囲むポリマーの薄いフィルムの通常はスプレー法による成膜を含む。その溶液は、回転した混合床上でスプレーできる。その乾燥条件は、各コアの周囲のコーティング物質の薄い成膜を残すように溶媒を除去させる。
【0060】
コーティングの溶液および懸濁液の組成物は、プロセスの異なる部分間で異なり得る。
【0061】
プレス・コーティングは、既に製造されたコアの周囲の顆粒状物質の圧密を含む。プレス/圧縮コーティングを用いて、さらなるコアを初期のコア/複数のコアの外側に圧縮する。
【0062】
実施例1〜4は、本発明により用いることができる4つの異なるコーティングおよびコーティング組成物、すなわち、すべてがチューインガム・コア上での、実施例1の糖衣、実施例2のフィルム・コーティング、実施例3のプレス・コーティングおよび実施例4の溶融コーティングを記載する。コーティングは、各ケースにおいて緩衝され、同様にニコチンを含有する。実施例1〜4におけるコーティングは、異なるコアと組み合わせることができる。コアの実施例を実施例5に与え、さらに後記する。
【0063】
酒石酸水素ニコチン(NHT)をニコチン形態として用いるならば、NHTおよび緩衝剤は、特に、糖衣が用いられた場合には、別々の層にそれらを保つことによりコーティング中で相互に適当に分離される。NHT含有層および緩衝剤を含むコーティング間の水分バリアーは、コーティング・プロセス中に酸塩のNHTおよび緩衝剤間の相互作用を防止するように適用できる。適当な水分バリアーは、例えば、エチルセルロース、またはエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の組合せ、および/または有機溶媒または溶媒混合物からの可塑剤、好ましくは、可塑剤と組み合わせたAquacoat EDC (FMC Corp.)またはSurelease (Colorcon)のごとき水性エチルセルロース分散剤、主としてHPMCおよびステアリン酸ベースのSepifilm LP 007またはLP 010 (Seppic)、主としてポリビニルアルコールベースのOpadry AMB またはHigh Performance Opadry II (Colorcon)およびEudragit L30 D-55またはEPO(Rohm)としてのポリメタクリレートである。選択されたバリアーフィルムのタイプに依存して、その水分バリアーは、好ましくは、コーティングの合計重量の約0.3%ないし約5%の重量を占める。
【0064】
添加剤は、(複数の)コーティングされたまたはコアに添加できる。添加剤は、さらに、チューインガムへの他の添加剤の項に記載される。
【0065】
コア
本発明のよるコーティングされたチューインガム中のガムベースの量は、ガム・コアの合計重量当り約15〜80%、好ましくは少なくとも約40%である。最も望ましい徐放性のニコチンにつき使用したガムベースの量は、通常、ニコチンがそれ自体で使用されたか、吸収された形態を用いた場合の高範囲内にある。
【0066】
ガムベースは、当該技術分野において知られているいずれかの従来の天然のものであり得る。例えば、それは、商業源から容易に入手できる天然または合成起源のガムベースを含み得る。天然のガムベースには、例えば、チクル、ジェルトン−、レチ・デ・カスピ(lechi de caspi)−、ソー(soh)−、シアク(siak)−、カチアウ(katiau)−、ソルワ(sorwa)−、バラタ、ペンダーレ(pendare)−、マラヤ(malaya)−、またピーチガム、天然のカウチアウク(cautchouc)、およびダマールおよびマスチックス(mastix)のごとき天然の樹脂が含まれる。合成ガムベースは、
−エラストマー(ポリマー、咀嚼物質)、
−可塑剤(樹脂、エラストマー、溶媒、疎水性樹脂)、
−充填材(風合剤(texturizer)、水不溶性アジュバント)、
−軟化剤(脂肪)、
−乳化剤、
−ワックス
−酸化防止剤
−および、抗タッキング剤(anti-tacking agent)(ビニル重合体、親水性樹脂)
の混合物である。
【0067】
ガムベースの他の例は、寒天、アルギン酸塩、アラビアガム、カロブガム、カラゲニン、ガティガム、グアーガム、カラヤガム、ペクチン、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ジェランガムおよびキサンタンガムを含めたガムである。
【0068】
ゲル化剤の例には、アラビアガム、デンプン、ゼラチン、寒天およびペクチンが含まれる。いずれかの形態のニコチンおよび緩衝剤または複数の緩衝剤は、本発明に従いチューインガム集団に組み込まれる場合、チューインガムベースの非常に様々なチューインガム組成物および量を使用することができる。異なるチューインガム製品は、ニコチンレベル、ニコチン分布および他の添加剤に関して、消費者の好みおよび使用の目的に依存して構成できる。
【0069】
有効成分
本発明によるチューインガム製品は、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤を含む。特定の具体例において、ニコチンは、少なくとも1つのコーティング層の一部または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つである。
【0070】
依然としてさらなる具体例において、ニコチンは、チューインガム・コアの一部分またはチューインガム・コアの少なくとも1つである。
【0071】
依然としてまたさらなる具体例において、ニコチンは、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つおよびチューインガム・コアまたはチューインガム・コアの少なくとも1つであり、喫煙および/またはタバコの使用に対する衝動の急速な快感または低減を得るように対象の口腔内にニコチンの速い経粘膜の取込みを与える。また、それにより、ニコチンの全身的維持レベルを達成できる。
【0072】
ニコチンは、口腔内の唾液に薬剤の放出および、さらに、口腔内の唾液から対象の全身循環へのニコチンの実質的な取込みを促すように唾液可溶性形態で存在するであろう。
【0073】
好ましい具体例において、いずれかの形態のニコチンは、ニコチン塩、ニコチンの遊離塩基形態、ニコチン陽イオン交換体のごときニコチン誘導体、ニコチン包含複合体またはいずれかの非共有結合するニコチン;ゼオライトに結合したニコチン;セルロースまたはデンプンのミクロスフェアに結合したニコチン;およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0074】
依然として、さらに、その包含複合体は、β−シクロデキストリンのごときシクロデキストリンであり得る。
【0075】
さらにまた、その陽イオン交換体は、ポリアクリレートであり得る。
さらにまた、そのニコチン塩は、酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸またはマレイン酸塩であり得る。
【0076】
本発明により、口腔内のいずれかの組織または粘膜を介するニコチンの取込み、すなわち、吸収速度論は、ニコチン取込みについての公知のチューインガム製品により得られた取込みに関連して改善される。
【0077】
ニコチンは、刺激剤として作用して、例えば、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の急速な低下を与えることができる。
【0078】
ニコチンを用いて、合成ニコチンならびにNicotiana種単独のごとき、タバコ植物からのニコチン抽出物、もしくはその一部分または組み合わせを含めた、その塩基性形態でのニコチン、3−(1−メチル−2−ピロリジニル)−ピリジンまたは医薬上許容される塩を含むことを意図する。
【0079】
最も好ましい具体例は、それ自体または吸収剤に吸着させたいずれかの遊離塩基形態または水溶性の医薬上許容される塩、あるいは前記の陽イオン交換体または混合物との複合体として、シクロデキストリン複合体、例えば、β−シクロデキストリンのごとき包含複合体としてニコチンを組み込むが、また、いずれの他の適当な医薬上許容される形態を使用してもよい。
【0080】
多数のニコチン塩が知られており、用いることができ、例えば、その塩を、好ましくは、酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸またはマレイン酸塩および/または塩酸塩のごとく、表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
また、本発明による製品は、ニコチン模倣剤を含むことができる。かかる剤は、刺激性の辛味(acrid burning taste)を持ついずれかの適当な剤であり得る。刺激性の辛味を持つニコチン模倣剤は、カプサイシン、ピペリンおよびジンゲロンである。
【0083】
1以上の添加剤を複数のコーティングまたはコアに添加できる。添加剤は、チューインガムへの他の添加剤の項でさらに記載される。
【0084】
コーティングされたチューインガム中のニコチンの量および分布
いずれかの形態のニコチンは、本発明により処方され、効果を達成する用量で対象に供される。その効果は、喫煙なくして喫煙の満足感を供することができる。投与されたいずれかの形態のニコチンのもう一つの効果は、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減にあり得る。
【0085】
また、その効果は、該衝動の低減および喫煙なくして喫煙の満足感の提供の組合せであり得る。ニコチンの量は、対象におけるかかる効果を供するのに十分であるべきである。この量は、もちろん、人ごとに変化する。
【0086】
本発明によるチューインガム製品の具体例は、いずれかの形態のニコチンが、一部分をコーティングされたチューインガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.05〜10mgの量で存在する具体例を含む。これは、異なる具体例において、一部分をコーティングされたチューインガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.05、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10mgを含む。
【0087】
依然として好ましい具体例は、いずれかの形態のニコチンが、一部分をコーティングされたチューインガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.5〜6mgの量で存在する具体例を含む。
【0088】
より好ましい具体例でさえ、一部分をコーティングされたチューインガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.5〜4mgの量のいずれかの形態のニコチンを含む。
【0089】
本発明のある種の具体例により、いずれかの形態のニコチンは、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つである。
【0090】
いずれかの形態のニコチンは、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおける遊離塩基形態として計算される0〜10mgの量にあり得る。依然としてさらなる具体例は、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおける0.2〜6mgの量、あるいはより好ましくは、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおける0.5〜5mgの量でニコチンを含む。
【0091】
いずれかの形態のニコチンは、異なる具体例におけるコアおよび/または異なるコーティング層に分布できる。コーティングされたチューインガムの全体にわたるニコチンの異なる分布は、異なる方法での対象へのニコチンの投与を含む。かくして、これは、対象の喫煙またはタバコの使用に対する衝動に依存して、異なる対象の異なる要求に従って、コーティングされたチューインガムの組成物を調整するいくつかの可能性を提供する。
【0092】
ニコチンの放出および取込み
現行のニコチン・チューインガムは、喫煙に比較してゆっくりした放出およびゆっくりした取込みを供する。ニコチンのそのゆっくりした取込みは、tmax、すなわち、ニコチンが投与後約30分にて単回用量後の静脈血の血漿中で測定されるその最大レベルを有する時点を供する。そのtmaxは、ニコチンが血中に検出できない数分のラグ期間により最初は先行する。次いで、その血漿中レベルは、tmaxが達成されるまで徐々に増加する。
【0093】
その初期のラグ期間後の喫煙の満足感あるいは喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減についての時点は別々であるが、tmaxで一致するとみなされる場合の約30分後に、存在するチューインガムにおいて徐々に達成できる。本発明により、かかる満足感は、コーティング中のニコチンの急速な最初のバースト用量に続いての緩衝されたコーティングのための口腔内の急速な一時的な取込みのためにより短時間後に達成できる。
【0094】
本発明によるコーティングされたチューインガム中のニコチンの放出は、少なくとも1つの工程において起こる。
【0095】
I)ニコチンが、好ましい具体例におけるごとく、前記に規定された少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおいて、異なる具体例により前記の量のごとき規定された量にあるならば、ニコチンの放出は、コーティングされたチューインガムのコーティングが溶融、分解または溶解し、該製品中の噛むことができるガム・コアを曝露できる場合に生じる。そのニコチンおよびその形態は、コーティングが溶融m分解または溶解を可能とする場合の期間中コーティングから口腔内の唾液中に放出される。
【0096】
少なくとも1つのコーティング層が溶融、分解または溶解するのを可能とする場合に、噛むことができるガムは曝露される。次いで、いずれかの形態のニコチンは、対象にさらに放出できる。
【0097】
II)噛むことができるガムからのいずれかの形態のニコチンが放出制御により、例えば、ガム・コアを咀嚼することにより、放出され、それにより、噛むことがガム・コアからの放出されたニコチンの量を制御する。ニコチンの放出は、それによって、ある期間にわたり持続する。この期間は、異なる具体例において、約10、20、30、40、50または60分間であり得る。
【0098】
コーティング中、および所望により(複数の)コア中の1以上の緩衝剤の溶解は、口腔内の液体のpHの最適化された調整を提供する。
【0099】
放出は、コーティング層および/またはガム・コアへの所与の量でのいずれかの形態のニコチンの組込みにより変化し得る。
【0100】
適当な陽イオン交換体を表2に与え、それは、さらに、参考文献として本明細書に含まれる米国第3845217号に開示されている。表2のRohm & HaasからのAmberliteコレクションのごときポリアクリレートのニコチン陽イオン交換体が好ましい。異なる塩の例を表1に与える。
【0101】
【表2】

【0102】
チューインガム製品の異なる部分から放出されたニコチンの量が当該技術分野において知られている価値があるだけではなく、本発明により、1以上の緩衝剤が口腔内の液体のpH調整の条件を説明するニコチンの対象の口腔内から全身循環への特定の経粘膜取込みもまた価値がある。本発明による取込みは、さらに、後記の方法の項において言及される。
【0103】
チューインガムへの他の添加剤
他の添加剤は、チューインガム中のチューインガム・コアおよび/またはコーティング層に所望により添加できる。
【0104】
所望の添加剤は、保存剤、例えば、抗酸化剤のごとき安定剤;軟化剤、増粘剤、乳化剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、香料、芳香剤、エンハンサー、着色剤、ビタミン、ミネラル、フッ素および歯のホワイトニング剤およびそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1以上の添加剤を含む。本発明により、かかる添加剤の少なくとも1つは、所望により、製品に添加される。
【0105】
エンハンサーは、口腔からの経粘膜取込みを改善、すなわち、増加させるために本質的に添加される。
【0106】
甘味剤は、味を改善するために本質的に添加される。
【0107】
甘味剤は、1以上の合成または天然の糖、すなわち、甘味剤としての使用に適当ないずれかの形態の炭水化物、ならびに、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、例えば、NutraSweet、アセスルファムKまたはアセスルファム、アセスルファムカリウム、タウマチン、グリシルリジン、スクロース、ジヒドロカルコン、アリテーム(alitame)、ミラクリン、モネリン、ステビオサイドのごときいわゆる人工甘味料を含む。
【0108】
適当な甘味剤は、ソルビトール、キシリトールのごとき糖アルコール、サトウキビおよび甜菜(スクロース)から抽出された糖、デキストロース(いわゆるグルコース)、フルクトース(レーブロース(leavulose)ともいう)、およびラクトース(乳糖ともいう)を含めた単糖;ソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール、マルチトールシロップ(または水素化デンプン加水分解物)、イソマルト、ラクチトール;デキストロース、マルトースならびにある範囲の複合糖の混合物を含有するグルコースシロップ、例えば、デンプン加水分解物、転化糖シロップ、例えば、デキストロースおよびフルクトースの混合物を含有する転化酵素(スクラーゼンまたはサッカラーゼともいう)により転化されたスクロース、特定のレーブロース、デキストロース、マルトース、ラクチトール、スクロース、樹脂、デキストリンおよび高糖(higher sugars)の混合物を含有する糖密および蜂蜜のごとき高糖含量シロップを含めた糖の混合物;および麦芽または麦芽抽出物よりなる群から選択できる。
【0109】
その香料および芳香添加剤は、1以上の合成または天然の矯味剤または芳香剤を含み得る。
【0110】
香料および芳香剤は、アルコール、エステル、アルデヒドおよびラクトンの混合物を含む細断した花、葉、皮またはドロドロにした全フルーツの蒸留、溶媒抽出または冷却圧出を含めたエッセンシャルオイル;エッセンシャルオイルの希釈溶液または、果物、例えば、イチゴ、ラズベリーおよびクロフサスグリの天然の香りに適合するようにブレンドされた合成化学薬品の混合物のいずれかを含むエッセンス;醸造物および蒸留酒の人工および天然の香り、例えば、コニャック、ウイスキー、ラム酒、ジン、シェリー、ポートおよびワイン;タバコ、コーヒー、茶、ココアおよびミント;レモン、オレンジおよびライムのごとき洗浄され洗い落とされた果物から出したジュースを含めたフルーツジュース;スペアミント、ペッパーミント、冬緑油、シナモン、カコエ(cacoe)/ココア、バニラ、甘草、メントール、ユーカリ油、アニスのナッツ(例えば、ピーナッツ、ココナッツ、ハシバミの実、クリ、クルミ、コーラナッツ)、アーモンド、レーズン;ニコチンのレベルには有意には寄与しない量での、タバコ植物の一部、例えば、Nicotiana種を含むパウダー、粉末または植物物質およびショウガから選択できる。
【0111】
着色添加剤は、食品添加剤として承認されている色素から選択できる。
【0112】
安定化添加剤は、ビタミンE、すなわち、トコフェロール、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸、エデト酸塩を含めた抗酸化剤;およびクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸およびソルビン酸を含めた保存剤よりなる群から選択できる。好ましい具体例は、安定化剤として抗酸化剤、より好ましくは、抗酸化剤ビタミンEおよび/またはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む。
【0113】
対象へのいずれかの形態のニコチンの送達方法
本発明による対象へのいずれかの形態のニコチンの送達方法は、
a)対象の口腔内へ本発明によるいずれかに記載のいずれかの形態のニコチンを含有するコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで
b)そのコーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、口腔内の唾液中に放出され、対象の血液血漿中に吸収されるのを可能とする
工程を含む。
【0114】
本発明による口腔内のニコチンの経粘膜取込みは、コーティングにおいて緩衝されない現在知られているチューインガムより急速である。1つの具体例は、約5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる。
【0115】
さらに1つの具体例において、いずれかの形態の該ニコチンは吸収され、約3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる。
【0116】
いずれかの形態のニコチンの送達方法は、さらに、
c)ある期間にわたる持続性の方法にて対象にいずれかの形態のニコチンを投与する
工程を含み得る。
【0117】
かかる期間は、少なくとも10、20、30、40、50または60分間であり得る。
【0118】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得る方法
本発明による喫煙またはタバコ含有物質の使用に対する衝動の低減を得るおよび/または喫煙なくして喫煙の満足感を供する方法は、
a)少なくとも部分的にタバコ含有物質を請求項1〜20のいずれかに記載のコーティングされたチューインガムで置き換え、
b)対象の口腔内へ請求項1〜20のいずれかに記載のいずれかの形態のニコチンを含有するコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで
c)そのコーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、口腔内の唾液中に放出され、対象により吸収されるのを可能とする
工程を含む。
【0119】
1つの具体例において、いずれかの形態の該ニコチンは、約5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる。
【0120】
さらなる具体例において、少なくとも1つのコーティング層から放出された該ニコチンの吸収は、約3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる。
【0121】
さらにもう一つの具体例において、本発明による方法は、ある期間にわたる持続性の方法にて対象にいずれかの形態のニコチンを投与する工程をさらに含む。
【0122】
その期間は、少なくとも10、20、30、40、50または60分間であり得る。
【0123】
対象にニコチンを送達する方法のさらなる具体例は、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るための少なくとも1つの他の方法を組み合わせる工程を含み得る。
【0124】
タバコ含有物質は、例えば、喫煙する、嗅ぐ、または噛むために用いる物質であり得、巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、パイプタバコおよび噛みタバコも含むことができる。
【0125】
コーティングされたチューインガム製品は、さらに後記されるごとく、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の急速なおよび/または持続性のおよび/または完全な低減を得るおよび/または喫煙なくして喫煙の満足感を供するのに用いることができる。
【0126】
最初の救済は、喫煙なくして急速な喫煙の満足感を対象に供する。かかる満足は、他の公知のニコチン・チューインガム製品より急速に渇望を低減させるであろう。
【0127】
急速な渇望の救済は、ニコチンの用量が、具体例におけるコーティングされたチューインガムの少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つから放出され、ここに、ニコチンは、コーティングおよび所望により(複数の)コア中の1以上の緩衝剤の存在下でコーティング層内に存在する場合に得られる。これは、ある時間後の血液血漿中ニコチンレベルにおける最初のピーク、最大値のtmaxを誘導するであろう口腔内の初期の急速なニコチンの経粘膜取込みを対象に供する。その結果は、対象が、満足の感情または感覚を得、初期の渇望は消失するであろうことである。
【0128】
1つの具体例は、本発明によるコーティングされたチューインガムの使用により約5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを達成することによって喫煙またはタバコの使用に対する衝動を低減する。
【0129】
さらに1つの具体例は、いずれかの形態の該ニコチンが、本発明によるコーティングされたチューインガムの使用後に少なくとも1つのコーティング層から放出される約3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じて、喫煙またはタバコの使用に対する衝動を低減させる。
【0130】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動の持続性の低減
依然として、対象の満足の感情または感覚を継続するために、および渇望が戻るのを回避するために、持続性の渇望の救済は、初期の渇望救済後に得ることができる。持続性の渇望救済は、ニコチンの持続性の取込みを可能とするコーティングされたチューインガムのガム部分、またはコアを噛むことにより得られる。対象の持続性の渇望救済および/または満足の感情または感覚は、対象が感情のこの感覚を達成するのに十分に高レベルのニコチンの血液血漿中レベルを維持する限りは継続される。
【0131】
対象は、放出制御、例えば、個人が噛むことにより生じる、例えば、ニコチンのゆっくりした放出を、例えば、10、20、30、40、50、または60分間またはそれより長いごとき期間にわたりチューインガムのガム部分を噛むことによりこれを達成できる。
【0132】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動の停止
いくらかの使用者では、いくつかの理由、例えば、健康、経済的、社会的または行動的なもののために、完全にニコチンの使用を終了させることが目的となり得る。これは、いずれかの形態のニコチンの量を経時的に徐々にさらに低下させることにより達成できる。本発明の特定の具体例において、渇望救済を得るための前記の方法は、さらに、タバコ渇望の完全な救済を達成するように、前記の合計のコーティングされたチューインガム製品中のニコチン量を経時的に徐々に低下させる工程をさらに含み得る。この方法の結果、経時的に徐々に引き離すプロセスが生じる。
【0133】
異なるタイプの喫煙者は、ニコチンの異なる血漿中レベルにて渇望の低減の感覚に達する。これは、もちろん、本発明によるコーティングされたチューインガムの個々のタイプの投与プログラムに影響する。異なるタイプの喫煙者は、禁断症状のレベルを一定に超えるニコチンの血漿中レベルを渇望する、例えば、ピーク探求者(seeker)または喫煙者を含む。
【0134】
1つの戦略は、コーティングされたチューインガムの投与の頻度を低下させることであろう。他の具体例は、該ガム中のニコチンの用量を変更するならびにこれらの2種を組み合わせることを含む。また、その戦略は、いずれかの形態のニコチンが実質的にないコーティングされたチューインガムを含み得る。かかるガムは、渇望が低いかまたは実質的に不存在である場合に治療期間の終わりに投与できる。
【0135】
ニコチンを送達し、渇望救済を得るシステム
本発明によるいずれかの形態のニコチンを対象に送達するシステムが存在する。かかるシステムは、本発明によるコーティングされたチューインガムおよび、喫煙に対する衝動の低減を得るための少なくとも1つの他の手段を含む。
【0136】
また、本発明によるもう一つのシステムは、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るおよび/または喫煙なくして喫煙の満足感を供するためのシステムであり得る。かかるシステムは、本発明によるコーティングされたチューインガム製品および喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るための少なくとも1つの他の方法を含む。また、他の方法は、口腔内噴霧、鼻内噴霧、経皮パッチ、吸入デバイス、ロゼンジ、錠剤および非経口方法、皮下方法、静脈内方法、経直腸方法、経膣方法および経粘膜方法を介する投与よりなる群から選択される付随または同時手段;あるいはタバコの使用であり得る。
【0137】
特定の具体例において、少なくとも他の方法は、ニコチンの投与を含む。
【0138】
コーティングされたチューインガムの使用
本発明によるコーティングされたチューインガムの使用は、喫煙またはタバコの使用のは急速なおよび/または持続性のおよび/または完全な低減を得るか、あるいは前記のごとく喫煙なくして喫煙の満足感を供するための得るためのものである。
【0139】
ニコチンの用量は、いずれかの形態のニコチンの効果で、対象に個々の感覚的認識および満足を与えるように選定する。また、コーティングされたチューインガム製品の使用は、本発明による単独の使用または薬物乱用の分野において知られている他の手段もしくは方法との組合せであり得る。特に、本発明は、前記の項中の方法において前記の他の手段と組み合わせて用いることができる。
【0140】
その使用は、例えば、約5〜20分後に静脈血中でニコチンのtmaxを達成して得られる喫煙またはタバコの使用に対する急速な低下を与える。
【0141】
特定の具体例において、本発明によるコーティングされたチューインガムの使用は、いずれかの形態の該ニコチンが少なくとも1つのコーティング層から放出される約3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを達成することにより喫煙またはタバコの使用の衝動を低減させるであろう。
【0142】
また、本発明に従う、本発明によるコーティングされたチューインガム製品の使用は、いずれかの形態のニコチンを対象に送達するために開示される。
【0143】
1つの具体例において、いずれかの形態のニコチンの送達は、約5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じさせる。
【0144】
さらにもう一つの具体例において、いずれかの形態のニコチンの送達は、少なくとも1つのコーティング層から放出されたいずれかの形態の該ニコチンが吸収される約3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じさせる。
【0145】
コーティングされたチューインガムの製造
本発明によるコーティングされたチューインガム製品は、含まれるべきコアの合計数およびコーティングされた層の合計数に依存していくつかの製造工程において維持できる。
【0146】
本発明によるコーティングされたチューインガムの製造方法が開示される。
その方法は、
a)少なくとも1つのチューインガム・コアを供し、および/または少なくとも1つのニコチン含有チューインガム・コアを供し、
b)いずれかの形態のニコチンを供し、
c)緩衝された少なくとも1つのコーティングを供し、
d)いずれかの形態のニコチンを少なくとも1つのチューインガム・コアおよび/または少なくとも1つのコーティングに添加し、次いで、
e)少なくとも1つのチューインガム・コアを、少なくとも1つの緩衝されたコーティング層でコーティングする
の工程を含む。
【0147】
その方法は、特定の具体例において、さらに、
f)少なくとも1つのチューインガム・コアを緩衝し、および/または
g)緩衝されていない少なくとも1つのコーティング層を供し、次いで、所望により、
h)いずれかの形態のニコチンを、緩衝されていない少なくとも1つの該コーティング層に添加し、次いで、所望により、
i)好ましくは、水分バリアーにより分離された別々の層における、コーティング中のニコチンおよびコーティング中の緩衝剤を供する
を含ことができる。
【0148】
1つの具体例において、ニコチンは、ニコチン塩、ニコチンの遊離塩基形態、ニコチン陽イオン交換体のごときニコチン誘導体、ニコチン包含複合体またはいずれかの非共有結合するニコチン;ゼオライトに結合したニコチン;セルロースまたはデンプンのミクロスフェアに結合したニコチン;およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0149】
少なくとも1つのコーティング層は、いくらかの具体例において、カリウムもしくはナトリウムのごときアルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩またはセスキ炭酸塩のごとき緩衝剤、グリシン酸ナトリウム、アルカリ金属のリン酸塩、グリセロリン酸ナトリウムまたはグリセロリン酸カリウム、クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウムおよびそれらの混合物よりなる群から選択される使用により緩衝でき、ここに、少なくとも1つのコーティング層は、ガムの投与に際して、唾液のpHを0.3〜4のpH単位だけ増加させるように緩衝される。その緩衝は一時的であり得る。
【0150】
依然としてさらなる具体例において、少なくとも1つのコーティング層は、ガムの投与に際して、唾液のpHを0.5〜2のpH単位だけ増加させるように緩衝される。そのコア/ペレット組成物は、少なくとも1つの形態のニコチン、例えば、ニコチン−イオン交換複合体または遊離塩基または塩としてのニコチンを含むチューインガムベースの混合、圧延および切込線を入れ(Scoring)または圧縮により簡単に形成できる。ガムベースを除いていずれかの固体成分を添加する前に、良好な分布を保証するために固体成分を研磨およびサイズ処理することが望ましい。その混合は、用いたガム・コアの粘度に依存して適当に上昇させた温度にて好ましくは行う。温度の増大は、ガムの粘度を低下させ、それにより、ニコチンおよび他の添加剤が、チューインガムのコア/ペレット内に均一でかつ詳細に分布できる。
【0151】
実施例5は、ガム・コアの混合、圧延および切込線を入れまたは圧縮を記載する。原理的には、この手順は、少なくとも10mg単位の製剤までコーティングされたチューインガム製品につき適用できる。
【0152】
混合、圧延および切込線を入れることは、通常の手順により行われる。ダブル・シグマブレードミキサーをガムベースと製剤の他の成分とを混合するために使用する。ガムベースはミキサー内で柔らかくなる。(加熱マントルからの)熱および混合によって、ガムベースは塑性体となる。従って、使用される場合、柔らかくなったベースは、液体の成分、例えば、風味、液体、ソルビトールおよびグリセロール、塩基形態のニコチン、および固体物質、例えば、粉末混合物として、液体の形態以外のいずれかの形態のニコチン、緩衝剤、バルク甘味剤、着色剤と混合される。この温かい塊は、トラック上のトレイ上で積み重ねられた塊の形態でミキサーから送り出され、次いで、次の工程が開始されるまで条件区域(conditioned erea)中で貯蔵される。これは、ガムを冷却するためである。
【0153】
この後、圧延および切込線入れ(scoring)を行う。そのガムは、厚いシートで押出され、それは、正確な厚さまで複数のセットのカレンダーロールにより圧延する。通常、2セットの切込線入れロールは、正確なサイズにガムを切断する。
【0154】
次いで、そのシートを、シートが冷却して、それらを壊すのに十分に脆弱とするトレイ上の条件区域に移す。次いで、その条件付けされたガム・シートを、切込線に沿って別々の片にシートを切断する圧延ドラムである破砕機を通過させる。
【0155】
選別の段階では、歪んだガムは取り除いて選別される。容認されたガムは、金属探知器を通過させる。
【0156】
圧縮によって製造されたチューインガム、すなわち、錠剤化した(tabletted)ガムは、特定のガムベースに作成される。かかるガムベースは、口中で反芻の急速な水和を与える。造粒のために高速度ミキサーを用いて、混合物の正確に寸法付けされた粒子を得ることができる。次いで、この混合物は打錠機で圧縮される。
【0157】
選別の段階では、歪んだガムは取り除いて選別される。容認されたガムは、金属探知器を通過させる。
【0158】
開示された方法の1つの具体例において、前記の工程a)における少なくとも1つのチューインガム・コアの準備は、
a1)ガム・コア生地(dough)を供し、
a2)ガム生地を混合、圧延および切込線を入れ;成形する;または押出す
工程をさらに含む。
【0159】
さらにもう一つの具体例において、工程a)におけるガム・コアの準備は、成分の直接的圧縮により得られる。
【0160】
便利なことには、本発明による添加剤の組成物、例えば、緩衝システムは、緩衝剤を処方するための当該技術分野における公知の手順により同時に作成される。組み込まれるその緩衝システムの物理的特性に依存して、組成物の液体部分または固体部分のいずれかを(複数の)緩衝システムに添加することが便利であり得る。細かな粉末として利用可能な緩衝用システムの場合において、もちろん、他の添加剤の固体の粉末部分をそれらの粉末に添加するのが最も便利であり得る。
【0161】
添加剤を含むガム塊を、ガム・コア/ペレットのコーティングの項に従い、冷却し、圧延し、切込線を入れ、十分に硬化させ、次いで、コーティングする。
【0162】
本発明に開示された方法により、少なくとも1つのチューインガム・コアの、少なくとも1つの緩衝されたコーティングの少なくとも1つの層でのコーティングが、
a)フィルム・コーティング、および/または
b)プレス・コーティング、および/または
c)糖衣、および/または
d)溶融コーティング
の工程を含むいくらかの具体例が開示される。
【0163】
次いで、その製品は分析され、さらに包装される。
【0164】
治療および処置のための使用
本発明によるコーティングされたチューインガム製品は、治療に用いることができる。該治療は、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎および禁煙後の体重制御よりなる群から選択される疾患の処置であり得る。
【0165】
また、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群および潰瘍性大腸炎よりなる群から選択される疾患の処置のための本発明によるニコチン含有チューインガム製品の製造用のチューインガム製品の使用が開示される。
【0166】
ニコチンの分析
本発明によるニコチンの取込みおよび効果の分析は、当該技術分野に知られている標準的な手順により、例えば、対象の血漿中のニコチンまたはその代謝物の決定のための生物学的分析(bioanaly)を用いて行うことができる。
【実施例】
【0167】
後記の実施例は、例示的でかつ非限定なものである。
【0168】
実施例1 緩衝された糖衣
この実施例は、本発明を限定することなくして、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在する糖衣を記載する。
【0169】
目的
本実施例の目的は、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在する糖衣されたチューインガムを供することである。そのニコチンは、各々、1、2、4または5mgの量である。
【0170】
糖衣の材料
A.ニコチン遊離塩基
【0171】
【表3】

【0172】
B.酒石酸水素ニコチン
【0173】
【表4】

【0174】
結果および考察
他の量のニコチンが可能である。
【0175】
実施例2 緩衝されたフィルム・コーティング
この実施例は、本発明を限定することなくして、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在するフィルム・コーティングされたチューインガムを記載する。
【0176】
目的
本実施例の目的は、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在するフィルム・コーティングされたチューインガムを供することである。そのニコチンは、各々、1、2、4または5mgの量である。
【0177】
フィルム・コーティングの材料
A.NHT
【0178】
【表5】

【0179】
B.ニコチン遊離塩基
【0180】
【表6】

【0181】
実施例3 緩衝されたプレス・コーティング
この実施例は、本発明を限定することなくして、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在するプレス・コーティングされたチューインガムを記載する。
【0182】
目的
本実施例の目的は、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在するプレス・コーティングされたチューインガムを供することである。そのニコチンは、各々、1、2、4または5mgの量である。
【0183】
プレス・コーティングの材料
A.NHT
【0184】
【表7】

【0185】
B.NRCまたはNCC
【0186】
【表8】

【0187】
実施例4 緩衝された溶融コーティング
この実施例は、本発明を限定することなくして、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在する溶融コーティングされたチューインガムを記載する。
【0188】
目的
本実施例の目的は、コーティングが緩衝され、ニコチンがコーティング中に存在する溶融コーティングされたチューインガムを供することである。そのニコチンは、各々、1、2、4または5mgの量である。
【0189】
溶融コーティングの材料
A.NHT
【0190】
【表9】

【0191】
B.ニコチン遊離塩基
【0192】
【表10】

【0193】
実施例5 コアの製造
この実施例は、本発明を限定することなくして、本発明による異なるコアの製造を記載する。
【0194】
目的
本実施例の目的は、本発明によるチューインガム製品に適当なコアを供することである。そのニコチンは、遊離塩基(NFB)、ニコチンβ−シクロデキストリン複合体(NCC)、酒石酸水素ニコチン(NHT)またはニコチン樹脂複合体(NRC)として組み込まれる。各製剤単位、すなわち、タブレットコア当り、各々、1、2、4または5mgの量である。
【0195】
原理
そのコアは、混合、圧延および切込線入れの工程、または圧縮プロセスにより形成される。
【0196】
コアの組成
A.錠剤圧縮プロセスによる製造
【0197】
【表11】

【0198】
B.混合 圧延および切込線入れによる製造
【0199】
【表12】

【0200】
C.混合 圧延および切込線入れによる製造
【0201】
【表13】

【0202】
D.混合 圧延および切込線入れによる製造
【0203】
【表14】

【0204】
E.混合 圧延および切込線入れによる製造
【0205】
【表15】

【0206】
手順
1)混合、圧延および切込線入れ
混合、圧延および切込線入れは、通常の手順により成す。ダブル・ブレードミキサーを用いて、ガムベースと処方の他の成分とを混合する。そのガムベースは、ミキサーで柔らかくする。(加熱ジャケットからの)熱および混合によって、ガムベースは塑性体となる。従って、使用される場合、柔らかくなったベースは、液体の成分、例えば、風味、液体、ソルビトールおよびグリセロール、および固体物質、例えば、粉末混合物として、いずれかの形態のニコチン、緩衝剤、バルク甘味剤、着色剤)と混合される。この温かい塊は、トラック上のトレイ上で積み重ねられた塊の形態でミキサーから送り出され、次いで、次の工程が開始されるまで条件区域中で貯蔵される。これは、ガムを冷却するためである。
【0207】
この後、圧延および切込線入れを行う。そのガムは、厚いシートで押し出され、それは、正確な厚さまで複数のセットのカレンダーロールにより圧延する。通常、2セットの切込線入れロールは、正確なサイズにガムを切断する。
【0208】
次いで、そのシートを、それらを壊すのに十分に脆弱とするためにシートを冷却するトレイ上の条件区域に移す。次いで、その条件付けされたガム・シートを、切込線に沿って別々の片にシートを切断する圧延ドラムである破砕機を通過させる。
【0209】
選別の段階では、歪んだガムは取り除いて選別される。容認されたガムは、金属探知器を通過させる。
II)圧縮
圧縮(通常、乾燥法である)によって製造されたチューインガム、すなわち、錠剤化した(tabletted)ガムは、特定のガムベースに作成される。造粒のために高速度ミキサーを用いて、混合物の正確に寸法付けされた粒子を得ることができる。次いで、この混合物は打錠機で圧縮される。
【0210】
選別の段階では、歪んだガムは取り除いて選別される。容認されたガムは、金属探知器を通過させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのチューインガム・コア、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、および少なくとも1つのコーティング層を含み、
いずれかの形態のニコチンが、ニコチン塩、ニコチンの遊離塩基形態、ニコチン誘導体、ニコチン包含複合体またはいずれかの非共有結合するニコチン;ゼオライトに結合したニコチン;セルロースまたはデンプンのミクロスフェアに結合したニコチン;およびそれらの混合物よりなる群から選択され、
ニコチン模倣剤が、カプサイシン、ピペリンおよびジンゲロンのいずれか、またはいずれかのそれらの混合物から選定され、
ニコチン包含複合体が、シクロデキストリン複合体であり、
(i) いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、チューインガム・コアの一部分またはチューインガム・コアの少なくとも1つであり、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つであり、少なくとも1つのチューインガム・コアは緩衝されず、少なくとも1つのコーティング層は緩衝され、または
(ii) いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、チューインガム・コアの一部分でもチューインガム・コアの少なくとも1つでもなく、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つであり、少なくとも1つのチューインガム・コアは緩衝され、少なくとも1つのコーティング層は緩衝され、または
(iii) いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、チューインガム・コアの一部分でもチューインガム・コアの少なくとも1つでもなく、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、少なくとも1つのコーティング層の一部分または少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つであり、少なくとも1つのチューインガム・コアは緩衝されず、少なくとも1つのコーティング層は緩衝され、または
(iv) いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、チューインガム・コアの一部分またはチューインガム・コアの少なくとも1つであり、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、少なくとも1つのコーティング層の一部分でも少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つでもなく、少なくとも1つのチューインガム・コアは緩衝され、少なくとも1つのコーティング層は緩衝され、または
(v) いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、チューインガム・コアの一部分またはチューインガム・コアの少なくとも1つであり、いずれかの形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤は、少なくとも1つのコーティング層の一部分でも少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つでもなく、少なくとも1つのチューインガム・コアは緩衝されず、少なくとも1つのコーティング層は緩衝されることを特徴とするコーティングされたチューインガム製品。
【請求項2】
さらに、1以上の他の添加剤を含む請求項1に記載の製品。
【請求項3】
少なくとも1つのコーティング層が、対象へのガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.3〜4のpH単位だけ増加させるように緩衝される請求項1または2記載の製品。
【請求項4】
少なくとも1つのコーティング層が、対象へのガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.5〜2のpH単位だけ増加させるように緩衝される請求項3記載の製品。
【請求項5】
少なくとも1つのコーティング層が、アルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩またはクエン酸塩およびそれらの混合物よりなる群から選択される緩衝剤の使用により緩衝される請求項1〜4のいずれか1記載の製品。
【請求項6】
炭酸塩が、単炭酸塩、炭酸水素塩またはセスキ炭酸塩である請求項5に記載の製品。
【請求項7】
アルカリ金属が、カリウムもしくはナトリウムである請求項5または6に記載の製品。
【請求項8】
緩衝剤が、マイクロカプセル化される請求項5〜7のいずれか1記載の製品。
【請求項9】
少なくとも1つのチューインガム・コアの緩衝が、請求項5の選択による緩衝剤の使用により得られる請求項5〜8のいずれか1記載の製品。
【請求項10】
ニコチン誘導体が、ニコチン陽イオン交換体である請求項1〜9のいずれか1記載の製品。
【請求項11】
ニコチン包含複合体が、β−シクロデキストリンである請求項10に記載の製品。
【請求項12】
ニコチン陽イオン交換体がポリアクリレート陽イオン交換体である請求項10に記載の製品。
【請求項13】
ニコチン塩が、酒石酸塩、クエン酸塩あるいはリンゴ酸塩で形成された塩である請求項10に記載の製品。
【請求項14】
いずれかの形態のニコチンが、一部分がコーティングされたガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.05〜10mgの量で存在する請求項1〜13のいずれか1記載の製品。
【請求項15】
いずれかの形態のニコチンが、一部分がコーティングされたガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.5〜6mgの量で存在する請求項14記載の製品。
【請求項16】
いずれかの形態のニコチンが、一部分がコーティングされたガム製品当りの遊離塩基形態のニコチンとして計算される2〜5mgの量で存在する請求項15記載の製品。
【請求項17】
いずれかの形態のニコチンが、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおいて遊離塩基形態のニコチンとして計算される0〜10mgの量にある請求項1〜16のいずれか1記載の製品。
【請求項18】
いずれかの形態のニコチンが、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおいて遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.2〜6mgの量にある請求項17記載の製品。
【請求項19】
いずれかの形態のニコチンが、少なくとも1つのコーティング層の少なくとも1つにおいて遊離塩基形態のニコチンとして計算される0.5〜5mgの量にある請求項18記載の製品。
【請求項20】
少なくとも1以上の他の添加剤が、安定剤;軟化剤、増粘剤、乳化剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、香料、芳香剤、エンハンサー、着色剤、ビタミン、ミネラル、およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項2に記載の製品。
【請求項21】
安定化剤が保存剤である請求項20記載の製品。
【請求項22】
保存剤が抗酸化剤である請求項21記載の製品。
【請求項23】
コーティングにおいて、ニコチンおよび緩衝剤が、別々の層に保たれることにより相互に分離される請求項1〜22のいずれか1記載の製品。
【請求項24】
該層が、水分バリアーにより分離され、該水分バリアーは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリメタクリレートまたはそれらの混合物から選定された物質を含む請求項23記載の製品。
【請求項25】
水分バリアーが、1以上の可塑剤および/または疎水性脂質ベースのフィルムと組み合わせられる請求項24記載の製品。
【請求項26】
疎水性脂質ベースのフィルムが、ステアリン酸を含むフィルムである請求項25記載の製品。
【請求項27】
コーティングが、糖衣である請求項23〜26のいずれか1記載の製品。
【請求項28】
ニコチンが、酒石酸水素ニコチン(NHT)の形態にある請求項23〜27のいずれか1記載の製品。
【請求項29】
a)対象の口腔内へ請求項1〜28のいずれかに記載のいずれかの形態のニコチンを含有するコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで
b)そのコーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、口腔内の唾液中に放出され、対象の全身循環に吸収されるのを可能とする
ことを特徴とする、対象にいずれかの形態のニコチンを送達するための請求項1〜28のいずれか1記載の製品。
【請求項30】
いずれかの形態の該ニコチンが、5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項29記載の製品。
【請求項31】
少なくとも1つのコーティング層から放出されたいずれかの形態の該ニコチンが、3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項29記載の製品。
【請求項32】
さらに、c)ある期間にわたる持続性の方法にて対象にいずれかの形態のニコチンを投与することを含む請求項29〜31のいずれか1記載の製品。
【請求項33】
その期間が、少なくとも10、20、30、40、50または60分である請求項32記載の製品。
【請求項34】
a)少なくとも部分的にタバコ含有物質を請求項1〜30のいずれかに記載のコーティングされたチューインガムで置き換え、
b)対象の口腔内へ請求項1〜30のいずれかに記載のいずれかの形態のニコチンを含有するコーティングされたチューインガム製品を対象に投与し、次いで
c)そのコーティングされたチューインガム製品中のいずれかの形態のニコチンが、口腔内の唾液中に放出され、対象の全身循環に吸収されるのを可能とする
ことを特徴とする、喫煙またはさもなければタバコ含有物質の使用に対する衝動の低減を得るおよび/または喫煙なくして喫煙の満足感を供するための請求項1〜28のいずれか1記載の製品。
【請求項35】
いずれかの形態の該ニコチンが、5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項34記載の製品。
【請求項36】
少なくとも1つのコーティング層から放出されたいずれかの形態の該ニコチンが吸収される結果、3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項34〜35のいずれか1記載の製品。
【請求項37】
さらに、ある期間にわたる持続性の方法にて対象にいずれかの形態のニコチンを投与することを含む請求項34〜36のいずれか1記載の製品。
【請求項38】
その期間が、少なくとも10、20、30、40、50または60分である請求項37記載の製品。
【請求項39】
請求項1〜28のいずれかに記載のコーティングされたチューインガム製品および喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るための少なくとも1つの他の手段または方法を含み、少なくとも1つの他の手段または方法が、口腔内噴霧、鼻内噴霧、経皮パッチ、吸入デバイス、ロゼンジ、錠剤および非経口方法、皮下方法、静脈内方法、経直腸方法、経膣方法および経粘膜方法を介する投与よりなる群から選択される付随または同時手段または方法である対象にいずれかの形態のニコチンを送達するシステム。
【請求項40】
請求項1〜28のいずれかに記載のコーティングされたチューインガム製品および喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るための少なくとも1つの他の手段または方法を含む、喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減を得るためのおよび/または喫煙またはタバコの使用なくして喫煙の満足感を供し、ここに、少なくとも1つの他の手段または方法が、口腔内噴霧、鼻内噴霧、経皮パッチ、吸入デバイス、ロゼンジ、錠剤および非経口方法、皮下方法、静脈内方法、経直腸方法、経膣方法および経粘膜方法を介する投与よりなる群から選択される付随または同時手段または方法であるシステム。
【請求項41】
少なくとも他の手段または方法が、ニコチンの投与を含む請求項39または40記載のシステム。
【請求項42】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動の急速なおよび/または持続性のおよび/または完全な低減を得る、および/または喫煙なくして喫煙の満足感を供するための請求項1〜28のいずれか1記載の製品。
【請求項43】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動の低減が、5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを達成することにより低減する請求項42記載の製品。
【請求項44】
喫煙またはタバコの使用に対する衝動が、いずれかの形態の該ニコチンが少なくとも1つのコーティング層から放出される場合に、3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項42記載の製品。
【請求項45】
いずれかの形態のニコチンを対象に送達するための請求項1〜28のいずれか1記載の製品。
【請求項46】
いずれかの形態のニコチンの送達の結果、5〜20分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項45記載の製品。
【請求項47】
いずれかの形態のニコチンの送達の結果、少なくとも1つのコーティング層から放出されたいずれかの形態の該ニコチンが吸収された3〜15分後に対象の静脈血中でニコチンのtmaxを生じる請求項45記載の製品。
【請求項48】
請求項1〜28に記載のコーティングしたチューインガム製品の製造方法であって、
a)少なくとも1つのチューインガム・コアを供し、および/または少なくとも1つのニコチン含有チューインガム・コアを供し、
b)いずれかの形態のニコチンを供し、
c)緩衝された少なくとも1つのコーティングを供し、
d)いずれかの形態のニコチンを少なくとも1つのチューインガム・コアおよび/または少なくとも1つのコーティングに添加し、次いで、
e)少なくとも1つのチューインガム・コアを、少なくとも1つの緩衝されたコーティング層の少なくとも1つの層でコーティングする
工程を含むことを特徴とする該製造方法。
【請求項49】
さらに、f)緩衝されていない少なくとも1つのコーティング層を供する工程を含むことを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項50】
さらに、g)いずれかの形態のニコチンを、緩衝されていない少なくとも1つの該コーティング層に添加する工程を含むことを特徴とする請求項48または49記載の方法。
【請求項51】
さらに、h)別々の層にて、コーティング中のニコチンおよびコーティング中の緩衝剤を供する工程を含むことを特徴とする請求項48〜50のいずれか1記載の方法。
【請求項52】
別々の層が、水分バリアーにより分離されることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
いずれかの形態のニコチンが、ニコチン塩、ニコチンの遊離塩基形態、ニコチン誘導体、ニコチン包含複合体またはいずれかの非共有結合するニコチン;ゼオライトに結合したニコチン;セルロースまたはデンプンのミクロスフェアに結合したニコチン;およびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項48〜49のいずれか1記載の方法。
【請求項54】
ニコチン誘導体が、ニコチン陽イオン交換体であることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つのコーティング層が、アルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩またはクエン酸塩よりなる群から選択される緩衝剤の使用により緩衝され、ここに、少なくとも1つのコーティング層は、対象へのガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.3〜4のpH単位だけ増加させるように緩衝されることを特徴とする請求項48〜54のいずれか1記載の方法。
【請求項56】
炭酸塩が、炭酸水素塩またはセスキ炭酸塩であることを特徴とする請求項55記載の製品。
【請求項57】
アルカリ金属が、カリウムもしくはナトリウムであることを特徴とする請求項55または56記載の製品。
【請求項58】
少なくとも1つのコーティング層が、対象へのガムの投与に際して、対象の唾液のpHを0.5〜2のpH単位だけ増加させるように緩衝されることを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項59】
工程a)における少なくとも1つのチューインガム・コアの準備が、
a1)ガム・コア生地を供し、
a2)ガム生地を混合、圧延および切込線を入れ;成形する;または押出す
工程を含むことを特徴とする請求項48〜58のいずれか1記載の方法。
【請求項60】
工程a)におけるチューインガム・コアの準備が、成分の直接的圧縮により得られることを特徴とする請求項48〜58のいずれか1記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つの緩衝されたコーティングの少なくとも1つの層での少なくとも1つのチューインガム・コアのコーティングが、
a)フィルム・コーティング、および/または
b)プレス・コーティング、および/または
c)糖衣、および/または
d)溶融コーティング
の工程を含むことを特徴とする請求項48〜60のいずれか1記載の方法。
【請求項62】
アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎および禁煙後の体重制御よりなる群から選択される疾患の処置のための請求項1〜28のいずれか1記載のチューインガム製品。

【公開番号】特開2010−70564(P2010−70564A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293046(P2009−293046)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【分割の表示】特願2003−504945(P2003−504945)の分割
【原出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(507335333)マクネイル・アクチボラゲット (2)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
【Fターム(参考)】