ゴムの還元
【解決手段】加硫ゴムを還元する方法を提供する。本方法では、合成ゴムを含むゴムを、水を含む溶媒中で、この溶媒の臨界温度より低い温度で加熱し、ただしこの温度で前記溶媒の飽和蒸気圧に少なくとも等しい圧力とし、ゴムを脱硫して、主として固相からなり、ゴム炭化水素を含む反応生成物を生じさせるのに充分な時間、前記温度と圧力とを保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にゴムの還元に関するものであり、更に詳しくは、亜臨界温度における溶媒抽出技術を利用したゴムの還元に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の国において、使用済タイヤの年間発生数は、その国の人口にほぼ等しいものと見積もられている。例えば、米国においては、毎年、2億5千万個以上の使用済みタイヤが生じている。これらの使用済タイヤを扱うための方法は、一般に、2つのカテゴリー、つまり廃棄と再利用とに分けることができる。前者のグループは、埋め立てや野積みを含むものであり、これらは多くの理由からますます受け入れられないような選択肢となっている。後者のグループの中では、タイヤをそのもとの状態に近い状態で使用し、ある種の物理的処理を施すことがある。上記したグループに属する使用例としては、振動および残滓減衰マットとしての使用、道路敷設用の穴あけ工事またはフィラー材料としての使用、あるいはエネルギー源としての燃焼用が挙げられる。燃焼は、廃棄されたタイヤの最大40%で示される特定領域内でときどき生ずる。このグループに属する用途のほとんどは、限定された量のタイヤだけして消費しておらず、タイヤのもとの製造時の原材料に対して与えられた経済的価値を利用していない。
【0003】
他のグループの再利用方法は、タイヤ内部の構成材料から、向上した価値を引き出すことに着目している。この主要な成分としては,合成ゴムおよび天然ゴム、カーボンブラックおよび鉄鋼があり、少量成分としては、硫黄およびあらゆる安定化材がある。このグループに属する方法は、還元法と呼ばれており、タイヤをその構成成分へと還元するものである。
【0004】
水、および更に詳しくは蒸気を使用した天然ゴムの再生が本分野で知られている。天然ゴムを蒸気によって100℃を超える温度で処理することによって再生できることは開示されている。ここで開示された圧力は、飽和水蒸気圧である。このように開示された方法では、特定の反応条件によっては、天然ゴムの脱硫およびいくらかの脱重合の可能性をもたらす。
【0005】
しかし、約200℃の温度で、約200psiの圧力で天然ゴムを再生することは定法となり始めている。続いて、これらの後者の条件を利用して合成ゴムを再生することできないことが判明した。D.S.ルボーは、「Rubber Chemistry
and Technology」 40、1967年、217 - 237頁:「Science and
Technology of Reclaimed Rubber」 図1において、蒸気を利用して、合成ゴムであるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を含むゴムを再生することを議論している。ルボーの図1は、天然ゴムおよびSBRに対する蒸気処理の効果を示している。天然ゴムは軟化し、すなわち年度が低下するが、200psiの蒸気圧力に曝露されたときに再生できる。しかし、SBRは、軟化時間が短く、それに続いて長い硬化が続く。ルボーは、温度が上昇すると、硬化速度も上昇することを記載している。更に、ルボーは、従って合成ゴムの再生には再生剤や再生触媒が必要であることを記載している。
【0006】
使用済みタイヤの還元に使用する方法の一つは、合成ゴムを熱分解することである。典型的な熱分解プロセスでは、タイヤを600℃から900℃の温度で、不活性雰囲気あるいは真空に供する。このプロセスでは、軽油およびチャーを生産し、ここでチャーはカーボンブラック、およびゴム炭化水素の炭化によって生成した熱分解カーボンを含む。
【0007】
熱分解は、一般的には、望ましい還元方法とは考えられていない。ゴム炭化水素を軽油まで還元するか、あるいはチャーまで炭化することによって、熱分解プロセスの末端生成物は、もとのゴム炭化水素およびカーボンブラックに付随する経済的価値の多くを保持することができない。
【0008】
還元プロセスは、典型的には、脱硫および脱重合工程またはプロセスが含まれる。この脱硫プロセスによって、ゴム分子を架橋させる硫黄−硫黄結合および硫黄−炭素結合を分解する。この脱硫プロセスによって、固形残留物の質量がもとのタイヤ質量のほぼ100%となるように固形残留物を生成させる。この固形残留物は、ゴム炭化水素とカーボンブラックとを含有しており、ここでゴム炭化水素は、最初のゴムに由来するオイル分の分子量を超える分子量を有するあらゆる炭化水素を含んでいる。このゴム炭化水素は、もとのゴムよりも一般に小さく、オイルよりも大きい平均分子量を有しているが、ここでオイル分は約500以下の平均分子量を有する。
【0009】
この脱重合プロセスによって、ゴム炭化水素の炭素−炭素結合を、終了時にはゴム炭化水素がオイル分にまで還元されるまで切断することによって、ゴム炭化水素の平均分子量を低下させる。従って、この脱重合プロセスによって、終了時には、分子量は約200000から500にまで低下する。脱重合プロセスの終点においては、固形残留物の質量は、タイヤの初期質量の約40%に低下する。この時点で、固形残留物は実質的にカーボンブラックだけからなり、ゴム炭化水素は完全にオイルへと還元される。
【0010】
図2aは、典型的な熱分解プロセスについての完結百分率比対時間の模式図である。典型的な熱分解プロセスにおいては、脱硫プロセス202と脱重合プロセス204とがほぼ並行して起こる。それ自体、二種類のプロセスは、ほぼ同じ時間内で完結し、すなわちtv=tpである。図2bは非熱分解ブロセスを示し、ここで脱硫プロセス206は脱重合プロセス208から分離される。時点tvにおいては、この脱硫プロセス206が完結し、この間脱重合プロセス208は、完結への途の一部しか進行していない。
タイヤを還元する他のアプローチは、溶媒抽出技術である。溶媒抽出法では、溶媒の存在下で高温および高圧を利用し、ゴムを少なくとも脱硫し、しばしば脱重合する。この分野におけるほとんどすべての業績では、処理を行う特定溶媒の温度および圧力パラメーターの臨海地を超える温度および圧力で処理を実施する。
【0011】
超臨界反応条件は、臨界温度を超える反応温度と、臨界圧力を超える圧力とを持つ反応として定義されている。超臨界反応は、アルコール、有機溶媒および水を含む多様な溶媒を使用して行われてきた。超臨界反応条件を用いる業績の多くは、ゴムの集中的な脱重合に関するものであった。特に、業績は、ゴムをオイルへと還元することに関するものであった。超臨界処理は、これらの場合には有利であることが見いだされてきた。なぜなら、必要とする脱重合反応に対して、利用可能な反応速度を提供するからである。しかし、得られたオイルは、燃料として一般的に利用されるので、ゴムの経済的価値は、最初の処理によってタイヤに付与された価値を遥かに下回る水準の価値まで低下してしまう。
【0012】
最近、ゴムの脱硫を行いながら、この脱硫された炭化水素の脱重合を緩和するために研究が行われてきた。炭化水素鎖の長さをもとの長さに近い値に維持することによって、最初の処理の間にゴムに付与された経済的価値を高い割合で維持している。米国特許6,548,560号(コボラーク等)は、アルコールおよびケトンから選ばれた溶媒を用いた亜臨界処理を採用しており、米国特許5,891,926号(ハント等)は、2−ブタノールを溶媒として使用する亜臨界処理条件を開示する。上記したこれら溶媒を使用することによって、300℃未満の温度での処理が可能となり、ここでコボラーク等は重合体変性の量を低下させることの重要性を教示している。従って、200〜350℃の間の臨界温度を有する溶媒に焦点を当てている。ハント等およびコボラーク等は、しかし、ゴムの脱硫を完了させることを開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、多くの有機溶媒は、コストが嵩み、健康上および安全上の考慮について望ましいものではない特性を有する。例えば2−ブタノールは引火性であり、引火点が低く、また刺激物である。
【0014】
本発明は、ゴムを還元する方法に関するものである。本発明の目的は、従来技術における一つ以上の問題点を解決することである。本発明の他の目的は、水を含む溶媒を使用して合成ゴムを含むゴムを還元する方法を提供することであり、ここで少なくとも反応生成物の一部がオイルよりも大きい分子量を有するようにする。
【0015】
本発明の一つの態様によれば、加硫ゴムを還元する方法を提供する。この方法では、溶媒の存在下に合成ゴムを含むゴムを加熱する工程を含んでおり、ここで溶媒は水を含有しており、この溶媒の臨界温度よりも下の温度へと加熱し、ここで圧力は前記温度での溶媒の飽和蒸気圧に少なくとも等しい圧力であり、ゴムを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに充分な時間にわたって前記温度および圧力を保持する。
【0016】
本発明の他の態様によれば、加硫タイヤを還元する方法を提供する。本方法では、合成ゴムを含むタイヤを第一の溶媒の存在下に加熱し、ここで第一の溶媒は水を含有しており、この第一の溶媒の臨界温度より低い温度で加熱し、ここで前記温度での前記溶媒の飽和蒸気圧に少なくとも等しい圧力とを加え、前記タイヤを脱硫して、主として固相からなり、ゴム炭化水素を含む反応生成物を生成するのに充分分な時間、前記温度と圧力とを保持し、この反応生成物の固相を洗浄および乾燥し、このゴム炭化水素を第二の溶媒に溶解し、この第二の溶媒はその中にゴム炭化水素を溶解させるのに適しており、反応生成物からカーボンブラックを分離し、前記ゴム炭化水素から第二の溶媒を分離させる。
【0017】
本発明の他の態様および利点、および本発明の種々の実施形態の構造および操作は、本発明の次の説明を添付図面と共に参照することによって当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を、添付図面を参照しながら説明する。同じ符号は図面中で同じ特徴を示す。
【0019】
本発明の一実施形態においては、亜臨界水を使用してゴムを還元する方法を提供し、すなわち、この還元プロセスは、水の臨界温度より下の温度で生ずる。ここで「水の臨界温度」という用語は、その温度を超えると、圧力を加えることによって蒸気が液化できないような温度として定義される。水の臨界温度は374℃である。本方法によって、低コストで、不燃性で、非毒性で環境に優しい溶媒を使用して,少なくともいくらかは脱硫と脱重合プロセスとの分離が可能となる。
【0020】
亜臨界液体技術に関する方法的パラメーターには、圧力、温度、溶媒および時間がある。理論に縛られるものではないが、溶媒の臨界温度より下の温度で本方法を実施することによって、脱硫と脱重合プロセスとの分離が可能となるようである。脱重合プロセスの速度は、それが脱硫工程から有効に分離されるまで低下する。これによって、脱重合が進行するのに必要な制御の向上が可能となる。本発明の一実施形態においては、反応時間と温度とを変更することによって、実質的に完全な脱硫と所望の脱重合量とが得られる。
【0021】
図3は、本還元プロセスにおける固形分残留物量対工程の関係を模式的に示すグラフである。線302は非熱分解プロセスを示し、一方線312は典型的な熱分解プロセスを示す。線312、すなわち典型的な熱分解プロセスは、時点314で完了し、ここでゴム炭化水素は軽油に還元され、いくらかはチャーへと炭化される。
【0022】
線302は脱硫部分304および脱重合部分308を含んでいる。時点306においては、最初のゴムはほぼ100%の脱硫を被る。工程306においては、ゴム炭化水素およびカーボンブラックを含む固形分残留物に対して、固形分残留物量はほぼ100%である。脱重合部308の間、ゴム炭化水素の平均分子量は低下する。この脱重合プロセスの終点においては、ゴム炭化水素は実質的にオイル分とカーホンブラックとの混合物であり、ここでオイル分は一般的には約500より低い平均分子量を有する。脱重合プロセスの終点、すなわち時点310における固形残留物は、ほぼカーボンブラックである。時点310と314との間の変化は、熱分解プロセス間のチャーの生成を示す。
【0023】
本発明の一実施形態による還元方法のフローチャートを図4に示す。工程402において、溶媒による亜臨界処理に適した温度および圧力に適した反応器へとゴム資材を供給する。このゴム資材は、合成ゴムを含む加硫ゴムであってよい。典型的な合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブロモブチルゴムおよびクロロブチルゴムがあげられる。上記したゴムのリストは、制限的なものではない。他の適切なゴムは、上記したしたリストを考慮した上で、本分野の当業者には自明である。最近の例としては、ゴム資材は使用済み自動車タイヤである。
【0024】
最近の実施形態では、ゴム資材として使用する自動車タイヤを裁断する。この裁断プロセスによって、異方性の寸法を有する片あるいはゴムを製造する。これらの片は、厚さ約1〜4mmであり、約0.5から約5cm2の表面積を有していた。より典型的には、これらの片の厚さは約1mmから約2mmであり、約1cm2から約2cm2の表面積を有していた。ゴム資材を本発明の上記した実施形態では裁断したけれども、ゴム資材の特定の寸法にはいかなる意味でも限定されない。例えば、本発明の方法は、全タイヤに対しても適用可能である。このように、本発明は、ゴム資材の寸法に対しては独立である。
【0025】
溶媒は、工程404で反応器に供給する。本実施形態では、溶媒は水である。溶媒の供給量は、反応温度で飽和溶媒蒸気圧を与え、反応器内にいくらかの溶媒を保持できるのに十分である。本実施形態では、反応器内部の溶媒は、反応温度でタイヤ資材を溶媒中に親戚するのに十分であり、還元プロセスの間中その状態であり続ける。他の実施形態では、ゴム資材をバスケット中に配置し、この際、ゴムが還元プロセスの間中溶媒の高さより上に位置するようにする。
【0026】
この反応器を、工程406において、反応温度Tまで加熱する。亜臨界反応を維持するために、この反応温度は、溶媒の臨界温度よりも低いものでなければならない。本実施形態では、この温度は374℃よりも低い。本発明の一実施形態においては、反応温度は、約260℃から約370℃の間であることが好ましい。この反応温度は、更に好ましくは約290℃から約320℃の間である。
【0027】
所望の反応温度に到達する前に、反応器内に存在するエアーをパージする。本実施形態では、反応器内に存在するエアーは、加熱工程間に生成する蒸気によってパージされる。反応器からエアーをパージする他の好適な方法は、本分野の当業者にとって自明であり、不活性ガスによるパージを含む。いったんエアーが反応器からパージされると、反応器を外部環境から封止する。
【0028】
ステップ408で反応器へと圧力を加える。この圧力は、反応温度における溶媒の飽和蒸気圧以上である。本実施形態においては、反応圧力は、反応温度における飽和水蒸気圧である。この圧力は、反応器中に存在する蒸気によってのみ作り出される。例えば、300℃の反応温度に対して、圧力は1230psigとなる。他の実施形態においては、溶媒の飽和蒸気圧よりも大きい圧力を、反応チャンバー内へと不活性ガスを供給することによって与える。この反応器の加圧に適した不活性ガスは、窒素とアルゴンであるが、これらに限定されない。飽和水蒸気圧を加える他の手段は、本分野の当業者には明らかである。蒸気を発生させることに対して独立した圧力を加える手段を用いることによって、反応器内に存在する蒸気の部分を制御することが可能となる。
【0029】
この反応は、ステップ410で時間tだけ継続させ、反応生成物を生成させる。本発明の本実施形態の方法によって製造したこの反応生成物は、ゴム炭化水素、カーボンブラックおよび硫黄を含有する。また、この反応生成物は、抽出温度パラメーターによっては、ゴム炭化水素の少なくとも部分的な脱重合に起因するオイル分、および加硫ゴム資材を含む。この反応生成物は、一般には、固相および液相へと分けられる。この固相には、ゴム炭化水素、カーボンブラックおよびあらゆる加硫ゴムが含まれる。この液相中には、生成したあらゆるオイル分が含まれる。この液相は、水を含むスラリーとして存在する。理論によって縛られるものではないが、硫黄は、反応中に水中に溶解するものと考えられる。次いで、冷却時には水から硫黄が沈殿し、固相上に堆積する。
【0030】
本発明の他の実施形態に係る還元プロセスのフローチャートを図5に示す。このプロセスでは、図4に示す工程が含まれる。本発明の本実施形態に係るプロセスでは、更に工程501における固相の洗浄および乾燥工程が含まれる。本実施形態においては、この固相を水中で洗浄する。工程502では、反応生成物の固相を溶媒によって処理する。本実施形態では、この溶媒はシクロヘキサンである。トルエンを含むゴム炭化水素の溶解に適した他の溶媒を使用することも、本発明の範囲内である。異なる分子量の炭化水素を含むゴム炭化水素の溶解に適した他の溶媒や溶媒混合物を使用することは、本分野の当業者には自らかである。次いでカーボンブラックを工程504で濾過法によって分離する。本分野の当業者には、この溶解した反応生成物からカーボンブラックを分離するためにあらゆる適切な技術を採用できることは明らかである。また、工程504は、カーボンブラックを含有しないゴム資材については省略できることも明らかである。
【0031】
本発明の他の実施形態に係る還元プロセスのフローチャートを図6に示す。このプロセスには、図5に示した工程が含まれる。本発明の本実施形態に係るプロセスには、更にゴム炭化水素から溶媒を分離する工程が含まれる。ゴム炭化水素から溶媒を分離するのに適した技術は、本分野の当業者には明らかである。本実施形態では、ゴム炭化水素から溶媒を分離するために留去法を使用できる。
【0032】
上記した本発明の実施形態は、バッチプロセス、半連続的プロセスおよび連続プロセスに対して適用可能であり、好適である。
【0033】
ここで好適な溶媒は水であるけれども、水と他の一種または複数種の溶媒との混合物もまた包含される。本発明の他の実施形態においては、前記抽出溶媒は複数種の溶媒の混合物であり、ここで混合物には、抽出/脱硫プロセスにおいて水が役割を演ずるように水を含有する。例えば、水中にエタノールを10重量%から30重量%含有する溶媒混合物を、280℃、290℃および上記の温度で実施した還元プロセスで使用した。脱硫の百分率比は、100%の水に対してこの混合溶媒を使用したときに、ほぼ同じであることを発見した。アルコールや有機溶媒が、この抽出溶媒を生成させるために水と混合するのに適していることを見いだした。
【0034】
本発明を次の実施例によって説明するが、次の実施例は説明のためだけのものであり、本発明の範囲を制限したり、あるいは本発明を実施する態様を制限するものとみなされてはならない。
【実施例】
【0035】
(実施例1〜14)
すべての実施例において、ゴム資材は使用済自動車タイヤからのものである。これらのタイヤを処理し、タイヤに含まれるあらゆる鋼鉄および繊維ベルトを除去した。このゴムを裁断し、不規則な形を有するチップあるいはシェービングを生産する。このチップあるいはシェービングは、一般的には、厚さ約1〜約4mmであり、表面積は約0.5〜約5cm2であった。チップおよびシェービングの大部分は、厚さ約1〜2mmであり、表面積は約1〜2cm2であった。
【0036】
すべての実験において、最高500℃の温度および最高5000psiの圧力で稼働する能力を持つ反応器を使用した。この反応器に、約20から約30gのゴムおよび約100mlの水を供給した。ほとんどの実験において、ゴム試料を反応器内で水中に浸漬した。いくつかの実験においては、ゴム試料を水の上で多孔質のバスケット中に保持した。加熱は、反応器上の弁を開けたままにしておくことで開始させた。この弁は、容器が100℃を超える温度に到達した後で閉鎖した。これによって、反応器の加熱の間、生成した蒸気によって反応器のエアーをパージすることを可能とする。この温度は、所望の反応温度へと上昇させ、この反応は、1時間または5時間継続させた。所望の反応時間の終了した時点で、反応器を室温まで冷却し、内容物を除去した。
【0037】
反応の終了時点で存在する反応生成物の性質および相対量は、特定の反応条件の関数である。この反応生成物には、加硫ゴム、ゴム炭化水素、オイル分およびカーボンブラックが含まれていてよい。加硫ゴム、ゴム炭化水素およびカーボンブラックは固相中に存在しており、一方、オイル分は液相中に存在していた。この固相を水洗し、オーブン内で100℃で一定重量になるまで乾燥した。この洗浄工程によって、反応生成物上にある硫黄を除去する。
【0038】
実施例1〜14のゴム還元プロセスにおける収率を表1に示す。この収率(%)は、次の数式によって定義される。
【数1】
【0039】
上で計算した収率は、脱重合が進行するのにつれて低下する。表1から明らかなように、脱重合は、約320℃で生じ始める。例7は、蒸気中で懸濁したゴム資材を用いて実施した。脱重合度は、反応温度の増加および反応時間の増加とともに増大した。
【0040】
例6、8および9のゴム炭化水素について、硫黄含有量を分析した。ゴム炭化水素の硫黄含有量は、例6、8、9について、それぞれ0.19、0.18および0.22%であった。従って、測定した硫黄含有量は、ゴム資材の硫黄含有量よりも低く、硫黄がゴムから抽出されていることを示す。
表1:反応時間および温度の関数としての脱硫の百分率比
【0041】
【表1】
【0042】
複数工程を持つ分離プロセスを使用して、前記固相中の種々の成分を分離した。この固相をシクロヘキサンと混合し、60℃に加熱し、最長1時間攪拌した。このプロセスの間にゴム炭化水素がシクロヘキサンに溶解した。この混合物をワイヤーメッシュからなる濾過器に通し、シクロヘキサンに溶解しないであろう加硫ゴムを除去した。この濾過工程の間に除去された加硫ゴムを秤量し、この質量を、ゴムの初期質量に対して比較した。脱硫された試料画分を百分率比で算出した。得られた結果を表2に示す。
【0043】
表2から明らかなように、約280℃と約290℃との間での脱硫の性質に変化がある。290℃未満の反応温度では、最小限の脱硫しか起こらない。260℃と280℃との間では、ゴム片表面からゴム炭化水素とカーボンブラックとが除去された。このゴム片の残りは弾性を維持したままであった。従って、この片は、表面脱硫を受けている。290℃で1時間反応させたときには、31%の脱硫が生じ、バルクでの脱硫が生じていたことを示している。290℃の反応温度で反応時間を5時間まで延長したとき(例5)、あるいは反応温度を300℃以上に上昇させたとき(例6)には、この試料は完全なパルク脱硫を受けていた。従って、表面脱硫からバルク脱硫への移行があった。
表2: 反応時間および温度の関数としての脱硫百分率比
【0044】
【表2】
【0045】
前記濾過器を通過した混合物を濾紙に通し、カーボンブラックを分離した。こうして抽出したカーボンブラックは、その表面積を測定することで特徴付けた。カーボンブラック上に吸着された窒素を77°Kで測定し、BET等式を使用して表面積を引用した。例8のカーボンブラックについて、60m2/gの表面積を測定した。このようにして抽出されたカーボンブラックは、タイヤの製造時に使用したものに近い。
【0046】
最後に、シクロヘキサンを留去し、ゴム炭化水素を残留させた。このゴム炭化水素の分子量を、ゲル透過クロマトグラフィー法によって測定した。ゴム炭化水素の平均分子量を表3に示す。320℃の反応温度までは、最小限の脱重合しか起こらない。
表3: 反応時間および温度の関数としての平均分子量
【0047】
【表3】
【0048】
本発明の種々の実施形態による方法によって、種々の最終製品が可能となる。第一に、反応器から直接、次の分離工程なしに、最終製品を得ることができる。最小限の脱重合と共に完全な脱硫を完了させる反応条件のためには、反応生成物は、最初のゴムにほぼ等しいカーボンブラック対ゴム炭化水素比率を有しているであろう。従って、反応生成物は、ゴム調合物用の増量剤として利用できる。第二に、この最終製品は、反応生成物から抽出されたゴム炭化水素であって,そのカーボンブラックが除去されたゴム炭化水素であってよい。更に、このゴム炭化水素の分子量を調整するような反応条件を設定することも可能である。
【0049】
第三に、ゴム炭化水素から分離されたカーボンブラックは、末端製品として分離してよい。また、特定比率のカーボンブラックとゴム炭化水素とを含有する混合物も提供できる。例えば、10〜20%のゴム炭化水素を含有するカーボンブラックを使用して、ゴム調合物中のカーボンブラックの混合を容易にすることができる。最後に、低温での反応を利用して、表面修飾クラムラバーを製造できる。
【0050】
本分野の当業者にとって、タイヤには輸送分野で使用できるようなあらゆる加硫ゴムタイヤが含まれることは明らかである。また、本分野の当業者にとっては、合成ゴムを含む他の加硫ゴム製品も資材として利用できることは明らかである。
【0051】
また、本分野の当業者にとって、上記した処理条件が本発明の一実施形態に関するものであることは明らかである。本発明は、水を含む溶媒によるゴムの亜臨界処理を可能とするような処理パラメーター、すなわち温度、圧力、時間を包含する。
【0052】
もっとも実際的で好適な実施形態であると現時点で考えられるものに従って、本発明を説明してきたけれども、本発明はこれらの開示した実施形態に限定されないことは理解されなければならない。本分野の当業者は、請求の範囲に既定した本発明の思想および範囲から離れることなく、種々の改変や均等の構造および機能を作製できることを理解できる。従って、請求の範囲に既定した本発明は、すべてのこうした改変および均等の構造および機能部分を包含するように、もっとも広い範囲に解釈されなければならない。
【0053】
本明細書に開示した記載の下に本発明を変更することが可能である。本発明を説明する目的のために、特定の団標的な実施形態および詳細を示したけれども、本分野の当業者には、種々の変更および改変が、本発明の範囲から離れることなく可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、天然ゴムとSBRの粘度対時間の模式図である。
【図2】(a)は、熱分解還元ブロセスの完結完了百分率比対時間を模式的に示すグラフである。 (b)は、非熱分解プロセスの完結百分率比対時間を模式的に示すグラフである。
【図3】還元プロセスの固形分残留物重量対段階を模式的に示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係るタイヤ還元方法のフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係るタイヤの還元方法のフローチャートである。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るタイヤの還元方法のフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にゴムの還元に関するものであり、更に詳しくは、亜臨界温度における溶媒抽出技術を利用したゴムの還元に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の国において、使用済タイヤの年間発生数は、その国の人口にほぼ等しいものと見積もられている。例えば、米国においては、毎年、2億5千万個以上の使用済みタイヤが生じている。これらの使用済タイヤを扱うための方法は、一般に、2つのカテゴリー、つまり廃棄と再利用とに分けることができる。前者のグループは、埋め立てや野積みを含むものであり、これらは多くの理由からますます受け入れられないような選択肢となっている。後者のグループの中では、タイヤをそのもとの状態に近い状態で使用し、ある種の物理的処理を施すことがある。上記したグループに属する使用例としては、振動および残滓減衰マットとしての使用、道路敷設用の穴あけ工事またはフィラー材料としての使用、あるいはエネルギー源としての燃焼用が挙げられる。燃焼は、廃棄されたタイヤの最大40%で示される特定領域内でときどき生ずる。このグループに属する用途のほとんどは、限定された量のタイヤだけして消費しておらず、タイヤのもとの製造時の原材料に対して与えられた経済的価値を利用していない。
【0003】
他のグループの再利用方法は、タイヤ内部の構成材料から、向上した価値を引き出すことに着目している。この主要な成分としては,合成ゴムおよび天然ゴム、カーボンブラックおよび鉄鋼があり、少量成分としては、硫黄およびあらゆる安定化材がある。このグループに属する方法は、還元法と呼ばれており、タイヤをその構成成分へと還元するものである。
【0004】
水、および更に詳しくは蒸気を使用した天然ゴムの再生が本分野で知られている。天然ゴムを蒸気によって100℃を超える温度で処理することによって再生できることは開示されている。ここで開示された圧力は、飽和水蒸気圧である。このように開示された方法では、特定の反応条件によっては、天然ゴムの脱硫およびいくらかの脱重合の可能性をもたらす。
【0005】
しかし、約200℃の温度で、約200psiの圧力で天然ゴムを再生することは定法となり始めている。続いて、これらの後者の条件を利用して合成ゴムを再生することできないことが判明した。D.S.ルボーは、「Rubber Chemistry
and Technology」 40、1967年、217 - 237頁:「Science and
Technology of Reclaimed Rubber」 図1において、蒸気を利用して、合成ゴムであるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を含むゴムを再生することを議論している。ルボーの図1は、天然ゴムおよびSBRに対する蒸気処理の効果を示している。天然ゴムは軟化し、すなわち年度が低下するが、200psiの蒸気圧力に曝露されたときに再生できる。しかし、SBRは、軟化時間が短く、それに続いて長い硬化が続く。ルボーは、温度が上昇すると、硬化速度も上昇することを記載している。更に、ルボーは、従って合成ゴムの再生には再生剤や再生触媒が必要であることを記載している。
【0006】
使用済みタイヤの還元に使用する方法の一つは、合成ゴムを熱分解することである。典型的な熱分解プロセスでは、タイヤを600℃から900℃の温度で、不活性雰囲気あるいは真空に供する。このプロセスでは、軽油およびチャーを生産し、ここでチャーはカーボンブラック、およびゴム炭化水素の炭化によって生成した熱分解カーボンを含む。
【0007】
熱分解は、一般的には、望ましい還元方法とは考えられていない。ゴム炭化水素を軽油まで還元するか、あるいはチャーまで炭化することによって、熱分解プロセスの末端生成物は、もとのゴム炭化水素およびカーボンブラックに付随する経済的価値の多くを保持することができない。
【0008】
還元プロセスは、典型的には、脱硫および脱重合工程またはプロセスが含まれる。この脱硫プロセスによって、ゴム分子を架橋させる硫黄−硫黄結合および硫黄−炭素結合を分解する。この脱硫プロセスによって、固形残留物の質量がもとのタイヤ質量のほぼ100%となるように固形残留物を生成させる。この固形残留物は、ゴム炭化水素とカーボンブラックとを含有しており、ここでゴム炭化水素は、最初のゴムに由来するオイル分の分子量を超える分子量を有するあらゆる炭化水素を含んでいる。このゴム炭化水素は、もとのゴムよりも一般に小さく、オイルよりも大きい平均分子量を有しているが、ここでオイル分は約500以下の平均分子量を有する。
【0009】
この脱重合プロセスによって、ゴム炭化水素の炭素−炭素結合を、終了時にはゴム炭化水素がオイル分にまで還元されるまで切断することによって、ゴム炭化水素の平均分子量を低下させる。従って、この脱重合プロセスによって、終了時には、分子量は約200000から500にまで低下する。脱重合プロセスの終点においては、固形残留物の質量は、タイヤの初期質量の約40%に低下する。この時点で、固形残留物は実質的にカーボンブラックだけからなり、ゴム炭化水素は完全にオイルへと還元される。
【0010】
図2aは、典型的な熱分解プロセスについての完結百分率比対時間の模式図である。典型的な熱分解プロセスにおいては、脱硫プロセス202と脱重合プロセス204とがほぼ並行して起こる。それ自体、二種類のプロセスは、ほぼ同じ時間内で完結し、すなわちtv=tpである。図2bは非熱分解ブロセスを示し、ここで脱硫プロセス206は脱重合プロセス208から分離される。時点tvにおいては、この脱硫プロセス206が完結し、この間脱重合プロセス208は、完結への途の一部しか進行していない。
タイヤを還元する他のアプローチは、溶媒抽出技術である。溶媒抽出法では、溶媒の存在下で高温および高圧を利用し、ゴムを少なくとも脱硫し、しばしば脱重合する。この分野におけるほとんどすべての業績では、処理を行う特定溶媒の温度および圧力パラメーターの臨海地を超える温度および圧力で処理を実施する。
【0011】
超臨界反応条件は、臨界温度を超える反応温度と、臨界圧力を超える圧力とを持つ反応として定義されている。超臨界反応は、アルコール、有機溶媒および水を含む多様な溶媒を使用して行われてきた。超臨界反応条件を用いる業績の多くは、ゴムの集中的な脱重合に関するものであった。特に、業績は、ゴムをオイルへと還元することに関するものであった。超臨界処理は、これらの場合には有利であることが見いだされてきた。なぜなら、必要とする脱重合反応に対して、利用可能な反応速度を提供するからである。しかし、得られたオイルは、燃料として一般的に利用されるので、ゴムの経済的価値は、最初の処理によってタイヤに付与された価値を遥かに下回る水準の価値まで低下してしまう。
【0012】
最近、ゴムの脱硫を行いながら、この脱硫された炭化水素の脱重合を緩和するために研究が行われてきた。炭化水素鎖の長さをもとの長さに近い値に維持することによって、最初の処理の間にゴムに付与された経済的価値を高い割合で維持している。米国特許6,548,560号(コボラーク等)は、アルコールおよびケトンから選ばれた溶媒を用いた亜臨界処理を採用しており、米国特許5,891,926号(ハント等)は、2−ブタノールを溶媒として使用する亜臨界処理条件を開示する。上記したこれら溶媒を使用することによって、300℃未満の温度での処理が可能となり、ここでコボラーク等は重合体変性の量を低下させることの重要性を教示している。従って、200〜350℃の間の臨界温度を有する溶媒に焦点を当てている。ハント等およびコボラーク等は、しかし、ゴムの脱硫を完了させることを開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、多くの有機溶媒は、コストが嵩み、健康上および安全上の考慮について望ましいものではない特性を有する。例えば2−ブタノールは引火性であり、引火点が低く、また刺激物である。
【0014】
本発明は、ゴムを還元する方法に関するものである。本発明の目的は、従来技術における一つ以上の問題点を解決することである。本発明の他の目的は、水を含む溶媒を使用して合成ゴムを含むゴムを還元する方法を提供することであり、ここで少なくとも反応生成物の一部がオイルよりも大きい分子量を有するようにする。
【0015】
本発明の一つの態様によれば、加硫ゴムを還元する方法を提供する。この方法では、溶媒の存在下に合成ゴムを含むゴムを加熱する工程を含んでおり、ここで溶媒は水を含有しており、この溶媒の臨界温度よりも下の温度へと加熱し、ここで圧力は前記温度での溶媒の飽和蒸気圧に少なくとも等しい圧力であり、ゴムを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに充分な時間にわたって前記温度および圧力を保持する。
【0016】
本発明の他の態様によれば、加硫タイヤを還元する方法を提供する。本方法では、合成ゴムを含むタイヤを第一の溶媒の存在下に加熱し、ここで第一の溶媒は水を含有しており、この第一の溶媒の臨界温度より低い温度で加熱し、ここで前記温度での前記溶媒の飽和蒸気圧に少なくとも等しい圧力とを加え、前記タイヤを脱硫して、主として固相からなり、ゴム炭化水素を含む反応生成物を生成するのに充分分な時間、前記温度と圧力とを保持し、この反応生成物の固相を洗浄および乾燥し、このゴム炭化水素を第二の溶媒に溶解し、この第二の溶媒はその中にゴム炭化水素を溶解させるのに適しており、反応生成物からカーボンブラックを分離し、前記ゴム炭化水素から第二の溶媒を分離させる。
【0017】
本発明の他の態様および利点、および本発明の種々の実施形態の構造および操作は、本発明の次の説明を添付図面と共に参照することによって当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を、添付図面を参照しながら説明する。同じ符号は図面中で同じ特徴を示す。
【0019】
本発明の一実施形態においては、亜臨界水を使用してゴムを還元する方法を提供し、すなわち、この還元プロセスは、水の臨界温度より下の温度で生ずる。ここで「水の臨界温度」という用語は、その温度を超えると、圧力を加えることによって蒸気が液化できないような温度として定義される。水の臨界温度は374℃である。本方法によって、低コストで、不燃性で、非毒性で環境に優しい溶媒を使用して,少なくともいくらかは脱硫と脱重合プロセスとの分離が可能となる。
【0020】
亜臨界液体技術に関する方法的パラメーターには、圧力、温度、溶媒および時間がある。理論に縛られるものではないが、溶媒の臨界温度より下の温度で本方法を実施することによって、脱硫と脱重合プロセスとの分離が可能となるようである。脱重合プロセスの速度は、それが脱硫工程から有効に分離されるまで低下する。これによって、脱重合が進行するのに必要な制御の向上が可能となる。本発明の一実施形態においては、反応時間と温度とを変更することによって、実質的に完全な脱硫と所望の脱重合量とが得られる。
【0021】
図3は、本還元プロセスにおける固形分残留物量対工程の関係を模式的に示すグラフである。線302は非熱分解プロセスを示し、一方線312は典型的な熱分解プロセスを示す。線312、すなわち典型的な熱分解プロセスは、時点314で完了し、ここでゴム炭化水素は軽油に還元され、いくらかはチャーへと炭化される。
【0022】
線302は脱硫部分304および脱重合部分308を含んでいる。時点306においては、最初のゴムはほぼ100%の脱硫を被る。工程306においては、ゴム炭化水素およびカーボンブラックを含む固形分残留物に対して、固形分残留物量はほぼ100%である。脱重合部308の間、ゴム炭化水素の平均分子量は低下する。この脱重合プロセスの終点においては、ゴム炭化水素は実質的にオイル分とカーホンブラックとの混合物であり、ここでオイル分は一般的には約500より低い平均分子量を有する。脱重合プロセスの終点、すなわち時点310における固形残留物は、ほぼカーボンブラックである。時点310と314との間の変化は、熱分解プロセス間のチャーの生成を示す。
【0023】
本発明の一実施形態による還元方法のフローチャートを図4に示す。工程402において、溶媒による亜臨界処理に適した温度および圧力に適した反応器へとゴム資材を供給する。このゴム資材は、合成ゴムを含む加硫ゴムであってよい。典型的な合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブロモブチルゴムおよびクロロブチルゴムがあげられる。上記したゴムのリストは、制限的なものではない。他の適切なゴムは、上記したしたリストを考慮した上で、本分野の当業者には自明である。最近の例としては、ゴム資材は使用済み自動車タイヤである。
【0024】
最近の実施形態では、ゴム資材として使用する自動車タイヤを裁断する。この裁断プロセスによって、異方性の寸法を有する片あるいはゴムを製造する。これらの片は、厚さ約1〜4mmであり、約0.5から約5cm2の表面積を有していた。より典型的には、これらの片の厚さは約1mmから約2mmであり、約1cm2から約2cm2の表面積を有していた。ゴム資材を本発明の上記した実施形態では裁断したけれども、ゴム資材の特定の寸法にはいかなる意味でも限定されない。例えば、本発明の方法は、全タイヤに対しても適用可能である。このように、本発明は、ゴム資材の寸法に対しては独立である。
【0025】
溶媒は、工程404で反応器に供給する。本実施形態では、溶媒は水である。溶媒の供給量は、反応温度で飽和溶媒蒸気圧を与え、反応器内にいくらかの溶媒を保持できるのに十分である。本実施形態では、反応器内部の溶媒は、反応温度でタイヤ資材を溶媒中に親戚するのに十分であり、還元プロセスの間中その状態であり続ける。他の実施形態では、ゴム資材をバスケット中に配置し、この際、ゴムが還元プロセスの間中溶媒の高さより上に位置するようにする。
【0026】
この反応器を、工程406において、反応温度Tまで加熱する。亜臨界反応を維持するために、この反応温度は、溶媒の臨界温度よりも低いものでなければならない。本実施形態では、この温度は374℃よりも低い。本発明の一実施形態においては、反応温度は、約260℃から約370℃の間であることが好ましい。この反応温度は、更に好ましくは約290℃から約320℃の間である。
【0027】
所望の反応温度に到達する前に、反応器内に存在するエアーをパージする。本実施形態では、反応器内に存在するエアーは、加熱工程間に生成する蒸気によってパージされる。反応器からエアーをパージする他の好適な方法は、本分野の当業者にとって自明であり、不活性ガスによるパージを含む。いったんエアーが反応器からパージされると、反応器を外部環境から封止する。
【0028】
ステップ408で反応器へと圧力を加える。この圧力は、反応温度における溶媒の飽和蒸気圧以上である。本実施形態においては、反応圧力は、反応温度における飽和水蒸気圧である。この圧力は、反応器中に存在する蒸気によってのみ作り出される。例えば、300℃の反応温度に対して、圧力は1230psigとなる。他の実施形態においては、溶媒の飽和蒸気圧よりも大きい圧力を、反応チャンバー内へと不活性ガスを供給することによって与える。この反応器の加圧に適した不活性ガスは、窒素とアルゴンであるが、これらに限定されない。飽和水蒸気圧を加える他の手段は、本分野の当業者には明らかである。蒸気を発生させることに対して独立した圧力を加える手段を用いることによって、反応器内に存在する蒸気の部分を制御することが可能となる。
【0029】
この反応は、ステップ410で時間tだけ継続させ、反応生成物を生成させる。本発明の本実施形態の方法によって製造したこの反応生成物は、ゴム炭化水素、カーボンブラックおよび硫黄を含有する。また、この反応生成物は、抽出温度パラメーターによっては、ゴム炭化水素の少なくとも部分的な脱重合に起因するオイル分、および加硫ゴム資材を含む。この反応生成物は、一般には、固相および液相へと分けられる。この固相には、ゴム炭化水素、カーボンブラックおよびあらゆる加硫ゴムが含まれる。この液相中には、生成したあらゆるオイル分が含まれる。この液相は、水を含むスラリーとして存在する。理論によって縛られるものではないが、硫黄は、反応中に水中に溶解するものと考えられる。次いで、冷却時には水から硫黄が沈殿し、固相上に堆積する。
【0030】
本発明の他の実施形態に係る還元プロセスのフローチャートを図5に示す。このプロセスでは、図4に示す工程が含まれる。本発明の本実施形態に係るプロセスでは、更に工程501における固相の洗浄および乾燥工程が含まれる。本実施形態においては、この固相を水中で洗浄する。工程502では、反応生成物の固相を溶媒によって処理する。本実施形態では、この溶媒はシクロヘキサンである。トルエンを含むゴム炭化水素の溶解に適した他の溶媒を使用することも、本発明の範囲内である。異なる分子量の炭化水素を含むゴム炭化水素の溶解に適した他の溶媒や溶媒混合物を使用することは、本分野の当業者には自らかである。次いでカーボンブラックを工程504で濾過法によって分離する。本分野の当業者には、この溶解した反応生成物からカーボンブラックを分離するためにあらゆる適切な技術を採用できることは明らかである。また、工程504は、カーボンブラックを含有しないゴム資材については省略できることも明らかである。
【0031】
本発明の他の実施形態に係る還元プロセスのフローチャートを図6に示す。このプロセスには、図5に示した工程が含まれる。本発明の本実施形態に係るプロセスには、更にゴム炭化水素から溶媒を分離する工程が含まれる。ゴム炭化水素から溶媒を分離するのに適した技術は、本分野の当業者には明らかである。本実施形態では、ゴム炭化水素から溶媒を分離するために留去法を使用できる。
【0032】
上記した本発明の実施形態は、バッチプロセス、半連続的プロセスおよび連続プロセスに対して適用可能であり、好適である。
【0033】
ここで好適な溶媒は水であるけれども、水と他の一種または複数種の溶媒との混合物もまた包含される。本発明の他の実施形態においては、前記抽出溶媒は複数種の溶媒の混合物であり、ここで混合物には、抽出/脱硫プロセスにおいて水が役割を演ずるように水を含有する。例えば、水中にエタノールを10重量%から30重量%含有する溶媒混合物を、280℃、290℃および上記の温度で実施した還元プロセスで使用した。脱硫の百分率比は、100%の水に対してこの混合溶媒を使用したときに、ほぼ同じであることを発見した。アルコールや有機溶媒が、この抽出溶媒を生成させるために水と混合するのに適していることを見いだした。
【0034】
本発明を次の実施例によって説明するが、次の実施例は説明のためだけのものであり、本発明の範囲を制限したり、あるいは本発明を実施する態様を制限するものとみなされてはならない。
【実施例】
【0035】
(実施例1〜14)
すべての実施例において、ゴム資材は使用済自動車タイヤからのものである。これらのタイヤを処理し、タイヤに含まれるあらゆる鋼鉄および繊維ベルトを除去した。このゴムを裁断し、不規則な形を有するチップあるいはシェービングを生産する。このチップあるいはシェービングは、一般的には、厚さ約1〜約4mmであり、表面積は約0.5〜約5cm2であった。チップおよびシェービングの大部分は、厚さ約1〜2mmであり、表面積は約1〜2cm2であった。
【0036】
すべての実験において、最高500℃の温度および最高5000psiの圧力で稼働する能力を持つ反応器を使用した。この反応器に、約20から約30gのゴムおよび約100mlの水を供給した。ほとんどの実験において、ゴム試料を反応器内で水中に浸漬した。いくつかの実験においては、ゴム試料を水の上で多孔質のバスケット中に保持した。加熱は、反応器上の弁を開けたままにしておくことで開始させた。この弁は、容器が100℃を超える温度に到達した後で閉鎖した。これによって、反応器の加熱の間、生成した蒸気によって反応器のエアーをパージすることを可能とする。この温度は、所望の反応温度へと上昇させ、この反応は、1時間または5時間継続させた。所望の反応時間の終了した時点で、反応器を室温まで冷却し、内容物を除去した。
【0037】
反応の終了時点で存在する反応生成物の性質および相対量は、特定の反応条件の関数である。この反応生成物には、加硫ゴム、ゴム炭化水素、オイル分およびカーボンブラックが含まれていてよい。加硫ゴム、ゴム炭化水素およびカーボンブラックは固相中に存在しており、一方、オイル分は液相中に存在していた。この固相を水洗し、オーブン内で100℃で一定重量になるまで乾燥した。この洗浄工程によって、反応生成物上にある硫黄を除去する。
【0038】
実施例1〜14のゴム還元プロセスにおける収率を表1に示す。この収率(%)は、次の数式によって定義される。
【数1】
【0039】
上で計算した収率は、脱重合が進行するのにつれて低下する。表1から明らかなように、脱重合は、約320℃で生じ始める。例7は、蒸気中で懸濁したゴム資材を用いて実施した。脱重合度は、反応温度の増加および反応時間の増加とともに増大した。
【0040】
例6、8および9のゴム炭化水素について、硫黄含有量を分析した。ゴム炭化水素の硫黄含有量は、例6、8、9について、それぞれ0.19、0.18および0.22%であった。従って、測定した硫黄含有量は、ゴム資材の硫黄含有量よりも低く、硫黄がゴムから抽出されていることを示す。
表1:反応時間および温度の関数としての脱硫の百分率比
【0041】
【表1】
【0042】
複数工程を持つ分離プロセスを使用して、前記固相中の種々の成分を分離した。この固相をシクロヘキサンと混合し、60℃に加熱し、最長1時間攪拌した。このプロセスの間にゴム炭化水素がシクロヘキサンに溶解した。この混合物をワイヤーメッシュからなる濾過器に通し、シクロヘキサンに溶解しないであろう加硫ゴムを除去した。この濾過工程の間に除去された加硫ゴムを秤量し、この質量を、ゴムの初期質量に対して比較した。脱硫された試料画分を百分率比で算出した。得られた結果を表2に示す。
【0043】
表2から明らかなように、約280℃と約290℃との間での脱硫の性質に変化がある。290℃未満の反応温度では、最小限の脱硫しか起こらない。260℃と280℃との間では、ゴム片表面からゴム炭化水素とカーボンブラックとが除去された。このゴム片の残りは弾性を維持したままであった。従って、この片は、表面脱硫を受けている。290℃で1時間反応させたときには、31%の脱硫が生じ、バルクでの脱硫が生じていたことを示している。290℃の反応温度で反応時間を5時間まで延長したとき(例5)、あるいは反応温度を300℃以上に上昇させたとき(例6)には、この試料は完全なパルク脱硫を受けていた。従って、表面脱硫からバルク脱硫への移行があった。
表2: 反応時間および温度の関数としての脱硫百分率比
【0044】
【表2】
【0045】
前記濾過器を通過した混合物を濾紙に通し、カーボンブラックを分離した。こうして抽出したカーボンブラックは、その表面積を測定することで特徴付けた。カーボンブラック上に吸着された窒素を77°Kで測定し、BET等式を使用して表面積を引用した。例8のカーボンブラックについて、60m2/gの表面積を測定した。このようにして抽出されたカーボンブラックは、タイヤの製造時に使用したものに近い。
【0046】
最後に、シクロヘキサンを留去し、ゴム炭化水素を残留させた。このゴム炭化水素の分子量を、ゲル透過クロマトグラフィー法によって測定した。ゴム炭化水素の平均分子量を表3に示す。320℃の反応温度までは、最小限の脱重合しか起こらない。
表3: 反応時間および温度の関数としての平均分子量
【0047】
【表3】
【0048】
本発明の種々の実施形態による方法によって、種々の最終製品が可能となる。第一に、反応器から直接、次の分離工程なしに、最終製品を得ることができる。最小限の脱重合と共に完全な脱硫を完了させる反応条件のためには、反応生成物は、最初のゴムにほぼ等しいカーボンブラック対ゴム炭化水素比率を有しているであろう。従って、反応生成物は、ゴム調合物用の増量剤として利用できる。第二に、この最終製品は、反応生成物から抽出されたゴム炭化水素であって,そのカーボンブラックが除去されたゴム炭化水素であってよい。更に、このゴム炭化水素の分子量を調整するような反応条件を設定することも可能である。
【0049】
第三に、ゴム炭化水素から分離されたカーボンブラックは、末端製品として分離してよい。また、特定比率のカーボンブラックとゴム炭化水素とを含有する混合物も提供できる。例えば、10〜20%のゴム炭化水素を含有するカーボンブラックを使用して、ゴム調合物中のカーボンブラックの混合を容易にすることができる。最後に、低温での反応を利用して、表面修飾クラムラバーを製造できる。
【0050】
本分野の当業者にとって、タイヤには輸送分野で使用できるようなあらゆる加硫ゴムタイヤが含まれることは明らかである。また、本分野の当業者にとっては、合成ゴムを含む他の加硫ゴム製品も資材として利用できることは明らかである。
【0051】
また、本分野の当業者にとって、上記した処理条件が本発明の一実施形態に関するものであることは明らかである。本発明は、水を含む溶媒によるゴムの亜臨界処理を可能とするような処理パラメーター、すなわち温度、圧力、時間を包含する。
【0052】
もっとも実際的で好適な実施形態であると現時点で考えられるものに従って、本発明を説明してきたけれども、本発明はこれらの開示した実施形態に限定されないことは理解されなければならない。本分野の当業者は、請求の範囲に既定した本発明の思想および範囲から離れることなく、種々の改変や均等の構造および機能を作製できることを理解できる。従って、請求の範囲に既定した本発明は、すべてのこうした改変および均等の構造および機能部分を包含するように、もっとも広い範囲に解釈されなければならない。
【0053】
本明細書に開示した記載の下に本発明を変更することが可能である。本発明を説明する目的のために、特定の団標的な実施形態および詳細を示したけれども、本分野の当業者には、種々の変更および改変が、本発明の範囲から離れることなく可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、天然ゴムとSBRの粘度対時間の模式図である。
【図2】(a)は、熱分解還元ブロセスの完結完了百分率比対時間を模式的に示すグラフである。 (b)は、非熱分解プロセスの完結百分率比対時間を模式的に示すグラフである。
【図3】還元プロセスの固形分残留物重量対段階を模式的に示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係るタイヤ還元方法のフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係るタイヤの還元方法のフローチャートである。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るタイヤの還元方法のフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫ゴムを還元する方法であって、
合成ゴムを含む前記加硫ゴムを、水を含む溶媒の存在下で、前記溶媒の臨界温度より低い温度で加熱し;
少なくとも前記温度における前記溶媒の飽和蒸気圧に等しい圧力を加え;かつ
前記ゴムを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに十分な時間にわたって、前記温度および前記圧力を維持する、加硫ゴムの還元方法。
【請求項2】
前記溶媒が水である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、水と有機溶媒との混合物であり、この混合物が、水の還元性に類似した還元性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒がアルコールを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒がアルコールである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記温度が約260℃と約350℃との間である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記温度が約290℃から約320℃の間である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記圧力が、少なくとも部分的に不活性ガスによる加圧によってもたらされている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ゴムがタイヤである、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記タイヤが使用済み全タイヤである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記タイヤを裁断してタイヤ片を製造する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記タイヤ片が、約0.5mmから約5mmの間の粒径を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造された表面脱硫ゴム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造された完全脱硫ゴム。
【請求項15】
加硫タイヤを還元する方法であって、
合成ゴムを含むタイヤを、水を含む第一の溶媒の存在下に、前記第一の溶媒の臨界温度より低い温度へと加熱し、
前記温度で少なくとも前記溶媒の飽和蒸気圧に等しい圧力を与え、
前記タイヤを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに十分な時間にわたって、前記温度および前記圧力を維持し、
前記反応生成物の前記固相を洗浄および乾燥し、
前記ゴム炭化水素を第二の溶媒中で溶解させ、前記第二の溶媒はその中にゴム炭化水素を溶解させるのに適しており、
前記反応生成物からカーボンブラックを分離し、かつ
前記ゴム炭化水素から前記第二の溶媒を分離する、加硫タイヤを還元する方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素。
【請求項17】
請求項15記載の方法によって脱硫され、かつ少なくとも部分的に脱重合されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素の分子量がオイルの分子量よりも大きい、ゴム炭化水素。
【請求項18】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素が、カーボンブラックを含む混合物中にある、ゴム炭化水素。
【請求項19】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素が実質的に硫黄を含まない、ゴム炭化水素。
【請求項20】
請求項15記載の方法によって製造されたカーボンブラック。
【請求項21】
前記カーボンブラックの表面積が60m2/gである、請求項20記載のカーボンブラック。
【請求項22】
前記カーボンブラックが、タイヤ製造に使用されたカーボンブラックに近い、請求項20記載のカーボンブラック。
【請求項1】
加硫ゴムを還元する方法であって、
合成ゴムを含む前記加硫ゴムを、水を含む溶媒の存在下で、前記溶媒の臨界温度より低い温度で加熱し;
少なくとも前記温度における前記溶媒の飽和蒸気圧に等しい圧力を加え;かつ
前記ゴムを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに十分な時間にわたって、前記温度および前記圧力を維持する、加硫ゴムの還元方法。
【請求項2】
前記溶媒が水である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、水と有機溶媒との混合物であり、この混合物が、水の還元性に類似した還元性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒がアルコールを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒がアルコールである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記温度が約260℃と約350℃との間である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記温度が約290℃から約320℃の間である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記圧力が、少なくとも部分的に不活性ガスによる加圧によってもたらされている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ゴムがタイヤである、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記タイヤが使用済み全タイヤである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記タイヤを裁断してタイヤ片を製造する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記タイヤ片が、約0.5mmから約5mmの間の粒径を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造された表面脱硫ゴム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造された完全脱硫ゴム。
【請求項15】
加硫タイヤを還元する方法であって、
合成ゴムを含むタイヤを、水を含む第一の溶媒の存在下に、前記第一の溶媒の臨界温度より低い温度へと加熱し、
前記温度で少なくとも前記溶媒の飽和蒸気圧に等しい圧力を与え、
前記タイヤを脱硫し、主として固相であってゴム炭化水素を含む反応生成物を生成させるのに十分な時間にわたって、前記温度および前記圧力を維持し、
前記反応生成物の前記固相を洗浄および乾燥し、
前記ゴム炭化水素を第二の溶媒中で溶解させ、前記第二の溶媒はその中にゴム炭化水素を溶解させるのに適しており、
前記反応生成物からカーボンブラックを分離し、かつ
前記ゴム炭化水素から前記第二の溶媒を分離する、加硫タイヤを還元する方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素。
【請求項17】
請求項15記載の方法によって脱硫され、かつ少なくとも部分的に脱重合されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素の分子量がオイルの分子量よりも大きい、ゴム炭化水素。
【請求項18】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素が、カーボンブラックを含む混合物中にある、ゴム炭化水素。
【請求項19】
請求項15記載の方法によって製造されたゴム炭化水素であって、前記ゴム炭化水素が実質的に硫黄を含まない、ゴム炭化水素。
【請求項20】
請求項15記載の方法によって製造されたカーボンブラック。
【請求項21】
前記カーボンブラックの表面積が60m2/gである、請求項20記載のカーボンブラック。
【請求項22】
前記カーボンブラックが、タイヤ製造に使用されたカーボンブラックに近い、請求項20記載のカーボンブラック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2006−524266(P2006−524266A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571016(P2004−571016)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001421
【国際公開番号】WO2004/094513
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505392363)
【氏名又は名称原語表記】HARRISON, Brian, H.
【住所又は居所原語表記】193 Knudson Drive, Kanata, Ontario K2K 2C2, Canada
【出願人】(505392374)
【氏名又は名称原語表記】HOOPER, Hurdon, A.
【住所又は居所原語表記】137 Carriage Hill Drive, Fredericton, New Brunswick E3E 1A4, Canada
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001421
【国際公開番号】WO2004/094513
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505392363)
【氏名又は名称原語表記】HARRISON, Brian, H.
【住所又は居所原語表記】193 Knudson Drive, Kanata, Ontario K2K 2C2, Canada
【出願人】(505392374)
【氏名又は名称原語表記】HOOPER, Hurdon, A.
【住所又は居所原語表記】137 Carriage Hill Drive, Fredericton, New Brunswick E3E 1A4, Canada
【Fターム(参考)】
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