説明

ゴムサンプル採取方法および装置

【課題】ゴムサンプル21の形状を安定させながらカッター16からの離脱を容易とする。
【解決手段】カッター16の収納穴17にゴムサンプル21を吸着保持可能な吸着パッド36を出没可能に収納するとともに、該吸着パッド36を先端側に付勢して切刃18から突出させるスプリング46を設けたので、ゴムサンプル21の切り出し時に吸着パッド36がゴムシート12を吸着してそのずれを規制し、ゴムサンプル21の形状を安定させる。また、ゴムサンプル21が切り出されると、吸着パッド36はゴムサンプル21を吸着保持した状態でスプリング46によって切刃18より先端側に突出するため、ゴムサンプル21はカッター16から容易かつ確実に離脱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴムシートからゴムサンプルを採取する採取方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴムサンプル採取方法および装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−306975号公報
【0004】
このものは、先端に円穴および該円穴を囲む切刃を有するカッターと、前記カッターをゴムシートに向かって移動させることで、該カッターの切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出す移動機構と、前記円穴に接続可能な真空源およびエア源とを備え、切刃によりゴムシートから切り出されたゴムサンプルを真空源に接続された円穴内に引き込んでカッターに粘着させながら保持する一方、ゴムサンプルをカッターから離脱させるときには、エア源からのエアを円穴に導いて該エアによりゴムサンプルをカッターの円穴から押し出すようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のゴムサンプル採取方法および装置にあっては、カッターによるゴムサンプルの切り出し時にゴムシートを押さえる押さえ部材が存在しないため、切り出し時にゴムシートがずれてゴムサンプルの形状が不安定となるという課題があった。しかも、エアを円穴に導いてゴムサンプルをカッターから離脱させる際、ゴムサンプルの周方向の一部がカッターから外れると、該外れた部位からエアが噴出して円穴内の圧力が低下し、この結果、ゴムサンプルの残りの部分とカッター(円穴内面)との粘着力により、ゴムサンプルが円穴から離脱できないことがあるという課題もあった。
【0006】
この発明は、ゴムサンプルの形状を安定させながらカッターからの離脱を容易とすることができるゴムサンプル採取方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、第1に、先端に吸着パッドが出没可能に収納された収納穴および該収納穴を囲む切刃を有するカッターをゴムシートに向かって移動機構により移動させる工程と、前記移動により吸着パッドがゴムシートに押されて収納穴に押し込まれるとともに、該吸着パッドがゴムシートを吸着保持したとき、切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出す工程と、該切り出されたゴムサンプルを先端において吸着保持している吸着パッドに対し付勢部材が先端側に向かう付勢力を付与し、該吸着パッドの少なくとも先端部を切刃より先端側に突出させる工程とを備えたゴムサンプル採取方法により、達成することができる。
【0008】
第2に、先端に収納穴および該収納穴を囲む切刃を有するカッターと、前記カッターをゴムシートに向かって移動させることで、該カッターの切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出す移動機構と、前記収納穴に出没可能に収納され、前記切り出されたゴムサンプルを先端において吸着保持することができる吸着パッドと、前記吸着パッドに対し先端側に向かう付勢力を付与することで、該吸着パッドの少なくとも先端部を切刃より先端側に突出させる付勢部材とを備え、切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出すときには、吸着パッドはゴムシートを吸着しながら該ゴムシートに押されて収納穴に押し込まれる一方、ゴムシートからゴムサンプルが切り出されると、吸着パッドはゴムサンプルを吸着保持した状態で付勢部材によって切刃より先端側に突出するようにしたゴムサンプル採取装置により、達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、カッターの収納穴にゴムサンプルを吸着保持可能な吸着パッドを出没可能に収納するとともに、該吸着パッドを先端側に付勢して切刃から突出させることができる付勢部材を設けたので、ゴムサンプルの切り出し時に吸着パッドはゴムシートを吸着保持して、該ゴムシートのずれを規制することができ、これにより、切り出されたゴムサンプルの形状を安定させることができる。また、ゴムサンプルが切り出されると、吸着パッドはゴムサンプルを吸着保持した状態で付勢部材によって切刃より先端側に突出するため、ゴムサンプルはこの段階でカッターから容易かつ確実に離脱することができる。
【0010】
また、請求項3に記載のように構成すれば、ゴムサンプルの切り出し時におけるゴムシートの切断が確実となり、ゴムサンプルの形状が安定する。さらに、請求項4に記載のように構成すれば、ゴムサンプルを切り出し後、カッターをそのまま先端側に移動させることで、搬送コンベアまでゴムサンプルを搬送することができ、作業が迅速かつ容易となる。また、請求項5に記載のように構成すれば、ゴムサンプルを密封状態で搬送することができ、ゴムサンプル表面の汚染やゴムサンプルの形状変化等を容易に防止することができる。さらに、請求項6に記載のように構成すれば、ゴムサンプルを吸着パッドから容易かつ確実に離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態1を示す概略正面図である。
【図2】ゴムサンプルの切り出し作業を説明するカッター近傍の正面断面図である。
【図3】図2と同様のカッター近傍の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2、3において、11は前後方向に延びる水平な第1コンベアであり、この第1コンベア11は、図示していないモータから駆動力が付与されると、走行して押出し機から押出された薄肉帯状の未加硫ゴムからなるゴムシート12を前方に向かって搬送する。13は前記第1コンベア11の前方にこれから所定距離離隔して設置された水平な第2コンベアであり、この第2コンベア13は、前記第1コンベア11の延長線上を前後方向に延びるとともに、図示していないモータから駆動力が付与されると、走行して前記ゴムシート12を前方に向かって搬送する。
【0013】
16は第1コンベア11と第2コンベア13との間に設置され、上下方向に延びる略円柱状のカッターであり、このカッター16は待機時にはゴムシート12より上方に位置するとともに、その先端(下端)に軸線上を上方に向かって延びる収納穴17が形成されている。また、前記収納穴17を囲むカッター16の先端には平面形状が円形である切刃18が形成され、この切刃18は上下方向に少なくとも1回波打ちながら屈曲している。
【0014】
19は前記カッター16の直上に設置され上下方向に延びる移動機構としてのシリンダであり、このシリンダ19のピストンロッド20の先端(下端)は前記カッター16の上端に連結されている。そして、前記シリンダ19が作動してピストンロッド20が突出すると、カッター16が下降するが、このカッター16の下降の途中で切刃18がゴムシート12に接触すると、該切刃18はゴムシート12を切刃18の平面形状と同一形状、ここでは円形に切断し、該ゴムシート12から円板状のゴムサンプル21を切り出す。このとき、切刃18が波打っているため、切刃18によるゴムシート12の切断が周方向に徐々に進行し、その切断が円滑となる。
【0015】
なお、前述の実施形態においては切刃18の平面形状を円形としたが、この発明においては、前記切刃18の平面形状を楕円形、矩形等の閉曲線から構成してもよく、この場合には、前記切り出されたゴムサンプル21の形状はこの閉曲線と同一形状となる。また、この発明においては、前記カッター16をゴムシート12に向かって移動させることで、該カッター16の切刃18によりゴムシート12からゴムサンプル21を切り出す移動機構として、ねじ機構、ラック・ピニオン機構等を用いるようにしてもよい。
【0016】
前記ゴムシート12に対するカッター16の配置側(上方)と反対側、ここではゴムシート12の下方には、前記第1コンベア11と第2コンベア13とをほぼ橋渡す受け体24が設置され、この受け体24の上面は前記第1、第2コンベア11、13の搬送面(上面)と同一平面上に位置している。この結果、ゴムシート12が第1、第2コンベア11、13によって前方に搬送されているとき、該ゴムシート12は該受け体24の上面に摺接しながら通過する。この受け体24の中央部には上下方向に貫通する侵入孔としての貫通孔25が形成され、この貫通孔25にはゴムシート12からゴムサンプル21を切り出す際、カッター16の先端部が侵入する。
【0017】
ここで、前記受け体24の上面と貫通孔25の上端との境界には前記切刃18と対をなす円形の切刃26が形成され、この結果、前記受け体24はカッター16と協働して、該受け体24により下方から支持されているゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すことができる。このようにゴムシート12に対するカッター16の配置側と反対側に該カッター16と協働してゴムシート12からゴムサンプル21を切り出す受け体24を設けるとともに、該受け体24にゴムサンプル21の切り出し時にカッター16の先端部が侵入する貫通孔25を形成したので、ゴムサンプル21の切り出し時におけるゴムシート12の切断が確実となり、ゴムサンプル21の形状が安定する。なお、この発明においては、受け体24(切刃26)を省略し、カッター16の切刃18のみによってゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すようにしてもよい。
【0018】
前記収納穴17の底面(基端面)には円筒体29が一体形成され、この円筒体29の先端および基端内周には半径方向内側に向かって突出する環状の先端フランジ30および基端フランジ31がそれぞれ設けられている。32は中央部が前記円筒体29内に遊嵌された中空パイプであり、この中空パイプ32の外周は前記先端、基端フランジ30、31の内周に摺動可能に係合している。前記中空パイプ32の中央部外周には半径方向外側に向かって突出する環状のスプリング受け33が形成され、このスプリング受け33の外周は先端、基端フランジ30、31間における円筒体29の内周に摺接している。
【0019】
前記中空パイプ32の先端(下端)には加硫済みゴムからなる吸着パッド36が固定され、この吸着パッド36には下端が吸着パッド36の先端面(下面)に開口し、上端が前記中空パイプ32の中空通路に連通する吸着室37が形成されている。そして、前記中空パイプ32および吸着パッド36が円筒体29にガイドされながら上方限まで移動すると、該吸着パッド36は収納穴17内に全体が収納され、一方、下降限まで移動すると、少なくとも先端部(下端部)、ここでは全体が収納穴17の先端(切刃18)より先端側に突出する。この結果、前記吸着パッド36は収納穴17に出没可能に収納されていることになる。
【0020】
前記円筒体29より上方(基端側)のカッター16内には上下方向に延びる接続通路38が形成され、この接続通路38内には前記中空パイプ32の上端部が突出している。この結果、前記接続通路38の下端部と中空パイプ32の中空通路とは常時連通していることになる。39は一端が前記接続通路38の上端部に、他端が切換弁40に接続された第1通路であり、この切換弁40には第2通路41を通じて真空源42が、また、第3通路43を通じて圧縮エア等の圧縮気体源44が共に接続されている。そして、前記切換弁40が切換えられて真空源42と吸着パッド36の吸着室37とが接続されると、吸着室37内の圧力が低下するため、該吸着パッド36は先端において前記切り出されたゴムサンプル21を吸着保持することができる。
【0021】
46は円筒体29内に収納されるとともに、前記基端フランジ31とスプリング受け33との間に介装された付勢部材としてのスプリングであり、このスプリング46は前記中空パイプ32、吸着パッド36に対し先端側(下方)に向かう付勢力を付与し、中空パイプ32をそのスプリング受け33が円筒体29の先端フランジ30に当接した下降限まで移動させる。このように中空パイプ32、吸着パッド36が下降限まで移動すると、前述のように吸着パッド36は少なくとも先端部(ここでは全体)が収納穴17の先端(切刃18)より先端側に突出する。なお、この発明においては、付勢部材として内部にエアが密封充填されたゴムチューブや小型のエアシリンダを用いるようにしてもよい。
【0022】
そして、吸着パッド36が図1のように、切刃18より先端側に突出しているとき、シリンダ19が作動してカッター16が下降し、吸着パッド36が受け体24上のゴムシート12に押し付けられると、該吸着パッド36はゴムシート12により下降が規制されるため、ゴムシート12に押され収納穴17内に押し込まれて収納される一方、スプリング46は基端フランジ31とスプリング受け33とが接近することで、これらに押されて圧縮される。このとき、切換弁40が切換えられて真空源42と吸着パッド36の吸着室37とが接続され、これにより、吸着パッド36は前記ゴムシート12を上方から吸着保持する。この状態でカッター16がさらに下降すると、図2に示すように、カッター16の切刃18および受け体24の切刃26は協働して、吸着パッド36に吸着保持されている部位の周囲のゴムシート12を切断し、円板状のゴムサンプル21を切り出す。
【0023】
このように切刃18、26によりゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すときには、吸着パッド36はゴムシート12を吸着保持しながら該ゴムシート12に押されて収納穴17内に押し込まれるのである。ここで、前述のようにゴムシート12からゴムサンプル21を切り出すとき、吸着パッド36により切刃18に囲まれた部位のゴムシート12を吸着保持するようにすれば、切断時におけるゴムシート12のずれを規制することができ、ゴムサンプル21の形状が安定する。そして、前述のようにゴムシート12からゴムサンプル21が切り出されると、ゴムサンプル21はゴムシート12からの規制から解放されてフリーとなるため、吸着パッド36はゴムサンプル21を吸着保持した状態で中空パイプ32と共にスプリング46の付勢力により下降限まで移動して、図3に示すように、カッター16の切刃18より先端側に突出する。この結果、ゴムサンプル21はカッター16から容易かつ確実に離脱することができる。
【0024】
50は受け体24よりカッター16の移動方向前方、この実施形態では下方に設置された水平な搬送コンベアであり、この搬送コンベア50は前後方向に延びるとともに、その上流端部が受け体24の直下に位置している。そして、前述のように吸着パッド36および該吸着パッド36に吸着保持されているゴムサンプル21がシリンダ19の作動により貫通孔25内を通過後、さらに下降すると、前記ゴムサンプル21は搬送コンベア50の上流端部に受け渡される。このように受け体24に貫通した貫通孔25を形成する一方、受け体24よりカッター16の移動方向前方にゴムサンプル21を受け取る搬送コンベア50を配置すれば、ゴムサンプル21の切り出し後、カッター16およびゴムサンプル21を吸着保持している吸着パッド36をそのまま先端側に移動(下降)させるだけで、搬送コンベア50までゴムサンプル21を搬送することができ、作業が迅速かつ容易となる。
【0025】
そして、吸着パッド36に保持されたゴムサンプル21を搬送コンベア50に受け渡す際には、吸着パッド36を真空源42から遮断し、ゴムサンプル21を吸着パッド36による吸着保持から解放するだけでもよいが、この実施形態においては、切換弁40を切換えて圧縮気体源44と吸着パッド36の吸着室37とを接続して該吸着室37に圧縮気体、例えば高圧エアを供給し、吸着パッド36に吸着保持されていたゴムサンプル21を吸着室37に導かれた圧縮気体の圧力により吸着パッド36から強制的に離脱させる。これにより、ゴムサンプル21を吸着パッド36から容易かつ確実に離脱させることができる。
【0026】
53はポリエチレンフィルム等からなり薄肉で一定幅の下フィルム54がロール状に巻き取られた巻きロールであり、この巻きロール53から巻出された下フィルム54は前記搬送コンベア50の上流端に供給された後、該搬送コンベア50上に配置される。この結果、吸着パッド36から受け渡されたゴムサンプル21は前記搬送コンベア50上の下フィルム54上に載置された後、搬送コンベア50の走行により下フィルム54と共に下流側(後方)に向かって搬送される。
【0027】
57は前記巻きロール53の後方に設置され、前記下フィルム54と同様の上フィルム58がロール状の巻き取られた巻きロールであり、この巻きロール57から巻出された上フィルム58は搬送コンベア50の長手方向中央部に供給され、搬送途中における下フィルム54上に重ね合わされる。これにより、下フィルム54上に載置されたゴムサンプル21はこれら下、上フィルム54、58間に介装されることになる。この結果、搬送コンベア50はゴムサンプル21を密封状態で下流側に搬送することができて該ゴムサンプル21の表面における汚染を防止することができるとともに、ゴムサンプル21の形状変化も容易に防止することができる。
【0028】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
今、第1、第2コンベア11、13の作動によりゴムシート12が前方に向かって搬送され、該ゴムシート12の所定部位が受け体24上に到達したので、前記搬送が停止したとする。このとき、カッター16はシリンダ19のピストンロッド20が引っ込んでいるため、ゴムシート12の上方で待機しており、また、吸着パッド36はフリーな状態であるため、スプリング46の付勢力によって下降限まで移動し、全体がカッター16の先端(切刃18)から先端側に突出している。
【0029】
次に、シリンダ19が作動してピストンロッド20が突出すると、カッター16、吸着パッド36はシリンダ19によりゴムシート12に向かって先端側(下方)に移動するが、この移動(下降)の途中で吸着パッド36がゴムシート12に押し付けられると、該吸着パッド36は、ゴムシート12により下降が規制されるため、該ゴムシート12に押され収納穴17内に全体が押し込まれて収納される。このとき、スプリング46は基端フランジ31とスプリング受け33に押されて圧縮される。また、このとき、切換弁40が切換えられて真空源42と吸着室37とが接続され、この結果、吸着室37が真空となってゴムシート12に押し付けられた吸着パッド36がゴムシート12を上方から吸着保持する。
【0030】
この状態でシリンダ19によりカッター16をさらに下降させると、吸着パッド36はゴムシート12により現位置を維持する一方、カッター16のみが下降してその先端部が貫通孔25内に侵入し、これにより、切刃18、26は吸着パッド36に吸着保持されている部位の周囲のゴムシート12を協働して切断し、円板状のゴムサンプル21を切り出す。このようにゴムシート12からゴムサンプル21が切り出されると、ゴムサンプル21はゴムシート12との連続性がなくなるため、スプリング46が切り出されたゴムサンプル21を吸着保持している吸着パッド36に対し弾性復元力(付勢力)を付与し、該吸着パッド36をゴムサンプル21と共に下降限まで移動させて、少なくとも先端部、ここでは吸着パッド36全体を切刃18より先端側に突出させる。
【0031】
このようにカッター16の収納穴17にゴムサンプル21を吸着保持可能な吸着パッド36を出没可能に収納するとともに、該吸着パッド36を先端側に付勢して切刃18から突出させることができるスプリング46を設けたので、ゴムサンプル21の切り出し時に吸着パッド36はゴムシート12を吸着して、該ゴムシート12のずれを規制することができ、これにより、切り出されたゴムサンプル21の形状を安定させることができる。また、ゴムサンプル21が切り出されると、吸着パッド36はゴムサンプル21を吸着保持した状態でスプリング46によって切刃18より先端側に突出するため、ゴムサンプル21はこの段階でカッター16から容易かつ確実に離脱することができる。
【0032】
そして、前記吸着パッド36、ゴムサンプル21が貫通孔25を通過した後も、さらにカッター16をシリンダ19によって吸着パッド36に吸着保持されているゴムサンプル21が搬送コンベア50(下フィルム54)の上流端部に当接あるいはこれから僅かに離れた位置まで下降させる。その後、切換弁40を切換え、圧縮気体源44と吸着室37とを接続して該吸着室37に圧縮気体を供給すると、吸着パッド36に吸着保持されていたゴムサンプル21は吸着室37に導かれた圧縮気体に押されて吸着パッド36による吸着保持から強制的に解放離脱され、搬送コンベア50(下フィルム54)上に供給される。なお、前記圧縮気体の圧力を複数種類、例えば高圧、低圧の2種類とし、吸着パッド36に対するゴムサンプル21の粘着力の強さ(外れ難さ)に対応して、その圧力を適宜変更するようにしてもよい。
【0033】
次に、シリンダ19を作動してカッター16を初期位置まで上昇させる一方、第1、第2コンベア11、13を作動し、ゴムサンプル21が切り出されたゴムシート12を前方に搬出する一方、次にゴムサンプル21を採取するゴムシート12を受け体24上まで搬送する。一方、搬送コンベア50(下フィルム54)上に供給されたゴムサンプル21は該搬送コンベア50の走行により、後方に向かって搬送されるが、この搬送の途中で巻きロール57から巻出された上フィルム58が下フィルム54上に供給されて重ね合わされるため、採取されたゴムサンプル21は上、下フィルム58、54により上下から挟持されるとともに密封される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、ゴムシートからゴムサンプルを採取する産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
16…カッター 17…収納穴
18…切刃 19…移動機構
21…ゴムサンプル 24…受け体
25…侵入孔 36…吸着パッド
46…付勢部材 50…搬送コンベア
54…下フィルム 58…上フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に吸着パッドが出没可能に収納された収納穴および該収納穴を囲む切刃を有するカッターをゴムシートに向かって移動機構により移動させる工程と、前記移動により吸着パッドがゴムシートに押されて収納穴に押し込まれるとともに、該吸着パッドがゴムシートを吸着保持したとき、切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出す工程と、該切り出されたゴムサンプルを先端において吸着保持している吸着パッドに対し付勢部材が先端側に向かう付勢力を付与し、該吸着パッドの少なくとも先端部を切刃より先端側に突出させる工程とを備えたことを特徴とするゴムサンプル採取方法。
【請求項2】
先端に収納穴および該収納穴を囲む切刃を有するカッターと、前記カッターをゴムシートに向かって移動させることで、該カッターの切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出す移動機構と、前記収納穴に出没可能に収納され、前記切り出されたゴムサンプルを先端において吸着保持することができる吸着パッドと、前記吸着パッドに対し先端側に向かう付勢力を付与することで、該吸着パッドの少なくとも先端部を切刃より先端側に突出させる付勢部材とを備え、切刃によりゴムシートからゴムサンプルを切り出すときには、吸着パッドはゴムシートを吸着しながら該ゴムシートに押されて収納穴に押し込まれる一方、ゴムシートからゴムサンプルが切り出されると、吸着パッドはゴムサンプルを吸着保持した状態で付勢部材によって切刃より先端側に突出するようにしたことを特徴とするゴムサンプル採取装置。
【請求項3】
前記ゴムシートに対するカッターの配置側と反対側にカッターと協働してゴムシートからゴムサンプルを切り出す受け体を設けるとともに、該受け体にゴムサンプルの切り出し時にカッターの先端部が侵入する侵入孔を形成した請求項2記載のゴムサンプル採取装置。
【請求項4】
前記侵入孔は受け体を貫通する貫通孔であり、該受け体よりカッターの移動方向前方にゴムサンプルを受け取る搬送コンベアを配置した請求項3記載のゴムサンプル採取装置。
【請求項5】
前記搬送コンベア上に下フィルムを配置して、カッターから受け取ったゴムサンプルを該下フィルム上に載置するとともに、搬送コンベアによる搬送途中で下フィルム上に上フィルムを重ね合わせ、ゴムサンプルをこれら下、上フィルム間に介装するようにした請求項4記載のゴムサンプル採取装置。
【請求項6】
前記吸着パッドからゴムサンプルを搬送コンベアに受け渡す際、該吸着パッドに圧縮気体を供給してゴムサンプルを吸着パッドから強制的に離脱させるようにした請求項4または5記載のゴムサンプル採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−158414(P2011−158414A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21845(P2010−21845)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】