説明

ゴムロールの製造方法およびゴムロール

【課題】コレットチャックの形状をコンパクトにしながら、芯金軸の把持精度を高めて、高精度のゴムロールを研削することのできるゴムロールの製造方法を提供する。
【解決手段】ゴムロールの端部から突出している芯金軸の外周面をコレットチャックの内周面で把持固定して該ゴムロールを研削する該コレットチャックが、三つ割形状であって、該コレットチャックの全長と該コレットチャックの弾性変形部胴長の比が3.8倍以上であって、該コレットチャックのガイド部胴長と該弾性変形部胴長の比が1.4倍以上であって、該コレットチャックの該ガイド部胴長とガイド部胴径の比が1.1倍以上であって、該弾性変形部の該三つ割スリット根元部に該弾性変形部胴径のバネ常数を調整する手段として切り通し孔を設けていることを特徴とするゴムロールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴムロール(特に複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる帯電ロール、現像ロール、その他の各種ロール)を研削する製造方法およびゴムロールに関する。詳しくは、ゴムロールの芯金軸端部をコレットチャックで把持固定してゴムロールの弾性層の外周面を研削する製造方法およびゴムロールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真はカラー化が進み、より高精細で画像の均一性(ハーフトーンの一様性)等の高度なものが求められてきている。このため、電子写真に用いられるゴムロールには外径振れ寸法の高精度化は特に重要な要素とされる。例えば、電子写真に用いられる帯電ロールではゴムロールの外径振れが大きいと、帯電ロールが一回転する間で感光ドラムに当接する幅(ニップ幅という)のばらつきが大きくなり、その結果、帯電ロールが一回転する中で感光ドラムを帯電させる量のムラ(周ムラ)が大きくなって、プリントした画像上に帯電ロールの回転ピッチで濃淡ムラの画像不良を発生させてしまう。一般的なモノクロのLBP(レーザービームプリンタ)に用いられる帯電ロールは外径振れ寸法が0.1mmを超えると上記の画像不良が発生しやすくなるのに対して、カラーのLBPに用いられる帯電ロールは外径振れが0.050mmを超えてしまうと画像不良が発生しやすくなるため、特に外径振れ寸法の高精度化が必要とされる。
【0003】
従来、高精度のゴムロールを短時間の研削加工で製造することができる技術として、ゴムロールの芯金軸をコレットチャック等でしっかりと把持固定して回転駆動させた状態でゴムロールの弾性層の外周面に高速回転させた砥石を接触させて研削する方法がある。この技術においては、ゴムロールの芯金軸を把持固定するコレットチャックの把持精度により研削中のゴムロールの回転振れを決定し、最終的に研削した後のゴムロールの寸法精度に大きく影響することが判明している。
【0004】
通常、コレットチャックはドローバーで引き込まれ、この過程でコレットチャックの外周テーパ部(コレットチャック外周テーパ部と表すことがある)が回転フランジ内のスリーブのテーパ部(スリーブテーパ部と表すことがある)と合わさっていく。コレットチャックには複数のスリットが入れられており、また、コレットチャック外周テーパ部とスリーブテーパ部には角度差がついており、スリーブテーパ部と合わせられるとコレットチャック外周テーパ部は押圧されてコレットチャックは内径方向に締まっていき、その内周部で芯金軸を把持固定する機構となっている。コレットチャックは把持毎にスリーブテーパ部の一定の位置まで引き込まれる。
【0005】
コレットチャックはドローバーで引き込まれて回転フランジのスリーブ内を軸方向に移動する。回転フランジのスリーブ内にはコレットチャックとの摺動を案内するためのガイド部があり、一方、コレットチャックにはそれに対応するガイド部がある。通常、コレットチャックの引き込み精度を安定さるため、スリーブのガイド部とコレットチャックのガイド部のクリアランスを小さくする必要があり、ゲージ合せでコレットチャックのガイド部胴径とスリーブのガイド部内径のクリアランスは0.010mmから0.020mm程度に設計されている。
【0006】
コレットチャックのガイド部胴径とスリーブのガイド部内径にはクリアランスがあるため、把持していない時のコレットチャックはテーパ先端部を下方に向けて回転フランジのスリーブテーパ部と位置しており、把持動作によりコレットチャックが引き込まれると、コレットチャックは上方に持ち上げられる形でテーパ同士を合わせていくことになる。この動作を繰り返していくとテーパ面同士のキズの発生が早まり、コレットチャックの精度低下を加速されて、コレットチャックの交換頻度を多くしてしまう。
【0007】
しかし、このクリアランスを小さくし過ぎると、コレットチャックとスリーブがガイド部でかじりを起こし、ガイド部の両端部に摺動キズが発生して、ガイドの案内精度が悪くなりコレットチャックの繰り返し把持精度を悪化させてしまう恐れがある。ガイド部同士の間にグリースを少量塗布することもあるが、ゴムロールを研削する場合では研削するゴムロールの表面への付着が懸念されることから、グリースの塗布量は非常に制限されてしまう。また、定期的にグリースを塗布するため、研磨機の稼動を停止させてコレットチャックを回転フランジより外して作業するメンテナンスの手間が必要となってしまう。
【0008】
コレットチャックの把持の繰り返し精度を安定させる方法としては、コレットチャックのガイド部より先の弾性変形部の形状を平行平板状に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これはコレットチャックの弾性変形部にかかる径方向の応力の集中を緩和し、長期間での使用の繰り返し弾性変形により材料疲労を起こすことによる把持精度の低下を抑制させる方法であり、初期精度の向上の効果は乏しい。他にも、コレットチャックのガイド部をコレットチャックの後端側に長くすることでガイド部の摺動精度を安定させる方法がある。この方法では、コレットチャックは長い形状となってしまう。
【0009】
ゴムロールの弾性層の外周面を研削するゴムロールの製造方法では、コレットチャックの形状がコンパクトであって、初期のコレットチャックの把持精度を向上させて、且つ、把持精度を低下させないことが求められていた。
【特許文献1】特開2002−239819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題を解決するためになされたものであり、コレットチャックの形状をコンパクトにしながら、芯金軸の把持精度を高めて、高精度のゴムロールを研削することのできるゴムロールの製造方法およびゴムロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、芯金軸と該芯金軸上に円筒状に設けられた弾性層を有するゴムロールの外周面を研削するゴムロールの製造方法において、該ゴムロールの端部から突出している該芯金軸の外周面をコレットチャックの内周面で把持固定して該ゴムロールを研削する該コレットチャックが、三つ割形状であって、該コレットチャックの全長と該コレットチャックの弾性変形部胴長の比が3.8倍以上であって、該コレットチャックのガイド部胴長と該弾性変形部胴長の比が1.4倍以上であって、該コレットチャックの該ガイド部胴長とガイド部胴径の比が1.1倍以上であって、該弾性変形部の該三つ割スリット根元部に該弾性変形部胴径のバネ常数を調整する手段として切り通し孔を設けていることを特徴とするゴムロールの製造方法である。
【0012】
また、本発明は、電子写真装置に用いられるゴムロールであって、上記ゴムロールの製造方法によって製造されたものであることを特徴とするゴムロールである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のゴムロールの製造方法によれば、コレットチャックの形状をコンパクトにしながら、芯金軸を把持固定する初期精度が向上し、且つ、把持動作の繰返しによるコレットチャックの把持精度の低下が抑制されることから、芯金軸を把持固定して回転させる精度は高いまま安定し、研削加工されたゴムロールの外径振れ寸法を高精度で長期間にわたり安定して製造することができる。特にヒドリンゴム、NBR、EPDM、ウレタンゴム等から形成された弾性層を有するゴムロールを研削する際に前記効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態の一例を図を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明のゴムロールの製造方法における研削装置の概要を模式的に示した図である。ゴムロール4の芯金軸5の左側端部の外周面を、研削装置の主軸側のコレットチャック1で把持固定するとともに、芯金軸5の右側端部のC面をテール側の逆センター軸3で押さえ込む。芯金軸の右端面にセンター穴が設けられている場合には、テール側を逆センター軸3の代わりにセンター軸で押さえ込むことも可能である。コレットチャック1が取り付けられている主軸側の回転フランジ2がモーター(不図示)により回転駆動させられると、ゴムロール4が回転され、この回転されたゴムロール4の弾性層の外周面に高速回転させた砥石6を接触させて研削加工が行われる。ゴムロール4は、通常300〜600rpmで回転され、一方、砥石6は、通常、その周速度がゴムロールの弾性層の周速度の100倍〜200倍となるような回転速度で回転される。
【0016】
砥石としては、通常、図1に示したようなゴムロールの弾性層全長よりも大きい幅を有するものや、20mmから50mm程度の幅を有するものを使用することができる。砥石の材質は特に限定されず、研削するゴムロールの弾性層に適したものを適宜選択すればよい。砥石の具体例としては、例えば、砥粒がGC(グリーンカーボン)タイプで粒度が♯80等を挙げることができる。ゴムロールの弾性層の全長よりも大きい幅を有する砥石を使用する場合には、砥石をゴムロールの弾性層に押し当てる方式(プランジ方式)を採用することが好ましい。この場合あらかじめ所定の形状にドレス加工した砥石を用いてもよい。20mmから50mm程度の幅を有する砥石を使用する場合には砥石をゴムロールの弾性層の長手方向(左右方向)に動かす方式(トラバース方式)とするのが好ましい。
【0017】
図2は本発明のゴムロール製造方法における研削装置のコレットチャック取付け部の断面を模式的に示した図である。コレットチャック1には、円周方向で等間隔に3本のスリット17が設けられて3つ割形状になっていて、3本のスリット17の根元部に切り通し孔18がそれぞれ設けてある。コレットチャック1の芯金軸挿入孔11にゴムロール4の芯金軸5を挿入すると、コレットチャック1内のニードル8に突き当たり芯金軸5の把持長さが決まる。また、コレットチャック1はドローバー7と接合されており、ドローバー7を引くことによりコレットチャック1が引き込まれて芯金軸挿入孔11が締まり、また、ドローバー7を押すことによりコレットチャック1が押し出されて芯金軸挿入孔11が開かれる。コレットチャック1が引き込まれ芯金軸挿入孔11が芯金軸の径まで締まることによって芯金軸5が把持固定される。
【0018】
ドローバー7を引き込むとコレットチャック1は図2の右から左へ動き、コレットチャック外周テーパ部10は回転フランジ2内のスリーブ12のスリーブテーパ部13と次第に合わさっていく。外周テーパ部10は弾性変形部16の先にあり、コレットチャック1が弾性変形部16の弾性によって径方向の内側に向かって変形することで、コレットチャック1が引き込まれる向きの力は芯金軸5の外周面を把持固定する向きの力に変換される。コレットチャック1はスリーブ12内を精度良く繰り返し摺動動作をさせるため、コレットチャック1とスリーブ12には同じ長さのガイド部を設けている。ガイド部15の胴径とスリーブガイド部14の内径のクリアランスは0.010mm程度に設計されている。
【0019】
本発明のゴムロール製造方法における研削装置のコレットチャック1は、コレットチャック1の全長を長くすることなく、ガイド部15の胴長をコレットチャック1の先端側に長くして、弾性変形部16の胴長とガイド部15の胴長との比率を小さくし、ガイド部15の胴長と胴径の比率を大きくしている。弾性変形部16の胴長が短くなった分を、弾性変形部16に切り通し孔18を加工して弾性変形部16のバネ常数を調整している。具体的には、コレットチャック1の全長と弾性変形部16の胴長の比を3.8倍以上とし、ガイド部15の胴長と弾性変形部16の胴長の比を1.4倍以上とし、ガイド部15の胴長とガイド部15の胴径の比を1.1倍以上とし、且つ、弾性変形部16の3本のスリット17の各根元部に切り通し孔18を加工している。
【0020】
弾性変形部16のバネ常数を調整するための切り通し孔18の径の算出は静定はりの計算で、コレットチャック1の弾性変形部16のガイド部15との境界の根元側を一方の固定端として、コレットチャック1の外周テーパ部10をもう一方の自由端とした時において、外周テーパ部10の撓ませる量を一定にした場合に必要な力の計算により求めている。
【0021】
図2では、切り通し孔18の形状を真円形状としているが、弾性変形部16の残りの幅が一定であれば長孔形状でも構わない。しかし、切り通しの形状を角のある形状にすると、角部に応力が集中してしまい、耐久性が低下するため、好ましくはない。また、ガイド部15をコレットチャック1の先端側に近づけ過ぎて弾性変形部16の胴長を短くし過ぎると、弾性変形部16の切り通し孔18の径が相対的に大きくなり過ぎてしまい、コレットチャック1の耐久性に問題が発生してしまうため、好ましくはない。
【0022】
ガイド部15の位置と胴長は、回転フランジ2内のスリーブ12のスリーブガイド部14と対応する位置および胴長に設計している。また、ガイド部15の胴長は全体が同じ胴径ではなく、中央部を小径として両端側5mm程度の胴径だけの精度を出すことで、摺動する面積を小さくして摺動動作の抵抗を小さくしている。
【0023】
図2のコレットチャック1は、弾性変形部16の胴長が短いことから、ガイド部15から外周テーパ部10までの距離が短いため、コレットチャック1がスリーブテーパ部13の中央部により近くに位置することで、コレットチャック1を引き込む動作を繰り返しても外周テーパ部10のキズの発生は円周方向でより均一となる。これにより本発明のゴムロールの製造方法では、コンパクトなコレットチャックの形状のままで、芯金軸の繰返し把持精度を高くすることが可能となる。
【0024】
図3は従来のゴムロールの製造方法における研削装置のコレットチャック取付け部を模式的に示した図である。図3のコレットチャック1は、コレットチャック1の全長と弾性変形部16の比が2.4倍であり、ガイド部15の胴長と弾性変形部16の胴長との比が0.5倍であり、ガイド部15の胴長と胴径の比が0.7倍である。弾性変形部16の胴長を十分に長くすることで、弾性変形部16のバネ常数を調整しているため、切り通し孔は存在しない。
【0025】
図3のコレットチャック1は、弾性変形部16の胴長が長いことから、ガイド部15から外周テーパ部10までの距離が長く、コレットチャック1がスリーブテーパ部13の下方向により下がって位置し、コレットチャック1を引き込む動作を繰り返すと、本発明のコレットチャック1よりも外周テーパ部10のキズが円周方で不均一に発生してしまう。その結果、芯金軸5の把持精度の低下が早まり、研削後のゴムロール4の外径振れ寸法は早期に悪化してしまう。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明のゴムロールの製造方法を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0027】
(実施例1)
(ゴムロール)
エピクロロヒドリンゴム100質量部、カーボンブラック5質量部、可塑剤10質量部、炭酸カルシウム30質量部、硫黄2質量部およびメルカプトベンゾチアゾール1質量部からなるゴム配合物を加圧式ニーダーで混練し、一軸クロスヘッド押出機にて軸径φ6mm、全長250mmの芯金軸の外周に前記ゴム配合物からなるゴム配合物混練物層を設け、さらに200℃、20分加熱して加硫して弾性層を形成しゴムロールを得た。このゴムロールは、弾性層の外径φ15mm、弾性層の幅230mmであり、芯金軸の突出量は左右とも10mmであった。
【0028】
(研削装置)
本実施例の研削装置は、図1および図2に示したように、主軸側にコレットチャックを備え、これでゴムロールの一方の芯金軸端部を把持し、他端部のC面をテール側の逆センター軸で押さえ込む方式である。砥石として径がφ200mmで全幅が232mmの幅広タイプのものを用いたプランジ方式を採用した。
【0029】
コレットチャックの形状は、コレットチャックの全長が66.5mmであり、ガイド部の胴長が25.5mmであり、ガイド部の胴径がφ22mmであり、弾性変形部の胴長が17.5mmであり、弾性変形部の胴径がφ16.0mmであり、3箇所のスリットの根元にφ8.0mmの径の切り通し孔を加工した。
【0030】
(研削条件)
上記ゴムロールの一方の端部をコレットチャックの芯金軸挿入孔11に挿入し、コレットチャックによる把持長さを5mmに設定し、把持固定した。他端部はテール側の逆センター軸で押さえ込んでゴムロールを研削装置に取り付けた。ゴムロールの回転数を300rpmに、砥石の回転数を2800rpmとし、研削時間30秒で研削して研削後のゴムローラを得た。なお、研削後のゴムロールの弾性層の径はφ12mmとした。
【0031】
(評価方法)
(1)把持精度
5万本目、10万本目および20万本目のゴムロールの研削を終えた直後に、コレットチャックにφ6mmのピンゲージを咥えさせ、咥え元の位置の回転振れをテコ式ダイヤルゲージを用いて測定した。
【0032】
(2)研削後ゴムロールの外径振れ寸法
5万本目、10万本目および20万本目に研削したゴムロールの中央部の外径振れ寸法をレーザー測長器を用いて測定した。
【0033】
上記条件で、20万本のゴムローラを研削加工し、コレットチャックの把持精度および研削後のゴムロールの外径振れ寸法の推移を次の方法で評価した。得られた結果を表1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
(比較例1)
比較例の研削装置のコレットチャックの形状としては、コレットチャックの全長が66.5mmであり、ガイド部の胴長が15.0mmであり、ガイド部の胴径がφ22.0mmであり、弾性変形部の胴長が28.0mmであり、弾性変形部の胴径がφ18.0mmであり、切り通し孔は設けていなかった。上記以外は実施例1と同様の研削装置を用い、実施例1と同様にしてゴムロールを研削し、コレットチャックの把持精度および研削後のゴムロールの外径振れ寸法の推移を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0036】
【表2】

【0037】
表1と表2のコレットチャックの把持精度の推移をみると、5万本目のゴムロールを研削した直後においては、実施例1および比較例1の研削装置とも差がみられなかったが、10万本目のゴムロールを研削した直後においては、実施例1の研削装置の把持精度が0.005mmであったのに対し、比較例1の研削装置では0.008mmであり、20万本目のゴムロールを研削した直後においては、実施例1の研削装置では0.004mmと変わらなかったのに対し、比較例1の研削装置では0.012mmであり、把持精度が低下してしまった。
【0038】
また、表1と表2の研削後のゴムロールの外径振れ寸法の推移をみると、5万本目のゴムロールにおいては、実施例1および比較例1とも差がみられなかったが、表1に示したように、10万本目のゴムロールにおいては、実施例1の研削後のゴムロールの外径振れ寸法が0.020mmであったのに対し、比較例1の研削後のゴムロールの外径振れ寸法は0.036mmであり、20万本目のゴムロールにおいては、実施例1の研削後のゴムロールの外径振れ寸法が0.018mmとほとんど変わらなかったのに対し、比較例1の研削後のゴムロールの外径振れ寸法は0.052mmであり、外径振れの寸法精度も低下してしまった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のゴムロールの製造方法は、芯金軸上に円筒状に設けられた加硫ゴムの弾性層を有するゴムロール、特にヒドリンゴム、NBR、EPDM、ウレタンゴム等からなる弾性層を有するゴムロールを研削して製造する場合に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のゴムロール製造方法における研削装置の概要を模式的に示した図である。
【図2】本発明のゴムロール製造方法における研削装置のコレットチャック取り付け部の断面を模式的に示した図である。
【図3】従来のゴムロール製造方法における研削装置のコレットチャック取付け部の断面を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 コレットチャック
2 回転フランジ
3 芯押し側逆センター軸
4 ゴムロール
5 芯金軸
6 砥石
7 ドローバー
8 ニードル
10 コレットチャック外周テーパ部
11 芯金軸挿入孔
12 スリーブ
13 スリーブテーパ部
14 スリーブガイド部
15 ガイド部
16 弾性変形部
17 スリット
18 切り通し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金軸と該芯金軸上に円筒状に設けられた弾性層を有するゴムロールの外周面を研削するゴムロールの製造方法において、該ゴムロールの端部から突出している該芯金軸の外周面をコレットチャックの内周面で把持固定して該ゴムロールを研削する該コレットチャックが、三つ割形状であって、該コレットチャックの全長と該コレットチャックの弾性変形部胴長の比が3.8倍以上であって、該コレットチャックのガイド部胴長と該弾性変形部胴長の比が1.4倍以上であって、該コレットチャックの該ガイド部胴長とガイド部胴径の比が1.1倍以上であって、該弾性変形部の該三つ割スリット根元部に該弾性変形部胴径のバネ常数を調整する手段として切り通し孔を設けていることを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項2】
電子写真装置に用いられるゴムロールであって、請求項1記載のゴムロールの製造方法によって製造されたものであることを特徴とするゴムロール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−953(P2007−953A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182103(P2005−182103)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】