説明

ゴム成形シートとその製造方法

【課題】 外観が良好で、平坦な部材に確実に密着するゴム成形シートとその製造方法を提供する。
【解決手段】 一対の透明なゴムシート層14,22と、一対のゴムシート層14,22の間に挟まれ、任意の絵柄やその他の部材が設けられた絵柄層である押し花20等から成る。ゴムシート層14,22の少なくとも一方の表面に、一定ピッチの凹凸部16,18を備える。凹凸部16,18の先端には、ゴム成形シート14,22に対して一定の高さの平面である吸着面が各々設けられ、ゴムシート層14,22はシリコーンゴムで作られている。凹凸が形成された成形型に、シリコーンゴムを流し、ある程度固まらせた後、シリコーンゴム表面に絵柄層を設け、絵柄層の表面にさらに別のシリコーンゴムを流して固める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレキシブルなゴム状のシートに絵柄を付けたゴム成形シートとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コップに敷くコースターとして柔軟な樹脂材料のものが市販されている。また、ガラス窓に密着して取り付けるステンドグラス調の装飾フィルムも、窓の飾りとして市販されている。
【特許文献1】特開2000−342424号公報
【特許文献2】特開2003−204857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、樹脂シートは表面に着色により装飾することができるが、絵柄を付けることはあまり行われておらず、例えば表面にインクで印刷すると外観が平面的な感じになり、透明感が無くなる。また、色や模様の付いたフィルムを窓ガラスに密着させて貼る窓飾りは、窓ガラスとの間に空気が入って凹凸ができることがあり、貼り付け作業が難しいものであった。
【0004】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、外観が良好で、平坦な部材に確実に密着するゴム成形シートとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一対の透明なゴムシート層と、上記一対のゴムシート層の間に挟まれ、任意の絵柄が設けられた絵柄層とが設けられた三層構造であり、上記ゴムシート層の少なくとも一方の表面に、一定ピッチの凹凸部が設けられているゴム成形シートである。
【0006】
また、上記凹凸部の先端には、上記ゴム成形シートに対して一定の高さの平面である吸着面が各々設けられている。上記ゴムシート層はシリコーンゴムで作られ、上記絵柄層には、押し花状の植物、布、紙、インク、ビーズ等、種々のものが入れられている。
【0007】
また本発明は、凹凸が形成された成形型にシリコーンゴムを流し、ある程度固まらせた後、上記シリコーンゴム表面に絵柄層を設け、上記絵柄層の表面にさらに別のシリコーンゴムを流して固めるゴム成形シートの製造方法である。
【0008】
また、上記の固められたゴム成形シートを完全に固まる前に成形型から外し、柔軟な凹凸の先端に、一定高さで平板部材を押しつけて平面的に潰し、このゴム成形シート表面に一定の高さの平面状の吸着面を設けるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴム成形シートは、絵柄層が透明なシートの内側に位置し成形シートを透過して視認され、絵柄に透明感があり外観が良い。また、窓ガラスに貼るシート状の窓飾りにするときは、窓ガラスとの間に部分的な空気溜まりが無く、窓ガラスに確実できれいに密着し、取り付けることができる。
【0010】
また、流し込みにより形成するため、中間層の押し花や布、その他の部材に影響が無く、シリコーンゴムが材料内に浸透し、固化した後の中間層の部材が鮮明に見える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1,図2は、この発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態はコップの下に敷くコースター10であり、コースター10はゴム成形シート12をほぼ正方形にカットして作られている。
【0012】
ゴム成形シート12は、透明なシリコーンゴムで作られた第一ゴムシート層14が設けられている。第一ゴムシート層14の一方の面には、コースター10の辺に対して約45度に交差する格子状の凹部16と、一対の凹部16の間の凸突部18が、均一なピッチで設けられている。第一ゴムシート層14の、凹部16と凸部18が設けられた面と反対側の面には、絵柄層となる押し花20が設けられている。押し花20は、花の他に葉等でも良い。押し花20の周囲に、ラメやビーズを設けても良い。そして、押し花20の反対側面には、透明な第二ゴムシート層22が設けられている。
【0013】
次にコースター10の製造方法について説明する。まず、凹部16と突部18のネガ形状が設けられた成形型に、第一ゴムシート層14となるシリコーンゴムを流し、所定時間おいて、ある程度固める。次に、押し花20を第一ゴムシート層14の上に載せる。次に第二ゴムシート層22となるシリコーンゴムを押し花20を覆って成形型に流し入れ、半日程度おいて固める。第一ゴムシート層14と第二ゴムシート層22は、互いに接着して固まり一体となる。この後、固めてできたゴム成形シート12を成形型から離し、所定形状にカットする。
【0014】
この実施形態のコースター10は、ゴム成形シート12の厚みのほぼ中間に押し花20が位置し、押し花20にシリコーンゴムが浸透し、第一ゴムシート層14を透過して視認されるため、奥行きが感じされ、押し花20に透明感と光沢があり、外観が鮮やかになり押し花20が明瞭に見える。また、は第一ゴムシート層14と第二ゴムシート層22に押し花20が挟まれ、露出していないため、コースター10を繰り返し使用しても破損や劣化が生じず、きれいな状態で保存することができる。コースター10は表面がシリコーンゴムで作られた第一ゴムシート層14と、第二ゴムシート層22であるため、コップやテーブルに密着し、滑る事が無く、安定してコップに敷くことができる。
【0015】
次にこの発明の第二実施形態について図3,図4に基づいて説明する。この実施形態は窓ガラス等に貼り付けるシート状の窓飾り24である。窓飾り24は、ゴム成形シート26をほぼ長方形にカットして作られている。
【0016】
ゴム成形シート26は、透明なシリコーンゴムで作られた第一ゴムシート層28が設けられている。第一ゴムシート層28の一方の面には、窓飾り24の辺に対して約45度に交差する格子状の凹部30と、一対の凹部30の間の突部32が、均一なピッチで設けられている。第一ゴムシート層28の、凹部30と凸部32が設けられた面と反対側の面には、絵柄が描かれた絵柄層であるインク層34が設けられている。インク層34は、黒い太線で幾何学模様が設けられ、この黒い太線で囲まれた部分は、透明性を有するいろいろな色のインクで着色されている。インク層34の反対側面には、透明な第二ゴムシート層36が設けられている。第二ゴムシート層36の、インク層34と反対側の面には、第二ゴムシート層表面36aから半球状に盛り上がる吸着用突起38が全面に均等に設けられている。各吸着用突起38の頂部には、第二ゴムシート層表面36aに対して平行な平面で面一に位置した吸着面40が形成されている。
【0017】
次に窓飾り24の製造方法について説明する。まず、凹部30と凸部32のネガ形状を有する成形型に、第一ゴムシート層28となるシリコーンゴムを流し、ある程度固める。次に第一ゴムシート層28の上に、絵柄をインクで描きインク層34を形成する。インク層34の上に、第二ゴムシート層36となるシリコーンゴムを流し入れ、吸着用突起38の、吸着面40が無く先端が尖った形状の、ネガ形状を有する上型を押し付け固める。第二ゴムシート層36が完全に固まる前に上型を外し、成形された柔軟な吸着用突起38の頂部に、平板部材を第二ゴム層表面36aに対して平行に押し付け、平面状の吸着面40を形成し固める。なお、上型に吸着用突起38に予め吸着面40が形成された形状のネガ形状を用いても良い。そして、固めてできたゴム成形シート26を成形型から離し、所定形状にカットする。
【0018】
この実施形態の窓飾り24は、窓に吸着面40が密着して確実に取り付けられる。窓との間に吸着用突起38により通気部が設けられるため、空気が一ヶ所に溜まることが無く、きれいに取り付けることができる。窓飾り24は窓に取り付けられたとき、室外の光が窓飾り24を通過して室内に入るため、ステンドグラスのように見え高級感があり、雰囲気が良好となる。
【0019】
なお、この発明のゴム成形シートは上記実施の形態に限定されるものではなく、第一ゴムシート層と第二ゴムシート層の間に設ける絵柄層は、押し花やインク層のほかに、布地や紙、ビーズ等、自由に選択し、自由なデザインにすることができる。ゴム成形シートは切断が容易なため、自由な形状に切断して、コースターや窓飾り以外に、デスクマット等いろいろな用途に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明のゴム成形シートの第一実施形態のコースターを示す正面図である。
【図2】この実施形態のコースターを示す横断面図である。
【図3】この発明のゴム成形シートの第二実施形態の窓飾りを示す正面図である。
【図4】この実施形態の窓飾りを示す横断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 コースター
12 ゴム成形シート
14 第一ゴムシート層
16 凹部
18 凸部
20 押し花
22 第二ゴムシート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の透明なゴムシート層と、上記一対のゴムシート層の間に挟まれ、任意の絵柄が設けられた絵柄層とが設けられ、上記ゴムシート層の少なくとも一方の表面に、一定ピッチの凹凸部が設けられていることを特徴とするゴム成形シート。
【請求項2】
上記凹凸部の先端には、上記ゴム成形シートに対して一定の高さの平面である吸着面が設けられていることを特徴とする請求項1記載のゴム成形シート。
【請求項3】
上記ゴムシート層はシリコーンゴムで作られていることを特徴とする請求項1または2記載のゴム成形シート。
【請求項4】
上記ゴムシート層は、上記絵柄層が紙や布または押し花であることを特徴とする請求項1,2または3記載のゴム成形シート。
【請求項5】
凹凸が形成された成形型にシリコーンゴムを流し、ある程度固まらせた後、上記シリコーンゴム表面に絵柄層を設け、上記絵柄層の表面にさらにシリコーンゴムを流して固めることを特徴とするゴム成形シートの製造方法。
【請求項6】
上記ゴム成形シートが完全に固まる前に成形型から外し、柔軟な凹凸部の先端に平板部材を押しつけて平面的に潰し、このゴム成形シート表面に一定の高さの吸着面を設けることを特徴とする請求項5記載のゴム成形シートの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−142502(P2006−142502A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331715(P2004−331715)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(597172432)
【出願人】(504424384)
【Fターム(参考)】