説明

サイクリン依存性キナーゼインヒビターとしてのピラゾロピリミジン

その多くの実施形態において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしてのピラゾロ[1,5−a]ピリジン化合物の新規クラス、このような化合物の調製方法、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1種以上のこのような化合物を含有する薬学的処方物の調製方法、および、このような化合物または薬学的組成物を使用して、CDKに関連する1種以上の疾患を処置、予防、防止または改善する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用なピラゾール[1,5−a]ピリジン化合物(例えば、サイクリン依存性キナーゼのインヒビター、マイトジェン活性型プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)など)、この化合物を含有する薬学的組成物、ならびに、この化合物および組成物を使用して、疾患(例えば、癌、炎症、喘息、ウイルス疾患、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心脈管疾患、および真菌疾患)を処置するための処置方法に関する。本願は、2002年9月19日に出願された、米国仮特許出願番号60/412,138からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼインヒビターは、例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)のインヒビター、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)などのようなキナーゼを含む。サイクリン依存性キナーゼは、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、細胞周期および細胞増殖の背後での駆動力である。個々のCDK(CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7、CDK8など)は、細胞周期の進行において別個の役割を果たし、G1期、S期またはG2M期の酵素のいずれかとして分類され得る。制御されていない増殖は、癌細胞の顕著な特徴であり、CDK機能の制御の失敗が、多くの重要な固体腫瘍において高頻度で生じている。CDK2およびCDK4は、特に重要である。なぜならば、これらの活性は、広範種々のヒト癌においてしばしば制御に失敗しているからである。CDK2活性は、細胞周期のG1期からS期への進行に必要とされ、そして、CDK2は、G1チェックポイントの重要な構成要素の1つである。チェックポイントは、細胞周期事象の適切な順序を維持し、細胞が損傷または増殖シグナルに応答することを可能にするように働く一方で、癌細胞における適切なチェックポイント制御の喪失は、腫瘍形成に寄与している。CDK2経路は、腫瘍鎖プレッサー機能(例えば、p52、RBおよびp27)およびオンコジーン活性化(サイクリンE)のレベルで、腫瘍形成に影響を及ぼす。多くの報告が、CDK2の補活性化因子であるサイクリンEとCDK2のインヒビターであるp27の両方が、それぞれ、乳房、結腸、非小細胞肺、胃、前立腺、膀胱、非ホジキンリンパ腫、卵巣および他の癌において過剰発現されているか、または、過小発現されているかのいずれかであることを示している。これらの変更された発現は、CDK2活性レベルの増加と全体的な生存率が乏しいことと相関しているこが示されている。これらの観察は、CDK2およびその調節経路を、何年もの間の開発標的にさせ、多数のアデノシン5’−トリホスフェート(ATP)競合的な有機低分子ならびにペプチドが、癌の強力な処置のためのCDKインヒビターとして、文献に報告されている。米国特許第6,413,974号、第1欄、第23行〜第15欄、第10行は、種々のCDK、および、それらの種々の型の癌との関係の良好な説明を提供する。
【0003】
CDKインヒビターは公知である。例えば、フラボピリドール(式I)は、現在ヒトの臨床治験(A.M.Sanderowiczら、J.Clin.Oncol.(1998)16,2986−2999)を受けている非選択的なCDKインヒビターである。
【0004】
【化10】

他の公知のCDKインヒビターとしては、例えば、オロマウシン(olomoucine)(J.Veselyら、Eur.J.Biochem.,(1994)224,771−786)およびロスコビチン(roscovitine)(I.Meijerら、Eur.J.Biochem.,(1997)243,527−536)が挙げられる。米国特許第6,107,305号は、CDKインヒビターとして、特定のピラゾール[3,4−b]ピリジン化合物を記載する。’305特許からの例示的な化合物は、式II:
【0005】
【化11】

を有する。
【0006】
K.S.Kimら、J.Med.Chem.45(2002)3905−3927およびWO02/10162は、CDKインヒビターとして特定のアミノチアゾール化合物を開示する。
【0007】
ピラゾロピリミジンは公知である。例えば、WO92/18504、WO02/50079、WO95/35298、WO02/40485、EP94304104.6、EP0628559(米国特許第5,602,136号、同第5,602,137号および同第5,571,813号に対応する)、米国特許第6,383,790号,Chem.Pharm.Bull.,(1999)47 928、J.Med.Chem.,(1977)20,296、J.Med.Chem.,(1976)19 517およびChem.Pharm.Bull.,(1962)10 620は、種々のピラゾロピリミジンを開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CDKに関連する疾患および障害を処置するための、新規な化合物、処方物、処置および治療に対する必要性が存在する。従って、このような疾患および障害の処置または予防または改善に有用な化合物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
その多くの実施形態において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新しいクラスのピラゾール[1,5−a]ピリジン化合物、このような化合物の調製方法、1種以上のこのような化合物を含む薬学的組成物、1種以上のこのような化合物を含む薬学的組成物の調製方法、ならびに、このような化合物または薬学的組成物を使用する、CDKに関連する1種以上の疾患の処置、予防、防止または改善の方法を提供する。
【0010】
1つの局面において、本願は、ある化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この化合物は、式III
【0011】
【化12】

に示される一般構造を有し、ここで、
Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)および−S(O)Rからなる群から選択され、ここで、上記アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキルおよびアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRおよびNOからなる群から独立して選択され;
は、水素、R、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、−CF、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、各Rが独立して選択される、同じであっても異なっていてもよい1〜6個のR基で置換されたアルキル、
【0012】
【化13】

からなる群から選択され、上記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロシクリルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、CF、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキニル,アルケニル、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−S(O)R、−C(O)R、−S(O)NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−CH(アリール)
【0013】
【化14】

からなる群から選択され、ここで、Rについての上記アリール、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々、ならびに、構造がRについて直ぐ上に示されるヘテロシクリル部分は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(ROR、−NR、−C(RNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)、−SR、−S(O)R、−S(O、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、CF、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキニル、アルケニル、−(CHR)N−アリール、−(CHR)N−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−S(O)R、−C(O)R、−S(O)NR、−C(O)OR、−C(O)NR、シクロアルキル、−CH(アリール)、−(CH−NR
【0014】
【化15】

からなる群から選択され、ここで、上記アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)からなる群から独立して選択され;
は、H、アルキルまたはアリールであり;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、ここで、上記アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−C(R)OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群から独立して選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択されるか;
あるいは、必要に応じて、(i)部分−NR10におけるRおよびR10もしくは(ii)部分−NRにおけるRおよびRは、一緒に結合してシクロアルキルもしくはヘテロシクリル部分を形成し得、該シクロアルキルまたはヘテロシクリル部分の各々は、非置換であるか、または、1つ以上のR基で必要に応じて独立して置換され;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群から独立して選択され;
は、R、−C(O)10、−S(O)NR10、−C(O)R、−C(O)ORおよび−S(O)Rからなる群から選択され;
は、ハロゲン、CN、NR10、−C(O)OR、−C(O)NR10、−OR、−C(O)R、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)10からなる群から選択され;
11は、H、アルキルまたはアリールであり;
mは0〜4であり;そして
nは1〜4である。
【0015】
別の局面において、本出願は、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、上記化合物は、式IV:
【0016】
【化16】

に示す一般構造を有し、ここで、部分R、R、RおよびR11は、式IVについて規定した通りであり、そして、RはC(Rであり、ここで、RおよびRは、式IIIについて規定した通りである。
【0017】
式IIIおよび式IVの化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、かつ、増殖性疾患(例えば、癌、炎症および喘息)の処置および予防において有用であり得る。これらはまた、アルツハイマー病、心脈管疾患、ウイルス疾患および真菌疾患のような神経変性疾患の処置において有用であり得る。
【0018】
(詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、構造式IIIもしくは構造式IVで表されるピラゾロ[1,5−a]ピリジン化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、種々の部分は上記の通りである。
【0019】
式IIIの化合物の1つの実施形態において、Rは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−S(O)Rおよび−C(O)Rからなる群から選択され、ここで、上記アルキル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCF、−NR、−NRC(O)Rおよび−ORからなる群から独立して選択され;そしてRは、アルキル、フェニルまたはピリジルであり、Rについての上記アルキル、フェニルおよびピリジルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され、各部分は、ハロゲン、CN、CF、アルキル、−S(O)R、−S(O、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)Rからなる群から独立して選択される。
【0020】
式IIIの化合物の別の実施形態において、Rは、H、ハロゲン、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび−C(O)Rからなる群から選択され、、ここで、上記アルキル、アルキニル、アルケニル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCFおよび−ORからなる群から独立して選択される。
【0021】
式IIIの化合物の別の実施形態において、Rは、H、アリール、ヘテロアリール、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−C(O)R、シクロアルキル、−NR、−CH(アリール)
【0022】
【化17】

からなる群から選択され、ここで、Rについて構造が直ぐ上に示される上記アリール、シクロアルキルおよびヘテロアリールならびにヘテロシクリルの各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、CF、OCF、アルキル、CN、アリール、−C(O)R、−C(O)R、−S(O)R、−C(=NH)−NH、−C(=CN)−NH、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、−SR、およびORからなる群から独立して選択されるが、但し、ヘテロシクリル環上の窒素原子に隣接する炭素は、−OR部分を保有しない。
【0023】
式IIIの化合物の別の実施形態において、Rは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−C(O)R、シクロアルキル、−CH(アリール)、および
【0024】
【化18】

からなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールの各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、CF、CN、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群から独立して選択される。
【0025】
式IIIの化合物の別の実施形態において、Rは、H、アリールまたは低級アルキルである。
【0026】
式IIIの化合物の別の実施形態において、R11はHまたは低級アルキルである。
【0027】
式IIIの化合物の別の実施形態において、mは0〜2であ。
【0028】
式IIIの化合物の別の実施形態において、nは1〜3である。
【0029】
式IIIの化合物の別の実施形態において、Rは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンジル、ピリジルメチル、ピラジニルメチル、ピリダジニルメチル、ピリミジニルメチル、−S(O)アリール、−S(O)ヘテロアリール、−S(O)アルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールおよび−C(O)ヘテロアリール、からなる群から選択され、ここで、該フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、アルキル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、Cl、Br、I、低級アルキル、CF、CN、−C(O)OR、−OCF、−N(H)C(O)アルキル、アルコキシおよび−OHからなる群から独立して選択される。
【0030】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、Rは、非置換フェニル、非置換ピリジル、フェニルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、CFおよび−N(H)C(O)CHからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得るベンジル、ピリジルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、CFおよび−N(H)C(O)CHからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得るピリジルメチル、フェニルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得るフェニルスルホニル、あるいはピリジルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得ピリジルスルホニルである。
【0031】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または低級アルキルである。
【0032】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、Rは、H、アルキル、アリール、−NR
【0033】
【化19】

であり、ここで、Rについて構造が直ぐ上に示されるアルキルおよびアリールならびにヘテロシクリル部分は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分(任意のRに加えて)で置換され得、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−S(O)RおよびCNからなる群から独立して選択される。
【0034】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、Rは、H、アルキルまたはアリールであり、ここで、上記アルキルまたはアリールは、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−S(O)RおよびCNからなる群から独立して選択される。
【0035】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、RはHである。
【0036】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、R11はHである。
【0037】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、mは0である。
【0038】
式IIIの化合物のさらなる実施形態において、nは、1または2である。
【0039】
式IVの化合物の1つの実施形態において、Rは、C(アリール)である。
【0040】
式IVの化合物のさらなる実施形態において、、RはC(フェニル)である。
【0041】
式IVの化合物の他の実施形態としては、式IIIの化合物について上記の実施形態およびさらなる実施形態が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物の基を表1に示す。
(表1)
【0043】
【化20−1】

【0044】
【化20−2】

上記および本開示全体で使用される場合、他に示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有するものと理解されるべきである:
「患者」としては、ヒトと他の哺乳動物との両方が挙げられる。
【0045】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0046】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合したものを意味する。「低級アルキル」とは、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であっても良い。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0047】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニルおよび2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0048】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。アリール基は、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中に定義される通りである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0049】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上は、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、「環系置換基」によって置換され得、この環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で記載される通りである。ヘテロアリールの根名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリール」はまた、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどのような部分的に飽和したヘテロアリール部分も指す。
【0050】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に定義された通りである、アリール−アルキル−基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチル(naphthlenylmethyl)が挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0051】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが先に定義された通りである、アルキル−アリール−基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0052】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、これらの環系置換基は、同一であっても異なっていてもよく、上で定義した通りである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、ならびに、例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなどのような部分的に飽和した種が挙げられる。
【0053】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいものは、フッ素、塩素または臭素であり、そしてより好ましいものは、フッ素および塩素である。
【0054】
「環系置換基」とは、例えば、環系上の利用可能な水素を置換する、芳香族環系または非芳香族環系に結合した置換基を意味する。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、へテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、そして水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から独立して選択される。「環系置換基」はまた、環系上の2つの近接する炭素原子上の2つの利用可能な水素(各炭素上、1つはH)を同時に置き換える、単一の部分を意味し得る。このような部分の例は、例えば、
【0055】
【化21】

のような部分を形成する、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などである。
【0056】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味し、ここで、この環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、環炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの語根の前の接頭辞である、アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中のあらゆる−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得;このような保護された部分はまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義された通りの「環系置換基」で置換され得る。このヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと酸化され得る。適切な単環式へテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられる。
【0057】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接する炭素原子上にはヒドロキシル基は存在せず、ならびに、別のヘテロ原子に隣接する炭素原子上にはN基もS基も存在しないことに注意すべきである。従って、例えば、環
【0058】
【化22】

において、2および5の印のついた炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0059】
例えば、以下の部分:
【0060】
【化23】

のような互変異性形態が、本発明の特定の実施形態において等価であるとみなされることにも注意すべきである。
【0061】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが、先に定義された通りである、アルキニル−アルキル基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0062】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介してである。
【0063】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、上記の通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0064】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0065】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0066】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0067】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0068】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル基が、先に定義された通りである、アラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0069】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0070】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0071】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0072】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0073】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0074】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0075】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0076】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0077】
用語「置換される」は、指定された元素上の1つ以上の水素が、指示された基から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、既存の状況下での指定された元素の通常の原子価は超えず、置換により安定な化合物を生じる。置換基および/または可変基の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および、有効な治療剤への処方に耐える程度に十分頑強である化合物を意味する。
【0078】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0079】
化合物についての用語「単離された」または「単離された形態の」は、合成プロセスまたは天然の供給源またはこれらの組合せから単離された後の化合物の物理的状態を言う。化合物についての用語「精製された」または「精製された形態の」は、本明細書中に記載されるか、または、当業者に周知の精製プロセスから得られた後の、本明細書中にに記載されるか、または、当業者に周知の標準低な分析技術により特徴付けが可能なほどに十分な純度の、化合物の物理的状態を言う。
【0080】
本明細書中に文、スキーム、実施例および表において、不飽和価を有するあらゆるヘテロ原子が、その原子価を満たすように水素原子を有するものとみなされることがまた、注意されるべきである。
【0081】
化合物中の官能基が「保護される」と称される場合、これは、この基が、修飾された形態にあって、化合物が反応に供される場合に、保護された部位において所望でない反応を防止することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkのような標準的な教科書を参照して認識される。
【0082】
任意の可変基(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成または式IIIもしくは式IV中に1回以上出現する場合、各存在におけるその定義は、他の存在毎にその定義が独立している。
【0083】
本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組成物から直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0084】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式IIIもしくは式IVの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0085】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、固相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0086】
「有効量」または「治療的有効量」は、CDKを阻害し、従って、所望の治療効果、緩和効果、阻害効果または予防効果を生じるのに有効な、本発明の化合物もしくは組成物の量を意味する。
【0087】
式IIIまたは式IVの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成し得る。本明細書中の式IIIまたは式IVの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式IIIまたは式IVの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式IIIまたは式IVの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または後に凍結乾燥される水性媒体中)で、式IIIまたは式IVの化合物をある量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得る。
【0088】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アスコルベート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート(benzenesulforiate)、ビスルフェート、ボレエート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファスルホネート、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、ナフタレンスルホネート、ニトレート、オキサレート、ホスフェート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)など。さらに、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上))。これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0089】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェートおよびジアミルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0090】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0091】
式IIIまたは式IVの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0092】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、本発明の範囲内であると企図され、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)である。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0093】
本発明に従う化合物は、薬理学的特性を有する;特に、式IIIの化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)などのようなプロテインキナーゼのインヒビターであり得る。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)としては、例えば、CDC2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7およびCDK8が挙げられる。式IIIおよび式IVの新規化合物は、増殖性疾患(例えば、癌)、自己免疫疾患、ウイルス疾患、真菌疾患、神経障害/神経変性障害、喘息、炎症、抗増殖(例えば、眼の網膜症)、神経細胞、脱毛症および心脈管疾患の治療に有用であると期待される。これらの疾患および障害の多くは、前に引用した米国特許第6,413,974号に列挙され、この開示は、本明細書中に援用される。
【0094】
より具体的には、式IIIおよび式IVの化合物は、以下が挙げられる(がこれらに限定されない)種々の癌の処置に有用であり得る:癌腫(膀胱、直腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺、前立腺および皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の癌を含む);リンパ系統の造血性腫瘍(白血病、急性リンパ急性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む);骨髄系統の造血性腫瘍(急性および慢性の骨髄性白血病、脊髄形成異常症候群、または骨髄急性白血病を含む);間葉系起源の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫を含む);中枢神経系および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン細胞腫を含む);ならびに他の腫瘍(メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、ゼノドローマ色素(xenoderoma pigmentosum)、角化細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫を含む)。
【0095】
一般に、細胞増殖の調節におけるCDKの重要な役割に起因して、インヒビターは、異常な細胞増殖を特徴とする任意の疾患プロセス(例えば、良性前立腺肥大、家族性大腸線腫症、神経−線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、子宮体腎炎、血管形成術または脈管手術後の再狭窄、肥大性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶、内毒素性ショックおよび真菌感染)の処置に有用であり得る、可逆的な抗悪性腫瘍薬剤として機能し得る。
【0096】
式IIIおよび式IVの化合物はまた、CDK5が、τタンパク質のリン酸化に関与するという最近の知見(J.Biochem,(1995)117,741−749)により示唆されるように、アルツハイマー病の処置に有用であり得る。
【0097】
式IIIおよび式IVの化合物は、アポトーシスを誘導または阻害し得る。アポトーシス応答は、種々のヒト疾患において異常である。式IIIの化合物は、アポトーシスのモジュレーターとして、癌(本明細書中で上述した型が挙げられるがこれらに限定されない)、ウイルス感染(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスが挙げられるがこれらに限定されない)、HIV感染者におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(全身性狼蒼、エリテマトーデス、自己免疫媒介性子宮体腎炎、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病が挙げられるがこれらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄筋萎縮症および小脳変性が挙げられるがこれらに限定されない)、脊髄形成異常症候群、形成性貧血、心脈管梗塞に関連する虚血性損傷、毒素誘導性またはアルコール関連の肝臓疾患、造血性疾患(慢性貧血および形成性貧血が挙げられるがこれらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗鬆症および関節炎が挙げられるがこれらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎(rhinosinusitis)、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患および癌疼痛の処置に有用である。
【0098】
式IIIおよび式IVの化合物は、CDKのインヒビターとして、細胞のRNAおよびDNA合成のレベルを調節し得る。従って、これらの薬剤は、ウイルス感染(HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスが挙げられるがこれらに限定されない)の処置に有用である。
【0099】
式IIIおよび式IVの化合物はまた、癌の化学療法に有用であり得る。化学的予防は、転移現象の開始をブロックするか、または、すでに損傷に冒されている前悪性細胞の増殖をブロックするか、または、腫瘍再発を阻害するかのいずれかによって、侵襲性の癌の発症を阻害するものとして定義される。
【0100】
式IIIおよび式IVの化合物はまた、腫瘍の血管形成および転移を阻害することにおいて有用であり得る。
【0101】
式IIIおよび式IVの化合物はまた、他のプロテインキナーゼ(例えば、プロテインキナーゼC、her2、raf1、MEK1、MAPキナーゼ、EGFレセプター、PDGFレセプター、IGFレセプター、P13キナーゼ、wee1キナーゼ、Src、Abl)のインヒビターとしても機能し得、従って、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の処置に有効であり得る。
【0102】
本発明の別の局面は、哺乳動物に、少なくとも1種の式IIIもしくは式IVの化合物、または、該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与することによって、CDKに関連する疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法である。
【0103】
好ましい投薬量は、1日あたり、体重1kgあたり、約0.001mg〜500mgの式IIIの化合物である。特に好ましい投薬量は、1日あたり、体重1kgあたり約0.01mg〜25mgの式IIIもしくは式IVの化合物、または、該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0104】
本発明の化合物はまた、1種以上の放射線療法のような抗癌処置、および/または、1種以上の抗癌剤と組み合せて(一緒に、または、続けて投与される)有用であり得、該抗癌剤は、以下からなる群から選択される:抗悪性腫瘍薬剤、細胞毒性薬剤(例えば、DNA相互作用剤(例えば、シスプラチンまたはドキソルビシン)が挙げられるがこれらに限定されない);タキサン(例えば、タキソテール、タキソール);トポイソメラーゼIIインヒビター(例えば、エトポシド);トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン(すなわちCPT−11)、カンプトスターまたはトポテカン);微小管相互作用剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセルまたはエポシロン);ホルモン剤(例えば、タモキシフェン);チミジル酸合成インヒビター(thymidilate synthase inhibitor)(例えば、5−フルオロウラシル);代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート);アルキル化剤(例えば、テモゾロミド(Schering−Plough Coporation,Kenilworth,New Jersey製のTEMODARTM)、シクロホスファミド);ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(例えば、SARASARTM(4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、またはSchering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jersey製のSCH 66336)、チピファルニブ(Janssen Pharmaceutical製のZarnestrasまたはR115777)、L778,123(Merck & Company,Whitehouse Station,New Jersey製のファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(Bristol−Myers Squibb Pharmaceuticals,Princeton,New Jersey製のファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター);シグナル伝達系インヒビター(例えば、Iressa(Astra Zeneca Pharmaceuticals,England製)、Tarceva(EGFRキナーゼインヒビター)、EGFRに対する抗体(例えば、C225)、GLEEVECTM(Novartis Pharmaceuticals,East Hanover,New Jersey製のC−ablキナーゼインヒビター);インターフェロン(例えば、イントロン(Schering−Plough Corporation製)、Peg−イントロン(Schering−Plough Corporation製));ホルモン併用療法;アロマターゼとの併用;ara−C、アドリアマイシン、シトキサンおよびゲムシタビン。
【0105】
他の抗癌(抗新生物としても公知)剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリメチレンメラミン、トリメチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フルオキシウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、ロイコビリン、オキサリプラチン(Sanofi−Synthelabo Pharmaeuticals、France製のELOXATINTM)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィンまたはヘキサメチルメラミン。
【0106】
固定用量として処方される場合、このような組合せ生成物は、本明細書中に記載される投薬量範囲内の本発明の化合物、および、その投薬範囲内の他の薬学的に活性な薬剤または処置を使用する。例えば、CDC2インヒビターであるオロムシン(olomucine)は、アポトーシスの誘導において、公知の細胞傷害性薬剤と同時に作用することが見出されている(J.Cell Sci.,(1995)108,2897)。式IIIまたは式IVの化合物はまた、組合せ処方が不適切である場合、公知の抗癌剤または細胞傷害性薬剤と連続投与され得る。本発明は、投与の順序に限定されない;式IIIまたは式IVの化合物は、公知の抗癌剤または細胞傷害性薬剤の投与の前後のいずれかに投与され得る。例えば、サイクリン依存性キナーゼインヒビターであるフラボピリドールの細胞傷害性活性は、抗癌剤の投与の順序によって影響を受ける。Cancer Research,(1997)57,3375。このような技術は、当業者ならびに担当医の技術範囲内である。
【0107】
従って、1つの局面において、本発明は、一定量の少なくとも1種の式IIIまたは式IVの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および、一定量の1種以上の上記の抗癌処置および抗癌剤を含み、ここで、化合物/処置の量が、所望の治療効果を生じる。
【0108】
本発明の化合物の薬理学的特性は、多数の薬理学アッセイによって確認され得る。後に記載される、例示的な薬理学的アッセイは、本発明に従う化合物およびその塩を用いて実施される。
【0109】
本発明はまた、少なくとも1種の式IIIまたは式IVの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物に関する。
【0110】
本発明により記載された化合物からの薬学的組成物を調製するために、不活性で薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、粉末、錠剤、分散可能な顆粒、カプセル剤(capsule)、カシェ剤(cachet)および坐剤が挙げられる。粉末および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリアは当該分野において公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖またはラクトース)。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のために適切な固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物についての製造方法の例は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvaniaにおいて見出され得る。
【0111】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。例として、非経口注射のための水溶液または水−プロピレングリコール溶液、あるいは経口溶液、経口懸濁液および経口乳濁液のための甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液体形態の調製物としてはまた、鼻腔内投与のための溶液が挙げられる。
【0112】
吸入用に適切なエアロゾル調製物としては、溶液および粉末形態の固体が挙げられ得、これらは薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性な圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わされ得る。
【0113】
また、使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのために液体形態の調製物への転換が意図される固形調製物も、含まれる。そのような液体形態としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0114】
本発明の化合物はまた、経皮送達可能であり得る。その経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形態を取り得、そしてこの目的のために当該分野で慣用的な、マトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0115】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得る。
【0116】
好ましくは、その化合物は経口的に投与される。
【0117】
好ましくは、その薬学的調製物は、単回投薬形態である。そのような形態において、その調製物は、適切な量の活性成分(例えば、所望の目的を達成するための有効量)を含有する適切な大きさの単位用量に細分される。
【0118】
調製物の単位用量における活性成分の量は、特定の用途に従って、約1mg〜約100mgまで、好ましくは、約1mg〜約50mgまで、より好ましくは約1mg〜約25mgまで変化され得、または調整され得る。
【0119】
使用される実際の投薬量は、患者の要求および処置される状態の重篤度に依存して変化され得る。特定の状況のために適切な投薬量レジメンの決定は、当該分野の技術範囲内である。簡便さのために、毎日の総投薬量は分割され得、そして要求に応じてその日間に分けて投与され得る。
【0120】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与量および投与頻度は、患者の年齢、状態および体格ならびに処置される症状の重篤度などの要因を考慮して、主治医の判断に従って、調節される。経口投与のために推奨される典型的な毎日の投薬量レジメンは、2回〜4回の分割用量において、約1mg/日〜約500mg/日まで、好ましくは1mg/日〜200mg/日までの範囲であり得る。
【0121】
本発明の別の局面は、治療有効量の少なくとも1種の式IIIもしくは式IVの化合物、または、該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクル、または希釈物を含むキットである。
【0122】
本発明のなお別の局面は、一定量の少なくとも1種の式IIIもしくは式IVの化合物、または、該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに、一定量の少なくとも1種の抗癌療法および/または上に列挙される抗癌剤を含むキットであり、この2つ以上の成分の量が、所望の治療効果を生じる。
【0123】
本明細書中に開示される本発明は、以下の調製実施例および実施例により例示されるが、開示の範囲が限定されるものと解釈されるべきでない。代替的な機構的経路および類似の構造は、当業者に明らかである。
【0124】
NMRデータが提示される場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz,H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)で取得し、挿入的に示されるHertzにおけるプロトンの数、多重性、およびカップリング定数と共に、MeSiからのppmダウンフィールド(ppm down field)として報告する。LC/MSデータが提示される場合、Applied Biosystems API−100分光計およびShimadzu SCL−10A LCカラム(Altech platinum C18,3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配の流れ:0分−10% CHCN、5分−95% CHCN、7分−95% CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止を使用して実施した。保持時間および観察された親イオンを示す。
【0125】
以下の溶媒および試薬は、括弧内の略語により言及され得る:
薄層クロマトグラフィー:TLC
ジクロロメタン:CHCl
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc
メタノール:MeOH
トリフロオロアセテート:TFA
トリエチルアミン:EtNまたはTEA
ブトキシカルボニル:n−BocまたはBoc
核磁気共鳴スペクトロスコピー:NMR
液体クロマトグラフィー質量分光分析:LCMS
高分解能質量分光分析:HRMS
ミリリットル:mL
ミリモル:mmol
マイクロリットル:μl
グラム:g
ミリグラム:mg
室温すなわちrt(周囲):約25℃。
【実施例】
【0126】
E型の化合物は、スキーム1に例示されるように調製され得る:
(スキーム1)
【0127】
【化24】

1−アミノピリジニウム塩Aは、文献の手順(Synthesis 1977,1〜17)に従って、O−(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミンで適切に置換されたピリジンの処置により調製され得る。A型のピリジニウム塩を、KCOの存在下にてプロピオン酸エチルで処置して、B型の化合物を得ることができる(J.Med.Chem.2001,44,2691〜2694)。一選択的なリチウム化およびその後のヨード化により、C型の7−ヨード誘導体を得る(J.Org.Chem.1992,57,5538 & Synthesis 2000,12,1727〜1732)。Pd触媒アミノ化条件下でのCの処置により、対応するベンゾフェノンイミン中間体を得、これを次いで、アセトニトリル中のN−ブロモスクシンイミドでの処理により位置選択的にホウ素化し得る。イミンは、アミン交換条件下で解離され、その後の還元的アミノ化により、対応する対応するベンジル型の化合物Eを得ることができる。
【0128】
(スキーム2)
【0129】
【化25】

3置換の変更は、中間体Dを介して、遷移金属媒介カップリングまたはハロゲン−金属交換とその後の求電子クエンチングのいずれかを介して達成され得、構造型Fを得る。進行中の化合物Fは、スキーム1のような2工程の修飾により、構造型Gの化合物を生じるはずである。
【0130】
(スキーム3)
【0131】
【化26】

アミン交換の後に、ピリジンのような塩基の存在下にて酸塩化物またはスルホニルクロリドを用いるDの処置のいずれかを続け、構造型Hの化合物を得る。
【0132】
(スキーム4)
【0133】
【化27】

スキーム1に記載されるものと類似の条件下における、化合物I(R=Cl)の処理によって、所望の4−Clイミン付加体Jを得る。Pd媒介アミノ化条件(Ref)により、ここで所望のアミノ付加体Kを得るはずである。
【0134】
求電子ハロゲン化の後の、イミン脱保護および、その後の得られたアニリン中間体の還元的アミノ化(スキーム1に従う)により、L型の所望のアミノ付加体を得るはずである。
【0135】
(調製実施例10)
【0136】
【化28】

0℃にて、CHCl(4mL)中の4−フェニルピリジン(0.5g、3.22mmol)の溶液に、CHCl(4mL)中のO−メシトイルヒドロキシルアミン(0.69g、3.22mmol)を滴下し、黄色の均質な混合物を得た。混合物を0℃にて15分間、室温にて30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、精製することなく次のトランスフォーメーションに用いた。DMF(10mL)中の上記からのピリジン塩(3.22mmol)の溶液に、室温にて、KCO(0.67g、4.83mmol)を添加し、その後、プロピオン酸エチル0.36mL、3.54mmol)を滴下した。異種性混合物を大気温度まで14時間撹拌し、次いで、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。粗製オイルをEtO(30mL)と水(10mL)との間で分配し、層を分離した。水層をEt2O(2×30mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘキサン/EtOAc(4:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製し、0.51g(59%)の黄色固体を得た[M+H=267.0]。
【0137】
(調製実施例15)
【0138】
【化29】

4−tert−ブチルピリジンで開始すること以外は、調製実施例10に示すのと同じ手順により、親ピラゾロピリジンを赤みがかった固体として40%の収量で調製した[M+H=247.0]。
【0139】
(調製実施例20)
【0140】
【化30】

調製実施例10からのエステル(0.33g、1.2mmol)を充填した丸底フラスコに、50%HSO4(v/v)(15mL)を添加し、得られた混合物を4時間還流した。混合物を0℃まで冷却し、その後、2M NaOH(10mL)で処理し、次いで、NaHCO(2g)の固体で処理した。CHCl(25mL)を添加し、層を分離し、そして、水層をCHCl(2×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製して、0.15g(63%)のピンク色の固体を得た[M+H=195.0]。
【0141】
(調製実施例25)
【0142】
【化31】

調製実施例15からのエステルで開始すること以外は、調製実施例20に示されるのと同じ手順により、ピラゾロピリジンを淡黄色のオイルとして80%収量で調製した[M+H=175.0]。
【0143】
(調製実施例30)
【0144】
【化32】

−78℃にて、THF(3mL)中の調製実施例20(0.15g、0.77mmol)からのピラゾールの溶液に、10分間にわたって、n−BuLi(0.4mL、ヘキサン中2.5M)を添加した。得られた溶液を−78℃にて30分間撹拌し、その後、THF(2mL)中のジヨードエタン(0.26g、0.92mmol)の溶液を5分間にわたって滴下した。混合物を−78℃にて3.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCO水溶液(10mL)およびCHCl(15mL)を添加した。混合物を室温まで温め、層を分離した。水層をCHCl(2×15mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層を乾燥し(NaS0)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製生物を、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製して、0.14g(55%)の黄色固体を得た[M+H=321.1]。
【0145】
(調製実施例35)
【0146】
【化33】

調製実施例25からのエステルで開始すること以外は、調製実施例30に示すのと同じ手順により、ヨード誘導体を、淡黄色固体として85%収量で調製した[M+H=301.0]。
【0147】
(調製実施例40)
【0148】
【化34】

Pd(OAc)(9.0mg、0.042mmol)、rac−BINAP(39mg、0.063mmol)およびCsCO(0.27g、0.84mmol)を充填した丸底フラスコに、トルエン(1.5mL)を添加して、オレンジ色の溶液を得た。トルエン(1.5mL)中のアイオダインX(調製実施例30から、0.14g、0.42mmol)を滴下し、その後、ベンゾフェノンイミン(0.10mL、0.63mmol)を添加した。混合物を還流にて14時間撹拌し、室温まで冷却した。混合物をEt2O(7mL)で希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。得られた濾液を、減圧下で濃縮して、えび茶/オレンジ色のオイルを得た。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製し、0.12g(76%)のオレンジ色のオイルを得た[M+H=374.1]。
【0149】
(調製実施例45)
【0150】
【化35】

調製実施例35からのアイオダインで開始すること以外は、調製実施例40に示すのと同じ手順により、アミン誘導体を、オレンジ色のオイルとして83%収量で調製した[M+H=354.1]。
【0151】
(調製実施例50)
【0152】
【化36】

室温にて、MeOH(2mL)中の調製実施例40(0.12g、0.32mmol)からのイミンの溶液に、NHOH・HCl(40mg、0.58mmol)およびNaOAc(64mg、0.78mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて18時間撹拌し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(4×1000μM)により精製し、52mg(76%)の淡黄色固体を得た[M+H=210.0]。
【0153】
(調製実施例55)
【0154】
【化37】

室温にて、MeOH(2mL)中の調製実施例50からのアニリン(50mg、0.24mmol)の溶液に、ZnCl(57mg、0.42mmol)および3−ピリジンカルボキシアルデヒド(28μL、0.30mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、NaCNBH(19mg、0.30mmol)を添加した。混合物を還流にて14時間加熱し、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、CHCl(5mL)と2M NaOH(2mL)との間で分配し、層を分離した。水層をCHCl(2×5mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブライン(1×4mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、CHCl/MeOH(20:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製し、36mg(50%)の黄色オイルを得た[M+H=301.0]。
【0155】
(調製実施例60)
【0156】
【化38】

0℃にて、CHCN(2mL)中の、調製実施例40からのイミン(92mg、0.25mmol)の溶液を、NBS(35mg、0.20mmol)で処理し、1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(4×1000μM)により精製し、92mg(80%)のオレンジ色のオイルを得た[M+H=452.1]。
【0157】
(調製実施例65)
【0158】
【化39】

調製実施例45からのアミンで開始すること以外は、調製実施例60に示すのと同じ手順により、ブロモ誘導体をオレンジ色のオイルとして、88%の収量で調製した[M+H=434.1]。
【0159】
(調製実施例67)
【0160】
【化40】

0℃にて、CHCN(2mL)中の調製実施例40からのイミン(0.12g、0.32mmol)の溶液をNCS(39mg、0.29mmol)で処理し、1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(4×1000μM)により精製し、104mg(80%)のオレンジ色のオイルを得た[M+H=408.1]。
【0161】
(調製実施例70)
【0162】
【化41】

室温にて、MeOH(2mL)中の調製実施例60からのイミン(92mg、0.20mmol)の溶液に、NHOH・HCl(31mg、0.45mmol)およびNaOAc(49mg、0.60mmol)を添加した。得られた混合物を、室温にて18時間撹拌し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(4×1000μM)により精製し、47mg(80%)の淡黄色固体を得た[M+H=290.0]。
【0163】
(調製実施例75)
【0164】
【化42】

調製実施例65からのアミンで開始すること以外は、調製実施例70に示すのと同じ手順により、アミノ誘導体を、オフホワイトの固体として、86%の収量で調製した[M+H=268.0]。
【0165】
(調製実施例77)
【0166】
【化43】

室温にて、MeOH(2mL)中の、調製実施例65からのイミン(0.16g、0.40mmol)の溶液に、NHOH・HCl(51mg、0.73mmol)およびNaOAc(80mg、0.97mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて18時間撹拌し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(5:1)で溶離する分取TLC(4×1000μM)により精製し、65mg(67%)の淡黄色固体を得た[M+H=244.0]。
【0167】
(実施例80)
【0168】
【化44】

室温にて、MeOH(2mL)中の調製実施例70からのアニリン(50mg、0.17mmol)の溶液に、ZnCl(41mg、0.30mmol)および3−ピリジンカルボキシアルデヒド(21μL、0.22mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、NaCNBH(14mg、0.22mmol)を添加した。混合物を還流にて14時間加熱し、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、CHCl(4mL)と2M NaOH(2mL)との間で分配し、層を分離した。水層をCHCl(2×4mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブライン(1×4mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、CHCl/MeOH(20:1)で溶離する分取TLC(8×1000μM)により精製し、42mg(65%)の黄色の半固形物を得た[M+H=379.1]。
【0169】
(実施例200〜204)
表2に示される所定の調製されたアニリン誘導体(調製実施例50)および市販のアルデヒドを使用する以外は、実施例80に示す手順に従って、置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン付加体を調製した(生成物)。
【0170】
(表2)
【0171】
【化45−1】

【0172】
【化45−2】

(実施例205)
【0173】
【化46】

塩基としてピリジンの存在下で、3−ピリジン酸塩化物で、調製実施例70からのアミノコアを処理し、対応するアミド誘導体を得る。
【0174】
(実施例206〜210)
表3に示すような指定の酸塩化物と反応する、指定されるような種々のアニリンコアを使用すること以外は、実施例205に示す手順に従って、N8アシル化置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン付加体を調製する(生成物)。
【0175】
(表3)
【0176】
【化47】

(実施例211)
【0177】
【化48】

調製実施例70からのコアアニリンを、ピリジンの存在下で塩化エタンスルホニルと反応させて、生成物を得る。
【0178】
(実施例212)
表4に示すような指定の酸塩化物と反応する、指定されるような種々のアニリンコアを使用すること以外は、実施例211に示す手順に従って、N8スルホニル化置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン付加体を調製する(生成物)。
【0179】
(表5)
【0180】
【化49−1】

【0181】
【化49−2】

(調製実施例100)
【0182】
【化50】

(工程A)
先行文献に基づいて、調製実施例10に記載される条件下での4−クロロピリジンの処理により、所望の3−カルボエトキシ−4−クロロピラゾロ[1,5]ピリジン付加体を得る。
【0183】
(工程B)
調製実施例20に記載される条件下で、工程Aからの生成物を処理し、所望の4−クロロ付加体を得る。
【0184】
(調製実施例101)
【0185】
【化51】

(工程A)
調製実施例30に従って、n−BuLi、次いで、ジヨードエタンを用いて、調製実施例100からの4−クロロ付加体を処理することにより、所望の7−ヨード付加体を得る。
【0186】
(工程B)
調製実施例40に従って、Buchwaldアミノ化条件下での工程Aからの7−ヨード付加体の処理により、イミン付加体を形成する。
【0187】
(調製実施例102)
【0188】
【化52】

シクロペンチルアミンを使用するPd(0)触媒アミノ化条件下で、調製実施例101からの4−クロロ付加体の処理により、所望のアミノ付加体を得る。
【0189】
(調製実施例103〜112)
指定のアミン(表5)を使用して、実施例102に示される手順に従って、イミンピラゾロ[1,5−a]ピリジン付加体を調製する(生成物)。
【0190】
(表5)
【0191】
【化53−1】

【0192】
【化53−2】

(実施例300)
【0193】
【化54】

(工程A)
調製実施例60に示す手順に従って、調製実施例Xからのイミンを、CHCN中のNBSで処理し、対応する3−Br付加体を得る。
【0194】
(工程B)
調製実施例80に記載された条件下での工程Aからの3−ブロモ付加体の処置により、対応するアニリン誘導体を得る。
【0195】
(工程C)
実施例80に記載された還元的アミノ化条件下、かつ、3−ピリジンカルボキシアルデヒドを使用して、工程Bからのアニリン誘導体の処置により、表題化合物を得る。
【0196】
(実施例301〜310)
調製実施例103〜112からのイミンおよび3−ピリジンカルボキシアルデヒド(表6)を利用すること以外は、実施例300に示す手順に従って、最終置換ピラゾロ[1,5−a]ピリジン付加体を調製する(生成物)。
【0197】
(表6)
【0198】
【化55−1】

【0199】
【化55−2】

【0200】
【化55−3】

(アッセイ)
(バキュロウイルス構築物)
サイクリンEを、PCRにより、アミノ酸末端に5つのヒスチジン残基を追加し、pVL1393(Pharmingen,La Jolla,California)にクローニングし、ニッケル樹脂上で精製させた。発現したタンパク質は、およそ45kDaである。CDK2を、カルボキシ末端にヘマグルチニンエピトープタグ(YDVPDYAS)を追加し、PCRによりpVL1393中にクローニングした。発現したタンパク質は、およそ34kDaのサイズであった。
【0201】
(酵素生成物)
サイクリンEおよびCDK2を発現する組換えバキュロウイルスを、同量の感染多重度(MOI=5)でSF9細胞に同時に48時間、感染させた。1000RPMで10分間遠心分離することによって、細胞を回収し、次いで、氷上でペレットを、ペレットの容積の5倍の容量の溶解緩衝液(50mM Tris(pH8.0)、150mM NaCI、1% NP40、1mM DTTおよびプロテアーゼインヒビター(Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany)を含有する)中で30分間溶解した。溶解物を15000rpmで10分間スピンダウンし、上清を保持した。5mlのニッケルビーズ(1リットルのSF9細胞につき)を溶解緩衝液(Qiagen GmbH,Germany)中で3回洗浄した。イミダゾールを、20mMの最終濃度までバキュロウイルスの上清に添加し、次いで、ニッケルビーズと共に4℃にて45分間インキュベートした。250mMのイミダゾールを含有する溶解緩衝液を用いて、タンパク質を溶出した。溶出物を2リットルのキナーゼ緩衝液(50mM Tris(pH8.0)、1mM DTT、10mM MgCl、100μM オルトバナジン酸ナトリウムおよび20%グリセロールを含有)中で一晩透析した。酵素を、−70℃にてアリコートで保存した。
【0202】
(インビトロキナーゼアッセイ)
サイクリンE/CDK2キナーゼアッセイを、低タンパク質結合96ウェルプレート(Corning Inc,Corning,New York)中で実施した。酵素を、50mM Tris(pH8.0)、10mM MgCl、1mM DTTおよび0.1mM オルトバナジン酸ナトリウムを含有するキナーゼ緩衝液中、50μg/mlの最終濃度まで希釈した。これらの反応において使用する基質は、ヒストンH1(Amersham,UK製)由来のビオチン化ペプチドであった。基質を氷上で溶かし、キナーゼ緩衝液中、2μMに希釈した。化合物を、所望の濃度まで10% DMSO中に希釈した。各キナーゼ反応につき、20μlの50μg/ml酵素溶液(1μgの酵素)および20μlの2μM基質溶液を混合し、次いで、試験のために、各ウェルにおいて10μlの希釈化合物と合わせた。キナーゼ反応を、50μlの2μM ATPおよび0.1μCiの33P−ATP(Amersham,UK製)を添加することにより開始した。1時間室温にて反応させた。0.1% Triton X−100、1mM ATP、5mM EDTAおよび5mg/ml ストレプトアビジンコーティングSPAビーズ(Amersham,UK製)を含有する停止緩衝液20μlを、15分間添加することによって反応を停止した。次いで、SPAビーズを、Filtermate universal harvester(Packard/PerkinElmer Life Sciences)を使用して、96ウェルGF/Bフィルタープレート(Packard/PerkinElmer Life Sciences)上に捕捉した。2M NaClで2回、次いで、1%リン酸を含む2M NaClで2回、ビーズを洗浄することによって、非特異的なシグナルを排除した。次いで、TopCount96ウェル液体シンチレーションカウンター(Packard/PerkinElmer Life Sciences製)を使用して、放射活性シグナルを測定した。
【0203】
(IC50の決定)
各々二連の、8点の連続希釈の阻害化合物からの、生じた阻害データから、容量−応答曲線をプロットした。化合物の濃度を、%キナーゼ活性に対してプロットし、この活性は、処理サンプルのCPMを未処理のサンプルのCPMで割ることによって算出した。IC50値を生じるために、次いで、容量−応答曲線を、標準的なシグモイド曲線にフィットさせ、IC50値を非線形回帰分析により導いた。こうして得られた、本発明の例示的な化合物についてのIC50値を、以下の表17に示す。
【0204】
(表17)
【0205】
【化56】

アッセイ値により上に示されるように、本発明の化合物は、優秀なCDK阻害特性を示す。
【0206】
本発明は、上に示される特定の実施形態と組み合せて記載されているが、これらの多くの変更、改変および他のバリエーションは、当業者に明らかである。このような全ての変更、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内にあるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】

によって表される化合物であって、ここで、
Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NRおよび−S(O)Rからなる群から選択され、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキルおよびアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRおよびNOからなる群から独立して選択され;
は、水素、R、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、−CF、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、各Rが独立して選択される、同じであっても異なっていてもよい1〜6個のR基で置換されたアルキル、
【化2】

からなる群から選択され、該アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロシクリルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、CF、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキニル、アルケニル、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−S(O)R、−C(O)R、−S(O)NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−CH(アリール)、−(CH−NR
【化3】

からなる群から選択され、ここで、Rについての該アリール、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々、ならびに構造がRについて直ぐ上で示されるヘテロシクリル部分は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(ROR、−NR、−C(RNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、CF、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキニル、アルケニル、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−S(O)R、−C(O)R、−S(O)NR、−C(O)OR、−C(O)、シクロアルキル、−CH(アリール)、−(CH−NR、および
【化4】

からなる群から選択され、ここで、該アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択され;
は、H、アルキルまたはアリールであり;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−C(R)OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群から独立して選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から独立して選択されるか;
あるいは、必要に応じて、(i)部分−NR10におけるRおよびR10もしくは(ii)部分−NRにおけるRおよびRは、一緒に結合してシクロアルキルもしくはヘテロシクリル部分を形成し得、該シクロアルキルまたはヘテロシクリル部分の各々は、非置換であるか、または、1つ以上のR基で必要に応じて独立して置換され;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールアルキルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群から独立して選択され;
は、R、−C(O)NR10、−S(O)NR10、−C(O)R、−C(O)ORおよび−S(O)Rからなる群から選択され;
は、ハロゲン、CN、NR10、−C(O)OR、−C(O)NR10、−OR、−C(O)R、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群から選択され;
11はH、アルキルまたはアリールであり;
mは0〜4であり;そして
nは1〜4である、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
Rは、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−S(O)Rおよび−C(O)Rからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCF、−NR、−NRC(O)Rおよび−ORからなる群から独立して選択され;そして
は、アルキル、フェニルまたはピリジルであり、Rについての該アルキル、フェニルおよびピリジルの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され、各部分は、ハロゲン、CN、CF、アルキル、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)Rからなる群から独立して選択され;
は、H、ハロゲン、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび−C(O)Rからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アルキニル、アルケニル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、CF、CN、−OCFおよび−ORからなる群から独立して選択され;
は、H、アリール、ヘテロアリール、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−C(O)R、シクロアルキル、−NR、−CH(アリール)
【化5】

からなる群から選択され、ここで、Rについて直ぐ上に示される該アリール、シクロアルキルおよびヘテロアリール、ならびにヘテロシクリル構造の各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて独立して置換され得、各部分は、ハロゲン、CF、OCF、アルキル、CN、アリール、−C(O)R、−C(O)R、−S(O)R、−C(=NH)−NH、−C(=CN)−NH、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、−SR、およびORからなる群から独立して選択されるが、但し、ヘテロシクリル環上の窒素原子に隣接する炭素は、−OR部分を保有せず;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、−(CHR−アリール、−(CHR−ヘテロアリール、−(CHR−OR、−C(O)R、シクロアルキル、−CH(アリール)、および
【化6】

からなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールの各々は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で置換されているか、または、必要に応じて置換され得、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、CF、CN、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群から独立して選択され;
は、H、アリールまたは低級アルキルであり;
11はHまたは低級アルキルであり;
mは0〜2であり、そして
nは1〜3である、
化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物であって、
Rは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンジル、ピリジルメチル、ピラジニルメチル、ピリダジニルメチル、ピリミジニルメチル、−S(O)アリール、−S(O)ヘテロアリール、−S(O)アルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールおよび−C(O)ヘテロアリール、からなる群から選択され、ここで、該フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、アルキル、アリールおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、Cl、Br、I、低級アルキル、CF、CN、−C(O)OR、−OCF、−N(H)C(O)アルキル、アルコキシおよび−OHからなる群から独立して選択される、化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、Rは、非置換のフェニル、非置換のピリジル、フェニルが非置換であるかまたはF、Cl、Br、CN、CFおよび−N(H)C(O)CHからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得るベンジル、ピリジルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、CFおよび−N(H)C(O)CHからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得るピリジルメチル、フェニルが非置換である、またはF、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて置換され得るフェニルスルホニル、あるいは、ピリジルが非置換であるか、または、F、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で必要に応じて置換され得るピリジルスルホニルである、化合物。
【請求項5】
Rは、フェニルが、F、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で置換されているベンジルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Rは、ピリジルがF、Cl、Br、CN、−N(H)C(O)CHおよびCFからなる群から選択される1つ以上の部分で置換されているピリジルメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
Rがピリミジニルメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
が、H、F、Cl、Br、ヒドロキシアルキルまたは低級アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
がH、Cl、Br、ヒドロキシメチルまたはメチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
請求項2に記載の化合物であって、
は、H、アルキル、アリール、−NR
【化7】

であり、ここで、Rについて直ぐ上に示される該アルキルおよびアリール、ならびにヘテロシクリル部分は、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて独立して置換され得、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−S(O)RおよびCNからなる群から独立して選択される、化合物。
【請求項11】
請求項2に記載の化合物であって、
は、H、アルキルまたはアリールであって、ここで該アルキルまたはアリールは、非置換であるか、または、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の部分で必要に応じて置換され得、各部分は、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−S(O)RおよびCNからなる群から独立して選択される、化合物。
【請求項12】
がHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
mが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
nが1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
以下の式:
【化8−1】

【化8−2】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項16】
以下の式:
【化9】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項17】
1つ以上のサイクリン依存性キナーゼを阻害する方法であって、該方法は、少なくとも1種の請求項1に記載の化合物の治療有効量をこのような阻害を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項18】
サイクリン依存性キナーゼに関連する1つ以上の疾患を処置する方法であって、該方法は、少なくとも1種の請求項1に記載の化合物の治療有効量をこのような処置を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記サイクリン依存性キナーゼがCDK2である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サイクリン依存性キナーゼがマイトジェン活性型プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記サイクリン依存性キナーゼがグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患が、
膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、小細胞肺癌、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺、前立腺および皮膚の癌であって、扁平上皮細胞癌を含む、癌;
白血病、急性リンパ急性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫;
急性および慢性骨髄性白血病、脊髄形成異常症候群、前骨髄球性白血病;
線維肉腫、横紋筋肉腫;
星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン細胞腫;
メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角化細胞腫、甲状腺濾胞癌ならびにカポジ肉腫からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
サイクリン依存性キナーゼに関連する1つ以上の疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、一定量の第1の化合物と;一定量の少なくとも1種の第2の化合物とを、このような処置を必要とする哺乳動物に投与する工程を包含し、該第2の化合物は、抗癌剤であり;ここで、該第1の化合物と該第2の化合物の量が、治療効果を生じる、方法。
【請求項24】
放射線療法をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記抗癌剤が、抗悪性腫瘍薬剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン(すなわちCPT−11)、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、チピファルニブ(tipifarnib)、L778,123(ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、Iressa、Tarceva、EGFRに対する抗体、Gleevec、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フルオキシウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、ロイコビリン、オキサリプラチン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィンまたはヘキサメチルメラミンからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも1種の請求項1に記載の化合物の治療有効量を含む、薬学的組成物。
【請求項27】
抗悪性腫瘍薬剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、CPT−11、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、Zarnestra(登録商標)(チピファルニブ)、L778,123(ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、Iressa、Tarceva、EGFRに対する抗体、Gleevec、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フルオキシウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィンまたはヘキサメチルメラミンからなる群から選択される1種以上の抗癌剤をさらに含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
単離および精製された形態の、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−503060(P2006−503060A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538405(P2004−538405)
【出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/029841
【国際公開番号】WO2004/026872
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】