説明

サイクロン装置

【課題】簡易な構成で、粒体と微粉とを効率よく分離することのできるサイクロン装置を提供すること。
【解決手段】鉛直方向に軸線Xを有する略円筒形状の本体部2と、本体部2に連通し、本体部2の接線方向に沿って接続される流入管3と、本体部2内の上部に設けられる内筒部4と、内筒部4の上側に設けられ、内筒部4に連通する排出管5と、本体部2の下側に設けられ、本体部2に連通する排出部8と、排出部8に設けられ、内筒部4の下端部に向かう上昇気流を発生させるための気力導入装置10とを備えるサイクロン装置1において、内筒部4の下端部より下方に、発生する上昇気流を周方向に沿って案内するための案内板13、または、内筒部4の下端部より下方に、流入管3から流入する1次空気の旋回流の旋回を抑制する抑制板23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクロン装置、詳しくは、微粉除去に好適に用いられるサイクロン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ペレットを気力輸送するときは、樹脂ペレットから微粉を生じる場合がある。
このような微粉が樹脂ペレットに付着していると、その樹脂ペレットを用いて得られる成形品において、フィッシュアイなどの不具合を生じる場合があるため、樹脂ペレット(粒体)と微粉とを分離し、微粉を除去することが求められる。
かかる樹脂ペレット(粒体)と微粉とをサイクロンにより分離することが知られている。
【0003】
このようなサイクロンとしては、例えば、上下方向の軸心を有する筒状本体を備え、その筒状本体の周壁に、空気輸送された粉粒体を筒状本体へ流入させるための流入管が接線方向に接続され、筒状本体の下端部に、筒状本体から粉粒体を排出するための排出口が形成され、筒状本体の上壁に、輸送用空気を筒状本体から流出させるための流出管が接続され、流出管の下端部が筒状本体内に臨み、さらに、排出口から筒状本体内へ上昇空気流を供給する送気手段を備えているサイクロンが、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このサイクロンでは、気力輸送により、流入管から流入した気流および粉粒体が、円筒部の内壁に沿って旋回しながら下降するときに、粉粒体が、遠心力により粒体と微粉とに分離される。
そして、筒状本体の下端部付近では、気流は、旋回流の旋回速度が低下することなく、反転して、サイクロン中心部を回転しながら流出管内へと上昇するとともに、送気手段によって、排出口から筒状本体内へ向かう上昇空気流が、供給される。
【0005】
そのため、このサイクロンでは、粉粒体を気力輸送し、粒体を下部の排出口から排出する一方、微粉を気流とともに流出管から上方へ除去(流出)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−110316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、近年、サイクロン装置において、粒体と微粉との分離効率のさらなる向上が望まれている。
本発明の目的は、簡易な構成で、粒体と微粉とを効率よく分離することのできるサイクロン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のサイクロン装置は、鉛直方向に軸線を有する略円筒形状の本体部と、前記本体部に連通し、前記本体部の接線方向に沿って接続される流入管と、前記本体部内の上部に設けられる内筒部と、前記内筒部の上側に設けられ、前記内筒部に連通する排出管と、前記本体部の下側に設けられ、前記本体部に連通する排出部と、前記排出部に設けられ、前記内筒部の下端に向かう上昇気流を発生させるための気力導入装置と、前記内筒部の下端より下方に設けられ、発生する上昇気流を周方向に沿って案内するための案内部材とを備えていることを特徴としている。
【0009】
気力導入装置から本体部内に導入される気力は、周方向に旋回することなく、単に上方に向かう上昇気流として発生する。
しかし、このサイクロン装置によれば、気力導入装置から発生する上昇気流が、案内板によって、内筒部の下端より下方において、周方向に旋回する。
そして、本体部内には、流入管から流入した粒体と微粉とを含有する空気が、接線方向に沿って旋回しながら下降し、かかる空気は、内筒部の下端より下方において、周方向に旋回する上昇気流に作用される。
【0010】
すると、流入管から流入した空気中の粒体と微粉とは、気流の変化により容易に分離され、粉体が排出部へ落下する一方、微粉が内筒部の下端を介して排出管から排出される。
そのため、簡易な構成で、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置では、前記案内部材は、径方向外側から径方向内側に向かうに従って、前記本体部において前記流入管から流入した空気が旋回する旋回方向と逆方向に沿って傾斜していることが好適である。
【0011】
流入管から流入した空気中に含有される微粉は、本体部の内壁面に沿って旋回して、遠心力が付与されているので、内筒部の下端より下方において、部分的に滞留する。
しかし、このサイクロン装置によれば、気力導入装置から発生する上昇気流は、案内部材によって、内筒部の下端より下方において、流入管から流入して旋回する空気の旋回方向と逆方向に旋回する。
【0012】
そのため、内筒部の下端より下方において、流入管から流入して旋回する空気は、気力導入装置から発生する上昇気流と衝突されて、旋回速度が低下し、空気中の微粉に付与される遠心力が低下する。そうすると、微粉は、本体部の内壁面に沿って旋回しにくくなり、また、上昇気流の旋回の旋回速度が低下し(弱められ)、そのため、微粉は、内筒部の下端を介して排出管から効率的に排出される。
【0013】
その結果、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置では、前記案内部材は、径方向外側から径方向内側に向かうに従って、前記本体部において前記流入管から流入した空気が旋回する旋回方向と同一方向に沿って傾斜していることが好適である。
このサイクロン装置によれば、気力導入装置から発生する上昇気流は、案内部材によって、内筒部の下端より下方において、流入管から流入して旋回する空気の旋回方向と同一方向に旋回する。
【0014】
そのため、内筒部の下端より下方において、流入管から流入して旋回する空気は、気力導入装置から発生する上昇気流と合一されて、旋回速度が増大し、かかる空気中の粒体に付与される遠心力が増大する。そうすると、粒体は、本体部の内壁面に沿ってより長時間旋回し、かかる粉体には、粉体と本体部の内壁面との摩擦による剪断力が十分に付与される。そのため、粒体に付着する微粉は、粉体から脱離して、内筒部の下端から排出管を介して効率的に排出される。
【0015】
その結果、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置では、前記気力導入装置は、前記排出部内に設けられ、前記本体部の軸線を共有する気力供給管と、前記気力供給管の上端を閉鎖し、前記本体部と軸線を共有する略円錐形状の被覆部とを備え、前記気力供給管には、厚み方向を貫通する貫通穴が形成されており、前記案内部材は、前記被覆部の上面に複数設けられていることが好適である。
【0016】
このサイクロン装置によれば、気力を、気力供給管の貫通穴から本体部内に供給することができ、かかる気力を、被覆部の上面に複数設けられる案内部材によって、周方向に沿って確実に案内させることができる。
また、被覆部によって、排出部内に落下する粒体が、貫通穴から気力供給管内に侵入することを防止することができる。
【0017】
そのため、粒体と微粉との分離効率を確実に向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置では、前記気力導入装置は、前記排出部内に設けられ、前記本体部の軸線を共有する気力供給管と、前記気力供給管の上端を閉鎖し、前記本体部と軸線を共有する略円錐形状の被覆部とを備え、前記気力供給管には、厚み方向を貫通する貫通穴が形成されており、前記案内部材は、前記排出部の内壁面に複数設けられていることが好適である。
【0018】
このサイクロン装置によれば、気力を、気力供給管の貫通穴から本体部内に供給することができ、かかる気力を、排出部の内壁面に複数設けられる案内部材によって、周方向に沿って確実に案内させることができる。
また、被覆部によって、本体部の下端から排出部内に落下する粒体が、貫通穴から気力供給管内に侵入することを防止することができる。
【0019】
そのため、粒体と微粉との分離効率を確実に向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置は、鉛直方向に軸線を有する略円筒形状の本体部と、前記本体部に連通し、前記本体部の接線方向に沿って接続される流入管と、前記本体部内の上部に設けられる内筒部と、前記内筒部の上側に設けられ、前記内筒部に連通する排出管と、前記本体部の下側に設けられ、前記本体部に連通する排出部と、前記排出部に設けられ、前記内筒部の下端に向かう上昇気流を発生させるための気力導入装置と、前記本体部内における前記内筒部の下端より下方に設けられ、前記流入管から流入する空気の旋回流の旋回を抑制する抑制部材とを備えていることを特徴としている。
【0020】
このサイクロン装置によれば、流入管から流入する空気の旋回が、抑制部材によって、本体部内における内筒部の下端より下方において、抑制される。そのため、流入管から流入して旋回する空気の旋回速度が低下し、空気中の微粉に付与される遠心力が低下する。そうすると、微粉は、本体部の内壁面に沿って旋回しにくくなり、そのため、内筒部の下端を介して排出管から効率的に排出される。
【0021】
その結果、簡易な構成で、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
また、本発明のサイクロン装置では、前記抑制部材は、前記本体部の内壁面に複数設けられていることが好適である。
このサイクロン装置では、本体部の内壁面に複数設けられる抑制部材によって、流入管から流入する空気の旋回を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサイクロン装置によれば、簡易な構成で、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のサイクロン装置の一実施形態(2次空気と1次空気との旋回方向が逆方向であり、案内板が被覆部の上面に設けられる態様)を示す概略図である。
【図2】図1に示すサイクロン装置の平面図である。
【図3】図1に示すサイクロン装置の2次空気導入装置の要部側面図である。
【図4】図3に示す2次空気導入装置の平面図である。
【図5】本発明のサイクロン装置の他の実施形態(2次空気と1次空気との旋回方向が同一方向である態様)の2次空気導入装置の平面図である。
【図6】本発明のサイクロン装置の他の実施形態(案内板が上部ケーシングの内壁面に設けられる態様)を示す概略図である。
【図7】本発明のサイクロン装置の他の実施形態(抑制板が本体部の下部の内壁面に設けられる態様)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明のサイクロン装置の一実施形態(2次空気と1次空気との旋回方向が逆方向であり、案内板が被覆部の上面に設けられる態様)を示す概略図、図2は、図1に示すサイクロン装置の平面図、図3は、図1に示すサイクロン装置の2次空気導入装置の要部側面図、図4は、図3に示す2次空気導入装置の平面図である。
なお、以下の説明において、空気および粉粒体(微粉と粒体とを含む。)の搬送方向上流側および搬送方向下流側を、単に「上流側」および「下流側」という。
【0025】
図1および図2において、このサイクロン装置1は、気力輸送装置に適用され、例えば、プラスチックからなる粉粒体から、粒体(ペレット)と微粉(粉塵)とを分離して、分離された粒体を、例えば、成形機などの他の処理装置に供給するために使用される。
サイクロン装置1は、本体部2と、本体部2に連通する流入管3と、本体部2内の上部に設けられる内筒部4と、内筒部4に連通する排出管5と、本体部2に連通する排出部8と、上昇気流を発生させるための気力導入装置としての2次空気導入装置10と、発生する上昇気流を周方向に沿って案内するための案内部材としての案内板13とを備えている。
【0026】
本体部2は、鉛直方向に軸線Xを有する略円筒形状に形成されており、外筒部22と円錐部7とを一体的に備えている。
外筒部22は、鉛直方向に軸線Xを有する略円筒形状に形成されており、その下端部が、円錐部7の上端部に接続されている。外筒部22の上端部には、略円板形状の上壁部9が形成されている。上壁部9は、内筒部4が貫通するように、内筒部4を支持している。
【0027】
円錐部7は、その上端部が、外筒部22の下端部に接続され、上側から下側へ向かうに従って次第に縮径される略円錐筒形状に形成されている。円錐部7の下端部は、排出部8に粒体を排出するための排出口6とされている。
排出口6は、円錐部7から排出部8に粒体を排出するとともに、2次空気導入装置10から本体部2に気力としての2次空気を導入するための導入口でもある。
【0028】
流入管3は、流入管3から外筒部22に、粉粒体を含む1次空気を気力輸送するために設けられており、略円管形状に形成されている。
流入管3は、外筒部22の上部において、水平方向に延び、外筒部22の接線方向に沿って接続され、外筒部22に連通している。詳しくは、流入管3は、その下流側端部が、本体部2に気力輸送した粉粒体が本体部2において平面視反時計回りの方向Aに沿って旋回できる方向(接線方向一方側)に沿って、外筒部22に接続されている。また、流入管3の上流側端部には、図示しないが、粉粒体(粒体と微粉とを含む。)が貯蔵された貯蔵タンクが接続される。
【0029】
内筒部4は、本体部2の軸線Xを共有する、外筒部22よりも小径の略円筒形状に形成されており、外筒部22と径方向内側に間隔を隔てて、外筒部22と並行するように、設けられている。また、内筒部4は、その上下方向途中が上壁部9を貫通して支持され、上端部が排出管5に連通している。また、内筒部4の下端部は、外筒部22と円錐部7との境界よりも上側(外筒部22側)に配置されている。
【0030】
排出管5は、内筒部4の上端部に設けられ、水平方向に延び略円筒形状に形成されている。すなわち、排出管5は、内筒部4における上壁部9より上側部分の上端部に接続され、内筒部4に連通している。また、排出管5の下流側端部には、図示しないが、吸引ブロワなどの吸引装置が接続される。吸引装置は、粉粒体を含む1次空気の気力輸送のための駆動源である。
【0031】
排出部8は、本体部2の下部に設けられ、本体部2の軸線Xを共有する略円筒形状に形成されており、上部ケーシング19と下部ケーシング20とを一体的に有するケーシング11を備えている。
上部ケーシング19は、その上端部が、円錐部7の下端部に接続され、上側から下側に向かうに従って次第に拡径される略円錐筒形状に形成されている。
【0032】
下部ケーシング20は、その上端部が、上部ケーシング19の下端部に接続されている。下部ケーシング20は、略円筒形状に形成されている。
また、排出部8には、下部ケーシング20の下側において、下部ケーシング20の下端部に連続するホッパ(図示せず)が設けられている。
2次空気導入装置10は、排出部8に設けられ、内筒部4の下端部に向かう上昇気流(2次空気)を発生させるための装置である。
【0033】
2次空気導入装置10は、気力供給管としての2次空気供給管14と、被覆部15とを備えている。
2次空気供給管14は、略円筒形状に形成されており、下流側端部が、ケーシング11内に設けられ、後述する貫通穴12を介して排出部8に連通している。また、2次空気供給管14の上流側端部は大気に開放している。
【0034】
具体的には、2次空気供給管14は、ケーシング11内において、下流側端部から下側(鉛直方向下側)に向かって延び、その後、側方(水平方向)に屈曲して、下部ケーシング20を貫通して、ケーシング11外に延びた後、上側(延長方向上側)に向かって屈曲している。
また、2次空気供給管14は、ケーシング11内において鉛直方向に延びる部分が、本体部2の軸線Xを共有しており、その上端部は、次に述べる被覆部15によって閉鎖されている。また、2次空気供給管14において、鉛直方向に延びる上部には、次に説明する貫通穴12が形成されている。
【0035】
貫通穴12は、2次空気供給管14の厚み方向を貫通する丸穴として形成されており、2次空気供給管14の周方向に沿って互いに間隔を隔てて複数設けられている。
さらに、2次空気供給管14には、フィルタ18およびバルブ17が設けられている。フィルタ18は、2次空気供給管14の上流側端部に設置され、例えば、エアブリーザなどの粉塵除去装置などからなる。バルブ17は、ケーシング11外において、2次空気供給管14におけるフィルタ18の下流側に介装されている。
【0036】
被覆部15は、図1および図3に示すように、ケーシング11内における2次空気供給管14の上端部に設けられており、上部ケーシング19と径方向内側に間隔を隔てて対向配置されている。
被覆部15は、貫通穴12の上部に、貫通穴12を被覆するように設けられ、より具体的には、貫通穴12の上側に間隔を隔てて対向配置されている。
【0037】
また、被覆部15は、本体部2と軸線Xを共有し、上側から下側に向かうに従って次第に拡径される略円錐形状(陣笠状あるいはコーン状)に形成されている。
被覆部15の周端部(径方向外側端部)は、2次空気供給管14の外径より大きく、鉛直方向に投影したときに、2次空気供給管14を含むように配置されている。また、被覆部15の下端部(径方向外側端部)は、水平方向に投影したときに、貫通穴12の上部を含むように配置されている。
【0038】
案内板13は、ケーシング11内に設けられ、被覆部15の上面に立設するように、複数設けられている。各案内部13は、図3および図4に示すように、略矩形板形状(略矩形フィン形状)をなし、被覆部15の周方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
各案内板13は、被覆部15の径方向に対して傾斜して配置されている。具体的には、各案内板13は、平面視において、被覆部15の径方向外側から径方向内側に向かうに従って、平面視時計回りの方向Bに沿って傾斜して配置されている。
【0039】
図4に示すように、平面視において、案内板13に沿う方向と、被覆部15の径方向との成す角度αは、特に限定されず、サイクロン装置1の処理容量やスケールなどによって適宜選択され、例えば、30〜80度、好ましくは、40〜75度に設定される。
案内板13の径方向外側端部の下端部は、図3および図4に示すように、被覆部15の径方向外側端部(周端部)と同一位置に配置されており、案内板13の径方向内側端部の下端部は、被覆部15の中心部分(径方向中心部分、上端部)を露出するように、被覆部15の径方向外側から径方向内側に向かう途中位置に配置されている。なお、案内板13の径方向内側端部の上端部は、排出口6のやや下側に配置されている。
【0040】
図1に示すように、上部ケーシング19と被覆部15との間において、上部ケーシング19の内壁面と被覆部15の上面とにより仕切られた空間が、2次空気導入装置10内において2次空気を周方向に沿って案内する案内通路21とされている。
次に、このサイクロン装置1を用いた、粒体と微粉との分離、および、微粉除去方法について説明する。
【0041】
この方法では、まず、図1および図2において、排出管5に接続された図示しない吸引ブロワを駆動させる。
これにより、本体部2内が減圧となり、粉粒体を含む空気(1次空気)が気力輸送される。すなわち、1次空気が流入管3から本体部2に流入される。
そして、1次空気中の粉粒体を、本体部2における外筒部22の内壁面に沿って平面視反時計回りの方向Aに向かって旋回させ、かかる粉粒体に、粉粒体と外筒部22の内壁面との摩擦による剪断力を十分に与えて、粉粒体に含まれる粒体と微粉とを分離させながら、粉粒体および1次空気の気流(旋回流)を、円錐部7に下降させる。
【0042】
次いで、円錐部7に下降した1次空気は、内筒部4の下端部より下方おいて、案内板13によって案内されながら、周方向に旋回する次に説明する上昇気流に作用される。
すると、1次空気中の粒体と微粉とは、気流の変化により容易に分離され、粉体が排出部8へ排出口6を介して落下する一方、微粉が内筒部4の下端を介して排出管5から排出される。
【0043】
また、流入管3から流入した1次空気中に含有される微粉は、円錐部7の内壁面に沿って旋回して、遠心力が付与されているので、内筒部4の下端部より下方において、部分的に滞留する。
そして、上記した吸引ブロワの駆動とともに、2次空気が2次空気導入装置10から本体部2に導入される。2次空気は、本体部2内において、内筒部4の下端部に向かう上昇気流となる。
【0044】
詳しくは、図1、図3および図4において、2次空気導入装置10において、排出管5に接続された図示しない吸引装置の駆動によって、2次空気供給管14の上流側端部を介して大気(空気)を吸引して、貫通穴12からケーシング11内に径方向外側に向かって空気を吐出することにより、空気をケーシング11内に供給する。そして、径方向外側に向かって吐出した空気は、被覆部15の周端部を迂回するように、被覆部15の下側から上側に回り込んだ後、被覆部15の径方向外側から径方向内側に向かって、案内通路21において案内板13により平面視時計回りの方向Bに沿って案内されて、上昇気流である2次空気として排出口6から本体部2に導入される。
【0045】
その場合において、2次空気を、気力供給管14の貫通穴12から本体部2内に供給することができ、かかる2次空気を、被覆部15の上面に複数設けられる案内板13によって、周方向に沿って確実に案内させることができる。
そして、このサイクロン装置1では、2次空気導入装置10から発生する上昇気流は、案内板13によって、本体部2の内筒部4の下端部より下方において、本体部2において流入管3から流入して旋回する1次空気の旋回方向(平面視反時計回りの方向A)と逆方向(平面視時計回りの方向B)に旋回する。
【0046】
そのため、流入管3から流入した1次空気は、2次空気導入装置10から発生する2次空気(上昇気流)と衝突されて、旋回速度が低下し、1次空気中の微粉に付与される遠心力が低下する。そうすると、微粉は、本体部2の内壁面に沿って旋回しにくくなり、また、上昇気流の旋回の旋回速度が低下し(弱められ)、そのため、微粉は、円滑に浮上して、内筒部4の下端部を介して排出管5から効率的に排出される。
【0047】
とりわけ、大径(粒体と同程度の大きさ)のダスト(埃)は、より一層旋回しにくくなり、そのため、より一層円滑に浮上して、効率的に排出される。
そして、内筒部4から排出管5を介して排出された微粉やダストは、図示しないが、例えば、ダスト捕集フィルタへと導入され、回収される。
一方、粒体は、排出口6から排出部8のケーシング11内を落下して、排出部8の図示しないホッパに一時貯蔵される。
【0048】
また、排出口6から排出部8のケーシング11内を落下する粒体は、被覆部15によって、貫通穴12から2次空気供給管14内に侵入することを防止される。
上記した粉粒体の分離では、簡易な構成で、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
なお、上記した説明では、排出管5の吸引ブロワの駆動によって、2次空気導入装置10において、2次空気供給管14から大気を吸引して、2次空気を本体部2に導入しているが、例えば、図示しないが、上記した吸引ブロワの駆動に代えて、あるいは、上記した吸引ブロワの駆動とともに、2次空気供給管14の上流側に接続された送風ブロワなどの送風装置の駆動によって、2次空気を導入することもできる。
【0049】
また、このサイクロン装置1において、図示しないが、内筒部4内に、排出管5内に粒体が侵入することを防止するための内部フィルタを設けることもできる。
また、上記した説明では、案内板13の径方向内側端部の上端部を、排出口6のやや下側に配置しているが、図示しないが、例えば、排出口6のやや上側に配置することもできる。
【0050】
図5は、本発明のサイクロン装置の他の実施形態(2次空気と1次空気との旋回方向が同一方向である態様)の2次空気導入装置の平面図である。なお、上記した各部に対応する部材については、以降の各図において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記した図4の説明では、案内板13を、2次空気を、平面視時計回りの方向Bに旋回するように設けているが、例えば、図5に示すように、平面視反時計回りの方向Aに旋回するように設けることもできる。
【0051】
すなわち、案内板13は、平面視において、被覆部15の径方向外側から径方向内側に向かうに従って、平面視反時計回りの方向Aに沿って傾斜して配置されている。
そして、このサイクロン装置1によれば、2次空気導入装置10から発生する上昇気流は、案内板13によって、本体部2において流入管3から流入して旋回する1次空気の旋回方向(平面視時計回りの方向A)と同一方向に旋回する。
【0052】
そのため、本体部2における内筒部4の下端部より下方において、流入管3から流入して旋回する1次空気は、2次空気導入装置10から発生する上昇気流の2次空気と合一されて、旋回速度が増大し、1次空気中の粒体に付与される遠心力が増大する。そうすると、粒体は、円錐部7の内壁面に沿ってより長時間旋回する。また、粒体は、2次空気導入装置10から発生する上昇気流によって上方に吹き上げられながら、円錐部7内に長時間滞留するので、円錐部7の内壁面に沿ってより長時間旋回することができる。
【0053】
すると、かかる粉体には、粉体と円錐部7の内壁面との摩擦による剪断力が十分に付与される。
そのため、粒体に付着する微粉は、粉体から脱離して、内筒部4の下端部から排出管5を介して効率的に排出される。
その結果、粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
【0054】
図6は、本発明のサイクロン装置の他の実施形態(案内板が上部ケーシングの内壁面に設けられる態様)を示す概略図である。
上記した説明では、案内板13を、被覆部15の上面に設けているが、案内板13の配置は、内筒部4の下端部より下方であれば、特に限定されない。
例えば、図6に示すように、案内板13を、上部ケーシング19の内壁面に複数設けることができる。
【0055】
案内板13の上端部は、排出口6と同一位置に配置される。
案内板13は、上部ケーシング19の径方向外側から径方向内側に向かうに従って、傾斜して配置されている。
案内板13は、本体部2の内筒部4の下端部より下方において、本体部2において流入管3から流入して旋回する1次空気の旋回方向(平面視反時計回りの方向A)と逆方向(平面視時計回りの方向B)に旋回するように傾斜して配置されていてもよく、あるいは、同一方向(平面視反時計回りの方向A)に旋回するように傾斜して配置されていてもよい。
このサイクロン装置1では、上記と同様に、上昇気流を、案内板13によって、周方向に沿って確実に案内させることができ、これにより、粒体と微粉との分離効率を確実に向上させることができる。
【0056】
図7は、本発明のサイクロン装置の他の実施形態(抑制板が本体部の下部の内壁面に設けられる態様)を示す概略図である。
また、例えば、図7に示すように、上記した案内板13に代えて、流入管3から流入する1次空気(空気)の旋回流の旋回を抑制する抑制部材としての抑制板23を設けることもできる。
【0057】
抑制板23は、内筒部4の下端部より下方に設けられ、円錐部7の下部の内壁面に立設するように、複数設けられている。各抑制板23は、上記した案内板13と略同一形状に形成されており、抑制部23は、円錐部7の周方向にわたって互いに間隔を隔てて、円錐部7の軸線Xを中心とする放射状に配置されている。
また、各抑制部23は、円錐部7の径方向に沿って略鉛直方向に延びている。
【0058】
そして、このサイクロン装置1によれば、流入管3から流入する1次空気の旋回が、抑制部23によって、本体部2内における内筒部4の下端部より下方において、抑制される。より具体的には、本体部4の内壁面に複数設けられる抑制部23によって、1次空気の旋回を確実に抑制することができる。
そのため、旋回する1次空気の旋回速度が低下し、1次空気中の微粉に付与される遠心力が低下する。そうすると、微粉は、本体部4の内壁面に沿って旋回しにくくなり、そのため、内筒部4の下端部を介して排出管5から効率的に排出される。
【0059】
一方、2次空気導入装置10から発生する上昇気流は、本体部2の周方向に沿って旋回することなく、単に内筒部4の下端部に向かっている。そして、粒体は、かかる上昇気流によって上方に吹き上げられながら、円錐部7内に長時間滞留するので、円錐部7の内壁面に沿ってより長時間旋回することができる。
その結果、簡易な構成で粒体と微粉との分離効率を向上させることができる。
【0060】
なお、図示しないが、例えば、サイクロン装置1において、上記した案内板13と抑制板23とを組み合わせて使用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 サイクロン装置
2 本体部
3 流入管
4 内筒部
5 排出管
8 排出部
10 2次空気導入装置
12 貫通穴
13 案内板
14 2次空気供給管
15 被覆部
23 抑制部
A 平面視反時計回りの方向
B 平面視時計回りの方向
X 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に軸線を有する略円筒形状の本体部と、
前記本体部に連通し、前記本体部の接線方向に沿って接続される流入管と、
前記本体部内の上部に設けられる内筒部と、
前記内筒部の上側に設けられ、前記内筒部に連通する排出管と、
前記本体部の下側に設けられ、前記本体部に連通する排出部と、
前記排出部に設けられ、前記内筒部の下端に向かう上昇気流を発生させるための気力導入装置と、
前記内筒部の下端より下方に設けられ、発生する上昇気流を周方向に沿って案内するための案内部材とを備えていることを特徴とする、サイクロン装置。
【請求項2】
前記案内部材は、径方向外側から径方向内側に向かうに従って、前記本体部において前記流入管から流入した空気が旋回する旋回方向と逆方向に沿って傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のサイクロン装置。
【請求項3】
前記案内部材は、径方向外側から径方向内側に向かうに従って、前記本体部において前記流入管から流入した空気が旋回する旋回方向と同一方向に沿って傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のサイクロン装置。
【請求項4】
前記気力導入装置は、
前記排出部内に設けられ、前記本体部の軸線を共有する気力供給管と、
前記気力供給管の上端を閉鎖し、前記本体部と軸線を共有する略円錐形状の被覆部と
を備え、
前記気力供給管には、厚み方向を貫通する貫通穴が形成されており、
前記案内部材は、前記被覆部の上面に複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロン装置。
【請求項5】
前記気力導入装置は、
前記排出部内に設けられ、前記本体部の軸線を共有する気力供給管と、
前記気力供給管の上端を閉鎖し、前記本体部と軸線を共有する略円錐形状の被覆部と
を備え、
前記気力供給管には、厚み方向を貫通する貫通穴が形成されており、
前記案内部材は、前記排出部の内壁面に複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロン装置。
【請求項6】
鉛直方向に軸線を有する略円筒形状の本体部と、
前記本体部に連通し、前記本体部の接線方向に沿って接続される流入管と、
前記本体部内の上部に設けられる内筒部と、
前記内筒部の上側に設けられ、前記内筒部に連通する排出管と、
前記本体部の下側に設けられ、前記本体部に連通する排出部と、
前記排出部に設けられ、前記内筒部の下端に向かう上昇気流を発生させるための気力導入装置と、
前記本体部内における前記内筒部の下端より下方に設けられ、前記流入管から流入する空気の旋回流の旋回を抑制する抑制部材と
を備えていることを特徴とする、サイクロン装置。
【請求項7】
前記抑制部材は、前記本体部の内壁面に複数設けられていることを特徴とする、請求項6に記載のサイクロン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201280(P2010−201280A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46182(P2009−46182)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】