説明

サイトカインの免疫複合体

【課題】サイトカインを標的細胞へ選択的供給するための免疫複合体の提供。
【解決手段】免疫複合体は癌細胞、ビールス感染細胞のような標的細胞に対して特異性を有する免疫グロブリン重鎖とリンフォトキシン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−2あるいは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のようなサイトカインから成り、免疫グロブリンのカルボキシ末端にサイトカインのアミノ末端が結合してなる。これらの免疫複合体をコードする核酸配列および遺伝子工学的手法によるその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インビボでの細胞を選択的に破壊する治療及び種々の癌やビールス感染の処置に有用な組成物に関する。特に、本発明は感染細胞を標的化でき、細胞が死滅又は中和化するような局所性炎症応答を誘発できる遺伝子操作的手法による抗体融合構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍壊死因子(TNFα)及びリンフォトキシン(LT又はTNFβ)は先ず特定の腫瘍を直接殺すそれ等の能力に基づいて同定された。しかしながら、他の多くの生物学的活性が今やサイトカインと密接に関連している。これらとしては、組織適合性抗原及び付着レセピターの誘導等様々の細胞型に対する効果、並びにそれ等から結果する炎症、血管透過性変化及び単核細胞浸潤の効果が含まれる(Goeddel, D.V.(1986) Symp. Guant. Biol. 51:597, Cold Speing Harbor; Beutler, B. and Ruddel N. G. (1988) Ann. Rev. Immonol. 6:407) 。TNFαとLTは何れも半減期が極めて短いので、これら炎症反応は全身的には起こらず、TNF生成細胞の遊離箇所においてのみ起こる。
この局所性炎症応答性は、固形腫瘍や他の病変組織の治療において用いることができる。例えば、TNFα又はLTの何れかを腫瘍箇所に特異的に放出できれば、局所的炎症応答は、天然型キラー細胞、大きな顆粒状のリンパ球及び好酸球のようなエフェクター細胞、即ち抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性に必要とされる細胞の放出を導くことができる。
【0003】
リンフォカインをインビボで特異的部位に供給する方法は、その特定部位に特有な免疫グロブリンをリンフォカインと結合することである。しかしながら、タンパク質領域の免疫グロブリン鎖又は断片のカルボキシ末端への融合は、融合されるべきタンパク質と免疫グロブリンの両者に、特に抗原結合、集合及びエフェクター機能に関し、予測不能の結果をもたらす。例えば、個々のタンパク質の望まれる生物学的機能は最終生成物では維持されないことがある。
【0004】
他の、免疫グロブリン鎖にたいする融合タンパク質としてのリンフォカインLTのようなタンパク質発現に伴う問題は、天然型分子が三量体として可溶性状態で存在し、この形態でより効率的にレセプタと結合していることである。かくして、LTが免疫グロブリン重(H)鎖とアミノ末端を介して結合し、二対のH鎖融合ポリペプチドを含む完全なIg分子に集合されるときには、三量化は尚、形成されないようである。第二に融合LTがそのレセプター結合する能力は、もし、遊離アミノ末端がレセプター結合活性に必要とされれば、厳しく制限される。事実、TNFαのアミノおよびカルボキシル末端は、そして多分、LTも共にレセプター相互作用に必要とされる構造となっているものと推定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、インビボで細胞を選択的に破壊できる組成物及びこれを達成する為の治療方法の提供にある。本発明は又、標的細胞を直接破壊するため、または標的細胞に致命的な環境を創出することによって標的細胞を破壊するために、サイトカインを標的細胞に選択的に供給する組成物及び治療方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、免疫グロブリン(Ig)、典型的には重鎖とサイトカインを含む免疫複合体であって疾病を処置のための免疫複合体の使用に関する。免疫複合体は、Igの抗原結合活性とサイトカインの生物学的活性を保持し、そしてサイトカインを標的細胞に特異的に供給するのに用いることができる。
用語「サイトカイン」は、ここでは、細胞によって生成、分泌され、そしてサイトカインに対する受容体をもっている細胞中に特異的応答を引き起こすタンパク質、その類似物、またその断片を指す。好ましいサイトカインとしては、インターロイキン−2(IL−2)のごときインターロイキン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のような増血因子及び腫瘍壊死因子α(TNFα)である。
【0007】
用語「リンフォカイン」は、ここでは、活性化したリンフォサイトによって生成され例えばリンフォトキシンのようなリンフォカインにたいするレセプターを有する細胞内に特異的応答を誘導する能力を有するタンパク質、その類似物またはその断片を指す。リンフォカインはサイトカインの典型例である。
好ましい実施例において、免疫複合体は標的抗原にたいして特異的な可変領域と重鎖のカルボキシ末端でサイトカインにペプチド結合によって結合する不変領域とから成るキメラIg鎖から成る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免疫複合体は、それ等の構造の二つの観点からみて、キメラと考えて良い。先ず、免疫複合体は、それが与えられたサイトカインと融合し適切な抗原結合特異性を保持する免疫グロブリン鎖(通常重鎖だがそれに限らない)を含むと言う意味でキメラである。第二に本発明の免疫複合体は、それが可変領域と通常、該可変領域又は他の可変領域に接続する不変領域を含む、即ちV/Cキメラ;例えば、異なる天然の抗体分子または異なる種起原の可変又は不変領域を含むという意味でキメラとして良い。又、用語「免疫複合体」(immunoconjugate)に包括されるのは、Greg Wibter et al, GB 2,188,638より開示されたような枠体領域から成る結合領域と可変領域を有する異なる種からの構成体(即ち、相補を決定する領域) でもある。好ましくは、免疫複合体のサイトカインは、LT又はTNFαのごとき未融合状態で二量体又は多量体を天然に構成するタンパク質であっても良い。
【0009】
好ましい実施例では、キメラのIg鎖CHl、CH2及びCH3ドメインを含む重(H)鎖から成る。タンパク分解酵素切断部位はIg重鎖とサイトカインの間に見いだされ複合体が標的細胞に達すると、サイトカインは重鎖から切断されるようになる。「タンパク分解酵素切断部位」は配列の内部又は近接してもつ切断部位をタンパク分解酵素によって認識されるアミノ酸配列である。好ましくは、可変領域は、マウスから誘導され(即ち、そのDNA配列又はそのアミノ酸配列は、マウス起源のDNA配列又は同起源のアミノ酸配列に基づき、そして不変領域(好ましくは、可変領域の枠体領域アミノ酸を含む)は、ヒトから誘導され、重鎖の可変領域はビールス感染細胞、又は腫瘍付随又はビールス抗原に特異的なIgから誘導される。好ましくは、キメラIg鎖は、それを適当な対応鎖(軽鎖又は重鎖)と組み合わせることにより、次に標的抗体に特異的な二価の免疫複合体を生成する一価の抗原結合領域を形成し、免疫複合体とされる。
本発明は又、上述の免疫複合体をコードするDNA構成体及び細胞系統、例えば、これ等構成体によって形質転換される骨髄腫類を含む。
【0010】
本発明は選択的にサイトカインを標的細胞に供給する方法であって、その方法は標的細胞に特異的な可変領域とカルボキシル末端でペプチド結合によってサイトカインに結合した不変領域とを有するIg重鎖とキメラIg重鎖と結合したIg軽鎖を含むキメラIg鎖とから成り、機能的抗原結合部位を形成し、そして患者のもつ標的細胞に体して標的細胞に達するのに充分な量の免疫複合体を投与できるサイトカイン免疫複合体を提供する。
本発明はかくして、抗原結合特異性と抗体活性が一分子に結合し、サイトカインの生物学的活性も組み合わされた免疫複合体を提供する。本発明の免疫複合体は、インビボでの標的細胞にサイトカインを選択的に供給し得るものであり、シキトンをして局所的炎症応答、T細胞の成長と活性化の刺激作用ADCC活性等局部的生物学的活性を行わしめるものである。かかる複合体は、本発明の方法に従い、それ等の特異性及び生物学的活性に依存して、標的化細胞溶解により、ビールス感染、又は癌等を含む疾病の処置に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、悪性腫瘍細胞又はビールス感染標的細胞を殺すのに有用な免疫複合体に関する。この免疫複合体は、ビールス感染細胞若しくは悪性腫瘍細胞上の表面抗原にたいして特異性を有する抗体部を有する複合体、及びサイトカインを含む。
【0012】
図1は代表的な免疫複合体10の概略図をしめす。この実施例において、サイトカイン分子2及び4は、抗体の重鎖l4及び16のCH3領域10及び12のカルボキシ末端6及び8と結合したペプチドである。VL領域26及び28には、VH領域18及び20と通常のIg形態で対をなし、これによって、免疫複合体10のアミノ末端に二つの抗原結合部位30と32を、免疫複合体10のカルボキシ末端に二つのサイトカインレセプター結合部位40と42を提供する。勿論、より広い観点からは、免疫複合体は、図示のように対をなす必要はない。
【0013】
本発明の免疫複合体は、遺伝子工学の技術によって、即ちキメラ免疫複合体をコードする核酸構成体を生成することによって、製造される。好ましくは、本発明の免疫複合体をコードする遺伝子構成体は、5'と3'の方向に重鎖の可変領域をコードするDNA断片、重鎖の不変領域をコードするDNA断片及びサイトカインをコードするDNAから成る。融合される遺伝子は、それが発現されるところで、適切なレシピエント細胞の形質転換のため、発現ベクター中に組み込まれるか挿入される。ハイブリッド鎖は軽鎖(または重鎖)と反対部分で結合され、一価及び二価の免疫複合体を成す。
サイトカインは、治療上価値のある生物学的機能を有するどんなサイトカインでも良いし、又その類似物または断片でもよい。有用なサイトカインはインターロイキン及びインターロイキン−2(IL−2)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のごとき増血因子を含む。マルチメトリック構造が機能することを要するLT及びTNFαのごときリンフォカインを用いることもできる。リンフォカイン又はサイトカインをコードする遺伝子は、デノボにクローンされても良いし、入手可能な原料から取得しても良いし、又公知のヌクレオチド配列から標準のDNA合成をもちいて合成しても良い。例えば、LTのDNA配列はNedwin et al. (1985) Nucleic Acid Res. 13.6361を、 同様にインターロイキン−2の配列はTaniguchi et al. (1983) Nature 302:305-318を、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子はGasson et al.(1984) Science 266: 1339-1342を、そして腫瘍壊死因子アルファはNedwin et al. l. Ibid.を参照できる。
【0014】
複合体にたいする重鎖差不変領域は以下の5つのアイソタイプのいずれからも選ぶことができる;アルファ、デルタ、エプシロン、ガンマ又はミュー。重鎖又は種々のサブ・クラスの重鎖(Igサブクラスのごとき)が利用できる。軽鎖はカッパ又はラムダのいずれかをもつ。これらの免疫グロブリン領域にたいするDNA配列は当業技術分野で良く知られている(例えば、Gillies at al. (1989) J. Immunol. Meth, 125:191) 。
【0015】
好ましい実施例において、可変領域は標的抗原にたいして特異的な抗体から誘導される(癌細胞又はビールス感染細胞のごとき疾病細に関連す抗原)また不変領域はCH1,CH2及びCH3ドメインを含む。サイトカインをコードする遺伝子は(例えば、適切なリンカーによって、例えば、DNAコード(Gly4−Ser)3によって不変領域(例えば、CH3エクソン)をコードする遺伝子の3'末端の枠内で直接或いは遺伝子間領域を介して結合される。ある種の実施例によれば、遺伝子間領域はたんぱく分解酵素切断部位をコードする核酸配列から成る。免疫グロブリンとサイトカイン間のこの位置は、標的位置に於いて、サイトカインのたんぱく分解性供給をするようにすることができる。例えば、プラスミンとトリプシンはタンパク質分解しやすい部位としてリシンとアルギニン残基の後に切断することは良く知られている。多くの他の部位特異的エンドペプチダーゼとそれがアタックするアミノ酸配列は良く知られている。
【0016】
核酸構成体は、キメラ免疫グロブリン鎖の発現を調節するため、変異領域をコードする遺伝子に対する内生のプロモータ及びエンハンサを含む。例えば、可変領域をコードする遺伝子は、リーダーペプチドから成るDNA断片として、軽鎖にたいしてはVJ遺伝子として(機能的に再配置され、接合(J)部分を有する可変領域(V))、重鎖にたいしてはVDJ遺伝子として、そしてこれ等の遺伝子にたいする内生プロモータ及びエンハンサとして得られる。或いは、可変領域をコードする遺伝子は内生調節成分とは別個に得られ、これ等の成分を提供する発現ベクターの中で用いることもできる。
【0017】
可変領域遺伝子は、所望の抗体を生成する細胞から標準クローニング技術を用いて得られる。特異的な機能に再構築した可変領域にたいするゲノムライブラリーのスクリーニングは、J領域配列及び下方の配列を含むDNA断片のような適切なDNAプローブを用いることによって達成できる。正確なクローンの特定と確認は、次にクローン化した遺伝子のDNAシーケンシングとその配列の全長に対応する配列、適切にスプライスしたmRNAと比較することによって達成できる。
【0018】
標的抗原は腫瘍細胞、ウイルス感染細胞又は他の疾患の有る細胞の細胞表面抗原である。適切な可変領域をコードする遺伝子は、一般に、Ig生成リンパ球様細胞から得られる。例えば、腫瘍関連抗原またはウイルス抗原に特異的なIgを生成するハイブリドーマ細胞系は標準の体細胞ハイブリダイゼーション法によって生成できる(米国特許第4,96,265号)。これらのIg生成細胞系は、機能的に再構築された形態の可変領域遺伝子源を提供する。この可変領域の遺伝子は、ネズミ系は広範な所望特異性Igの生成を可能にするので、通常ネズミを起源とする。
【0019】
機能的に再構築された可変領域の遺伝子を含むDNA断片は、所望の不変領域(またはその一部)をコードする遺伝子を含むDNA断片に結合される。Ig不変領域(重および軽鎖)は、標準の遺伝子クローニング技術によって抗体産生細胞から得られる。ヒトの軽鎖2種とヒトの重鎖5種がクローンされた。かくして、ヒト起源の不変領域がこれ等のクローンから容易に得られる。
ハイブリッドIgH鎖をコードする融合遺伝子は、レシピエント細胞に導入されるための発現ベクターに組み込まれ或いは挿入される。遺伝子構成体のプラスミドベクターへの導入は標準の遺伝子スプライシング法で達成される。
キメラIgH鎖は同一細胞内で対応するL鎖と共に発現され、完全な免疫グロブリンが同時に発現、同時に集合される。この目的のため、重軽鎖構成体は、同一または別のベクター中に置かれても良い。
【0020】
レシピエント細胞系列は一般に、リンパ球系の細胞である。好ましいレシピエント細胞は骨髄腫(またはハイブリドーマ)である。骨髄腫は形質転換された遺伝子によってコードされた免疫グロブリンを合成し、集合し分泌し、タンパク質をグリコシル化する。特に好ましいレシピエント細胞は、通常は内生の免疫グロブリンを生じないSp2/0骨髄腫である。形質転換されると、この細胞は形質転換遺伝子構成体によってコードされたIgをのみ生成する。形質転換した骨髄腫は培養液またはマウスの腹腔で成長し得、そこで分泌される免疫複合体は腹水から回収される。Bリンパ球のような他のリンパ球系の細胞もレシピエント細胞として用いることができる。
【0021】
リンパ球系の細胞をキメラIg鎖をコードする核酸構造体を含むベクターで形質転換するのに、数種の方法がある。ベクターとリンパ球系細胞に導入するより好ましい方法は、スフェロブラスト融合による(Gillis et al.(1989) Biotechnol. 7:798-804参照)。他の方法はエレクトロポレーション法及び燐酸カルシウム沈澱法を含む。
【0022】
免疫複合体を作る他の有用な方法は、構造物をコードするRNA配列を作成し、適切なインビボまたはインビトロ系でその翻訳をすることである。
本発明の免疫複合体は、サイトカインを体内の標的細胞に選択的に供給し、サイトカインが局所炎症応答、T細胞成長と活性化の刺激及びADCC活性等の局部的生物学的効果を及ぼすことである。免疫複合体の治療的有効量が標的細胞をもつ被検者の循環系に投与される。
本発明は更に、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるがこれによって発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
プラスミドの構築
以下に記述されるのは、PdHL2の構築、即ち、ヒトのCγ1重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子配列を含むプラスミドとV領域cDNAカセットの挿入位置である(Gillies et al. (1989) J. Immunol, Meth. 125:191 参照)。このプラスミドは何れのIgH鎖サイトカイン融合を構成するための出発プラスミドとして用いられる。例えば、PdHL2はIg/LT融合タンパク質の発現のために用いられる。LTcDNAはλgt10にクローンされたヒトの抹消性の血液白血球ライブラリーから分離された。配列はNedwin et al. による文献に報告されたものと同一であった(Nucleic Acid Res.(1985)13:6361) 。cDNAは、先ず3'未翻訳領域の殆どをB131ヌクレアーゼで除去した後、XhoI断片としてベクターpDEM(Gillies at al., ibid) に挿入された。その結果、プラスミドpDEM−LT(図2)は(形質転換された細胞中に)メタロチオネイン(MT)プロモータから誘導された5'未翻訳配列、LTをコードする配列、3'未翻訳配列及びマウスCκ遺伝子からのポリA付加信号を有する融合mRNAを発現する。
【0024】
融合タンパク質をコードするベクターは合成DNAリンカーを用いてHindIIIとPvuIIで消化したPDEM−LTにHindIIIでTaqI(CH2−LT)にあるいはHindIIIでヒトCγI遺伝子のNsiI断片に結合することによって構築した(図2)。
【0025】
これらのリンカー:
5'−CGAAGAAAACCATCTCCAAA/CTCCCTGGTGTTGGCCTCACACCTTCAG−3'(配列番号1)(CH2−LTにたいして);及び
5'−TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA/CTCCCTGGTGTTGGCCTCACACCTTCAG−3'(配列番号2)
は特異な位置(NsiIまたはTaqI)から重鎖ドメイン(スラッシュによって示される)の末端までの配列をコードするタンパク質を提供し、それ等を成熟した型のLTのアミノ末端に結合する(特異的なPvuII部位の上)。CH3融合タンパク質に対するリンカーは融合タンパク質をつくるのに将来の使用のため、ドメインの末端近傍にSmaI位置を創生する沈黙突然変異を含む。各構築物の境界にあるDNA配列が確認され、HindIIIからEcoRIへの断片はプラスミドpdHLZ−VCγlk(14.18)に挿入された。このプラスミドは、ch14.18抗ガングリオシドGD2抗体のVカセットを含む(Gikkies et al., ibid.)。
【実施例2】
【0026】
細胞培養と形質転換
Sp2/0 Ag14マウス・ハイブリドーマ細胞は、Gillie at al. (BioTechnology(1989) 7:8799)に述べられたように維持し、形質転換をおこなった。メトトレキセート(MTX)中での薬物選択は、形質転換後24時間で、等量の0.1μMMTXを含む培地を加えることによって開始された。3日の間隔おいて、選択培地は2度に亘って供給された。ヒトIg決定要素分泌形質転換体はELISAを用いて特定され(Gillies et al., 1989,ibid )5μMのMTXを含む培地中での限界希釈によって継代培養された。
【実施例3】
【0027】
融合タンパク質の精製と特徴
タンパク質は、形質転換された細胞(1x106 /mL)を35Sメチオニン(50μCi/mL:Amersham)を含む成長培地中で16時間インキュベートして生合成的に標識した。培地上清は、次にマイクロ遠心機中で遠心分離によって清澄し、標識したタンパク質はポリクロナール抗ヒトκ鎖抗血清(Jackson Immunoresearch, Bar Harbor, Cambridge, ME)とプロテインAセファロース(Repligen, Corp., Cambridge, MA) で免疫沈澱せしめた。タンパク質サンプルは2−メルカプトエタノールの存在下または非存在下でゲルサンプルバッファー中で5分間煮沸し、7%ポリアクリルアミドゲルで分析された。タンパク質は、蛍光間接撮影法(DMSO中ジフェニールオクサゾール)とオートラジオグラフ法で検出された。
【0028】
未標識化タンパク質は、鹸濁液状の培養媒体からCH2−LTに対するモノクロナール抗ヒト抗体を用い免疫親和性クロマトグラフィ使って、又CH3−LTに対しては、プロテインAセファロースクロマトグラフィを使って精製した。全ての物質は、PBSへの膜浸透を用いて濃縮した。Ch3−LTタンパク質を精製する方法も開発され、プロテインAカラムからの溶出中LT活性の損失を防いだ。使用済培養液は10mM燐酸ナトリウムバッファー(pH6.5)の3倍量で希釈し、室温でBakerbond Abx(J.T.Baker)カラムにいれた。カラムは、吸光度の吸収率が基線に戻るまで10mM燐酸ナトリウムバッファーで洗浄し、次にPBS(150mMNaCl、10mM燐酸ナトリウム、pH6.5)で洗浄した。CH3−LTタンパク質は150mMNaCl、50mM燐酸ナトリウム、pH6.5で溶離した。
【実施例4】
【0029】
活性測定
Ig−LTタンパク質の抗原結合活性はGillies et al. (J. Immunoi. Meth. (1989) 125:191) に述べられたように測定され、LT活性はマウスL929のサブクローン159124T2.5(Dr. F. Schreiber. University of Chicago により提供)を用いて、細胞溶解または細胞増殖抑制分析(Kahn et al. (1982))によって決定した。細胞を96穴プレートに、マイトミシンC(2μg/mL)を加えて(細胞溶解)或いは用いずに(細胞増殖抑制)1穴当たり4xl04個で蒔種し、24時間後10μLの試験サンプルがくわえられた。細胞は24時間または48時間後、クリスタルバイオレットで染色され(図の説明参照)、穴中に残る染料の量が未処理の穴のもの及びLT標準値のもの(R&D System)と比較された。同じ分析が、GD2保持ヒト黒色腫ラインM21(D. L. Morton, Universityof Californiam Los Angelesより提供)で行われた。後者の細胞系統は、上述の通り、CDC及びADCC活性の測定に用いられた。(Gillies et al.(1990) Humann Antibody. Hyvridomas 1:47)
【実施例5】
【0030】
Ig/LT免疫複合体の発現
Ig/LT免疫複合体は、適切な合成リンカーを用いて、成熟型LTをコードするcDNA配列をヒトCγ1遺伝子(図2)のCH2又はCH3のエクソンの端部に融合することによって作られた。この遺伝子の融合は、次にネズミの抗体14.18とヒトCκ遺伝子のV領域とともにベクターで組み合わせられ、形質転換されたSp2/0細胞に発現された。これ等の免疫複合体は、抗原結合活性とIg鎖組立のために発現され、試験された。免疫複合体は、競合的抗原結合ELISA(以下参照)で測定されたとき、抗原結合を保持し、そして構築された。これ等の免疫複合体を発現する細胞は35Sメチオニンと呼ばれ、分泌されるタンパク質は還元剤の存在下で又非存在下でSDS−PAGEにより分析された。
図3に見られるように、CH2−LT免疫複合体は全分子(約180Kd)と半分子(90Kd)の混合物として発現される。CH3−LT融合タンパク質は、他方において、全分子で構築される構造をもつ。この結果は、CH3領域はIg鎖構造に深く関わっていることから、驚くべきことではない。CH2−LTの構造が何故成り立つか、即ち、抗体のヒンジ領域の二硫化結合をもつということは、カルボキシ末端のLT領域の二量化によるものとみられる。
【実施例6】
【0031】
Ig/LT複合体の生物学的活性
CH2−LT及びCH3−LT複合体のLT活性は、マウスL929サブクローンを用い、標準的な細胞溶解分析で比較できる(Kahn, A. et al. (1982 )"A standardized automated computer assisted micro-assay for lymphotoxin."In: HumanLymphokines, Biological Response modified;(Kahn and Hill, eds.) Academic Press, New York, p.23)。この測定法は、免疫複合体のTNF/LTレセプタへの結合能力と、この細胞系統における生細胞死滅プロセスを発動させる能力を測定する。粗調製品(培養液上清)と比較すれば(図4A)、CH3−LTはCH2−LTより極めてより活性的(この分析によれば約100倍)であることが分かり、LT標準と約同じのモル当たりの比活性を示している。このCH3−LTのより高い活性は充分に構成されたH鎖融合タンパク質のより多い配分によるとみられる。かくして、免疫複合体におけるCH3エクソンの存在は、H鎖をしてより効率的に関与せしめ、多分LT領域の二量体化を許容し、その結果、より大きなLTレセプタ結合の許容するように配置せしめるものと思惟される。
【0032】
精製調製品を比較すると、CH2−LTとCH3−LTの活性の差異は更に明白になるが、複合体の活性は、特にCH3−LTでは、LTコントロールと比して大きく減少する(図4B)。両方のタンパク質が酸性pH(即ちpH4より小)溶出工程を用いることによって精製されたので、培養液上清のpH感受性を調べ、LT活性は酸に極めて影響されやすいことがわかった。
他の精製様式が、pHを6.5以下にならないように計画された。この様式による材料がプロテインAのより精製されたもの、出発材料及びLT標準と比較された。マイトミシンC非存在下の細胞増殖抑制分析の結果、図5に示す通り、低いpHを避けると、精製中、充分なLT活性が維持されることを示す。この測定は、LT制御により良い投与量応答が得られること、CH2−LTとCH3−LTの間の関係は両者の分析システムに首尾一貫していることを示す。同じ結果は、細胞溶解の分析でも得られた。
以上の結果は、(この分析で測定されるとき)LTがIgH鎖に融合すると充分な活性が維持されることを示している。LTアミノ末端が抗体のカルボキシ末端と共有結合で結合されるという事実は、LTレセプタ結合を妨げず、結合工程後、細胞死滅プロセスを妨げることはないようである。
【実施例7】
【0033】
抗原結合とエフェクター
Ig/LT免疫複合体の機能
免疫複合体も抗原結合活性は、抗原で被覆したプレート上で、直接結合又は拮抗的分析形式で測定される。直接的結合分析では、抗原結合活性はコントロールch14.18抗体のそれよりずっと高いことが分かった。GD2抗原源は神経芽細胞腫細胞からの、粗い膜エキスであったので、TNF/LTレセプタを準備に存在せしめ、LT領域を通しての複合体の結合はこの増大した活性に効果があった。抗原結合を拮抗分析で測ったとき、複合体は抗原に対して標識ch14.18抗体とほぼ同じであり、非標識化ch14.18より僅かに有効であるに過ぎなかった(図7)。
【0034】
この結果によれば、抗腫瘍細胞抗体の抗原結合活性をサイトカインの効力のある生物学的活性と組み合わせることは可能である。免疫複合体中のCH3エクソンの存在は、完全なH鎖の構築を可能にし、その結果、より高いLTとエフェクター活性に至ることになる。H鎖の組立は、LTの二量体化をもたらすものとおもわれる。
更に、高度に活性のあるCH3−LT免疫複合体では、LT領域のアミノ末端はIgH鎖にペプチド結合されるので、遊離のアミノ末端はLTのそのレセプタへの結合には不必要である。
【実施例8】
【0035】
Ig/GM−CSF免疫複合体の構築と発現
Ig/GM−CSF複合体はGM−CSFをコードする核酸配列をIg重鎖をコードする核酸配列に結合し、それによって、コードされたタンパク質がカルボキシ末端を介してGM−CSFに融合された重鎖を含むようにした。GM−CSFの配列をコードする成熟したタンパク質は、LT複合体に付き上述したように、そして当業技術分野で良く知られているいるように、PdHDL2及び適切なオリゴヌクレオチドリンカーを用いて、ヒトCγ1遺伝子に結合される。又、LT複合体について上記したように、Ig重鎖GM−CSF融合遺伝子は14.18抗GD2重鎖の重鎖V領域の遺伝子と組み合わされ、ヒトCκ遺伝子及び14.18抗体のV領域遺伝子と結合された。次に、DNAのハイブリドーマ細胞への形質転換、その結果としてのH及びL遺伝子の発現後、GM−CSFは各H鎖に接合した完全なch14.18抗体が生成された。融合タンパク質は、プロテインAセファロースへの吸着及びそれからの溶出を用い調整した媒体から精製した。
【0036】
融合タンパク質は10%SDS−ポリアクリルアミドを用い(図8)、還元(R)条件で、又は非還元条件(NR)で、電気泳動により分析された。タンパク質は、クマシーブルーを用い、染色され視覚化された。レーンlはch14.18−CH3−GMCSF;レーン2はch14.18;分子量マーカーは指示された大きさでkDで表示された。レーンlの融合H鎖の相対的分子量75kDは、H鎖(50kD)に融合されたグリコシル化GM−CSF(〜25kD)と一致する。非還元レーンlで、融合タンパク質が〜200kDの単一高分子量種に成っていることに留意。
【実施例9】
【0037】
Ig/GM−CSF複合体の生物学的活性
ch14.18−GM−CSF融合タンパク質のGM−CSF活性は、GM−CSF依存細胞系統AML−193(ヒト急性骨髄性白血病)を用いて増殖分析で検討された。細胞は、インシュリンとトランスフェリンを含む血清のない培地で2日間培養された(GM−CSFのない状態で)。そして、GM−CSF即ち、融合サンプルを薄めて添加された。5日後に、5μCiのチミジンが加えられ、16時間後、細胞は10%トリクロロ酢酸の中に回収された。30分後、氷上に析出物質GF/Cフィルターで集められ、乾燥され、液体シンチレーションで測定された。
【0038】
図9において、GM−CSFの各種量、分泌融合蛋白質またはプロテインAセファロースによって精製されたch14.18−GM−CSFを含むコンデイション培地で得られた増殖が比較された。結果は、一度分子がH鎖に融合すると、有意のGM−CFS活性が維持されることを示している。だが、活性はGM−CSF標準値(精製された融合タンパク質)の20%(調整培地)か10%である。最大の取り込みは精製融合タンパク質(GM−CSF等価値又は全タンパク質の50ng)の10ng/mL以下であった。この僅かな活性の損失はこの融合タンパク質も有用性に影響するとは思えない。これは、特に大量のch14.18−GM−CSFがDG2抗原を発現する固型腫瘍に集積するときである。
【0039】
免疫複合体のインビボの半減期は、マウスにch14.18−GM−CSFを注射(尾の静脈に20μg注射)して決定された。血液のサンプルを指定時間に回収し、血清中の融合タンパク質の量をELISAにより決定した。捕獲抗体は、ポリクロナールヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)で、検出抗体はペルオキシダーゼ共役ヤギ抗ヒトKであった。表1に見られるように、半減期(24時間と4日の時間点を取った)はほぼ3日であった。これはヒトの場合の85分(Herrmann et al. (1989) J. Clin Oncol. 7:159-167) に匹敵する。この長い半減期は、特に腫瘍部分の免疫複合体の局所濃度は抗体標的によって長くなり得るから、融合タンパク質の減少した活性を補償するものといえる。
【0040】
表1:ch14.18-CH3-GM-CSF* の血清濃度
注射後時間 Ab濃度(ng/mL)
4 時間 92l0
16 時間 9660
24 時間 5950
4 日 2530
* ネズミは尾の静脈部に融合タンパク質ch14.18-CH3-GM-CSFを20μg 注射された。小さいサンプル(50μL)が尾の静脈部から採取され、ヒトの抗体の決定因子のため分析された。
【実施例10】
【0041】
Ig/TNF免疫複合体の構築、発現及び活性
Ig/TNF免疫複合体は、TNFαをコードする核酸配列と免疫グロブリン重鎖を融合して、それによりTNFαが重鎖のカルボキシ末端に融合するようにして、作成された。簡単には、成熟したTNFαをコードする配列を、オリゴヌクレオチドを用い、ヒトCγ1 CH3エクソンの末端に融合した。再構築された断片は、抗GD2マウス抗体14.18からの遺伝子をコードする重鎖V領域の下方で結合する。このベクターに更に加わるのは、抗GD2マウス抗体14.18からの軽いV領域をコードするV領域遺伝子とC領域符合化遺伝子の両方を含むヒトκ遺伝子である。ハイブリドーマ細胞は、上述のように、形質転換され、選択される。ヒト抗体決定因子を分泌するクローンは、拡張され、プロテインAセファロースクロマトグラフィーのよってch14.18−CH3−TNFα融合タンパク質の生成と精製のために用いられる。融合タンパク質の活性は上述のようにCH3−LT融合タンパク質に対してテストされた。
【0042】
図10に示されるように、融合タンパク質で得られる細胞毒性の量は分析の早期(20hr)又は後期(24hr)で天然型のTNFαのそれに達するか上回るかした。この融合タンパク質は、たとえそれがプロテインAセファロースを用いて精製されたとしても、TNFα活性として充分に機能的である。CH3−LT構造体は同じプロトコルを用いて、酸性のpHでは溶出により部分的に不活性になった。
Ig/LT、Ig/GM−CSF及びIg/TNFα免疫複合体について上述の結果はの示すところは、抗体は一般に、抗原結合活性又は抗体の機能を失なわずにサイトカインに融合できるということであり、またサイトカインのレセプター結合活性も生物学的能力も失わずにこれができるということである。
【実施例11】
【0043】
適用量
本発明の免疫複合体は、一日当たりl00mg/kg体重比の範囲で治療上有効な適用量で投与できる。免疫複合体は生理的食塩水で或いは他のどんな生体適合性緩衝液でも投与できる。この液は全身性に投与できる(例えば、静脈又は筋肉注射で)。
【0044】
他の実施例
本発明は、その精神と本質的特徴から離れることなく、他の特定形式でも実施できる。本文中の実施例は、従って、あらゆる観点において、例示的とみなされるべきで、限定的に考えられるべきではない。本発明の範囲は、以上の記載からではなく、添付する請求項で示される。従って、請求項の意味及び等価の範囲に入るあらゆる変更はその範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の以上及び他の目的、及びその種々の特徴は添付する図面とともに読まれるとき、以下の記載からより充分に理解されよう。
【図1】本発明の免疫複合体の一実施例の概略的説明図である。
【図2】LTとヒトIgH鎖間の融合タンパク質の概略図である。ここで、図2AはプラスミッドpBR322にクローンされたヒトCγ1遺伝子断片地図である。図2BはCH2領域の末端でLTに融合されたCγ1遺伝子を示す。図2CはCH3領域の末端でLTに融合されたCγ1遺伝子を示す。図2Dはプロモータ(矢印)、LT(白ボックス)の天然型リーダーペプチド、成熟タンパク質(+1)の第一の残基及びマウスのκL鎖およびポリA未翻訳配列含む発現ベクターpDEMにクローンされたLTをコードするcDNAを示す。白ボックスはA−CにおいてCγ1のタンパク質コード領域を示し、黒ボックスはタンパク質をコードする配列を結合するのに用いられる合成リンカー示し、そしてストライプボックスはLTコードする配列を示す。
【図3】SDSポリアクリルアミドゲルの写真であり、融合タンパク質鎖集合の分析を示す。ここでキメラch14.18抗体はレーン1及び4に示されており、CH2−LTはレーン2及び5に示されており、CH3−LTはレーン3及び6に示されている。染色マーカータンパク質の位置とそれ等の見かけ状の分子量が示されている。乾燥したゲル4時間(レーン1及び4)又は18時間、被膜に露光された。細胞は35Sメチオニンで標識され、分泌されたタンパク質は抗ヒトκ抗血清とタンパク質で沈澱せしめ、還元(レーン1−3)又は未還元の(レーン4−6)SDSゲルで分析した。
【図4】免疫複合体の天然型LT(△−−△)、CH2−LT(o−−o)又はCH3−LT(●−−●)のLT細胞溶解の活性を示すグラフである。マウスの繊維芽細胞の感受性クローンを用い、一日分析でマイトマシンCを用いて行った。クリスタルバイオレットで染色し、630nmにおける吸収率を測定して相対的細胞生存率を測定した。図4AはElisaによって複合体を最初に測定後分析され形質転換された細胞の培養上清を示す。図4Bは、プロテインAセファローズ又は免疫親和性クロマトグラフィーに引き続いて分析された精製タンパク質を示す。
【図5】精製中のpHのCH3−LTの細胞増殖抑制活性についての精製過程における影響を示すグラフである。天然のLT(o−−o)、培養上清のCH3−LT(△−−△)、プロテインAセファロースクロマトグラフィーで精製したCH3−LT、pH6.5(△−−△)で精製したCH3−LTが、マウスL929サブクローンを用いて、細胞増殖抑制分析(マイトマシンCは使わず)で比較した。
【図6】LTとCH3−LT GD2陽性M21ヒト黒色腫細胞の細胞溶解性及び細胞増殖抑制活性を示すグラフである。M21細胞が、マイトミシンCの存在下で(図6A)又は非存在下で(図6B)96穴プレートに藩種され、LT(o−−o)又はCH3−LT(●−−●)の希釈溶液が添加された。相対的細胞成長率が、48時間後にクリスタルバイオレットで染色し、630nmにおける吸収率を測り、測定された。
【図7】Ig/LT免疫複合体の抗原結合活性を示すグラフである。相対的結合率は、拮抗剤として未標識ch14.18(○−−○)、CH2−LT(●−−●)又は標識ch14.18(□−−□)のいずれかとトレーサーとしてHRPを結合したch14.18抗体をもちい、比較抗原結合分析で測定された。
【図8】融合タンパク質ch14.18−CH3−GM−CSF(レーンL)と未融合のタンパク質ch14.18(レーン2)の還元状態(R)または非還元状態(NR)でのSDS−ポリアクリルアミドゲルの写真である。ここで、Mは指定された大きさ分子量マーカーである。
【図9】GS−CSF標準(o−−o)及びコンデイション培地(△−−△)と比較したIg/GM−CSF免疫複合体ch14.18−GM−CSF(●−−●)のGM−CSF活性を示すグラフである。
【図10】TNFα(前期)(o−−o)とTNFα(後期)(△−−△)と比較されるIg/TNF免疫複合体ch14.18−TNFα(前期)、ch14.18−TNFα(後期)(▲−−▲)のTNFαの活性を示すグラフある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ig重鎖とサイトカインから成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖。
【請求項2】
Ig重鎖がそのカルボキシ末端において、ペプチド結合によりサイトカインのアミノ末端アミノ酸に結合している請求項1に記載されるキメラIg鎖。
【請求項3】
Ig重鎖がCH1、CH2及びCH3領域から成る請求項1に記載されるキメラIg鎖。
【請求項4】
たんぱく分解酵素切断部位がIg重鎖とサイトカインとの間に位置している請求項lに記載されるキメラIg鎖。
【請求項5】
可変領域がマウスから誘導され、不変領域がヒトの抗体から誘導される請求項1に記載されるキメラIg鎖。
【請求項6】
Ig重鎖の可変領域が癌細胞又はビールス感染細胞に特異的であるIgから誘導される請求項lに記載されるキメラIg鎖。
【請求項7】
可変領域が腫瘍関連抗原又はビールス抗原のために特異的であるIgから誘導される請求項6に記載される複合体。
【請求項8】
サイトカインが腫瘍壊死因子アルファ(tumor necrosis factor alpha)である請求項lに記載されるキメラIg鎖。
【請求項9】
サイトカインがインターロイキン−2である請求項1に記載されるキメラIg鎖。
【請求項10】
サイトカインがリンフォカインである請求項lに記載されるキメラIg鎖。
【請求項11】
リンフォカインがリンフォトキシンである請求項10に記載されるキメラIg鎖。
【請求項12】
リンフォカインが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である請求項10に記載されるキメラIg鎖。
【請求項13】
リンフォカインが二量体又は多量体を形成するタンパク質である請求項10に記載されるキメラIg鎖。
【請求項14】
標的細胞の抗原に特異的な可変領域及びCH1,CH2及びCH3領域を含有する重鎖をもつIg重鎖を、ペプチド結合を介してサイトカインのアミノ末端アミノ酸と結合した重鎖から成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖。
【請求項15】
サイトカインがリンフォトキシン、インターロイキン−2、腫瘍壊死因子及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子から成る群より選ばれたものである請求項14に記載されるキメラIg鎖。
【請求項16】
(a)癌細胞又はビールス感染細胞に特異的な可変領域を有し、その不変領域のカルボキシル末端においてサイトカインにペプチド結合により接続するIg重鎖を含むキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖;及び(b)癌又はビールス感染細胞に特異的である可変領域を有するIg軽鎖から成り、前記重鎖と軽鎖が機能的抗原結合部位を形成するサイトカイン免疫複合体。
【請求項17】
キメラ重鎖がCH1、CH2及びCH3領域から成る不変領域をもつ請求項16に記載される免疫複合体。
【請求項18】
サイトカインがインターロイキン−2である請求項16に記載される免疫複合体。
【請求項19】
サイトカインが腫瘍壊死因子αである請求項16に記載される免疫複合体。
【請求項20】
サイトカインがリンフォカインである請求項16に記載される免疫複合体。
【請求項21】
リンフォカインがリンフォトキシンである請求項20に記載される免疫複合体。
【請求項22】
リンフォカインが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である請求項20に記載される免疫複合体。
【請求項23】
Ig重鎖とサイトカインから成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖をコードする核酸。
【請求項24】
DNAである請求項23に記載される核酸。
【請求項25】
Ig重鎖がCH1,CH2及びCH3領域から成る請求項23に記載される核酸。
【請求項26】
可変領域が癌細胞又はビールス感染に特異的なIgから誘導される請求項23に記載される核酸。
【請求項27】
可変領域が腫瘍関連抗原又はビールス抗原に特異的なIgから誘導される請求項26に記載される核酸。
【請求項28】
たんぱく分解酵素切断部位がIg重鎖とサイトカインとの間に位置している請求項23に記載される核酸。
【請求項29】
可変領域がマウスの抗体から誘導され、不変領域がヒトの抗体から誘導される請求項23に記載される核酸。
【請求項30】
サイトカインがインターロイキン−2である請求項23に記載される核酸。
【請求項31】
サイトカインが腫瘍壊死因子アルファである請求項23に記載される核酸。
【請求項32】
サイトカインがリンフォカインである請求項23に記載される核酸。
【請求項33】
リンフォカインが二量体又は多量体構造を形成するタンパクである請求項32に記載される核酸。
【請求項34】
リンフォカインがリンフォトキシンである請求項32に記載される核酸。
【請求項35】
リンフォカインが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子である請求項32に記載される核酸。
【請求項36】
標的細胞の抗原に特異的な可変領域及びCH1,CH2及びCH3領域を持つ重鎖よりなるIg重鎖をサイトカインのアミノ末端アミノ酸とペプチド結合することによって接続させたキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖をコードするリコンビナントDNA。
【請求項37】
サイトカインが腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン−2、リンフォトキシン及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子から成る群から選ばれた請求項35に記載するリコンビナントDNA。
【請求項38】
請求項23の核酸で形質転換したセルライン。
【請求項39】
請求項36の核酸で形質転換したセルライン。
【請求項40】
骨髄腫細胞系統(ミエローマセルライン)である請求項23記載のセルライン。
【請求項41】
骨髄腫細胞系統である請求項36記載のセルライン。
【請求項42】
サイトカインを選択的に標的細胞に供給するのに有用な請求項1に記載されるキメラIg鎖であって、(a)標的細胞に特異的な可変領域を有し、その不変領域のカルボキシ末端においてペプチド結合によってサイトカインに結合するIg重鎖から成るキメラ免疫グロブリン(Ig)を含むサイトカイン免疫複合体;及び(b)キメラIg重鎖と結合し、機能的抗原結合箇所を形成するIg軽鎖から成り、前記サイトカイン免疫複合体は前記標的細胞をもつ被検者に標的細胞に達するに充分な量投与されうるもの。
【請求項43】
前記標的細胞が癌細胞またはビールス感染細胞である請求項42に記載されるキメラIg鎖。
【請求項44】
キメラ重鎖がCH1、CH2及びCH3領域からなる不変領域を有する請求項42に記載されるキメラIg鎖。
【請求項45】
サイトカインがリンフォトキシン、インターロイキン−2、腫瘍壊死アルファ及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子から成る群の中から選ばれる請求項42に記載されるキメラIg鎖。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ig重鎖とサイトカインから成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖。
【請求項2】
標的細胞の抗原に特異的な可変領域及びCH1,CH2及びCH3領域を含有する重鎖をもつIg重鎖を、ペプチド結合を介してサイトカインのアミノ末端アミノ酸と結合した重鎖から成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖。
【請求項3】
(a)癌細胞又はビールス感染細胞に特異的な可変領域を有し、その不変領域のカルボキシル末端においてサイトカインにペプチド結合により接続するIg重鎖を含むキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖;及び(b)癌又はビールス感染細胞に特異的である可変領域を有するIg軽鎖から成り、前記重鎖と軽鎖が機能的抗原結合部位を形成するサイトカイン免疫複合体。
【請求項4】
Ig重鎖とサイトカインから成るキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖をコードする核酸。
【請求項5】
標的細胞の抗原に特異的な可変領域及びCH1,CH2及びCH3領域を持つ重鎖よりなるIg重鎖をサイトカインのアミノ末端アミノ酸とペプチド結合することによって接続させたキメラ免疫グロブリン(Ig)鎖をコードするリコンビナントDNA。
【請求項6】
請求項4の核酸で形質転換したセルライン。
【請求項7】
請求項5の核酸で形質転換したセルライン。
【請求項8】
サイトカインを選択的に標的細胞に供給するのに有用な請求項1に記載されるキメラIg鎖であって、(a)標的細胞に特異的な可変領域を有し、その不変領域のカルボキシ末端においてペプチド結合によってサイトカインに結合するIg重鎖から成るキメラ免疫グロブリン(Ig)を含むサイトカイン免疫複合体;及び(b)キメラIg重鎖と結合し、機能的抗原結合箇所を形成するIg軽鎖から成り、前記サイトカイン免疫複合体は前記標的細胞をもつ被検者に標的細胞に達するに充分な量投与されうるもの。
【請求項9】
前記標的細胞が癌細胞またはビールス感染細胞である請求項8に記載されるキメラIg鎖。
【請求項10】
キメラ重鎖がCH1、CH2及びCH3領域からなる不変領域を有する請求項8に記載されるキメラIg鎖。
【請求項11】
サイトカインがリンフォトキシン、インターロイキン−2、腫瘍壊死因子アルファ及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子から成る群の中から選ばれる請求項8に記載されるキメラIg鎖。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−6339(P2006−6339A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227387(P2005−227387)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【分割の表示】特願2000−224545(P2000−224545)の分割
【原出願日】平成3年11月7日(1991.11.7)
【出願人】(500345641)
【Fターム(参考)】