説明

サイドアンダースポイラー取付構造

【課題】車体と異材からなるサイドアンダースポイラーを当該車体に対して一段と確実に取り付けできると共に、取り付け後のブラケット及びサイドアンダースポイラーの車体に対する結合力を長期的に維持できるサイドアンダースポイラー取付構造を提供する。
【解決手段】車体下側部6とブラケット3とが同じように熱膨張又は熱収縮することから、熱膨張係数の違いによる変形の相違によってブラケット3の接着面が剥がれることを防止できると共に、仮にサイドアンダースポイラー4が熱膨張又は熱伸縮しても、当該サイドアンダースポイラー4をブラケット3に支持させ続けることができ、かくして、車体2と異材からなるサイドアンダースポイラー4を当該車体2に対して一段と確実に取り付けできると共に、取り付け後のブラケット3及びサイドアンダースポイラー4の車体2に対する結合力を長期的に維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイドアンダースポイラー取付構造に関し、例えば車体前後方向に延長したサイドアンダースポイラーを車体側面に取り付ける際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車体に両面テープで接着される長尺のベースと、柔軟で当該ベースに沿って延在した装飾的中空カバー(以下、単にカバーと呼ぶ)と、カバー及びベースに設けられ、カバーをベースにスナップ結合するための手段とを備える自動車用トリムピース(サイドアンダースポイラー取付構造)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車体前後方向に長尺に形成されたブラケットが両面テープを介して車体と接着されており、サイドアンダースポイラーを車体前後方向に移動させることで、ブラケットの支持部とサイドアンダースポイラーの取付部とを係合させて取り付けるサイドアンダースポイラー取付構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3362848号
【特許文献2】特開2005−313860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる構成でなるこれらサイドアンダースポイラー取付構造では、一般的に軽量化を図る目的等によりサイドアンダースポイラーが、例えば金属部材からなる車体と熱膨張係数が異なる合成樹脂材等の他の素材により形成されている。
【0005】
このため、これらサイドアンダースポイラー取付構造では、環境の温度変化により車体やブラケット、サイドアンダースポイラーの各温度が上昇すると、ブラケットを車体に接着させている両面テープが、当該ブラケットと車体との熱膨張の相違による変形により剥がれてしまう虞があり、ブラケット及びサイドアンダースポイラーの車体に対する結合力を長期的に維持し得ないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、車体と異材からなるサイドアンダースポイラーを当該車体に対して一段と確実に取り付けできると共に、取り付け後のブラケット及びサイドアンダースポイラーの車体に対する結合力を長期的に維持できるサイドアンダースポイラー取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、車体下側部にブラケットを介してサイドアンダースポイラーを取り付けるサイドアンダースポイラー取付構造であって、前記ブラケットは、前記車体下側部と熱膨張係数が近い素材からなり車体前後方向に長尺に形成され、前記車体下側部に接着されると共に、挿入溝によって前記サイドアンダースポイラーを支承し、前記サイドアンダースポイラーには、前記ブラケットの前記挿入溝に係合する取付部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、車体下側部とブラケットとが同じように熱膨張又は熱収縮することから、熱膨張係数の違いによる変形の相違によってブラケットの接着面が剥がれることを防止できると共に、サイドアンダースポイラーをブラケットに係合させることで、仮にサイドアンダースポイラーが熱膨張又は熱伸縮しても、当該サイドアンダースポイラーをブラケットに支持させ続けることができ、かくして、車体と異材からなるサイドアンダースポイラーを当該車体に対して一段と確実に取り付けできると共に、取り付け後のブラケット及びサイドアンダースポイラーの車体に対する結合力を長期的に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面に基づいて、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
図1において、1は車体2の側面に設けられるサイドアンダースポイラー取付構造を示し、このサイドアンダースポイラー取付構造1は、ブラケット3とサイドアンダースポイラー4とから構成されている。
【0011】
実際上、このサイドアンダースポイラー取付構造1は、フロント側ホイールハウス5a及びリア側ホイールハウス5b間におけるドア2a下側のフレーム部分(以下、これを車体下側部と呼ぶ)6に、これらブラケット3及びサイドアンダースポイラー4が車体前後方向xに沿って配置され得る。
【0012】
先ず始めに、このサイドアンダースポイラー4がどのようにして車体下側部6に設けられているかについて以下簡単に説明する。図1において車体前後方向xと直交する車体上下方向zにほぼ沿った符合A−A位置での縦断面を示す図2(A)のように、サイドアンダースポイラー4は、中央部分において、車体下側部6に両面接着テープ7を介して接着されたブラケット3に、上端部側に設けた取付部9が係合することにより装着されると共に、下端部が板状の取付金具10を介在させて車体下面11に固定クリップ12により固定され得る。なお、図2(A)においてyは車体前後方向x及び車体上下方向zと直交する車体幅方向を示す。
【0013】
因みに、サイドアンダースポイラー4は、図2(B)に示すように、ブラケット3に係合する取付部9が全て上端部側に配置されていると共に、取付金具10(図2(A))を有しない他の下端部が自由端となるように形成されており、当該下端部に加わる外力をサイドアンダースポイラー4自身が受けて遊動し、衝撃を吸収し得るように構成されている。
【0014】
図1において符合B−B位置での横断面を示す図3のように、サイドアンダースポイラー4は、車体前方側に位置する前端部15aが、貫通孔15bに挿通されたタッピングねじ17によってフロント側ホイールハウス5aのアウター部16に固定されている。また、サイドアンダースポイラー4は、図1において符合C−C位置での横断面を示す図4のように、前側面の裏面に設けられたオスクリップ18が車体下側部6の固定孔19に挿通され、車体下側部6の裏面から露出したオスクリップ18の先端にメスクリップ20が取り付けられることにより、車体下側部6に固定されている。
【0015】
また、サイドアンダースポイラー4の後端部側は、図1において符合D−D位置での斜め断面を示す図5のように、後側面裏面のクリップ装着部4aに装着した固定クリップ21が車体下側部6の固定孔22に嵌め込まれることにより、車体下側部6に固定されている。また、サイドアンダースポイラー4は、図1において符合E−E位置での縦断面を示す図6のように、後側面上部25の裏面に接着された両面接着テープ26によって、当該後側面上部25が車体下側部6に接着されている。
【0016】
このようにサイドアンダースポイラー4は、前端部15a、前側面及び後側面がタッピングねじ17、オスクリップ18、メスクリップ20及び固定クリップ21によって車体下側部6にそれぞれ固定されていると共に、後側面上部25が車体下側部6に両面接着テープ26によって接着され、さらに中央部分がブラケット3に係合することにより車体下側部6に取り付けられている。
【0017】
図7に示すように、車体下側部6は、表面が滑らかに形成されており、長尺に形成されたブラケット3(図示せず)が、当該表面に両面接着テープ7によって確実に接着し得るように構成されている。なお、30は、ブラケット3の接着位置を示すマスキングテープである。
【0018】
図8に示すように、ブラケット3は、一体成形されたブラケット本体31と、当該ブラケット本体31の一側面に接着された帯状の両面接着テープ7とから構成されている。このブラケット本体31は、車体下側部6を形成する素材(以下、これを単に車体素材と呼ぶ)の熱膨張係数と近い熱膨張係数を有する素材で形成されており、この実施の形態の場合、例えば車体素材が金属部材からなることから当該金属部材と熱膨張係数が近いアルミニウム部材により形成されている。
【0019】
ここで、車体素材の熱膨張係数と近い熱膨張係数とは、当該車体素材の熱膨張係数との差が最大1桁まで違う熱膨張係数をいう。すなわち、例えば車体素材が金属部材からなる場合には、金属部材の熱膨張係数が約12×10−6/℃であることから、ブラケット本体31は最大N×10−5/℃〜N×10−7/℃(Nは任意の2桁の数字)までの間の熱膨張係数からなる素材により形成され得る。
【0020】
実際上、このブラケット本体31は、車体上下方向zに配置される高さが約26mm、車体前後方向xに配置される長さが約1100mm、厚さが約1.5mmからなる帯状の板状部32を有し、図9に示すように、当該板状部32の他側面に断面L字状の屈曲部33の一端が立設されている。これにより、ブラケット本体31は、屈曲部33の一側部が板状部32とほぼ平行に配置され、当該一側部と板状部32との間に、サイドアンダースポイラー4の取付部9を収納する挿入溝35が車体前後方向xに延長するように形成されている(図8)。
【0021】
また、図9に示したように、ブラケット本体31には、板状部32の上端部に屈曲部33側に向けて突出した係合突起部36が形成されていると共に、屈曲部33の上端部にも当該係合突起部36と同じ方向に向けて突出した受け止め部37が形成されている。
【0022】
これによりブラケット3は、図2(A)に示すように、これら係合突起部36及び受け止め部37の上面で、サイドアンダースポイラー4の取付部9の一部を受け止めて位置決めすると共に、当該挿入溝35に挿入した取付部9が係合突起部36に係合可能に構成されている。
【0023】
ブラケット本体31に接着された両面接着テープ7は、車体上下方向zに配置される高さが約20mm、車体前後方向xに配置される長さが約1100mmからなり帯状に形成されていると共に、図9に示すようにその厚さt1が約2.0mmに形成され、車体前後方向xに延長する板状部32に接着され得る。
【0024】
一方、図10に示すように、サイドアンダースポイラー4は、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル(PolyPhenyleneEther))等の合成樹脂材により長尺に形成されており、裏面が車体下側部6の外郭に装着し得るように構成されている。サイドアンダースポイラー4は、中央部分において側面の上端部が折り返されて車体側に向けて突出した突出上部40を備え、この突出上部40の裏面に取付部9が設けられ得る(図2(A))。なお、41は、サイドアンダースポイラー4の後側部を車体下面11に固定するための固定金具である。
【0025】
因みに、サイドアンダースポイラー4の後側面上部25における両面接着テープ26は、その厚さがブラケット3の両面接着テープ7の厚さよりも厚い約2.5mmに選定されており、当該厚さを厚くすることで、サイドアンダースポイラー4と熱膨張係数が異なる車体下側部6との間において、温度変化により生じる変形により隙間が生じることを防止し得るようになされている。
【0026】
ここで、取付部9は、ブラケット3の長さとほぼ同じ長さの長尺に形成されており、図11に示すように、係合部45と両面接着テープ46とから構成されている。係合部45は、サイドアンダースポイラー4と近似した熱膨張係数からなる素材(TPO(サーモポリオレフィン(ThermoPolyOlefin))等の合成樹脂材)により一体成形されている。
【0027】
実際上、この係合部45は、板状の支持部47と、当該支持部47の下面中央付近に下方に向けて延長した挿入突起部48と、当該挿入突起部48の先端を一方に折り返して突出させた係合爪部49とから構成されており、帯状の支持部47の上面に両面接着テープ46が接着されている。
【0028】
係合部45は、支持部47の上面に接着された両面接着テープ46によって、サイドアンダースポイラー4の突出上部40の裏面に接着され、係合爪部49が車体2側に突出するように配置され得るようになされている(図2(A))。
【0029】
なお、この両面接着テープ46は、車体幅方向yに配置される幅が約11mm、車体前後方向xに配置される長さが約1100mmに形成されていると共に、図11に示すようにその厚さt2がブラケット3に設けた両面接着テープ26の厚さよりも薄い約0.8mmに形成されている。なお、両面接着テープ46の厚さt2がブラケット3に設けた両面接着テープ26の厚さよりも薄く形成されているのは、係合部45がサイドアンダースポイラー4と近い素材により形成されていることから、温度変化による変形の相違がほぼなく、両面接着テープ26の厚さt2を厚くしなくとも、係合部45とサイドアンダースポイラー4との間に隙間が形成し難いことによる。
【0030】
かくして、図2(A)に示したように、係合部45は、挿入突起部48及び係合爪部49がブラケット3の挿入溝35内に挿入されることにより、仮にサイドアンダースポイラー4が車体上下方向zや車体幅方向yに遊動しても、係合突起部36側へ突出した係合爪部49が係合突起部36に係合し、又は挿入突起部48が屈曲部33に当接することで、挿入溝35内から脱落することが防止され得る。
【0031】
これに加えて係合部45は、係合爪部49が挿入溝35の上端部に設けた係合突起部36との間に僅かな隙間を設けて挿入溝35内に配置され、サイドアンダースポイラー4の遊動に応じて係合爪部49が当該係合突起部36にのみ適宜係合し得るように構成されている。これにより取付部9は、挿入溝35からの脱落を防止しつつ、かつ仮にサイドアンダースポイラー4が熱膨張や熱収縮により車体前後方向xに変形しても、当該サイドアンダースポイラー4の変形に追従して係合部45が挿入溝35に対して車体前後方向xに移動し得るように構成されている。
【0032】
次に、このようなサイドアンダースポイラー取付構造1を車体下側部6に取り付ける作業工程を以下説明する。取付作業者(図示せず)は、図12(A)に示すように、ブラケット3の両面接着テープ7の離型紙51の中央にカッタ52によって切れ目を入れ、両面接着テープ7から離型紙51の両端部を剥がしておく。
【0033】
次いで、取付作業者は、図12(B)に示すように、車体下側部6に設けたマスキングテープ30にブラケット3を合わせることにより、当該ブラケット3の長手方向を車体前後方向xに位置決めした後、図12(C)に示すように、離型紙51を両端部から剥がしならがブラケット3を車体下側部6に対して圧着させてゆく。これによりブラケット3は、車体下側部6に両面接着テープ7を介して固定され得る。
【0034】
また、取付作業者は、図13に示すように、サイドアンダースポイラー4の後端部に設けられたクリップ装着部4aに固定クリップ21を嵌め込み、サイドアンダースポイラー4の後側面上部25の裏面に接着されている両面接着テープ26の離型紙54の一部を剥がしておく。
【0035】
次に取付作業者は、図14に示すように、車体下側部6に接着させたブラケット3に対してサイドアンダースポイラー4を取り付ける。この際、取付作業者は、ブラケット3の挿入溝35上方からサイドアンダースポイラー4における取付部9の挿入突起部48及び係合爪部49を、当該挿入溝35内に挿入することにより、ブラケット3に対してサイドアンダースポイラー4を固定する(図14中における上部四角領域内参照)。
【0036】
また、この際、取付作業者は、車体下側部6前方の固定孔19にサイドアンダースポイラー4のオスクリップ18を挿入すると共に、車体下側部6後方の固定孔22にサイドアンダースポイラー4の固定クリップ21を嵌め込むことにより、車体下側部6にサイドアンダースポイラー4を直接取り付ける。
【0037】
次に、取付作業者は、図15(A)に示すように、車体下側部6の裏面から露出したオスクリップ18の先端にメスクリップ20を取り付けることより、オスクリップ18及びメスクリップ20間に車体下側部6を挟んでサイドアンダースポイラー4を固定する。
【0038】
次いで、取付作業者は、図15(B)に示すように、サイドアンダースポイラー4に予めねじ56aにより仮止めした固定金具41の孔と、同じくサイドアンダースポイラー4に予めねじ57aにより仮止めした取付金具10の孔とが、車体下面11に穿設された孔(図示せず)にそれぞれ一致するように位置調整し、これら取付金具10及び固定金具41をねじ56b,57bによりサイドアンダースポイラー4に固定する。
【0039】
次いで、取付作業者は、この状態のまま取付金具10及び固定金具41にゴムワッシャ(図示せず)を介して固定クリップ12,60をそれぞれ嵌め込むことで、当該取付金具10及び固定金具41を車体下面11に固定する。
【0040】
また、取付作業者は、図16に示すように、サイドアンダースポイラー4の前端部15aに穿設された貫通孔15bと、フロント側ホイールハウス5aのアウター部16に穿設された孔(図示せず)とを合わせ、これら貫通孔15b及び孔にタッピングねじ17を螺着することにより、サイドアンダースポイラー4の前端部15aをフロント側ホイールハウス5aのアウター部16に固定する。
【0041】
最後に、取付作業者は、図17に示すように、サイドアンダースポイラー4の後側面上部25に設けた両面接着テープ26の離型紙54を剥がしながら、車体下側部6に両面接着テープ26を圧着させることにより、サイドアンダースポイラー4の後側面上部25を車体下側部6に接着させる。このようにして取付作業者はサイドアンダースポイラー4を車体下側部6に固定する。
【0042】
以上の構成において、サイドアンダースポイラー取付構造1では、両面接着テープ7によって車体下側部6に接着させるブラケット3を、車体下側部6と熱膨張係数が近い素材により形成するようにしたことにより、環境の温度変化に応じて車体下側部6及びブラケット3の温度が仮に上昇又は下降しても、車体下側部6とブラケット3とが同じように熱膨張又は熱収縮することから、熱膨張係数の違いによる変形の相違によって両面接着テープ7が剥がれブラケット3が車体下側部6から剥離してしまうことを防止できる。
【0043】
また、サイドアンダースポイラー取付構造1では、サイドアンダースポイラー4の取付部9をブラケット3の挿入溝35に挿入し、当該挿入溝35に取付部9を係合させることによりブラケット3に対してサイドアンダースポイラー4を支承させるようにした。
【0044】
これにより、サイドアンダースポイラー取付構造1では、サイドアンダースポイラー4が例えば軽量化を図る目的等により、車体下側部6及びブラケット3と熱膨張係数が全く異なるプラスチック部材等他の素材により形成され、環境の温度変化によって仮にサイドアンダースポイラー4にブラケット3と異なる熱膨張又は熱伸縮が生じても、当該サイドアンダースポイラー4をブラケット3に支持させ続けることができる。
【0045】
具体的にこの実施の形態の場合、ブラケット3は、車体前後方向xに延長する挿入溝35を備えると共に、挿入溝35両上端部に車体前後方向xに延び、かつ車体2から離れる方向に突出した係合突起部36及び受け止め部37を備えるようにした。
【0046】
また、サイドアンダースポイラー4は、取付部9がブラケット3の挿入溝35上方から挿入溝35内に挿入され、サイドアンダースポイラー4の自重により加えられる力により、取付部9の挿入突起部48が挿入溝35の屈曲部33に当接すると共に、取付部9の支持部47が挿入溝35の係合突起部36及び受け止め部37上により受け止められることによって、ブラケット3に支持されるようにした(図2(A))。
【0047】
これにより、サイドアンダースポイラー取付構造1では、サイドアンダースポイラー4の取付部9がブラケット3の挿入溝35に対して車体上下方向z及び車体幅方向yにのみ移動規制され、係合部45が車体前後方向xに対して係合されずにサイドアンダースポイラー4の熱膨張又は熱収縮により移動できるように、ブラケット3にサイドアンダースポイラー4を取り付けることができる。
【0048】
従って、サイドアンダースポイラー取付構造1では、仮にサイドアンダースポイラー4が温度変化によって車体前後方向xに熱膨張又は熱伸縮して変形しても、サイドアンダースポイラー4の取付部9とブラケット3の挿入溝35との係合状態を維持し続けることができる。
【0049】
かくして、サイドアンダースポイラー取付構造1では、車体下側部6やブラケット3の素材と全く異なる熱膨張係数を有する素材を用いてサイドアンダースポイラー4を形成しても、サイドアンダースポイラー4の熱膨張や熱伸縮にかかわらず、当該サイドアンダースポイラー4をブラケット3に対して確実に支持し続けることができる。
【0050】
また、サイドアンダースポイラー取付構造1では、仮にサイドアンダースポイラー4に対して車体上下方向zに外力が加えられ、当該サイドアンダースポイラー4が車体上下方向zに遊動しても、サイドアンダースポイラー4における取付部9の係合爪部49が、ブラケット3における挿入溝35の係合突起部36に適宜係合することにより、当該サイドアンダースポイラー4がブラケット3から離脱してしまうことを確実に防止できる。
【0051】
以上の構成によれば、両面接着テープ7によって車体下側部6に接着させるブラケット3を、車体下側部6と熱膨張係数が近い素材により形成し、このブラケット3の挿入溝35にサイドアンダースポイラー4の取付部9を挿入して係合させるようにしたことにより、車体下側部6とブラケット3とが同じように熱膨張又は熱収縮することから、熱膨張係数の違いによる変形の相違によってブラケット3の接着面が剥がれることを防止できると共に、仮にサイドアンダースポイラー4が熱膨張又は熱伸縮しても、当該サイドアンダースポイラー4をブラケット3に支持させ続けることができ、かくして、車体2と異材からなるサイドアンダースポイラー4を当該車体2に対して一段と確実に取り付けできると共に、取り付け後のブラケット3及びサイドアンダースポイラー4の車体2に対する結合力を長期的に維持できる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能であり、例えば、車体素材の熱膨張係数と近い熱膨張係数を有する素材としてアルミニウム部材を用い、当該アルミニウム部材によりブラケット3を形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該車体素材の熱膨張係数との差が最大1桁まで違う熱膨張係数を有する素材であれば種々の素材を用いてブラケット3を形成するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態においては、サイドアンダースポイラー4の自重により加えられる力により、取付部9の挿入突起部48が挿入溝35の屈曲部33に当接すると共に、取付部9の支持部47が挿入溝35の係合突起部36及び受け止め部37上により受け止められることによって、サイドアンダースポイラーをブラケット3に支持するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、サイドアンダースポイラー4の自重により加えられる力により、さらに取付部9の係合爪部49が挿入溝35の係合突起部36に係合することによって、サイドアンダースポイラー4をブラケット3に支持するようにしても良い。
【0054】
さらに、上述した実施の形態においては、係合部45の係合爪部49が車体2側に突出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、係合爪部49が挿入溝35に突出した係合突起部36に係合できれば良く、係合部45の係合爪部49が車体2側から離れる方向や種々の方向に突出するようにしても良い。また、係合爪部49が係合する係合突起部36を挿入溝35に対して種々の方向に突出させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるサイドアンダースポイラー取付構造の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1のA−A位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成と、他の位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成とを示す断面図である。
【図3】図1のB−B位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成を示す断面図である。
【図4】図1のC−C位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成を示す断面図である。
【図5】図1のD−D位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成を示す断面図である。
【図6】図1のE−E位置におけるサイドアンダースポイラー取付構造の断面構成を示す断面図である。
【図7】車体下側部の構成を示す概略図である。
【図8】ブラケットの全体構成を示す概略図である。
【図9】ブラケットの側面構成を示す概略図である。
【図10】サイドアンダースポイラーの全体構成を示す概略図である。
【図11】取付部の側面構成を示す概略図である。
【図12】車体下側部にブラケットを取り付ける際の様子を示す概略図である。
【図13】サイドアンダースポイラーに固定クリップを嵌め込むときの様子を示す概略図である。
【図14】ブラケットにサイドアンダースポイラーを取り付ける際の様子を示す概略図である。
【図15】車体下側部にサイドアンダースポイラーを取り付ける際の様子を示す概略図である。
【図16】車体下側部にサイドアンダースポイラーの前端部を取り付ける際の様子を示す概略図である。
【図17】サイドアンダースポイラーの後側面上部を両面接着テープを用いて車体下側部に接着させる際の様子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1 サイドアンダースポイラー取付構造
2 車体
3 ブラケット
4 サイドアンダースポイラー
6 車体下側部
9 取付部
35 挿入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体下側部にブラケットを介してサイドアンダースポイラーを取り付けるサイドアンダースポイラー取付構造であって、
前記ブラケットは、
前記車体下側部と熱膨張係数が近い素材からなり車体前後方向に長尺に形成され、前記車体下側部に接着されると共に、挿入溝によって前記サイドアンダースポイラーを支承し、
前記サイドアンダースポイラーには、
前記ブラケットの前記挿入溝に係合する取付部が形成されている
ことを特徴とするサイドアンダースポイラー取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−76727(P2010−76727A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250468(P2008−250468)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】