説明

サイドフィニッシャの取付構造

【課題】サイドフィニッシャの新しい意匠を創作することが可能なサイドフィニッシャ取付構造の提供。
【解決手段】コーナーパネル10の一部をドアヒンジDに被さるまで延長して該延長部分11に係止孔12を設け、この係止孔12にサイドフィニッシャ20の係止爪22を係止させることを特徴とする。ドアヒンジD上でサイドフィニッシャ20を係止させることができるので、サイドフィニッシャ20の上部を延長してフロントピラーPに係止させる必要が無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブオーバー型トラックの前部車体構造におけるフィニッシャの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャブオーバー型トラックにおけるキャブ前部から側部へかかるコーナーの部分では、たとえば特許文献1〜3に示すようにコーナーパネル(フロントフェンダ、フロントサイドパネル)がフロントピラーに取り付けられる。また最近では、コーナーパネル上方に樹脂製のサイドフィニッシャを組み合わせて取り付けるものもある。その組合わせ方につき、図4に概略を示している。
【0003】
図4(A)に示すのは、コーナーパネル1をフロントウインドウWの側方まで上に延長してあるタイプで、ヘッドライトHからフロントウインドウWの側方までコーナパネル1が延在しており、サイドフィニッシャ2はキャブ側部まで回り込まず、フロントウインドウWの下で終端している。一方、図4(B)に示すのは、サイドフィニッシャ2をフロントウインドウWの側方まで上に延長してあるタイプで、サイドフィニッシャ2がコーナーパネル1の上方にキャブ側部まで回り込んで取り付けられている。
【0004】
なお、両者の場合において、サイドフィニッシャ2の内側に可倒式サイドミラーのモータを内蔵した機構部が設けられることもあり、この時にはそのサイドミラー機構部を収容する形状にサイドフィニッシャ2が形成される。また、サイドフィニッシャ2のキャブ前部の部分は、フロントパネルにクリップ止めされている。
【特許文献1】実開昭60−089074号公報
【特許文献2】実開昭60−157484号公報
【特許文献3】特開2001−030952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4に示すいずれの場合も、フロントウインドウWの横までコーナーパネル1又はサイドフィニッシャ2が上に延長されており、この延長された部分1a,2aにおいてフロントピラーPにクリップで係止される構造を持つ。すなわち、サイドフィニッシャ2を取り付ける高さには丁度ドアヒンジDがフロントピラーPに設けられるので、この部分に係止部を形成することができず、ドアヒンジDの上方まで延長してその部分1a,2aに係止部を形成せざるを得ない。
【0006】
つまり、図4(B)のサイドフィニッシャ2をキャブ側部まで回り込ませるタイプにおいて、延長した部分2aを無くすと係止部を設ける場所が無くなることになるが、樹脂製のサイドフィニッシャ2では剛性が低いため、ピラーPへの係止部となる部分2aを無くすことができない。従って、サイドフィニッシャ2の部分2aが無いデザイン(点線2bで示す)を採用することは難しく、これがデザイン上の足かせとなっており、新たな意匠を採用するためには解決すべき課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明は、コーナーパネルの一部をドアヒンジに被さるまで延長して該延長部分に係止孔を設け、サイドフィニッシャをフロントパネルと前記延長部分の係止孔に係止させることを特徴としたサイドフィニッシャの取付構造を提供する。すなわち、金属製で剛性の高いコーナーパネルを延長してドアヒンジに被せることで、ドアヒンジ上にサイドフィニッシャを外側から係止させる係止部を作り出すものである。このコーナーパネルの延長部分を利用した係止部により、キャブ側部まで回り込ませたサイドフィニッシャを内側からドアヒンジ上で係止できるようにしたことで、剛性のコーナパネルにサイドフィニッシャを支持させて課題を解決することに成功している。
【0008】
好ましくは、コーナーパネルの延長部分は、係止させたサイドフィニッシャの外面がコーナーパネルの外面と概略面一になるように段差を有するものとするのが良い。
また、本発明の取付構造によれば、コーナーパネルとの係止としたことで当該係止部については水密性を考慮する必要が無くなり、コーナーパネルの延長部分に設けた係止孔に係止する係止爪をサイドフィニッシャの内面に突設する簡単な構造とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コーナーパネルをドアヒンジに被さるまで延長した延長部分により係止部を形成したことにより、ドアヒンジ上でサイドフィニッシャを係止させることができるようになり、剛性の問題を解決して、サイドフィニッシャの新しい意匠を創作することが可能となる。また、サイドフィニッシャをコーナーパネルに係止させているので、サイドフィニッシャとコーナーパネルとの突き合わせ公差(隙間、面一)が一定となり、この部分については車体毎の調整作業を省略することも可能となる。
【0010】
さらに、コーナーパネルとの係止として当該係止部については水密性考慮を不要としたので、ピラーに装着していた従来技術と違って水密性確保のクリップ止めにせずとも済み、その分のコストダウンも実現することができる。そして、サイドフィニッシャの係止爪は射出成形で一体成形できるので、さらなるコストダウンも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図3に、本発明の実施形態を示し説明する。
図1に示すように、本実施形態では、金属製のコーナーパネル10の上方に樹脂製のサイドフィニッシャ20を組み合わせて取り付けてあり、サイドフィニッシャ20はキャブ側部まで回り込むものとなっている。サイドフィニッシャ20の取り付け高さにはドアヒンジDが位置しているが、当該サイドフィニッシャ20にはフロントウインドウWの側方まで上に延長された部分が無く、フロントウインドウWの下縁の延長線上で上縁21が止まっている。従って、フロントウインドウWの側方にはフロントピラーPが位置するのみである。
【0012】
図2及び図3に、サイドフィニッシャ20の取付構造につき具体的に示している。
ドアヒンジDはフロントピラーPに形成された凹部Paに装着されており、コーナーパネル10は、凹部Paに装着されたドアヒンジDよりも下方に取り付けられている。そして、コーナーパネル10はキャブ側部の部分が上方に延長され、ドアヒンジDに被さる延長部分11が形成されている。なお、図示の例ではドアヒンジDの全体を覆うように延長部分11を被せてあるが、少なくとも部分的に被さるようにしてあれば良い。ただし、全体的に被さるようにしてあった方が剛性は高まる。
【0013】
延長部分11には、係止孔12が縦方向に並べて2カ所形成されおり、サイドフィニッシャ20内面の相応位置に突設された係止爪22が係止する。係止爪22は、サイドフィニッシャ20のキャブ側部へ回り込んだ部分に形成されており、射出成形により一体成形されたもので、別体のクリップ止めと違い製造コストがかからない。係止爪22では水密性を確保できないが、フロントピラーPに装着したコーナーパネル10の延長部分11との係止なので、当該係止部分については水密性を確保する必要は無い。なお、サイドフィニッシャ20のキャブ前部に相当する部分では、フロントパネルへの取り付けなのでクリップ止めされるし、その他の水密性が必要な部分はシールされる(図示略)。
【0014】
また、延長部分11は、段差13をもって内側へ引っ込んでおり、係止させたサイドフィニッシャ20の外面とコーナーパネル10の外面とが概略面一(見た目に面一である程度)となるようにしてある。さらに、サイドフィニッシャ20が直接コーナーパネル10と係止することから、これらの突き合わせ部分A(図1)の突き合わせ公差が一定となり、調整作業が省かれる。すなわち、従来の取付構造では、フロントピラーにサイドフィニッシャをクリップ止めしており、コーナーパネルとは別々にピラーへ係止させる構造であったため、突き合わせ部分の隙間や面一について車体間のバラツキが避けられず、組み付け後に微調整を必要としていた。一方、本発明ではサイドフィニッシャ20をコーナーパネル10に直接係止させる取付構造としたことにより、サイドフィニッシャ20とコーナパネル10との突き合わせ公差については車体間のバラツキが関係なくなる。従って、車体毎の調整作業は不要とすることが可能である。
【0015】
以上のように、コーナーパネル10の延長部分11によりドアヒンジD上でサイドフィニッシャ20を係止させているので、剛性の高いコーナーパネル10でサイドフィニッシャ20が支持され、剛性不足が補われる。従って、図1に示したような上縁21が直線状となったサイドフィニッシャ20を採用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るサイドフィニッシャ取付構造を概略的に示す要部外観図。
【図2】フロントピラーのドアヒンジ装着部分の斜視図。
【図3】分図Aはコーナーパネルの延長部分を示した斜視図、分図Bはサイドフィニッシャ取り付け状態で見たX−X断面の断面図。
【図4】従来のサイドフィニッシャ取付構造を説明する要部外観図。
【符号の説明】
【0017】
10 コーナーパネル
11 延長部分
12 係止孔
13 段差
20 サイドフィニッシャ
21 上縁
22 係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナーパネルの一部をドアヒンジに被さるまで延長して該延長部分に係止孔を設け、サイドフィニッシャをフロントパネルと前記係止孔に係止させることを特徴とするサイドフィニッシャの取付構造。
【請求項2】
前記延長部分が、係止させた前記サイドフィニッシャの外面が前記コーナーパネルの外面と概略面一になるように段差を有することを特徴とする請求項1記載のサイドフィニッシャの取付構造。
【請求項3】
前記係止孔に係止する係止爪を前記サイドフィニッシャの内面に突設してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のサイドフィニッシャの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−182290(P2006−182290A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380543(P2004−380543)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(504334865)日産ライトトラック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】