説明

サックバックバルブ

【課題】開閉弁にサックバルブ機能を備えたサックバックバルブを提供すること。
【解決手段】サックバックバルブSVは、開閉弁10の弁内流路に形成したサックバック室17と、サックバック室17内を軸方向に移動して弁体11を押圧する開閉押圧部材40とピストン本体31との間を連結しているピストン軸部33と、ピストン軸部33を内部に収納してアクチュエータ30を弁内流路から分離し、一端が開閉押圧部材40に連結されるとともに他端がケーシング12に支持されているベローズ41とを備え、弁体11の閉動作時に、ピストン軸部33がピストン本体31及び開閉押圧部材40とともに弁体11の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40が全閉位置からさらに移動してサックバック室17の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉弁の全閉操作時に液だれが生じることを防止するサックバック機能を備えたサックバックバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば薬液等の液体を取り扱う配管系統に設置される開閉弁においては、全閉操作時に生じる液だれ(流体のボタ落ち)を防止するため、別体のサックバック専用バルブを併設することが行われている。このようなサックバック専用バルブは、開閉弁の閉動作に同期して作動するものであり、サックバック室の空間容積を増す方向へダイヤフラムを動作させることにより、出口側の液体をサックバック室側に吸引して液だれを防止することができる。(たとえば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2002−316085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のサックバック専用バルブは、開閉弁とサックバック専用バルブとが別体であるから、装置全体としての設置スペースが大きくなるという問題を有している。
また、開閉弁及びサックバック専用バルブは、各々が空気圧等を用いたアクチュエータにより動作させるものであるから、両アクチュエータを同期させて液だれを確実に防止することは困難であった。
【0004】
さらに、ダイヤフラムを用いたサックバックバルブは、サックバック室に大きなデッドスペースが形成されることから、液体の置換性が悪いという問題を有している。しかも、ダイヤフラムを用いたサックバックバルブは、ダイヤフラムの動作によるサックバック室の容積変化率が小さいため、大容量のサックバック量を実現するためには巨大なサックバック室が必要となるため現実的ではない。
【0005】
このような背景から、設置スペースの低減や同期の問題を解決するため、開閉弁にサックバック機能を備えたサックバックバルブ、すなわち、開閉弁とサックバック専用バルブとを一体化したサックバックバルブが求められている。また、このようなサックバックバルブにおいては、サックバック室のデッドスペースをなくして流体の置換性を増すとともに、サックバック可能な流体の容量を増すことができるサックバック構造が望ましい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、開閉弁にサックバルブ機能を備えたサックバックバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るサックバックバルブは、弁体を開閉方向に付勢する弾性部材を備えた開閉弁が、ピストン本体及びピストン付勢部材を備えている開閉操作部に流体圧力を受けて弁体開閉操作を行うとともに、全閉操作時の液だれを防止するサックバック機能を備えているサックバックバルブであって、前記開閉弁の弁内流路に形成したサックバック室と、前記サックバック室内を軸方向に移動して前記弁体を押圧する開閉押圧部材と前記ピストン本体との間を連結しているピストン軸部と、前記ピストン軸部を内部に収納して前記開閉操作部を前記弁内流路から分離し、一端が前記開閉押圧部材に連結されるとともに他端がケーシングに支持されているベローズとを備え、前記弁体の閉動作時には、前記ピストン軸部が前記ピストン及び前記開閉押圧部材とともに前記弁体の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、前記ピストン軸部及び前記開閉押圧部材が前記全閉位置からさらに移動して前記サックバック室の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行うものである。
【0007】
このような本発明のサックバックバルブによれば、開閉弁の弁内流路に形成したサックバック室と、サックバック室内を軸方向に移動して弁体を押圧する開閉押圧部材とピストン本体との間を連結しているピストン軸部と、ピストン軸部を内部に収納して開閉操作部を弁内流路から分離し、一端が開閉押圧部材に連結されるとともに他端がケーシングに支持されているベローズとを備え、弁体の閉動作時には、ピストン軸部がピストン及び開閉押圧部材とともに弁体の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、ピストン軸部及び開閉押圧部材が全閉位置からさらに移動してサックバック室の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行うようにしたので、ひとつのアクチュエータで弁の開閉及び液だれ防止のサックバックを行うことができる。
そして、サックバック室の空間容積を増すサックバック動作段階では、開閉操作部を液体から分離しているベローズが有する軸方向の大きな伸縮機能により、ピストン軸部及び開閉押圧部材が軸方向に移動するストローク量(移動量)を容易に確保して空間容積の増加量を増すことができ、サックバック室の容量のほとんどをサックバック量とすることができる。また、このようなベローズの採用は、サックバック室をベローズが埋めるため、デッドボリュームをなくすことができる。
【0008】
上記の発明において、前記弁体の下流側に形成される前記弁内流路の出口流路は、前記サックバック室の底面に形成した凹部を通ることが好ましく、これにより、弁内流路を流れる流体はサックバック室を通ることなく流出する。従って、サックバック室には、弁体の閉動作時に液体が残留するようなデッドスペースは存在しないこととなる。
【0009】
上記の発明において、前記ピストン軸部の軸方向動作量を規制するサックバック量調整手段を設けることが好ましく、これにより、諸条件に応じて適宜サックバック量を調整して最適化することができる。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明によれば、弁の開閉操作及びサックバック機能をひとつのアクチュエータ(開閉操作部)により実施できるようになり、開閉弁にサックバック機能を備えたサックバックバルブを提供することができる。この結果、開閉弁とサックバック専用バルブとを一体化したサックバックバルブとなるので、設置スペースの低減が可能となり、アクチュエータの同期問題も解消される。
また、ベローズを採用したことにより、サックバック時に大きなストローク量を確保でき、サックバック室の容量のほとんどをサックバック量とすることができるので、フットプリントの増加を抑えつつサックバック可能な液体の容量を増加させることができる。しかも、ベローズがサックバック室を埋めてデッドボリュームをなくすことから、サックバック室における流体の置換性が向上するという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るサックバックバルブの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図6に示すサックバックバルブSVは、薬液等の液体を流す流路に設置され、全閉時の液だれを防止するサックバック機能を備えている開閉弁10と、開閉操作用のアクチュエータ30とが一体に構成されている。すなわち、サックバックバルブSVは、弁体11を開閉方向に付勢する弁用のコイルばね(弾性部材)20を備えた開閉弁10が、ピストン本体31及びピストン用のコイルばね(ピストン付勢部材)32を備えているアクチュエータ(開閉操作部)30に空気圧(流体圧力)を受けて弁体11の開閉操作を行うとともに、全閉操作時の液だれを防止するサックバック機能を備えている。
なお、図1〜図6はサックバックバルブSVの各状態を示しており、図1は初期状態、図2は図1のA−A断面図、図3は弁体11が開となる直前の状態、図4は弁体11を開とした通液状態、図5は弁体11が閉じたサックバック直前の状態、図6はサックバック状態を示している。
【0012】
開閉弁10の基本構成は、バルブ本体(ケーシング)12に流体入口13及び流体出口14を備え、バルブ本体12の内部空間15には流体流路16を開閉する弁体11が配設されている。流体流路16の上方には、流体流路16を介して内部空間15と連通するサックバック室17が形成されている。このサックバック室17は、開閉弁10内において液体を流す流路(以下、「弁内流路」と呼ぶ)の一部となるが、サックバック室17の底面に凹部18を形成し、この凹部18を流体出口14に連通する出口流路の一部として利用することが望ましい。
なお、上述した凹部18については、たとえば図7に変形例として示すサックバックバルブSV′のように、サックバック室17を弁内流路の一部として利用し、すなわち、サックバック室17を流体出口14に連通する出口流路の一部として利用することで凹部18のない構成としてもよい。
【0013】
上述した弁体11は、後述するアクチュエータ30の動作によりサックバック室17内を軸方向(上下方向)へ移動する開閉押圧部材40から押圧を受けることにより、内部空間15内を上下方向へ移動して開閉弁10内に形成された流体流路16を開閉する。内部空間15の上端部には、換言すれば、流体流路16の入口部には、シート部19が設けられている。そして、この開閉弁10においては、弁体11が上方へ動作してシート部19に密着すると流体流路16を閉じ、弁体11が下方へ移動してシート部19から離間すると流体流路16を開く。
【0014】
開閉弁10内に形成された弁内流路は、開閉弁10内の流れ方向から順に、流体入口13、入口流路13a、内部空間15、流体流路16、サックバック室17の底面に形成された凹部18、出口流路14a及び流体出口14に配列されている。
また、図示の開閉弁10において、図中の符号21は弁体11と一体のダイヤフラム、22は弁体11の下端部に連結されてコイルばね20から上向きの付勢を受ける基部、23は排気流路である。なお、弁体11の下部を絞って小径にしているので、ダイヤフラム21を小径化することができる。
【0015】
上述したサックバック室17には、後述するアクチュエータ30の動作に連動する開閉押圧部材40が配設されている。この開閉押圧部材40は、サックバック室17の内部を軸方向に移動するピストン軸部33に連結されて一体に動作し、弁体11の開閉動作及びサックバック機能に関与する。サックバック室17内を軸方向に移動して弁体11を押圧する開閉押圧部材40とピストン本体31との間を連結しているピストン軸部33は、下端部が開閉押圧部材40に連結されるとともに、上端部がバルブ本体12等のケーシングに支持されているベローズ41の内部に収納されている。すなわち、ベローズ41は、ピストン軸部33を内部に収納することにより、開閉操作部のアクチュエータ30を開閉弁11の弁内流路を流れる流体から分離している。
【0016】
アクチュエータ30は、アクチュエータ本体(ケーシング)34に形成された内部空間のシリンダ部35内に配置されたピストン本体31を備えている。図示の構成例では、ピストン本体31により分割されたシリンダ部35の上部に連通するよう設けた空気圧供給口36から空気圧を供給し、ピストン本体31を押し下げて開閉弁10の開操作を行うように構成されている。
【0017】
上述したピストン31は、コイルばね32から上向き(弁体11が閉の方向)の付勢を常時受けており、従って、図示の開閉弁10は空気圧の供給がない状態で常時閉のノーマルクローズ型となる。すなわち、弁体11は、コイルばね20から上向きの付勢を受けて常時閉の状態にあるが、空気圧供給口36から空気圧を供給してピストン本体31を下向きに押圧すると、コイルばね32の付勢に打ち勝ってピストン軸部33を介して連結された開閉押圧部材40が降下し、さらに、この開閉押圧部材40がコイルばね20の付勢に打ち勝って弁体11を押し下げる。このとき、たとえば図4に示すように、ベローズ41は縮んだ状態から引き伸ばされ、弁体11はシート部19から離間して開状態となる。
なお、空気圧供給口36の空気圧供給を停止すると、ピストン31による下向きの押圧力がなくなるので、たとえば図6に示すように、開閉押圧部材40はコイルばね32の付勢を受けて弁体11から離間し、さらに、弁体11はコイルばね20の付勢を受けてシート部19に密着する閉状態となる。
【0018】
また、上述したアクチュエータ30は、後述するサックバック機能について、ピストン本体31と一体に動作するピストン軸部33の軸方向動作量を規制するサックバック量調整手段を備えている。このサックバック整量調整手段は、たとえばハンドル37の操作により軸方向へ移動する螺合軸38であり、先端部38aがシリンダ部35内へ突出する量(軸方向長さ)の調整を可能とするものである。すなわち、先端部38aがシリンダ部35内へ突出する量を増せば、ピストン本体31が上昇可能となる範囲(ピストンストローク)が減少するので、開閉押圧部材40の動作量(移動量)によって定まるサックバック量(サックバック室17の容積変化量)も減少する。
【0019】
続いて、ピストン本体31及びピストン軸部33と弁体11との間に位置し、アクチュエータ30の動作により開閉弁10の弁体11を開閉させる部材である開閉押圧部材40について説明する。
この開閉押圧部材40は、ピストン本体31の下面側に設けられたピストン軸部33の下端部に結合され、下端面には弁体11の上部に設けられた弁体凸部11aと係合する凹部40aを備えている。この開閉押圧部材40は、サックバック室17の内径と略同じ外径を有しており、さらに、サックバック室17は、開閉押圧部材40及びベローズ41により、アクチュエータ30と完全に分離されているので、弁体11が流体流路16を閉じた状態では、開閉押圧部材40の上昇移動によりサックバック室17の容積を増すと、流体出口14からサックバック室17内へ向けた吸引力が発生する。なお、アクチュエータ30は、ピストン本体33の下部でベローズ41の伸縮等に応じて生じる容積変化に対応するため、大気と連通する吸排気口39を設けてスムーズな動作を可能にしている。
【0020】
このように、本発明のサックバックバルブSVは、開閉弁10の弁内流路に形成したサックバック室17と、サックバック室17内を軸方向に移動して弁体11を押圧する開閉押圧部材40とピストン本体31との間を連結しているピストン軸部33と、ピストン軸部33を内部に収納して開閉操作部のアクチュエータ30を弁内流路から分離し、一端が開閉押圧部材40に連結されるとともに他端がケーシング12に支持されているベローズ41とを備えている。そして、このサックバックバルブSVは、弁体11の閉動作時において、ピストン軸部33がピストン本体31及び開閉押圧部材40とともに弁体11の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40が弁体11の全閉位置からさらに移動してサックバック室17の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行うように構成されている。
【0021】
このように構成されたサックバックバルブSVは、弁体11の閉動作時において、ピストン軸部33がピストン本体31及び開閉押圧部材40とともに弁体11の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40が全閉位置からさらに移動してサックバック室17の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行うようにしたので、ひとつのアクチュエータ30で開閉弁10の開閉及び液だれ防止のサックバックを行うことができる。
そして、サックバック室17の空間容積を増すサックバック動作段階では、開閉弁10で取り扱う液体からアクチュエータ30を分離しているベローズ41が軸方向の大きな伸縮機能を有しているので、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40が軸方向に移動するストローク量(移動量)を容易に確保して空間容積の増加量を増すことができる。
【0022】
すなわち、図1に示す初期状態では、ピストン本体31は空気圧を受けておらず、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40はコイルばね32の付勢により押し上げられ、ベローズ41は縮んだ状態にある。また、弁体11は、開閉押圧部材40が離間して押圧しない状態にあるので、コイルばね20の付勢により押し上げられてシート部19に密着した全閉状態にある。
図3は、弁体11が開となる直前の状態、すなわち弁体11が全閉位置にあり、ピストン本体31が空気圧を受けて降下し、ピストン軸部33及び開閉押圧部材40を押し下げてベローズ41は伸びた状態にある。このとき、開閉押圧部材40は、弁体11に接する直前か、あるいは、接しても弁体11を押圧しない位置にある。従って、弁体11は、開閉押圧部材40から押圧を受けていない状態にあるので、コイルばね20の付勢により押し上げられてシート部19に密着した全閉状態にある。
【0023】
図3に示す弁開直前の状態からさらに空気圧の供給を継続すると、図4に示すように、弁体11を開とした通液状態となる。この状態では、開閉押圧部材40が弁体11に接して下向きに押圧しているので、弁体11は、コイルばね20の付勢に打ち勝って押し下げられ、シート部19から離間した全開状態にある。このような弁体11の全開状態では、流体入口13から流入する液体が、内部空間15及び流体流路16を通って流体出口14から流出する。このとき、サックバック室17は、伸びた状態のベローズ41によりデッドボリュームが生じないように略全容積を埋めているので、サックバック室17内の液体置換性を向上させることができる。
図5は、弁体11が閉となり、かつ、サックバックを開始する直前の状態(開弁動作段階が完了した状態)であり、実質的には図3と略同じ状況にある。すなわち、ピストン本体31を押圧する空気圧の供給が停止されたことにより、開閉押圧部材40の押圧がなくなった弁体11はコイルばね20の付勢により全閉位置に戻り、ピストン本体31は上昇を開始する直前の状態にある。
【0024】
図6は、弁体11の全閉後にサックバックを開始した状態(サックバック動作段階)を示しており、図中に想像線で示すように、開閉押圧部材40がコイルばね32の付勢を受けて瞬時に上昇する。この結果、サックバック室17は、容積が急激に増加することにより負圧を生じ、流体出口14及び出口流路14aに残存していた流体を吸引して液だれを防止する。このとき、ベローズ41が縮むことにより、開閉押圧部材40には大きなストロークを与えることができ、従って、サックバック室17の略全容積をサックバックに使用できるとともに、サックバック時におけるサックバック室17の容量変化を大きくすることができる。
このようなサックバック室17の容量変化増大は、サックバック可能な液体量を増し、液だれを確実に防止することができる。しかも、ベローズ41を採用したため、フットプリントの増加を抑えつつサックバック量の大容量化を実現している。
【0025】
また、弁体11の下流側に形成される弁内流路の出口流路は、流体がサックバック室17の底面に形成した凹部18を通るようにしたので、図4に示す通液状態においては、弁内流路を流れる流体がサックバック室17を通ることなく流体出口14へ流出する。従って、サックバック室17には、図5に示す弁体11の閉動作時に液体が残留するようなデッドスペース(出口流路14aより低い凹部)は存在しないこととなる。すなわち、サックバック室17内の液体は、最も低い凹部18を通って流れるので、閉弁後にデッドスペースに残留した液体が固化して不具合の原因となるようなことはない。
また、ハンドル37により回動操作可能な螺合軸38によりピストン軸部33の軸方向動作量を規制するサックバック量調整手段を備えているので、サックバックバルブSVを設置する流体流路の諸条件に応じて、サックバック量を適宜調整して最適化することができる。
【0026】
このように、上述した本発明によれば、開閉弁10の開閉操作及びサックバック機能をひとつのアクチュエータ30により実施できるようになり、開閉弁10にサックバック機能を備えた一体構造のサックバックバルブSVを提供することができる。この結果、サックバックバルブSVの設置スペースを低減することができ、アクチュエータ30の同期問題も解消することができる。
【0027】
また、ベローズ41を採用したことにより、サックバック時に大きなストローク量を確保でき、サックバック可能な液体の容量を増加させることができる。この結果、フットプリントの増加を抑えつつ、サックバック可能な液体の容量を増加させたサックバックバルブSVとなる。しかも、ベローズ41がサックバック室17を埋めてデッドボリュームをなくすため、サックバック室17における流体の置換性も向上する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るサックバックバルブの一実施形態を示す断面図であり、開閉弁が全閉の初期状態を示している。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に示したサックバックバルブについて、開閉弁の弁体が開となる直前の状態を示す断面図である。
【図4】図1に示したサックバックバルブについて、開閉弁の弁体を開とした通液状態を示す断面図である。
【図5】図1に示したサックバックバルブについて、開閉弁の弁体が閉じたサックバック直前の状態を示す断面図である。
【図6】図1に示したサックバックバルブについて、サックバック状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るサックバックバルブの変形例を示す断面図であり、開閉弁の弁体が開となる直前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 開閉弁
11 弁体
12 バルブ本体
13 流体入口
13a 入口流路
14 流体出口
14a 出口流路
15 内部空間
16 流体流路
17 サックバック室
18 凹部
19 シート部
20 コイルばね
30 アクチュエータ
31 ピストン本体
32 コイルばね
33 ピストン軸部
37 ハンドル
38 螺合部
40 開閉押圧部材
41 ベローズ
SV,SV′ サックバックバルブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を開閉方向に付勢する弾性部材を備えた開閉弁が、ピストン本体及びピストン付勢部材を備えている開閉操作部に流体圧力を受けて弁体開閉操作を行うとともに、全閉操作時の液だれを防止するサックバック機能を備えているサックバックバルブであって、
前記開閉弁の弁内流路に形成したサックバック室と、
前記サックバック室内を軸方向に移動して前記弁体を押圧する開閉押圧部材と前記ピストン本体との間を連結しているピストン軸部と、
前記ピストン軸部を内部に収納して前記開閉操作部を前記弁内流路から分離し、一端が前記開閉押圧部材に連結されるとともに他端がケーシングに支持されているベローズとを備え、
前記弁体の閉動作時には、前記ピストン軸部が前記ピストン及び前記開閉押圧部材とともに前記弁体の全閉位置まで移動する閉弁動作段階と、前記ピストン軸部及び前記開閉押圧部材が前記全閉位置からさらに移動して前記サックバック室の空間容積を増すサックバック動作段階との二段階動作を行うサックバックバルブ。
【請求項2】
前記弁体の下流側に形成される前記弁内流路の出口流路が、前記サックバック室の底面に形成した凹部を通る請求項1に記載のサックバックバルブ。
【請求項3】
前記ピストン軸部の軸方向動作量を規制するサックバック量調整手段が設けられている請求項1または2に記載のサックバックバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−43714(P2010−43714A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209762(P2008−209762)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】