サッシおよび引き違い式サッシ
【課題】
樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシを提供する
【解決手段】
サッシ7Aに取り付けられた樹脂積層ガラス板8の枠体70は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットSが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚T1との総厚が前記スリット幅T3よりも大きくなる厚みT1のこじ開け防止体11が形成されている。
樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシを提供する
【解決手段】
サッシ7Aに取り付けられた樹脂積層ガラス板8の枠体70は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットSが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚T1との総厚が前記スリット幅T3よりも大きくなる厚みT1のこじ開け防止体11が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板が取り付けられたドアや窓には、引き違い式のもの、両開きまたは片開き式のもの等、種々のものがあり、これらには、通常、錠が設けられている。
【0003】
図14は、クレセント錠2が取り付けられた引き違い式サッシ7Fを示しており、空き巣等の侵入を防止するために、ガラス板8として樹脂積層のもの(特許文献1に記載のガラス板参照)が使用される。
【0004】
図14及び図15(A)に示すように、クレセント錠2は、クレセント錠本体21とクレセント受け22を有しており、クレセント錠本体21は室内側サッシ71(図14参照)の枠体711に取り付けられ、クレセント受け22は室外側サッシ72(図14参照)の枠体721に取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−352342
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂積層ガラス板8は、一般に両面のガラス層GLにより樹脂中間層PLをサンドイッチした構造をなしており、空き巣等がクレセント錠2の周囲の樹脂積層ガラス板8を割って解錠しようとしても、樹脂中間層PLがあるため即座には手が入る程度の孔を開けることができない。
【0006】
このため、空き巣等にとって簡便な手段は、図15(B)に示すようにドライバーKや千枚通し等の先の尖ったもの(図15(B)ではドライバーK)で樹脂中間層PLを突き破り、その先端でクレセント錠本体21のハンドル211を回して解錠することである。
【0007】
空き巣等にとって、次に簡便な手段は、図16に示すように、樹脂積層ガラス板8を室外側サッシ72から部分的に引き剥がすことである。図17に示すように、樹脂積層ガラス板8は枠体721のスリットSに挿着されているだけなので、枠体721近辺のガラス層GLを砕けば、樹脂積層ガラス板8の部分的な取り外しが容易である。この取り外した部分から、たとえば手を入れて解錠することで、空き巣等は難なく室内に侵入することができる。
【0008】
本発明の目的は、樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のサッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられたサッシであって、前記サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0010】
請求項2記載のサッシは、請求項1記載のサッシにおいて、前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されているものである。
【0011】
請求項3記載の引き違い式サッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、クレセント錠本体が取り付けられた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受けよりも下の領域に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0012】
請求項4記載の引き違い式サッシは、請求項3記載の引き違い式サッシにおいて、前記樹脂積層ガラス板の下辺側縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の辺に近い領域に、前記樹脂積層ガラス板との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0013】
請求項5記載の引き違い式サッシは、請求項3または4記載の引き違い式サッシにおいて、前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されているものである。
【0014】
請求項6記載の引き違い式サッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、クレセント錠本体が取り付けらた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板の前記クレセント受けを外部から遮蔽する領域に、突き破り防止用の金属板が埋設されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のサッシでは、樹脂積層ガラス板の端部に、層厚が、枠体に設けられたガラス板挿着用のスリットよりも厚くなるように、こじ開け防止体を形成したので、空き巣等により樹脂積層ガラス板がこじ開けられることを防止することができる。
【0016】
また、本発明の引き違い式サッシでは、樹脂積層ガラス板の、クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体またはクレセント受けよりも下の領域に、こじ開け防止体を形成したので、下隅の部分(空き巣等にとっては作業がし易い部分)から樹脂積層ガラス板がこじ開けられることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1から図7により、本発明のサッシの実施形態を説明する。図1(A)のサッシ7Aには樹脂積層ガラス板8が取り付けられている。このサッシ7Aは、図示はしないが、両開きや片開き式のもの、スライド式のものであってよい。
【0018】
図1(B)に示すように、サッシ7Aの樹脂積層ガラス板8の枠体70は内部空洞に形成されるとともに、枠体70の枠内側には樹脂積層ガラス板8の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。樹脂積層ガラス板8は、例えば、図1(C)に示すように両面のガラス層GLと、ガラス層GLとガラス層GLとの間に位置する樹脂中間層PLとからなる。
【0019】
図2(A)に樹脂積層ガラス板8の縁部が、枠体70のスリットS(図2(A)では符号は示していない)に挿着された様子を示す。図2(B)に、樹脂積層ガラス板8の縁部に樹脂積層ガラス板8の厚T1との総厚がスリット幅T3よりも大きくなる厚みT2のこじ開け防止体11が形成されている様子を示す。
【0020】
図2(A),(B)では、こじ開け防止体11が樹脂積層ガラス板8の縁部の一方の面に形成され、樹脂積層ガラス板8の端部が枠体70のスリットSに挿着されている。
【0021】
すなわち、樹脂積層ガラス板8の厚T1,こじ開け防止体11の厚みT2,スリット幅T3との間には、
T1+T2>T3 (1)
の関係がある。
【0022】
こじ開け防止体11は、樹脂積層ガラス板8の少なくとも一部に形成されていればこじ開け防止効果を奏することができるが、図2(C)に示すように、樹脂積層ガラス板8の全ての辺に形成してもよいし、四辺のうち一部の辺に形成してもよい。例えば、こじ開け防止体11の優先順位としては、図2(C)で言えば、樹脂積層ガラス板8の右辺、樹脂積層ガラス板8の下辺、樹脂積層ガラス板8の左辺又は樹脂積層ガラス板8の上辺である。 なお、こじ開け防止体11は、例えば、図示はしないが、サッシ7Aの施錠部が取り付けられた側の辺(図2(C)で言えば、樹脂積層ガラス板8の右辺)のみに形成しても良い。
【0023】
図3(A),(B)に、こじ開け防止体11とは異なる態様のこじ開け防止体12が形成された様子を示す。 図3(A),(B)では、こじ開け防止体12は、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の端面を含むL字形状に形成されている。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体12の厚みT2,スリット幅T3との間には、(1)式の関係がある。
【0024】
図4(A),(B)に、こじ開け防止体11,12とは異なる態様のこじ開け防止体13が形成された様子を示す。図4(A),(B)では、こじ開け防止体13は、樹脂積層ガラス板8の縁部の双方の面に形成されている。
この場合には、こじ開け防止体13の厚みをT21とすると、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体13の厚みT21,スリット幅T3との間には、
T1+2×T21>T3 (2)
の関係がある。
【0025】
図5(A),(B)に、こじ開け防止体11,12,13とは異なる態様のこじ開け防止体14が形成された様子を示す。図5(A),(B)では、こじ開け防止体14は、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の縁部を包み込むU字形状に形成されている。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体14の厚みT21,スリット幅T3との間には、(2)式の関係がある。
【0026】
図6に、隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体14が形成されている樹脂積層ガラス板8の、枠体70への取り付け状態を示す。図6では枠体70として縦枠701と横枠702が示されており、たとえば樹脂積層ガラス板8の下辺の端部に横枠702をスライドさせて挿着し、この後、樹脂積層ガラス板8の縦辺の端部に縦枠701をスライドさせて挿着することができる。
【0027】
本実施形態では、空き巣等が、樹脂積層ガラス板8のガラス層GLを砕き(図7の符号X参照)、樹脂積層ガラス板8を枠体70から部分的に外そうとしても、こじ開け防止体(11,12,13,14の何れか)により、樹脂積層ガラス板8が枠体70から外れることを防ぐことができる。
【0028】
図8から図10により本実施形態の引き違い式サッシの実施形態を説明する。図8(A)に示すように、引き違い式サッシ7Bは、通常、図1(C)に示した樹脂積層ガラス板8が取り付けられ、クレセント錠2により施錠される。
【0029】
引き違い式サッシ7Bは、図9(図8の符号α部の拡大図)に示すようにクレセント錠本体21が取り付けられた室内側サッシ71と、クレセント受け22が取り付けられた室外側サッシ72とを有する。
【0030】
室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板8の枠体721は、図1(B)に括弧内符号で示すように内部空洞に形成されるとともに、枠体721の枠内側には樹脂積層ガラス板8の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。
【0031】
図8(B)に領域A1で示すように、樹脂積層ガラス板8のクレセント受け22側の縦辺縁部の、クレセント受け22よりも下の領域に樹脂積層ガラス板8の厚みと総厚がスリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成することができる。図8(B)で示す領域A1部分にこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を設けた場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0032】
また、図8(C)に領域A2で示すように、樹脂積層ガラス板8の下辺側縁部の、クレセント受け22側の辺に近い領域に、こじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成することができる。空き巣等は、樹脂積層ガラス板8を下辺側縁部からこじ開けることが多い。したがって、図8(C)で示す領域A2部分にこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を設けた場合にも、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0033】
さらに、図8(D)に領域A3で示すように、樹脂積層ガラス板8の下辺側縁部のクレセント受け22側の辺に近い領域およびクレセント受け22側の縦辺縁部のクレセント受け22よりも下の領域に、こじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成した場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0034】
なお、樹脂積層ガラス板8の四辺全部の縁部領域に、こじ開け防止体(後述する符号31,32,33または34)を形成した場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0035】
こじ開け防止体は、図2(A),(B)に符号31で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の一方の面に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体31の厚みT2,スリット幅T3との間には、前記(1)式の関係がある。
【0036】
また、こじ開け防止体は、図3(A),(B)に符号32で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の端面を含む、L字形状に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体32の厚みT2,スリット幅T3との間には、前記(1)式の関係がある。
【0037】
さらに、こじ開け防止体は、図4(A),(B)に符号33で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の双方の面に形成されている。この場合には、こじ開け防止体33の厚みはT21であるので、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体31の厚みT21,スリット幅T3との間には、前記(2)式の関係がある。
【0038】
またさらに、こじ開け防止体は、図5(A),(B)に符号34で示すようには、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の縁部を包み込むU字形状に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体34の厚みT21,スリット幅T3との間には、前記(2)式の関係がある。
【0039】
隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体34が形成されている樹脂積層ガラス板8の、隣接する二辺の枠体721への取り付け状態を図6(括弧内符号参照)に示す。この場合にも既にサッシ7Aに示したと同様、たとえば樹脂積層ガラス板8の下辺の端部に枠体72の横枠7212をスライドさせて挿着し、この後樹脂積層ガラス板8の縦辺の端部に、枠体72の縦枠7211をスライドさせて挿着することができる。
【0040】
図10に示すように、本実施形態では、空き巣等が、樹脂積層ガラス板8のガラス層GLを砕き(図10のX参照)、樹脂積層ガラス板8を枠体72から部分的に外そうとしても、樹脂積層ガラス板8にはこじ開け防止体31から34の何れかが形成されているので、こじ開けることを防止することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、こじ開け防止体31を室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板8に形成した場合を示したが、室外側サッシ71の樹脂積層ガラス板8に形成することもできる。
【0042】
図11は、樹脂積層ガラス板8の突き破りを防止できる本発明の引き違い式サッシの実施形態を示している。図11において引き違い式サッシ7Cは、樹脂積層ガラス板80が取り付けられ、クレセント錠2により施錠される。引き違い式サッシ7Cの枠体構造は、図8(A)の引き違い式サッシ7Bの枠体構造と同じであり、クレセント錠本体21が取り付けらた室内側サッシ71と、クレセント受け22が取り付けられた室外側サッシ72とを有する。
【0043】
クレセント錠本体21は、ハンドル211と、クレセント爪212とを備えており、施錠時にはハンドル211が上方を向き、クレセント爪212がクレセント受け22に係合される。
【0044】
室内側サッシ71および室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板80の枠体は、図1(B)に括弧内符号で示したように、内部空洞に形成され、この枠体の枠内側には樹脂積層ガラス板80の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。
【0045】
図11に示すように、室外側サッシ72に取り付けられた樹脂積層ガラス板80のクレセント受け22を外部から遮蔽する領域には、突き破り防止用の金属板4(金属板4は、例えば、樹脂中間層PLより強固なアルミニウム、ステンレス等である。)が埋設されている。図12に金属板4が埋設された樹脂積層ガラス板80を示す。
【0046】
図13(A)に、室外側サッシ72に取り付けられた樹脂積層ガラス板80の、クレセント受け22部分を示す。図13(B)に示すように、空き巣等がたとえばドライバーKにより樹脂積層ガラス板80を外部側から突き破ろうとしても、ドライバーKは金属板4に阻まれるので、ハンドル211を回すことはできない。なお、図示はしないが、金属板4を樹脂積層ガラス板80の上辺から下辺にわたる形状とすることができるし、また金属板4を一方の側辺から他方の側辺にわたる形状とすることができる。
したがって、空き巣等の室内への侵入が防止される。なお、樹脂積層ガラス板80の端部には、図7から図10により説明した樹脂積層ガラス板8と同様、端部にこじ開け防止体(31,32,33,34の何れか)を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)は樹脂積層ガラス板が取り付けられている本発明のサッシを示す図、(B)は内部が空洞に形成され樹脂積層ガラス板が挿着されるスリットが形成されたサッシの枠体を示す図、(C)は樹脂積層ガラス板の層構造を示す図である。
【図2】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着された一の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図、(C)は樹脂積層ガラス板に形成されるこじ開け防止体の部位の説明図である。
【図3】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着された他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図4】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着されたさらに他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図5】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着されたさらに他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図6】隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体が形成されている樹脂積層ガラス板の枠体への取り付け状態を示す図である。
【図7】本発明のサッシの効果を説明するための図であり、樹脂積層ガラス板のガラス層を砕いて、樹脂積層ガラス板を枠体から部分的に外そうとしても外れない様子を示す図である。
【図8】(A)は本発明の引き違い式サッシを示す図であり、(B)から(D)はこじ開け防止体が形成される樹脂積層ガラス板の端部の部位を示す図である。
【図9】図8の部分の拡大図である。
【図10】本発明の引き違い式サッシの効果を説明するための図であり、樹脂積層ガラス板のガラス層を砕いて、樹脂積層ガラス板を枠体から部分的に外そうとしても外れない様子を示す図である。
【図11】突き破り防止ができる本発明の引き違い式サッシの実施形態を示す図である。
【図12】図11の室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板を示す図である。
【図13】(A)は室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板のクレセント受け部分の説明図、(B)はドライバーにより外部側から突き破ろうとしても、ドライバーは金属板に阻まれる様子を示す説明図である。
【図14】クレセント錠が取り付けられた従来の引き違い式サッシを示す図である。
【図15】(A)は図12のクレセント錠部分の拡大図、(B)はドライバーにより樹脂積層ガラス板を室外側から突き破る様子を示す図である。
【図16】樹脂積層ガラス板を室外側サッシから部分的に引き剥がす様子を示す図である。
【図17】樹脂積層ガラス板が枠体のスリットに挿着されている様子を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
2 クレセント錠
4 金属板
7A,7B,7C 引き違い式サッシ
8,80 樹脂積層ガラス板
11,12,13,14,31,32,33,34 こじ開け防止体
21 クレセント錠本体
22 クレセント受け
71 室内側サッシ
72 室外側サッシ
70,711,721 枠体
701,7211 縦枠
702,7212 横枠
211 ハンドル
212 クレセント爪
GL ガラス層
K ドライバ
PL 樹脂中間層
S スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板が取り付けられたドアや窓には、引き違い式のもの、両開きまたは片開き式のもの等、種々のものがあり、これらには、通常、錠が設けられている。
【0003】
図14は、クレセント錠2が取り付けられた引き違い式サッシ7Fを示しており、空き巣等の侵入を防止するために、ガラス板8として樹脂積層のもの(特許文献1に記載のガラス板参照)が使用される。
【0004】
図14及び図15(A)に示すように、クレセント錠2は、クレセント錠本体21とクレセント受け22を有しており、クレセント錠本体21は室内側サッシ71(図14参照)の枠体711に取り付けられ、クレセント受け22は室外側サッシ72(図14参照)の枠体721に取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−352342
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂積層ガラス板8は、一般に両面のガラス層GLにより樹脂中間層PLをサンドイッチした構造をなしており、空き巣等がクレセント錠2の周囲の樹脂積層ガラス板8を割って解錠しようとしても、樹脂中間層PLがあるため即座には手が入る程度の孔を開けることができない。
【0006】
このため、空き巣等にとって簡便な手段は、図15(B)に示すようにドライバーKや千枚通し等の先の尖ったもの(図15(B)ではドライバーK)で樹脂中間層PLを突き破り、その先端でクレセント錠本体21のハンドル211を回して解錠することである。
【0007】
空き巣等にとって、次に簡便な手段は、図16に示すように、樹脂積層ガラス板8を室外側サッシ72から部分的に引き剥がすことである。図17に示すように、樹脂積層ガラス板8は枠体721のスリットSに挿着されているだけなので、枠体721近辺のガラス層GLを砕けば、樹脂積層ガラス板8の部分的な取り外しが容易である。この取り外した部分から、たとえば手を入れて解錠することで、空き巣等は難なく室内に侵入することができる。
【0008】
本発明の目的は、樹脂積層ガラス板のこじ開けを防止することができるサッシおよび引き違い式サッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のサッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられたサッシであって、前記サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0010】
請求項2記載のサッシは、請求項1記載のサッシにおいて、前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されているものである。
【0011】
請求項3記載の引き違い式サッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、クレセント錠本体が取り付けられた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記樹脂積層ガラス板の前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受けよりも下の領域に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0012】
請求項4記載の引き違い式サッシは、請求項3記載の引き違い式サッシにおいて、前記樹脂積層ガラス板の下辺側縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の辺に近い領域に、前記樹脂積層ガラス板との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されているものである。
【0013】
請求項5記載の引き違い式サッシは、請求項3または4記載の引き違い式サッシにおいて、前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されているものである。
【0014】
請求項6記載の引き違い式サッシは、樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、クレセント錠本体が取り付けらた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、前記室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板の前記クレセント受けを外部から遮蔽する領域に、突き破り防止用の金属板が埋設されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のサッシでは、樹脂積層ガラス板の端部に、層厚が、枠体に設けられたガラス板挿着用のスリットよりも厚くなるように、こじ開け防止体を形成したので、空き巣等により樹脂積層ガラス板がこじ開けられることを防止することができる。
【0016】
また、本発明の引き違い式サッシでは、樹脂積層ガラス板の、クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体またはクレセント受けよりも下の領域に、こじ開け防止体を形成したので、下隅の部分(空き巣等にとっては作業がし易い部分)から樹脂積層ガラス板がこじ開けられることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1から図7により、本発明のサッシの実施形態を説明する。図1(A)のサッシ7Aには樹脂積層ガラス板8が取り付けられている。このサッシ7Aは、図示はしないが、両開きや片開き式のもの、スライド式のものであってよい。
【0018】
図1(B)に示すように、サッシ7Aの樹脂積層ガラス板8の枠体70は内部空洞に形成されるとともに、枠体70の枠内側には樹脂積層ガラス板8の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。樹脂積層ガラス板8は、例えば、図1(C)に示すように両面のガラス層GLと、ガラス層GLとガラス層GLとの間に位置する樹脂中間層PLとからなる。
【0019】
図2(A)に樹脂積層ガラス板8の縁部が、枠体70のスリットS(図2(A)では符号は示していない)に挿着された様子を示す。図2(B)に、樹脂積層ガラス板8の縁部に樹脂積層ガラス板8の厚T1との総厚がスリット幅T3よりも大きくなる厚みT2のこじ開け防止体11が形成されている様子を示す。
【0020】
図2(A),(B)では、こじ開け防止体11が樹脂積層ガラス板8の縁部の一方の面に形成され、樹脂積層ガラス板8の端部が枠体70のスリットSに挿着されている。
【0021】
すなわち、樹脂積層ガラス板8の厚T1,こじ開け防止体11の厚みT2,スリット幅T3との間には、
T1+T2>T3 (1)
の関係がある。
【0022】
こじ開け防止体11は、樹脂積層ガラス板8の少なくとも一部に形成されていればこじ開け防止効果を奏することができるが、図2(C)に示すように、樹脂積層ガラス板8の全ての辺に形成してもよいし、四辺のうち一部の辺に形成してもよい。例えば、こじ開け防止体11の優先順位としては、図2(C)で言えば、樹脂積層ガラス板8の右辺、樹脂積層ガラス板8の下辺、樹脂積層ガラス板8の左辺又は樹脂積層ガラス板8の上辺である。 なお、こじ開け防止体11は、例えば、図示はしないが、サッシ7Aの施錠部が取り付けられた側の辺(図2(C)で言えば、樹脂積層ガラス板8の右辺)のみに形成しても良い。
【0023】
図3(A),(B)に、こじ開け防止体11とは異なる態様のこじ開け防止体12が形成された様子を示す。 図3(A),(B)では、こじ開け防止体12は、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の端面を含むL字形状に形成されている。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体12の厚みT2,スリット幅T3との間には、(1)式の関係がある。
【0024】
図4(A),(B)に、こじ開け防止体11,12とは異なる態様のこじ開け防止体13が形成された様子を示す。図4(A),(B)では、こじ開け防止体13は、樹脂積層ガラス板8の縁部の双方の面に形成されている。
この場合には、こじ開け防止体13の厚みをT21とすると、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体13の厚みT21,スリット幅T3との間には、
T1+2×T21>T3 (2)
の関係がある。
【0025】
図5(A),(B)に、こじ開け防止体11,12,13とは異なる態様のこじ開け防止体14が形成された様子を示す。図5(A),(B)では、こじ開け防止体14は、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の縁部を包み込むU字形状に形成されている。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体14の厚みT21,スリット幅T3との間には、(2)式の関係がある。
【0026】
図6に、隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体14が形成されている樹脂積層ガラス板8の、枠体70への取り付け状態を示す。図6では枠体70として縦枠701と横枠702が示されており、たとえば樹脂積層ガラス板8の下辺の端部に横枠702をスライドさせて挿着し、この後、樹脂積層ガラス板8の縦辺の端部に縦枠701をスライドさせて挿着することができる。
【0027】
本実施形態では、空き巣等が、樹脂積層ガラス板8のガラス層GLを砕き(図7の符号X参照)、樹脂積層ガラス板8を枠体70から部分的に外そうとしても、こじ開け防止体(11,12,13,14の何れか)により、樹脂積層ガラス板8が枠体70から外れることを防ぐことができる。
【0028】
図8から図10により本実施形態の引き違い式サッシの実施形態を説明する。図8(A)に示すように、引き違い式サッシ7Bは、通常、図1(C)に示した樹脂積層ガラス板8が取り付けられ、クレセント錠2により施錠される。
【0029】
引き違い式サッシ7Bは、図9(図8の符号α部の拡大図)に示すようにクレセント錠本体21が取り付けられた室内側サッシ71と、クレセント受け22が取り付けられた室外側サッシ72とを有する。
【0030】
室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板8の枠体721は、図1(B)に括弧内符号で示すように内部空洞に形成されるとともに、枠体721の枠内側には樹脂積層ガラス板8の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。
【0031】
図8(B)に領域A1で示すように、樹脂積層ガラス板8のクレセント受け22側の縦辺縁部の、クレセント受け22よりも下の領域に樹脂積層ガラス板8の厚みと総厚がスリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成することができる。図8(B)で示す領域A1部分にこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を設けた場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0032】
また、図8(C)に領域A2で示すように、樹脂積層ガラス板8の下辺側縁部の、クレセント受け22側の辺に近い領域に、こじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成することができる。空き巣等は、樹脂積層ガラス板8を下辺側縁部からこじ開けることが多い。したがって、図8(C)で示す領域A2部分にこじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を設けた場合にも、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0033】
さらに、図8(D)に領域A3で示すように、樹脂積層ガラス板8の下辺側縁部のクレセント受け22側の辺に近い領域およびクレセント受け22側の縦辺縁部のクレセント受け22よりも下の領域に、こじ開け防止体[符号31(図2参照),32(図3参照),33(図4参照)または34(図5参照))]を形成した場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0034】
なお、樹脂積層ガラス板8の四辺全部の縁部領域に、こじ開け防止体(後述する符号31,32,33または34)を形成した場合には、空き巣等が樹脂積層ガラス板8をこじ開けることを防止することができる。
【0035】
こじ開け防止体は、図2(A),(B)に符号31で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の一方の面に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体31の厚みT2,スリット幅T3との間には、前記(1)式の関係がある。
【0036】
また、こじ開け防止体は、図3(A),(B)に符号32で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の端面を含む、L字形状に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体32の厚みT2,スリット幅T3との間には、前記(1)式の関係がある。
【0037】
さらに、こじ開け防止体は、図4(A),(B)に符号33で示すように、樹脂積層ガラス板8の縁部の双方の面に形成されている。この場合には、こじ開け防止体33の厚みはT21であるので、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体31の厚みT21,スリット幅T3との間には、前記(2)式の関係がある。
【0038】
またさらに、こじ開け防止体は、図5(A),(B)に符号34で示すようには、樹脂積層ガラス板8の縁部の辺に垂直な方向の断面が、樹脂積層ガラス板8の縁部を包み込むU字形状に形成することができる。この場合にも、樹脂積層ガラス板8の厚みT1,こじ開け防止体34の厚みT21,スリット幅T3との間には、前記(2)式の関係がある。
【0039】
隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体34が形成されている樹脂積層ガラス板8の、隣接する二辺の枠体721への取り付け状態を図6(括弧内符号参照)に示す。この場合にも既にサッシ7Aに示したと同様、たとえば樹脂積層ガラス板8の下辺の端部に枠体72の横枠7212をスライドさせて挿着し、この後樹脂積層ガラス板8の縦辺の端部に、枠体72の縦枠7211をスライドさせて挿着することができる。
【0040】
図10に示すように、本実施形態では、空き巣等が、樹脂積層ガラス板8のガラス層GLを砕き(図10のX参照)、樹脂積層ガラス板8を枠体72から部分的に外そうとしても、樹脂積層ガラス板8にはこじ開け防止体31から34の何れかが形成されているので、こじ開けることを防止することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、こじ開け防止体31を室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板8に形成した場合を示したが、室外側サッシ71の樹脂積層ガラス板8に形成することもできる。
【0042】
図11は、樹脂積層ガラス板8の突き破りを防止できる本発明の引き違い式サッシの実施形態を示している。図11において引き違い式サッシ7Cは、樹脂積層ガラス板80が取り付けられ、クレセント錠2により施錠される。引き違い式サッシ7Cの枠体構造は、図8(A)の引き違い式サッシ7Bの枠体構造と同じであり、クレセント錠本体21が取り付けらた室内側サッシ71と、クレセント受け22が取り付けられた室外側サッシ72とを有する。
【0043】
クレセント錠本体21は、ハンドル211と、クレセント爪212とを備えており、施錠時にはハンドル211が上方を向き、クレセント爪212がクレセント受け22に係合される。
【0044】
室内側サッシ71および室外側サッシ72の樹脂積層ガラス板80の枠体は、図1(B)に括弧内符号で示したように、内部空洞に形成され、この枠体の枠内側には樹脂積層ガラス板80の縁部が挿着されるスリットSが形成されている。
【0045】
図11に示すように、室外側サッシ72に取り付けられた樹脂積層ガラス板80のクレセント受け22を外部から遮蔽する領域には、突き破り防止用の金属板4(金属板4は、例えば、樹脂中間層PLより強固なアルミニウム、ステンレス等である。)が埋設されている。図12に金属板4が埋設された樹脂積層ガラス板80を示す。
【0046】
図13(A)に、室外側サッシ72に取り付けられた樹脂積層ガラス板80の、クレセント受け22部分を示す。図13(B)に示すように、空き巣等がたとえばドライバーKにより樹脂積層ガラス板80を外部側から突き破ろうとしても、ドライバーKは金属板4に阻まれるので、ハンドル211を回すことはできない。なお、図示はしないが、金属板4を樹脂積層ガラス板80の上辺から下辺にわたる形状とすることができるし、また金属板4を一方の側辺から他方の側辺にわたる形状とすることができる。
したがって、空き巣等の室内への侵入が防止される。なお、樹脂積層ガラス板80の端部には、図7から図10により説明した樹脂積層ガラス板8と同様、端部にこじ開け防止体(31,32,33,34の何れか)を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)は樹脂積層ガラス板が取り付けられている本発明のサッシを示す図、(B)は内部が空洞に形成され樹脂積層ガラス板が挿着されるスリットが形成されたサッシの枠体を示す図、(C)は樹脂積層ガラス板の層構造を示す図である。
【図2】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着された一の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図、(C)は樹脂積層ガラス板に形成されるこじ開け防止体の部位の説明図である。
【図3】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着された他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図4】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着されたさらに他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図5】(A)は樹脂積層ガラス板の縁部が枠体のスリットに挿着されたさらに他の態様を示す図であり、(B)は同じく断面図である。
【図6】隣接する二辺にそれぞれこじ開け防止体が形成されている樹脂積層ガラス板の枠体への取り付け状態を示す図である。
【図7】本発明のサッシの効果を説明するための図であり、樹脂積層ガラス板のガラス層を砕いて、樹脂積層ガラス板を枠体から部分的に外そうとしても外れない様子を示す図である。
【図8】(A)は本発明の引き違い式サッシを示す図であり、(B)から(D)はこじ開け防止体が形成される樹脂積層ガラス板の端部の部位を示す図である。
【図9】図8の部分の拡大図である。
【図10】本発明の引き違い式サッシの効果を説明するための図であり、樹脂積層ガラス板のガラス層を砕いて、樹脂積層ガラス板を枠体から部分的に外そうとしても外れない様子を示す図である。
【図11】突き破り防止ができる本発明の引き違い式サッシの実施形態を示す図である。
【図12】図11の室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板を示す図である。
【図13】(A)は室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板のクレセント受け部分の説明図、(B)はドライバーにより外部側から突き破ろうとしても、ドライバーは金属板に阻まれる様子を示す説明図である。
【図14】クレセント錠が取り付けられた従来の引き違い式サッシを示す図である。
【図15】(A)は図12のクレセント錠部分の拡大図、(B)はドライバーにより樹脂積層ガラス板を室外側から突き破る様子を示す図である。
【図16】樹脂積層ガラス板を室外側サッシから部分的に引き剥がす様子を示す図である。
【図17】樹脂積層ガラス板が枠体のスリットに挿着されている様子を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
2 クレセント錠
4 金属板
7A,7B,7C 引き違い式サッシ
8,80 樹脂積層ガラス板
11,12,13,14,31,32,33,34 こじ開け防止体
21 クレセント錠本体
22 クレセント受け
71 室内側サッシ
72 室外側サッシ
70,711,721 枠体
701,7211 縦枠
702,7212 横枠
211 ハンドル
212 クレセント爪
GL ガラス層
K ドライバ
PL 樹脂中間層
S スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂積層ガラス板が取り付けられたサッシであって、
前記サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、
前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、
クレセント錠本体が取り付けられた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、
前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記樹脂積層ガラス板の前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受けよりも下の領域に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚
みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とする引き違い式サッシ。
【請求項4】
前記樹脂積層ガラス板の下辺側縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の辺に近い領域に、前記樹脂積層ガラス板との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とする請求項3記載の引き違い式サッシ。
【請求項5】
前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の引き違い式サッシ。
【請求項6】
樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、
クレセント錠本体が取り付けらた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、
前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板の前記クレセント受けを外部から遮蔽する領域に、突き破り防止用の金属板が埋設されていることを特徴とする引き違い式サッシ。
【請求項1】
樹脂積層ガラス板が取り付けられたサッシであって、
前記サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記樹脂積層ガラス板の前記縁部の、少なくとも一部に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、
前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、
クレセント錠本体が取り付けられた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、
前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体は内部空洞に形成されるとともに、当該枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記樹脂積層ガラス板の前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の縦辺縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受けよりも下の領域に、樹脂積層ガラス板厚との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚
みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とする引き違い式サッシ。
【請求項4】
前記樹脂積層ガラス板の下辺側縁部の、少なくとも前記クレセント錠本体または前記クレセント受け側の辺に近い領域に、前記樹脂積層ガラス板との総厚が前記スリット幅よりも大きくなる厚みのこじ開け防止体が形成されていることを特徴とする請求項3記載の引き違い式サッシ。
【請求項5】
前記こじ開け防止体は、前記樹脂積層ガラス板の縁部の一方または双方の面に形成され、または、前記樹脂積層ガラス板の縁部の辺に垂直な方向の断面が、前記樹脂積層ガラス板の端面を含むL字形状に形成され、あるいは、前記樹脂積層ガラス板の縁部を包み込むU字形状に形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の引き違い式サッシ。
【請求項6】
樹脂積層ガラス板が取り付けられた、クレセント錠により施錠される引き違い式サッシであって、
クレセント錠本体が取り付けらた室内側サッシと、クレセント受けが取り付けられた室外側サッシとを有し、
前記室内側サッシおよび前記室外側サッシの前記樹脂積層ガラス板の枠体の枠内側には前記樹脂積層ガラス板の縁部が挿着されるスリットが形成され、
前記室外側サッシに取り付けられた樹脂積層ガラス板の前記クレセント受けを外部から遮蔽する領域に、突き破り防止用の金属板が埋設されていることを特徴とする引き違い式サッシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−70599(P2006−70599A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256458(P2004−256458)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(501021634)ソルーシア・ジャパン株式会社 (1)
【出願人】(599130807)日石硝子工業株式会社 (1)
【出願人】(597144738)羽田屋硝子株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(501021634)ソルーシア・ジャパン株式会社 (1)
【出願人】(599130807)日石硝子工業株式会社 (1)
【出願人】(597144738)羽田屋硝子株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]