説明

サンルーフユニット把持装置およびサンルーフユニット把持方法

【課題】汎用性の高いサンルーフユニット把持装置を提供すること。
【解決手段】搬送ハンド10は、略U字形状のメインフレーム31と、このメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレーム33と、を有するサンルーフ部材3を把持する。搬送ハンド10は、センターフレーム33の下面が着座するセンターフレーム着座部132と、メインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分の下面が着座するメインフレーム着座部125と、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分を、内側の側面から押圧する一対の押圧部62A、62Bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフユニット把持装置およびサンルーフユニット把持方法に関する。詳しくは、自動車のボディにサンルーフを把持するサンルーフユニット把持装置およびサンルーフユニット把持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディには、外光を採り入れるためのサンルーフが設けられる。このサンルーフは、サンルーフユニットをボディに取り付けることで、形成される。
すなわち、ボディの製造ラインには、サンルーフユニット取り付けロボットが配置されている(特許文献1参照)。このサンルーフユニット取り付けロボットは、ロボットアームと、このロボットアームの先端に設けられてサンルーフユニットを支持するハンドと、を備える。
【0003】
ハンドは、矩形枠状であり、2本の先細りテーパピンと、3台のシリンダユニットと、2本の位置決めピンと、8台のナットランナと、を備える。各ナットランナには、ボルトが挟持されている。このハンドでは、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて、予め決定される。
【0004】
以上の取り付けロボットの動作は、以下のようになる。
まず、ハンドでサンルーフユニットを支持する。具体的には、サンルーフユニットに位置決めピンを挿通することで、サンルーフユニットをハンドに対して位置決めして、ハンドのナットランナに挟持されたボルトをサンルーフユニットのボルト穴に挿通する。
その後、ロボットアームを制御して、サンルーフユニットをボディのフロントウインド用開口からボディ内部に投入する。
【0005】
次に、ハンドの先細りテーパピンを、ボディの取り付け位置に形成された位置決め穴に挿通して、ハンドをボディに対して位置決めする。
次に、シリンダユニットを駆動して、サンルーフユニットをボディの取り付け位置に接近させるとともに、ナットランナを駆動して、ボルトをボディのナットに螺合させる。
【0006】
このような取り付けロボットによれば、1つのハンドでサンルーフユニットを搬送して取り付けることができる。
【特許文献1】特許第2672825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、製造ラインを効率的に稼働させるため、1つの製造ラインで複数の車種が製造される場合が多い。この場合、車種によっては、サンルーフユニットの形状が異なる場合がある。
【0008】
しかしながら、以上のハンドの構造では、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて予め決定されるため、汎用性が低く、車種毎にハンドを交換する必要があった。
【0009】
本発明は、汎用性の高いサンルーフユニット把持装置およびサンルーフユニット把持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のサンルーフユニット把持装置(例えば、後述の搬送ハンド10)は、略U字形状のメインフレーム(例えば、後述のメインフレーム31)と、当該メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレーム(例えば、後述のセンターフレーム33)と、を有するサンルーフユニット(例えば、後述のサンルーフ部材3)を把持するサンルーフユニット把持装置であって、前記センターフレームの下面が着座するセンターフレーム着座部(例えば、後述のセンターフレーム着座部132)と、前記メインフレームのうち前記センターフレームに略平行な部分の下面が着座するメインフレーム着座部(例えば、後述のメインフレーム着座部125)と、前記メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分を、内側の側面から押圧する一対の押圧部(例えば、後述の押圧部62A、62B)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
車種によってサンルーフユニットの形状や構造が異なっても、サンルーフユニットの基本構造は、車種によらずほぼ共通である。すなわち、どのサンルーフユニットも、略U字形状のメインフレームと、当該メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレームと、を基本構造として有している。
【0012】
そこで、本発明では、各サンルーフユニットに共通する基本構造に着目し、サンルーフユニット把持装置を、センターフレームの下面が着座するセンターフレーム着座部、メインフレームの下面が着座するメインフレーム着座部、および、メインフレームの側面を押圧する一対の押圧部を含んで構成した。つまり、サンルーフユニット把持装置を、各サンルーフユニットに共通する部分を把持する構成とした。
【0013】
したがって、例えば、サンルーフユニットを自動車のボディに取り付ける場合の動作は、以下のようになる。まず、サンルーフユニット把持装置でサンルーフユニットを把持して搬送する。次に、カメラを搭載した別の取付ロボットにより、サンルーフユニット把持装置で把持したサンルーフユニットの予めティーチングした位置から位置ずれを算出する。次に、この算出した位置ずれに基づいて、取付ロボットの動作を補正しながら、サンルーフユニット把持装置からサンルーフユニットを受け取り、この受け取ったサンルーフユニットをボディに取り付ける。
よって、各サンルーフユニットに共通する部分をサンルーフユニット把持装置で把持したので、単一のサンルーフユニット把持装置で複数種類のサンルーフユニットを把持できるから、設備の汎用性が高くなる。
【0014】
本発明のワーク取付方法は、略U字形状のメインフレームと、当該メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレームと、を有するサンルーフユニットを把持するサンルーフユニット把持方法であって、前記センターフレームの下面を支持するとともに、前記メインフレームのうち前記センターフレームに略平行な部分の下面を支持し、その後、前記メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分を、内側の側面から押圧することで、サンルーフユニットを把持することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上述の効果と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各サンルーフユニットに共通する基本構造に着目し、サンルーフユニット把持装置を、センターフレームの下面が着座するセンターフレーム着座部、メインフレームの下面が着座するメインフレーム着座部、および、メインフレームの側面を押圧する一対の押圧部を含んで構成した。よって、各サンルーフユニットに共通する部分をサンルーフユニット把持装置で把持したので、単一のサンルーフユニット把持装置で複数種類のサンルーフユニットを把持できるから、設備の汎用性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るサンルーフユニット把持装置が適用されたワーク取付システム1の全体斜視図である。
ワーク取付システム1は、図示しない搬送コンベアにより搬送されるボディ2にサンルーフユニットとしてのサンルーフ部材3を取り付けるものである。
【0018】
ボディ2の正面には、フロントウインドが取り付けられるフロントウインド用開口41が形成され、ボディ2の両側面には、フロントドアが取り付けられるフロントドア用開口42が形成されている。
サンルーフ部材3は、ボディ2の内部側からボディ2の屋根43に取り付けられる。
【0019】
ワーク取付システム1は、サンルーフ部材3をボディ2の取り付け位置の近傍まで搬送する搬送ロボット4と、この搬送ロボット4により搬送されたサンルーフ部材3をボディ2に位置決めする一対の取付ロボット5と、これら搬送ロボット4および取付ロボット5を制御する制御装置6と、を備える。
【0020】
図2は、サンルーフ部材3およびこのサンルーフ部材3が取り付けられるインナパネル2Aの斜視図である。
サンルーフ部材3は、矩形枠状のフレーム30と、このフレーム30の互いに対向する部分を跨いで設けられたセンターフレーム33と、を備える。
【0021】
この矩形枠状のフレーム30は、略U字形状のメインフレーム31と、このメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる先端部分同士を連結するサブフレーム32と、で構成される。
センターフレーム33は、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分同士を連結している。
このサンルーフ部材3を構成するフレームのうち、メインフレーム31およびセンターフレーム33は、各種のサンルーフ部材に共通する基本構造となっている。
【0022】
このサンルーフ部材3の周縁部分には、10個のボルト穴34が形成されている。これらボルト穴34のうちサンルーフ部材3の前方両側に位置するものをボルト穴34Aとし、ボルト穴34Aの後方側に隣接するものをボルト穴34Bとする。
また、このボルト穴34Aの近傍には、位置決め穴35が形成されている。
【0023】
インナパネル2Aは、ボディ2の屋根43の内側を構成するパネルである。インナパネル2Aには、サンルーフ部材3のボルト穴34に対応して、ナット44が形成されている。これらナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Aに対応するものをナット44Aとすると、このナット44Aの近傍には、サンルーフ部材3の位置決め穴35に対応して、位置決め穴45が形成されている。また、ナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴34Bに対応するものをナット44Bとする。
【0024】
サンルーフ部材3は、ボルト51をボディ2の内部側からサンルーフ部材3のボルト穴34に挿通し、インナパネル2Aのナット44に螺合することで、インナパネル2Aに取り付けられる。ここで、ボルト51のうちナット44Aに螺合されるものを、ボルト51Aとする。
【0025】
図1に戻って、搬送ロボット4は、ボディ2の正面側に配置され、サンルーフ部材3を把持して、ボディ2に向かって移動することにより、この把持したサンルーフ部材3をボディ2の内部まで搬送する。
この搬送ロボット4は、サンルーフユニット把持装置としての搬送ハンド10と、床面上にボディ2の長さ方向に沿って移動可能に設けられて搬送ハンド10の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム11と、を備える。
【0026】
図3は、搬送ロボット4の搬送ハンド10の平面図である。図4は、搬送ハンド10の斜視図である。
搬送ハンド10は、平面視で略十字形状であり、ロボットアーム11のフランジ面11Aの中心軸Cに沿って延びる平板状の基部12と、この基部12に設けられた把持機構60と、基部12の先端から中心軸Cに沿って突出する突出部13と、を備える。
突出部13は、基部12に支持された支持部131と、この支持部131の先端に設けられたセンターフレーム着座部132と、を備える。
センターフレーム着座部132には、センターフレーム33の下面が着座される。
【0027】
基部12は、ロボットアーム11のフランジ面11Aに取付けられる支持部121と、略矩形枠状の枠部122と、この枠部122と支持部121とを連結する連結部123と、枠部122の先端側に設けられた補強板124と、枠部122上に設けられて中心軸Cに交差する方向に延びるガイド部128A、128Bと、を備える。
【0028】
枠部122の支持部121側の2つの角部には、メインフレーム着座部125が設けられている。
メインフレーム着座部125には、略U字形状のメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分の下面が着座される。このメインフレーム着座部125は、底部126と、この底部126に立設された一対の壁部127と、を備える。
一対の壁部127は、互いに対向して配置され、中心軸Cの交差する方向に延びている。
【0029】
把持機構60は、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能な一対の押圧部62A、62Bと、押圧部62Aをガイド部128Aに沿って進退させる進退機構63と、押圧部62Aの移動に連動して押圧部62Bを移動させるリンク機構64と、を備える。
【0030】
ガイド部128A、128Bの上面には、図示しないスライドガイドが設けられている。
押圧部62A、62Bの下面には、これらガイド部128A、128Bのスライドガイドに嵌合するスライドレールが設けられており、これにより、一対の押圧部62A、62Bは、ガイド部128A、128Bに沿って移動可能となっている。
押圧部62A、62Bの先端には、基部12に対して略垂直な押圧面621、および、基部12に対して略平行な押え面622が設けられている。
進退機構63は、基部12の枠部122上に中心軸Cに交差する方向に取り付けられており、先端が押圧部62Aに取付けられたピストンロッド631と、このピストンロッド631を進退させるシリンダ632と、を備える。
【0031】
リンク機構64は、押圧部62Aに取り付けられて押圧部62Aのスライド方向に延びるラック641Aと、押圧部62Bに取り付けられて押圧部62Bのスライド方向に延びるラック641Bと、これらラック641A、641Bの間でかつ中心軸C上に回転自在に設けられてラック641A、641Bに噛合するピニオン642と、このピニオン642を収納するケース643と、を備える。
【0032】
押圧部62Aからラック641Aのピニオン642に噛合する部分までの距離と、押圧部62Bからラック641Bのピニオン642に噛合する部分までの距離とは、同一寸法となっている。これにより、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って移動しても、押圧部62Aから中心軸Cまでの距離と、押圧部62Bから中心軸Cまでの距離とは、常に一定となる。つまり、押圧部62Aの位置と押圧部62Bの位置とは、中心軸Cを挟んで常に線対称となる。
【0033】
この把持機構60によれば、進退機構63を駆動して、ピストンロッド631を前進させると、押圧部62Aがガイド部128Aに沿って外側に向かって移動する。この押圧部62Aの移動に伴って、リンク機構64により、押圧部62Bもガイド部128Bに沿って外側に向かって移動する。
【0034】
したがって、搬送ロボット4の搬送ハンド10によれば、搬送ハンド10上にサンルーフ部材3が載置されると、このサンルーフ部材3のセンターフレーム33は、センターフレーム着座部132上に着座する。また、メインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、2つのメインフレーム着座部125に着座する。具体的には、このメインフレーム31のうちセンターフレーム33に略平行な部分は、メインフレーム着座部125の一対の壁部127の間に嵌合し、これにより、サンルーフ部材3の中心軸Cに沿った方向の移動が規制される。
その後、把持機構60を駆動することにより、押圧部62A、62Bを外側に向かって移動させ、メインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面を、押圧面621で内側から押圧して、把持する。これにより、サンルーフ部材3の基部12の面内かつ中心軸Cに交差する方向の移動が規制される。
また、押圧面621がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の側面に当接すると同時に、押え面622がメインフレーム31のうち互いに略平行に延びる部分の上面を覆う。これにより、サンルーフ部材3の基部12に対して略垂直な方向の移動が規制される。
【0035】
図1に戻って、一対の取付ロボット5は、ボディ2の両側に配置され、搬送ロボット4が搬送したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに固定する。
この取付ロボット5は、それぞれ、ハンド20と、床面上に設けられてハンド20の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム21と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する取付ロボット5について説明するが、ボディ2の右側に位置する取付ロボット5についても、同様の構成であり、これら左右の取付ロボット5の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0036】
図5は、取付ロボット5のハンド20の平面図である。図6は、ハンド20の側面図である。図7は、ハンド20の斜視図である。
ハンド20は、略L字形状の支持フレーム22と、この支持フレーム22に設けられたナットランナ23と、支持フレーム22に設けられた撮影装置24と、を備える。
【0037】
支持フレーム22は、ロボットアーム11のフランジ面から面内方向に延びる第1フレーム221と、この第1フレーム221の先端からこの第1フレーム221に直交して延びる第2フレーム222と、を備える。
第1フレーム221と第2フレーム222との交差部分には、上方に向かって突出する位置決めピン223が設けられる。また、第2フレーム222の先端側の上面には、ワーク支持パッド224が設けられる。
【0038】
ナットランナ23は、支持フレーム22の第1フレーム221の途中に設けられ、ボルト51Aが嵌合するソケット231と、このソケット231を回転駆動する駆動装置232と、を備える。
このナットランナ23によれば、駆動装置232を駆動することにより、ソケット231に嵌合したボルト51Aを所定のトルクで回転させる。
【0039】
撮影装置24は、支持フレーム22の第2フレーム222の途中に設けられ、上方に向かって配置されたCCDカメラ241と、このCCDカメラ241の撮影対象を照明する環状の照明装置242と、を備える。
【0040】
取付ロボット5のハンド20によれば、図8に示すように、ハンド20上にサンルーフ部材3が載置されると、支持フレーム22の位置決めピン223は、サンルーフ部材3の位置決め穴35に挿入される。そして、このサンルーフ部材3は、この位置決めピン223および支持フレーム22のワーク支持パッド224により支持される。また、ナットランナ23のソケット231にチャックされたボルト51Aは、サンルーフ部材3のボルト穴34Aに挿通される。
【0041】
ワーク取付システム1の動作について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
ST1では、ボディ2の搬送を停止する。
ST2では、ボディ2の両側のフロントドア用開口42を通して、取付ロボット5をボディ2の内部に投入し、取付ロボット5のCCDカメラ241を、屋根43のインナパネル2Aに接近させる。次に、このCCDカメラ241でインナパネル2Aのナット44Bを撮影し、その後、この取付ロボット5を退避させる。
【0042】
ST3では、制御装置6により、インナパネル2Aの撮影画像に基づいて、ナット44Bの予めティーチングされた位置からのずれ量をワーク取り付け位置ずれ量として算出する。
【0043】
ST4Aでは、図示しないワーク供給場所にて、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を把持させる。そして、搬送ロボット4を移動することにより、ボディ2のフロントウインド用開口41に向かってサンルーフ部材3の搬送を開始する。
【0044】
ST5では、搬送されるサンルーフ部材3の下方に取付ロボット5を位置させて、この状態で、サンルーフ部材3がボディ2のフロントウインド用開口41に到達するまで、この取付ロボット5を搬送ロボット4の動作に同期して移動させて、取付ロボット5のCCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴34Bを基準位置として撮影する。
【0045】
ST6では、制御装置6により、サンルーフ部材3の撮影画像に基づいて、ボルト穴34Bの予めティーチングした位置からのずれ量をワーク位置ずれ量として算出する。
【0046】
ST4Bでは、搬送ロボット4により、ボディ2のフロントウインド用開口41を通して、サンルーフ部材3をボディ2の内部に投入し、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させる。
このとき、ワーク位置ずれ量およびST3で算出したワーク取り付け位置ずれ量に基づいて、サンルーフ部材3の位置決め穴35がボディ2の位置決め穴45の直下に位置するように、サンルーフ部材3を停止させる。
【0047】
ST7では、取付ロボット5を制御してサンルーフ部材3に下方から接近させ、サンルーフ部材3の位置決め穴35に位置決めピン223を挿入するとともに、この取付ロボット5でサンルーフ部材3の両端側を支持する。これにより、第1取付ロボット5は、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取ることになる。ここで、取付ロボット5の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、取付ロボット5の動作を補正する。その後、搬送ロボット4をボディ2の内部から退避させる。
【0048】
ST8では、取付ロボット5を上昇させて、位置決めピン223をボディ2の位置決め穴45に挿入することで、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めする。ここで、取付ロボット5の動作に上述のワーク取り付け位置ずれ量およびワークずれ量を反映させて、取付ロボット5の動作を補正する。
すると、サンルーフ部材3のボルト穴34Aは、ボディ2のナット44Aに重なった状態となるので、ナットランナ23を駆動して、サンルーフ部材3のボルト穴34Aを通して、2本のボルト51Aをボディ2のナット44Aに締め付ける。
【0049】
ST9では、図示しないボルト締め付けロボットにより、ボルト51Aを除く残りのボルト51を用意し、これら残りのボルト51をサンルーフ部材3のボルト穴34に通して、ナット44に締め付ける。
【0050】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)搬送ハンド10を、センターフレーム33の下面が着座するセンターフレーム着座部132、メインフレーム31の下面が着座するメインフレーム着座部125、および、メインフレーム31の側面を押圧する一対の押圧部62A、62Bを含んで構成した。つまり、搬送ハンド10を、各車種のサンルーフ部材3の共通する部分であるメインフレーム31およびセンターフレーム33を把持する構成とした。
【0051】
したがって、まず、搬送ロボット4でサンルーフ部材3を把持して搬送して、インナパネル2Aの近傍に位置させる。次に、取付ロボット5のCCDカメラ241により、サンルーフ部材3のボルト穴34を撮影し、この撮影画像に基づいて、ボルト穴34の予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。次に、この算出した位置ずれに基づいて、取付ロボット5の動作を補正しながら、搬送ロボット4からサンルーフ部材3を受け取り、この受け取ったサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに取り付ける。
よって、各サンルーフ部材に共通する部分を搬送ハンド10で把持したので、単一の搬送ハンド10で複数種類のサンルーフ部材3を把持できるから、設備の汎用性が高くなる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るサンルーフユニット把持装置が適用されたワーク取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサンルーフユニットおよびこのサンルーフユニットが取り付けられる部分の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るワーク取付システムの搬送ロボットの搬送ハンドの平面図である。
【図4】前記実施形態に係る搬送ロボットの搬送ハンドの斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの平面図である。
【図6】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの側面図である。
【図7】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの斜視図である。
【図8】前記実施形態に係る取付ロボットでサンルーフユニットを支持した状態を示す分解斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るワーク取付システムの動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
3 サンルーフ部材(サンルーフユニット)
10 搬送ハンド(サンルーフユニット把持装置)
31 メインフレーム
33 センターフレーム
62A、62B 押圧部
125 メインフレーム着座部
132 センターフレーム着座部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略U字形状のメインフレームと、当該メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレームと、を有するサンルーフユニットを把持するサンルーフユニット把持装置であって、
前記センターフレームの下面が着座するセンターフレーム着座部と、
前記メインフレームのうち前記センターフレームに略平行な部分の下面が着座するメインフレーム着座部と、
前記メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分を、内側の側面から押圧する一対の押圧部と、を備えることを特徴とするサンルーフユニット把持装置。
【請求項2】
略U字形状のメインフレームと、当該メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分同士を連結するセンターフレームと、を有するサンルーフユニットを把持するサンルーフユニット把持方法であって、
前記センターフレームの下面を支持するとともに、前記メインフレームのうち前記センターフレームに略平行な部分の下面を支持し、
その後、前記メインフレームのうち互いに略平行に延びる部分を、内側の側面から押圧することで、サンルーフユニットを把持することを特徴とするサンルーフユニット把持方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−58626(P2010−58626A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225618(P2008−225618)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】