説明

シアニン色素標識用試薬

生物材料及び他の材料を標識且つ検出するのに有用なシアニン色素を開示する。色素は、式(I)
【化1】


[式中、R及びR基はZ環構造に結合し、R及びR基はZ環構造に結合し、n=1、2、又は3であり、Z及びZは独立に、1環、又は2環縮合芳香族系を完結するのに必要な炭素原子を表し、R、R、R、R、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは、単結合又はスペーサ基であり、Fは、目標結合基である)であり、R11、R12、R13、及びR14基の1以上は独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸又はホスホン酸であり、kは、1〜10の整数である)から選択される]を有する。色素を蛍光標識用途で使用することができ、インドリニウム環の3位に結合させた1個、好ましくは複数の水溶性基が存在すると、色素−色素相互作用が低減し、したがって色素−色素の消光が低減し、具体的には複数の色素分子が、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、及び抗体などの成分に結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識用試薬、特に1以上の水溶性基を結合させた反応性シアニン色素の分野、及びこのような色素の利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光標識は、マイクロアレイ解析において選抜きの検出手段として確立されている。蛍光色素で標識された核酸プローブを生成するためのいくつかの異なる方法が存在する。これらには、逆転写酵素系を使用した、色素で標識したヌクレオチドのcDNAへの直接組込みが含まれる。一代替法は、間接標識手法であり、化学的に反応するヌクレオチド類似体(例えば、アミノアリル−dUTP)又はビオチン化ヌクレオチド類似体を利用し、合成中にファーストストランドcDNAに組み込み、続いて修飾ヌクレオチドに共有結合又は非共有結合する反応性又は親和性色素標識で後標識する。マイクロアレイ解析での後標識戦略は、特に低発現目標用の改善された検出感度を提供する可能性を有し、より少ないmRNAの使用を可能にする。しかし、核酸分子の化学的標識を介した、又はアビジン若しくはストレプトアビジンコンジュゲートの使用を介した多重標識の使用により得ることができるなど、超高感度検出方法が依然として必要とされている。
【0003】
シアニン色素は、他の蛍光色素に勝るいくつかの利点を提供する。シアニン色素の励起及び発光スペクトルは、450nm〜800nmの可視及び近赤外スペクトルに及ぶ。さらに、シアニン色素は、非常に高い消衰係数、有利な量子収率、及び良好な光安定性を有することを特徴とする。例えば、米国特許第6048982号、第5268486号、第5569587号(Waggoner,A.S.et al)を参照のこと。後標識は、cDNA又はストレプトアビジンへのシアニン色素の高レベルの組込みを生じることができるが、溶液中又は固液界面である種の色素が自己会合し、蛍光量子収率の低下を生じる傾向がある(Mishra,A.et al,Chem.Rev.,(2000),100(6),1973−2012;Gruber,H.et al,Bioconjugate Chemistry,(2000),11,696−704)。
【0004】
国際公開第02/26891号(Molecular Probes Inc.)は、インドリニウム環の3位の置換基として化学的に反応する基又は抱合を受けた物質が含まれる少なくとも1つの置換インドリニウム環系が存在する修飾カルボシアニン色素、及び目標材料を有するそのコンジュゲートを記述している。国際公開第02/26891号による修飾色素は、シアニン色素の自己会合する(即ち、積層する)傾向を克服していると報告され、修飾色素で標識された色素コンジュゲートは、構造的に同様なカルボシアニン色素で標識されたコンジュゲートより蛍光性であると報告されている。
【0005】
米国特許第6083485号(Licha et al)は、下記の構造を有する色素:
【0006】
【化1】

[但し、X及びY基には−C(CH32)(CH33)基が含まれ、R20〜R29、R32、及びR33基は、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホン酸、カルボキシアルキル、最高10個の炭素原子を含むアルコキシカルボニル若しくはアルコキシオキソアルキル残基、又は最高4個の炭素原子を含むスルホアルキル残基を含める基で置換することができる]を使用する近赤外線(NIR)に基づいたin−vivo診断方法に関する。
【0007】
特開平5−313304(Fuji Photo Film Co.Ltd.)は、複数のスルホネート基を含み、次の式で表される色素:
【0008】
【化2】

[式中、R及びRは、アルキルカルボキシレート又はアルキルスルホネート部分とすることができる]を組み込んだ銀塩写真感光材料を開示している。
【特許文献1】米国特許第6048982号明細書
【特許文献2】米国特許第5268486号明細書
【特許文献3】米国特許第5569587号明細書
【特許文献4】国際公開第02/26891号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6083485号明細書
【特許文献6】特開平5−313304号公報
【非特許文献1】Mishra,A.et al,Chem.Rev.,(2000),100(6),1973−2012
【非特許文献2】Gruber,H.et al,Bioconjugate Chemistry,(2000),11,696−704
【非特許文献3】Hamer,F.M.,“The Cyanine Dyes and Related Compounds”,Interscience(1964)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術文献はどれも、インドリニウム環系の3位に結合させた1以上のスルホン酸又はホスホン酸水溶性基を有し、目標材料の直接共有結合又は非共有結合標識に適した少なくとも1個の基も設けられているシアニン色素を具体的には記述していない。新規クラスのシアニン色素標識用試薬は、生物材料及び他の材料を標識且つ検出するのに有用であることが今回判明した。インドリニウム環の3位に結合させた1個、好ましくは複数の水溶性基が存在すると、具体的には複数の色素分子が、核酸、タンパク質、抗体などの成分に結合する色素−色素相互作用が低減することが判明した。その結果、通常は多重標識された成分に関連し、色素−色素の積層による蛍光強度の低下が、最小限に抑えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、第1の態様では、式(I)の化合物が提供される。
【0011】
【化3】

式中、
及びR基はZ環構造に結合し、R及びR基はZ環構造に結合し、n=1、2、又は3であり、
及びZは独立に、1環、又は2環縮合芳香族系を完結するのに必要な炭素原子を表し、
、R、R、R、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは、単結合、又は炭素、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される原子を1〜20個連結させた鎖を有するスペーサ基であり、Fは、目標結合基である)であり、
11、R12、R13、及びR14基の1以上は独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸又はホスホン酸であり、kは、1〜10の整数である)から選択され、
及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、C〜Cアルキル、非置換ベンジル又はスルホン酸置換ベンジル、及び−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)から選択され、
、R、R、及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR、R、R、及びR基は独立に、水素及びスルホン酸から選択され、
11、R12、R13、及びR14のいずれかが前記−(CH−W基でない場合、前記残りのR11、R12、R13、及びR14基が独立に、C〜Cアルキルであり、
残りのR基は、水素であり、或いはRの2つが次の基
【0012】
【化4】

とともに、5又は6個の原子を有する炭化水素環系を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
適切には、第1の態様による化合物は、色素発色団の一形式電荷(又は、複数の電荷)と釣り合うように正又は負とすることができる1以上の対イオンを含む。対イオンの性質は、本発明に重要なものではなく、NH、K、Na、トリフルオロアセテート(FC−CO)、パークロレート(ClO)、Br、又はIなど知られている多数のイオンのうちの1つとすることができる。本発明の状況では、「スルホン酸」及び「ホスホン酸」という用語にはそれぞれ、「スルホネート」及び「ホスホネート」基が親酸のイオン化した形であるのでこれらも含まれることを理解されたい。
【0014】
適切には、R11、R12、R13、及びR14基の少なくとも2つは、−(CH−W基である。好ましい一実施形態では、R11及びR12基の1つ、並びにR13及びR14基の1つは、−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)である。これらの実施形態では、残りのR11又はR12基、及びR13又はR14基は、好ましくはメチルである。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、Wがスルホン酸であるものである。好ましくは、kは3又は4である。特に好ましい−(CH−Wは、−(CH−SOH及び−(CH−SOHから選択される。
【0015】
適切には、R及びR基のいずれかが、前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は、C〜Cアルキル、非置換ベンジル又はスルホン酸置換ベンジル、及び−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)から選択することができる。好ましくは、前記残りのR及びR基は、C〜Cアルキル、スルホベンジル、及び−(CH−W基から選択することができる。好ましいアルキル基は、メチル及びエチルである。
【0016】
第1の態様による色素では、Rが−E−F基で置換されている場合、メソ位で置換されていることが好ましく、これはヘテロ環構造を連結するポリメチン鎖の中央のR基を目標結合基で置換できることを意味する。ポリメチン鎖に存在する残りのR基は水素である。
【0017】
適切には、Z及びZは独立に、フェニル及びナフチルから選択される。表1に、1つ又は2つの縮合環芳香族系を有する式(I)の化合物によるシアニン色素の具体例を、構造(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)で示す。
【0018】
【表1】

表2に、R基が炭化水素環系を形成する化合物の例は、(VII)及び(VIII)構造で示す。構造(II)〜(VIII)では、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R13、R14基、及びnは、本明細書の上記に定義されているようなものである。
【0019】
【表2】

連結部分Eは、目標結合基Fを式(I)による化合物の発色団部分に連結する。一実施形態では、目標結合基Fを色素のR、R、R、R、又はR位に直接結合させることができ、この場合、Eは、単一の共有結合である。別の好ましい実施形態では、目標結合基Fは、スペーサ基を介して間接的に色素のR、R、R、R、R、R、又はR位に共有結合することができる。この実施形態では、Eは、炭素、窒素、及び酸素原子を含む原子を1〜20個連結させた直鎖又は枝分れ鎖であることが適切である。好ましくは、スペーサ基Eは、
−(CHR’)−Q−(CHR’)
(式中、Qは、−CHR’−、−NR’−、−O−、−CR’=CR’−、−Ar−、−C(O)−NR’−、及び−C(O)−O−から選択され、R’は、水素又はC〜Cアルキルであり、pは、0〜5であり、rは、1〜5である)から選択される。
【0020】
特に好ましいリンカーは、Qが−CHR’−、−C(O)−NH−、及び
【0021】
【化5】

(式中、R’は本明細書の上記に定義されている)から選択されるものである。
【0022】
本発明による色素は、少なくとも1つ、通常は2つ以下、好ましくは1つの−E−F基を含む。一実施形態では、目標結合基Fは、目標成分の相補的基と反応し、色素と成分との共有結合を形成する基である。この実施形態では、結合基の選択は、標識対象の成分で利用可能な基に依存し、したがって当業者によく知られている。例えば、目標結合基は、適切な条件下で成分の相補的官能基と反応することができる反応性基とすることができる。タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物などの成分中に存在する官能基の例には、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、(アルデヒド及びケトンを含めて)カルボニル、及びチオホスフェートが含まれる。或いは、目標結合基Fは、官能基とすることができ、目標は、色素の官能基が適切な条件下で目標成分の反応性基と反応することができる反応性構成成分を含み、又はそれを含むように誘導体化することができる。どちらの場合も、成分は、式(I)による色素で標識される。適切には、反応性基Fは、カルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホ−スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、酸ハライド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン、及びホスホルアミダイトから選択することができる。好ましくは、反応性基は、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、又はホスホルアミダイトである。Fが官能基である場合、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、(アルデヒド及びケトンを含めて)カルボニル、及びチオホスフェートから選択されることが適切である。これらの反応性及び官能性の基によって、式(I)の化合物は、目標成分と反応し、それに共有結合する。
【0023】
表3に、式(I)による化合物の反応性基R、R、R、R、R、R、及びR、並びにR、R、R、R、R、R、及びR基が反応することができる基の例を挙げる。代替形態では、R、R、R、R、R、R、及びRは、目標成分の反応性基と反応するはずである表3の官能基とすることができる。
【0024】
【表3】

特に目標成分を利用可能なアミノ及びヒドロキシル官能基で標識するのに有用な特に好ましい反応性基R、R、R、R、R、R、及びRには、下記が含まれる。
【0025】
【化6】

目標成分を利用可能なチオール官能基で標識するのに有用である特に好ましい反応性基R、R、R、R、R、R、及びRには、下記が含まれる。
【0026】
【化7】

−E−F基の特に好ましい例は、カルボキシペンチル基Eを含むもの、例えば下記である。
【0027】
【化8】

別の実施形態では、目標結合基Fは、その相補的な特異的結合パートナーと特異的に非共有結合することができる親和性タグとすることができる。特異的結合パートナーの対の例には、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ニトリロ三酢酸(例えば、Ni2+:NTA)とのポリヒスチジンタグ−金属イオン錯体が含まれるが、これらに限定されない。相補的な特異的結合パートナーは、目標成分検出のための標識化錯体の1成分とすることができる。したがって、好ましい一標識化形式では、ビオチン標識用の結合部位を4つ有するストレプトアビジンを、目標成分のビオチン基を本発明による色素に連結するブリッジとして使用することができ、F基は、ビオチン、イミノビオチン、又はデスチオビオチンである。本発明の状況では、互いに他方に対する特異的結合親和性を所有する2つの原子又は分子を使用できることを理解されたい。親和性タグの好ましい例は、ビオチン、イミノビオチン、及びデスチオビオチンから選択される。
【0028】
別の実施形態では、本発明のシアニン蛍光色素は、1以上の追加のスルホン酸基を含むことができる。一実施形態では、1以上のスルホン酸基は、Z及び/又はZ環構造に直接結合できることが適切である。一代替実施形態では、R及び/又はR位をスルホベンジル又は−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)で直接置換することができる。この実施形態では、色素を、場合によってはさらにR、R、R、及びR位に直接結合させた1以上のスルホン酸基で置換することができる。したがって、本発明による色素は、最高5以上のスルホン酸基、好ましくは3〜5個のスルホン酸基で置換することができる。3個以上のスルホン酸基で置換された、生物目標分子を標識するためのシアニン色素を使用すると、色素−色素の凝集が低減し、励起状態の相互作用が無視でき、したがって色素−色素の消光及び蛍光の損失が最小である目標生成物が生じる。本発明の好ましい色素でそのように標識した分子の蛍光発光強度は、共有結合した色素の数に伴って増大する。さらに、色素分子の総電荷の増大に加えて、インドリニウムの3位をスルホン酸基で置換すると、立体的大きさも増やし、それによって色素−色素の凝集の低減に寄与する。
【0029】
ハロゲン及びハロ基は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される。
【0030】
表4に示すように、下記は本発明によるシアニン色素のより特有の例である。
【0031】
【表4】

構造(IX)、(X)、及び(XI)では、n=1、2、又は3であり、
、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、E及びFは、本明細書の上記に定義されている)であり、
及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、メチル、エチル、及び−(CH−W(式中、Wは、スルホン酸であり、kは、3又は4である)から選択され、
及びRのいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、水素及びスルホン酸から選択され、好ましくはスルホン酸である。
【0032】
構造(IX)、(X)、及び(XI)では、−E−F基は、適切にはアルキルカルボン酸のスクシンイミジルエステル誘導体、好ましくは5−カルボキシペンチル、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、又は5−カルボキシペンチル、N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミジルエステルである。
【0033】
本発明の第1の態様による色素の具体例は、以下のとおりである。
【0034】
i)2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル}−3−メチル−5−スルホ−3−{4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル}−3H−インドリウム−5−スルホネート;
ii)2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;
iii)2−{(1E,3E,5E,7E)−7−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;
iv)2−((1E,3E,5E,7E)−7−[5−(カルボキシメチル)−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;及び
v)1−ベンジル−2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル)−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート。
【0035】
本発明は、少なくとも本明細書の上記に定義されているようなR〜R位に結合させたF基を含めて、本発明の化合物を使用して、標識し、それによって蛍光特性を目標成分に与えることができる標識方法にも関する。特に、核酸、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、抗体などの生物分子の多重標識及び検出のために使用することができる。したがって、第2の態様では、成分の標識方法であって、
i)前記成分を、式(I)の化合物:
【0036】
【化9】

[式中、
及びR基はZ環構造に結合し、R及びR基はZ環構造に結合し、n=1、2、又は3であり、
及びZは独立に、1環、又は2環縮合芳香族系を完結するのに必要な炭素原子を表し、
、R、R、R、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは、単結合、又は炭素、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される原子を1〜20個連結させた鎖を有するスペーサ基であり、Fは、目標結合基である)であり、
11、R12、R13、及びR14基の1以上は独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸又はホスホン酸であり、kは、1〜10の整数である)から選択され、
及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、C〜Cアルキル、非置換ベンジル又はスルホン酸置換ベンジル、及び−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)から選択され、
、R、R、及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR、R、R、及びR基は独立に、水素及びスルホン酸から選択され、
11、R12、R13、及びR14のいずれかが前記−(CH−W基でない場合、前記残りのR11、R12、R13、及びR14基が独立に、C〜Cアルキルであり、
残りのR基は、水素であり、或いはRの2つが次の基
【0037】
【化10】

とともに、5又は6個の原子を有する炭化水素環系を形成する]と接触させるステップと、
ii)前記蛍光色素を、前記成分に結合させ、それによって標識するのに適した条件下で前記成分とインキュベートするステップとを含む方法が提供される。
【0038】
一実施形態では、目標結合基Fは、本明細書の上記に定義されている反応性又は官能性の基など、式(I)の化合物と目標成分との共有結合の形成に適した基とすることができる。代替形態では、目標結合基Fは、親和性タグ、例えばビオチン、デスチオビオチン、又はイミノビオチンであり、色素を非共有結合性会合によって目標に結合させる。方法は、標識対象の成分とある量の本発明による化合物を、色素が成分に結合するような条件下でインキュベートするステップを含む。目標成分との色素コンジュゲート又は錯体の形成方法は、当業者に周知である。例えば、タンパク質の共有結合標識は、通常は水性緩衝媒体、適切には重炭酸塩中、pH9.0、室温で通常は1時間行う。反応は、通常は暗所で実施する。標識タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって、例えば固定相としてSephadex(商標)、溶離液としてリン酸塩緩衝剤、pH7.0を使用して、未反応の色素から分離することができる。目標生体分子の多重標識では、色素と目標材料の量又は濃度の比をそれに応じて調整すべきである。適切な目標生物成分には、抗体、脂質、タンパク質、ペプチド、炭水化物;アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、及びカルボキシル、及びチオホスフェート基のうちの1以上を含む、又はそれを含むように誘導体化されたヌクレオチド;アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、カルボキシル、及びチオホスフェート基のうちの1以上を含む、又はそれを含むように誘導体化されたオキシ又はデオキシポリ核酸;微生物材料、薬物、ホルモン、細胞、細胞膜、並びに毒素からなる群が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
上記の一段階標識方法に加えて、本発明は、二段階標識方法にも関する。第1段階で、本発明による色素を、抗体、タンパク質、DNAプローブなど一次成分に結合させ、それによって標識する。次いで、標識方法の第2段階で、蛍光標識された一次成分を、抗体が特異的になる抗原など二次成分の検出用プローブとして使用する。
【0040】
本発明の化合物を使用して、系中の特定のタンパク質又は他の成分の濃度を決定することもできる。プローブと反応することができるタンパク質の反応性基の数がわかっている場合、1分子当たりの蛍光性を知ることができ、系中のこれらの分子の濃度を系の全蛍光強度により決定することができる。この特定の方法を用いて、マイクロタイタープレートリーダー又は他の知られている免疫蛍光検出システムを使用して様々な標識分析物の濃度を測定することができる。蛍光標識された材料の濃度は、例えば蛍光偏光検出機器を使用して決定することもできる。
【0041】
本発明の化合物は、抗体など様々な複数の一次成分に複数の蛍光色素を共有結合させる検出方法で使用することもでき、二次成分の混合物中の複数の二次成分をそれぞれ特定するために、一次成分はそれぞれ、抗原など異なる二次成分に特異的である。役に立つこの方法によれば、一次成分をそれぞれ、他の一次成分を標識するために使用する色素分子に比べて、異なる光吸収及び発光波長特性を有する蛍光色素で別々に標識する。次いで、標識された一次成分を、抗原などの二次成分を含有する調製物に添加し、一次成分を、それが選択的である二次成分にそれぞれ結合させる。
【0042】
未反応のプローブ材料は、分析への干渉を防ぐため、例えば洗浄によって調製物から除去することができる。次いで、調製物を、特定の蛍光化合物の吸収波長を含めて、様々な励起波長にかける。次に、蛍光顕微鏡、又は励起波長の光線を選択し蛍光波長を選択するためのフィルタ若しくはモノクロメータを有するフローサイトメータや蛍光分光光度計など他の蛍光検出システムを使用して、使用する蛍光化合物に対応する発光波長の強度、特定の標識一次成分と結合した二次成分の量を指示する蛍光強度を決定する。多パラメータの蛍光研究を行うための知られている技法には、例えば多パラメータのフローサイトメトリーが含まれる。いくつかの場合には、単一励起波長を使用して、それぞれが異なる波長において蛍光を発する混合物中の2つ以上の材料からの蛍光を励起させることができ、各標識種の量は、そのそれぞれの発光波長におけるその個別の蛍光強度を検出することによって測定することができる。望むなら、光吸収方法を使用することもできる。
【0043】
本発明の検出方法は、蛍光一次成分の作製が可能である任意の系に適用することができる。例えば、適切に反応する蛍光化合物をDNA又はRNA断片に抱合させ、次いで得られたコンジュゲートを、DNA又はRNAの相補的目標ストランドに結合させることができる。次いで、適切な蛍光検出装置を使用して、結合した蛍光コンジュゲートの存在を検出することができる。
【0044】
本発明は、
a)式(A)を有する第1の中間体化合物:
【0045】
【化11】

[式中、Z、R、R、R、R11、及びR12は、本明細書の上記に定義されている]と、
b)第1の中間体化合物と同じでも異なってもよく、式(B)を有する第2の中間体化合物:
【0046】
【化12】

[式中、Z、R、R、R、R13、及びR14は、本明細書の上記に定義されている]と、
c)第1の化合物と第2の化合物との結合の形成に適した第3の化合物(C)とを反応させるステップを含む方法によって適切に調製される式(I)の色素を調製するのに有用な中間体及び方法に関する。但し、R、R、R、R、R、及びR基のうちの少なくとも1つが、−E−F基(式中、E及びFは、本明細書の上記に定義されている)であり、R11、R12、R13、及びR14基のうちの1以上が独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸及びホスホン酸基から選択され、kは、1〜10の整数である)から選択されることを条件とする。
【0047】
好ましくは、−(CH−Wは、−(CH−SOH及び−(CH−SOHから選択される。
【0048】
この方法に従って、中間体化合物(A)、(C)、及び(B)を単一段階又は多段階の方法で反応させて、式(I)の化合物を形成することができる。構造(A)及び(B)が同じである式(I)の対称化合物は、2モル比の式(A)(又は(B))の化合物を、1、3、又は5個の炭素原子を含み、本明細書の上記に定義されているRを形成するための基で置換された適切なビス官能性メチン断片と反応させることによって適切に調製することができる。例えば、トリメチンシアニン色素類似体を調製するための第3の化合物(C)として、置換N,N’−ジフェニルホルムアミジン、又はオルトエステルを使用する。対応する方式で、ペンタメチンシアニン色素類似体を調製するには、適切に置換されたマロンジアルデヒドジアニルを使用し、ヘプタメチンシアニン色素類似体を調製するには、グルタコン酸アルデヒドを使用することができる。反応は、通常はピリジンなどの有機溶媒中で実施し、還流するまで加熱する。続いて、混合物を冷却し、エーテルなどの有機溶媒に注ぎ込む。得られる固体又は半固体を、一連のメタノール/クロロホルム溶媒を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0049】
構造(A)及び(B)が異なる式(I)の非対称化合物は、二段階方法で好都合に調製することができる。この方法では、まず式(A)のインドリニウム化合物と、結合形成に適した化合物、例えば適切に置換されたN,N’−ジフェニルホルムアミジン又はマロンアルデヒドジアニルを無水酢酸の存在下で反応させて、2−アニリノビニル又は4−アニリン−1,3−ブタジエニル第四級塩を形成することによって中間体化合物を形成する。中間体第四級塩と、第2の2−メチルインドリニウム第四級塩を反応させて、式(I)の化合物を得ることができる。ヘテロ環系を接合させるポリメチン結合を形成するための代替中間体は知られており、例えばHamer,F.M.,“The Cyanine Dyes and Related Compounds”,Interscience(1964)に記載されている。
【0050】
本発明のいくつかの色素は、当業者によく知られている方法によって他の色素に転換するための中間体として有用となり得ることが容易に理解されよう。本発明の色素は、本明細書に開示する方法によって合成することができる。特定の有用性を有する化合物の誘導体は、適切な前駆体を選択し、又は得られた化合物を官能基が様々な位置に含まれるように知られている方法によって修飾することによって調製する。R、R、R、R、R、R、及びR基は、本発明の色素が様々な波長特性を有するように選択し、それによって多パラメータの解析で使用することができるいくつかの関連色素を提供することができ、単一の試料中の様々な化合物の存在及び量を、いくつかの検出蛍光発光の波長に対して識別することができる。
【0051】
Cy(商標)は、Amersham Biosciences UK Limitedの商標である。
【0052】
下記の実施例及び図面によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0053】
1. 2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(化合物1)
【0054】
【化13】

1.1: 5−(エトキシカルボニル)−5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸ナトリウム
水素化ナトリウム(60重量%、12g≡0.3モル NaH)を乾燥DMF(100ml)中でスラリー化した。得られた懸濁液を攪拌下0℃に冷却した。これに、2−メチルアセト酢酸エチル(50g、0.346モル)のDMF(25ml)溶液を、温度が<10℃に維持され、泡立ちが制御されるように滴下した。添加が終了し、水素発生が止むと、混合物を、透明な薄黄色溶液が生じるまで温水浴中で温めた。これを再び0℃に冷却した。1,4−ブタンスルトン(45g、0.33モル)のDMF(25ml)の溶液を、温度を<10℃に維持しながら15分間かけて添加した。添加が終了すると、混合物を50℃で16時間加熱した。次いで、溶媒を真空下で蒸発乾固し、残渣を水とジエチルエーテルに分配した。水層を保持し、有機層を新たな水で抽出し、次いで廃棄した。抽出水溶液を合わせて、新たなエーテルで洗浄し、次いで真空下で蒸発させて、ワックス質固体の生成物を得た。
【0055】
H−nmr(DO)δ4.23(2H,q)、2.9(2H,app t)、2.26(3H,s)、2.0〜1.6(6H,m)、1.36(3H,s)及び1.26(3H,t)。
【0056】
1.2: 5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸
TLCが反応の終了を示唆するまで(約3時間)、上記の材料を濃塩酸(200ml)中90℃で加熱した。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、エタノール/ジクロロメタン混合物)によって精製して、5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸49.6gを得た。
【0057】
H−nmr(DO)δ2.9(2H,app t)、2.68(1H,m)、2.2(3H,s)、1.8〜1.3(6H,m)及び1.18(3H,d)。
【0058】
1.3: 2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸
【0059】
【化14】

4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸(7.5g)、5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸(11.0g)、及び酢酸(50ml)を、窒素中6時間加熱還流し、その間、懸濁固体は全部溶解した。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を2−プロパノールで80℃で粉砕して、薄茶色固体の懸濁液を得た。混合物を室温に放冷し、固体をろ過で収集し、2−プロパノール及びジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥した。HPLCにより、270nmにおいて検出された主ピークを収集して、生成物を精製した。(Phenomenex Jupiter 15μ、C18 300A、250×50mm、100ml/分、実施1回当たり0.5g、定組成溶離液 水+0.1%TFA)。生成物画分を貯留し、蒸発させて、11.1gを得た。
【0060】
紫外/可視(水+0.1%TFA):269、229nm
H−nmr(DO)δ0.9(2H,m)、1.6(3H,s+2H,m)、2.15(2H,m)、2.75(2H,m)、2.8(CHの一重項は大部分交換)、7.8(1H,d)、8.0(1H,dd)及び8.1(1H,d)。LC−MS:実測値362。MH=C1420NOの計算値362。
【0061】
1.4: 2,3−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム
【0062】
【化15】

2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸(3.6g、9.8ミリモル)を水(50ml)に溶解した。得られる溶液を酢酸ナトリウムで、pH約7に中和し、次いで溶媒を真空下で蒸発させた。粘性の残渣をメタノールと共蒸発させ、次いでエーテルで粉砕して、細かい固体を得た。これを高真空下で五酸化リンを用いて乾燥して、表題の二ナトリウム塩を得、精製せずに直接使用した。
【0063】
H−nmr(DO)δ0.6〜0.8(2H,m)、1.4(3H,s)、1.6(2H,m)、1.9〜2.15(2H,広幅m+sアセテート)2.35(CHの一重項は大部分交換)、2.75(2H,app t)、7.6(1H,d)及び7.83(2H,m)。
【0064】
1.5: 1−エチル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート塩
【0065】
【化16】

2,3−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム(1g)、p−トルエンスルホン酸エチル(0.95ml;5.56ミリモル)、及びテトラメチレンスルホン(10ml)を一緒に、140℃で12時間加熱した。TLC(シリカ;2:1 MeOH;EtOAc)は、新規生成物スポット(rf=0.8)が形成し、静止するとすぐに赤紫色になったことを示した。生成物を酢酸エチルに投入し、次いで濾別し、真空乾燥して、濃紫色固体の粗生成物1.5gを得た。生成物をHPLC(Vydac タンパク質 & ペプチド C18(250mm×25mm);流量10ml/分;グラジエント 0→25% B、30分;溶離液A=水中0.1%TFA、及び溶離液B=アセトニトリル中0.1%TFA;検出220nm)によって複数のショットで精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去した。薄いピンク色オイルの生成物(400mg)が得られた。
【0066】
LC−MS(ES+):実測値390。MH=C1624NO)の計算値390。
【0067】
H NMR(DO)δ0.86(m,2H)、1.56(t,3H)、1.75(2xs,5H)、2.36(m,2H)、2.75(m,2H)、4.60(q,2H)、7.96、8.10(dd,2H)、8.15(s,1H)。
【0068】
1.6: 1−(5−カルボキシペンチル)−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
【0069】
【化17】

2,3−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム(1g)、6−ブロモヘキサン酸(3.2g、16.41ミリモル)、及びテトラメチレンスルホン(5ml)を一緒に、窒素中110℃で14時間加熱した。次いで、別の分量(3.2g、16.41ミリモル)のブロモヘキサン酸を添加し、加熱を12時間続けた。次いで、別の分量(1.6g、8.21ミリモル)の6−ブロモヘキサン酸を添加し、加熱をさらに12時間続けた。反応混合物を室温に冷却し、次いで酢酸エチルに注ぎ入れた。生成物を分別し、酢酸エチルで洗浄し、次いで40℃で真空乾燥し、茶色固体(2.71g)として得られた。生成物を必要に応じて、HPLC(Vydac タンパク質 & ペプチド C18(250mm×25mm);流量10ml/分;グラジエント 0→25% B、30分;溶離液A=水中0.1%トリエチルアミン、及び溶離液B=メタノール中0.1%トリエチルアミン;検出220nm)によって精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去した。粗材料(100mg)から、黄茶色オイルの生成物が得られた。精製生成物は、トリエチルアンモニウム塩(56mg)として得られた。
【0070】
LC−MS(ES+):実測値476。MH=C2030NOの計算値476。
【0071】
H NMR(DO)δ0.85(m,2H)、1.3(t,27H)、1.50(m,2H)、1.62(m,9H)、2.00(m,2H)、2.25(m,4H)、2.39(m,1H)、2.75(m,2H)、3.20(q,18H)、4.55(t,2H)、7.95、8.10(dd,2H)、8.14(s,1H)。
【0072】
1.7: 2−[(1E,3E)−4−アニリノブタ−1,3−ジエニル]−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
【0073】
【化18】

粗1−エチル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(1.1g)、マロンアルデヒドビス(フェニルイミン)HCl(0.5g)、及び酢酸(20ml)を、窒素中130℃で8時間加熱して、濃橙赤色溶液を得た。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を水/ジクロロメタン/メタノール混合物に分配した。紫外/可視分析(エタノール)により、生成物は上層の水層に存在し(λmax=524nm)、マロンアルデヒド出発材料は下層の有機層にしか存在していない(λmax=384nm)ことが確認された。水層を真空下で蒸発させ、HPLC(水/0.1%TFA及びアセトニトリル/0.1%TEA溶離液)によって精製した。生成物を含む画分を貯留し、蒸発させ、最終的に高真空下で五酸化リンを用いて乾燥して、表題の生成物を得た。
【0074】
紫外/可視(水+0.1%TFA):520nm。
【0075】
MS(MALDI−TOF):M+ 518。
【0076】
1.8: 2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
2−[(1E,3E)−4−アニリノブタ−1,3−ジエニル]−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(71mg)を、ピリジン(45):酢酸(45):無水酢酸(10)(5ml)の混合物に90℃で溶解した。この溶液に、粗1−(5−カルボキシペンチル)−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネートを20分間隔で分割添加し、ついに紫外/可視分析により、半色素成分(λmax=524、430nm)がCy5色素生成物(λmax=653nm)に完全に変換したことが示唆された。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をHPLC(RPC18、水/メタノール/トリエチルアミン、次いで水/アセトニトリル/TFA)によって精製した。
【0077】
紫外/可視(水+0.1%TFA):653nm。
【0078】
MS(MALDI−TOF):実測値902。MH=C395314の計算値901。
【0079】
2. 2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(化合物2)
【0080】
【化19】

2.1: 2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸二ナトリウム
【0081】
【化20】

2,3−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム(1.0g)、及び1,4−ブタンスルトン(10ml)を混合し、窒素中150℃で52時間加熱して、濃紫色スラリーを得た。冷却後、混合物を酢酸エチルで粉砕し、固体部分をろ過によって収集し、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで高真空下で五酸化リンを用いて乾燥して、表題の生成物(1.45g)を得、精製せずに直接使用した。
【0082】
2.2: 2−[(1E,3E)−4−アニリノブタ−1,3−ジエニル]−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
【0083】
【化21】

粗2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸二ナトリウム(1.0g)、及びマロンアルデヒドビス(フェニルイミン)HCl(1.0g)、及び酢酸(10ml)を窒素中130℃で10時間加熱して、濃橙赤色溶液を得た。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を水/ジクロロメタン/メタノール混合物に分配した。紫外/可視分析(エタノール)により、生成物は上層の水層に存在し(λmax=524nm)、マロンアルデヒド出発材料は主に下層の有機層に存在している(λmax=384nm)ことが確認された。水層を真空下で蒸発させ、HPLC(水/0.1%TFA及びアセトニトリル/0.1%TFA溶離液)によって精製した。生成物を含む画分を貯留し、蒸発させ、水溶液から凍結乾燥し、最終的に高真空下で五酸化リンを用いて乾燥して、表題の生成物を得た。赤色の形で収量240mg。
【0084】
紫外/可視(水+0.1%TFA):520nm。
【0085】
MS(MALDI−TOF):実測値627。MH=C2735の計算値627。
【0086】
H−nmr(DO)δ0.65(1H,広幅m)、0.95(1H,広幅m)、1.6(2H,m)、1.7(3H,s)、1.9(4H,m)、2.3(2H,m)、2.7(2H,app t)、3.0(2H,t)、4.1(2H,app t)、6.4(2H,m)、7.2〜7.6(6H,m)、7.8〜8.0(2H,m)、8.15(1H,t)及び8.2(1H,d)。
【0087】
2.3: 2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
2−[(1E,3E)−4−アニリノブタ−1,3−ジエニル]−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(70mg)を、ピリジン(45):酢酸(45):無水酢酸(10)(5ml)の混合物に90℃で溶解した。この溶液に、粗1−(5−カルボキシペンチル)−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネートを20分間隔で分割添加し、ついに紫外/可視分析により、半色素成分(λmax=524、430nm)がCy5色素生成物(λmax=656nm)に完全に変換したことが示唆された。次いで、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をHPLC(RPC18、水/アセトニトリル/TFA)によって精製した。
【0088】
紫外/可視(水+0.1%TFA):656nm。
【0089】
MS(MALDI−TOF):実測値1010。MH=C415717の計算値1009。
【0090】
3. 2−{(1E,3E,5E,7E)−7−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(化合物3)
【0091】
【化22】

1−エチル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート塩(100mg)、及びN−[5−(フェニルアミノ)−2,4−ペンタ−ジエニリデン)アニリン一塩酸塩(60mg)を一緒に、酢酸(5ml)、無水酢酸(5ml)、及びトリエチルアミン(0.5ml)の混合物中120℃で30分間加熱した。次いで、反応混合物に、1−(5−カルボキシペンチル)−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(100mg)、及びピリジン(5ml)を添加し、反応混合物を120℃でさらに30分間加熱した。冷却してすぐに、濃緑色反応混合物を過剰の酢酸エチル(250ml)に注ぎ入れ、得られた固体を濾別し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥した。生成物をHPLC(Vydac タンパク質 & ペプチド C18(250mm×25mm);流量10ml/分;グラジエント 5→15% B、30分;溶離液A=水中0.1%トリエチルアミン、及び溶離液B=メタノール中0.1%トリエチルアミン;検出650nm、次いでグラジエントの変更 2→25% B、30分;溶離液A=水中0.1%TFA、及び溶離液B=アセトニトリル中0.1%TFA)によって精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去した。濃緑色固体の生成物(7mg)が得られた。
【0092】
LC−MS(ES):実測値927。MH=C415414の計算値927。
【0093】
紫外/可視;λmax754nm(PBS緩衝液)。
【0094】
4. 2−{(1E,3E,5E,7E)−7−[5−カルボキシメチル)−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(化合物4)
【0095】
【化23】

4.1: [2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドル−5−イル]酢酸
【0096】
【化24】

4−(カルボキシメチル)フェニルヒドラジン塩酸塩(5g、0.025モル)、及び5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸(5g、0.024モル)を一緒に、酢酸中140℃で5時間加熱し、次いで室温に冷却した。反応混合物を濾過して、粒子を除去し、次いで酢酸を減圧下で除去して、濃茶色残渣を得た。残渣を水に溶解し、再濾過して、濃茶色不純物を除去した。水に溶解させた生成物を、HPLC(Prep AKTA;Phenomenex C18カラム(250mm×50mm);流量100ml/分;グラジエント 0→100% B、30分;溶離液A=水中0.1%TFA、及び溶離液B=アセトニトリル中0.1%TFA;検出220nm)によって精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去し、次いで残渣を凍結乾燥した。錆茶色固体の生成物(4.14g)が得られた。
【0097】
LC−MS(ES+)実測値340。MH=C1622NOSの計算値340。
【0098】
H NMR(DO)δ0.90(m,2H)、1.68(m,5H)、2.23(m,2H)、2.75(m,4H)、3.88(s,2H)、7.49、7.64(dd,2H)、7.64(s,1H)。
【0099】
4.2: 5−(カルボキシメチル)−2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム
【0100】
【化25】

2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドル−5−イル]酢酸(0.89g、2.63ミリモル)、及び酢酸ナトリウム三水和物(0.46g)を、メタノール(30ml)を溶解し、室温で10分間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をメタノール(30ml)に再溶解し、再び溶媒を減圧下で除去し、薄茶色残渣を得た。これに、テトラメチレンスルホン(5ml)、及び1,4−ブタンスルトン(0.67ml、6.56モル)を添加した。反応混合物を、窒素中150℃で6時間加熱した。濃紫色残渣がフラスコの側面の周りに分離する。これを室温に冷却し、上澄みを流し出し、残渣を酢酸エチルで粉砕して、紫色固体を得た。生成物を濾別し、酢酸エチルで洗浄した(高吸湿性材料)。生成物を2%TFAを含有する水に溶解し、12時間放置した。生成物をHPLC(Vydac タンパク質 & ペプチド C18カラム(250mm×25mm);流量;10ml/分;グラジエント 0→25% B、30分;溶離液A=水中0.1%トリエチルアミン、及び溶離液B=メタノール中0.1%トリエチルアミン;検出220nm)によって精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去した。生成物が薄紫色残渣(0.64g)として得られた。
【0101】
LC−MS(ES+):実測値476。M=C2030NOの計算値476。
【0102】
H NMR(DO)δ0.85(m,2H)、1.31(t,24H)、1.58(s,3H)、1.76(m,2H)、1.95(q,2H)、2.12(m,2H)、2.26(m,2H)、2.73(t,2H)、2.96,(t,2H)、3.20(q,18H)、3.78(s,2H)、4.55(t,2H)、7.75、7.78(dd,2H)、7.63(s,1H)。
【0103】
4.3: 2−{(1E,3E,5E,7E)−7−[5−(カルボキシメチル)−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
5−(カルボキシメチル)−2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム(640mg)、及びN−[5−(フェニルアミノ)−2,4−ペンタ−ジエニリデン)アニリン一塩酸塩(125mg)を一緒に、酢酸(5ml)、無水酢酸(5ml)、及びトリエチルアミン(0.5ml)の混合物中120℃で40分間加熱した。次いで、反応混合物に、1−エチル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート塩(825mg(純度30%)、及びピリジン(5ml)を添加し、反応混合物を120℃でさらに40分間加熱した。冷却してすぐに、濃緑色反応混合物を過剰の酢酸エチル(500ml)に注ぎ入れ、得られた固体を濾別し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥した。生成物(950mg)をHPLC(Vydac タンパク質 & ペプチド C18(250mm×25mm);流量;10ml/分;グラジエント 15→30% B、30分;溶離液A=水中0.1%TFA、及び溶離液B=アセトニトリル中0.1%TFA)を使用して必要に応じて精製した。所望の生成物を含む画分を貯留し、溶媒を減圧下で除去した。濃緑色固体の生成物(粗材料150mgから11.7mg)が得られた。
【0104】
LC−MS(ES+):実測値927。MH=C415414の計算値927。
【0105】
紫外/可視;λmax 756nm(PBS緩衝液)。
【0106】
5. 1−ベンジル−2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(化合物5)
【0107】
【化26】

5.1: 1−ベンジル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート塩
2,3−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム(5g、13.9ミリモル)、及び酢酸ナトリウム(3.11g)を、メタノール(100ml)とともに1時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、さらにメタノール(100m1)を添加した。これをロータリーエバポレーションによって除去して、橙色粘性固体を得た。これに、スルホラン(25ml)、及び臭化ベンジル(9.51g、55.6ミリモル、4eq)を添加した。混合物を窒素ガスシール中110℃で終夜攪拌した。冷却した赤色溶液を、攪拌しながら酢酸エチル(1l)に注ぎ入れ、沈殿物を濾別した。沈殿物を多量の酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで真空乾燥した。試料を水に溶解し、逆相TLCによって、0.1%TFA変性アセトニトリル:0.1%TFA変性水(30:70)を使用して分析した。分離によって、生成物(R0.6)及び出発材料(R0.95)が得られた。生成物のスポットは静止するとすぐに赤色になり、第四級化が行われたことが示唆された。収量:8g。
【0108】
5.2: 1−ベンジル−2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
1−ベンジル−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート塩(2g)、1−(5−カルボキシペンチル)−2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(2g)、及びマロンアルデヒドビス−フェニルイミン(2g)を、酢酸:ピリジン:無水酢酸(4.5:4.5:1)(100ml)に溶解した。混合物を90℃で2時間加熱した。混合物は即座に青色/緑色になった。UV測定のために、少試料を水に希釈した。紫外/可視吸収分光により、650nmにおいてCy5の形成を示すピークが観察された。反応混合物を+2℃で終夜貯蔵した。混合物をロータリーエバポレーションにかけて、オイルを得た。これを真空ポンプに数時間かけて、確実に乾固した。粘性固体をアセトニトリル(4回×500m1)で洗浄して、乾燥粉末を得、濾過し、さらにアセトニトリルで洗浄した。固体を真空乾燥した。収量:3.05g。
【0109】
色素を水(7.5ml)に溶解し、濾過し、HPLC(Dynamax C18 42mm×25cm)によって、20→30%アセトニトリル(0.1%TFA)、60分のグラジエントで変性させた水(0.1%TFA)を使用して精製した。流量は20ml/分であった。所望の生成物を含む画分を合わせ、ロータリーエバポレーションにかけて小体積にし、小型ビンに移し、凍結乾燥した。紫外/可視検出は、650nmにおいてであった。収量:132mg。次いで、部分精製した材料を水(7.5ml)に溶解し、濾過し、HPLC(Dynamax C18 42mm×25cm)によって、20−30%アセトニトリル(0.1%TFA)、60分で変性させた水(0.1%TFA)を使用して精製した。流量は20ml/分であった。最終収量103mg。
【0110】
プローブの分析は、消衰係数:156175M−1cm−1、λmax652nm 蛍光発光max:670nm(励起652nm)、及び蛍光純度:99.6%を示した。
【0111】
5.3: 化合物5:NHSエステルの調製
1−ベンジル−2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(5mg)を、DMSO(2.2ml)、及びHSPyU(10mg)を含むDIPEA(80μl)に溶解した。混合物を2時間揺動させた。1mLの乾燥酢酸エチルを入れたSarstedt試験管に、400μlずつ分取した。試験管を15分間遠心し、酢酸エチルをデカンテーションで除いた。分析HPLCにより、生成物を微量の出発材料から分離した。酸の保持時間は22.5分、エステルは31.38分であり、NHSエステルの純度は96.01%であった。
【0112】
6. Cy5色素標識試験。化合物2とCy5(商標)(化合物6)の比較
【0113】
【化27】

6.1: カルボキシ色素からNHSエステルへの変換
別々のSarstedt試験管中で、化合物2及び6(そろぞれ2.5mg)、及びO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU、10mg)を、無水DMF(100μl)とともに混合した。次いで、得られた溶液の両方に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(10μl)を添加した。試験管を封鎖し、ボルテックスし、1時間放置した。この時間の終わりに、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、ボルテックスし、次いで遠心して、NHSエステルを収集した。上澄み液体をデカンテーションし、ペレットを新たな酢酸エチルで洗浄し、真空乾燥した。反応は質量スペクトル(MALDI−TOF)によって確認した。
【0114】
化合物2:C455919の計算値M=1105;実測値M=1104。
【0115】
化合物6(Cy5):C374310の計算値M=753;実測値M=752。
【0116】
6.2: Cy5色素(化合物2及び6)のNHS誘導体によるヒツジγ−グロブリンの標識
ヒツジIgGを、炭酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH9.2)に1mg/mlで溶解し、色素NHSエステルを、無水DMSOに約10mg/mL(250μ1)で溶解した。様々な色素/タンパク質比を得るために、一連の標識実験を実施した。各反応は、500μlの抗体溶液を、0.1〜32.0μlの様々な量の色素NHSエステル溶液と組み合わせて使用した。標識反応を、暗所中、室温で45分間揺動した。遊離色素は、固定相としてSephadex、及び溶離液としてpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによる精製によってコンジュゲートから除去した。化合物2を使用した反応の場合、精製抗体画分を、さらに透析にかけて、確実に非結合色素を完全除去した。
【0117】
6.3: 紫外/可視スペクトルによるコンジュゲートのキャラクタリゼーション
まず、ニートなコンジュゲート溶液について吸収スペクトルを測定した。色素吸光度が装置のリニアレンジ(約1.5AU)を超えた場合、PBSを使用してより希釈された試料を作成し、示度を適切に縮尺した。色素吸収ピーク(約650nm)及び抗体吸光度(280nm)において、吸光度値を記録した。
【0118】
色素/タンパク質比は、標準式を使用して算出した。
【0119】
【数1】

max=色素ピーク波長(約650nm)における吸光度、
ε=色素ピーク波長(約250,000dmモル−1cm−1)における色素の消衰係数、
280=280nm(抗体の吸光度ピーク)における吸光度、
x=色素ピーク消衰係数に比べた280nmにおける色素の消衰係数(結果の数理解析、及び純色素の分光分析によって決定、=0.05)、
εAB=280nmにおける抗体の消衰係数(実験によって、170,000dmモル−1cm−1であると決定)。
【0120】
2つの色素について結果を処理して、(色素/タンパク質比)対(色素−NHSの使用量)のプロットで示した。図1(1A及び1B)に、プロットを示す。2つの色素の標識効率が類似していることが理解できる。
【0121】
コンジュゲート溶液をPBSで(200μlコンジュゲートを20mlに)希釈し、蛍光示度をPerkin Elmer LS−55装置で決定した。励起は、色素ピーク吸光度波長においてであった。680nmにおける発光を記録した。初めの蛍光示度を処理して、吸光度データから決定して、各試料の抗体の実際の濃度を考慮した。したがって、2組のコンジュゲートの示度を一定濃度の抗体に縮尺し、次いで相対蛍光を色素/タンパク質比に対してプロットした。図2。
【0122】
結果から、化合物2とタンパク質IgGとのコンジュゲートは、標準Cy5(化合物6−IgGコンジュゲート)より、多い色素負荷量で明るいことが示唆される。この性能の違いの理由は、相互に密接に結合している場合に色素が凝集を経由して会合する傾向が著しく減少することに由来する。凝集の低下は、2つの要因によって説明することができる。第1に、各色素標識上の負電荷の増大は、電荷−電荷の反発の増大を引き起こし、平面的芳香族系の正常な吸引をπ−πスタッキング相互作用のため阻止するように働く。第2に、新規色素の立体的大きさがより大きくなると、色素分子の緊密な接近を阻止するように働き、さらにスタッキング相互作用を防止する。
【0123】
色素凝集の低下は、コンジュゲートの吸収スペクトルを経由して観察することができる。溶液のシアニン色素の凝集は、主吸収ピークの高エネルギー側ショルダーの吸光度の増大をもたらすことが知られている。この効果は、Cy5(商標)コンジュゲートの吸収スペクトルにはっきりと見ることができ、色素/タンパク質比が増大するにつれてより顕著になる。図3Aを参照のこと。一方、化合物2のコンジュゲートの対応する吸収スペクトルは、このような効果を示さず、コンジュゲートの色素吸収帯は、本質的に色素/タンパク質比から独立しており、スペクトルは重ねることができる。図3Bを参照のこと。
【0124】
7. Cy7色素標識試験。化合物3及び4と、Cy7(化合物7)の比較
本発明のヘプタメチンシアニン色素例の性能を、市販のCy7誘導体(化合物7)と比べた。
【0125】
【化28】

7.1: カルボキシ色素からNHSエステルへの変換
化合物3及び4を、実施例6.1の方法を使用してそのNHSエステル誘導体に変換した。
【0126】
化合物3:C455816の計算値M=1024;実測値M=1024。
【0127】
化合物4:C455816の計算値M=1024;実測値M=1024。
【0128】
7.2: ヘプタメチンシアニン色素のNHS誘導体によるヒツジγ−グロブリンの標識:化合物3、4、及び7
ヒツジIgGを、炭酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH9.2)に1mg/mLで溶解し、色素NHSエステルを、無水DMSOに約10mg/mL(250μ1)で溶解した。様々な色素/タンパク質比を得るために、一連の標識実験を実施した。各反応は、500μlの抗体溶液を、0.5〜16μlの様々な量の色素NHSエステル溶液と組み合わせて使用した。標識反応を、暗所中、室温で45分間揺動した。遊離色素は、固定相としてSephadex、及び溶離液としてpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによる精製によってコンジュゲートから除去した。
【0129】
7.3: 紫外/可視スペクトルによるコンジュゲートのキャラクタリゼーション
まず、ニートなコンジュゲート溶液について吸収スペクトルを測定した。色素吸光度が装置のリニアレンジ(約1.5AU)を超えた場合、PBSを使用してより希釈された試料を作成し、示度を適切に縮尺した。色素吸収ピーク(約750nm)及び抗体吸光度(280nm)において、吸光度値を記録した。
【0130】
色素/タンパク質比は、実施例6で示した標準式を使用して算出した。εは、250,000dmモル−1cm−1、xは、0.04として取り扱った。
【0131】
図4に示すように、PBS中のコンジュゲートの紫外/可視吸光度は、Cy7−1gGコンストラクト内のCy7(化合物7)は、青色シフトしたショルダーの大きさによって示唆されているように、より高い色素/タンパク質比において極めて凝集していることを示している。図4A。化合物3及び4のIgGコンジュゲートは、この凝集特性を発現していないことが実証されている。図4B。
【0132】
7.4: 蛍光によるコンジュゲートのキャラクタリゼーション
様々なヘプタメチンシアニン色素標識コンジュゲートの相対蛍光を測定するために、紫外/可視溶液をさらにPBS緩衝液で希釈した。実施例6.3に記載したように、相対蛍光を測定し、次いで色素/タンパク質比に対してプロットした。図5。結果から、化合物3及び4によるIgGコンジュゲートは、標準Cy7 6−IgGコンジュゲートより、多い色素負荷量で明るいことが示唆される。
【0133】
8. 化合物2によるアミノアリル2’−デオキシウリジン−5’−トリホスフェートの標識
8.1: アミノアリル−dUTPを、炭酸塩緩衝液(10ml、pH9.2)に溶解した。これに、アセトニトリル中N−トリフルオロアセチルアミノヘキサノイルN−ヒドロキシスクシンイミド(2当量)を添加した。これを、室温で4.5時間攪拌した。分析HPLCにより、この反応の終了が示された。次いで、水酸化アンモニウム(0.88S.G.、10ml)を添加し、混合物を終夜攪拌して、アミノヘキサノイル−アミノアリル−dUTPを得た。この生成物を逆相HPLCによって精製した。
【0134】
8.2: オーブンで乾燥させた25mlの丸底フラスコ中で、DMSO(500μl)中アミノヘキサノイル−アミノアリル−dUTP(1mg)、及びジイソプロピルエチルアミン(40μl)を窒素中15分間攪拌した。化合物2 NHSエステル(1mg)をDMSO(300μl)に溶解し、1回分として混合物に添加する。バイアルをDMSO(200μl)ですすぎ、これも添加した。DMAP(約1mg)を添加し、混合物を窒素中、暗所で18時間攪拌した。試料(500μl緩衝液中25μl)を、分析HPLC(Phenomenex Jupiter C18 10μ 25×0.46cm)を使用して、5→30% アセトニトリル、30分間のグラジエントで変性させたpH5.6のリン酸塩緩衝液0.05Mで、一定流量1ml/分で分析した。試料検出は、254nm及び650nmにおける吸光度を使用して行った。クロマトグラムから、エステル及びアミンが消費されると、R15.5分の新規生成物が生じることが示唆されている。生成物を、水(1ml)で希釈し、イオン交換クロマトグラフィー(HiTrap、Q HP 5ml)によって、20−75% 1M炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液、60分間で変性させた0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液で精製した。流量は1ml/分であり、検出は650nm及び254nmにおいてであった。主ピークに対応する画分を合わせ、熱を加えてロータリーエバポレーションにかけ、水に溶解し、凍結乾燥した。
【0135】
9. 化合物2及び5を使用したcDNAの標識
9.1: cDNAプローブ標識
cDNAを、後標識技法によって化合物2及び5を使用して標識した。色素の反応性NHSエステル誘導体をcDNAに結合させて、下記に記載するようにマイクロアレイプローブを生成させた。
【0136】
精製したヒト骨格筋メッセンジャーRNA(1μg)を、アミノアリルデオキシUTP、デオキシリボヌクレオチド、逆転写酵素、及び反応緩衝液の存在下で、オリゴ−dT及びランダムプライマーを使用して、CyScribeポストラベリングキット(GE Healthcare)で概説された標準プロトコルに従って、反応液量20μlにして、42℃、1時間でcDNAに変換した。cDNAをガラスビーズマトリックスに結合させることによって、組み込まれていないヌクレオチド及び緩衝液を合成したcDNAから除去した。アミノアリル−cDNAを水で溶離した。
【0137】
溶離したcDNAを十分に乾燥し、一定量の0.1M重炭酸ナトリウム緩衝液、pH8.5(40μl)に再懸濁し、個々の一定量を化合物2及び5の反応性NHSエステルと混合した。等量のcDNAと、100〜500μgの化合物2及び5をその反応性NHSエステルとして使用した。カップリング反応は、暗所で1時間30分間実施し、続いてガラスビーズマトリックスを使用して、標識cDNAを未反応エステルから精製した。比較の目的で、一定量のcDNAを化合物6(Cy5 NHSエステル)でも標識した。cDNA標識プローブを精製し、下記に記載するように収率を決定した。
【0138】
i)標識cDNAの収量の計算
収量cDNA=DNA Abs260nm×37μg/ml×全プローブ体積(mL)
ii)色素組込み:
【0139】
【数2】

Absmax=色素ピーク波長(650nm)における吸光度。
【0140】
ε=色素ピーク波長における色素の消衰係数(250,000モル−1cm−1)。
【0141】
iii)ヌクレオチド/色素比
【0142】
【数3】

上記の計算により、平均プローブサイズが1000個の塩基であり、cDNA中dNMPの平均分子量が324.5であることが推定される。表5に、標識反応からの結果を示す。
【0143】
【表5】

化合物6の標識効率は、化合物2及び5のどちらよりも高かったが、これは、より多い量の後者の反応性色素を標識混合物に添加することによって克服することができる。化合物5は、おそらく化合物5の改善された水に対する安定性のため、化合物2より高いカップリング効率をもたらした。さらに、650nmにおける色素蛍光最大に隣接する605nmにおけるショルダーピークの吸光度の低下によって示唆されるように、本発明による色素の構造中の複数のスルホネート基の存在は、プローブ凝集を低減させるようである(図6及び7を参照のこと)。これは、650nmにおける最大に隣接する605nmにおいて大きなショルダーピークを示す化合物6−標識cDNAプローブと対照的である(図8)。
【0144】
10. 色素光安定性
化合物2、5、及び6を、シンチレーションバイアル中で、約0.5AU、全体積10mlに希釈した。バイアルを、20℃に温度制御された部屋のライトボックスに配置した。UV吸光度は、間隔をおいて120時間測定した。図9に、結果を示す。これから、発色団構造に結合させた複数のスルホネート基を含むシアニン色素の光安定性は、このような基をより少なく含む色素に比べて向上していることが示唆されている。
【0145】
重複試料も、暗所の点以外は同じ条件下で貯蔵した。これらの試料では、UV吸光度の変化は観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】化合物2及び化合物5について、色素/タンパク質比対NHSエステルの使用量を示すプロット図である。
【図2】ペンタメチンシアニン色素について、一定抗体濃度における相対蛍光強度対色素/タンパク質比のプロット図である。
【図3】低及び高色素/タンパク質比での化合物5及び化合物2のIgGコンジュゲートの吸収スペクトルを示す図である。
【図4】高色素/タンパク質比で化合物3及び4と比べた化合物6のIgGコンジュゲートの吸収スペクトルを示す図である。
【図5】ヘプタメチンシアニン色素の相対蛍光強度対色素/タンパク質比を示すプロット図である。
【図6】化合物2で標識されたcDNAのスペクトルスキャン(200〜700nm)の図である。
【図7】化合物5で標識されたcDNAのスペクトルスキャン(200〜700nm)の図である。
【図8】化合物6で標識されたcDNAのスペクトルスキャン(200〜700nm)の図である。
【図9】化合物2、5、及び6について、間隔をおいて120時間測定されたUV吸光度を示すプロット図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

[式中、
及びR基はZ環構造に結合し、R及びR基はZ環構造に結合し、n=1、2、又は3であり、
及びZは独立に、1環、又は2環縮合芳香族系を完結するのに必要な炭素原子を表し、
、R、R、R、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは、単結合、又は炭素、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される原子を1〜20個連結させた鎖を有するスペーサ基であり、Fは、目標結合基である)であり、
11、R12、R13、及びR14基の1以上は独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸又はホスホン酸であり、kは、1〜10の整数である)から選択され、
及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、C〜Cアルキル、非置換ベンジル又はスルホン酸置換ベンジル、及び−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)から選択され、
、R、R、及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR、R、R、及びR基は独立に、水素及びスルホン酸から選択され、
11、R12、R13、及びR14のいずれかが前記−(CH−W基でない場合、前記残りのR11、R12、R13、及びR14基が独立に、C〜Cアルキルであり、
残りのR基は、水素であり、或いはRの2つが次の基
【化2】

とともに、5又は6個の原子を有する炭化水素環系を形成する]。
【請求項2】
11、R12、R13、及びR14の少なくとも2つが独立に、−(CH−W(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
11及びR12基の1つ、並びにR13及びR14基の1つが、−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)であり、残りのR11又はR12基、及びR13又はR14基が、C〜Cアルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Wがスルホン酸である請求項1乃至3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
−(CH−Wが、−(CH−SOH及び−(CH−SOHから選択される請求項1乃至3のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
及びZが、フェニル及びナフチル部分から選択される請求項1乃至5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
前記目標結合基Fが、目標材料の官能基との反応用の反応性基、又は目標材料の反応性基との反応用の官能基を含む請求項1乃至6のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
前記反応性基が、カルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホ−スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、酸ハライド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン、及びホスホルアミダイトから選択される請求項7記載の化合物。
【請求項9】
前記官能基が、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、イミダゾール、アルデヒド及びケトンを含めてカルボニル、並びにチオホスフェートから選択される請求項7記載の化合物。
【請求項10】
前記目標結合基Fが、親和性タグを含む請求項1乃至6のいずれか記載の化合物。
【請求項11】
前記スペーサ基Eが、
−(CHR’)−Q−(CHR’)
[但し、Qは、−CHR’−、−NR’−、−O−、−CR’=CR’−、−C(O)−NR’−、及び−C(O)−O−から選択され、R’は、水素又はC〜Cアルキルであり、pは、0〜5であり、rは、1〜5である]から選択される請求項1乃至10のいずれか記載の化合物。
【請求項12】
Qが、−CHR’−、−C(O)−NH−、及び
【化3】

[但し、R’は本明細書の上記に定義されている]から選択される請求項11記載の化合物。
【請求項13】
前記−E−F基が、カルボキシペンチル基を含む請求項1乃至6のいずれか記載の化合物。
【請求項14】
下記から選択される請求項1乃至13のいずれか記載の化合物。
i)2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル}−3−メチル−5−スルホ−3−{4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル}−3H−インドリウム−5−スルホネート;
ii)2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;
iii)2−{(1E,3E,5E,7E)−7−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;
iv)2−((1E,3E,5E,7E)−7−[5−(カルボキシメチル)−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル}−1−エチル−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート;及び
v)1−ベンジル−2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3−メチル−5−スルホ−3−(4−スルホブチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドル−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル)−3−メチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項記載の化合物の調製方法であって、
a)式(A)を有する第1の中間体化合物
【化4】

[式中、Z、R、R、R、R11、及びR12は、本明細書の上記に定義されている]と、
b)第1の中間体化合物と同じでも異なってもよく、式(B)を有する第2の中間体化合物
【化5】

[式中、Z、R、R、R、R13、及びR14は、本明細書の上記に定義されている]と、
c)第1の化合物と第2の化合物との結合の形成に適した第3の化合物(C)とを反応させるステップを含み、
但し、R、R、R、R、R、及びR基のうちの少なくとも1つが、−E−F基(式中、E及びFは、本明細書の上記に定義されている)であり、R11、R12、R13、及びR14基のうちの1以上が独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸及びホスホン酸基から選択され、kは、1〜10の整数である)から選択されることを条件とする方法。
【請求項16】
次式の化合物
【化6】

[式中、
及びR基はZ環構造(式中、Zは本明細書の上記に定義されている)に結合し、
、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは及びFは本明細書の上記に定義されている)であり、
11及びR12基の少なくとも1つは、−(CH−W基(式中、Wはスルホン酸及びホスホン酸基から選択され、kは1〜10の整数である)である]。
【請求項17】
−(CH−Wが、−(CH−SOH及び−(CH−SOHから選択される請求項16記載の化合物。
【請求項18】
目標成分の標識方法であって、
i)前記成分を、式(I)の化合物:
【化7】

[式中、
及びR基はZ環構造に結合し、R及びR基はZ環構造に結合し、n=1、2、又は3であり、
及びZは独立に、1環、又は2環縮合芳香族系を完結するのに必要な炭素原子を表し、
、R、R、R、R、R、及びR基の少なくとも1つは、−E−F基(式中、Eは、単結合、又は炭素、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される原子を1〜20個連結させた鎖を有するスペーサ基であり、Fは、目標結合基である)であり、
11、R12、R13、及びR14基の1以上は独立に、−(CH−W基(式中、Wは、スルホン酸又はホスホン酸であり、kは、1〜10の整数である)から選択され、
及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR及びR基は独立に、C〜Cアルキル、非置換ベンジル又はスルホン酸置換ベンジル、及び−(CH−W基(式中、W及びkは本明細書の上記に定義されている)から選択され、
、R、R、及びR基のいずれかが前記−E−F基でない場合、前記残りのR、R、R、及びR基は独立に、水素及びスルホン酸から選択され、
11、R12、R13、及びR14のいずれかが前記−(CH−W基でない場合、前記残りのR11、R12、R13、及びR14基が独立に、C〜Cアルキルであり、
残りのR基は、水素であり、或いはRの2つが次の基
【化8】

とともに、5又は6個の原子を有する炭化水素環系を形成する]と接触させるステップと、
ii)前記蛍光色素を、前記成分に結合させ、それによって前記成分を標識するのに適した条件下で前記成分とインキュベートするステップとを含む方法。
【請求項19】
前記成分が、抗体、脂質、タンパク質、ペプチド、炭水化物;アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、及びカルボキシル、及びチオホスフェート基のうちの1以上を含む、又はそれを含むように誘導体化されたヌクレオチド;アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、カルボキシル、及びチオホスフェート基のうちの1以上を含む、又はそれを含むように誘導体化されたオキシ又はデオキシポリ核酸;微生物材料、薬物、ホルモン、細胞、細胞膜、並びに毒素からなる群から選択される請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−510031(P2007−510031A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537422(P2006−537422)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004573
【国際公開番号】WO2005/044923
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(398048914)ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド (30)
【出願人】(591236068)カーネギー−メロン ユニバーシティ (12)
【氏名又は名称原語表記】CARNEGIE−MELLON UNIVERSITY
【Fターム(参考)】