説明

シアノアダマンチル化合物およびポリマー

【課題】シアノアダマンチル化合物およびポリマーおよびこれを含有するフォトレジスト
【解決手段】シアノアダマンチル化合物、このような化合物の重合単位を含有するポリマーおよびこのようなポリマーを含有するフォトレジスト組成物が提供される。本発明の好ましいポリマーは、250nmよりも短い波長、たとえば248nmおよび193nmで画像形成されるフォトレジスト中に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアノアダマンチル化合物、このような化合物の重合単位を含有するポリマーおよびこのようなポリマーを含有するフォトレジスト組成物に関する。本発明の好ましいポリマーは、シアノアダマンチル単位に加えて、少なくとも1または2つの別個の繰り返し単位を有し、かつ250nmよりも短い波長、たとえば248nmおよび193nmで画像形成されるフォトレジストにおいて使用される。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基体に転写するために使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層は基体の上に形成され、次いでフォトレジスト層は、フォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透過性である領域、および活性化放射線に対して透過性である他の領域を有する。活性化放射線に露光することによって、フォトレジストコーティングの光誘導性化学変換がもたらされ、それによってフォトマスクのパターンがフォトレジストコーティングされた基体に転写される。露光に続いて、フォトレジストを現像して、基体の選択的処理を可能にするレリーフ画像が得られる。
【0003】
現在利用可能なフォトレジストは、多くの用途に適している一方で、現在のレジストは、また顕著な欠点を示す場合がある。特に高性能用途、たとえば4分の1ミクロンよりも小さい構造および10分の1ミクロンよりも小さい構造の高解像度形成においてである。
【0004】
その結果、193nmのような200nmよりも短い露光放射線を含む、短波長放射線で光画像形成することができるフォトレジストに、関心が高まってきた。
【0005】
ノルボルニルのような脂環式基を含有するポリマーは、露光放射線に対するこのような樹脂の比較的低い吸収のために、200nm以下の波長で画像形成されるフォトレジストの樹脂成分として関心が持たれている。米国特許第6,509,134号;T.Wallowら、Proc.SPIE2724(1996年)第334頁;S.J.Choiら、J.Photopolymer Sci.Technology、第10巻(1997年)第521頁;S.J.Choiら、Proc.SPIE3999(2000年)第54頁;米国特許第5,843,624号;第6,306,554号;第6,517,990号;および日本国特許出願公開第2003−122007号を参照せよ。
【0006】
短波長露光の透過性を高めるための努力は、他の重要な性能特性、たとえば、基体接着性および現像後に使用されるエッチング剤に対する耐性に負の影響を与える可能性があり、これは今度は画像解像度を劇的に劣化させる可能性がある。特に、レジストの芳香族(たとえば、フェニルまたはフェノールのような置換フェニル)含有量を減少させ、それによって200nm以下での露光についての透過性を増加させることによって、現像の際に露出した基体表面を処理するために使用されるプラズマエッチング剤に対する耐性不良、下側にある基体に対する接着不良、および不良な(狭い)リソグラフィー処理ウィンドウ、の何れかを示すレジストがもたらされる可能性がある。たとえば、米国特許第6,479,211号を参照せよ。
【0007】
このような短波長フォトレジストの性能を改良するための種々の努力がなされてきた。ある種のシアノ置換基を有するフォトレジスト樹脂のある種の使用が報告されている。米国特許出願公開第2003/0186160号、および第2003/0008502号;および日本国特許出願公開第2003−122007号、および第2004−29542号を参照せよ。シアノ基を有する樹脂を含有する非常に有用なフォトレジストが、シプレイ社(Shipley Company)に譲渡された米国特許第6,692,888号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,509,134号明細書
【特許文献2】米国特許第5,843,624号明細書
【特許文献3】米国特許第6,306,554号明細書
【特許文献4】米国特許第6,517,990号明細書
【特許文献5】特開2003−122007号公報
【特許文献6】米国特許第6,479,211号明細書
【特許文献7】米国特許公開第2003/0186160号明細書
【特許文献8】米国特許公開第2003/0008502号明細書
【特許文献9】特開2004−29542号公報
【特許文献10】米国特許第6,692,888号明細書
【特許文献11】米国特許第6,306,354号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.Wallowら、Proc.SPIE2724(1996年)第334頁
【非特許文献2】S.J.Choiら、J.Photopolymer Sci.Technology、第10巻(1997年)第521頁
【非特許文献3】S.J.Choiら、Proc.SPIE3999(2000年)第54頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、新規なフォトレジスト組成物、特に、短波長、たとえば250nm以下の露光波長で効率よく画像形成することができるレジスト組成物を有することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、新規なシアノ置換アダマンチル化合物、およびこのような化合物の重合した単位を含むポリマーを提供する。本発明者らは、更に、このようなシアノアダマンチルポリマーを含有するフォトレジストを提供する。本発明のフォトレジストは、顕著に向上した性能特性、たとえば向上したリソグラフィー処理ウィンドウ、基体接着性およびプラズマエッチング剤に対する耐性を提供することができる。
【0012】
本明細書中で参照される場合、用語「シアノアダマンチル化合物」、「シアノ置換アダマンチル化合物」または他の同様の用語は、アダマンチル基を含む化合物であって、アダマンチル環が、シアノ部分またはシアノアルキル(たとえば、−(C1−8アルキルCN)などのようなシアノ部分を含む基、によって置換されている化合物を指す。多数の用途のために、シアノ部分が、アダマンチル環炭素原子に直接共有結合しておらず、たとえばシアノアルキル基のように、1、2、3、4つまたはそれよりも多い原子によって、アダマンチル環原子から間隔が空けられている化合物が好ましい。1以上の介在する原子を介してアダマンチル環に共有結合している、このような間隔が空けられたシアノ部分は、一般的に、アダマンチル環に対するペンダントなシアノ基という。
【0013】
本発明の好ましいシアノアダマンチル化合物は、更に、この化合物を重合させることができる官能基を含む。典型的に、このシアノアダマンチル化合物は、炭素−炭素二重結合のような不飽和部分を含む。
【0014】
特に好ましいシアノアダマンチル化合物はアクリレートエステルであり、シアノアダマンチル部分が少なくともエステル基部を含む。
【0015】
更に特に、本発明の好ましいシアノアダマンチル化合物には、下記の式Iが含まれる:
【0016】
【化1】

【0017】
式中、RおよびRは、それぞれ水素またはアルキルであり、そしてRおよびRは、好ましくは水素またはメチルであり、
各Rは、独立に、シアノ、ヒドロキシ、任意に置換されたアルキル(シアノアルキルを含む)、または任意に置換されたヘテロアルキル(シアノヘテロアルキルを含む)であり、少なくとも1つのRは、シアノ、任意に置換されたシアノアルキルまたは任意に置換されたシアノヘテロアルキルであり、
Wは、化学結合またはエステル酸素に結合された第四級炭素を含む基、たとえば、−C(CH−であり、そして
nは1〜4の整数であり、更に典型的にnは1、2または3である。
【0018】
ポジ型フォトレジスト組成物のために使用されるポリマーについて、好ましくはシアノアダマンチル部分は、エステルの光酸(photoacid)誘導開裂を容易にするための第四級アクリレートエステルを提供する。「第四級シアノアダマンチルエステル基」または他の同様の用語の記載は、この基の第四級炭素がアダマンチル部分を含み、エステル酸素に共有結合している、即ち、−C(=O)O−TR(式中、Tは、シアノアダマンチル部分を含む基Rの第四級(水素以外のものによって完全に置換されている)炭素である)であることを意味する。少なくとも多くの場合に、好ましくは、アダマンチル部分の第四級環炭素は、エステル酸素に共有結合しており、これは下記の式II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物によって例示される。しかしながら、エステル酸素に結合している第四級炭素は、また、アダマンチル環に対して環外であってもよく、典型的にこの場合、アダマンチル環は、環外第四級炭素の置換基の一つであり、これは下記の式IVおよびIVaの化合物によって例示される。
【0019】
本発明のポリマーは、好ましくは、248nmおよび193nmで画像形成されるフォトレジストに使用するために適合している。
【0020】
たとえば、248nm用フォトレジストで使用するために、本発明のポリマーには、好ましくは、芳香族基、特にフェノール単位のようなフェニル基が含まれる。ビニルフェノールおよびシアノアダマンチルアクリレートエステルの重合単位を含むコポリマーまたはターポリマーが、248nmで画像形成されるフォトレジストで使用するために好ましいであろう。
【0021】
193nm用フォトレジストで使用するために、本発明のポリマーは、好ましくは、フェニルのような芳香族基を少なくとも実質的に含有しない。193nm用フォトレジストで使用するために好ましいポリマーは、約5モルパーセント未満の芳香族基、更に好ましくは約1モルパーセント未満の芳香族基、更に好ましくは約0.1、0.02、0.04および0.08モルパーセント未満の芳香族基、なお更に好ましくは約0.01モルパーセント未満の芳香族基を含有する。193nm用フォトレジストで使用するために特に好ましいポリマーは、芳香族基を完全に含有しない。芳香族基は200nm以下の放射線を高度に吸収することができ、従ってこのような短波長放射線で画像形成されるフォトレジストで使用されるポリマーについては望ましくない。
【0022】
また、248nmおよび193nmで画像形成するためにふさわしいポリマーを含む本発明の好ましいポリマーは、フッ素原子を少なくとも実質的に含有せずまたは他の面において、いかなるハロゲン原子をも少なくとも実質的に含有しない。特に好ましいポリマーは、フッ素原子を完全に含有せずまたは他の面において、いかなるハロゲン原子をも完全に含有しない。フッ素原子またはハロゲン原子を少なくとも実質的に含有しないポリマーには、ポリマー中の原子の全数を基準として、2または3よりも少ない数量パーセントのフッ素またはハロゲン原子、更に好ましくはポリマー中の原子の全数を基準として、0.5、1または2よりも少ない数量パーセントのフッ素またはハロゲン原子を含有する。
【0023】
本発明のポリマーは、シアノアダマンチル基に加えて単位を含有することができる。たとえば溶解増強剤を本発明のポリマー中に含有することができ、たとえば無水物およびラクトン、たとえば、重合された無水マレイン酸、無水イタコン酸および/またはα−ブチロラクトンをはじめとする。コントラスト増強基が本発明のポリマー中に存在してもよく、たとえばメタクリル酸、アクリル酸および光酸不安定(photoacid labile)エステルとして保護された前記の酸、の重合によって提供される基をはじめとし、たとえば、エトキシエチルメタクリレート、t−ブトキシメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等の反応によって提供される基が挙げられる。プラズマエッチング剤に対する耐性を与えることができるポリマー基も好ましい。たとえば、248nmで画像形成されるフォトレジストで使用されるポリマーのために、エッチング耐性を増強することができる、重合されたスチレン単位が含有されることが好ましいであろう。193nmで画像形成されるフォトレジストで使用されるポリマーのために、重合されたノルボルネン基ならびに炭素脂環式基およびヘテロ脂環式基の両方を含む脂環式基を含有する他の重合された単位を含有することが好ましいであろう。本明細書で参照される場合、用語「炭素脂環式基」は、非芳香族基のそれぞれの環員が炭素であるものを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族でない限り、1以上の環内炭素−炭素二重結合を有することができる。
【0024】
多くのレジスト用途のために、アルコール、アルキルスルフィド、ラクトン、エステルなどの成分として存在することができるような、もう1つのヘテロ原子(特に、N、OまたはS、好ましくはOまたはS)を含有する部分を含有する繰り返し単位を含む本発明のポリマーが好ましい。このようなヘテロ含有基は、ポリマーの光酸不安定部分(たとえば、光酸不安定エステルまたはアセタール基)から適切に区別される。即ち、これらのヘテロ基は、典型的なリソグラフ露光および露光後ベーク処理の間に、開裂反応を受けない。
【0025】
このようなヘテロ含有基は、また、好ましくはポリマー主鎖に融合している酸素−および/または硫黄含有ヘテロ脂環式環であってよい(即ち、ポリマー主鎖の一部としての少なくとも2つのヘテロ脂環式環原子)。このヘテロ脂環式環は、環員として1以上の酸素および/または硫黄原子を有する。多くの好ましい融合ヘテロ脂環式基は、ラクトン若しくは無水物以外であるか、あるいは脂環式環の環員としてケト炭素(即ち、>C=O)を含有しない。たとえば、好ましいものは、任意に置換された3,4−ジヒドロ−2−H−ピラン、たとえば、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2−H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2−H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−プロポキシ−2−H−ピランなど、によって提供することができる基である。
【0026】
本明細書において、環式基(たとえば、炭素脂環式基またはヘテロ脂環式基)がポリマー主鎖に融合していると記載することによって、環式基の2つの環員、典型的に環式基の2つの隣接する炭素原子が、また、ポリマー主鎖の一部でもあることが意味される。このような融合された環は、環内二重結合を有する環式モノマーを重合することによって、たとえば、任意に置換されたノルボルネン基、任意に置換された3,4−ジヒドロ−2−H−ピランまたは他のビニル脂環式基を重合させることによって提供することができる。
【0027】
本発明は、また、それぞれの線が本質的に垂直の側壁および約0.25ミクロン以下の線幅、更に約0.10ミクロン以下の幅を有する線のパターンをはじめとする高解像度レリーフ画像の形成方法を含む、レリーフ画像の形成方法を提供する。本発明は、また、本発明のフォトレジストの適用および画像形成による、処理したマイクロエレクトロニクス半導体ウェーハをはじめとする、エレクトロニクスデバイス物品の製造方法を含む。本発明は、更に、コーティングされた本発明のポリマー、フォトレジストまたはレジストレリーフ画像をその上に有するマイクロエレクトロニクスウェーハ基体をはじめとする基体を含む製造物品を提供する。
【0028】
本発明の他の面を以下に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
前記のように、本発明者らは、新規なシアノ置換アダマンチル化合物およびこのような化合物の重合単位を含有するポリマーを提供する。
【0030】
本発明の好ましい化合物およびポリマーは、シアノ部分環置換基を含有する1以上のアダマンチル部分を含み、ここで、シアノ(−C≡N)官能基自体はアダマンチル基の環炭素に直接共有結合しておらず、シアノ官能基は、1〜約16の他の原子、更に典型的に1〜約6の炭素または他の原子によって、アダマンチル環炭素から間隔が空けられている。即ち、シアノ基は、「ペンダント」であるかまたは前記定義したようにアダマンチル環原子から、1以上の介在する原子によって間隔が空けられている。
【0031】
本発明の好ましい化合物およびポリマーは、また、シアノ部分環置換基が、アダマンチル環の2若しくは4位に、または置換のための2つの利用可能な原子価を有する他のアダマンチル環位置に、存在している1以上のアダマンチル部分を含有する。
【0032】
前記のように、多くのレジスト用途のために、好ましくは、本発明の化合物およびポリマーは、フッ素原子を少なくとも実質的に含有せず若しくは完全に含有せず、またはいかなるハロゲン原子をも少なくとも実質的に含有せず若しくは完全に含有しない。
【0033】
化合物
【0034】
前記のように、本発明の好ましいシアノアダマンチル化合物は、更に化合物の重合を可能にすることができる官能基を含有する。典型的に、シアノアダマンチル化合物は、炭素−炭素二重結合のような不飽和部分を含有し、たとえば、シアノアダマンチルアクリレートエステルが好ましい。
【0035】
本発明の好ましいシアノアダマンチル化合物には、下記の式Iの化合物が含まれる:
【0036】
【化2】

【0037】
式中、R、R、R、Wおよびnは、前記定義された通りである。
【0038】
前記のように、好ましいものは、シアノ基(たとえば、シアノ、シアノアルキル、シアノヘテロアルキル)置換を、置換のための2つの利用可能な原子価を有する2位または4位のアダマンチル環位置、即ち、いかなる置換も存在しない−CH−アダマンチル環原子に有するシアノアダマンチル化合物である。
【0039】
本発明のシアノアダマンチルエステル化合物の場合に、また、単一の2位または4位のアダマンチル環位置が、1)シアノ含有基(たとえば、シアノ、シアノアルキル、シアノヘテロアルキル)および2)エステル部分(即ち、−OC(=O)R)の両方によって置換されていることが好ましい。
【0040】
更に特に、本発明の好ましいシアノアダマンチルエステル化合物には、下記の式IIおよびIIaの化合物が含まれる:
【0041】
【化3】

【0042】
式IIにおいて、RおよびRは、前記式Iにおいて定義された通りであり、そしてRは、シアノ、任意に置換されたシアノアルキルまたは任意に置換されたシアノヘテロアルキルである。
【0043】
【化4】

【0044】
式IIaにおいて、RおよびRは、それぞれ前記式Iにおいて定義されたものと同一であり、そしてRおよびRは、それぞれ独立に、シアノ、ヒドロキシ、任意に置換されたアルキル(シアノアルキルを含む)、または任意に置換されたヘテロアルキル(シアノヘテロアルキルを含む)であり、少なくとも1つのRおよびRは、シアノ、任意に置換されたシアノアルキルまたは任意に置換されたシアノヘテロアルキルである。
【0045】
前記のように、本発明の好ましいシアノアダマンチルエステル化合物には、下記の式IIIおよびIIIaの化合物をはじめとするメタクリレートエステル化合物が含まれる:
【0046】
【化5】

【0047】
式IIIにおいて、W、各Rおよびnは、前記式Iにおいて定義されたものと同一である。
【0048】
【化6】

【0049】
式IIIaにおいて、Wは、前記式Iにおいて定義されたものと同一であり、そしてRは、シアノ、任意に置換されたシアノアルキルまたは任意に置換されたシアノヘテロアルキルである。
【0050】
前記のように、エステル基酸素に結合している第四級炭素は、適切には、シアノアダマンチル基のアダマンチル環に対して環外であってよい。即ち、この場合、アダマンチル環原子は、エステル酸素に直接共有結合していない。たとえば、好ましいものは下記の式IVおよびIVaの化合物である:
【0051】
【化7】

【0052】
式IVにおいて、R、R、Rおよびnは、前記式Iにおいて定義されたものと同一であり、
およびRは、同一または異なる非水素置換基、たとえば、任意に置換されたアルキル、任意に置換された炭素環式アリール、たとえば任意に置換されたフェニル、任意に置換されたヘテロアルキルなどであり、そして
W’は、化学結合のような結合(即ち、W’は存在しない)、任意に置換されたアルキル、任意に置換された炭素環式アリール、たとえば任意に置換されたフェニル、任意に置換されたヘテロアルキルなどである。
【0053】
【化8】

【0054】
式IVaにおいて、RおよびRは、前記式Iにおいて定義されたものと同一であり、
は、シアノ、任意に置換されたシアノアルキル、または任意に置換されたシアノヘテロアルキルであり、そして
W’、RおよびRは、前記式IVにおいて定義されたものと同一である。
【0055】
特に好ましい化合物には、下記の化合物が含まれる:
【0056】
【化9】

【0057】
【化10】

【0058】
【化11】

【0059】
ポリマー
【0060】
前記のように、本発明の好ましいポリマーは、2以上の異なる繰り返し単位を含むことができ、繰り返し単位の少なくとも1つはシアノアダマンチル基を含む。
【0061】
更に特に、好ましいポリマーは、下記の式Vの構造を含むことができる:
【0062】
【化12】

【0063】
式中、AまたはBの少なくとも1つは、シアノアダマンチル基を含み、そして他の1つまたは2つのポリマー基は異なるポリマー単位であってよく、たとえば、光酸不安定部分、たとえば酸−不安定エステルもしくはアセタール基;または無水物もしくはラクトン、たとえば無水マレイン酸、無水イタコン酸および/もしくはα−ブチロラクトン;または他のコントラスト増強基、たとえばメタクリル酸、アクリル酸の重合された単位;またはエッチング耐性増強基、たとえば重合された任意に置換されたスチレン、任意に置換されたα−メチルスチレン、任意に置換されたノルボルネン;または脂環式基を含む他の重合されたエステルなどを含み、
、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または任意に置換されたC1−6アルキルであり、好ましくはR、RおよびRは、それぞれ独立に、水素またはメチルであり、そして
x、yおよびzは、全ポリマー単位を基準として、各繰り返し単位のモルパーセントであり、xおよびyはそれぞれゼロよりも大きく、そしてzはゼロ(C繰り返し単位がポリマー中に存在しない場合)、またはゼロよりも大きくてもよい(C繰り返し単位がポリマー中に存在する場合)。
【0064】
前記のように、好ましいものは、シアノアダマンチルエステル化合物およびこのようなエステルの重合された基を含有するポリマーである。たとえば、好ましいものは下記の式VIの構造を含むポリマーである:
【0065】
【化13】

【0066】
式中、Aはシアノアダマンチル基であり、そしてB、C、R、R、R、x、yおよびzは、それぞれ前記式Vにおいて定義されたものと同一である。
【0067】
前記のように、本発明のポリマーは、シアノアダマンチル基とは異なる種々の基を含有することができる。
【0068】
従って、たとえば、本発明のポリマーは、シアノアダマンチル基を含有しない光酸不安定基を含むことができる。好ましいものは、t−ブチルエステルおよび炭素脂環式光酸不安定エステル基である。このようなエステルの好ましい脂環式基は、少なくとも約125または約130Åの分子体積、更に好ましくは少なくとも約140または160Åの分子体積を有する。約220または250Åよりも大きい脂環式基は、少なくともいくつかの用途においてあまり好ましくない場合がある。本明細書において、分子体積という記載は、最適化された化学結合長さおよび角度を与える標準的コンピュータモデル化によって決定された体積測定サイズを意味する。本明細書において記載された分子体積を決定するための好ましいコンピュータプログラムは、トリポス社(Tripos)から入手可能なAlchemy 2000である。分子サイズのコンピュータに基づく決定の更なる検討については、T Omoteら、Polymers for Advanced Technologies、第4巻、第277−287頁を参照されたい。
【0069】
特に好ましい光酸不安定単位の第四級脂環式基には、下記のものが含まれ、ここで波線はエステル基のカルボキシル酸素への結合を示し、そしてRは、適切に任意に置換されたアルキル、特にC1−8アルキル、たとえばメチル、エチルなどである。
【0070】
【化14】

【0071】
適切な光酸不安定基には、また、アセタール基が含まれ、たとえばこれはビニルエーテル、たとえばエチルビニルエーテルと、ヒドロキシまたはカルボキシ基との反応によって提供することができる。
【0072】
本発明のポリマーは、また、ヘテロアルキル基を含有することができ、この基は、好ましくは、しばしば、重合された任意に置換されたノルボルネンのような炭素脂環式基と組み合わさって、ポリマー主鎖に融合することができる。このような融合したヘテロ脂環式基は、また、シプレイ社に譲渡された米国特許第6,306,354号に開示されている。
【0073】
酸素ヘテロ脂環式単位を含有する本発明の好ましいポリマーは、下記の式Iの構造を含むことができる:
【0074】
【化15】

【0075】
式中、X、Yおよび各Zは、それぞれ独立に、炭素または酸素であり、X、YまたはZの少なくとも1つは酸素であり、そして好ましくはX、YおよびZの2つ以下は酸素であり、
Qは、任意に置換された炭素脂環式環、たとえば、ポリマー主鎖に融合したノルボルニル(即ち、2つのQ環員は、ポリマー主鎖の隣接した炭素である)を表し;脂環式環は適切に約5〜約18の炭素原子を有し、そして適切に単環(たとえば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル)であり、または更に好ましくは、Qは、多環式であり、たとえば、2、3、4もしくはそれより多い、架橋した、融合した、あるいは結合した環を含み、そして置換されたQ基の好ましい置換基には光酸不安定部分、たとえば光酸不安定エステルが含まれ、
各Rは、同一または異なる非水素置換基、たとえば、シアノ;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルカノイル;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルコキシ;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルチオ;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルフィニル;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルホニル;好ましくは1〜約10の炭素原子を有する任意に置換されたカルボキシ(−COOR’(但し、R’はHまたはC1−8アルキルである)のような基を含み、光酸と実質的に非反応性であるエステルを含む);光酸不安定基、たとえば光酸不安定エステル、たとえばtert−ブチルエステルなどであり;
mは、1(融合した5員環を提供する)、2(融合した6員環を提供する)、3(融合した7員環を提供する)または4(融合した8員環を提供する)であり、
nは、0(即ち、R環置換基無し)、1(即ち、1つのR環置換基)から環員の原子価によって許容される最大可能値までの整数であり、好ましくはnは、0、1、2、3、4または5であり、更に好ましくはnは、0、1、2または3であり、
pは、ポリマー中の全単位を基準とした、融合した酸素環単位のモル分率であり、そしてrは、ポリマー中の全単位を基準とした、融合した炭素脂環式環単位のモル分率であり、そしてpはゼロよりも大きく、rはゼロ(この場合、融合した炭素脂環式基は存在しない)、またはゼロより大きい(この場合、ポリマー中に融合した炭素脂環式基が存在する)。
【0076】
本明細書で参照される場合、用語「アルキル」は、分枝鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基ならびに脂環式基の両方を含むことを意図する。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびs−ペンチルが含まれる。好ましいアルキル基は、C−C22アルキル基である。アルキル基には、環状構造が含まれ、基が非芳香族である限り、複数の炭素−炭素結合を含むことができる(即ち、用語アルキルには、脂環式、アルケニルおよびアルキニルが含まれる)。
【0077】
前記のように、「第四級」炭素という記載は、炭素原子が、4つの非水素置換基を有すること(即ち、CRR(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なり、それぞれは水素以外である))を意味する。たとえば、これらの用語第四級の検討については、MorrisonおよびBoyd著、有機化学(Organic Chemistry)、特に第85頁(第3版、Allyn and Bacon)を参照されたい。本発明の化合物およびポリマーの光酸不安定エステルの場合に、第四級炭素は、エステルカルボキシル酸素に直接結合している(即ち、他の介在する原子無しに共有結合している)、即ち、エステル基:−C(=O)−のアンダーラインを付した酸素に結合していることが、しばしば好ましい。
【0078】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」は、たとえばアルキレンを含み、特定の数の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子、たとえばN、OまたはSを有する、分枝鎖、直鎖および環式飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。ヘテロアルキル基は、典型的に、約1〜20の炭素原子および約1、2または3のヘテロ原子、好ましくは約1〜8の炭素原子を有する。好ましいヘテロアルキル基には、下記の基が含まれる。好ましいアルキルチオ基には、1以上のチオエーテル結合および1〜12の炭素原子、更に好ましくは1〜6の炭素原子を有する基が含まれる。好ましいアルキルスルフィニル基には、1以上のスルホキシド(SO)基および1〜12の炭素原子、更に好ましくは1〜6の炭素原子を有する基が含まれる。好ましいアルキルスルホニル基には、1以上のスルホニル(SO)基および1〜12の炭素原子、更に好ましくは1〜6の炭素原子を有する基が含まれる。好ましいアルコキシ基は、1以上のエーテル結合および1〜12の炭素原子、更に好ましくは1〜6の炭素原子を有する。好ましいアミノアルキル基には、1以上の第一級、第二級および/または第三級アミン基ならびに1〜12の炭素原子、更に好ましくは1〜6の炭素原子を有する基が含まれる。
【0079】
本明細書においてシアノアルキル基またはシアノヘテロアルキル基という記載は、1以上の利用可能な位置でシアノ基置換を有する、前記に特定されたようなアルキル基またはヘテロアルキル基を示す。シアノアルキル基またはシアノヘテロアルキル基は、典型的に1、2または3つのシアノ部分、更に典型的には、1または2つのシアノ部分を有する。
【0080】
前記のように、式I、II、IIa、III、IIIa、IVおよびIVaの基、ならびにこれらの式の化合物の重合単位を含有するポリマーを含み、前記の式VおよびVIのポリマーを含む、種々の部分は任意に置換されていてよい。「置換された」置換基は、1以上の利用可能な位置、典型的に1位、2位または3位で、1以上の適切な基、たとえば、シアノ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8アルキルチオ、C1−8アルキルスルホニル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、アルカノイル、たとえばC1−6アルカノイル、たとえばアシルなどによって置換されていてよい。多くの用途のために、前記のようにフルオロまたは他のハロゲン置換はあまり好ましくなく、このようなハロゲン置換は、前記のようにある種の態様において少なくとも実質的に排除される。
【0081】
化合物およびポリマーの合成
【0082】
本発明の化合物およびポリマーは、容易に調製することができる。たとえば、種々のアダマンチル試薬、たとえば、1−ヒドロキシアダマンタン、2−ヒドロキシアダマンタン、2−アダマンタノン、1−アダマンタン酢酸、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタン酢酸および1,3−アダマンタンジカルボン酸は、市販されている。
【0083】
このような化合物を官能化して、重合性シアノアクリレート化合物を得ることができる。たとえば、臭化シアノメチル(CNCHBr)をMgと反応させて、グリニャール試薬を形成し、これを2−アダマンタノンと反応させて、2−メチルシアノ−2−ヒドロキシアダマンチルを得ることができる。このメチルシアノ−ヒドロキシ−アダマンチル化合物を塩化メタクリロイルと反応させて、前記定義されたような式II(式中、Rは水素であり、Rはメチルであり、そしてRは−CHCNである、即ち、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート)の化合物を得ることができる。同様に、メチルシアノ−ヒドロキシ−アダマンチル化合物を塩化アクリロイルと反応させて、前記定義されたような式II(式中、RおよびR1はそれぞれ水素であり、そしてRは−CHCNである)の化合物を得ることができる。
【0084】
3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボニトリルは、たとえば、Russian Journal of General Chemistry(Zhurnal Obshchei Khimiiの翻訳)(2001年)、第71(7)巻、第1121−1125頁、に開示されているような既知の手順によって調製することができる。この化合物は、また、塩化メタクリロイルまたは塩化アクリロイルと反応させて、対応する1−3−シアノアダマンチルアクリレートエステルを提供することができる。
【0085】
他のシアノアダマンチル試薬は、K.Petrovら、Zhurnal Organicheskoi Khimii(1992年)、第28(1)巻、第129−32頁、およびR.Bielmannら、Helvetica Chimica Acta(1982年)、第65(6)巻、第1728−33頁に開示されている。
【0086】
本発明のポリマーは、種々の方法によって調製することができる。一つの適切な方法は付加反応であり、これにはフリーラジカル重合を含むことができ、たとえば、選択したモノマーの反応により、ラジカル開始剤の存在下、不活性雰囲気(たとえば、Nまたはアルゴン)下、加熱温度たとえば約70℃以上において、前記のような種々の単位を提供する。しかしながら、反応温度は、使用する特定の試薬の反応性および反応溶媒(溶媒を使用する場合)の沸点に依存して変化させることができる。適切な反応溶媒には、たとえば、テトラヒドロフラン、乳酸エチルなどが含まれる。任意の特定のシステムについての適切な反応温度は、この開示に基づいて当業者によって経験的に容易に決定することができる。種々のフリーラジカル開始剤を使用することができる。たとえば、アゾ化合物、たとえばアゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルを使用することができる。過酸化物、ペルエステル、過酸および過硫酸塩も使用することができる。
【0087】
本発明のポリマーを提供するために反応させることができる他のモノマーは、当業者に認識され得る。たとえば、光酸不安定単位を提供するために適切なモノマーには、たとえば、エステル基のカルボキシ酸素上に適切な基置換(たとえば、第三級脂環式基、t−ブチルなど)を含有するメタクリレートまたはアクリレートが含まれる。無水マレイン酸が、融合した無水物ポリマー単位を提供するための好ましい試薬である。無水イタコン酸も、無水物ポリマー単位を得るための好ましい試薬であり、好ましくは、この場合、無水イタコン酸を、たとえば、重合の前にクロロホルムで抽出することによって精製しておく。ビニルラクトン、たとえばα−ブチロラクトンも好ましい試薬である。
【0088】
本発明のポリマーを得るために重合させることができるいくつかの適切なビニル(環内二重結合)複素環式モノマーには、下記のものが含まれる:
【0089】
【化16】

【0090】
適切には、本発明のポリマーには、全ポリマー単位を基準として少なくとも約1または5モルパーセントのシアノアダマンチル基、更に好ましくは、全ポリマー単位を基準として少なくとも約10、15、20、25、30または40モルパーセントのシアノアダマンチル基が含有される。
【0091】
好ましくは、本発明のポリマーは、約800または1,000〜約100,000、更に好ましくは約2,000〜約30,000、なお更に好ましくは約2,000〜15,000または20,000の重量平均分子量(Mw)を有し、約3以下の分子量分布(Mw/Mn)、更に好ましくは約2以下の分子量分布を有する。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定される。
【0092】
好ましくは、本発明のポリマーは、約800または1,000〜約100,000、更に好ましくは約2,000〜約30,000、なお更に好ましくは約2,000〜15,000または20,000の重量平均分子量(Mw)を有し、約3以下の分子量分布(Mw/Mn)、更に好ましくは約2以下の分子量分布を有する。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定される。
【0093】
フォトレジスト組成物
【0094】
ポジ型フォトレジスト配合物中に使用される本発明のポリマーには、十分な量の光発生酸不安定エステルもしくはアセタール基、または他のコントラスト増強基が含有され、所望のようにレジストレリーフ画像の形成を可能にするものであるべきである。たとえば、このような酸不安定エステル基の適切な量は、ポリマーの全単位の少なくとも1モルパーセント、更に好ましくは約2〜50モルパーセント、なお更に典型的には全ポリマー単位の約3〜20、30または40モルパーセント。代表的な好ましいポリマーについて下記の実施例を参照されたい。
【0095】
前記のように、本発明のポリマーは、フォトレジスト組成物、特に化学増幅ポジ型レジストにおける樹脂バインダー成分として非常に有用である。本発明のフォトレジストには、一般的に、光活性成分および前記のようなポリマーを含む樹脂バインダー成分が含まれている。
【0096】
樹脂成分は、レジストのコーティング層を、水性アルカリ性現像液で現像可能にするために十分な量で使用されるべきである。
【0097】
本発明のレジスト組成物には、また、活性化放射線に露光させた際に、レジストのコーティング層内に潜像を発生させるために十分な量で適切に使用される光酸発生剤(「PAG」)が含まれている。193nmおよび248nmでの画像形成で画像形成するための好ましいPAGには、下記の式の化合物のようなイミドスルホネートが含まれる。:
【0098】
【化17】

【0099】
式中、Rは、カンファ、アダマンタン、アルキル(たとえば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、たとえばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。
【0100】
特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0101】
スルホネート化合物、特にスルホン酸塩は、また、適切なPAGである。193nmおよび248nmでの画像形成のための2種の適切な試薬は、下記のPAG1およびPAG2である:
【0102】
【化18】

【0103】
このようなスルホネート化合物は、上記のPAG1の合成が詳述されている、欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示されているようにして調製することができる。
【0104】
上記のカンファスルホネート基以外のアニオンで錯体化された、上記の2種のヨードニウム化合物も適切である。特に、好ましいアニオンとしては、式RSOのアニオンが挙げられ、式中、Rは、アダマンタン、アルキル(たとえば、C1−12アルキル)および、ペルフルオロアルキル、たとえばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。
【0105】
他の既知のPAGもまた、本発明のレジスト中に使用することができる。特に193nmでの画像形成のために、増強された透過性を与えるために、上記のイミドスルホネートのような、芳香族基を含有しないPAGが一般的に好ましい。
【0106】
本発明のレジストの好ましい任意の添加物は、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を増強させることができる、添加塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテートである。193nmで画像形成されるレジストのために、好ましい添加塩基は、ヒンダードアミン、たとえばジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。添加塩基は、比較的少量、たとえば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントの量で適切に使用される。
【0107】
本発明のフォトレジストには、また、他の任意の物質が含有されていてよい。たとえば、他の任意の添加物には、皺防止剤(anti−striation agent)、可塑剤、速度増強剤などが含まれる。このような任意の添加物は、典型的にフォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。ただし比較的高濃度で、たとえば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量パーセントの量で存在していてよい充填材および染料を除く。
【0108】
本発明のレジストは、当業者によって容易に調製することができる。たとえば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分を、適切な溶媒、たとえば、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび3−エトキシエチルプロピオネート中に溶解させることによって調製することができる。典型的に、組成物中の固形分含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の約5重量パーセントから35重量パーセントの間で変化する。樹脂バインダーおよび光活性成分は、フィルムコーティング層ならびに良好な品質の潜像およびレリーフ画像の形成を得るために十分な量で存在させるべきである。たとえば、レジスト成分の代表的な好ましい量について下記の実施例を参照されたい。
【0109】
本発明の組成物は、一般的に既知の手順に従って使用される。本発明の液体コーティング組成物は、たとえば、スピニング、浸漬、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって、基体に適用される。スピンコーティングの場合、コーティング溶液中の固形分含有量は、使用する特定のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングのために許容される時間の長さに基づいて、所望のフィルム厚を提供するように調節することができる。
【0110】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストでコーティングすることを含むプロセスにおいて従来より使用される基体に適切に適用される。たとえば、組成物は、マイクロプロセッサおよびその他の集積回路コンポーネントの製造用の、シリコンウェーハまたは二酸化ケイ素でコーティングされたシリコンウェーハの上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウム砒素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども、適切に使用される。
【0111】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、これを、好ましくはフォトレジストコーティングに粘着性がなくなるまで、加熱して溶媒を除去することによって乾燥させる。その後、これを、従来的な方法でマスクを通して画像形成する。露光は、フォトレジスト系の光活性成分を有効に活性化して、レジストコーティング層内にパターン化された画像を作成するために十分なものであり、更に特に、露光エネルギーは、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的に、約1〜100mJ/cmの範囲内である。
【0112】
前記のように、本発明のレジスト組成物のコーティング層を、好ましくは、短い露光波長、特に300nm以下および200nm以下の露光波長によって光活性化させる。前記のように、193nmが特に好ましい露光波長である。しかしながら、本発明のレジスト組成物は、より高い波長でも適切に画像形成することができる。
【0113】
露光に続いて、この組成物のフィルム層を、好ましくは、約70℃〜約160℃の範囲の温度でベークする。その後、フィルムを現像する。露光したレジストフィルムを、極性現像液、好ましくは水性ベースの現像液、たとえば第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、たとえばテトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、好ましくは0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド;様々なアミン溶液、たとえばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンまたはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、たとえばジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環式アミン、たとえばピロール、ピリジンなどを使用することによって、ポジ型作用させる。一般的に、現像は当該技術分野で認められた手順に従う。
【0114】
基体上のフォトレジストコーティングの現像に続いて、現像された基体を、当該技術分野で既知の手順に従って、たとえば、レジストが除去された基体領域を化学的エッチングまたはメッキすることによって、レジストが除去されたこれらの領域を選択的に処理することができる。マイクロエレクトロニクス基体の製造、たとえば、二酸化シリコンウェーハの製造のために、適切なエッチング剤には、ガスエッチング剤、たとえば、ハロゲンプラズマエッチング剤、たとえば塩素またはフッ素ベースのエッチング剤、たとえばプラズマストリームとして適用されるClまたはCF/CHFエッチング剤が含まれる。このような処理の後で、既知の剥離手順を使用して、処理した基体からレジストを除去することができる。
【0115】
本明細書に記載した全ての文献は、参照してここに組み込まれる。下記の限定されない実施例は、本発明の例示である。
【実施例】
【0116】
実施例1〜2
シアノアダマンチルモノマーの合成
【0117】
実施例1
2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレート
[式II:R=H;R=CH;R=−CHCN]の合成
【0118】
窒素下の三つ口フラスコに、100mLのトルエンおよび1gの臭化シアノメチル(CNCHBr)を装填し、氷浴で冷却する。僅かにモル過剰のMgをトルエンに添加し、混合物を、グリニャール試薬の生成が完結するまで撹拌する。次いで、モル当量の2−アダマンタノンを、反応混合物に添加し、撹拌を30分間以上続け、この間に室温にまで暖める。次いで、反応混合物を氷浴で再び冷却し、僅かにモル過剰の塩化メタクリロイルを滴下により添加する。酸クロリド添加の完結時に、氷浴を取り去り、撹拌を、反応が完結するまで室温で続ける。得られる2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートを単離し、抽出および/またはクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0119】
実施例2
3−シアノ−アダマン−1−イルメタクリレート
[式III:R=H;R=CH;R=−CN]の合成
【0120】
3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボニトリルを、Russian Journal of General Chemistry(2001年)、第71(7)巻、第1121−1125頁に開示されているようにして調製する。一般的に、上記の実施例1の手順に従って、3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボニトリルのアクリレートエステルを生成し、そして標題化合物を調製する。従って、窒素下の三つ口フラスコに、100mLのトルエンおよび1gの3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボニトリルを装填し、氷浴で冷却する。僅かにモル過剰の塩化メタクリロイルを滴下により添加する。酸クロリド添加の完結時に、氷浴を取り去り、撹拌を、反応が完結するまで室温で続ける。得られる3−シアノ−アダマン−1−イルメタクリレートを単離し、抽出および/またはクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0121】
実施例3〜8
本発明のポリマーに有用なケージおよびラクトンモノマーの合成
【0122】
実施例3
エチルフェンコールメタクリレートの合成
【0123】
【化19】

【0124】
使用した物質
【0125】
【表1】

【0126】
手順
全ての反応ガラス器具およびニードルを乾燥させ、使用前に乾燥Nでフラッシュし、そして反応を窒素雰囲気下で実施した。
【0127】
1)添加漏斗およびマグネチックスターラーを取り付けた2Lの三つ口RBFの中に、182.31gの2−エチルフェンコールおよび600mLの無水THFを添加した。得られた無色の溶液を、氷−水浴で冷却した。
2)n−BuLi溶液(440mL)を、ダブルチップド(double−tipped)ニードルによって添加漏斗に移し、次いで冷却したTHF溶液に30分間かけて添加した。添加したとき、得られた黄色みを帯びた溶液を氷−水浴中に保ち、2時間撹拌した。
3)塩化メタクリロイル(112.4mL、104.54g)を、20分間かけて滴下により添加した。得られた黄色懸濁液を室温にまで暖め、そして一晩撹拌した。
4)LiCl塩を濾別した。濾液を氷−水浴中で冷却し、その間に200mLの予冷却したDI水を添加した。得られた溶液を1.5時間撹拌し、有機相を単離し(抽出を助けるために、いくらかのエーテルまたはTHFを添加することができる)、DI水(2×200mL)、次いで飽和NaCO溶液(2×200mL)、次いで再びDI水(3×200mL)で洗浄し、そして無水MgSOで乾燥させた。
5)僅かに黄色の溶液を、ロータリーエバポレーター(浴温度を35度より低く保持した)で濃縮して、透明で僅かに黄色の液体生成物を得た。収率>90%。
6)粗製EFMAを、ブフナー中の予備コンディショニングしたシリカに通すフラッシュ濾過により(ヘキサンを使用して)精製して、黄色およびメタクリル酸無水物不純物を除去することができる。モノマーは、ヘキサンのみで溶離され、ロータリーエバポレーターで蒸発させた(rotovapped)とき無色の液体として初期の溶離画分の中に現れる。生成物は、NMRによって純粋であると判定された。
【0128】
実施例4
2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート
【0129】
【化20】

【0130】
使用した物質
【0131】
【表2】

【0132】
手順
全ての反応ガラス器具およびニードルを乾燥させ、使用前に乾燥Nでフラッシュし、そして反応を窒素雰囲気下で実施した。
【0133】
1)添加漏斗およびマグネチックスターラーを取り付けた2Lの三つ口RBFの中に、メチルリチウム溶液(786mL)を、ダブルチップドニードルによって移し、そして氷−水浴で冷却した。
2)2−アダマンタノン(150.22g)を無水THF(600mL)中に(0.5時間かけて)溶解させ、得られた無色の溶液を、ダブルチップドニードルによって添加漏斗に移し、次いで冷却したMeLi溶液に30分間かけて添加した。添加したとき、得られた白色懸濁液を室温にまで暖め、そして2時間撹拌した。
3)次いで白色懸濁液を氷−水浴を使用して冷却し、塩化メタクリロイル(112.4mL、104.54g)を、20分間かけて滴下により添加した。白色固体が消失し、新しい白色(LiCl)懸濁液が生成した。得られた白色懸濁液を室温にまで暖め、そして一晩撹拌した。
4)LiCl塩を濾別した。濾液を氷−水浴中で冷却し、その間に200mLの予備冷却したDI水を添加した。得られた溶液を1.5時間撹拌し、有機相を単離し(抽出を助けるために、いくらかのエーテルまたはTHFを添加することができる)、DI水(2×200mL)、次いで飽和NaCO溶液(2×200mL)、次いで再びDI水(3×200mL)で洗浄し、そして無水MgSOで乾燥させた。
5)僅かに黄色の溶液を、ロータリーエバポレーター(浴温度を35度より低く保持した)で濃縮して、透明で僅かに黄色の液体生成物を得た。収率>90%。
6)粗製MAMAを、ブフナー中の予備コンディショニングしたシリカに通すフラッシュ濾過により(ヘキサンを使用して)精製して、黄色およびメタクリル酸無水物不純物を除去することができる。このモノマーは、ヘキサンのみで溶離され、ロータリーエバポレーターで蒸発させたとき無色の液体として初期の溶離画分の中に現れる。生成物は、NMRによって純粋であると判定された。
【0134】
実施例5
8−メチルトリシクロデカニルメタクリレートの合成
【0135】
【化21】

【0136】
100mLのヘキサン中の125mLの1.4Mメチルリチウム(エチルエーテル中)の溶液を、氷−水浴中の三つ口丸底フラスコの中にデカンテーションした。これに、ヘキサン中の24.00gのトリシクロ[5.2.1.0]デカン−8−オンの溶液を滴下により添加した。添加した後、反応混合物を0℃で4時間撹拌した。次いで、100mLのヘキサン中の16mLの塩化メタクリロイルの溶液を、0℃で滴下により添加した。添加した後、反応混合物を同じ浴で一晩(16時間)撹拌した。白色塩を濾過した後、有機層を水で3回(3×300mL)洗浄した。次いで、洗浄した有機層を無水MgSOで乾燥させた。有機溶媒をロータリーポンプによって除去して、粗製標題モノマー(23.5g)を得た。モノマーを、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した(純度>98%、シリカゲル、ヘキサンによる)。H NMR:6.05(1H)、5.50(1H)、1.95(3H)、1.65(3H)、2.25−0.85(14H)。
【0137】
実施例6
テトラヒドロ−2−オキソ−2−H−フラン−4−イルメタクリレートの合成
【0138】
メタクリレートモノマー、即ちテトラヒドロ−2−オキソ−2−H−フラン−4−イルメタクリレートを、市販の化合物から1工程エステル化によって合成した。100mLの乾燥THF中の(S)−(−)−α−ヒドロキシ−(−ブチロラクトン(41.77g、0.419モル)およびトリエチルアミン(45.32g、0.449モル)の混合物を、乾燥窒素雰囲気下で氷−水浴中の三つ口丸底フラスコの中に入れた。これに、200mLの乾燥THF中の蒸留した塩化メタクリロイル(45mL、0.461モル)の溶液を、ゆっくり添加した(約1時間)。添加の間に、白色沈殿(トリエチルアミン塩)が反応混合物中に観察された。反応混合物を一晩(約18時間)撹拌した。得られた混合物を濾過し、そして濾液をロータリーポンプによって濃縮した。濃縮した混合物を、500mLの酢酸エチルに添加し、水(2×500mL)で2回洗浄した。有機層を無水MgSOで乾燥させ、そしてロータリーポンプによって濃縮した。カラムクロマトグラフィー(中性酸化アルミニウム、300g、ヘキサン次いでヘキサン/EtOAc=1/1)による粗製モノマーの精製。モノマーの純度は、約95%(NMRによる)で、収率は52%である。1H NMR(CDCl,ppm):6.20(1H)、5.70(1H)、5.55および4.95(1H)、4.55(dd,1H)、4.4(d,1H)、2.90(dd,1H)、2.70(d,1H)、1.95(3H)。13C NMR(CDCl,ppm):174.1、166.5、135.5、126.8、72.9、70.0、34.5、17.9。
【0139】
実施例7
α−ブチロラクトンメタクリレート合成
【0140】
ガス入口、温度計、オーバーヘッドスターラーおよび125mLの圧力均一化滴下漏斗を取り付けた250mLの3N−RBフラスコに、26.5gのトリエチルアミンを添加した。トリエチルアミンを、水/氷浴を使用して5℃まで冷却した。トリエチルアミンが5℃になったとき、メタクリル酸を20〜25分間かけて滴下により添加した。混合物は約10℃まで発熱した。添加が完結した後、水/氷浴を取り去った。溶液を撹拌しながら(20分間)、滴下漏斗を取り外し、きれいな125mLの圧力均一化滴下漏斗で置き換えた。ブロモラクトン(41.25g)/THF(62.5mL)を、30分間かけて滴下により添加した。混合物を約18℃から約30℃まで加温し、沈殿が生成した。この反応物を、油浴/ホットプレートを使用して55℃まで加熱し、55℃で16時間保持した。16時間加熱した後、この混合物を、水/氷浴を使用して20℃まで冷却した。真空濾過によって、固体(44.5g)を除去した。濾液を分圧下に33〜34℃で減圧させた。得られた暗琥珀/褐色油を、90gの塩化メチレンで希釈した。この溶液を、塩化メチレンで予備コンディショニングしたシリカゲルのプラグ(180g、ベイカー(Baker)40μmフラッシュクロマトグラフィーパッキング)の上にゆっくり注いだ。この粗製混合物を、重力によってシリカゲルプラグの中に通過させた。粗製混合物がシリカゲルプラグの表面を通過したとき、塩化メチレンの新鮮な部分をプラグの上にゆっくり注いだ。塩化メチレンを、減圧を使用してシリカゲルを通過させて引いた。塩化メチレンがシリカゲルプラグの表面を通過したとき、真空を取り除き、次いで塩化メチレンの次の部分をプラグの上にゆっくり注いだ。この手順を、全ての生成物が抽出されるまで続けた。全濾液は850mLであった。[生成物は、アリコートをTLCプレートの上にスポットし、次いで短UVで照明することによって検出した]。この橙色濾液に、36gの活性炭を添加した。この混合物を1.5時間撹拌し、次いでセライト(Celite)プラグ(塩化メチレンで予備コンディショニングした)を通して濾過した。炭/セライトを(2×100mL、1×50mLの塩化メチレン)で洗浄した。次いで、濾液を2×200mLのD.I.水で洗浄した。層を分離し、有機層を100gの硫酸ナトリウムで乾燥させた。この混合物を15〜30分間撹拌した。硫酸ナトリウムを除去し、2×50mLの塩化メチレンで洗浄した。薄黄色濾液(1.2L)を、33〜34℃で減圧下でストリッピングすると、36.4gの薄橙色油が残った。収率85.6%。
【0141】
実施例8
ピナニルメタクリレートの合成
【0142】
【化22】

【0143】
使用した物質
【0144】
【表3】

【0145】
手順
全ての反応ガラス器具およびニードルを乾燥させ、使用前に乾燥Nでフラッシュし、そして反応を窒素雰囲気下で実施した。
【0146】
1)添加漏斗およびマグネチックスターラーを取り付けた500mLの三つ口丸底フラスコの中に、15.43gのシス−ピナン−2−オールおよび200mLの乾燥CHCl(CaH上で一晩撹拌し、次いで蒸留し、そして活性化モレキュラーシーブ上で貯蔵した)を添加した。得られた無色の溶液を、氷−水浴で冷却した。
2)トリエチルアミン(12.14g)を、添加漏斗により、冷却したCHCl溶液に10分間かけて添加した。添加した後、得られた溶液をドライアイス/アセトン浴(−67℃)中に保持した。
3)塩化メタクリロイル(13.07g)のCHCl(30mL)溶液を、20分間かけて滴下により添加した。得られた橙色を帯びた懸濁液を室温にまで暖め、そして2時間撹拌した。
4)塩化物塩を濾別した。濾液を飽和NaCO溶液(2×200mL)、次いでDI水(3×200mL)で洗浄し、そして無水MgSOで乾燥させた。
5)僅かに黄色のCHCl溶液を、ロータリーエバポレーター(浴温度を35度より低く保持した)で濃縮して、透明で僅かに黄色の液体生成物を得た。収率=79%。生成物は、NMRによって純粋であると判定された。
【0147】
実施例9〜10
ポリマー合成
【0148】
下記のモノマーを、実施例9および実施例10の合成で使用した。
【0149】
【化23】

【0150】
【化24】

【0151】
実施例9
CMAM/α−GBLMA/HAMAターポリマーの合成
【0152】
18.94gのCMAM、12.43gのα−GBLMAおよび8.63gのHAMAを、40mLのTHF中に溶解した。混合物を、窒素で20分間バブリングすることによって脱気した。2.10gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を20mLのTHF中に溶解し、そして窒素入口および凝縮器を取り付けた250mLのフラスコの中に装填した。窒素で20分間バブリングすることによって脱気した後、V601溶液を含有するリアクターを、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.444mL/分の速度でリアクターの中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、重合混合物を更に1時間75℃で撹拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給および1時間撹拌)の後、重合混合物を室温にまで冷却した。1.5Lのイソプロピルアルコール混合物中で沈殿を実施した。濾過した後、ポリマーを、真空オーブン内で、50℃で48時間乾燥させて、約80%の収率を得た(Mw約10〜15KおよびMWD約1.7)。
【0153】
実施例10
CMAM/α−GBLMA/CNNMAターポリマーの合成
【0154】
19.50gのCMAM、12.79gのα−GBLMAおよび7.71gのCNNMAを、40mLのTHF中に溶解した。混合物を、窒素で20分間バブリングすることによって脱気した。2.16gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチレート)を20mLのTHF中に溶解し、そして窒素入口および凝縮器を取り付けた250mLのフラスコの中に装填した。窒素で20分間バブリングすることによって脱気した後、V601溶液を含有するリアクターを、75℃に保持した油浴中に入れ、そしてモノマー溶液を、0.444mL/分の速度でリアクターの中に供給した。モノマー供給を3時間実施した。モノマー供給が完結した後、重合混合物を更に1時間75℃で撹拌した。合計で4時間の重合時間(3時間供給および1時間撹拌)の後、重合混合物を室温にまで冷却した。1.5Lのイソプロピルアルコール混合物中で沈殿を実施した。濾過した後、ポリマーを、真空オーブン内で、50℃で48時間乾燥させて、約80%の収率を得た(Mw約10〜15KおよびMWD約1.7)。
【0155】
実施例11〜12
フォトレジスト調製およびリソグラフ処理
【0156】
実施例11
下記の成分を下記の量で混合することによって、フォトレジスト組成物を調製する。
【0157】
【表4】

【0158】
この配合物において、光酸発生剤は、トリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネートであり、塩基性添加物は、乳酸テトラブチルアンモニウムであり、界面活性剤はR−08(商品名 MEGAFAC R−08、フルオロアクリレートエステルコポリマー)であり、そして溶媒は2−ヘプタノンである。
【0159】
配合したレジストを、シリコンウェーハ上、有機ポリマー層の上にスピンコートする。下層である有機層を、215℃で90秒間硬化させることによって、予め架橋させる。適用したレジストコーティング層を、125℃で60秒間ソフトベークし、次いでフォトマスクを通して193nmの放射線で露光する。画像形成されたレジスト層を、105℃で60秒間露光後ベークし、次いで0.26Nの水性アルカリ性現像液による60秒間の処理によって現像する。
【0160】
実施例12
下記の成分を下記の量で混合することによって、フォトレジスト組成物を調製する。
【0161】
【表5】

【0162】
この配合物において、光酸発生剤は、トリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネートであり、塩基性添加物は、乳酸テトラブチルアンモニウムであり、界面活性剤はR−08(商品名 MEGAFAC R−08、フルオロアクリレートエステルコポリマー)であり、そして溶媒は乳酸エチルである。
【0163】
配合したレジストを、シリコンウェーハ上にスピンコートする。適用したレジストコーティング層を、125℃で60秒間ソフトベークし、次いでフォトマスクを通して193nmの放射線で露光する。画像形成されたレジスト層を、105℃で60秒間露光後ベークし、次いで0.26Nの水性アルカリ性現像液による60秒間の処理によって現像する。
【0164】
本発明の上記の説明は、単にその例示であり、特許請求の範囲に記載したような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変形および修正を行うことができることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダマンチル部分を含むポリマーであって、該アダマンチル部分が、該アダマンチル部分の2または4環位にシアノ部分(ここでシアノ部分は−(C1−8アルキルCN)である)を有するポリマー。
【請求項2】
アダマンチル部分が、該アダマンチル部分の2環位にシアノ部分を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
アダマンチル部分が、該アダマンチル部分の4環位にシアノ部分を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
ポリマーが芳香族基を含まない、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
ポリマーがフッ素原子を含まない、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーが光酸不安定基を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
アダマンチル部分の2または4環位にシアノ部分(ここでシアノ部分は−(C1−8アルキルCN)である)を有するアダマンチル部分を含むポリマーであって、芳香族基及びフッ素原子を含まず、かつ光酸不安定基を含むポリマー。
【請求項8】
アダマンチル部分が、該アダマンチル部分の2環位にシアノ部分を有する、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
アダマンチル部分が、該アダマンチル部分の4環位にシアノ部分を有する、請求項7に記載のポリマー。

【公開番号】特開2013−28820(P2013−28820A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−243503(P2012−243503)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2005−63253(P2005−63253)の分割
【原出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】