説明

システム、システム構築方法、管理端末、プログラム

【課題】カメラに設定されたIPアドレスと設置場所の組を正確かつ容易に把握する。
【解決手段】
管理端末と、携帯機器と、カメラと、を備える。携帯機器は、カメラの近隣に存在するとき、携帯機器の位置情報および一意に生成した識別子をネットワークを介して管理端末へ送信し、識別子を示す情報を映像として表示し、カメラは、携帯機器が表示する、識別子を示す情報を含む映像を撮影し、識別子を示す情報を含む映像を管理端末へネットワークを介して送信し、管理端末は、カメラから送信された映像から識別子を抽出し、抽出した識別子と携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、カメラに付与されたIPアドレスと位置情報とを対応付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、システム構築方法、管理端末、プログラムに関し、特に、監視カメラを用いたこれらの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔にある監視センタなどから、IPネットワークを介して映像を参照することが可能なIPネットワーク対応の監視カメラがある。このようなIPネットワーク対応監視カメラのなかには、ネットワークを介して監視カメラの発見、監視カメラ機器情報の収集、操作、映像参照等を可能にするためのプラグアンドプレイ機能を備えるものが存在する。
【0003】
このような機能を実行するためには、まず初めに、IPネットワーク対応監視カメラに対して、適切なIPアドレスを設定する必要がある。IPアドレスを設定する為には、通常、静的アドレス設定と動的アドレス設定の2種類の方法が考えられる。静的アドレス設定の場合、IPネットワーク対応監視カメラに対して、監視カメラ設置位置にて設置作業者が、あるいは、事前に管理者等が、手動で重複の無いようにIPアドレスを設定する。また、動的アドレス設定の場合、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)(非特許文献1)などを利用することによって、DHCPクライアント機能を備えたIPネットワーク対応監視カメラがネットワークに接続されると、管理者側の用意したDHCPサーバからIPアドレスが割り当てられる。
【0004】
設置場所において設置作業者がIPアドレスの静的アドレス設定を行う場合、設置作業者に一定の専門知識と一連のアドレス設定操作を実施する時間と手間が必要となる。また、事前に管理者等がIPアドレスの静的アドレス設定を行う場合、監視カメラに対して重複の無いようにIPアドレスを設定した後、設置作業者に正しい設置場所と対応するIPアドレスを伝え、設置作業者は、監視カメラのIPアドレスの確認を行いながら、事前に定められた適切な場所に設置しなければならない。
【0005】
一方、DHCPなどを利用した動的アドレス設定を行う場合には、監視カメラに対する事前の設定は必要なく、設置作業者は、任意の監視カメラを任意の監視カメラ設置位置に設置できる。しかし監視カメラ設置後、管理者側には、監視カメラを設置した場所とDHCPなどにより付与されたIPアドレスの対応関係がわからず、どのIPアドレスが付与された監視カメラの操作や映像の参照を行えばよいかを把握できず、作業に困難が生じる。
【0006】
このような問題に対して、例えば特許文献1では、自身の位置情報を取得できる機能を備えた監視カメラを用いることによって、任意の監視カメラを、指定された監視カメラ設置位置群の中から、任意の監視カメラ設置位置に設置後、管理者側に位置情報と監視カメラのIDを伝送することによって、管理者側が監視カメラの設置位置と監視カメラの映像を参照するための識別子を把握する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-285585号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Dynamic Host Configuration Protocol、March 1997、RFC2131
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の文献に記載の技術においては、カメラに位置情報を取得するための機能を備える必要があるため、カメラのコストが上昇してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、カメラに設定されたIPアドレスと設置場所の組を正確かつ容易に把握することができるシステム、システム構築方法、管理端末、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。即ち、管理端末と、管理端末とネットワークを介して接続される携帯機器と、管理端末とネットワークを介して接続されるカメラと、を備える。携帯機器は、カメラの近隣に存在するとき、携帯機器の位置情報および一意に生成した識別子をネットワークを介して管理端末へ送信し、識別子を示す情報を映像として表示し、カメラは、携帯機器が表示する、識別子を示す情報を含む映像を撮影し、識別子を示す情報を含む映像を管理端末へネットワークを介して送信し、管理端末は、カメラから送信された映像から識別子を抽出し、抽出した識別子と携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、カメラに付与されたIPアドレスと位置情報とを対応付けて記憶する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の監視カメラシステムによれば、カメラに設定されたIPアドレスと設置場所の組を正確かつ容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る監視カメラシステム1の構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る携帯機器4のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る携帯機器4の機能ブロック図である。
【図4】本実施形態の携帯機器4の携帯機器処理の流れを示すフロー図である。
【図5】本実施形態の管理端末7の管理端末処理の流れを示すフロー図である。
【図6】本実施形態の監視カメラシステム1における特定のユースケースにおける携帯機器4と監視カメラ5と管理端末7で行われる通信と処理の流れを示すインタラクション図である。
【図7】本実施形態に係る監視カメラ5の機能ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る管理端末7の機能ブロック図である。
【図9】情報管理テーブル90を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である監視カメラシステム1について説明する。
【0015】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る監視カメラシステム1の構成例を示す図である。
【0016】
本実施形態の監視カメラシステム1には、データ通信網2と、設置作業者3と携帯機器4と監視カメラ5と監視カメラ設置位置6と管理端末7と管理者8が含まれている。監視カメラ5は、監視カメラ設置位置6に設置され、データ通信網2に接続し、データ通信網2を介して管理端末7と相互に通信可能である。
【0017】
データ通信網2は、例えば、携帯電話網や、あるいは、無線、有線を含むLAN(Local Area Network)、または、LANを相互に接続して構成されるインターネット網等からなる。
【0018】
設置作業者3は、携帯機器4を所持し、任意の監視カメラ5を事前に計画された監視カメラ設置位置6に設置する作業を行う。
【0019】
携帯機器4は、無線、あるいは有線でデータ通信網2、または、別のネットワークを経由して管理端末7と通信可能である。携帯機器4は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)、可搬性の高いパーソナルコンピュータなどである。
【0020】
監視カメラ5は、無線、あるいは有線でデータ通信網2に接続可能で、DHCPクライアント等の動的アドレス設定機能を有し、監視カメラ発見のための機器探索プロトコルや、監視カメラの機器情報提供、ネットワークを介した各種操作、映像の配信までを行うプラグアンドプレイ機能を備えている。
【0021】
監視カメラ設置位置6は、監視対象領域に対して事前に計画された監視カメラ5の設置場所である。
【0022】
管理端末7は、監視カメラ5のプラグアンドプレイ機能を利用するための機能を備え、データ通信網2を介して、監視カメラ5のIPアドレスを、マルチキャスト等を利用した監視カメラ発見のための機器探索プロトコルによって把握し、把握した各IPアドレスが付与された監視カメラの機器情報を取得、各種操作を実行でき、かつ、各監視カメラ5からの映像を受信し、画面に表示することができる。また、DHCPサーバの機能を備え、DHCPクライアントの機能を備えた監視カメラ5に対し、IPアドレスを付与する。また、管理端末7は、一台、または複数台の機器から構成され、例えば、パーソナルコンピュータや、サーバ装置、セットトップボックスとモニタを組み合わせたシステムなどである。
【0023】
管理者8は、監視カメラシステム1の全体を把握し、各監視カメラ5を操作、送信される映像を参照する一人、または複数の管理、監視担当者である。
【0024】
図2は、本実施形態に関わる携帯機器4のハードウェアの構成例を示す図である。携帯機器4は、携帯機器4の全体の制御を司るCPU20と、データやプログラムを記憶するRAM(Random Access Memory)21およびROM(Read Only Memory)22と、データ通信網2に対してデータを送受信するネットワークインターフェース23と、接続される表示部27に情報を表示するための制御を行うグラフィック制御部24とデータを記録、削除可能な二次記憶部25と、携帯電話網に接続し、携帯電話網を介して管理端末7に接続することができる携帯網ネットワークインターフェース26と、画面を通じて様々な情報を表示できる表示部27とGPS(Global Positioning System)などを利用して、自身の位置情報を取得することができる位置情報取得部28とを有している。携帯機器4の形態によっては、データを記録、削除可能な二次記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であっても良く、また、携帯電話網に接続し、携帯電話網を介して管理端末7に接続することができる携帯網ネットワークインターフェース26は備えてなくても良い。
【0025】
図3は、本実施形態に係る携帯機器4の機能ブロックを示す図である。携帯機器4は、通信処理部300と、位置情報取得処理部301と、識別子生成処理部302と、完了通知受付部303と、表示処理部304からなる。通信処理部300は、携帯機器4が、携帯機器4のネットワークインターフェース23や携帯網ネットワークインターフェース26を用い、データ通信網2等を介して、管理端末7に接続している場合に、携帯機器4と管理端末7との間のデータの送受信を行う。また、後述する位置情報取得処理部301と識別子生成処理部302から渡される情報を対応付け、管理端末7へ送信する機能を持つ。
【0026】
位置情報取得処理部301は、携帯機器4の位置情報取得部28によって取得できる該携帯機器4の位置情報を取得し、該位置情報を、通信処理部300に渡す。
【0027】
識別子生成処理部302は、数列や文字列、バーコードや二次元バーコード、模様等、重複の無い一意の識別子を生成することができる。この識別子は、位置情報取得処理部301によって取得した位置情報を元に生成しても良い。また、識別子の中に、該位置情報を復元できる状態で含めても、含めなくても良い。生成された識別子は、通信処理部300と後述する表示処理部304に渡す。
【0028】
完了通知受付部303は、携帯機器4のネットワークインターフェース23や携帯網ネットワークインターフェース26によって、データ通信網2等を介して、管理端末7からの完了通知を、通信処理部300が受信した場合に、後述する表示制御部304に処理が終了した旨、表示するよう通知し、各処理の終了処理を行う。
【0029】
表示処理部304は、識別子生成処理部302から渡された識別子を画面に表示するよう処理を行う。また、完了通知受付部303から、処理が終了した旨通知された場合、識別子の表示を終了させ、処理が完了した旨、画面、音声等を通じて、設置作業者3に通知するよう処理を行う。
【0030】
なお、上記各処理部300〜304は、二次記憶部25やROM22に格納されているプログラムが、RAM21に展開され、ネットワークインターフェース23や携帯網ネットワークインターフェース26、グラフィック制御部24、位置情報取得部28の機能を利用しながら、CPU20によって実行されることにより、具現化する。また、後述する各図で説明する携帯機器4の処理動作も、上記と同様、CPU20が必要なプログラムを読み出して各処理部に必要な制御を行うことで具現化される。
【0031】
図7は、本実施形態に関わる監視カメラ5のハードウェア構成例を示す図である。監視カメラ5は、監視カメラ5の全体の制御を司るCPU70と、データやプログラムを記憶するRAM(Random Access Memory)71およびROM(Read Only Memory)72と、データ通信網2に対してデータを送受信するネットワークインターフェース73と、後述する撮像部75から入力された映像信号等をデジタルデータに変換し、種々のデータ処理を専門に行う映像処理部74と、レンズなどを用いて外部の映像を信号として取得することができる撮像部75とを有している。また、監視カメラ5の形態によっては、データを記録、削除可能な二次記憶部等があってもよい。なお、監視カメラ5のROM72には、設定不要で管理端末7に映像配信までを行うことができるプラグアンドプレイ機能や、DHCPサーバからIPアドレスを取得し、自信にIPアドレスを付与することができるDHCPクライアント機能を実現するプログラムが含まれており、このプログラムがRAM71に展開され、CPU70にて実行することにより、これらの機能を具現化する。また、後述する各図で説明する監視カメラ5の処理動作も、上記と同様、CPU70が必要なプログラムを読み出して各処理部に必要な制御を行うことで具現化される。
【0032】
図8は、本実施形態にかかわる管理端末7のハードウェア構成例を示す図である。管理端末7は、管理端末7の全体の制御を司るCPU80と、データやプログラムを記憶するRAM(Random Access Memory)81およびROM(Read Only Memory)82と、データ通信網2に対してデータを送受信するネットワークインターフェース83と、接続される表示部86に情報を表示するための制御を行うグラフィック制御部84とデータを記録、削除可能な二次記憶部85とを有しており、画面を通じて様々な情報を表示できる表示部86が接続されている。なお、管理端末7の二次記憶部85には、設定不要で監視カメラ5に対する接続から映像の受信までを行うプラグアンドプレイ機能や、DHCPクライアントに対して適切なIPアドレスを付与することができるDHCPサーバ機能を実現するプログラムが含まれており、このプログラムがRAM81に展開され、CPU80が必要なプログラムを読みだして実行することにより、これらの機能を具現化する。また、管理端末7の二次記憶部85には、後述する情報管理テーブル90が記録、保存されている。また、後述各図で説明する管理端末7の処理動作も、上記と同様、CPU80が必要なプログラムを読み出して各処理部に必要な制御を行うことで具現化される。
【0033】
図9は、管理端末7の二次記憶部85に記録、保存される情報管理テーブル90を示す図である。情報管理テーブル90は、管理端末7が各携帯端末5からデータ通信網2を介して取得することができる各携帯端末5の一意の識別子と位置情報の組みを記録する識別子情報92と位置情報93の項目と、携帯端末5と管理端末7との間で行われる後述する処理によって把握することができる各携帯端末5のIPアドレスを記録するIPアドレス情報91の項目をもつ。識別子情報92には、直接、識別子の情報を記録してもよいし、識別子の情報を参照するためのディレクトリ、ファイル名等の情報でもよい。また、位置情報93の項目には、各携帯端末5から送信された位置情報が、経度、緯度の組み等として記録される。
【0034】
(システム処理)
以下、本実施の形態に係る携帯機器4と管理端末7における処理の詳細について説明する。これにより、管理端末7が、監視カメラ5の位置情報と、該監視カメラ5に付与されたIPアドレスの対応関係を把握する方法を明らかにする。
【0035】
===携帯機器処理===
図4は、各監視カメラ設置位置6で、設置作業者3によって行われる、携帯機器4における、位置情報と生成した識別子を、データ通信網2等を介して、管理端末7に対して通知する携帯機器処理400の流れを説明する図である。携帯機器処理400は、監視カメラ5を各監視カメラ設置位置6に設置し、監視カメラ5を起動した後、監視カメラのレンズ直近で実施される。
【0036】
S401において、位置情報取得処理部301は、位置情報取得部28を利用して、該携帯機器4が現在存在する位置情報を取得し、位置情報を通信処理部300に渡した後、S402に処理を移行する。
【0037】
S402において、識別子情報生成処理部302は、数列、文字列、バーコード、二次元バーコード等、重複の無い一意の識別子を生成し、生成した識別子の情報を表示処理部304と、通信処理部300に渡した後、S403に処理を移行する。このとき、識別子を生成するに当たって、S401において、位置情報取得処理部301が取得した位置情報を用いて、該位置情報を復元可能、あるいは、復元できない状態で、一意の識別子を生成しても良い。
【0038】
S403において、通信処理部300は、S401とS402において、位置情報取得処理部301と識別子生成処理部302から渡された位置情報と、生成した一意の識別子情報を対応付け可能な形式で、ネットワークインターフェース23や携帯網ネットワークインターフェース26を用い、データ通信網2を介して、管理端末7へ送信し、S404へ処理を移行する。
【0039】
S404において、表示処理部304は、S402において生成された一意の識別子を、グラフィック制御部24を用い、表示部27に表示し、S405に処理を移行する。表示部24に識別子が表示されたことを確認した設置作業者3は、設置した監視カメラ5のレンズに向かって、表示部24を提示する。
【0040】
S405において、完了通知受付部303は、管理端末7から、データ通信網2等を介して、ネットワークインターフェース23や携帯網ネットワークインターフェース26に完了通知が届き、通信処理部300で受信するまで待機する。完了通知を受信した場合、完了通知受付部303は、表示処理制御部に、完了した旨表示をするよう働きかけ、一連の処理を終了させる。
【0041】
以上により、携帯機器4が、データ通信網2等を介して、監視カメラ設置位置6において設置した監視カメラ5の位置情報と、生成した一意の識別子情報を、管理端末7に対して伝達する処理の流れを示した。
【0042】
===管理端末処理===
図5は、管理端末7における、各監視カメラ設置位置6において携帯機器4から、データ通信網2等を介して、送信された位置情報と一意の識別子情報を取得し、該監視カメラ設置位置6に設置された監視カメラ5から配信される映像を利用することによって、該監視カメラ5のIPアドレスと該監視カメラ5が設置された監視カメラ設置位置6の位置情報を対応づけるための管理端末処理500の流れを説明する図である。
【0043】
S501において、管理端末7は、携帯機器4の通信処理部300から、データ通信網2等を介して、位置情報と識別子情報を受信した後、図9に示した情報管理テーブル90のように記録、保存し、S502に処理を移行する。
【0044】
S502において、管理端末7は、各監視カメラ5それぞれのIPアドレスを把握するためにプラグアンドプレイプロトコルを実行する。プラグアンドプレイプロトコルの処理では、管理端末7は、マルチキャスト等を利用したデータ通信網2に対する一斉問い合わせの送信を行い、それに対する各監視カメラ5からの応答を受信する。管理端末7は、受信した応答における送信元IPアドレスを参照することにより、各監視カメラ5のIPアドレスを把握し、処理をS503に処理を移行する。また、引き続き実行されるプラグアンドプレイプロトコルにより、取得したIPアドレスの各監視カメラ5それぞれに個別に問い合わせを行い、映像配信を受けるための配信用IPアドレス、ポートなどを含む各種機器情報を取得する。
【0045】
S503において、管理端末7は、S502によって取得したデータ通信網2に接続された監視カメラ5のIPアドレスの中から、新規にデータ通信網2に接続された監視カメラ5のIPアドレスを選択し、S504に処理を移行する。
【0046】
S504において、管理端末7は、S503で選択したIPアドレスを持つ監視カメラ5に接続し、該監視カメラ5の映像を参照し、S505に処理を移行する。
【0047】
S505において、管理端末7は、S504において参照した映像に、S501において受信した識別子が含まれているか否かを、管理端末7による画像処理機能により判定する。この判定は管理端末7を操作している管理者8による目視で行っても良い。該識別子が参照した映像に含まれていると判定された場合はS506に処理を移行し、含まれていないと判定された場合はS503に処理を移行する。
【0048】
即ち、図4のS404で説明したように、監視カメラ5のレンズに携帯機器4の表示部24がかざされている場合には、表示部24に表示された一意の識別子が数列、文字列、バーコード、二次元バーコード等の形で表示されているため、この識別子が映像に含まれているか否かを公知の画像処理方法により判定することが出来る。公知の画像処理方法とは、たとえば、識別子が数列や文字列である場合は、OCR(Optical Character Recognition)技術などであり、バーコードや二次元バーコードである場合は、OMR(Optical Mark Recognition)技術を活用したものなどがある。
【0049】
S501において受信した識別子と、S505において映像から抽出した識別子とが一致した場合にはS506に処理を移行し、一致しない場合にはS503に処理を移行する。
【0050】
S506において、管理端末7は、S503において選択したIPアドレスと、S505において参照した映像に含まれていると判定した識別子と対応するS501において受信した位置情報を対応付けて、図9で示した情報管理テーブル90に記録、保存し、S507へ処理を移行する。つまり、S501において受信した識別子と、S505において映像から抽出した識別子とが一致していれば、それは取りも直さず新たに設置された監視カメラ5から送信されたIPアドレスと携帯機器4から送信された位置情報とが正確に対応付いているということになる。 S507において、管理端末7は、データ通信網2等を介して、携帯機器4の通信処理部300を経由し、完了通知受付部303に、管理端末処理が終了したこと示す終了通知を送信し、管理端末処理が終了する。
【0051】
以上により、管理端末7が、データ通信網2等を介して、携帯機器4から受信した位置情報と識別子情報の組を利用し、監視カメラ5の配信映像中に含まれる識別子の映像を利用することによって、監視カメラ5のIPアドレスと位置情報の対応付けを行う処理の流れを示した。 本実施例により、設置作業者は、アドレスの設定作業などを行う必要がなく、任意の監視カメラを任意の監視カメラ設置位置に設置することができ、また、管理者側はアドレスの設定に関する事前の設定作業等が不要で、容易に監視カメラに付与されたIPアドレスと監視カメラの設置場所の対応関係を把握することができる。これにより、監視カメラシステムの構築、更新、増設、拡張が容易に行える。
【0052】
(システム処理の具体例)
図6を用いて、図1、図4、図5を参照しながら、携帯機器4がデータ通信網2等を介して、監視カメラ設置位置6に存在する該携帯機器4の位置情報と、該携帯機器4が生成した一意の識別子を管理端末7に送信し、また、該携帯機器4が生成した一意の識別子を表示した該携帯機器4の画面を監視カメラ5が写し出している映像が管理端末7に配信されることによって、該携帯機器4から送信された該識別子と、該監視カメラ5が配信した映像の中に含まれる識別子を比較することが可能となり、管理端末7が、該監視カメラ5のIPアドレスと該監視カメラ5が設置された監視カメラ設置位置6の対応関係を把握するまでの処理の具体例を示す。
【0053】
本例では、前提条件として、監視カメラシステム1を構築するに当たり、既に監視カメラ5bと監視カメラ5cと監視カメラ5dは、それぞれ監視カメラ設置位置6bと監視カメラ設置位置6cと監視カメラ設置位置6dに設置作業完了済みで、管理端末7は、各監視カメラ5b〜5dのIPアドレスと、各監視カメラ設置位置6b〜6dの対応関係を把握済みであり、監視カメラ5aが、設置作業者3により、監視カメラ設置位置6aに設置されるとする。以降、設置作業者3が監視カメラ5aの物理的な設置作業を行うところから処理の流れを説明する。
【0054】
===新規監視カメラ設置作業===
設置作業者3は、任意の監視カメラ5を、事前の設計段階で計画されている監視カメラ設置位置6aに持参し、監視カメラ5の設置台等に設置し、電源ケーブルやデータ通信網2に対して有線接続する場合は、ネットワークケーブルなどのケーブル接続作業等を行う。監視カメラ設置位置6aに設置完了した任意の監視カメラ5を、以降、監視カメラ5aとする。
【0055】
監視カメラ5aは電源投入され、S601により起動処理を行い、S602へ処理を移行する。
【0056】
監視カメラ5aは、S602により、無線、あるいは有線でデータ通信網2に電気的、物理的に接続し、S603へ処理を移行する。
【0057】
監視カメラ5aは、S603により、DHCPクライアントの機能等によって、IPアドレスを取得、自身のIPアドレスとして設定し、S604へ処理を移行する。
【0058】
監視カメラ5aは、S604において、プラグアンドプレイプロトコルに基づく問い合わせがくるまで待機する。管理端末7等から、プラグアンドプレイに基づく問い合わせを受けた場合、S605へ処理を移行する。
【0059】
===携帯機器識別子表示画面提示作業===
設置作業者3は、監視カメラ5aの電源投入を行った後、監視カメラ5aを設置した監視カメラ設置位置6aにおいて、携帯機器4を操作し、該携帯機器4に携帯機器処理400を実行させる。
【0060】
携帯機器4は、S401において、該携帯機器4が存在する監視カメラ設置位置6aの位置情報を取得し、S402へ処理を移行する。
【0061】
携帯機器4は、S402において、数列や文字列、バーコードや二次元バーコード等で表される一意の識別子を生成し、S403へ処理を移行する。
【0062】
携帯機器4は、S403において、S401で取得した位置情報とS402において生成された識別子の情報を、データ通信網2等を介して、管理端末7に送信し、S404へ処理を移行する。
【0063】
携帯機器4は、S404において、S402にて生成した識別子を、該携帯機器4の画面に表示し、該識別子を画面に表示したまま、S405に処理を移行する。
【0064】
設置作業者3は、該携帯機器4の画面に識別子が表示されていることを確認し、該携帯機器4の画面を、監視カメラ5aのレンズに向かって提示する。
【0065】
===監視カメラシステム連携処理===
管理端末7は、S501において、携帯機器4がS403にて送信する該携帯機器4の位置情報と、該携帯機器4が生成した一意の識別子情報を受信するまで待機し、該データを受信した場合、S502へ処理を移行する
管理端末7は、S502において、データ通信網2に対して、プラグアンドプレイプロトコルを実行する。監視カメラ5aは、プラグアンドプレイプロトコルにおける監視カメラ発見のためのメッセージ等をS604において受信し、S605において、該監視カメラ5aに付与されているIPアドレスによって応答を行う。他の監視カメラ5b、5c、5dも、S701において、同様にプラグアンドプレイプロトコルにおける監視カメラ発見のためのメッセージ等を受信し、S702において、該監視カメラ5b、5c、5dのそれぞれに付与されているIPアドレスによって応答を行う。
【0066】
管理端末7は、S503において、応答のあった監視カメラ5a、5b、5c、5dの中から、図9に示した情報管理テーブル90のIPアドレス情報91等を参照、比較することによって、新規の監視カメラ5aを特定し、監視カメラ5aのIPアドレスを選択、S504へ処理を移行する。
【0067】
管理端末7は、S504において、S503にて選択した新規の監視カメラ5aのIPアドレスに対して、映像配信要求を行う。監視カメラ5aは、S606において映像配信要求を受信し、現在、監視カメラ5aが映し出している映像を、該管理端末7に対して配信する。これにより、管理端末7は、該監視カメラ5aが配信する映像を参照することができ、S505へ処理を移行する。
【0068】
管理端末7は、S505において、S504で参照することができる映像の中に含まれている携帯機器4の画面に表示されている識別子の情報と、S501にて携帯機器4からデータ通信網2等を介して受信し、図9に示した情報管理テーブル90中の識別子情報92に保存された識別子の情報を、映像比較処理機能等により比較する。比較した結果、識別子の情報が一致していると判定された場合、S503において把握した新規の監視カメラ5aのIPアドレスと、S501において、携帯機器4から送信された位置情報が対応することを把握でき、S506へ処理を移行する。
【0069】
管理端末7は、S506において、S505で把握することができた監視カメラ5aのIPアドレスと、監視カメラ5aの設置場所である監視カメラ設置位置6aの場所を示す位置情報を対応付け、図9の情報管理テーブル90のIPアドレス情報91に追記、記憶し、S507へ処理を移行する。
【0070】
管理端末7は、S507において、S501にて受信した位置情報と識別子を送信した携帯機器4の画面を提示している監視カメラ5aのIPアドレスと、該監視カメラ5aの監視カメラ設置位置6aの位置情報を把握できたため、携帯機器4に対し終了通知を、データ通信網2等を介して送信し処理を終了する。携帯機器4は、S405において、該終了通知を、データ通信網2等を介して受信し、処理を終了する。
【0071】
以上により、管理端末7は、監視カメラ5aが設置されている監視カメラ設置位置6aの位置情報と、該監視カメラ5aに付与されているIPアドレスの対応関係を把握することができた。これにより、例えば、各監視カメラ5が設置されている監視カメラ設置位置6と、監視カメラ5のIPアドレスを正確に対応付けることが出来る。
【0072】
(変形例)
なお、本実施形態の携帯機器4の識別子生成処理部302では、一意の識別子を生成するが、識別子の中に、該携帯機器4の位置情報取得処理部301が取得した該携帯機器4の位置情報を、管理端末7で復元可能な状態で含めても良い。その場合、該携帯機器4は、位置情報取得処理部301で取得した位置情報と、識別子生成処理部302において生成した識別子の両方を、通信処理部300によりデータ通信網2を介して管理端末7に送信する必要はなく、該識別子のみを管理端末7に送信すればよい。その場合、管理端末7は、予め定められた方法により、該携帯機器4より取得した識別子に含まれる該携帯機器4の位置情報を復元する機能を備える必要がある。これにより、携帯機器4と管理端末7との間でやり取りするデータ量を削減することが可能である。
【0073】
また、本実施形態の管理端末7における管理端末処理500のS503では、新規に発見した監視カメラ5のIPアドレスをひとつ選択し、S504からS505を実行しているが、S503において、新規に発見した監視カメラ5の全てのIPアドレスを選択し、S504において、該各監視カメラ5の映像の配信を受け、管理端末7にて一括参照し、S505において、一括参照している該各監視カメラ5の配信映像内の携帯機器4の画面に表示されている識別子と、S501により取得した識別子情報との比較を行っても良い。管理端末7が、複数の該各監視カメラ5の映像を同時に一括して参照する性能を備えていれば、一台一台監視カメラ5を切り替えてS503からS505の処理を繰り返すよりも早く管理端末処理500を実行することが可能である。 以上説明したように、本発明の実施形態に記載した技術によれば、設置作業者は、アドレスの設定作業などを行う必要がなく、任意の監視カメラを任意の監視カメラ設置位置に設置することができ、また、管理者側はアドレスの設定に関する事前の設定作業等が不要で、容易に監視カメラに付与されたIPアドレスと監視カメラの設置場所の対応関係を把握することができる。これにより、監視カメラシステムの構築、更新、増設、拡張が容易に行える。
【符号の説明】
【0074】
1 監視カメラシステム
2 データ通信網
3 設置作業者
4 携帯機器
5 監視カメラ
6 監視カメラ設置位置
7 管理端末
8 管理者
20 CPU
21 RAM
22 ROM
23 ネットワークインターフェース
24 グラフィック制御部
25 二次記憶部
26 携帯網ネットワークインターフェース
27 表示部
28 位置情報取得部
70 CPU
71 RAM
72 ROM
73 ネットワークインターフェース
74 映像処理部
75 撮像部
80 CPU
81 RAM
82 ROM
83 ネットワークインターフェース
84 グラフィック制御部
85 二次記憶装置
86 表示部
300 通信処理部
301 位置情報取得処理部
302 識別子生成処理部
303 完了通知受付部
304 表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理端末と、前記管理端末とネットワークを介して接続される携帯機器と、前記管理端末とネットワークを介して接続されるカメラと、を備えるシステムにおいて、
前記携帯機器は、前記カメラの近隣に存在するとき、前記携帯機器の位置情報および一意に生成した識別子をネットワークを介して前記管理端末へ送信し、前記識別子を示す情報を映像として表示し、
前記カメラは、前記携帯機器が表示する、前記識別子を示す情報を含む映像を撮影し、前記識別子を示す情報を含む映像を前記管理端末へネットワークを介して送信し、
前記管理端末は、前記カメラから送信された映像から前記識別子を抽出し、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、前記カメラに付与されたIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記管理端末は、ネットワークに新たなカメラが接続された場合には、前記新たに接続されたカメラに対し、前記カメラに付与されるIPアドレスをネットワークを介して送信することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記管理端末は、ネットワークに新たに接続されたカメラのIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のシステムにおいて、
前記管理端末は、ネットワークに複数の新たなカメラが接続された場合には、前記それぞれの新たなカメラのIPアドレスとそれぞれの位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のシステムにおいて、
前記管理端末は、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致しない場合には、前記カメラに付与されたIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶しないことを特徴とするシステム。
【請求項6】
管理端末と、前記管理端末とネットワークを介して接続される携帯機器と、前記管理端末とネットワークを介して接続されるカメラと、を備えるシステムのシステム構築方法において、
前記携帯機器は、前記カメラの近隣に存在するとき、前記携帯機器の位置情報および一意に生成した識別子をネットワークを介して前記管理端末へ送信し、前記識別子を示す情報を映像として表示し、
前記カメラは、前記携帯機器が表示する、前記識別子を示す情報を含む映像を撮影し、前記識別子を示す情報を含む映像を前記管理端末へネットワークを介して送信し、
前記管理端末は、前記カメラから送信された映像から前記識別子を抽出し、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、前記カメラのIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム構築方法。
【請求項7】
請求項6に記載のシステム構築方法において、
前記管理端末は、ネットワークに新たなカメラが接続された場合には、前記新たに接続されたカメラに対し、前記カメラに付与されるIPアドレスをネットワークを介して送信することを特徴とするシステム構築方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のシステム構築方法において、
前記管理端末は、ネットワークに新たに接続されたカメラのIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム構築方法。
【請求項9】
請求項6から8の何れかに記載のシステム構築方法において、
前記管理端末は、ネットワークに複数の新たなカメラが接続された場合には、前記それぞれの新たなカメラのIPアドレスとそれぞれの位置情報とを対応付けて記憶することを特徴とするシステム構築方法。
【請求項10】
請求項6から9の何れかに記載のシステム構築方法において、
前記管理端末は、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致しない場合には、前記カメラに付与されたIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶しないことを特徴とするシステム構築方法。
【請求項11】
ネットワークを介して携帯機器およびカメラと接続される管理端末において、
制御部と、
前記携帯機器およびカメラと通信する通信処理部と、
情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記通信処理部は、前記携帯機器が前記カメラの近隣に存在する場合に送信された、前記携帯機器の位置情報および前記携帯機器が一意に生成した識別子を受信し、また、前記カメラから送信された、前記識別子を示す情報を含む映像を受信し、
前記制御部は、前記カメラから送信された映像から前記識別子を抽出し、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、前記カメラのIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする管理端末。
【請求項12】
ネットワークを介して携帯機器およびカメラと接続される管理端末を制御するプログラムにおいて、
前記プログラムは、
前記管理端末が、前記携帯機器が前記カメラの近隣に存在する場合に送信された、前記携帯機器の位置情報および前記携帯機器が一意に生成した識別子を受信し、また、前記カメラから送信された、前記識別子を示す情報を含む映像を受信した場合において、
前記管理端末が、前記カメラから送信された映像から前記識別子を抽出し、前記抽出した識別子と前記携帯機器から送信された識別子とが一致する場合には、前記カメラのIPアドレスと前記位置情報とを対応付けて記憶するように制御することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−120119(P2011−120119A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277140(P2009−277140)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】