説明

システム環境復元方法

【課題】複数の情報処理装置を対象に、特別な環境を用意することなく容易にシステム環境の復元を行なうことができるシステム環境復元方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、イメージファイル107を取得するイメージファイル取得手段101と、イメージファイル107を記憶装置109に書き込むイメージファイル書込み手段102と、自装置の装置特定情報を取得する装置特定情報取得手段103と、個別設定情報一覧108から個別設定情報を取得する個別設定情報取得手段104と、個別設定情報を復元したシステム環境に適用する個別設定情報設定手段105と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置上に構築されたシステム環境を復元するシステム環境復元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの性能が向上したことにより、様々な分野で情報処理装置が利用され不可欠なものとなってきている。そして、業務の遂行を円滑に進めるため、複数の情報処理装置でLANやWANといったネットワークを構成したシステムが多く利用されるようになってきている。システムの規模が一定以上になると、システム環境の構築や、障害等が発生した場合のシステム環境の復元が問題となる。
【0003】
図7は、デプロイメント・サーバを使用してシステム環境の復元処理(以下、単に「リカバリ処理」という)を行なうシステムの構成例を示す図である。
図7に示すシステムは、複数の情報処理装置701a、701b、701c、・・・、701nと、これらの情報処理装置に対してリカバリ処理等を行なうデプロイメント・サーバ702と、がネットワーク703を介して通信可能に接続されているシステムである。
【0004】
デプロイメント・サーバ702は、システム環境の構築やリカバリ処理等のサービスを提供するサーバである。また、各情報処理装置701a〜701nにおけるIP(Internet Protocol)アドレス等の個別設定情報は、データベース704が管理・保持する。
【0005】
各情報処理装置701a〜701nは、デプロイメント・サーバ702から送られるイメージファイルを元に自身の環境を構築する。そして、デプロイメント・サーバ702の指示にしたがって個別設定情報を自装置に適用する。
【0006】
図8は、デプロイメント・サーバを使用したリカバリ処理を示すフローチャートである。
利用者による所定の操作等を検出すると、デプロイメント・サーバ702は、リカバリ処理を開始する。
【0007】
ステップS801aにおいて、デプロイメント・サーバ702は、リカバリ処理の対象となる情報処理装置(以下、「リカバリ対象装置」という)に対して起動命令を出す。
一方、デプロイメント・サーバ702から起動命令を受け取ったリカバリ対象装置は、ステップS801cにおいて、自身の電源を投入する。そして、処理をステップS802cに移行し、自身の装置特定情報(例えば、MAC(Media Access Control)アドレス)をデプロイメント・サーバ702に通知する。
【0008】
ステップS802aにおいて、デプロイメント・サーバ702は、リカバリ対象装置から送られる装置特定情報の通知を取得する。
装置特定情報を取得すると、デプロイメント・サーバ702は、処理をステップS803aに移行し、システム環境をあらかじめファイル化しておいたイメージファイルを記憶媒体や記憶装置等から読出してリカバリ対象装置に送信する。
【0009】
一方、ステップS803cにおいて、リカバリ対象装置は、デプロイメント・サーバ702から送られるイメージファイルを取得する。そして、ステップS804cに移行し、ステップS803cで取得したイメージファイルをリカバリ対象装置に備わる記憶装置に書き込んでシステム環境を復元する。
【0010】
さらに、イメージファイルの記憶装置への書込みが完了すると、リカバリ対象装置は、処理をステップS805cに移行する。そして、デプロイメント・サーバ702に対して書込み完了通知を行なう。
【0011】
リカバリ対象装置から書込み完了通知を受け取ると、デプロイメント・サーバ702は、個別設定情報を管理するデータベース704に対してリカバリ対象装置の個別設定情報を要求し、処理をステップS804aに移行する。
【0012】
ここで、個別設定情報とは、情報処理装置毎に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である。例えば、ホスト名やIPアドレス、サブネットマスクといった情報である。
【0013】
一方、データベース704は、データベース704から個別設定情報の要求を受付けると、処理をステップS801bに移行する。そして、要求のあったリカバリ対象装置の個別設定情報をデプロイメント・サーバ702に通知する。
【0014】
ステップS804aにおいて、デプロイメント・サーバ702は、データベース704から個別設定情報を取得する。そして、処理をステップS805aに移行し、リカバリ対象装置にステップS804aで取得した個別設定情報を通知する。
【0015】
一方、ステップS806cにおいて、リカバリ対象装置は、デプロイメント・サーバ702から自身の個別設定情報を取得すると、処理をステップS807cに移行する。そして、リカバリ対象装置が備える記憶装置の所定のファイルに、ステップS806cで取得した個別設定情報を記憶する。
【0016】
以上の処理が完了すると、リカバリ対象装置は、処理をステップS808cに移行する。そして、ステップS804cにおいて復元されたシステム環境におけるOS(Operating System)を記憶装置から読出して起動し、処理をステップS809cに移行する。
【0017】
ステップS809cにおいて、リカバリ対象装置は、ステップS807cで記憶した個別設定情報を読出す。そして、API(Application Program Interface)等を利用してシステム環境に個別設定情報を適用する。例えば、ホスト名やIPアドレス等の個別設定情報をAPIを介してリカバリ対象装置に設定する。そして、ステップS810cに移行して処理を終了する。
【0018】
しかし、デプロイメント・サーバ702を使用する場合、充分な帯域を持つ安定したネットワーク環境等が必要となるので設備投資等のコストが大きくなる。したがって、比較的規模の小さいシステムでは、デプロイメント・サーバ702の導入が難しい場合が多い。
【0019】
また、デプロイメント・サーバ702によるリカバリ処理は、ネットワーク環境下で行なわれるため、ウイルス感染やシステム脆弱性の攻撃の危険にさらされる場合がある。
また、デプロイメント・サーバを使用しないでリカバリ処理を行なう方法としては、図9に示すように、イメージファイルやリカバリ処理を実行するプログラム等を記憶する記憶媒体(図9に示すリカバリCD902)を各情報処理装置901a、901b、901c、・・・、901nにセットして、リカバリ処理を実行する方法もある。
【0020】
しかし、リカバリCD902を使用するリカバリ処理では、情報処理装置毎の個別の設定を管理者が個々に行なわなくてはならない。この様な個別の設定は、一般に、規模の小さいシステムであっても処理が煩雑となるため、多大な労力とコストがかかってしまうという問題があった。
【0021】
特許文献1には、同一のプログラム及びデータが格納された第1及び第2の領域を備え、定義ファイルの設定された領域の内容をロードしてシステムを立ち上げることで、コンピュータシステムの障害からの復旧を容易にする障害復旧方法について開示されている。
【0022】
特許文献2には、OSの環境設定ファイルが壊れてしまった場合であっても、読み出し専用メモリに常駐させた特殊プログラムを使用して、OSに頼ることなくOS環境のアンドゥ機能を実現する情報処理装置について開示されている。
【特許文献1】特開2004−038351号公報
【特許文献2】特開平11−073377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、複数の情報処理装置を対象に、特別な環境を用意することなく容易にシステム環境の復元を行なうことができるシステム環境復元方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するために、本発明に係るシステム環境復元方法は、情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを取得し、該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元し、他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報を取得し、情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を取得し、該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にする。
【0025】
ここで、イメージファイルとは、情報処理装置に備わる記憶装置(例えば、磁気記憶装置等)に記憶される(又は、記憶された)システム環境の内容をあらかじめファイル化したデータであり、例えば、システム環境を実現するOSやアプリケーション等が磁気記憶装置等にインストールされた状態をそのままファイル化したデータである。したがって、他の情報処理装置に備わる記憶装置にイメージファイルを展開すれば、同じシステム環境を他の情報処理装置に構築することができる。
【0026】
本発明によると、システム環境の復元対象となる情報処理装置が、記憶媒体からイメージファイルを読出して当該情報処理装置が備える記憶装置に書き込むことによってシステム環境を復元する。そして、装置特定情報で特定される当該情報処理装置の設定情報を個別設定情報一覧から取得し、復元したシステム環境に適用することで所望の動作を可能にする。その結果、特別な環境を用意することなく容易にシステム環境の復元が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上に説明したように、本発明によると、複数の情報処理装置を対象に、特別な環境を用意することなく容易にシステム環境の復元を行なうことができるシステム環境復元方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るシステム環境復元方法の原理を説明する図である。
図1に示す情報処理装置100は、本発明の実施例に係るシステム環境復元方法を実現する情報処理装置であり、記憶媒体106からイメージファイル107を取得するイメージファイル取得手段101と、イメージファイル107を記憶装置109に書き込んでシステム環境を復元するイメージファイル書込み手段102と、自装置の装置特定情報を取得する装置特定情報取得手段103と、個別設定情報一覧108から個別設定情報を取得する個別設定情報取得手段104と、個別設定情報を復元したシステム環境に適用する個別設定情報設定手段105と、を備える。
【0029】
記憶媒体106は、例えば、CDやDVD、フラッシュメモリといった可搬記憶媒体である。そして、この記憶媒体106には、システム環境のイメージファイル107や個別設定情報一覧108、本実施例に係るシステム復元方法を実現する図示しないプログラム等が記憶されている。
【0030】
なお、本実施例に係る情報処理装置100は、電源投入直後にこのプログラムを読出してメモリ上に展開する。そして、このプログラム命令を実行することによって本実施例に係るシステム復元方法を実現する。
【0031】
イメージファイル107は、上述したように、情報処理装置に備わる記憶手段109に記憶される(又は、記憶された)システム環境の内容をあらかじめファイル化したデータであり、例えば、システム環境を実現するOSやアプリケーション等が磁気記憶装置等にインストールされた状態をそのままファイル化したデータである。
【0032】
個別設定情報一覧108は、装置特定情報毎に個別設定情報が記憶されている。ここで、装置特定情報とは、他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報であり、例えば、MACアドレス等が使用される。
【0033】
また、個別設定情報とは、情報処理装置毎に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である。例えば、情報処理装置100に割当てられているホスト名やIPアドレス、サブネットマスクといった情報である。
【0034】
記憶手段109は、システム環境を構築するために必要な情報が格納される。例えば、OSや所定のアプリケーション等がインストールされている記憶装置である。情報処理装置100は、記憶手段109からOSや所定のアプリケーションを読出して実行することでシステム環境を構築する。したがって、OS等に不具合が発生した場合、イメージファイル107を上書きすることによって、OS等が上書きされてシステム環境が復元される。
【0035】
情報処理装置100に電源が投入されると、イメージファイル取得手段101が記憶媒体106の所定のアドレスに格納されているイメージファイル107を取得する。そして、イメージファイル書込み手段102が、取得したイメージファイルを記憶手段109に書き込む。その結果、例えば、システム環境を構築するOSや業務用アプリケーション等が初期状態(又はイメージファイル作成時の状態)に復元される。
【0036】
一方、装置特定情報取得手段103は、例えば、自装置に備わるEthernet(登録商標)カードに割当てられている固有のIDであるMACアドレスを装置特定情報として取得する。
個別設定情報取得手段104は、装置特定情報と一致する装置特定情報に係る個別設定情報を個別設定情報一覧108から取得する。そして、個別設定情報設定手段105は、個別設定情報取得手段104が取得した個別設定情報を、復元したシステム環境に対して適用する。例えば、復元されたOS(システム環境)のAPIを使用してIPアドレスやホスト名等を設定する。
【0037】
図2は、本発明の実施例に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図2に示す情報処理装置100は、周辺機器や各種ソフトウェアを実行する他に本実施例に係るリカバリ処理を実現するプログラムを実行するCPU201と、プログラムを実行するために使用される揮発性のメモリ202(例えば、RAM)と、情報処理装置100が動作するために必要なOSやプログラム、その他のデータ等を記録する外部記録装置203と、外部からのデータ入力手段である入力装置204(例えば、キーボードやマウス)と、データ等を表示する出力装置205と、可搬記録媒体207(例えば、フロッピイディスクやMOディスク、CD−RやDVD−Rなど)からプログラムやデータ等を読み出してメモリ202や外部記憶装置203に書き出し、或はメモリ202や外部記録装置203のデータを可搬記録媒体207に出力する媒体駆動装置26と、ネットワークに接続するネットワーク接続装置208と、を有し、これらの装置がバスに接続されて相互にデータの受け渡しが行える構成となっている。
【0038】
以下に説明する本実施例に係るリカバリ処理には、システム環境の復元後に当該システムに対して個別設定情報の適用を行なう処理も含まれる。
また、図2に示す可搬記憶媒体207(以下、「リカバリ記憶媒体207」という)は、リカバリ処理を実行するリカバリ処理プログラム207aと、自身の装置に応じた個別設定情報を個別設定情報一覧207eから選択する個別設定情報選択プログラム207bと、個別設定情報の設定を行なう個別設定情報書込みプログラム207cと、システム環境復元用のイメージファイル207dと、リカバリ処理の対象となる全ての情報処理装置についての個別設定情報である個別設定情報一覧207eと、を備えている。
【0039】
リカバリ処理を開始すると、情報処理装置100は、媒体駆動装置206を介してリカバリ記憶媒体207からリカバリ処理プログラム207a、個別設定情報選択プログラム207b及び個別設定情報書込みプログラム207cを読出し、メモリ202に展開する。
【0040】
すると、CPU201が、所定の順序にしたがってメモリ202に展開されているプログラムを実行してリカバリ処理が行なわれる。
例えば、リカバリ処理プログラム207aを実行すると、CPU201は、媒体駆動装置206を介してリカバリ記憶媒体207からイメージファイルを読出して外部記憶装置203に展開し、システム環境の復元を行なう。
【0041】
そして、個別設定情報選択プログラム207bを実行すると、CPU201は、個別設定情報一覧207eから自装置の装置特定情報(例えば、MACアドレス等)に対応する個別設定情報(例えば、IPアドレスやホスト名等)を取得する。
【0042】
さらに、個別設定情報書込みプログラム207cを実行すると、CPU201は、例えば、OSのインタフェースであるAPI等を利用して、個別設定情報を設定する。
図3は、本発明の実施例に係る個別設定情報一覧207eの構成例を示す図である。
【0043】
図3に示す個別設定情報一覧207eは、リカバリ処理対象となる情報処理装置毎に個別設定情報が記憶されており、各個別設定情報は、装置IDと、パラメータ名と、パラメータ値と、で構成されている。
【0044】
装置IDは、各情報処理装置を識別する識別子である。また、パラメータ値は、各情報処理装置のシステム環境を構築するために必要となるデータである。図3では、装置ID(情報処理装置)毎に、MACアドレス、ホスト名、IPアドレス及びサブネットマスクが設定されている場合の例を示している。
【0045】
なお、図3に示した個別設定情報一覧207eには、システム環境の構築に必要最低限のデータセットの例を示しているが、これに限定する趣旨ではなく、必要に応じたパラメータ値を備えるようにすればよい。図4に、その例を示す。
【0046】
図4は、本発明の実施例に係る個別設定情報一覧207eの変形例を示す図である。
図4に示す個別設定情報一覧400のパラメータ値は、装置ID(情報処理装置)毎に、MACアドレス、ホスト名、IPアドレス及びサブネットマスクに加えて、プログラム修正パッチのパッチ01、パッチ02、・・・と、業務用アプリケーションのアプリケーション01、アプリケーション02、・・・が設定されている。
【0047】
ここで、パッチ01、パッチ02、・・・は、使用するOSやアプリケーションに存在するセキュリティ上の不具合等を修正するプログラムである。また、アプリケーション01、アプリケーション02、・・・は、各情報処理装置で業務上使用するアプリケーションである。
【0048】
図5は、本発明の実施例に係るリカバリ処理を示すフローチャートである。
ステップS500において、利用者がリカバリ対象装置にリカバリ記憶媒体207をセットして起動すると、リカバリ対象装置は、リカバリ記憶媒体207を参照する。そして、リカバリ処理プログラム207aをメモリ202に展開して、リカバリ処理を実行する。
【0049】
ステップS501において、リカバリ対象装置は、リカバリ記憶媒体207を参照する。そして、所定のアドレスに格納されているイメージファイル207dを読出す。そして、リカバリ対象装置は、処理をステップS502に移行し、読出したイメージファイルを外部記憶装置203の所定のアドレスに書き込む。
【0050】
イメージファイルの書込みが完了すると、リカバリ対象装置は、処理をステップS503に移行する。
ステップS503において、リカバリ対象装置は、自装置の装置特定情報を取得する。本実施例では、自身の装置のネットワーク接続装置208のEthernet(登録商標)カードに固有のID番号であるMACアドレスを装置特定情報として取得している。
【0051】
装置特定情報を取得すると、リカバリ対象装置は、処理をステップS504に移行する。そして、リカバリ対象装置は、リカバリ記憶媒体207の所定のアドレスに格納されている個別設定情報一覧207eを参照する。そして、ステップS503で取得した自身の装置の装置特定情報に一致するパラメータ値を有する装置IDの個別設定情報を取得する。
【0052】
例えば、図3に示した個別設定情報一覧207eを使用した場合、ステップS503で取得したMACアドレスと一致するパラメータ値を有する装置IDを検出する。そして、検出した装置IDにおけるパラメータ値を全て読出して取得する。図4に示した個別設定情報一覧400を使用した場合も同様である。
【0053】
個別設定情報を取得すると、リカバリ記憶媒体207は、処理をステップS505に移行する。そして、例えば、外部記憶装置203内でOSがアクセス可能な所定のアドレス(又はファイル)に一時的に格納する。これは、OS起動後にAPI等を利用して個別設定を可能にするためである。
【0054】
個別設定情報の書込みが完了すると、リカバリ記憶媒体207は、処理をステップS506に移行し、外部記録装置203からOSを読出して起動する。そして、処理をステップS507に移行する。
【0055】
ステップS507において、リカバリ記憶媒体207は、個別設定用のAPIを起動する。APIは、ステップS505で一時格納した個別設定情報を読出し、OSやアプリケーション等に対してホスト名、IPアドレス、サブネットマスク等の個別設定情報を設定する。
【0056】
なお、図4で示した個別設定情報一覧400を使用する場合、リカバリ対象装置毎に環境設定の構築も行なうことができる。
個別設定が完了すると、リカバリ記憶媒体207は、処理をステップS508に移行する。そして、環境設定の構築を行なう。環境設定とは、OSや所定のアプリケーションの動作環境等の設定や不具合等の修正をいう。例えば、APIは、ステップS505で一時格納した個別設定情報のうち、パッチ01、パッチ02、・・・、やアプリケーション01、アプリケーション02、・・・、のパラメータ値を読出して各パラメータ値を実行することによって、リカバリ対象装置毎に必要な修正パッチやアプリケーションのインストールが行なわれて環境設定の構築が行なわれる。
【0057】
図6は、本発明の実施例に係るリカバリ記憶媒体207を作成する処理を示すフローチャートである。
なお、図6では、記憶媒体としてCD(Compact Disc)を使用したリカバリ記憶媒体207(以下、「リカバリCD」という)を作成する場合について説明する。
【0058】
また、サーバとリカバリ対象装置とは、例えば、ネットワーク等の通信回線により互いに通信可能に接続されている場合において、当該サーバを用いてリカバリCDを生成する処理について示すが、これに限定する趣旨ではない。サーバでの処理もリカバリ対象装置に実行させることによって、リカバリ対象装置単独でもリカバリCDの生成が可能である。
【0059】
ステップS601aにおいて、利用者による所定の操作を検出すると、サーバは、リカバリCD作成処理を開始し、リカバリ対象装置に対して起動命令を出す。
一方、サーバから起動命令を受け取ったリカバリ対象装置は、ステップS601bにおいて、自身の電源を投入し、処理をステップS602bに移行する。そして、サーバに対してリカバリCDを作成するバックアップ実行プログラムを要求する。
【0060】
リカバリ対象装置からバックアップ実行プログラムの要求を受付けると、サーバは、処理をステップS602aに移行する。そして、バックアップ実行プログラムを記憶装置等から読出してリカバリ対象装置に送信する。
【0061】
一方、サーバからバックアップ実行プログラムを受信すると、リカバリ対象装置は、当該バックアップ実行プログラムを実行し、処理をステップS603bに移行する。
ステップS603bにおいて、リカバリ対象装置は、OSやアプリケーション等のシステム環境が記憶されている記憶装置から所定のサイズのデータを読出す。例えば、先頭アドレスから順に60KBずつ読出す。そして、処理をステップS604bに移行する。
【0062】
ステップS604bにおいて、リカバリ対象装置は、読出したデータをサーバに転送する。そして、処理をステップS605bに移行する。
ステップS605bにおいて、リカバリ対象装置は、記憶装置から全てのデータを読出したか否かをチェックする。そして、読出していないデータが残っている場合には、処理をステップS603bに移行し、全てのデータについてステップS603b及びS604bの処理を実行する。なお、「全てのデータ」とは、記憶装置に記憶されるデータであって、システム環境の構築に必要となるデータを意味する。
【0063】
ステップS605bにおいて、全データの読出しが完了した場合、リカバリ対象装置は、処理をステップS606bに移行する。そして、サーバに対して読出し処理の終了を通知する。
【0064】
一方、サーバは、リカバリ対象装置からデータを受付けると、処理をステップS603aに移行する。そして、リカバリ対象装置からデータが送られる間、当該データをサーバが備える記憶装置に記憶する。
【0065】
そして、リカバリ対象装置から読出し処理の終了通知を付け付けると、サーバは、処理をステップS604aに移行し、ステップS603aで記憶したデータを復元してイメージファイルを生成する。
【0066】
イメージファイルを生成すると、サーバは、処理をステップS605aに移行する。そして、生成したイメージファイルをCD(記憶媒体)に書き込む。さらに、図3又は図4に示した個別設定情報一覧をCDに書き込んで処理を終了する。
【0067】
以上に説明したように、本実施例に係るシステム環境復元方法は、リカバリ処理プログラム207a、個別設定情報選択プログラム207b、個別設定情報書込みプログラム207c、イメージファイル207d及び個別設定情報一覧207eを記憶した記憶媒体を、リカバリ対象装置毎にセットして、電源投入と同時に、リカバリ処理プログラム207a、個別設定情報選択プログラム207b及び個別設定情報書込みプログラム207cを実行させることによって行なわれる。
【0068】
そのため、デプロイメント・サーバ702等のようにリカバリ処理等を行なう装置が不要となる。また、リカバリ処理のために特別なネットワーク環境を必要としない。その結果、設備投資等のコストを低く抑えることが可能となる。また、ネットワーク環境が不要なため、ウイルス感染やシステム脆弱性の攻撃の危険を容易に回避することが可能となる。
【0069】
したがって、システムの規模の大小にかかわらず、安価にリカバリ処理を行なうことが可能となる。
また、本実施例に係るシステム環境復元方法は、あらかじめ記憶媒体に記憶してある個別設定情報一覧207eから自身の装置に必要な個別設定情報を取得し、復元した自身のシステム環境にAPI等を利用して個別設定情報を適用する。
そのため、情報処理装置毎の個別の設定を管理者が個々に行なう必要がないため、労力やコストをかけることなく容易にリカバリ処理を行なうことが可能となる。
【0070】
(付記1) 情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを取得し、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元し、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報を取得し、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を取得し、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にするシステム環境復元方法。
(付記2) 前記装置特定情報は、ネットワーク上に存在する他の装置との識別を可能にする固有の情報である、ことを特徴とする付記1に記載のシステム復元方法。
(付記3) 前記個別設定情報には、前記システム環境に対する修正プログラムが含まれる、ことを特徴とする付記1に記載のシステム復元方法。
(付記4) 前記個別設定情報には、前記システム環境において動作可能な所定の業務アプリケーションが含まれる、ことを特徴とする付記1に記載のシステム復元方法。
(付記5) 情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを読出し、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元し、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報が記憶されている記憶部から該装置特定情報を取得し、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を読出し、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にする処理を情報処理装置に実行させるシステム環境復元用プログラム。
(付記6) 前記装置特定情報は、ネットワーク上に存在する他の装置との識別を可能にする固有の情報である、ことを特徴とする付記5に記載のシステム復元用プログラム。
(付記7) 前記個別設定情報には、前記システム環境に対する修正プログラムが含まれる、ことを特徴とする付記5に記載のシステム復元用プログラム。
(付記8) 前記個別設定情報には、前記システム環境において動作可能な所定の業務アプリケーションが含まれる、ことを特徴とする付記5に記載のシステム復元用プログラム。
(付記9) 情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを取得するイメージファイル取得手段と、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元するイメージファイル書込み手段と、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報を取得する装置特定情報取得手段と、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を取得する個別設定情報取得手段と、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にする個別設定情報設定手段と、
を備える情報処理装置。
(付記10) 前記装置特定情報は、ネットワーク上に存在する他の装置との識別を可能にする固有の情報である、ことを特徴とする付記9に記載の情報処理装置。
(付記11) 前記個別設定情報には、前記システム環境に対する修正プログラムが含まれる、ことを特徴とする付記9に記載の情報処理装置。
(付記12) 前記個別設定情報には、前記システム環境において動作可能な所定の業務アプリケーションが含まれる、ことを特徴とする付記9に記載の情報処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例に係るシステム環境復元方法の原理を説明する図である。
【図2】本発明の実施例に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る個別設定情報一覧の構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る個別設定情報一覧の変形例を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係るリカバリ処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例に係るリカバリ記憶媒体を作成する処理を示すフローチャートである。
【図7】デプロイメント・サーバを使用したリカバリ処理の従来例を説明する図である。
【図8】リカバリCDを用いたリカバリ処理の従来例を説明する図である。
【図9】デプロイメント・サーバを使用しないリカバリ処理の従来例を説明する図である。
【符号の説明】
【0072】
100 情報処理装置
101 イメージファイル取得手段
102 イメージファイル書込み手段
103 装置特定情報取得手段
104 個別設定情報取得手段
105 個別設定情報設定手段
106 記憶媒体
107 イメージファイル
108 個別設定情報一覧
109 記憶手段
207a リカバリ処理プログラム
207b 個別設定情報選択プログラム
207c 個別設定情報書込みプログラム
207d イメージファイル
207e 個別設定情報一覧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを取得し、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元し、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報を取得し、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を取得し、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にするシステム環境復元方法。
【請求項2】
前記個別設定情報には、前記システム環境に対する修正プログラムが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム復元方法。
【請求項3】
前記個別設定情報には、前記システム環境において動作可能な所定の業務アプリケーションが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム復元方法。
【請求項4】
情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを読出し、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元し、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報が記憶されている記憶部から該装置特定情報を取得し、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を読出し、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にする処理を情報処理装置に実行させるシステム環境復元用プログラム。
【請求項5】
情報処理装置のシステム環境を記憶した記憶装置の内容をあらかじめファイル化したイメージファイルを記憶する記憶媒体から該イメージファイルを取得するイメージファイル取得手段と、
該イメージファイルを前記記憶装置に書き込んでシステム環境を復元するイメージファイル書込み手段と、
他の情報処理装置との識別を可能にする固有の情報である装置特定情報を取得する装置特定情報取得手段と、
情報処理装置に所望の動作をさせるために必要となる設定情報である個別設定情報を情報処理装置毎に有する個別設定情報一覧を記憶した前記記憶媒体から、前記装置特定情報で特定される情報処理装置の個別設定情報を取得する個別設定情報取得手段と、
該個別設定情報を前記復元したシステム環境に適用して所望の動作を可能にする個別設定情報設定手段と、
を備える情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−77249(P2008−77249A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253591(P2006−253591)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】