シミュレーションプログラムおよびシミュレータ
【課題】試作工程数を削減して開発コストを低減できるとともに、初心者であっても遊技機の設計を容易に行なうことができるシミュレーションプログラムおよびシミュレータの提供を目的としている。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るシミュレーションプログラムは、遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るシミュレーションプログラムは、遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の動作を所定のパラメータに基づいてシミュレートするためのシミュレーションプログラム、および、そのようなプログラムを実行可能なシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機を設計する場合、例えばパチンコ遊技機を設計する場合には、パチンコ遊技機の遊技盤を実際に製作するとともに、遊技盤上に遊技球を打ち出して遊技盤上における遊技球の軌道を調べ、その結果により、最終的な遊技盤上における遊技要素(例えば、釘、役物、風車、始動口等)のレイアウト等を決定している。
【0003】
しかしながら、このような方法では、遊技要素のレイアウト等を変更したい場合、その都度、遊技盤を製作し直して、遊技球の軌道を調べ直さなければならないため、パチンコ遊技機の設計に多大な手間と時間とを要してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1では、遊技盤上の任意の位置に遊技要素をレイアウトでき、実際に遊技盤を製作しなくても遊技盤上における遊技球の軌道をシミュレートできるパチンコ機シミュレータを提案している。
【特許文献1】特開2000−218029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたパチンコ機シミュレータでは、遊技盤上以外の場所における遊技球の軌道をシミュレートすることができない。実際に、遊技球は、遊技盤上以外の場所においても流下しており、その流下態様を検証することも遊技機の設計においては必要不可欠である。
【0006】
例えば、実際のパチンコ遊技機においては、賞球払出通路(遊技盤上の所定の入賞領域に遊技球が入賞した際に賞球として遊技球を払い出すための通路)を介して遊技者に対して払い出される遊技球が全て上皿へ排出されなければならないが、上皿が遊技球で満杯状態にない時に遊技球が下皿へ排出される場合には、円滑な遊技の進行が妨げられることとなり、賞球払出通路の設計に何らかの誤りがあると考えざるを得ない。こうした場合、遊技機の試作品を作って遊技球の流下態様を検証する従来(遊技盤上以外の場所における遊技球の軌道をシミュレートできない特許文献1においても同様)にあっては、遊技球の流下の不具合(設計ミス)を検証して、再度、試作品を作り直さなければならず、結果として開発コストの高騰を招く虞があった。
【0007】
また、実際のパチンコ遊技機においては、上皿が遊技球で満杯状態にある時には、上皿の遊技球の一部が下皿へ排出されるようになっているため、設計に際しては、円滑な遊技の進行が妨げられないように、上皿から下皿に至る通路内に球詰まりが発生するか否かの検証も行なう必要がある。しかしながら、試作段階で球詰まりが発生した場合、前述した従来の設計形態では、試作の設計変更を余儀なくされることになる(試作品を作り直さなければならなくなる)ため、開発コストが高くなってしまうことは避けられない。
【0008】
また、特許文献1に開示されたパチンコ機シミュレータでは、遊技盤上における遊技球の軌道をシミュレートできるが、その遊技結果に関する統計的なデータを得ることができない。そのため、設計者は、その経験に基づいて、遊技盤上における遊技要素の最終的なレイアウト等を決定しなければならない。すなわち、経験が浅い設計者にとっては、前記パチンコ機シミュレータを使用した場合であっても、依然として、パチンコ遊技機を設計することが困難であった。
【0009】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、試作工程数を削減して開発コストを低減できるとともに、初心者であっても遊技機の設計を容易に行なうことができるシミュレーションプログラムおよびシミュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムは、遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
この請求項1に記載されたシミュレーションプログラムによれば、遊技機を構成する部材の情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道が算出されるとともに、その算出された軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示させることができるため、実際に遊技機を製造する前段階において、遊技媒体の軌道を予め認識することが可能となる。したがって、実際に遊技機の試作品等を製作して検証する必要がなく、遊技機の開発コストを大幅に削減することができる。
【0012】
なお、上記構成において、擬似遊技機とは、仮想空間上に表示されるパチンコ遊技機等の遊技機の全体あるいはその一部の擬似的な表示であり、また、仮想空間とは、例えば部材情報に基づく擬似遊技機にかかるデータが展開される作業領域(例えばRAM)のことである。また、上記構成において、擬似遊技媒体とは、仮想空間上に展開される遊技媒体にかかるデータであり、遊技媒体としては、球やメダル等を挙げることができる。
【0013】
また、上記構成において、遊技機を構成する部材としては、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技盤上の遊技要素(例えば、釘、役物、風車、始動口等)や、遊技機を形成する様々な部位(賞球払出通路等)等を挙げることができる。
【0014】
また、上記構成において、部材情報としては、例えばパチンコ遊技機の場合、所定の遊技領域を有する遊技盤およびこの遊技盤上に配置される遊技要素に関する遊技盤情報や、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータ(例えば遊技盤および遊技要素の材質に関するパラメータ)等を挙げることができる。部材情報設定ステップによって部材情報を適切に設定・変更すれば、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。
【0015】
また、請求項2に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定可能であることを特徴とする。
【0016】
この請求項2に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、湿度や温度等といった環境による部材の物質的性質の変化を考慮に入れて遊技媒体の軌道を検証することができる。
なお、上記構成において、部材の反発力および摩擦力に関する数値情報とは、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球と遊技要素との間の反発係数および摩擦係数を含んでいる。
【0017】
また、請求項3に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1または請求項2に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその配置位置を設定可能であることを特徴とする。
【0018】
この請求項3に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1または請求項2に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、部材の配置位置を変更して遊技媒体の軌道を検証することができ、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。なお、上記構成において、「配置位置」には、部材の傾斜角も含まれる。また、このように、「部材の配置位置」という遊技機の設計に不可欠な情報が盛り込まれれば、遊技機の設計を所望通りに且つ簡単に行なうことができる。
【0019】
また、請求項4に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその形態を設定可能であることを特徴とする。
【0020】
この請求項4に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、部材の形態を変化させて遊技媒体の軌道を検証することができ、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。なお、上記構成において、「形態」には、部材の形状や大きさが含まれる。
【0021】
また、請求項5に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップを更に含むことを特徴とする。
【0022】
この請求項5に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、擬似遊技媒体に係る情報を設定できるため、例えば、遊技媒体の材質や環境による物質的性質の変化、遊技媒体の流下速度等を考慮に入れた設計が可能になる。なお、「擬似遊技媒体に係る情報」には、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球の打ち出し速度も含まれる。遊技球の打ち出し速度は、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータであり、これを擬似遊技媒体に係る情報として含ませれば、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算の信頼度を更に高めることができる。また、「擬似遊技媒体に係る情報」には、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球の速度を変化させるための情報が含まれていても良い。その場合には、遊技球の速度を関連付けた遊技盤の多面的な設計を行なうことができるため、有益である。
【0023】
また、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果に関する所定の統計値を集計する集計ステップと、前記集計ステップによって集計された結果を表示する集計結果表示ステップとを更に含むことを特徴とする。
【0024】
この請求項6に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、表示された擬似遊技媒体の軌道および前記統計値に基づいて部材の最終的なレイアウト等を決定できるため、初心者であってもパチンコ遊技機の設計を容易に行なうことができ、ひいては、遊技盤の試作工程数を削減することができる。また、統計値により遊技媒体の遊技機に与える影響の傾向を把握することも可能になり、遊技機の開発効率を更に向上させることができる。
【0025】
なお、上記構成において、「擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果」とは、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球が遊技盤上の所定の入賞領域に入賞するという結果を含んでいる。
また、上記構成では、集計ステップにおいて、擬似遊技媒体(遊技媒体)の軌道に影響を与えるパラメータを変化させつつ、前記軌道算出ステップおよび前記表示ステップを繰り返すことにより、遊技結果に関する所定の統計値を計算することが好ましい。この場合、統計値の計算の信頼性を高めることができる。
また、上記構成では、集計ステップにおいて、請求項5に関して前述した「遊技球の打ち出し速度」を無作為に変化させても良い。その場合には、遊技球の軌道にばらつきを持たせることができ、実際の遊技状態により近い状態を再現することができる。したがって、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を高めることができる。
【0026】
また、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記軌道算出ステップにおいては、擬似遊技機に設けられる遊技盤上における擬似遊技媒体の軌道が算出可能であり、擬似遊技媒体が前記遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップを更に含み、前記集計ステップにおいては、前記遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対する入賞と判定された回数の比率が算出されることを特徴とする。
【0027】
この請求項7に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、所謂「入賞率」に基づいた部材のレイアウトが可能になるため、所定の入賞率を備えた遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【0028】
また、請求項8に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記入賞判定領域が複数あり、
前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、擬似遊技媒体が通過した入賞判定領域に応じてポイントが加算されて累積値が算出されるとともに、遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対するポイントの累積値の比率が算出されることを特徴とする。
【0029】
この請求項8に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、所謂「出玉率」に基づいた部材のレイアウトが可能になるため、所定の出玉率を備えた遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【0030】
また、本発明は、前述したシミュレーションプログラムを実行可能なシミュレータも提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明のシミュレーションプログラムおよびシミュレータによれば、試作工程数を削減して開発コストを低減できるとともに、初心者であっても遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0033】
図1には、本発明の一実施形態に係るパチンコ機シミュレータ1の構成が概略的に示されている。なお、このシミュレータ1は、主にパチンコ遊技機の設計のために使用されるが、遊技性を兼ね備えたパチンコゲーム機として製造されても構わない。以下では、便宜上、シミュレータ1がパチンコ遊技機の設計に適用される場合について詳しく説明する。
【0034】
図1に示されるように、シミュレータ1は、コンピュータを構成するシミュレータ本体3と、操作が可能な操作手段としての入力装置2と、画像を表示する表示手段としての表示装置4とから主に構成されている。なお、図1において、入力装置2および表示装置4は、シミュレータ本体3と分離して示されているが、シミュレータ本体3と一体を成していても良い。
【0035】
シミュレータ本体3は、シミュレータ1における様々な動作を制御するための主制御部6と、遊技機としてのパチンコ遊技機を構成する各部材に関する部材情報、具体的には、所定の遊技領域を有するパチンコ遊技機の遊技盤およびこの遊技盤上に配置される遊技要素(後述する釘、風車、役物等)に関する遊技盤情報を記憶する記憶手段としての記憶部8と、主制御部6からの制御信号に基づいて表示部4の表示制御を行なう表示制御手段としての表示制御部10とを有している。
【0036】
また、入力装置2は、キーボード、マウス、あるいは、他の任意のスイッチ(様々な家庭用ゲーム機で使用されるようなコントローラを含む)から成り、主制御部6に接続されるとともに、前記遊技盤情報および遊技盤上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定または変更するための信号を主制御部6に入力するべく使用される。すなわち、入力装置2は、部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)を設定・変更するための設定手段として機能する。なお、前記パラメータには、後述するように、前記遊技盤および前記遊技要素の材質に関するパラメータも含まれる。
【0037】
また、表示装置4は、液晶、CRT等の現在知られている様々なディスプレイ装置から成り、前記遊技盤情報に基づいて仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)の少なくとも一部を表示することができる。
主制御部6は、記憶部8に記憶された前記遊技盤情報に基づいて、前記遊技盤に向けて打ち出される遊技球の遊技盤上における軌道を計算する球軌道計算部(軌道算出手段)12を有している。実際には、球軌道計算部12は、前記遊技盤情報および後述する変更部16,18で変更された部材情報に基づいて、表示装置4の仮想空間上に表示されるパチンコ遊技機(擬似遊技機)において遊技球である擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する。一方、表示制御部10は、球軌道計算部12によって計算された遊技球の軌道を表示装置4上でシミュレートするための球軌道表示制御部22を有している。具体的に、球軌道表示制御部22は、球軌道計算部12によって算出された軌道に基づいて仮想的な遊技球(擬似遊技媒体)を仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)において流下させるシミュレート画像を表示装置4に表示させる。
また、主制御部6は、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータを変化させつつ、前記軌道計算および前記シミュレートを繰り返すことにより、遊技結果(擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果)に関する所定の統計値を計算する統計値計算部14を有している。一方、表示制御部10は、統計値計算部14で計算された統計値を表示装置4に表示させる統計値表示制御部24を有している。
【0038】
更に、主制御部6は、入力装置2からの信号に基づいて前記遊技盤情報を変更する遊技盤情報変更部16と、主制御部6内で所定のプログラムにしたがって前記パラメータを変更し或いは入力装置2からの信号に基づいて前記パラメータを変更するパラメータ変更部18とを有している。なお、表示制御部10は、記憶部8に記憶された遊技盤情報あるいは前記各変更部16,18で変更された部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)を表示装置4上に配置表示する(具体的には、前記部材情報に基づいて、RAM等の作業領域で擬似遊技機にかかるデータが展開される)配置手段としても機能する。
【0039】
次に、上記構成のシミュレータ1によってパチンコ遊技機の設計を行なう場合について、図2および図3のフローチャートを主に参照しながら詳しく説明する。
【0040】
まず、図2の制御処理のフローチャートに示されるように、ステップS1において、遊技盤情報を表示装置4の画面上に表示させる(配置ステップ)。これは、例えば、シミュレータ1のシミュレータ本体3の電源をONするとともに、入力装置2の所定のキーまたはスイッチを操作することにより行なわれる。あるいは、入力装置2がマウスである場合には、電源ONと共に表示装置4上の画面に表示される所定の項目にポインタを合わせて左クリックすることにより、前記遊技盤情報を表示装置4に表示させることができる。無論、記憶部8に記憶されているアプリケーションプログラムを立ち上げて、所定のファイルから前記遊技盤情報をロードする形態も考えられる。
【0041】
表示装置4上に遊技盤情報を表示させた一例が図4に示されている。この例では、初期設定された遊技盤情報、具体的には、遊技盤30および遊技盤30上に配置される遊技要素の初期設定レイアウトが表示装置4上に表示されている(記憶部8に記憶された遊技盤情報に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機の少なくとも一部が表示装置4の画面上(仮想空間上)に配置表示されている)。後述するように、設計者等の操作者(シミュレータ1がゲーム機として製造されている場合には、遊技者)は、この初期設定レイアウトを任意に変更することにより、具体的には個々の遊技要素を移動等させることにより、所望のレイアウトを決定(設計)することができる。
【0042】
なお、表示装置4上に遊技盤情報を表示させる他の例としては、例えば図5に示されるように、表示装置4の画面上に遊技盤30の外形と遊技要素のセットSとが別個に表示される表示形態も考えられる。この表示形態の場合、操作者は、遊技要素のセットSの中から1つずつ遊技要素を遊技盤30上に位置決めすることにより所望のレイアウトを決定することができる。
【0043】
ここで、図4を参照しながら、遊技盤30上に配置される遊技要素を、実際のパチンコ遊技機と関連付けて簡単に説明する。遊技盤30の遊技領域Aの略中央には、遊技状態を決定するための識別図柄(特別図柄;普通図柄)の変動表示および演出アニメーションを含む表示が行なわれる遊技要素としての図柄表示部104が設けられている。この図柄表示部104は、実際のパチンコ遊技機では、画像信号入力に基づいて識別図柄の変動表示および演出アニメーションを含む表示を主に行なう領域であり、後述の始動入賞口115に遊技球が入賞(「始動入賞」という)することにより識別図柄の変動表示を開始するものである。なお、実際のパチンコ遊技機では、識別図柄の変動表示が所定の表示態様で停止すると、「大当たり」となり、遊技者にとって有利な「特定遊技状態」(大当たり遊技状態)に移行するようになっている。
【0044】
図柄表示部104の直ぐ上側には、遊技要素としてのセンター飾り103が設けられている。図柄表示部104の下方には、遊技要素としての始動入賞口115および普通電動役物飾り112が設けられている。なお、実際のパチンコ遊技機において、普通電動役物飾り112は、始動入賞口115へ入賞しやすい第1状態と始動入賞口115に入賞しにくい第2状態とに変換可能な可動片112aを有しており(所謂「チューリップ」)、この可動片112aが閉じた第2状態であっても、遊技球が1個程度入賞可能である。そして、遊技球が始動入賞口115に入賞すると、例えば5個の賞球が払い出される。後述するが、本実施形態のシミュレータ1では、実際に遊技球が打ち出されるものではなく、遊技球の軌道がシミュレートされるだけであるため、始動入賞口115等への遊技球の入賞による賞球の払い出しは行なわれず、その代わり、入賞形態に応じた所定のポイントが加算されるようになっている(すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、入賞形態に応じて所定数のポイントを加算する集計ステップが含まれている)。また、後述するが、本実施形態のシミュレータ1における入賞とは、遊技盤30上で所定の軌道を辿る仮想的な遊技球(擬似遊技媒体)が所定の遊技要素(入賞用の遊技要素:入賞判定領域)と関連付けられる(具体的には、遊技球の軌道が入賞用の遊技要素またはその入賞口を通過する)ことによって成立する。すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、遊技盤上で所定の軌道を辿る遊技球が所定の遊技要素と関連付けられることによって入賞を成立させるステップ、具体的には、擬似遊技媒体が遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップが含まれている。また、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップも含まれている。
【0045】
図柄表示部104の左右には、遊技要素としての普通図柄作動用ゲート105,120が設けられている。実際のパチンコ遊技機では、この普通図柄作動用ゲート105,120に遊技球が通過すると、図柄表示部104によって普通図柄表示用の「○、×」の画像が交互に点灯されるようになっており、所定時間経過後、「○」の画像のみが点灯されると、普通電動役物飾り112が第1状態に変換される。
【0046】
普通電動役物飾り112の下方には、遊技者にとって有利な「開状態」と遊技者にとって不利な「閉状態」とに変換可能な扉開閉式の変動入賞装置からなる遊技要素としての大入賞口114が設けられている。実際のパチンコ遊技機において、この大入賞口114は、図柄表示部104での特別図柄の変動表示が大当たり停止態様で停止したときに、所定時間だけ開状態に維持される。そして、本実施形態においては、例えば、この大入賞口114に仮想的な遊技球が入賞すると、所定のポイント数が加算されるように定められている。前述の「特定遊技状態」とは、この大入賞口114が開状態となり、大入賞口114への10球入賞あるいは30秒経過まで開状態が連続する遊技(以下、「大当たり遊技」という)を、15回(ラウンド)行なうことができる遊技状態である。
【0047】
大入賞口114の左右には、遊技要素としてのサイドランプ110,116が設けられている。また、大入賞口114の下方には、アウト球を回収する遊技要素としてのアウト口113が設けられている。また、遊技盤30の左右には、遊技要素としてのレール122のセットが設けられている。後述する仮想的な遊技球の軌道は、このレール122に沿って上昇移動し、遊技領域に打ち込まれる。
【0048】
図柄表示部104の左右上下には、遊技要素としての左風車119,121および右風車102,106が設けられている。実際のパチンコ遊技機において、これらの風車102,106,119,121は、遊技球の流下経路を変更するとともに、遊技球が衝突したときに回転して遊技性を増大させる機能を果しているが、本実施形態においても、後述する遊技球の軌道計算において、この機能が加味される。
【0049】
また、始動入賞口115の左右側には、遊技要素としての一般入賞口108,109,117,118が設けられている。更に、遊技領域A内には、遊技要素としての多数の遊技釘107が点在して設けられている。
【0050】
ここで、図2のフローチャートに沿う制御処理に話を戻すと、ステップS1において、前述したように初期設定された遊技盤情報を表示装置4の画面上に表示させたら、続いて、ステップS2において、遊技盤情報の編集処理を行なう。具体的には、前記遊技盤情報および前記パラメータを設定・変更可能にするプログラムの機能を利用して、遊技要素を移動・拡大縮小・回転させたり、あるいは、前記パラメータを設定・変更したりする。更に具体的には、例えば、入力装置2がマウスである場合には、移動させたい遊技要素を表示装置4の画面上のポインタPで指定し、マウスの左クリックを利用したドラグ&ドロップ操作により当該遊技要素を所定の位置へと移動させる。そのような移動の一形態が図6に示されている。また、例えば、「左クリック+CTRLキー」操作により遊技要素を拡大縮小できるようにし、あるいは、「左クリック+SHIFTキー」操作により遊技要素を回転できるようにしても良い。無論、入力装置4がキーボードである場合には、キーボードのキー操作によって座標を直接に入力することにより、遊技要素を移動・拡大縮小・回転できるようにしても良い。
【0051】
なお、このような遊技盤情報の設定・変更を可能にする処理(部材情報設定ステップ)としては、以上のような遊技要素の個別的な(部材毎の)配置位置の設定・変更の他、遊技盤30の前面部の形状の設定・変更、遊技要素の個別的な形態(大きさや形状等)の設定・変更も含まれる。
【0052】
一方、遊技盤30上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更する場合、すなわち、前記パラメータを設定・変更可能にするステップ(部材情報設定ステップ)を行なう場合(前述した遊技盤30の前面部の形状および遊技要素の大きさや形状の設定・変更の場合も同様)には、例えば、マウスを右クリックすることによって表示装置4の画面上にポップアップメニューを出現させ、このポップアップメニューから「パラメータの設定」を選択して、キーボードにより数値等を入力する。前記パラメータとしては、重力加速度(9.8m/s2)、釘107の傾き、遊技盤30および遊技要素の材質、遊技環境の温度および湿度等を挙げることができる。また、前記パラメータには、遊技球(擬似遊技媒体)に係る情報、例えば遊技球の速度を変化させるためのパラメータ等も含まれる。すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップが含まれている。また、遊技球の速度を変化させるためのパラメータとしては、遊技盤(盤面)30の傾斜角、遊技球の発射の初速度(遊技球の打ち出し速度)を挙げることができる。また、遊技盤30および遊技要素の材質に関するパラメータ(材質パラメータ)には、遊技球と遊技要素との間の摩擦係数または反発係数が含まれている。
【0053】
図9には、初期設定時における各遊技要素と遊技球(ボール)との間の摩擦係数および反発係数が示されている。本実施形態において、操作者は、例えば、前記ポップアップメニューから図9に示される表を画面上に出現させ、この表の各数値をキーボードにより個別に設定・変更できるようになっている。すなわち、本実施形態では、マウス等を用いて、部材(遊技盤30や遊技要素等)毎に反発力および摩擦力(材質パラメータ)に関する数値情報を設定変更できるようになっている。また、本実施形態では、これらの材質パラメータ(数値)を軌道計算に確実に反映させるため、材質パラメータの設定がなされないと、後述する計算処理が行なわれないようになっている。無論、そのようになっている必要はない。
【0054】
以上のようにして入力装置4により設定・変更された遊技盤情報およびパラメータは、主制御部6の遊技盤情報変更部16およびパラメータ変更部18によって処理された後、記憶部8に記憶され(前述したアプリケーションの場合には、操作者が設定・変更情報をファイルにセーブする作業を必要としても良い)、ステップS2の遊技盤情報編集処理に続く計算処理(ステップS3)で利用される。
【0055】
図3には、計算処理の基本的な流れが示されている。図示のように、この計算処理では、まず、ステップS10において、スタートボタンがONされたか否かが判断される。前記スタートボタンは、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS11に移行し、NOの場合には、計算処理が終了する。
【0056】
ステップS11では、第1発目の遊技球の遊技領域Aへの打ち出しがセットされる(n←1)。具体的には、ステップS2で設定・変更された遊技盤情報およびパラメータ(重力加速度(9.8m/s2)、反発係数、摩擦係数、盤面の傾き、釘107の傾き等)を固定した状態で、遊技球の発射の初速度(遊技球の打ち出し速度)を各打ち出し毎に無作為に変化させて、遊技盤30上における遊技球の各軌道(1〜n発目の各軌道)にばらつきを持たせるため、遊技球の発射の初速度を、ステップS2で設定・変更された遊技球の初速度を中心とする所定の変動幅内の所定値に設定する。
【0057】
続いて、ステップS12において、この第1発目(n=1)の遊技球の遊技盤30上における軌道が、ステップS2で設定・変更された部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)に基づいて計算される(n=1発目の球軌道シミュレーションが行なわれる(軌道算出ステップ))とともに、ステップS13において、計算された遊技球の軌道が遊技盤30上に表示される(n=1発目の遊技球を発射する(表示ステップ))。なお、このような処理は、主制御部6の球軌道計算部12および表示制御部10の球軌道表示制御部22により所定のプログラムにしたがって行なわれる。また、遊技球の軌道表示の一例が図7に示されている。
【0058】
ステップS13における遊技球の軌道表示が終了すると、続いて、統計値計算処理が行なわれる(ステップS14(集計ステップ))。この処理は、前述したように遊技盤30上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータ(先の例では、遊技球の発射の初速度)を変化させながら、後述するステップS15〜S17を含むループ処理経路Lに沿ってステップS12およびステップS13を繰り返す(nを1から所定の数まで変化させる(仮想的な遊技球を所定数nだけ打ち出す))ことにより、遊技結果に関する所定の統計値(本実施形態では、後述する入賞率または出玉率)を計算するものであるため、第1発目の遊技球の場合には、遊技結果のデータのみが記憶され、実質的な統計値計算処理が行なわれない。すなわち、ステップS14における統計値計算処理は、実質的には、少なくとも第2発目(n=2)以降から行なわれるものである。
【0059】
ここで、統計値の計算方法について、図8を参照しながら簡単に説明する。この図8は、1000発の遊技球を発射した(前記ループ処理において、nを1から1000まで変化させた)シミュレーションにおける入賞率リスト(統計結果)の一例を示している。この入賞率リストには、所定の遊技要素と、シミュレーションにおいてこれらの各遊技要素を通過し或いは各遊技要素に入賞した遊技球の個数とが示されている。無論、これらは、統計値データとして記憶部8に記憶されている。
【0060】
この入賞率リストにおいて、ポイントが加算される入賞用の遊技要素が始動入賞口(特図始動口)115だけであるとすると、統計値としての出玉率(遊技盤上において流下する遊技球(擬似遊技媒体)の総数(打ち出し回数)に対するポイント累積値の比率)は、以下の式から、31.2%となる。
【0061】
賞球数=(始動入賞口に入賞時のポイント加算値)×(始動入賞口への入賞数)
=4×78=312
出玉率=賞球数/発射数=312/1000=31.2(%)
一方、各遊技要素に対する入賞率(遊技盤上において流下する遊技球(擬似遊技媒体)の総数(打ち出し回数)に対する入賞と判定された回数の比率)は、以下の式から計算される(各遊技要素における入賞率は、図8の入賞率リストの「通過数or入賞数」の項目中に括弧書きで示されている)。
【0062】
入賞率=入賞数/発射数
以上のような計算処理は、主制御部6の統計値計算部14により所定のプログラムにしたがって行なわれ、計算された統計値は、主制御部6の統計値表示制御部24により所定のプログラムにしたがって表示装置4の画面上(例えば、仮想的な遊技盤画像(図4参照)の図柄表示部104)に表示される(ステップS15(集計結果表示ステップ))。
【0063】
ステップS15の処理が完了すると、今度は、ステップS16において、第2発目の遊技球の遊技領域Aへの打ち出しがセットされる(n←n+1)。この場合も、前述したステップS11と同様に、遊技球の発射の初速度が、ステップS2で設定・変更された遊技球の初速度を中心とする所定の変動幅内の所定値に設定される。そして、その後、ステップS17において、ストップボタンがONされたか否かが判断される。このストップボタンも、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS18へ移行して、遊技球の遊技領域Aへの打ち出しが停止され(nが0にセットされる)、計算処理が終了する。一方、NOの場合には、ステップS12に戻り、前述したステップS12〜ステップS16の処理が第2発目の遊技球に関して繰り返される。
【0064】
ところで、以上の説明は、遊技盤30上における遊技球のシミュレートであるが、パチンコ遊技機における遊技球は、実際には、遊技盤30上以外の場所においても流下しており、その流下態様を検証することもパチンコ遊技機の設計においては必要不可欠である。
実際のパチンコ遊技機においては、遊技盤30上の所定の入賞領域に遊技球が入賞した際に、払出装置から賞球払出通路を介して遊技球が賞球として遊技者に対して払い出される。この場合、払い出される遊技球は全て上皿へ排出されなければならない。すなわち、パチンコ遊技機の設計においては、上皿が遊技球で満杯状態にならない限り、遊技球が下皿へ排出されないようにしなければならない。その一方で、上皿が遊技球で満杯状態になった時には、上皿の遊技球の一部が下皿へ排出されるようにパチンコ遊技機を設計する必要がある。
【0065】
図10には、このようなパチンコ遊技機の遊技球の払い出し動作等を検証可能な設計を行なえるパチンコ機シミュレータ1Aが示されている。なお、パチンコ機シミュレータ1Aは前述したシミュレータ1とその構成が類似しており、そのため、シミュレータ1と同一の構成部分については、以下、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図示のように、パチンコ機シミュレータ1Aは、シミュレータ本体3と、入力装置2と、表示装置4とから主に構成されている。無論、入力装置2および表示装置4は、シミュレータ本体3から分離されていても良く、あるいは、シミュレータ本体3と一体を成していても良い。
【0066】
シミュレータ本体3は、シミュレータ1における様々な動作を制御するための主制御部6と、遊技機としてのパチンコ遊技機を構成する各部材に関する部材情報(遊技機構成部品情報)を記憶する記憶部8と、主制御部6からの制御信号に基づいて表示部4の表示制御を行なう表示制御部10とを有している。
図13には、前述した遊技盤30の裏側下方に設けられる遊技球の払い出し構造部分が主に示されているが、この図において、参照符号100は、払出装置から上皿の入口102へと遊技球を案内するための賞球払出通路、参照符号106は、隔壁109を介して賞球払出通路100の下流側部分と区画され且つ隔壁109の上端縁を境に一端が賞球払出通路100と連通するとともに他端が下皿の入口104に通じる遊技球排出路、参照符号108は球抜き通路であり、前述した記憶部8に記憶される部材情報には、これらの通路100,106,108等を形成する各種部材の情報が含まれている。
なお、図13中においては、理解を容易にするため、便宜上、通路100,106,108の背面側が開放されているように示されているが、実際には、図示しない壁面により通路100,106,108の背面側は閉塞されており、遊技球が通路100,106,108から離脱しないようになっていることは言うまでもない。また、周知の通り、前記上皿が遊技球で満杯状態になると、上皿の入口102が閉塞状態に設定されるようになっている。したがって、その後の賞球の払い出しによって賞球払出通路100が満杯状態になると、そこから溢れ出る遊技球が遊技球排出路106内に進入するようになる。
【0067】
入力装置2は、前記部材情報を設定または変更するための信号を主制御部6に入力するべく使用される。すなわち、入力装置2は、部材情報(通路100,106,108等を形成する各種部材の情報)を設定・変更するための設定手段として機能する。また、表示装置4は、前記部材情報に基づいて図13に示されるような仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)の少なくとも一部を表示することができる。
主制御部6は、記憶部8に記憶された前記部材情報に基づいて、払出装置から賞球払出通路100を介して上皿の入口102へと流下する遊技球の軌道および上皿が遊技球で満杯状態になった時に上皿の遊技球の一部が下皿へ排出される際の遊技球の軌道等を計算する球軌道演算部(軌道算出手段)12Aを有している。実際には、球軌道演算部12Aは、前記部材情報および後述する変更部16Aで変更された部材情報に基づいて、表示装置4に図13のように表示されるパチンコ遊技機(擬似遊技機)において遊技球(擬似遊技媒体)が流下する軌道を算出する。一方、表示制御部10は、球軌道演算部12Aによって計算された遊技球の軌道を表示装置4上でシミュレートするための球軌道表示制御部22Aを有している。
また、主制御部6は、例えば通路100,106,108に沿う遊技球の軌道に影響を与えるパラメータ(部材情報)を変化させつつ、前記軌道計算および前記シミュレートを繰り返すことにより、設計上における所定の統計値を計算する統計値演算部14Aを有している。一方、表示制御部10は、統計値演算部14Aで計算された統計値を表示装置4に表示させる統計値表示制御部24Aを有している。
【0068】
更に、主制御部6は、入力装置2からの信号に基づいて前記部材情報を変更する部材情報変更部16Aを有している。なお、表示制御部10は、記憶部8に記憶された部材情報あるいは部材情報変更部16Aで変更された部材情報に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)を表示装置4上に配置表示する配置手段としても機能する。
【0069】
なお、本実施形態においては、シミュレータ1Aが前述したシミュレータ1の機能を併せ持っていても良い。すなわち、入力装置2は、通路100,106,108を形成する各種部材の情報と共に遊技盤情報および遊技盤上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更できるようになっていても良く、また、記憶部8は、通路100,106,108等を形成する各種部材の情報と共に遊技盤情報および前記パラメータを記憶していても良く、更に、表示装置4は、図13に示される画像と図4に示される画像とを選択的に表示できても良い。また、球軌道演算部12Aが球軌道計算部12の機能を併せ持つとともに、統計値演算部14Aが統計値計算部14の機能を併せ持ち、更に、部材情報変更部16Aが遊技盤情報変更部16およびパラメータ変更部18の機能を併せ持つとともに、表示制御部22A,24Aが表示制御部22,24の機能を併せ持っていても良い。
【0070】
次に、上記構成のシミュレータ1Aによってパチンコ遊技機の設計を行なう場合について、図11および図12のフローチャートを主に参照しながら詳しく説明する。
【0071】
まず、図11の制御処理のフローチャートに示されるように、ステップS20において、記憶部8に記憶されたパーツファイルを読み出して、通路100,106,108等を形成する各種部材の情報を表示装置4の画面上に表示させる(配置ステップ)。
【0072】
表示装置4上に部材情報を表示させた一例が図13に示されている。この例では、初期設定された部材情報、具体的には、3DCADで作成された通路100,106,108等を形成する遊技機構成部品の初期設定レイアウトが表示装置4上に表示されている。前述した遊技盤の設計の場合と同様に、設計者等の操作者(シミュレータ1がゲーム機として製造されている場合には、遊技者)は、この初期設定レイアウトを任意に変更することにより、具体的には個々の遊技機構成部品を移動等させることにより、所望のレイアウトを決定(設計)することができる。
【0073】
図13に示されるような部材情報が表示装置4上に表示されたら、続いて、ステップS21においてパラメータ設定を行なう。具体的には、前記部材情報を設定・変更可能にするプログラムの機能を利用して、通路100,106,108等を形成する遊技機構成部品を移動・拡大縮小・回転させたり、あるいは、通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更したりする。なお、この際の操作は、前述した遊技盤設計の場合と同様である。
【0074】
通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道に影響を与える前記パラメータとしては、重力加速度(9.8m/s2)、前記遊技機構成部品の材質、遊技環境の温度および湿度等を挙げることができる。また、前記遊技機構成部品の材質に関するパラメータ(材質パラメータ)には、遊技球と通路100,106,108との間の摩擦係数または反発係数も含まれている。
【0075】
図14には、初期設定時における遊技球(ボール)同士およびボールと賞球払出通路100との間の摩擦係数および反発係数が示されている。本実施形態において、操作者は、例えば、前述したポップアップメニューから図14に示される表を画面上に出現させ、この表の各数値をキーボードにより個別に設定・変更できるようになっている。すなわち、本実施形態では、マウス等を用いて、部材毎に反発力および摩擦力(材質パラメータ)に関する数値情報を設定変更できるようになっている。
【0076】
以上のようにして入力装置4により設定・変更された部材情報およびパラメータは、主制御部6の部材情報変更部16Aによって処理された後、記憶部8に記憶され、ステップS21のパラメータ設定処理に続く軌道演算処理(ステップS22)で利用される。
【0077】
図12には、軌道演算処理の基本的な流れが示されている。図示のように、この演算処理では、まず、ステップS30において、スタートボタンがONされたか否かが判断される。前記スタートボタンは、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS31に移行し、NOの場合には、演算処理が終了する。
【0078】
ステップS31では、払出装置からの第1球目の遊技球の払い出しがセットされる(n←1)。続いて、ステップS32において、この第1発目(n=1)の遊技球の通路100,106,108に沿う軌道が、ステップS21で設定・変更された部材情報およびパラメータ(重力加速度(9.8m/s2)、反発係数、摩擦係数、通路100,106,108の材質や傾き等)に基づいて計算される(n=1発目の球軌道シミュレーションが行なわれる(軌道算出ステップ))。また、続いて、ステップS33では、シミュレート中の遊技球の座標が算出され、ステップS34では、算出された遊技球の軌道が図13に示された画像とともに表示装置4上に表示される(n=1発目の遊技球が流下する(表示ステップ))。なお、このような処理は、主制御部6の球軌道演算部12Aおよび表示制御部10の球軌道表示制御部22Aにより所定のプログラムにしたがって行なわれる。
【0079】
ステップS34における遊技球の軌道表示中においては、シミュレート中の遊技球の経時的な座標の変化が常に監視され、それに基づいて、ステップS35において、払出装置からの第2球目の遊技球の払い出しを開始する時間に達したか(次球発射時間が経過したか)否かが判断される。この判断がYESの場合にはステップS36に移行し、NOの場合にはステップS33に戻る。
【0080】
ステップS36では、払出装置からの第2球目の遊技球の払い出しがセットされる(n←n+1)。そして、その後、ステップS37において、シミュレートを終了するか否かが判断される。この判断がYESの場合には、ステップS38へ移行して、払出装置からの遊技球の払い出しが停止され(nが0にセットされる)、演算処理が終了する。一方、NOの場合には、ステップS32に戻り、前述したステップS32〜ステップS37の処理が第2球目の遊技球に関して繰り返される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する部材の情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機(パチンコ遊技機)において擬似遊技媒体(遊技球)が流下する軌道が算出されるとともに、その算出された軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示させることができる(遊技盤30上における遊技球の軌道だけでなく、通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道を表示させることができる)ため、実際に遊技機を製造する前段階において、遊技媒体の軌道を予め認識することが可能となる。したがって、実際に遊技機の試作品等を製作して検証する必要がなく、遊技機の開発コストを大幅に削減することができる。
【0082】
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定できるようになっている。そのため、湿度や温度等といった環境による部材の物質的性質の変化を考慮に入れて遊技球の軌道を検証することができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその配置位置を設定できるようになっている。そのため、部材の配置位置を変更して遊技球の軌道を検証することができ、遊技球の軌道計算の信頼性を高めることができる。また、このように、「部材の配置位置」という遊技機の設計に不可欠な情報が盛り込まれれば、遊技機の設計を所望通りに且つ簡単に行なうことができる。
【0083】
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその形態(形状や大きさ等)を設定できるようになっている。そのため、部材の形態を変化させて遊技球の軌道を検証することができ、遊技球の軌道計算の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、遊技球に係る情報を設定できるようになっているため、例えば、遊技球の材質や環境による物質的性質の変化、遊技球の流下速度等を考慮に入れた設計が可能になる。したがって、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算の信頼度を更に高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、所定の統計値(遊技球が遊技機に対して与えた結果に関する統計値等)が集計されるとともに、その集計結果が表示されるようになっているため、表示された遊技球の軌道および前記統計値に基づいて部材の最終的なレイアウト等を決定できる。そのため、初心者であってもパチンコ遊技機の設計を容易に行なうことができ、ひいては、遊技盤等の試作工程数を削減することができる。また、統計値により遊技球の遊技機に与える影響の傾向を把握することも可能になり、遊技機の開発効率を更に向上させることができる。
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上に対する遊技球の打ち出し回数に対する入賞回数の比率が統計値として計算されるため、所謂「入賞率」に基づいた遊技盤のレイアウトが可能になり、所定の入賞率を備えた遊技盤の設計を容易に行なうことができる。また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上に対する遊技球の打ち出し回数に対するポイント累積数の比率が統計値として計算されるため、所謂「出玉率」に基づいた遊技盤のレイアウトが可能になるため、所定の出玉率を備えた遊技盤の設計を容易に行なうことができる。
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更できるため、遊技球の軌道計算および統計値の計算の信頼性を高めることができる。また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1では、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータに遊技球の打ち出し速度が含まれているため、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を更に高めることができる。
【0084】
また、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の打ち出し速度が無作為に変化されるため、遊技球の軌道にばらつきを持たせることができ、実際の遊技状態により近い状態を再現することができる。したがって、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を高めることができる。また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の速度を変化させるための情報が遊技盤情報として含まれているため、遊技球の速度を関連付けた遊技盤の多面的な設計を行なうことができる。
【0085】
また、パチンコ機シミュレータ1において、遊技球の速度を変化させるための前記情報には、遊技球の打ち出し速度、前記遊技盤の傾斜角が含まれている。そのため、遊技球の速度を関連付けた更に具体的な設計を行なうことができる。
【0086】
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上における遊技球の軌道計算において、遊技盤および遊技要素の材質に関するパラメータを使用するため、実際のパチンコ遊技機に近い球軌道の計算を行なうことができる。また、材質に関するパラメータには、遊技球と前記遊技要素との間の摩擦係数および反発係数が含まれているため、遊技盤および遊技要素の材質に直接関連する物理量が軌道計算に組み込まれ、実際のパチンコ遊技機に近い球軌道の計算を効率的且つ有効に行なうことができる。
【0087】
なお、以上説明したシミュレータ1,1Aの機能が実際のパチンコ遊技機に備わっていても良い。すなわち、図15は実際のパチンコ遊技機100を示すものであるが、このパチンコ遊技機100が図1または図10に示されるシミュレータ本体3の構成または機能を有し、パチンコ遊技機100の例えば遊技盤102上の表示部105が図1または図10の表示装置4の機能を兼ね備えるとともに、パチンコ遊技機100の操作パネル上のスイッチ類120が図1または図10の入力装置2の機能を兼ね備えていても良い。
【0088】
また、シミュレータ1,1Aの前述した処理がプログラムとしてフロッピーディスクやCD等の記憶媒体に記憶されていても良い。その場合には、図16に示されるように、例えばパーソナルコンピュータ200によって記憶媒体202上のデータを読み取って実行し、コンピュータ200のディスプレイ204の画面上に前述したシミュレーション画像を表示することができる。
【0089】
また、前述したシミュレーションは、遊技ネットワークシステムにおいて実現することも可能である。そのような1つの実施形態が図17に示されている。図17に示される遊技ネットワークシステム300は、パチンコ遊技に関する制御を行なうサーバ302と、サーバ302にネットワーク305を介して接続された複数の遊技端末310とを備えて成る。サーバ300は、前述した図1または図10のシミュレータ本体3の構成および機能を有しており、一方、各遊技端末310は、図1または図10の入力装置2および表示装置4の構成または機能を有している。このような構成では、各端末310を操作する遊技者がネットワーク305を介してサーバ302とデータのやりとりを行なうことにより、前述したシミュレーションを実現できる。また、遊技者が前述したシミュレーションのプログラムデータをサーバ302から自分の端末(ハードディスクドライブ等)にダウンロードし、前述したシミュレーションを個別に実現する形態も考えられる。
【0090】
また、前述した実施形態では、遊技機に対する遊技球の流下態様(軌道)を検証できるようになっているが、遊技球以外の遊技媒体、例えばメダルの軌道を検証できるようになっていても良い。また、前述した実施形態では、反発係数および摩擦係数を変更できるようになっているが、変更不能としても良い。更に、前述した実施形態では、本発明がパチンコ遊技機のシミュレーションに適用されているが、スロットマシン等の他の遊技機(ゲーム機)のシミュレーションにも本発明を適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、パチンコ遊技機以外の様々な遊技機の設計および遊技に応用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシミュレータの制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のシミュレータの計算処理を示すフローチャートである。
【図4】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の一例を示す図である。
【図5】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の他の例を示す図である。
【図6】図4のレイアウト画像上の遊技要素をドラッグ&ドロップにより移動させる状態を示す図である。
【図7】図4のレイアウト画像上に表示される遊技球の軌道の一例を示す図である。
【図8】入賞率リストの一例を示している。
【図9】遊技球と各種遊技要素との反発係数および摩擦係数の設定表示例を示している。
【図10】本発明の他の実施形態に係るパチンコ機シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
【図11】図10のシミュレータの制御処理を示すフローチャートである。
【図12】図10のシミュレータの軌道演算処理を示すフローチャートである。
【図13】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の一例を示す図である。
【図14】遊技球同士および遊技球と賞球通路との反発係数および摩擦係数の設定表示例を示している。
【図15】パチンコ遊技機の外観図である。
【図16】図1のシミュレータの処理プログラムを記憶した記憶媒体をコンピュータで読み取って実行する形態の一例を示す概略図である。
【図17】図1のシミュレータの機能を遊技ネットワークシステム上で実現する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1,1A パチンコ機シミュレータ
2 入力装置(操作手段;設定手段)
4 表示装置(表示手段)
6 主制御部
8 記憶部(記憶手段)
10 表示制御部(表示制御手段;配置手段)
12 弾軌道計算部(軌道算出手段)
12A 球軌道演算部(軌道算出手段)
14 統計値計算部
14A 統計値演算部
16 遊技盤情報変更部
16A 部材情報変更部
18 パラメータ変更部
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の動作を所定のパラメータに基づいてシミュレートするためのシミュレーションプログラム、および、そのようなプログラムを実行可能なシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機を設計する場合、例えばパチンコ遊技機を設計する場合には、パチンコ遊技機の遊技盤を実際に製作するとともに、遊技盤上に遊技球を打ち出して遊技盤上における遊技球の軌道を調べ、その結果により、最終的な遊技盤上における遊技要素(例えば、釘、役物、風車、始動口等)のレイアウト等を決定している。
【0003】
しかしながら、このような方法では、遊技要素のレイアウト等を変更したい場合、その都度、遊技盤を製作し直して、遊技球の軌道を調べ直さなければならないため、パチンコ遊技機の設計に多大な手間と時間とを要してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1では、遊技盤上の任意の位置に遊技要素をレイアウトでき、実際に遊技盤を製作しなくても遊技盤上における遊技球の軌道をシミュレートできるパチンコ機シミュレータを提案している。
【特許文献1】特開2000−218029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたパチンコ機シミュレータでは、遊技盤上以外の場所における遊技球の軌道をシミュレートすることができない。実際に、遊技球は、遊技盤上以外の場所においても流下しており、その流下態様を検証することも遊技機の設計においては必要不可欠である。
【0006】
例えば、実際のパチンコ遊技機においては、賞球払出通路(遊技盤上の所定の入賞領域に遊技球が入賞した際に賞球として遊技球を払い出すための通路)を介して遊技者に対して払い出される遊技球が全て上皿へ排出されなければならないが、上皿が遊技球で満杯状態にない時に遊技球が下皿へ排出される場合には、円滑な遊技の進行が妨げられることとなり、賞球払出通路の設計に何らかの誤りがあると考えざるを得ない。こうした場合、遊技機の試作品を作って遊技球の流下態様を検証する従来(遊技盤上以外の場所における遊技球の軌道をシミュレートできない特許文献1においても同様)にあっては、遊技球の流下の不具合(設計ミス)を検証して、再度、試作品を作り直さなければならず、結果として開発コストの高騰を招く虞があった。
【0007】
また、実際のパチンコ遊技機においては、上皿が遊技球で満杯状態にある時には、上皿の遊技球の一部が下皿へ排出されるようになっているため、設計に際しては、円滑な遊技の進行が妨げられないように、上皿から下皿に至る通路内に球詰まりが発生するか否かの検証も行なう必要がある。しかしながら、試作段階で球詰まりが発生した場合、前述した従来の設計形態では、試作の設計変更を余儀なくされることになる(試作品を作り直さなければならなくなる)ため、開発コストが高くなってしまうことは避けられない。
【0008】
また、特許文献1に開示されたパチンコ機シミュレータでは、遊技盤上における遊技球の軌道をシミュレートできるが、その遊技結果に関する統計的なデータを得ることができない。そのため、設計者は、その経験に基づいて、遊技盤上における遊技要素の最終的なレイアウト等を決定しなければならない。すなわち、経験が浅い設計者にとっては、前記パチンコ機シミュレータを使用した場合であっても、依然として、パチンコ遊技機を設計することが困難であった。
【0009】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、試作工程数を削減して開発コストを低減できるとともに、初心者であっても遊技機の設計を容易に行なうことができるシミュレーションプログラムおよびシミュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムは、遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
この請求項1に記載されたシミュレーションプログラムによれば、遊技機を構成する部材の情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道が算出されるとともに、その算出された軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示させることができるため、実際に遊技機を製造する前段階において、遊技媒体の軌道を予め認識することが可能となる。したがって、実際に遊技機の試作品等を製作して検証する必要がなく、遊技機の開発コストを大幅に削減することができる。
【0012】
なお、上記構成において、擬似遊技機とは、仮想空間上に表示されるパチンコ遊技機等の遊技機の全体あるいはその一部の擬似的な表示であり、また、仮想空間とは、例えば部材情報に基づく擬似遊技機にかかるデータが展開される作業領域(例えばRAM)のことである。また、上記構成において、擬似遊技媒体とは、仮想空間上に展開される遊技媒体にかかるデータであり、遊技媒体としては、球やメダル等を挙げることができる。
【0013】
また、上記構成において、遊技機を構成する部材としては、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技盤上の遊技要素(例えば、釘、役物、風車、始動口等)や、遊技機を形成する様々な部位(賞球払出通路等)等を挙げることができる。
【0014】
また、上記構成において、部材情報としては、例えばパチンコ遊技機の場合、所定の遊技領域を有する遊技盤およびこの遊技盤上に配置される遊技要素に関する遊技盤情報や、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータ(例えば遊技盤および遊技要素の材質に関するパラメータ)等を挙げることができる。部材情報設定ステップによって部材情報を適切に設定・変更すれば、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。
【0015】
また、請求項2に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定可能であることを特徴とする。
【0016】
この請求項2に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、湿度や温度等といった環境による部材の物質的性質の変化を考慮に入れて遊技媒体の軌道を検証することができる。
なお、上記構成において、部材の反発力および摩擦力に関する数値情報とは、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球と遊技要素との間の反発係数および摩擦係数を含んでいる。
【0017】
また、請求項3に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1または請求項2に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその配置位置を設定可能であることを特徴とする。
【0018】
この請求項3に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1または請求項2に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、部材の配置位置を変更して遊技媒体の軌道を検証することができ、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。なお、上記構成において、「配置位置」には、部材の傾斜角も含まれる。また、このように、「部材の配置位置」という遊技機の設計に不可欠な情報が盛り込まれれば、遊技機の設計を所望通りに且つ簡単に行なうことができる。
【0019】
また、請求項4に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその形態を設定可能であることを特徴とする。
【0020】
この請求項4に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、部材の形態を変化させて遊技媒体の軌道を検証することができ、遊技媒体の軌道計算の信頼性を高めることができる。なお、上記構成において、「形態」には、部材の形状や大きさが含まれる。
【0021】
また、請求項5に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップを更に含むことを特徴とする。
【0022】
この請求項5に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、擬似遊技媒体に係る情報を設定できるため、例えば、遊技媒体の材質や環境による物質的性質の変化、遊技媒体の流下速度等を考慮に入れた設計が可能になる。なお、「擬似遊技媒体に係る情報」には、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球の打ち出し速度も含まれる。遊技球の打ち出し速度は、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータであり、これを擬似遊技媒体に係る情報として含ませれば、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算の信頼度を更に高めることができる。また、「擬似遊技媒体に係る情報」には、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球の速度を変化させるための情報が含まれていても良い。その場合には、遊技球の速度を関連付けた遊技盤の多面的な設計を行なうことができるため、有益である。
【0023】
また、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果に関する所定の統計値を集計する集計ステップと、前記集計ステップによって集計された結果を表示する集計結果表示ステップとを更に含むことを特徴とする。
【0024】
この請求項6に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、表示された擬似遊技媒体の軌道および前記統計値に基づいて部材の最終的なレイアウト等を決定できるため、初心者であってもパチンコ遊技機の設計を容易に行なうことができ、ひいては、遊技盤の試作工程数を削減することができる。また、統計値により遊技媒体の遊技機に与える影響の傾向を把握することも可能になり、遊技機の開発効率を更に向上させることができる。
【0025】
なお、上記構成において、「擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果」とは、例えばパチンコ遊技機の場合、遊技球が遊技盤上の所定の入賞領域に入賞するという結果を含んでいる。
また、上記構成では、集計ステップにおいて、擬似遊技媒体(遊技媒体)の軌道に影響を与えるパラメータを変化させつつ、前記軌道算出ステップおよび前記表示ステップを繰り返すことにより、遊技結果に関する所定の統計値を計算することが好ましい。この場合、統計値の計算の信頼性を高めることができる。
また、上記構成では、集計ステップにおいて、請求項5に関して前述した「遊技球の打ち出し速度」を無作為に変化させても良い。その場合には、遊技球の軌道にばらつきを持たせることができ、実際の遊技状態により近い状態を再現することができる。したがって、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を高めることができる。
【0026】
また、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記軌道算出ステップにおいては、擬似遊技機に設けられる遊技盤上における擬似遊技媒体の軌道が算出可能であり、擬似遊技媒体が前記遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップを更に含み、前記集計ステップにおいては、前記遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対する入賞と判定された回数の比率が算出されることを特徴とする。
【0027】
この請求項7に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項6に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、所謂「入賞率」に基づいた部材のレイアウトが可能になるため、所定の入賞率を備えた遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【0028】
また、請求項8に記載されたシミュレーションプログラムは、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムにおいて、前記入賞判定領域が複数あり、
前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、擬似遊技媒体が通過した入賞判定領域に応じてポイントが加算されて累積値が算出されるとともに、遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対するポイントの累積値の比率が算出されることを特徴とする。
【0029】
この請求項8に記載されたシミュレーションプログラムによれば、請求項7に記載されたシミュレーションプログラムと同様の作用効果が得られるとともに、所謂「出玉率」に基づいた部材のレイアウトが可能になるため、所定の出玉率を備えた遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【0030】
また、本発明は、前述したシミュレーションプログラムを実行可能なシミュレータも提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明のシミュレーションプログラムおよびシミュレータによれば、試作工程数を削減して開発コストを低減できるとともに、初心者であっても遊技機の設計を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0033】
図1には、本発明の一実施形態に係るパチンコ機シミュレータ1の構成が概略的に示されている。なお、このシミュレータ1は、主にパチンコ遊技機の設計のために使用されるが、遊技性を兼ね備えたパチンコゲーム機として製造されても構わない。以下では、便宜上、シミュレータ1がパチンコ遊技機の設計に適用される場合について詳しく説明する。
【0034】
図1に示されるように、シミュレータ1は、コンピュータを構成するシミュレータ本体3と、操作が可能な操作手段としての入力装置2と、画像を表示する表示手段としての表示装置4とから主に構成されている。なお、図1において、入力装置2および表示装置4は、シミュレータ本体3と分離して示されているが、シミュレータ本体3と一体を成していても良い。
【0035】
シミュレータ本体3は、シミュレータ1における様々な動作を制御するための主制御部6と、遊技機としてのパチンコ遊技機を構成する各部材に関する部材情報、具体的には、所定の遊技領域を有するパチンコ遊技機の遊技盤およびこの遊技盤上に配置される遊技要素(後述する釘、風車、役物等)に関する遊技盤情報を記憶する記憶手段としての記憶部8と、主制御部6からの制御信号に基づいて表示部4の表示制御を行なう表示制御手段としての表示制御部10とを有している。
【0036】
また、入力装置2は、キーボード、マウス、あるいは、他の任意のスイッチ(様々な家庭用ゲーム機で使用されるようなコントローラを含む)から成り、主制御部6に接続されるとともに、前記遊技盤情報および遊技盤上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定または変更するための信号を主制御部6に入力するべく使用される。すなわち、入力装置2は、部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)を設定・変更するための設定手段として機能する。なお、前記パラメータには、後述するように、前記遊技盤および前記遊技要素の材質に関するパラメータも含まれる。
【0037】
また、表示装置4は、液晶、CRT等の現在知られている様々なディスプレイ装置から成り、前記遊技盤情報に基づいて仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)の少なくとも一部を表示することができる。
主制御部6は、記憶部8に記憶された前記遊技盤情報に基づいて、前記遊技盤に向けて打ち出される遊技球の遊技盤上における軌道を計算する球軌道計算部(軌道算出手段)12を有している。実際には、球軌道計算部12は、前記遊技盤情報および後述する変更部16,18で変更された部材情報に基づいて、表示装置4の仮想空間上に表示されるパチンコ遊技機(擬似遊技機)において遊技球である擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する。一方、表示制御部10は、球軌道計算部12によって計算された遊技球の軌道を表示装置4上でシミュレートするための球軌道表示制御部22を有している。具体的に、球軌道表示制御部22は、球軌道計算部12によって算出された軌道に基づいて仮想的な遊技球(擬似遊技媒体)を仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)において流下させるシミュレート画像を表示装置4に表示させる。
また、主制御部6は、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータを変化させつつ、前記軌道計算および前記シミュレートを繰り返すことにより、遊技結果(擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果)に関する所定の統計値を計算する統計値計算部14を有している。一方、表示制御部10は、統計値計算部14で計算された統計値を表示装置4に表示させる統計値表示制御部24を有している。
【0038】
更に、主制御部6は、入力装置2からの信号に基づいて前記遊技盤情報を変更する遊技盤情報変更部16と、主制御部6内で所定のプログラムにしたがって前記パラメータを変更し或いは入力装置2からの信号に基づいて前記パラメータを変更するパラメータ変更部18とを有している。なお、表示制御部10は、記憶部8に記憶された遊技盤情報あるいは前記各変更部16,18で変更された部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)を表示装置4上に配置表示する(具体的には、前記部材情報に基づいて、RAM等の作業領域で擬似遊技機にかかるデータが展開される)配置手段としても機能する。
【0039】
次に、上記構成のシミュレータ1によってパチンコ遊技機の設計を行なう場合について、図2および図3のフローチャートを主に参照しながら詳しく説明する。
【0040】
まず、図2の制御処理のフローチャートに示されるように、ステップS1において、遊技盤情報を表示装置4の画面上に表示させる(配置ステップ)。これは、例えば、シミュレータ1のシミュレータ本体3の電源をONするとともに、入力装置2の所定のキーまたはスイッチを操作することにより行なわれる。あるいは、入力装置2がマウスである場合には、電源ONと共に表示装置4上の画面に表示される所定の項目にポインタを合わせて左クリックすることにより、前記遊技盤情報を表示装置4に表示させることができる。無論、記憶部8に記憶されているアプリケーションプログラムを立ち上げて、所定のファイルから前記遊技盤情報をロードする形態も考えられる。
【0041】
表示装置4上に遊技盤情報を表示させた一例が図4に示されている。この例では、初期設定された遊技盤情報、具体的には、遊技盤30および遊技盤30上に配置される遊技要素の初期設定レイアウトが表示装置4上に表示されている(記憶部8に記憶された遊技盤情報に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機の少なくとも一部が表示装置4の画面上(仮想空間上)に配置表示されている)。後述するように、設計者等の操作者(シミュレータ1がゲーム機として製造されている場合には、遊技者)は、この初期設定レイアウトを任意に変更することにより、具体的には個々の遊技要素を移動等させることにより、所望のレイアウトを決定(設計)することができる。
【0042】
なお、表示装置4上に遊技盤情報を表示させる他の例としては、例えば図5に示されるように、表示装置4の画面上に遊技盤30の外形と遊技要素のセットSとが別個に表示される表示形態も考えられる。この表示形態の場合、操作者は、遊技要素のセットSの中から1つずつ遊技要素を遊技盤30上に位置決めすることにより所望のレイアウトを決定することができる。
【0043】
ここで、図4を参照しながら、遊技盤30上に配置される遊技要素を、実際のパチンコ遊技機と関連付けて簡単に説明する。遊技盤30の遊技領域Aの略中央には、遊技状態を決定するための識別図柄(特別図柄;普通図柄)の変動表示および演出アニメーションを含む表示が行なわれる遊技要素としての図柄表示部104が設けられている。この図柄表示部104は、実際のパチンコ遊技機では、画像信号入力に基づいて識別図柄の変動表示および演出アニメーションを含む表示を主に行なう領域であり、後述の始動入賞口115に遊技球が入賞(「始動入賞」という)することにより識別図柄の変動表示を開始するものである。なお、実際のパチンコ遊技機では、識別図柄の変動表示が所定の表示態様で停止すると、「大当たり」となり、遊技者にとって有利な「特定遊技状態」(大当たり遊技状態)に移行するようになっている。
【0044】
図柄表示部104の直ぐ上側には、遊技要素としてのセンター飾り103が設けられている。図柄表示部104の下方には、遊技要素としての始動入賞口115および普通電動役物飾り112が設けられている。なお、実際のパチンコ遊技機において、普通電動役物飾り112は、始動入賞口115へ入賞しやすい第1状態と始動入賞口115に入賞しにくい第2状態とに変換可能な可動片112aを有しており(所謂「チューリップ」)、この可動片112aが閉じた第2状態であっても、遊技球が1個程度入賞可能である。そして、遊技球が始動入賞口115に入賞すると、例えば5個の賞球が払い出される。後述するが、本実施形態のシミュレータ1では、実際に遊技球が打ち出されるものではなく、遊技球の軌道がシミュレートされるだけであるため、始動入賞口115等への遊技球の入賞による賞球の払い出しは行なわれず、その代わり、入賞形態に応じた所定のポイントが加算されるようになっている(すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、入賞形態に応じて所定数のポイントを加算する集計ステップが含まれている)。また、後述するが、本実施形態のシミュレータ1における入賞とは、遊技盤30上で所定の軌道を辿る仮想的な遊技球(擬似遊技媒体)が所定の遊技要素(入賞用の遊技要素:入賞判定領域)と関連付けられる(具体的には、遊技球の軌道が入賞用の遊技要素またはその入賞口を通過する)ことによって成立する。すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、遊技盤上で所定の軌道を辿る遊技球が所定の遊技要素と関連付けられることによって入賞を成立させるステップ、具体的には、擬似遊技媒体が遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップが含まれている。また、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップも含まれている。
【0045】
図柄表示部104の左右には、遊技要素としての普通図柄作動用ゲート105,120が設けられている。実際のパチンコ遊技機では、この普通図柄作動用ゲート105,120に遊技球が通過すると、図柄表示部104によって普通図柄表示用の「○、×」の画像が交互に点灯されるようになっており、所定時間経過後、「○」の画像のみが点灯されると、普通電動役物飾り112が第1状態に変換される。
【0046】
普通電動役物飾り112の下方には、遊技者にとって有利な「開状態」と遊技者にとって不利な「閉状態」とに変換可能な扉開閉式の変動入賞装置からなる遊技要素としての大入賞口114が設けられている。実際のパチンコ遊技機において、この大入賞口114は、図柄表示部104での特別図柄の変動表示が大当たり停止態様で停止したときに、所定時間だけ開状態に維持される。そして、本実施形態においては、例えば、この大入賞口114に仮想的な遊技球が入賞すると、所定のポイント数が加算されるように定められている。前述の「特定遊技状態」とは、この大入賞口114が開状態となり、大入賞口114への10球入賞あるいは30秒経過まで開状態が連続する遊技(以下、「大当たり遊技」という)を、15回(ラウンド)行なうことができる遊技状態である。
【0047】
大入賞口114の左右には、遊技要素としてのサイドランプ110,116が設けられている。また、大入賞口114の下方には、アウト球を回収する遊技要素としてのアウト口113が設けられている。また、遊技盤30の左右には、遊技要素としてのレール122のセットが設けられている。後述する仮想的な遊技球の軌道は、このレール122に沿って上昇移動し、遊技領域に打ち込まれる。
【0048】
図柄表示部104の左右上下には、遊技要素としての左風車119,121および右風車102,106が設けられている。実際のパチンコ遊技機において、これらの風車102,106,119,121は、遊技球の流下経路を変更するとともに、遊技球が衝突したときに回転して遊技性を増大させる機能を果しているが、本実施形態においても、後述する遊技球の軌道計算において、この機能が加味される。
【0049】
また、始動入賞口115の左右側には、遊技要素としての一般入賞口108,109,117,118が設けられている。更に、遊技領域A内には、遊技要素としての多数の遊技釘107が点在して設けられている。
【0050】
ここで、図2のフローチャートに沿う制御処理に話を戻すと、ステップS1において、前述したように初期設定された遊技盤情報を表示装置4の画面上に表示させたら、続いて、ステップS2において、遊技盤情報の編集処理を行なう。具体的には、前記遊技盤情報および前記パラメータを設定・変更可能にするプログラムの機能を利用して、遊技要素を移動・拡大縮小・回転させたり、あるいは、前記パラメータを設定・変更したりする。更に具体的には、例えば、入力装置2がマウスである場合には、移動させたい遊技要素を表示装置4の画面上のポインタPで指定し、マウスの左クリックを利用したドラグ&ドロップ操作により当該遊技要素を所定の位置へと移動させる。そのような移動の一形態が図6に示されている。また、例えば、「左クリック+CTRLキー」操作により遊技要素を拡大縮小できるようにし、あるいは、「左クリック+SHIFTキー」操作により遊技要素を回転できるようにしても良い。無論、入力装置4がキーボードである場合には、キーボードのキー操作によって座標を直接に入力することにより、遊技要素を移動・拡大縮小・回転できるようにしても良い。
【0051】
なお、このような遊技盤情報の設定・変更を可能にする処理(部材情報設定ステップ)としては、以上のような遊技要素の個別的な(部材毎の)配置位置の設定・変更の他、遊技盤30の前面部の形状の設定・変更、遊技要素の個別的な形態(大きさや形状等)の設定・変更も含まれる。
【0052】
一方、遊技盤30上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更する場合、すなわち、前記パラメータを設定・変更可能にするステップ(部材情報設定ステップ)を行なう場合(前述した遊技盤30の前面部の形状および遊技要素の大きさや形状の設定・変更の場合も同様)には、例えば、マウスを右クリックすることによって表示装置4の画面上にポップアップメニューを出現させ、このポップアップメニューから「パラメータの設定」を選択して、キーボードにより数値等を入力する。前記パラメータとしては、重力加速度(9.8m/s2)、釘107の傾き、遊技盤30および遊技要素の材質、遊技環境の温度および湿度等を挙げることができる。また、前記パラメータには、遊技球(擬似遊技媒体)に係る情報、例えば遊技球の速度を変化させるためのパラメータ等も含まれる。すなわち、本実施形態のシミュレータ1の処理プログラムには、擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップが含まれている。また、遊技球の速度を変化させるためのパラメータとしては、遊技盤(盤面)30の傾斜角、遊技球の発射の初速度(遊技球の打ち出し速度)を挙げることができる。また、遊技盤30および遊技要素の材質に関するパラメータ(材質パラメータ)には、遊技球と遊技要素との間の摩擦係数または反発係数が含まれている。
【0053】
図9には、初期設定時における各遊技要素と遊技球(ボール)との間の摩擦係数および反発係数が示されている。本実施形態において、操作者は、例えば、前記ポップアップメニューから図9に示される表を画面上に出現させ、この表の各数値をキーボードにより個別に設定・変更できるようになっている。すなわち、本実施形態では、マウス等を用いて、部材(遊技盤30や遊技要素等)毎に反発力および摩擦力(材質パラメータ)に関する数値情報を設定変更できるようになっている。また、本実施形態では、これらの材質パラメータ(数値)を軌道計算に確実に反映させるため、材質パラメータの設定がなされないと、後述する計算処理が行なわれないようになっている。無論、そのようになっている必要はない。
【0054】
以上のようにして入力装置4により設定・変更された遊技盤情報およびパラメータは、主制御部6の遊技盤情報変更部16およびパラメータ変更部18によって処理された後、記憶部8に記憶され(前述したアプリケーションの場合には、操作者が設定・変更情報をファイルにセーブする作業を必要としても良い)、ステップS2の遊技盤情報編集処理に続く計算処理(ステップS3)で利用される。
【0055】
図3には、計算処理の基本的な流れが示されている。図示のように、この計算処理では、まず、ステップS10において、スタートボタンがONされたか否かが判断される。前記スタートボタンは、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS11に移行し、NOの場合には、計算処理が終了する。
【0056】
ステップS11では、第1発目の遊技球の遊技領域Aへの打ち出しがセットされる(n←1)。具体的には、ステップS2で設定・変更された遊技盤情報およびパラメータ(重力加速度(9.8m/s2)、反発係数、摩擦係数、盤面の傾き、釘107の傾き等)を固定した状態で、遊技球の発射の初速度(遊技球の打ち出し速度)を各打ち出し毎に無作為に変化させて、遊技盤30上における遊技球の各軌道(1〜n発目の各軌道)にばらつきを持たせるため、遊技球の発射の初速度を、ステップS2で設定・変更された遊技球の初速度を中心とする所定の変動幅内の所定値に設定する。
【0057】
続いて、ステップS12において、この第1発目(n=1)の遊技球の遊技盤30上における軌道が、ステップS2で設定・変更された部材情報(遊技盤情報およびパラメータ)に基づいて計算される(n=1発目の球軌道シミュレーションが行なわれる(軌道算出ステップ))とともに、ステップS13において、計算された遊技球の軌道が遊技盤30上に表示される(n=1発目の遊技球を発射する(表示ステップ))。なお、このような処理は、主制御部6の球軌道計算部12および表示制御部10の球軌道表示制御部22により所定のプログラムにしたがって行なわれる。また、遊技球の軌道表示の一例が図7に示されている。
【0058】
ステップS13における遊技球の軌道表示が終了すると、続いて、統計値計算処理が行なわれる(ステップS14(集計ステップ))。この処理は、前述したように遊技盤30上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータ(先の例では、遊技球の発射の初速度)を変化させながら、後述するステップS15〜S17を含むループ処理経路Lに沿ってステップS12およびステップS13を繰り返す(nを1から所定の数まで変化させる(仮想的な遊技球を所定数nだけ打ち出す))ことにより、遊技結果に関する所定の統計値(本実施形態では、後述する入賞率または出玉率)を計算するものであるため、第1発目の遊技球の場合には、遊技結果のデータのみが記憶され、実質的な統計値計算処理が行なわれない。すなわち、ステップS14における統計値計算処理は、実質的には、少なくとも第2発目(n=2)以降から行なわれるものである。
【0059】
ここで、統計値の計算方法について、図8を参照しながら簡単に説明する。この図8は、1000発の遊技球を発射した(前記ループ処理において、nを1から1000まで変化させた)シミュレーションにおける入賞率リスト(統計結果)の一例を示している。この入賞率リストには、所定の遊技要素と、シミュレーションにおいてこれらの各遊技要素を通過し或いは各遊技要素に入賞した遊技球の個数とが示されている。無論、これらは、統計値データとして記憶部8に記憶されている。
【0060】
この入賞率リストにおいて、ポイントが加算される入賞用の遊技要素が始動入賞口(特図始動口)115だけであるとすると、統計値としての出玉率(遊技盤上において流下する遊技球(擬似遊技媒体)の総数(打ち出し回数)に対するポイント累積値の比率)は、以下の式から、31.2%となる。
【0061】
賞球数=(始動入賞口に入賞時のポイント加算値)×(始動入賞口への入賞数)
=4×78=312
出玉率=賞球数/発射数=312/1000=31.2(%)
一方、各遊技要素に対する入賞率(遊技盤上において流下する遊技球(擬似遊技媒体)の総数(打ち出し回数)に対する入賞と判定された回数の比率)は、以下の式から計算される(各遊技要素における入賞率は、図8の入賞率リストの「通過数or入賞数」の項目中に括弧書きで示されている)。
【0062】
入賞率=入賞数/発射数
以上のような計算処理は、主制御部6の統計値計算部14により所定のプログラムにしたがって行なわれ、計算された統計値は、主制御部6の統計値表示制御部24により所定のプログラムにしたがって表示装置4の画面上(例えば、仮想的な遊技盤画像(図4参照)の図柄表示部104)に表示される(ステップS15(集計結果表示ステップ))。
【0063】
ステップS15の処理が完了すると、今度は、ステップS16において、第2発目の遊技球の遊技領域Aへの打ち出しがセットされる(n←n+1)。この場合も、前述したステップS11と同様に、遊技球の発射の初速度が、ステップS2で設定・変更された遊技球の初速度を中心とする所定の変動幅内の所定値に設定される。そして、その後、ステップS17において、ストップボタンがONされたか否かが判断される。このストップボタンも、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS18へ移行して、遊技球の遊技領域Aへの打ち出しが停止され(nが0にセットされる)、計算処理が終了する。一方、NOの場合には、ステップS12に戻り、前述したステップS12〜ステップS16の処理が第2発目の遊技球に関して繰り返される。
【0064】
ところで、以上の説明は、遊技盤30上における遊技球のシミュレートであるが、パチンコ遊技機における遊技球は、実際には、遊技盤30上以外の場所においても流下しており、その流下態様を検証することもパチンコ遊技機の設計においては必要不可欠である。
実際のパチンコ遊技機においては、遊技盤30上の所定の入賞領域に遊技球が入賞した際に、払出装置から賞球払出通路を介して遊技球が賞球として遊技者に対して払い出される。この場合、払い出される遊技球は全て上皿へ排出されなければならない。すなわち、パチンコ遊技機の設計においては、上皿が遊技球で満杯状態にならない限り、遊技球が下皿へ排出されないようにしなければならない。その一方で、上皿が遊技球で満杯状態になった時には、上皿の遊技球の一部が下皿へ排出されるようにパチンコ遊技機を設計する必要がある。
【0065】
図10には、このようなパチンコ遊技機の遊技球の払い出し動作等を検証可能な設計を行なえるパチンコ機シミュレータ1Aが示されている。なお、パチンコ機シミュレータ1Aは前述したシミュレータ1とその構成が類似しており、そのため、シミュレータ1と同一の構成部分については、以下、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図示のように、パチンコ機シミュレータ1Aは、シミュレータ本体3と、入力装置2と、表示装置4とから主に構成されている。無論、入力装置2および表示装置4は、シミュレータ本体3から分離されていても良く、あるいは、シミュレータ本体3と一体を成していても良い。
【0066】
シミュレータ本体3は、シミュレータ1における様々な動作を制御するための主制御部6と、遊技機としてのパチンコ遊技機を構成する各部材に関する部材情報(遊技機構成部品情報)を記憶する記憶部8と、主制御部6からの制御信号に基づいて表示部4の表示制御を行なう表示制御部10とを有している。
図13には、前述した遊技盤30の裏側下方に設けられる遊技球の払い出し構造部分が主に示されているが、この図において、参照符号100は、払出装置から上皿の入口102へと遊技球を案内するための賞球払出通路、参照符号106は、隔壁109を介して賞球払出通路100の下流側部分と区画され且つ隔壁109の上端縁を境に一端が賞球払出通路100と連通するとともに他端が下皿の入口104に通じる遊技球排出路、参照符号108は球抜き通路であり、前述した記憶部8に記憶される部材情報には、これらの通路100,106,108等を形成する各種部材の情報が含まれている。
なお、図13中においては、理解を容易にするため、便宜上、通路100,106,108の背面側が開放されているように示されているが、実際には、図示しない壁面により通路100,106,108の背面側は閉塞されており、遊技球が通路100,106,108から離脱しないようになっていることは言うまでもない。また、周知の通り、前記上皿が遊技球で満杯状態になると、上皿の入口102が閉塞状態に設定されるようになっている。したがって、その後の賞球の払い出しによって賞球払出通路100が満杯状態になると、そこから溢れ出る遊技球が遊技球排出路106内に進入するようになる。
【0067】
入力装置2は、前記部材情報を設定または変更するための信号を主制御部6に入力するべく使用される。すなわち、入力装置2は、部材情報(通路100,106,108等を形成する各種部材の情報)を設定・変更するための設定手段として機能する。また、表示装置4は、前記部材情報に基づいて図13に示されるような仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)の少なくとも一部を表示することができる。
主制御部6は、記憶部8に記憶された前記部材情報に基づいて、払出装置から賞球払出通路100を介して上皿の入口102へと流下する遊技球の軌道および上皿が遊技球で満杯状態になった時に上皿の遊技球の一部が下皿へ排出される際の遊技球の軌道等を計算する球軌道演算部(軌道算出手段)12Aを有している。実際には、球軌道演算部12Aは、前記部材情報および後述する変更部16Aで変更された部材情報に基づいて、表示装置4に図13のように表示されるパチンコ遊技機(擬似遊技機)において遊技球(擬似遊技媒体)が流下する軌道を算出する。一方、表示制御部10は、球軌道演算部12Aによって計算された遊技球の軌道を表示装置4上でシミュレートするための球軌道表示制御部22Aを有している。
また、主制御部6は、例えば通路100,106,108に沿う遊技球の軌道に影響を与えるパラメータ(部材情報)を変化させつつ、前記軌道計算および前記シミュレートを繰り返すことにより、設計上における所定の統計値を計算する統計値演算部14Aを有している。一方、表示制御部10は、統計値演算部14Aで計算された統計値を表示装置4に表示させる統計値表示制御部24Aを有している。
【0068】
更に、主制御部6は、入力装置2からの信号に基づいて前記部材情報を変更する部材情報変更部16Aを有している。なお、表示制御部10は、記憶部8に記憶された部材情報あるいは部材情報変更部16Aで変更された部材情報に基づいて、仮想的なパチンコ遊技機(擬似遊技機)を表示装置4上に配置表示する配置手段としても機能する。
【0069】
なお、本実施形態においては、シミュレータ1Aが前述したシミュレータ1の機能を併せ持っていても良い。すなわち、入力装置2は、通路100,106,108を形成する各種部材の情報と共に遊技盤情報および遊技盤上における遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更できるようになっていても良く、また、記憶部8は、通路100,106,108等を形成する各種部材の情報と共に遊技盤情報および前記パラメータを記憶していても良く、更に、表示装置4は、図13に示される画像と図4に示される画像とを選択的に表示できても良い。また、球軌道演算部12Aが球軌道計算部12の機能を併せ持つとともに、統計値演算部14Aが統計値計算部14の機能を併せ持ち、更に、部材情報変更部16Aが遊技盤情報変更部16およびパラメータ変更部18の機能を併せ持つとともに、表示制御部22A,24Aが表示制御部22,24の機能を併せ持っていても良い。
【0070】
次に、上記構成のシミュレータ1Aによってパチンコ遊技機の設計を行なう場合について、図11および図12のフローチャートを主に参照しながら詳しく説明する。
【0071】
まず、図11の制御処理のフローチャートに示されるように、ステップS20において、記憶部8に記憶されたパーツファイルを読み出して、通路100,106,108等を形成する各種部材の情報を表示装置4の画面上に表示させる(配置ステップ)。
【0072】
表示装置4上に部材情報を表示させた一例が図13に示されている。この例では、初期設定された部材情報、具体的には、3DCADで作成された通路100,106,108等を形成する遊技機構成部品の初期設定レイアウトが表示装置4上に表示されている。前述した遊技盤の設計の場合と同様に、設計者等の操作者(シミュレータ1がゲーム機として製造されている場合には、遊技者)は、この初期設定レイアウトを任意に変更することにより、具体的には個々の遊技機構成部品を移動等させることにより、所望のレイアウトを決定(設計)することができる。
【0073】
図13に示されるような部材情報が表示装置4上に表示されたら、続いて、ステップS21においてパラメータ設定を行なう。具体的には、前記部材情報を設定・変更可能にするプログラムの機能を利用して、通路100,106,108等を形成する遊技機構成部品を移動・拡大縮小・回転させたり、あるいは、通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更したりする。なお、この際の操作は、前述した遊技盤設計の場合と同様である。
【0074】
通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道に影響を与える前記パラメータとしては、重力加速度(9.8m/s2)、前記遊技機構成部品の材質、遊技環境の温度および湿度等を挙げることができる。また、前記遊技機構成部品の材質に関するパラメータ(材質パラメータ)には、遊技球と通路100,106,108との間の摩擦係数または反発係数も含まれている。
【0075】
図14には、初期設定時における遊技球(ボール)同士およびボールと賞球払出通路100との間の摩擦係数および反発係数が示されている。本実施形態において、操作者は、例えば、前述したポップアップメニューから図14に示される表を画面上に出現させ、この表の各数値をキーボードにより個別に設定・変更できるようになっている。すなわち、本実施形態では、マウス等を用いて、部材毎に反発力および摩擦力(材質パラメータ)に関する数値情報を設定変更できるようになっている。
【0076】
以上のようにして入力装置4により設定・変更された部材情報およびパラメータは、主制御部6の部材情報変更部16Aによって処理された後、記憶部8に記憶され、ステップS21のパラメータ設定処理に続く軌道演算処理(ステップS22)で利用される。
【0077】
図12には、軌道演算処理の基本的な流れが示されている。図示のように、この演算処理では、まず、ステップS30において、スタートボタンがONされたか否かが判断される。前記スタートボタンは、例えば入力装置4を構成するキーボード上の所定のキーであっても良い。この判断がYESの場合には、ステップS31に移行し、NOの場合には、演算処理が終了する。
【0078】
ステップS31では、払出装置からの第1球目の遊技球の払い出しがセットされる(n←1)。続いて、ステップS32において、この第1発目(n=1)の遊技球の通路100,106,108に沿う軌道が、ステップS21で設定・変更された部材情報およびパラメータ(重力加速度(9.8m/s2)、反発係数、摩擦係数、通路100,106,108の材質や傾き等)に基づいて計算される(n=1発目の球軌道シミュレーションが行なわれる(軌道算出ステップ))。また、続いて、ステップS33では、シミュレート中の遊技球の座標が算出され、ステップS34では、算出された遊技球の軌道が図13に示された画像とともに表示装置4上に表示される(n=1発目の遊技球が流下する(表示ステップ))。なお、このような処理は、主制御部6の球軌道演算部12Aおよび表示制御部10の球軌道表示制御部22Aにより所定のプログラムにしたがって行なわれる。
【0079】
ステップS34における遊技球の軌道表示中においては、シミュレート中の遊技球の経時的な座標の変化が常に監視され、それに基づいて、ステップS35において、払出装置からの第2球目の遊技球の払い出しを開始する時間に達したか(次球発射時間が経過したか)否かが判断される。この判断がYESの場合にはステップS36に移行し、NOの場合にはステップS33に戻る。
【0080】
ステップS36では、払出装置からの第2球目の遊技球の払い出しがセットされる(n←n+1)。そして、その後、ステップS37において、シミュレートを終了するか否かが判断される。この判断がYESの場合には、ステップS38へ移行して、払出装置からの遊技球の払い出しが停止され(nが0にセットされる)、演算処理が終了する。一方、NOの場合には、ステップS32に戻り、前述したステップS32〜ステップS37の処理が第2球目の遊技球に関して繰り返される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する部材の情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機(パチンコ遊技機)において擬似遊技媒体(遊技球)が流下する軌道が算出されるとともに、その算出された軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示させることができる(遊技盤30上における遊技球の軌道だけでなく、通路100,106,108等に沿う遊技球の軌道を表示させることができる)ため、実際に遊技機を製造する前段階において、遊技媒体の軌道を予め認識することが可能となる。したがって、実際に遊技機の試作品等を製作して検証する必要がなく、遊技機の開発コストを大幅に削減することができる。
【0082】
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定できるようになっている。そのため、湿度や温度等といった環境による部材の物質的性質の変化を考慮に入れて遊技球の軌道を検証することができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその配置位置を設定できるようになっている。そのため、部材の配置位置を変更して遊技球の軌道を検証することができ、遊技球の軌道計算の信頼性を高めることができる。また、このように、「部材の配置位置」という遊技機の設計に不可欠な情報が盛り込まれれば、遊技機の設計を所望通りに且つ簡単に行なうことができる。
【0083】
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、パチンコ遊技機を構成する各種部材毎にその形態(形状や大きさ等)を設定できるようになっている。そのため、部材の形態を変化させて遊技球の軌道を検証することができ、遊技球の軌道計算の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、遊技球に係る情報を設定できるようになっているため、例えば、遊技球の材質や環境による物質的性質の変化、遊技球の流下速度等を考慮に入れた設計が可能になる。したがって、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算の信頼度を更に高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1,1Aでは、所定の統計値(遊技球が遊技機に対して与えた結果に関する統計値等)が集計されるとともに、その集計結果が表示されるようになっているため、表示された遊技球の軌道および前記統計値に基づいて部材の最終的なレイアウト等を決定できる。そのため、初心者であってもパチンコ遊技機の設計を容易に行なうことができ、ひいては、遊技盤等の試作工程数を削減することができる。また、統計値により遊技球の遊技機に与える影響の傾向を把握することも可能になり、遊技機の開発効率を更に向上させることができる。
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上に対する遊技球の打ち出し回数に対する入賞回数の比率が統計値として計算されるため、所謂「入賞率」に基づいた遊技盤のレイアウトが可能になり、所定の入賞率を備えた遊技盤の設計を容易に行なうことができる。また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上に対する遊技球の打ち出し回数に対するポイント累積数の比率が統計値として計算されるため、所謂「出玉率」に基づいた遊技盤のレイアウトが可能になるため、所定の出玉率を備えた遊技盤の設計を容易に行なうことができる。
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータを設定・変更できるため、遊技球の軌道計算および統計値の計算の信頼性を高めることができる。また、本実施形態のパチンコ機シミュレータ1では、遊技球の遊技盤上における軌道に影響を与えるパラメータに遊技球の打ち出し速度が含まれているため、実際の遊技球の動作に近い動作を再現でき、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を更に高めることができる。
【0084】
また、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の打ち出し速度が無作為に変化されるため、遊技球の軌道にばらつきを持たせることができ、実際の遊技状態により近い状態を再現することができる。したがって、遊技球の軌道計算および統計値計算の信頼度を高めることができる。また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技球の速度を変化させるための情報が遊技盤情報として含まれているため、遊技球の速度を関連付けた遊技盤の多面的な設計を行なうことができる。
【0085】
また、パチンコ機シミュレータ1において、遊技球の速度を変化させるための前記情報には、遊技球の打ち出し速度、前記遊技盤の傾斜角が含まれている。そのため、遊技球の速度を関連付けた更に具体的な設計を行なうことができる。
【0086】
また、特に、パチンコ機シミュレータ1では、遊技盤上における遊技球の軌道計算において、遊技盤および遊技要素の材質に関するパラメータを使用するため、実際のパチンコ遊技機に近い球軌道の計算を行なうことができる。また、材質に関するパラメータには、遊技球と前記遊技要素との間の摩擦係数および反発係数が含まれているため、遊技盤および遊技要素の材質に直接関連する物理量が軌道計算に組み込まれ、実際のパチンコ遊技機に近い球軌道の計算を効率的且つ有効に行なうことができる。
【0087】
なお、以上説明したシミュレータ1,1Aの機能が実際のパチンコ遊技機に備わっていても良い。すなわち、図15は実際のパチンコ遊技機100を示すものであるが、このパチンコ遊技機100が図1または図10に示されるシミュレータ本体3の構成または機能を有し、パチンコ遊技機100の例えば遊技盤102上の表示部105が図1または図10の表示装置4の機能を兼ね備えるとともに、パチンコ遊技機100の操作パネル上のスイッチ類120が図1または図10の入力装置2の機能を兼ね備えていても良い。
【0088】
また、シミュレータ1,1Aの前述した処理がプログラムとしてフロッピーディスクやCD等の記憶媒体に記憶されていても良い。その場合には、図16に示されるように、例えばパーソナルコンピュータ200によって記憶媒体202上のデータを読み取って実行し、コンピュータ200のディスプレイ204の画面上に前述したシミュレーション画像を表示することができる。
【0089】
また、前述したシミュレーションは、遊技ネットワークシステムにおいて実現することも可能である。そのような1つの実施形態が図17に示されている。図17に示される遊技ネットワークシステム300は、パチンコ遊技に関する制御を行なうサーバ302と、サーバ302にネットワーク305を介して接続された複数の遊技端末310とを備えて成る。サーバ300は、前述した図1または図10のシミュレータ本体3の構成および機能を有しており、一方、各遊技端末310は、図1または図10の入力装置2および表示装置4の構成または機能を有している。このような構成では、各端末310を操作する遊技者がネットワーク305を介してサーバ302とデータのやりとりを行なうことにより、前述したシミュレーションを実現できる。また、遊技者が前述したシミュレーションのプログラムデータをサーバ302から自分の端末(ハードディスクドライブ等)にダウンロードし、前述したシミュレーションを個別に実現する形態も考えられる。
【0090】
また、前述した実施形態では、遊技機に対する遊技球の流下態様(軌道)を検証できるようになっているが、遊技球以外の遊技媒体、例えばメダルの軌道を検証できるようになっていても良い。また、前述した実施形態では、反発係数および摩擦係数を変更できるようになっているが、変更不能としても良い。更に、前述した実施形態では、本発明がパチンコ遊技機のシミュレーションに適用されているが、スロットマシン等の他の遊技機(ゲーム機)のシミュレーションにも本発明を適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、パチンコ遊技機以外の様々な遊技機の設計および遊技に応用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシミュレータの制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のシミュレータの計算処理を示すフローチャートである。
【図4】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の一例を示す図である。
【図5】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の他の例を示す図である。
【図6】図4のレイアウト画像上の遊技要素をドラッグ&ドロップにより移動させる状態を示す図である。
【図7】図4のレイアウト画像上に表示される遊技球の軌道の一例を示す図である。
【図8】入賞率リストの一例を示している。
【図9】遊技球と各種遊技要素との反発係数および摩擦係数の設定表示例を示している。
【図10】本発明の他の実施形態に係るパチンコ機シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
【図11】図10のシミュレータの制御処理を示すフローチャートである。
【図12】図10のシミュレータの軌道演算処理を示すフローチャートである。
【図13】表示装置の画面上に表示されるパチンコ遊技機の遊技盤のレイアウト画像の一例を示す図である。
【図14】遊技球同士および遊技球と賞球通路との反発係数および摩擦係数の設定表示例を示している。
【図15】パチンコ遊技機の外観図である。
【図16】図1のシミュレータの処理プログラムを記憶した記憶媒体をコンピュータで読み取って実行する形態の一例を示す概略図である。
【図17】図1のシミュレータの機能を遊技ネットワークシステム上で実現する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1,1A パチンコ機シミュレータ
2 入力装置(操作手段;設定手段)
4 表示装置(表示手段)
6 主制御部
8 記憶部(記憶手段)
10 表示制御部(表示制御手段;配置手段)
12 弾軌道計算部(軌道算出手段)
12A 球軌道演算部(軌道算出手段)
14 統計値計算部
14A 統計値演算部
16 遊技盤情報変更部
16A 部材情報変更部
18 パラメータ変更部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、
前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、
前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、
前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするシミュレーションプログラム。
【請求項2】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその配置位置を設定可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその形態を設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項6】
前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果に関する所定の統計値を集計する集計ステップと、
前記集計ステップによって集計された結果を表示する集計結果表示ステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項7】
前記軌道算出ステップにおいては、擬似遊技機に設けられる遊技盤上における擬似遊技媒体の軌道が算出可能であり、
擬似遊技媒体が前記遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、前記遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対する入賞と判定された回数の比率が算出されることを特徴とする請求項6に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記入賞判定領域が複数あり、
前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、擬似遊技媒体が通過した入賞判定領域に応じてポイントが加算されて累積値が算出されるとともに、遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対するポイントの累積値の比率が算出されることを特徴とする請求項7に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
遊技機を構成する各部材に関する部材情報が記憶された記憶手段と、
操作が可能な操作手段と、
前記操作手段による操作に基づいて前記部材情報を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置手段と、
前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記軌道算出手段によって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えていることを特徴とするシミュレータ。
【請求項1】
遊技機を構成する各部材に関する部材情報を設定する部材情報設定ステップと、
前記部材情報設定ステップによって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置ステップと、
前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出ステップと、
前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を表示手段に表示させる表示ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするシミュレーションプログラム。
【請求項2】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその反発力および摩擦力に関する数値情報を設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその配置位置を設定可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記部材情報設定ステップにおいては、部材毎にその形態を設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記擬似遊技媒体に係る情報を設定する遊技媒体情報設定ステップを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項6】
前記軌道算出ステップによって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体が擬似遊技機に対して与えた結果に関する所定の統計値を集計する集計ステップと、
前記集計ステップによって集計された結果を表示する集計結果表示ステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項7】
前記軌道算出ステップにおいては、擬似遊技機に設けられる遊技盤上における擬似遊技媒体の軌道が算出可能であり、
擬似遊技媒体が前記遊技盤上の所定の入賞判定領域を通過することによって入賞と判定する入賞判定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、前記遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対する入賞と判定された回数の比率が算出されることを特徴とする請求項6に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記入賞判定領域が複数あり、
前記入賞判定領域毎にポイントを設定するポイント設定ステップを更に含み、
前記集計ステップにおいては、擬似遊技媒体が通過した入賞判定領域に応じてポイントが加算されて累積値が算出されるとともに、遊技盤上において流下する擬似遊技媒体の総数に対するポイントの累積値の比率が算出されることを特徴とする請求項7に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
遊技機を構成する各部材に関する部材情報が記憶された記憶手段と、
操作が可能な操作手段と、
前記操作手段による操作に基づいて前記部材情報を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された部材情報に基づいて、擬似遊技機を仮想空間上に配置する配置手段と、
前記部材情報に基づいて、仮想空間上の擬似遊技機において擬似遊技媒体が流下する軌道を算出する軌道算出手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記軌道算出手段によって算出された擬似遊技媒体の軌道に基づいて、擬似遊技媒体を擬似遊技機において流下させる画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えていることを特徴とするシミュレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−204888(P2006−204888A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249907(P2005−249907)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
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