説明

シャフトを機械加工する方法および装置

本発明は、加工物台(6)を有し、研削ディスク(4)および制御ディスク(5)を備えたディスク装置(3)を有し、軸方向ストッパ装置(7)を有する、段付きシャフト(2)を機械加工する装置(1)に関し、軸方向ストッパ装置(7)は、シャフト(2)の端面部分(9)と接触させて一時的に置くことができ、ストッパ装置(7)のストッパ部分(11)に対接する点状接触面(10)を有する接点アダプタ(8)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段付きシャフトを機械加工する、請求項1および請求項3にそれぞれ従った方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段付きシャフトを機械加工する先行技術は、心出し穴を使用して研削する。しかし、これには、生産性が低く、シャフトの支持およびそれに伴う変形のために、製造ばらつきが比較的大きいという欠点がある。心出し穴を使用することなく、いわゆるセンタレス研磨を用いて段のないシャフトを機械加工することも同様に公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、先行技術と比較して生産性を高めることができ、製造の精度を改善できる、シャフト、特に、段付きシャフトを機械加工する方法および装置を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1および請求項3の特徴により達成される。
【0005】
本発明によれば、点状接触を使用して、機械加工中にシャフトを軸方向に案内することで、シャフトの軸方向の振れおよびストッパの角度誤差のために、軸方向のシャフト段差の製造ばらつきを大きくする恐れのある、軸方向に振動するシャフト動作が引き起こされるといったことがなくなり、たとえあるとしても、製造精度にきわめて小さい影響を及ぼすのみであるという利点がもたらされる。
【0006】
この点について、点状接触は、ストッパに対する可能な限り小さい(中心の点状)接触面と解釈することができ、これは、製造精度に及ぼす上記の悪影響を回避することを可能にする。
【0007】
従属請求項は、本発明の有益な改良に関する。
【0008】
点状接触を用いてシャフトを可動案内することは、これが、製造精度をさらに高めることを可能にするので特に有益である。
【0009】
本発明のさらなる細部、利点、および特徴が、図面に基づいた下記の例示的な実施形態の説明から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】シャフトを機械加工する装置のきわめて単純化した概略図を示している。
【図2】本発明によるストッパ装置と共に加工物台に置かれたシャフトの斜視図を示している。
【図3】本発明による装置のストッパ装置を説明するための、図2によるシャフトの拡大詳細図を示している。
【図4】図3によるストッパ装置の概略図を示している。
【図5】シャフトを取り外した後のストッパ装置の斜視図を示している。
【図6】単体ケージの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、シャフト2を機械加工する装置1をきわめて単純化した概略図で示している。シャフト2は、それぞれ直径が異なるシャフト段2A、2B、2Cを見ることができる図2から分かるように段付きシャフトである。
【0012】
図1は、シャフト2を機械加工するために、装置1が、少なくとも1つの研削ディスク4および1つの制御ディスク5を備えたディスク装置3を有することを示している。この場合に、ディスク4、5は、シャフト2の両側に配置され、共に同じ方向に回転する。シャフト2は反対方向に回転し、機械加工中に、研削ルール(grinding rule)とも呼ばれる加工物台6に載っている。
【0013】
図2は、加工物台6上のシャフト2を示し、図を簡略化するためにディスク装置3は示されていない。図2は、シャフト2が、例えば、図5からも分かるように、加工物台6に留められた軸方向ストッパ装置7によって、その位置で加工台6上に固定されているのを示している。軸方向ストッパ装置7は、特に、図3〜6を参照して、下記により詳細に説明される。
【0014】
よって、ストッパ装置7は、その例では、シャフト2の端面部分9に一時的に差し込むことができる接点アダプタ8を有し、このために、シャフト2は、端面部分9に凹部(図ではこれ以上詳細に示さない)を有する。このために、接点アダプタ8は、シャフト2を取り外した後の図5で見ることができるジャーナル21を有する。シャフト2を接点アダプタ8の穴に差し込むことや、シャフト2と接点アダプタ8との間の接触を端面の摩擦係合を用いて実現することも同様に可能である。
【0015】
図3および図4はまた、接点アダプタ8が、シャフト2の端面20とストッパ部分11との間に配置された点状接触面10を有することを示している。導入部ですでに説明したように、「点状」という用語は、本発明によれば、シャフト2の製造精度を高めることを可能にする接触面10を意味すると解釈できる。図4では、前記点状接触面10は、これは必須ではないが、図4の概略図に点の態様で形成されている。実際上、点状接触面10は、前記接触面10の面構造を意味するとも解釈できることが図3から分かる。
【0016】
図4は、接点アダプタ8が、ストッパ装置7内で移動可能な態様で案内されるのを特に示している。図3〜6に示した実施形態では、ストッパ装置7は、このために、例えば、ストッパ部分11が固定されたケージ12を有し、このストッパ部分11は、点状接触面10がシャフト2の製造中に支持される相対面13を有する。
【0017】
図3〜5に示した実施形態では、ストッパ装置7は、図3および図5で、ねじ連結器12を用いて互いに連結された2つのケージ部分12A、12Bを有し、ケージ部分12A、12Bの間に配置されたストッパ要素11はスペーサとして機能する。
【0018】
ケージ部分12A、12Bはそれぞれ、特に、図4の概略図から分かるように、接点アダプタ8をケージ内に移動可能な態様で保持するように、接点アダプタ8の連結領域17を囲んで係合し、保持カラー18の後ろで係合する保持つめ14、15を有する。この場合に、点状接触面10は、接点アダプタ8の先端領域19に形成される。
【0019】
前記実施形態では、保持つめ14、15は、ケージ部分12A、12Bの一体部品であり、略半円形構造であって、特に、図4から所望されるように、ケージ12と接点アダプタ8との間の、図4に示す隙間により、接点アダプタ8を可動案内できるようにすることが図5の図解から分かる。前記案内により、特に、端面20の軸方向の振れ、ならびに相対面13の粗面性および角度誤差を点状接触面10と併用して補償することが可能である。
【0020】
図6に示すように、ケージは、一体で形成することもできる。このために、保持つめ14、15は、接点アダプタ8を保持するための開口26を有するU字形状のブラケット25に置き換えられている。
【0021】
上記の開示に加えて、図1〜6の概略図が、本明細書で明示的に参照される。
【符号の説明】
【0022】
1 装置
2 シャフト
2A〜2C シャフト段
3 ディスク装置
4 研削ディスク
5 制御ディスク
6 加工物台/研削ルール
7 ストッパ装置
8 接点アダプタ
9 シャフトの端面部分
10 接触面/点状接触部
11 ストッパ部分
12 ケージ
12A、12B ケージ部分
13 ストッパに対する相対面
14、15 保持つめ
16 ねじ連結器
17 連結領域
18 保持カラー
19 先端領域
20 シャフトの端面
21 ジャーナル
25 単体ケージ
26 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段付きシャフト(2)を機械加工する方法であって、
−前記シャフト(2)を加工物台(6)に置く方法ステップと、
−前記シャフト(2)の端面(20)を加工物受け(6)の軸方向ストッパ部分(11)に接触させて置く方法ステップと、
−機械加工すべき前記シャフト(2)の領域(2A、2B、2C)を研削する方法ステップと、
を有し、
前記シャフト(2)の前記端面(20)は、点状接触部(10)により前記ストッパ部分(11)と接触して置かれる、方法。
【請求項2】
前記点状接触部(10)は移動可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段付きシャフト(2)を機械加工する装置(1)であって、
−加工物台(6)を有し、
−研削ディスク(4)および制御ディスク(5)を備えたディスク装置(3)を有し、
−軸方向ストッパ装置(7)を有する、
装置(1)において、
−前記軸方向ストッパ装置(7)は接点アダプタ(8)を有し、
その接点アダプタを前記シャフト(2)の端面部分(9)と接触させて一時的に置くことができ、
その接点アダプタは、前記ストッパ装置(7)のストッパ部分(11)と対接するための点状接触面(10)を有する、装置。
【請求項4】
前記ストッパ装置(7)は、前記ストッパ部分(11)が固定されたケージ(12)を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記接点アダプタ(8)は、移動可能な態様で案内される、請求項3または請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ストッパ装置(7)は、前記加工物台(6)に固定される、請求項3〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記接点アダプタ(8)は、前記シャフトの前記端面部分(9)に解放可能に差し込まれる、請求項3〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
シャフトを機械加工する装置のストッパ装置(7)であって、
−点状接触面(10)を備えた接点アダプタ(8)を有し、
−前記点状接触面(10)に対する相対面(13)を備えたストッパ部分(11)を有する、ストッパ装置。
【請求項9】
前記接点アダプタ(8)は、移動可能な態様で案内される、請求項8に記載のストッパ装置。
【請求項10】
前記接点アダプタ(8)が移動可能な態様で案内されるケージ(12)を特徴とする、請求項9に記載のストッパ装置。
【請求項11】
前記ストッパ部分(11)は、前記ケージ(12)内に固定される、請求項10に記載のストッパ装置。
【請求項12】
前記ケージ(12)は、スペーサとして機能する前記ストッパ部分(11)を用いて互いに連結できる2つのケージ部分(12A、12B)を有し、前記ケージ部分(12A,12B)は、前記接点アダプタ(8)を可動案内するための保持つめ(14、15)を有する、請求項10または請求項11に記載のストッパ装置。
【請求項13】
前記ケージ(25)は一体で形成され、前記ストッパ部分(11)を前記シャフト(2)と接触させて置くことができる開口(26)を有する、請求項10または請求項11に記載のストッパ装置。
【請求項14】
前記ケージ部分(12A、12B)を連結するために、前記ケージ部分(12A、12B)および前記ストッパ部分(11)を貫通するねじ連結器(16)が設けられる、請求項12に記載のストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−507408(P2012−507408A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534598(P2011−534598)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060576
【国際公開番号】WO2010/053665
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】