説明

シュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ

【課題】制動時にスターホイールを回転させ且つ制動解除時にスターホイールの回転を抑えるシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキを提供する。
【解決手段】アジャストレバー54には、スターホイール60aに係合するためそのアジャストレバー54の板面と直交する係合部54dと、その係合部54dをアジャストレバー54の幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部54eとが備えられており、アジャストレバー54は、制動時係合部54dを介してそのスターホイール60aを回動させるようにその係合部54dと当接するものであるため、アジャストレバー54は、制動時係合部54dに当接することによってスターホイール60aを回動させ、さらに、制動解除時スターホイール60aと係合する係合部54dを弾性部54eの変形によってアジャストレバー54からスターホイール60aに伝わる力が低減されてスターホイール60aの回転を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキに関し、特に、アジャストレバーの構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラムブレーキのシュー間隙自動調節機構の一種に、たとえば特許文献1に示すような、(a) 一端に螺子部を備え、他端が一対のブレーキシューの一方に係合する第1ストラット部材と、その第1ストラット部材の螺子部を受け入れるために一端に開口する受入穴を備え、他端がその一対のブレーキシューの他方に係合する第2ストラット部材と、スターホイールを備えて上記第1ストラット部材の螺子部に螺合するアジャストナットとを有し、非制動時におけるその一対のブレーキシューの間隔を規定するストラットと、(b) 基端部が前記第2ストラット部材に取り付けられ、制動時における上記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材との間の軸心方向の相対移動に連動して上記スターホイールを一方向に回転させる弾性変形可能な板状のアジャストレバーとを備えるものがある。
【0003】
上記のようなシュー間隙自動調節機構は、一般的に制動時において上記アジャストレバーが前記ストラットに接近して、その接近する力が上記アジャストレバーの先端部に備えられた上記スターホイールと係合する係合部を介して上記スターホイールに伝えられることによって、そのスターホイールが一方向に回転させられるものである。
【特許文献1】特開昭58−77931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のシュー間隙自動調節機構おいて、上記アジャストレバーは、制動解除時、上記係合部が前記スターホイールに係合した状態で非制動時の元の位置に戻るため、そのアジャストレバーの前記ストラットから離れる戻り方向の移動によってそのアジャストレバーから上記係合部を介して上記スターホイールに力が伝わり上記スターホイールが回転してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、制動時にスターホイールを回転させ、且つ、制動解除時にスターホイールの回転を抑えることのできるシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) 一端に螺子部を備え、他端が一対のブレーキシューの一方に係合する第1ストラット部材と、その第1ストラット部材の螺子部を受け入れるために一端に開口する受入穴を備え、他端がその一対のブレーキシューの他方に係合する第2ストラット部材と、スターホイールを備えて前記第1ストラット部材の螺子部に螺合するアジャストナットとを有し、非制動時におけるその一対のブレーキシューの間隔を規定するストラットと、(b) 基端部が前記第2ストラット部材に取り付けられ、制動時における前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材との間の軸心方向の相対移動に連動して前記スターホイールを一方向に回転させる弾性変形可能な板状のアジャストレバーとを有するシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキにおいて、(c) 前記アジャストレバーの先端部には、前記スターホイールに係合させられるためにそのアジャストレバーの板面と直交する方向の係合部と、その係合部をそのアジャストレバーの幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部とが備えられており、(d) 前記アジャストレバーは、制動時、前記係合部を介してそのスターホイールを回動させるようにその係合部と当接することにある。
【0007】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、(a) 前記アジャストレバーの先端部には、制動時、前記係合部と当接するためにそのアジャストレバーから側方へ延長された当接部が備えられており、(b) 前記弾性部の弾性率は、前記当接部の弾性率より小さいことにある。
【0008】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記弾性部は、前記アジャストレバーの先端部の一方の側縁からそのアジャストレバーの幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長されて前記係合部を連結することにある。
【0009】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項3に係る発明において、前記弾性部は、前記アジャストレバーの幅方向においてその中央部分から前記第1ストラット部材側に突き出るように曲成させられて、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止する曲げ部を備えていることにある。
【0010】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1に係る発明において、前記アジャストレバーの先端部には、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止するストッパー部が備えられていることにある。
【0011】
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれか1に係る発明において、前記アジャストレバーの基端部には、その基端部から前記一対のブレーキシューの他方側に延長され且つ曲成されることにより一端部が常時他方のブレーキシューに当接するように付勢されるばね部が備えられていることにある。
【0012】
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至6のいずれか1に係る発明において、前記第2ストラット部材の受入穴内には、前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材とを離間する方向に付勢する弾性部材が配設されていることにある。
【0013】
また、請求項8に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至7のいずれか1に係る発明において、(a) 前記螺子部が挿入された挿入穴を有し、前記アジャストナットと第2ストラット部材との間に挟まれる第1レバー部と、その第1レバー部に対して直角よりも大きい所定角度に折り曲げられた第2レバー部とを有するレバー部材を更に含み、(b) 前記第1レバー部には、その第1レバー部のアジャストナット側の先端部分が切欠かれ、(c) 非制動時には、前記レバー部材の第1レバー部は、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの間に挟圧され、前記第2レバー部は前記係合部が前記スターホイールから離れる方向へ前記アジャストレバーをその付勢力に抗して押し曲げるものであり、(d) 制動時には、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの離間にしたがって前記アジャストレバーの付勢力にしたがって前記第2レバー部が前記第2ストラット部材に近接させられそのアジャストレバーの係合部が前記スターホイールを一方向に回転させることにある。
【0014】
また、請求項9に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至8のいずれか1に係る発明において、前記アジャストレバーの基端部は、前記第2ストラット部材を把持するようにその第2ストラット部材に嵌め着けられていることにある。
【0015】
また、請求項10に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至9のいずれか1に係る発明において、前記第2ストラット部材の所定位置には、前記基端部を嵌め着けるための嵌着溝が備えられていることにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキよれば、(c) 前記アジャストレバーの先端部には、前記スターホイールに係合させられるためにそのアジャストレバーの板面と直交する方向の係合部と、その係合部をそのアジャストレバーの幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部とが備えられており、(d) 前記アジャストレバーは、制動時、前記係合部を介してそのスターホイールを回動させるようにその係合部と当接するものであるため、前記アジャストレバーは、制動時において前記ストラットに接近させられるとき、前記係合部に当接することによって前記スターホイールを回動させる。また、前記アジャストレバーは、制動解除時において前記ストラットから離間させられるとき、前記スターホイールと係合する係合部を前記アジャストレバーの幅方向に変位可能に連結する前記弾性部の変形によってそのアジャストレバーから前記スターホイールに伝わる力が大幅に低減されて前記スターホイールの逆まわりの回転を抑えることができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、(a) 前記アジャストレバーの先端部には、制動時、前記係合部と当接するためにそのアジャストレバーから側方へ延長された当接部が備えられており、(b) 前記弾性部の弾性率は、前記当接部の弾性率より小さいものであることから、前記アジャストレバーから側方へ延長された当接部によって、前記係合部を前記アジャストレバーの幅方向に変位可能に連結させた状態で前記アジャストレバーから側方へ変位させることができるので、前記アジャストレバーの設計の自由度を広げることができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記弾性部は、前記アジャストレバーの先端部の一方の側縁からそのアジャストレバーの幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長されて前記係合部を連結するものであるため、前記アジャストレバーの先端部の一方の側縁からそのアジャストレバーの幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長させることによって前記弾性部の弾性率を好適に小さくすることができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記弾性部は、前記アジャストレバーの幅方向においてその中央部分から前記第1ストラット部材側に突き出るように曲成させられて、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止する曲げ部を備えていることから、その曲げ部によって、前記シュー間隙自動調節機構をドラムブレーキに組み付ける際、第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することが防止されるので、ドラムブレーキの組付工程を容易にすることができる。
【0020】
また、請求項5に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記アジャストレバーの先端部には、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止するストッパー部が備えられていることから、そのストッパー部によって、前記シュー間隙自動調節機構をドラムブレーキに組み付ける際、第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することが防止されるので、ドラムブレーキの組付工程を容易にすることができる。
【0021】
また、請求項6に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記アジャストレバーの基端部には、その基端部から前記一対のブレーキシューの他方側に延長され且つ曲成されることにより一端部が常時他方のブレーキシューに当接するように付勢されるばね部が備えられていることから、一対のブレーキシューが拡開する際、前記ばね部による前記一端部と前記一対のブレーキシューの他方との摩擦力によって前記アジャストレバーすなわち第2ストラット部材は、前記一対のブレーキシューの他方の拡開方向と同方向に引っ張られるので、好適に前記一対のブレーキシュー拡開に連動して前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材とを相対移動することができる。
【0022】
また、請求項7に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記第2ストラット部材の受入穴内には、前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材とを離間する方向に付勢する弾性部材が配設されていることから、その第1ストラット部材と第2ストラット部材との間でありそれら軸心上である前記受入穴内に配設された前記弾性部材によって、制動時に第1ストラット部材と第2ストラット部材とはそれら軸心方向に対して精度よく平行に離間する方向に付勢されるため、第1ストラット部材と第2ストラット部材との間の摩擦を大幅に低減することができる。
【0023】
また、請求項8に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、(a) 前記螺子部が挿入された挿入穴を有し、前記アジャストナットと第2ストラット部材との間に挟まれる第1レバー部と、その第1レバー部に対して直角よりも大きい所定角度に折り曲げられた第2レバー部とを有するレバー部材を更に含み、(b) 前記第1レバー部には、その第1レバー部のアジャストナット側の先端部分が切欠かれ、(c) 非制動時には、前記レバー部材の第1レバー部は、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの間に挟圧され、前記第2レバー部は前記係合部が前記スターホイールから離れる方向へ前記アジャストレバーをその付勢力に抗して押し曲げるものであり、(d) 制動時には、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの離間にしたがって前記アジャストレバーの付勢力にしたがって前記第2レバー部が前記第2ストラット部材に近接させられそのアジャストレバーの係合部が前記スターホイールを一方向に回転させるものであるため、前記レバー部材は、その第1レバー部の前記アジャストレバー側の先端部に切欠かれた切欠によってその切欠分だけ制動時の前記第1ストラット部材と第2ストラット部材との間の軸心方向の相対移動に連動して前記第2レバー部が前記第2ストラット部材に接近する量を大きくすることができ、その切欠によって前記第1ストラット部材と第2ストラット部材との間の軸心方向の相対移動に連動する前記アジャストレバーの係合部の移動量を増加することができる。そのため、前記レバー部材に前記切欠を設けることによって容易に制動時の前記アジャストレバーの係合部の移動量を調節することができる。
【0024】
また、請求項9に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記アジャストレバーの基端部は、前記第2ストラット部材を把持するようにその第2ストラット部材に嵌め着けられていることから、そのアジャストレバーの基端部によってそのアジャストレバーを第2ストラット部材に組み付けることができるので、従来アジャストレバー組付時に必要であった組付部品や組付工程を省くことができドラムブレーキ製造時のコストを低減させることができる。
【0025】
また、請求項10に係る発明のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、前記第2ストラット部材の所定位置には、前記基端部を嵌め着けるための嵌着溝が備えられていることから、前記アジャストレバーの基端部を前記嵌着溝に移動させるだけで前記アジャストレバーを前記第2ストラット部材に組み付けることができるので、前記アジャストレバーの組付工程を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は簡略化されており、それら各部の寸法等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の一実施例のパーキングロック機能を備えたシュー間隙自動調節機構付ドラムブレーキであるリーディング・トレーリング型の車両用ドラムブレーキ(以下、ドラムブレーキという)10であって、ブレーキドラム12を取り外して示す正面図である。また、ブレーキドラム12は、図1の1点鎖線で示す2つの同心円で表されており、その2つの円のうちの中心側の円はブレーキドラム12の内周面14を示している。
【0028】
ドラムブレーキ10には、略円板形状を成し、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材に一体的に固設されたバッキングプレート16が備えられている。
【0029】
また、ドラムブレーキ10には、バッキングプレート16の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー18,20と、その一対のブレーキシュー18,20の一端部すなわち図1の上端部の間においてバッキングプレート16に位置固定に設けられたホイールシリンダ22と、一対のブレーキシュー18,20の一端部を互いに接近する方向に常時付勢してホイールシリンダ22に当接させるために、その一端部間に張設されたコイル状のリターンスプリング24と、一対のブレーキシュー18,20の一端部間に掛け渡された非制動時における一対のブレーキシュー18,20とブレーキドラム12との間すなわちシュー間隙を自動的に調節するシュー間隙自動調節機構26と、一対のブレーキシュー18,20の他端部すなわち図1の下端部の間においてバッキングプレート16に位置固定に設けられたアンカ28と、一対のブレーキシュー18,20の下端部間に張設されてそれら下端部をアンカ28に常時当接させるスプリング30とが備えられている。
【0030】
一対のブレーキシュー18,20は、何れも、バッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ32,34と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム36,38と、それらシューリム36,38の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング40,42とによってそれぞれ構成されている。また、一対のブレーキシュー18,20は、シューウェブ32およびシューウェブ34にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置44,46によってバッキングプレート16側へ押圧されることによりそのバッキングプレート16に対して面方向の相対移動可能に保持されている。また、ブレーキシュー18の一端部には、平板状のパーキングブレーキレバー48の基端部48aがピン50により相対回動可能に連結されている。バッキングプレート16、シューウェブ32,34、シューリム36,38は、いずれも鋼板から打ち抜かれ且つ所定の曲げ成形が施されたプレス部品である。
【0031】
シュー間隙自動調節機構26は、図1に示すように一対のブレーキシュー18,20の一端部間に掛け渡たされ、非制動時における一対のブレーキシュー18,20の間隔すなわち一対のブレーキシュー18、20とブレーキドラム12の内周面14との間隙を規定するストラット52と、そのストラット52に備えられたアジャストレバー54とによって構成されている。
【0032】
ストラット52は、図2に示すように、一端に外周面が螺刻された螺子部56aを備え、他端がブレーキシュー18のシューウェブ32に係合する第1ストラット部材56と、その第1ストラット部材56の螺子部56aを受け入れるために一端に開口する受入穴58aを備え、他端がブレーキシュー20のシューウェブ34に係合する第2ストラット部材58と、スターホイール60aを備えて第1ストラット部材56の螺子部56aに螺合するアジャストナット60と、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間する方向に付勢するため第1ストラット部材56の螺子部56aと第2ストラット部材58の受入穴58a内の底面58bとの間に圧縮された状態で配設されたコイル状のスプリング(弾性部材)62と、を備えている。また、ブレーキシュー18および20には、第1ストラット部材56および第2ストラット部材58すなわちストラット52を支持するために相手に向かって突出した支持突起18aおよび20aがそれぞれ形成されている。
【0033】
コイル状のスプリング62は、リターンスプリング24の付勢力より小さい力で第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間する方向に付勢するため、ドラムブレーキ10の非制動時には、そのスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間すなわち一対のブレーキシュー18,20を拡開させることはできない。しかし、ドラムブレーキ10の制動時には、前記ホイールシリンダ22により一対のブレーキシュー18、20が拡開させられるため、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とは、上記スプリング62の付勢力によってブレーキシュー18と第1ストラット部材56との間およびブレーキシュー20と第2ストラット部材58との間の隙間を埋めるように相互に離間する方向へ移動させられる。そのため、一対のブレーキシュー18,20の拡開量は、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との軸心P方向の相対移動量、つまり、それらの離間量と略同様である。
【0034】
また、コイル状のスプリング62は、第1ストラット部材56の螺子部56aと第2ストラット部材58の受入穴58aの底面58bとの間で且つ第1ストラット部材56および第2ストラット部材58の軸心Pと同心に受入穴58a内に配設されているため、そのスプリング62が第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを付勢する方向と第1ストラット部材56および第2ストラット部材58の軸心P方向とが精度よく略一致する。そのため、ドラムブレーキ10の制動時、上記スプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とにはほとんど偏心荷重が加わらず、第1ストラット部材56の螺子部56aと第2ストラット部材58の受入穴58aの内周面との間で起こる摩擦がほとんど生じることがなくなり第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とが滑らかに相対移動すなわち離間させられる。
【0035】
図2、3、4に示すように、アジャストレバー54は、弾性変形可能な板状の部材たとえばばね板材から構成されており、そのアジャストレバー54を第2ストラット部材58に取り付ける基端部54aと、その基端部54aからブレーキシュー20側に延長されて第2ストラット部材58と係合する係合突起部54bとを備えている。
【0036】
係合突起部54bは、図2、3に示すように第2ストラット部材58の端部の両側面を挟むようにその第2ストラット部材58の端部の厚みより僅かに大きい間隔で基端部54aからブレーキシュー20側に延設された一対の突起である。そのため、車両走行中の振動等によって、アジャストレバー54が第2ストラット部材58の軸心P回りに回動しようとすると、係合突起部54bである上記一対の突起は、第2ストラット部材58の両側面に当接するため、アジャストレバー54の回動は防止される。
【0037】
図5に示すように、基端部54aには、その両側から第2ストラット部材58を抱き込むように相対向に形成された一対の嵌着部54cが備えられており、その一対の嵌着部54cは、第2ストラット部材58を把持するようにその第2ストラット部材58に嵌め着けられることにより、アジャストレバー54は、その一対の嵌着部54cを介して第2レバー部材58に固定されている。そのため、従来アジャストレバー組付時に必要であった組付部品やその組付工程たとえばリベットかしめのリベットやそのリベットかしめ工程を省くことができる。また、第2ストラット部材58には、図5に示すように基端部54aの一対の嵌着部54cを嵌め着けるために長手方向において嵌着部54cより僅かに大きい一部分が削除された嵌着溝58cが周方向に備えられており、一対の嵌着部54cがその嵌着溝58c内に嵌め着けられることによって、アジャストレバー54は、第2ストラット58の軸心P方向の移動が拘束される。つまり、上記係合突起部54bおよび嵌着溝58cによって、アジャストレバー54は、その基端部54aの一対の嵌着部54cを介して第2ストラット部材58に固定される。また、アジャストレバー54の組付工程は、基端部54aの一対の嵌着部54cを第2ストラット部材58の一端から嵌着溝58c内へ移動させるだけなので簡単である。
【0038】
また、図2、3、4に示すように、アジャストレバー54の先端部には、ドラムブレーキ10の制動時にスターホイール60aと係合させるためにそのアジャストレバー54の板面と略直交する方向に延長された板状の係合部54dと、その係合部54dをアジャストレバー54の幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部54eと、アジャストレバー54の先端部から係合部54d側へ延長され、ドラムブレーキ10の制動時に係合部54dと当接する当接部54fとが備えられている。また、上記係合部54d、弾性部54e、当接部54fおよび前述した基端部54a、係合突起部54bを備えるアジャストレバー54は、プレス加工によって一枚の金属板から一体的に成形されたものである。
【0039】
弾性部54eは、図3に示すように、アジャストレバー54の先端部の係合部54d側とは反対側の一方の側縁からアジャストレバー54の当接部54fの幅よりも小さい幅でアジャストレバー54の先端部の係合部54d側の他方の側縁まで延長され係合部54dの一端部54gを連結するものであり、略同様な厚みの前記ばね板材で構成されるアジャストレバー54の弾性部54eと当接部54fとは、それぞれの幅寸法の違いにより、弾性部54eの弾性率が当接部54fの弾性率より小さく設定されている。
【0040】
また、弾性部54eには、図3、6に示すように、シュー間隙自動調節機構26をドラムブレーキ10に組み付ける際コイル状のスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とが所定量以上離間するとその第1ストラット部材56の螺子部56aに螺合されているアジャストナット60に当接するようにアジャストレバー54の幅方向すなわち弾性部54eの長手方向においてその弾性部54eの中央部分から第1ストラット部材56側に突き出るように曲成させられた曲げ部54hが備えられている。これにより、シュー間隙自動調節機構26をドラムブレーキ10に組み付ける際コイル状のスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とが離間して第1ストラット部材56が第2ストラット部材58から脱落しないように作業者がそのシュー間隙調節機構26を手で押さえながら取り扱うことがなくなるのでドラムブレーキ組み付け工程を容易にすることができる。
【0041】
曲げ部54hは、弾性部54eの中央部分が曲成されたものであるため、弾性部54eのばね定数をアジャストレバー54よりも相対的に下げることができる。また、曲げ部54hは、その先端部54iが第1ストラット部材56側に接近または離間させたりすることによって、弾性部54eに連結された係合部54dの位置をアジャストレバー54の幅方向に移動させることができるため、確実に係合部54dを当接部54fに当接される位置に移動することができる。
【0042】
図2、7に示すように、アジャストナット60と第2ストラット部材58との間には、第1ストラット部材56の螺子部56aが挿入された挿入穴64aを有し、アジャストナット60と第2ストラット部材58との間に挟まれる略円筒形状の第1レバー部64bと、その第1レバー部64bに対して直角よりも大きい所定角度たとえば約100°に折り曲げられた板状の第2レバー部64cとによって構成されたレバー部材64が備えられており、第2レバー部64cの先端部は、アジャストレバー54の中央部分に当接して図7に示す矢印F方向に付勢されている。
【0043】
ドラムブレーキ10の非制動時の状態を示す図7の(a)によれば、レバー部材64の第1レバー部64bは、アジャストレバー54に付勢されることにより第2ストラット部材58とアジャストナット60すなわち第1ストラット部材56とが離間する方向に付勢する。しかし、レバー部材64の第1レバー部64bはリターンスプリング24の付勢力によって第2ストラット部材58とアジャストナット60とに挟圧されるので、レバー部材64の第2レバー部64cはアジャストレバー54のその付勢力に抗して第1ストラット部材56から離れる方向にアジャストレバー54を押し曲げる。アジャストレバー54の付勢力とコイル状のスプリング62の付勢力とを合わせた力は、リターンスプリング24の付勢力より小さいものである。
【0044】
ドラムブレーキ10の制動時の状態を示す図7の(b)によれば、レバー部材64の第1レバー部64bは、コイル状のスプリング62の付勢力による第2ストラット58とアジャストナット60との離間量に従って、アジャストレバー54の付勢力によって傾き第2レバー部64cの先端部が第2ストラット部材58に接近し、アジャストレバー54は矢印F方向に移動させられる。
【0045】
図1に戻り、パーキングブレーキレバー48には、その先端部に連結されたパーキングブレーキケーブル66が備えられており、図示しないパーキングレバーの操作によりパーキングブレーキケーブル66を介してパーキングブレーキレバー48の先端部がバッキングプレート16の中心側へ回動させられると、ブレーキシュー20がストラット52に押されて外周側へ移動させられるとともにブレーキシュー18がピン50に押されて外周側へ移動させられるので、一対のブレーキシュー18,20が拡開されて制動力が発生させられるようになっている。
【0046】
以上のように構成されたドラムブレーキ10は、図示しないブレーキペダル操作に伴ってホイールシリンダ22のピストンが突き出されることにより一対のブレーキシュー18,20の一端部が互いに離隔する方向に拡開され制動力が発生する。一対のブレーキシュー18、20が拡開することによって、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とは、コイル状のスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間させその離間量に応じて、アジャストレバー54は、レバー部材64を介して矢印F方向に移動させられる。
【0047】
ドラムブレーキ10の制動時において、一対のブレーキシュー18、20のライニング40、42が摩耗していない初期状態では、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との離間量が小さいため、アジャストレバー54は係合部54dがスターホイール60aに係合しそのスターホイール60aが回動するまで矢印F方向に移動させることはできないが、ドラムブレーキ10の制動回数が増えることによって上記ライニング40、42が摩耗し上記第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との離間量が大きくなると、アジャストレバー54の移動位置がさらに矢印F方向に移動するため、図8に示すように、アジャストレバー54の先端部に備えられた当接部54fからその当接部54fと当接する係合部54dを介してスターホイール60aに力が伝わりそのスターホイール60aが矢印H方向に回動する。
【0048】
スターホイール60aが回動させられるとアジャストナット60のねじの作用によってストラット52が伸長してシュー間隙が調節される。これにより、一対のブレーキシュー18,20の摩耗によって一対のブレーキシュー18,20の拡開量が大きくなると、スターホイール60aが回動させられて、ライニング40,42とブレーキドラム12の内周面14との間隙が自動的に調節される。
【0049】
また、ドラムブレーキ10の制動状態が解除された直後の係合部54dの状態を示す図8の一点鎖線によれば、係合部54dは、ドラムブレーキ10制動時のアジャストレバー54の矢印F方向の移動に連動して矢印F方向に移動するとともにスターホイール60aの外周歯に追従するためスターホイール60aの外周側すなわち矢印G方向の反対方向へ移動する。それにより、通常係合部54dは矢印G方向に付勢する力を大きくするものであるが、本実施例の係合部54dは当接部54fの弾性率より小さい弾性率つまり外力に対する変形が相対的に大きい弾性部54eによって支持されているため、係合部54dが矢印G方向の反対方向へ移動してもその弾性部54dが弾性変形するので矢印G方向に付勢する力が大きくなることが抑制される。
【0050】
そのため、ドラムブレーキ10の制動状態が解除されて、係合部54dがスターホイール60aの外周歯に係合された状態でアジャストレバー54が矢印F方向の反対方向へ移動しても、上述のように、係合部54dは上記矢印G方向に付勢する力が小さいので、アジャストレバー54から係合部54dを介してスターホイール60aに伝わる力が大幅に低減されてスターホイール60aに伝わるため、スターホイール60aの矢印I方向の回転が抑えられる。また、アジャストレバー54が矢印F方向の反対方向へ移動する際、アジャストレバー54からスターホイール60aに伝わる力の大きさは、第1ストラット部材56の螺子部56aとアジャストナット60との間の最大静止摩擦力より小さいものである。また、アジャストレバー54から係合部54dを介してスターホイール60aに伝わる力は、弾性部54eの弾性率の大きさによって変わるものであり、本実施例の弾性部54eの弾性率は、スターホイール60aが回転しない程度に設定された値である。また、係合部54dは、アジャストレバー54の幅方向に変位可能に連結されており、アジャストレバー54の幅方向の移動が容易にできるため、スターホイール60aの外周歯への追従性が良い。
【0051】
図7に示されたレバー部材64を拡大して示す図9に示すように、レバー部材64の第1レバー部64bには、第1レバー部64bのアジャストナット60側の先端部分が段差状に切り欠かれた切欠68が備えられている。この切欠68によって、レバー部材64の第1レバー部64bは、ドラムブレーキ10制動時の第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との軸心P方向における距離Lが切欠68がない場合の第1レバー部64bの距離Mより短くなるため、切欠68を備える第1レバー部64bは、切欠68がない第1レバー部64の距離Mと同じになるためにその差である距離Nを第2レバー部64cの先端部をさらに第2ストラット部材58に接近させて増加させることになる。そのため、レバー部材64は、その切欠68によってその切欠68の幅Oを大きくすればドラムブレーキ10の制動時の第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との間の軸心P方向の相対移動量に対する第2レバー部64cの先端部が第2ストラット部材58に接近する量を大きくすることができる。すなわち、切欠68の幅Oを調整することによって、ドラムブレーキ10の制動時における第1ストラット部材56と第2ストラット部材の離間量に対するアジャストレバー54の係合部54cが矢印F方向に移動する移動量を調節することができる。図9に示された一点鎖線は、ドラムブレーキ10制動時のレバー部材64の状態を示すものである。
【0052】
図10に示すように、レバー部材64の第1レバー部64bは、アジャストレバー54の付勢力によって、その第2ストラット58側の面64d内の点(1)で第2ストラット部材58と点接触し、アジャストナット60側の面64e内の点(2)と点(3)とを結ぶ線すなわち切欠68のエッジでアジャストナット60と線接触する。そのため、レバー部材64は、その点(1)と点(2)および点(3)を結ぶ線とを介して第2ストラット部材58とアジャストナット60との間で挟持されるので、車両走行中の振動等による軸心Pまわりの回動が防止される。
【0053】
本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、(c) アジャストレバー54の先端部には、スターホイール60aに係合させられるためにそのアジャストレバー54の板面と直交する方向の係合部54dと、その係合部54dをそのアジャストレバー54の幅方向に移動可能に連結する弾性部54eとが備えられており、(d) アジャストレバー54は、ドラムブレーキ10の制動時、係合部54dを介してそのスターホイール60aを回動させるようにその係合部54dと当接するものであるため、アジャストレバー54は、ドラムブレーキ10の制動時においてストラット52に接近させられるとき、係合部54dに当接することによってスターホイール60aを回動させる。また、アジャストレバー54は、ドラムブレーキ10の制動解除時においてストラット52から離間させられるとき、スターホイール60aと係合する係合部54dをアジャストレバー54の幅方向に変位可能に連結する弾性部54eの変形によってそのアジャストレバー54からスターホイール60aに伝わる力が大幅に低減されてスターホイール60aの逆回りの回転を抑えることができる。
【0054】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、(a) アジャストレバー54の先端部には、ドラムブレーキ10の制動時、係合部54dと当接するためにそのアジャストレバー54の側方へ延長された当接部54fが備えられており、(b) 弾性部54eの弾性率は、当接部54fの弾性率より小さいものであることから、アジャストレバー54の側方へ延長された当接部54fによって、係合部54dをアジャストレバー54の幅方向に変位可能に連結させた状態でアジャストレバー54から側方へ変位させることができるので、アジャストレバー54の設計の自由度を広げることができる。
【0055】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、弾性部54eは、アジャストレバー54の先端部の一方の側縁からそのアジャストレバー54の幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長されて係合部54dを連結するものであるため、アジャストレバー54の先端部の一方の側縁からそのアジャストレバー54の幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長させることによって弾性部54eの弾性率を好適に小さくすることができる。
【0056】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、弾性部54eは、アジャストレバー54の幅方向においてその中央部分から第1ストラット部材56側に突き出るように曲成させられて、アジャストナット60に係合して第1ストラット部材56が第2ストラット部材58から脱落することを防止する曲げ部54hを備えていることから、その曲げ部54hによって、シュー間隙自動調節機構26をドラムブレーキ10に組み付ける際、第1ストラット部材56が第2ストラット部材58から脱落することが防止されるので、ドラムブレーキ10の組付工程を容易にすることができる。
【0057】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、第2ストラット部材58の受入穴58a内には、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間する方向に付勢するスプリング(弾性部材)62が配設されていることから、その第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との間でありそれら軸心P上である受入穴58a内に配設されたスプリング62によって、ドラムブレーキ10の制動時に第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とはそれら軸心P方向に対して精度よく平行に離間する方向に付勢されるため、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との間の摩擦を大幅に低減することができる。
【0058】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、(a) 第1ストラット部材56の螺子部56aが挿入された挿入穴64aを有し、アジャストナット60と第2ストラット部材58との間に挟まれる第1レバー部64bと、その第1レバー部64bに対して直角よりも大きい所定角度に折り曲げられた第2レバー部64cとを有するレバー部材64を更に含み、(b) 第1レバー部64bには、その第1レバー部64bのアジャストナット60側の先端部分が切欠かれ、(c) ドラムブレーキ10の非制動時には、レバー部材64の第1レバー部64bは、第2ストラット部材58とアジャストナット60との間に挟圧され、第2レバー部64cは係合部54dがスターホイール60aから離れる方向へアジャストレバー54をその付勢力に抗して押し曲げるものであり、(d) ドラムブレーキ10の制動時には、第2ストラット部材58とアジャストナット60との離間にしたがってアジャストレバー54の付勢力にしたがって第2レバー部64cが第2ストラット部材58に近接させられそのアジャストレバー54の係合部54dがスターホイール60aを一方向に回転させるものであるため、レバー部材64は、その第1レバー部64bのアジャストレバー54側の先端部に切欠かれた切欠68によってその切欠分だけドラムブレーキ10の制動時の第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との間の軸心P方向の相対移動に連動して第2レバー部64cが第2ストラット部材58に接近する量を大きくすることができ、その切欠68によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材58との間の軸心P方向の相対移動に連動するアジャストレバー54の係合部54dの移動量を増加することができる。そのため、レバー部材64に切欠68を設けることによって容易にドラムブレーキ10の制動時のアジャストレバー54の係合部54dの移動量を調節することができる。
【0059】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、アジャストレバー54の基端部54aは、第2ストラット部材58を把持するようにその第2ストラット部材58に嵌め着けられていることから、そのアジャストレバー54の基端部54aによってそのアジャストレバー54を第2ストラット部材58に組み付けることができるので、従来アジャストレバー54組付時に必要であった組付部品や組付工程を省くことができドラムブレーキ10製造時のコストを低減させることができる。
【0060】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、第2ストラット部材58の所定位置には、基端部54aを嵌め着けるための嵌着溝58cが備えられていることから、アジャストレバー54の基端部54aを嵌着溝58cに移動させるだけでアジャストレバー54を第2ストラット部材58に組み付けることができるので、アジャストレバー54の組付工程を簡単にすることができる。
【実施例2】
【0061】
また、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施例のシュー間隙自動調節機構は、異なる第2ストラット部材70およびアジャストレバー72を備える以外は実施例1のシュー間隙自動調節機構26と略同様であって、図11はその第2ストラット部材70およびアジャストレバー72を説明する図であり、前述の実施例の図2に略対応するものである。また、図11には、図2に記載されているバッキングプレート16、リターンスプリング24が省略されている。
【0063】
図11に示すように、第2ストラット部材70は、第1ストラット部材56の螺子部56aを受け入れるために一端に開口する受入穴70aを備え、その他端がブレーキシュー20のシューウェブ34に係合するものであり、その受入穴70a内の底面70bと第1ストラット部材56の螺子部56aとの間には、圧縮されたスプリング62が配設されている。さらに、第2ストラット部材70には、その他端部からバッキングプレート16方向に突き出す一対のかしめ突起70cが備えられている。
【0064】
図12に示すように、アジャストレバー72には、その先端部に前述の実施例1の係合部54d、弾性部54e、当接部54f、曲げ部54hと同様の係合部72a、弾性部72b、当接部72c、曲げ部72dが備えられており、その基端部72eに第2ストラット部材70の一対のかしめ突起70cを挿通させる挿通穴72fが備えられている。
【0065】
図11に示すように、アジャストレバー72は、その挿通穴72fを第2ストラット部材70の一対のかしめ突起70cに通し、その一対のかしめ突起70cのそれぞれ先端部を離間する方向に塑性変形させることにより第2ストラット部材70に固定するものである。本実施例のシュー間隙自動調節機構は、前述の実施例1のシュー間隙自動調節機構26とアジャストレバー72を第2ストラット部材70に固定させる固定方法が異なるだけその他の部分は実施例1のシュー間隙自動調節機構26と略同様である。
【0066】
本実施例のシュー間隙自動調節機構によれば、前述の実施例1のアジャストレバー54のように形状が比較的複雑な係合突起部54bおよび一対の嵌着部54cを備えなくてもアジャストレバー72を第2ストラット部材70に固定させることができるため、アジャストレバー72の形状をアジャストレバー54に比べ簡単にすることができ、アジャストレバー72の製造コストを安価にすることができる。
【実施例3】
【0067】
本実施例のシュー間隙自動調節装置は、バッキングプレート16の所定位置に貫通する貫通穴16aを備える点および異なるアジャストレバー74を備える点以外は実施例2のシュー間隙自動調節装置と略同様であり、図13はそのアジャストレバー74を説明する図であり、前述の実施例2の図11に略対応するものである。
【0068】
図13、14に示すように、アジャストレバー74には、その基端部74aに一対のかしめ突起70cを通し、その一対のかしめ突起70cがかしめられることによってアジャストレバー74が第2ストラット部材70に固定されるかしめ穴74bが備えられ、その先端部74cに、スターホイール60aに係合させられるためにそのアジャストレバー74の板面と略直交する方向に延長された板状の係合部74dと、その係合部74dをアジャストレバー74の幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部74eと、そのアジャストレバー74の先端部74cから係合部74d側へ延長され、ドラムブレーキ10の制動時に係合部74dと当接する当接部74fと、そのアジャストレバー74の先端から第1ストラット部材56に接近する方向に延長されたストッパー部74gとが備えられている。また、上記かしめ穴74b、係合部74d、弾性部74e、当接部74f、ストッパー部74gを備えるアジャストレバー74は、プレス加工によって一枚の金属板から一体的に成形されたものである。
【0069】
ストッパー部74gは、本実施例のシュー間隙自動調節機構がドラムブレーキに組み付けられる際、コイル状のスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材70とが所定量以上離間するとその第1ストラット部材56の螺子部56aに螺合されているアジャストナット60に当接するようにアジャストレバー74の先端から第1ストラット部材56に接近する方向に延設されており、シュー間隙自動調節機構をドラムブレーキに組み付ける際、コイル状のスプリング62の付勢力によって第1ストラット部材56と第2ストラット部材70とが離間して第1ストラット部材56が第2ストラット部材74から脱落しないように作業者がそのシュー間隙調節機構を手で押さえながら取り扱うことがなくなるのでドラムブレーキ組み付け工程を容易にすることができる。
【0070】
弾性部74eは、図15に示すように、アジャストレバー74の先端部74cの係合部74d側の側縁からアジャストレバー74の当接部74fの幅よりも小さい幅で係合部74dまで延長されその係合部74dの一部を連結するものであり、前述の実施例1の弾性部54eの弾性率と同様に弾性部74eの弾性率は、当接部74fの弾性率より小さい。
【0071】
そのため、本実施例のアジャストレバー74は、前述の実施例1のアジャストレバー54と形状は違うもののその機能は同じものであるので、ドラムブレーキ10の制動時において、当接部74fが係合部74dに当接することによってその係合部74dからスターホイール60aに力が伝わりそのスターホイールを回転させることができ、且つ、ドラムブレーキ10の制動解除時において、スターホイール60aと係合する係合部74dが弾性部74eの弾性変形によってアジャストレバー74の幅方向に変位させられ、アジャストレバー54からスターホイール60aに伝わる力が大幅に低減することができるという前述の実施例1のアジャストレバー54の効果と同様の効果を備えるものである。
【0072】
図16に示すように、アジャストレバー74は、その先端部74cに設けられた係合部74d、弾性部74e、当接部74f、ストッパー部74gがアジャストレバー74の幅方向の中心部に対してアジャストレバー74の一方の側面側に配置されているため、それら係合部74d、弾性部74e、当接部74f、ストッパー部74gによってスターホイール60aが隠される部分を狭くすることができるので、バッキングプレート16に貫通された貫通穴16aから容易に作業者がスターホイール60aを回転させることができる。
【0073】
本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、アジャストレバー74の先端部74cには、アジャストナット60に係合して第1ストラット部材56が第2ストラット部材70から脱落することを防止するストッパー部74gが備えられていることから、そのストッパー部74gによって、シュー間隙自動調節機構をドラムブレーキに組み付ける際、第1ストラット部材56が第2ストラット部材70から脱落することが防止されるので、ドラムブレーキの組付工程を容易にすることができる。
【実施例4】
【0074】
本実施例のシュー間隙自動調節装置は、異なるアジャストレバー76を備える点以外は実施例2のシュー間隙自動調節装置と略同様であり、図17はそのアジャストレバー76を説明する図であり、前述の実施例2の図11に略対応するものである。
【0075】
図17に示すように、アジャストレバー76は、前述の実施例2の係合部72a、弾性部72b、当接部72c、曲げ部72d、挿通穴72fと同様の係合部76a、弾性部76b、当接部76c、曲げ部76d、挿通穴76fを備えており、さらに、アジャストレバー76の基端部76gには、図18、19に示すようにその基端部76gからブレーキシュー20のシューウェブ34側に延長され且つ曲成されることにより一端部76hが常時ブレーキシュー20のシューウェブ34に当接するように付勢されるばね部76iが備えられている。また、係合部76a、弾性部76b、当接部76c、曲げ部76d、挿通穴76f、ばね部76iを備えるアジャストレバー76は、プレス加工によって一枚の金属板から一体的に成形されたものである。
【0076】
アジャストレバー76のばね部76iは、その一端部76hを常時シューウェブ34に当接しており、その当接する力によって、ドラムブレーキの制動時すなわちブレーキシュー20が図18の矢印J方向に移動する際、その一端部76iとシューウェブ34との間に摩擦力が発生し、その摩擦力によりアジャストレバー76すなわち第2ストラット部材70はブレーキシュー20と同じ方向に引っ張られるため、一対のブレーキシュー18,20の拡開に連動して第1ストラット部材56と第2ストラット部材70とを好適に相対移動させることができる。
【0077】
本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、アジャストレバー76の基端部76gには、その基端部76gからブレーキシュー20に延長され且つ曲成されることにより一端部76hが常時ブレーキシュー20のシューウェブ34に当接するように付勢されるばね部76iが備えられていることから、一対のブレーキシュー18,20が拡開する際、ばね部76iによる一端部76iとブレーキシュー20のシューウェブ34との摩擦力によってアジャストレバー76すなわち第2ストラット部材70は、ブレーキシュー20の拡開方向と同方向に引っ張られるので、好適に一対のブレーキシュー18,20の拡開に連動して第1ストラット部材56と第2ストラット部材70とを相対移動することができる。
【0078】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0079】
たとえば、本発明のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10において、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間させる方向に付勢させるスプリング(弾性部材)62が第2ストラット部材58の受入穴58a内に配設されていたが、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間させる方向に付勢させるものなら何でもよく、たとえば、第1ストラット部材56とブレーキシュー18との間および第2ストラット部材58とブレーキシュー20との間にそれぞれ張設された一対のスプリング(弾性部材)であってもよい。さらには、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とは、アジャストレバー54の付勢力によりレバー部材64を介してそれぞれが離間させられる方向に常時付勢されるため、第1ストラット部材56と第2ストラット部材58とを離間させる方向に付勢させる弾性部材(スプリング62、上記一対のスプリング等)が備えられていなくても何等問題はない。
【0080】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施例のリーディング・トレーリング型ドラムブレーキを示す正面図である。
【図2】図1のII-II視断面図である。
【図3】シュー間隙自動調節機構のアジャストレバーを説明するための図2の矢印A方向から見たアジャストレバー単独の拡大図である。
【図4】シュー間隙自動調節機構のアジャストレバーを説明するための図3の矢印B方向から見たアジャストレバーである。
【図5】図2のV-V視断面図である。
【図6】図4のVI-VI視断面図である。
【図7】アジャストレバーの付勢力によるレバー部材のドラムブレーキ制動時、非制動時の状態を説明するための図である。
【図8】図2のVIII-VIII視断面図である。
【図9】図7のレバー部材の拡大図である。
【図10】図7の(b)のX-X視断面図である。
【図11】本発明の他の実施例のシュー間隙自動調節機構を示す図であり、図2に略対応するものである。
【図12】図11の矢印C方向から見たシュー間隙自動調節機構を示す図である。
【図13】本発明の他の実施例のシュー間隙自動調節機構を示す図であり、図11に略対応するものである。
【図14】アジャストレバーを説明するための図13の矢印D方向から見た単独のアジャストレバーを示す図である。
【図15】図14のアジャストレバーの先端部を説明するために、弾性部および係合部を展開した図である。
【図16】図13の矢印D方向から見たシュー間隙自動調節機構を示す図である。
【図17】本発明の他の実施例のシュー間隙自動調節機構を示す図であり、図11に略対応するものである。
【図18】図17のアジャストレバーの基端部を説明するために、その基端部を拡大させた図である。
【図19】図17の矢印E方向から見たシュー間隙自動調節機構を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
10:ドラムブレーキ
18,20:一対のブレーキシュー
26:シュー間隙自動調節機構
52:ストラット
54、72、74、76:アジャストレバー
54a、72e、74a、76g:基端部
54c、72a、74d、76a:係合部
54b:摺接係合部
54h、72d、76d:曲げ部
56:第1ストラット部材
56a:螺子部
58、70:第2ストラット部材
58a、70a:受入穴
58e:嵌着溝
60:アジャストナット
60a:スターホイール
62:コイル状のスプリング(弾性部材)
64:レバー部材
64a:挿入穴
64b:第1レバー部
64c:第2レバー部
68:切欠
74g:ストッパー部
76h:ばね部の一端部
76i:ばね部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に螺子部を備え、他端が一対のブレーキシューの一方に係合する第1ストラット部材と、該第1ストラット部材の螺子部を受け入れるために一端に開口する受入穴を備え、他端が該一対のブレーキシューの他方に係合する第2ストラット部材と、スターホイールを備えて前記第1ストラット部材の螺子部に螺合するアジャストナットとを有し、非制動時における該一対のブレーキシューの間隔を規定するストラットと、
基端部が前記第2ストラット部材に取り付けられ、制動時における前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材との間の軸心方向の相対移動に連動して前記スターホイールを一方向に回転させる弾性変形可能な板状のアジャストレバーとを有するシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキにおいて、
前記アジャストレバーの先端部には、前記スターホイールに係合させられるために該アジャストレバーの板面と直交する方向の係合部と、該係合部を該アジャストレバーの幅方向に変位可能に連結する弾性変形可能な弾性部とが備えられており、
前記アジャストレバーは、制動時、前記係合部を介して該スターホイールを回動させるように該係合部と当接するものであることを特徴とするシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項2】
前記アジャストレバーの先端部には、制動時、前記係合部と当接するために該アジャストレバーから側方へ延長された当接部が備えられており、
前記弾性部の弾性率は、前記当接部の弾性率より小さいものであることを特徴とする請求項1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項3】
前記弾性部は、前記アジャストレバーの先端部の一方の側縁から該アジャストレバーの幅よりも小さい幅で他方の側縁まで延長されて前記係合部を連結するものであることを特徴とする請求項1または2のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項4】
前記弾性部は、前記アジャストレバーの幅方向においてその中央部分から前記第1ストラット部材側に突き出るように曲成させられて、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止する曲げ部を備えていることを特徴とする請求項3のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項5】
前記アジャストレバーの先端部には、前記アジャストナットに係合して第1ストラット部材が第2ストラット部材から脱落することを防止するストッパー部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項6】
前記アジャストレバーの基端部には、その基端部から前記一対のブレーキシューの他方側に延長され且つ曲成されることにより一端部が常時他方のブレーキシューに当接するように付勢されるばね部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項7】
前記第2ストラット部材の受入穴内には、前記第1ストラット部材と前記第2ストラット部材とを離間する方向に付勢する弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項8】
前記螺子部が挿入された挿入穴を有し、前記アジャストナットと第2ストラット部材との間に挟まれる第1レバー部と、該第1レバー部に対して直角よりも大きい所定角度に折り曲げられた第2レバー部とを有するレバー部材を更に含み、
前記第1レバー部には、該第1レバー部のアジャストナット側の先端部分が切欠かれ、
非制動時には、前記レバー部材の第1レバー部は、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの間に挟圧され、前記第2レバー部は前記係合部が前記スターホイールから離れる方向へ前記アジャストレバーをその付勢力に抗して押し曲げるものであり、
制動時には、前記第2ストラット部材と前記アジャストナットとの離間にしたがって前記アジャストレバーの付勢力にしたがって前記第2レバー部が前記第2ストラット部材に近接させられ該アジャストレバーの係合部が前記スターホイールを一方向に回転させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項9】
前記アジャストレバーの基端部は、前記第2ストラット部材を把持するように該第2ストラット部材に嵌め着けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【請求項10】
前記第2ストラット部材の所定位置には、前記基端部を嵌め着けるための嵌着溝が備えられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−2416(P2009−2416A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163164(P2007−163164)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】