説明

シリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶、およびウエハ

【課題】比抵抗が高く、比抵抗の面内均一性が良く、比抵抗のバラツキが小さいウエハを取得可能なp型シリコン単結晶をチョクラルスキー法により製造するシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】ボロンの濃度が4E14atoms/cm3以下で、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下である初期シリコン融液からチョクラルスキー法によりp型シリコン単結晶2を成長させる。結晶中心部の冷却速度に対する結晶エッジ部の冷却速度の比を1.4以上2.0以下にすることにより、生産性を維持しつつ引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率を3%以下とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶、およびウエハに関し、特にチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶、およびウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家庭用電化製品などに実装されるパワーデバイスは高耐圧であることが必要であり、かつ基板抵抗がその特性に影響するため、その基板として用いられるシリコンウエハは比抵抗が高く、そのバラツキが小さいことが要求される。
【0003】
チョクラルスキー法により不純物としてボロンを添加してp型シリコン単結晶を成長させると、シリコン単結晶に対するボロンの偏析係数が1未満であることから単結晶成長中にシリコン融液のボロンの濃縮化が進み、シリコン単結晶中のボロン濃度が単結晶の成長とともに増大する。その結果、得られたシリコン単結晶(インゴット)の引き上げの中心軸(以下、「引上中心軸」と称する)の先端と後端とでシリコン単結晶の比抵抗が変動する。
【0004】
このような偏析による比抵抗の変動を抑制するための従来技術として、初期シリコン融液中にボロンの濃度の25〜30%に相当するリンを添加してチョクラルスキー法で結晶を引き上げることで結晶成長方向の比抵抗の変動を抑えるというものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3931956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術は、パワーデバイス用途のシリコン単結晶ウエハに要求されるより厳しい比抵抗の面内均一性とウエハ間バラツキとを実現することができない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであって、初期シリコン融液におけるボロンの濃度を4E14atoms/cm3とし、かつボロンの濃度に対するリンの濃度を0.42以上0.50以下としてチョクラルスキー法でシリコン単結晶を製造する。これにより、比抵抗が高く、比抵抗の面内均一性が良く、比抵抗のバラツキが小さいウエハを取得可能なp型シリコン単結晶をチョクラルスキー法により製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
ボロンの濃度が4E14atoms/cm3以下で、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下である初期シリコン融液からチョクラルスキー法によりp型シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
比抵抗が高く、比抵抗の面内均一性が良く、比抵抗のバラツキが小さいウエハを取得可能なp型シリコン単結晶をチョクラルスキー法により製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を実施するためのシリコン単結晶製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を実施するためのフローチャートを示す図である。
【図3】シリコン単結晶の固化率とシリコン単結晶中の不純物濃度との関係のシミュレーション結果と、シリコン単結晶の固化率と比抵抗との関係の測定結果とシミュレーション結果とを示す図である。
【図4】シリコン単結晶の固化率と比抵抗との関係の初期シリコン融液P/B比依存性のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】チョクラルスキー法によるシリコン単結晶引き上げ時におけるシリコン固液界面と、引上中心軸上の位置と比抵抗の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶、およびウエハについて詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法はパワーデバイス用ウエハの製造に関するものである。
【0014】
パワーデバイスを形成するために用いるウエハは、比抵抗が50Ω・cm以上であって、比抵抗のウエハ間バラツキが10%以下でウエハ面内バラツキが3%以下という仕様を満たす必要がある。これは、主に次の理由による。
【0015】
第1に、パワーデバイスは高電圧が印加されることから高耐圧であることが必要であり、また、パワーデバイスの耐圧は、それが形成されるウエハの比抵抗の値と相関する。このため、パワーデバイスに用いるウエハは比抵抗が大きくなければならない。現在のパワーデバイスは耐圧250V以上が主流であり、ウエハの比抵抗として50Ωcm以上が求められている。一方で、ウエハの比抵抗が大きくなると、空乏層の幅が大きくなる。空乏層の幅がデバイス構造より大きくなりすぎると、空乏層がpn接合以外の部分と接触して、耐圧特性が低下してしまう。以上のことから、パワーデバイスの耐圧を高くするためには、ウエハの比抵抗を高くすると同時に、そのバラツキが小さいものである必要があるからである。
【0016】
第2に、パワーデバイスの中には、コレクタ電流をシリコン基板の裏面から取り出すトランジスタがあり(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))、ウエハの比抵抗のバラツキのトランジスタの特性への影響が比較的大きい。このため、このようなトランジスタを形成するためのウエハは、トランジスタの特性がその仕様範囲内となるようにするために比抵抗が大きくかつバラツキの小さいウエハである必要があるからである。
【0017】
第3に、比抵抗のウエハ面内バラツキはデバイスメーカにおいてウエハ受入れ時に選別を行うことができないことからデバイス形成後の選別歩留を低下させる。このため、デバイスの歩留低下によるコストの増大を抑制するために、デバイスに用いられるウエハは比抵抗のバラツキが小さいものである必要があるからである。
【0018】
図1は、本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を実施するためのシリコン単結晶
製造装置の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、シリコン単結晶製造装置100は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」と称する)によりシリコン単結晶を製造するものである。シリコン単結晶製造装置100は、シリコン融液を収容するルツボ30と、シリコン単結晶2の昇降、シリコン単結晶2の回転、およびルツボ30の回転を行う駆動装置10、を有する。シリコン単結晶製造装置100は、駆動装置10によるシリコン単結晶2の昇降、シリコン単結晶2の回転、およびルツボ30の回転を制御する制御装置1を有する。
【0020】
シリコン単結晶製造装置100は、ルツボ30およびシリコン単結晶2を収容するチャンバ20と、ルツボ30の側壁に沿って配置されるヒータ42と、ルツボ30の下方に配置されるヒータ44と、チャンバ20の側壁および底に配置される保温材26と、を有する。
【0021】
シリコン単結晶製造装置100は、チャンバ20の上部から垂れ下がるワイヤ3と、ワイヤ3の先端に設けられ種結晶8を保持するチャック6と、を有する。
【0022】
シリコン単結晶製造装置100は、チャンバ20内に不活性ガスを導入するためのガス導入口22と、導入された不活性ガスをチャンバ20から排出するためのガス排出口24と、不活性ガスを整流するための整流筒60と、を有する。不活性ガスは例えばArガスである。
【0023】
シリコン融液32は原料である多結晶シリコンを融解させたものである。
【0024】
本実施形態においては、p型のシリコン単結晶2を製造するため、単結晶成長当初のシリコン融液32(以下、「初期シリコン融液」と称する)にp型不純物(アクセプタ)としてボロン(B)を添加する。また、さらに、n型不純物(ドナー)であってシリコン単結晶2に対する偏析係数がボロンより小さいリン(P)を添加する。このように、ボロンと反対の伝導型の不純物であってボロンよりシリコン単結晶2に対する偏析係数が小さいリンを初期シリコン融液に添加するのは、シリコン単結晶2の比抵抗を大きくするとともに、引上中心軸方向の比抵抗の変動(比抵抗変化率の増大)を防止するためである。
【0025】
また、本実施形態においては、さらに、シリコン単結晶2の引上中心軸と垂直な面における比抵抗の面内バラツキ(比抵抗変化率の増大)を抑えるために引上中心軸方向の比抵抗の変動をさらに抑える。このため、初期シリコン融液を、ボロンの濃度が4E14atoms/cm3以下で、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下とする。この点についての詳細は後述する。
【0026】
ルツボ30は、例えば合成石英ガラスによって形成される。ルツボ30は、ルツボを支持する軸34に底で接続している。整流筒60は、ルツボ30の上方に設けられ、略円錐台面状である。
【0027】
駆動装置10は、ワイヤ3の引き出しおよび巻き取りを行う巻き取り機12と、ルツボ30を回転させるルツボ駆動機14と、を有する。巻き取り機12は、ワイヤ3を回転させながら巻き取ることができる。軸34はルツボ駆動機14に接続されており、ルツボ30は軸34を介してルツボ駆動機14によって回転する。
【0028】
制御装置1は、巻き取り機12、ヒータ42、44、およびルツボ駆動機14に電気的に接続されている。制御装置1は、巻き取り機12によるワイヤ3の巻き取り速度、ワイヤ3の回転方向、およびワイヤ3の回転速度、つまりシリコン単結晶2の引き上げ速度、シリコン単結晶2の回転方向、およびシリコン単結晶2の回転速度を制御できる。制御装置1は、ルツボ駆動機14によるルツボ30の回転方向及び回転速度を制御できる。制御装置1は、ヒータ42、44の出力を制御でき、ヒータ44の出力を固定しヒータ42の出力を変えることによってシリコン融液32の温度を制御できる。
【0029】
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)、および記憶装置を主体とした構成を有し、シリコン単結晶製造装置100全体の動作を記憶装置に記憶している。制御装置1は、例えば、PC(Personal Computer)、またはEWS(Engineering Work−Station)で構成することができる。本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法は、制御装置1が各構成要素の動作を制御することによって行われることができる。
【0030】
図2は、本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を実施するためのフローチャートを示す図である。
【0031】
本実施形態に係るシリコン単結晶製造方法は、CZ法によりシリコン単結晶2を製造するものであり、チャンバ20内を不活性ガス雰囲気にする不活性ガス充填工程S1と、シリコン融液32を生成させる融液生成工程S2と、シリコン単結晶2を成長させるシリコン単結晶成長工程S3と、シリコン融液32からシリコン単結晶2を切り離す切り離し工程S4と、を有する。
【0032】
不活性ガス充填工程S1は、チャンバ20を密封し、真空ポンプ(不図示)によってガス排出口24から排気しつつ、ガス導入口22より不活性ガスを導入してチャンバ20内を不活性ガス雰囲気にする。なお、以下に説明する各工程においてもチャンバ20内に不活性ガスを流すことによって、チャンバ20内を不活性ガス雰囲気に保つ。
【0033】
融液生成工程S2は、不活性ガス充填工程S1の後、ルツボ30に充填された原料をヒータ42、44によって融解させて初期シリコン融液32を生成させる。
【0034】
本実施形態においては、シリコン融液32にボロンおよびリンを添加し、初期シリコン融液32が、ボロンの濃度が4E14atoms/cm3以下で、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下となるようにする。
【0035】
初期シリコン融液32をこのような組成とすることで、シリコン単結晶2の比抵抗を増大させるとともに引上中心軸L1における比抵抗変化率をより低減し、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率を低減することができる。すなわち、引上中心軸L1における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸L1における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるp型シリコン単結晶2を成長させることができる。
【0036】
ここで、比抵抗変化率は、下記式(1)により定義される。
【0037】
比抵抗変化率=(比抵抗の最大値−比抵抗の最小値)/比抵抗の最大値 ・・・(1)
シリコン単結晶成長工程S3は、融液生成工程S2の後、巻き取り機12によって種結晶8をシリコン融液32表面まで降下させて浸漬し、巻き取り機12によってシリコン融液32からシリコン単結晶8を引き上げ、シリコン単結晶2の直胴部4を成長させる。シリコン単結晶2およびルツボ30は互いに逆方向に回転する。
【0038】
本実施形態においては、シリコン単結晶成長工程S3におけるシリコン単結晶2の引き上げ速度は0.9mm/min以上であり、かつ、結晶エッジ部の冷却速度を結晶中心部の冷却速度の1.4倍以上とすることができる。ここで冷却速度とは結晶育成中における融点〜1350℃の範囲の平均であり、融点から1350℃までの結晶成長軸方向の平均温度勾配(℃/mm)に引上げ速度(mm/min)を乗じた値である。引上げ速度が0.9mm/min未満では、生産性が悪くなるので好ましくない。結晶エッジ部の冷却速度が結晶中心部の冷却速度の1.4倍未満になると、シリコン単結晶の冷却効率が悪くなるため、引上げ速度が0.9mm/min未満となり、生産性が悪くなる。引上げ速度の上限は、実現可能なシリコン単結晶引上げ装置の能力から1.9mm/minであり、結晶エッジ部の冷却速度の上限は、結晶中心部の冷却速度の2倍である。
【0039】
直胴部4は、シリコン単結晶2のうち、直径がシリコン単結晶2の引上中心軸L1の方向に略一定の円筒形状の部分であり、シリコン単結晶2がコーン部の形成を経てあらかじめ設定した直径に達したら、直胴部4を成長させる。
【0040】
切り離し工程S4は、直胴部4を成長させた後、ワイヤ3の巻き取りを停止させ、ルツボ30を下降させることによってシリコン融液32からシリコン単結晶2を切り離す。
【0041】
本実施形態によれば、引上中心軸L1における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸L1における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるp型シリコン単結晶2を製造することができる。
【0042】
以下、本実施形態がこのような効果を奏する理由について説明する。
【0043】
図3のAは、シリコン単結晶の固化率とシリコン単結晶中の不純物濃度との関係のシミュレーション結果を示す図である。図3のBは、シリコン単結晶の固化率と比抵抗との関係の測定結果とシミュレーション結果とを示す図である。図3のBにおける点プロットは実測結果を示し、線プロットはシミュレーション結果を示す。
【0044】
図3のAに示すように、初期シリコン融液にボロンのみが添加された場合は、シリコン単結晶が成長する(すなわち、固化率が大きくなる)にしたがい、シリコン単結晶中の不純物濃度が指数関数的に大きくなる。この結果、図3のBに示すように、シリコン単結晶が成長するにしたがい、シリコン単結晶の比抵抗が低下する。
【0045】
これは、シリコン単結晶に対するボロンの偏析係数kが0.78程度であり、1未満であることからシリコン単結晶の成長とともにシリコン融液のボロンの濃縮化が進み、シリコン単結晶中へ取り込まれるボロンの割合が大きくなるためである。
【0046】
初期シリコン融液にリンのみが添加された場合も、同様に、シリコン単結晶が成長するに従い、シリコン単結晶の不純物濃度が指数関数的に増大する。しかし、シリコン単結晶に対するリンの偏析係数kが0.38程度でボロンの偏析係数より小さいため、シリコン単結晶の成長にともなうシリコン融液のリンの濃縮化の割合(速度)はボロンの場合より大きい。したがって、シリコン単結晶の成長にともなう比抵抗の低下の割合もボロンを添加した場合より大きくなる。
【0047】
ボロンはp型不純物であるため、シリコン単結晶にボロンが添加されるとシリコン単結晶中にp型キャリアとしての正孔を発生させる。リンはn型不純物であるため、シリコン単結晶にリンが添加されるとシリコン単結晶中にn型キャリアとしての電子を発生させる。
【0048】
ボロンおよびリンが添加されたシリコン単結晶は、互いに発生させた反対の伝導型のキャリアを打ち消し合う。したがって、p型半導体の製造において、シリコン単結晶にボロンとともにリンを添加することで、シリコン単結晶のp型キャリア密度を減少させ、比抵抗を増大させることができる。
【0049】
また、シリコン単結晶の成長に伴う不純物濃度の増大の割合はボロンを添加する場合よりリンを添加する場合の方が大きい。したがって、シリコン単結晶の成長に伴うボロンの濃度の増大によるp型キャリア密度の増大を、リンの濃度の増大によるn型キャリア密度の増大により相殺することで、シリコン単結晶の成長に伴う比抵抗の低下を防止することができる。すなわち、初期シリコン融液のボロンの濃度に対するリンの濃度の比(以下、「P/B比」と称する)を適当な値とすることにより、シリコン単結晶の成長に伴う比抵抗の低下を防止することができる。なお、初期シリコン融液添加されるボロンおよびリンの濃度は十分小さいため、ボロンおよびリンはシリコン単結晶に対しそれぞれ独立した偏析を行なうと考えられる。
【0050】
具体的には、図3のAに示すように、シリコン単結晶の成長過程におけるシリコン単結晶のボロンの濃度とリンの濃度の差が一定となるように初期シリコン溶液のP/B比を選択することで、図3のBに示すように、シリコン単結晶の成長に伴う比抵抗の値を一定に保つことができる。
【0051】
図3のBは、初期シリコン融液を、ボロンの濃度が1.6E14atoms/cm3で、P/B比を0.45とした場合の比抵抗の測定結果およびシミュレーション結果を示している。
【0052】
図4は、シリコン単結晶の固化率と比抵抗との関係の初期シリコン融液P/B比依存性シミュレーション結果を示す図である。ここで、図4の比抵抗比率は、下記式で示される。
【0053】
比抵抗比率=(ある固化率の比抵抗−その結晶の比抵抗最小値)/その結晶の比抵抗最 大値 ・・・・・(2)
図4に示すシミュレーション結果によれば、固化率を0〜0.80に制限した場合、初期シリコン融液のP/B比を0.42〜0.55にすることで、引上中心軸の比抵抗変化率を10%以下に低減することができることがわかる。ただし、後述するように、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率を低減するためには、P/B比は0.42〜0.50にすることが必要である。なお、固化率を0〜0.80に制限する理由も後述する。
【0054】
ここで、初期シリコン融液のP/B比が0.42〜0.50とした場合、シリコン単結晶2の成長が進むと、固化率0.7付近においてシリコン単結晶2の比抵抗が上昇に転じる現象が生じる(以下、比抵抗が上昇に転じる点を「変曲点」と称する)。この現象はシリコン単結晶2内におけるp型キャリア(正孔)が減少に転じたことを示しており、シリコン単結晶2中のリンの増加率がボロンの増加率を超えたことに起因する。
【0055】
本実施形態においては、変曲点を発生させてまでも引上中心軸の比抵抗変化率を低減する。変曲点が発生した以降のシリコン単結晶も、シリコン単結晶中のリンの濃度がボロンの濃度を超えない限りp型の伝導型を保っており、パワーデバイス用ウエハとして使用することに何ら問題はない。
【0056】
このように、引上中心軸の比抵抗変化率をより低減することで、さらに引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率を低減することができる。以下、この理由について説明する。
【0057】
図5は、CZ法によるシリコン単結晶引き上げ時におけるシリコン固液界面(シリコン融液とシリコン単結晶との境界面)を示す説明図である。
【0058】
図5に示すように、シリコン単結晶2の引き上げ時におけるシリコン固液界面500、501は、シリコン単結晶2の引上中心軸L1方向に突出した形状を有する。点Aは現在の固液界面500と引上中心軸L1との交点である。点B'は点Aを含むシリコン単結晶の水平断面(引上中心軸と垂直な断面)A1とシリコン単結晶2の側面との交点である。点Bは過去の固液界面501と引上中心軸L1との交点である。AとBの距離をΔZ、AとBの比抵抗の差をΔRとする。
【0059】
ここで、固液界面500、501における各比抵抗は一定であるため、点Bと点B'における比抵抗は同じである。一方、点Aと点Bとの間の比抵抗の変化は引上中心軸L1における比抵抗変化率に対応し、点Aと点B'との間の比抵抗の変化は引上中心軸L1と垂直な断面A1における比抵抗変化率に対応する。したがって、引上中心軸L1と垂直な断面A1における比抵抗変化率を低減するためには、引上中心軸L1方向の比抵抗傾きΔR/ΔZを低減する必要がある。図4のシミュレーションから、比抵抗傾きを低減するためには、固化率の上限を設定すること、およびP/B比をある範囲内にすることが有効である。固化率が0.80を超える領域は、どのようなP/B比においても比抵抗傾きが大きくなるため、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率が3%を超えてしまう。固化率を0〜0.80に制限した場合、初期シリコン融液中のP/B比を0.42以上0.50以下にすることで、後述する実施例において実証されるように、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下になる。より好ましくは、固化率を0〜0.80に制限した場合、0.42以上0.47以下にすることで、後述する実施例において実証されるように、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が2%以下になる。固化率を0〜0.80に制限した場合、P/B比を0.50超0.55以下にすると、結晶ボトム側の比抵抗傾きが大きくなるため、引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率が3%を超える。固化率を0.80未満に制限すれば、P/B比が0.50超0.55以下の場合でも引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率を3%以下にすることができる。しかし、固化率を0.80未満に制限するのは、生産性が悪くなり好ましくない。
【0060】
なお、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率を少なくするためには、結晶引き上げ中のシリコン単結晶の冷却条件を制御して、固液界面形状を平らにする、すなわち、図5のΔZを小さくすることも有効である。しかし、この場合、結晶エッジ部の冷却速度を結晶中心部の冷却速度の1.4倍未満、好ましくは1倍にする必要がある。前述した通り、エッジ部の冷却速度を小さくすると、シリコン単結晶の冷却効率が悪くなるため、引上げ速度が0.9mm/min未満となり、生産性が悪くなる。本発明は、シリコン単結晶引上げの生産性を低下させることなく、比抵抗バラツキを低減することが可能となる。
【0061】
結晶エッジ部の冷却速度と結晶中心部の冷却速度とを制御してΔZの値を5〜15mmの範囲とすることにより、生産性を維持しつつ引上中心軸L1と垂直な断面における比抵抗変化率を3%以下とすることができる。結晶中心部の冷却速度に対する結晶エッジ部の冷却速度の比を1.4以上2.0以下にすることにより、ΔZの値を5〜15mmの範囲に制御することができる。
【0062】
本実施形態によれば、磁場を印加しながら結晶引上げを行うMCZ(Magnetic field applied CZochralski)のような特別な設備を用いることなく引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率を低減することが可能となる。そのため製造コストが抑制できる。
【0063】
シリコン単結晶2の引上中心軸L1と垂直な断面A1における比抵抗変化率については、以下説明する実施例によって実測を試みた。
【0064】
なお、本特許で得られたシリコン単結晶から切り出されたウエハは、そのままパワーデバイス用ウエハとして使用してもよいし、後述する高温熱処理を施した後のウエハを使用しても良い。
【0065】
高温熱処理は非酸化性雰囲気中で熱処理することが望ましい。その理由は、酸化雰囲気では、ボイドやその他のgrown−in欠陥がアニール中に十分消滅しないからである。また、前記非酸化性雰囲気とは、酸素等の酸化性ガスを含まない雰囲気であり、不活性雰囲気と還元性雰囲気がある。不活性雰囲気とは、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオンや窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気である。また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素、アンモニア等の還元性ガスが存在する雰囲気をいう。
【0066】
ウエハを熱処理する温度は、1150〜1250℃であり、1175〜1215℃であることが好ましく、1185〜1200℃であることがより好ましい。
【0067】
前記シリコンサブストレートを熱処理する温度が、1150℃未満では、ボイドやその他のgrown−in欠陥がアニール中に十分消滅しない。また、当該温度が1250℃超では、炉の部材の劣化が激しくなる。
【0068】
ウエハを熱処理する時間は、10分以上2時間以下であり、好ましくは30分以上1.5時間以下であり、より好ましくは50分以上1時間以下である。
【0069】
前記ウエハを熱処理する時間が10分未満では、ボイドやその他のgrown−in欠陥がアニール中に十分消滅しない。また、当該時間が2時間を超えると、生産性が悪くなるので好ましくない。
【0070】
本実施形態に係る製造方法における熱処理(アニール)を行う熱処理炉(または反応室)は、市販のものでよく特に制限されるものではない。但し、熱処理中に酸化膜が2nm以上成長しないようにする必要がある。なぜなら、表面に酸化膜が付着すると、アニール中の欠陥の収縮・消滅が阻害されるためである。具体的には、熱処理中の雰囲気ガスに混入する不純物の量をできる限り減らす、シリコンウエハを炉の中に挿入する際に、周囲からの空気の巻き込みを極力減らす、と言った工夫が必要である。使用する雰囲気ガスは、例えば不純物が5ppma以下に抑えられたアルゴンなどの希ガスが好ましい。
【0071】
本実施形態に係る製造法に使用されるシリコンウエハを保持する部材は、特に制限されるものではなく、例えば、石英などが用いられる。これらの部材はアニール温度が降温になりすぎると著しく劣化する。そのため頻繁な交換が必要となり、製造コスト上昇の要因となる。
【0072】
(実施例)
本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法の実施例および比較例について説明する。
【0073】
[シリコン単結晶の製造]
CZ法によるシリコン単結晶製造装置を用いて、直径200mmのシリコン単結晶(インゴット)を成長させた。
【0074】
その際、初期シリコン融液は下記に示すボロン濃度およびリン濃度とし、種結晶を初期シリコン融液につけてシリコン単結晶を成長させた。結晶の引上げ速度は0.9mm/minとし、かつ、結晶エッジ部の冷却速度を結晶中心部の冷却速度の1.9倍とした。
【0075】
(1)実施例1
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロン濃度が1.6E14atoms/cm3、リン濃度が7.2E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.45)とした。
【0076】
(2)実施例2
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が4.0E14atoms/cm3、リンの濃度が1.8E14atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.45)とした。
【0077】
(3)実施例3
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が1.1E14atoms/cm3、リンの濃度が4.6E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42)とした。
【0078】
(4)実施例4
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が1.6E14atoms/cm3、リンの濃度が7.5E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.47)とした。
【0079】
(5)実施例5
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が1.6E14atoms/cm3、リンの濃度が8.0E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.50)とした。
【0080】
(6)比較例1
初期シリコン融液にボロンを添加して、ボロンの濃度が1.0E14atoms/cm3とした。
【0081】
(7)比較例2
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が1.4E14atoms/cm3、リンの濃度が4.2E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.30)とした。
【0082】
(8)比較例3
初期シリコン融液にボロンとリンを添加して、ボロンの濃度が1.8E14atoms/cm3、リンの濃度が9.9E13atoms/cm3(ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.55)とした。
【0083】
[シリコン単結晶の評価]
成長させたシリコン単結晶を引上中心軸に対し垂直に薄片状に切断してスライスウエハとした後、引き上げの中心軸方向の複数の位置からスライスウエハを採取し、鏡面加工してウエハを作製した。得られたウエハをアルゴンガス雰囲気中で1200℃、1時間の高温処理を行った。
【0084】
得られたウエハの中心、半径50mm、および半径90mmの各点における比抵抗を四探針法で測定した。
【0085】
各ウエハの中心点における比抵抗の測定結果を式(1)に代入してシリコン単結晶の引上中心軸における比抵抗変化率を計算した。
【0086】
また、各シリコンウエハの中心、半径50mm、および半径90mmの各点における比抵抗の測定結果を式(1)に代入することで、シリコンウエハの面内の比抵抗変化率を、同様に計算した。
【0087】
[結果]
(1)実施例1
実施例1の結果を表1に示す。
【0088】
表1には、実施例1により製造されたシリコン単結晶におけるウエハ採取位置の固化率に対して、ウエハ中心の比抵抗およびウエハの比抵抗の面内変化率の結果を示した。
【0089】
【表1】

【0090】
表1によれば、固化率が0.80以下の部位においては、シリコン単結晶の引上中心軸における比抵抗(ウエハ中心の比抵抗に対応)の最小値が130Ω・cmで、引上中心軸における比抵抗変化率が7.1%で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の最大値が1.4%であった。
【0091】
すなわち、シリコン単結晶の引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるシリコン単結晶の製造を実現することができた。
【0092】
なお、本実施例によって得られたシリコン単結晶において、固化率0.80を超える部位の比抵抗の面内変化率の最大値は3%を超えた。
【0093】
(2)比較例1
比較例1の結果を表2に示す。
【0094】
表2には、比較例1により製造されたシリコン単結晶におけるシリコンウエハ採取位置の固化率に対して、シリコンウエハ中心の比抵抗およびシリコンウエハの比抵抗の面内変化率の結果を示した。
【0095】
【表2】

【0096】
表2によれば、固化率が0.80以下の部位において、シリコン単結晶の引上中心軸における比抵抗(ウエハ中心の比抵抗に対応)の最小値が114Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が29.6%で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の最大値が4.0%であった。
【0097】
すなわち、シリコン単結晶の引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるシリコン単結晶の製造を実現することができなかった。
【0098】
(3)実施例と比較例との比較
実施例1〜5および比較例1〜3の結果を表3に示す。
【0099】
表3には、各実施例および各比較例により製造されたシリコン単結晶におけるウエハ中心の比抵抗、引上中心軸における比抵抗の変化率、および引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の結果を、初期シリコン融液中の各不純物濃度と共に示した。
【0100】
【表3】

【0101】
表3によれば、実施例1〜5は、固化率が0.80以下の部位においては、シリコン単結晶の引き上げの中心軸における比抵抗の最小値が50〜175Ω・cmで、引上中心軸における比抵抗変化率が4.7〜8.9%で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の最大値が1.4〜2.5%であった。
【0102】
すなわち、各実施例により得られたシリコン単結晶は、パワーデバイス用のシリコン単結晶ウエハの仕様を満たすために必要とされるシリコン単結晶の仕様である、引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下、を満たすことができた。
【0103】
更に、実施例1〜4は、固化率が0.80以下の部位においては、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の最大値が2%以下であった。
【0104】
一方、比較例1〜3は、固化率が0.80以下の部位において、シリコン単結晶の引き上げの中心軸における比抵抗の最小値が114〜124Ω・cmで、引き上げの中心軸における比抵抗変化率が7.3〜29.8%で、引き上げの中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率の最大値が3.3〜4.0%であった。
【0105】
すなわち、比較例により得られたシリコン単結晶は、引上中心軸における比抵抗変化率および引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率についてパワーデバイス用途のシリコン単結晶ウエハの仕様を満たすために必要なシリコン単結晶の仕様を満たすことができなかった。
【0106】
実施例1〜4および比較例1〜3において作製したシリコン単結晶の引上中心軸の比抵抗変化率と比抵抗の面内変化率との関係に着目すると、引上中心軸の比抵抗変化率が大きいほど比抵抗の面内変化率が大きい傾向がほぼ確認できた。
【0107】
上述した実施例による測定結果によれば、本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法により、すなわち、初期シリコン融液のボロンの濃度を4E14atoms/cm3以下とし、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下とすることにより、固化率が0.80以下の部位において引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるp型シリコン単結晶を製造することができることが実証された。
【0108】
さらに、初期シリコン融液のボロンの濃度を4E14atoms/cm3以下とし、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.47以下とすることにより、固化率が0.80以下の部位において引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が2%以下であるp型シリコン単結晶を製造することができることが実証された。
【0109】
以上、本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶、およびウエハについて説明したが、本実施形態は以下の効果を奏する。
【0110】
引上中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、引上中心軸における比抵抗変化率が10%以下で、引上中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であるp型シリコン単結晶を量産性に優れたCZ法により製造することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 制御装置、
2 シリコン単結晶、
3 ワイヤ、
6 チャック、
8 種結晶、
10 駆動装置、
20 チャンバ、
22 ガス導入口、
24 ガス排出口、
26 保温材、
30 ルツボ、
32 シリコン融液、
42、44 ヒータ、
60 整流筒、
100 シリコン単結晶製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボロンの濃度が4E14atoms/cm3以下で、ボロンの濃度に対するリンの濃度の比が0.42以上0.50以下である初期シリコン融液からチョクラルスキー法によりp型シリコン単結晶を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【請求項2】
シリコン単結晶の中心部の冷却速度に対するシリコン単結晶のエッジ部の冷却速度の比を1.4以上2.0以下にしてp型シリコン単結晶を成長させることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【請求項3】
ボロンおよびリンが添加された初期シリコン融液からチョクラルスキー法により成長させたp型シリコン単結晶であって、
引き上げの中心軸における比抵抗が50Ω・cm以上で、前記引き上げの中心軸における比抵抗変化率が10%以下であることを特徴とするシリコン単結晶。
【請求項4】
前記引き上げの中心軸と垂直な断面における比抵抗変化率が3%以下であることを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶。
【請求項5】
請求項3に記載のシリコン単結晶を前記引き上げの中心軸と垂直に薄片状に切断されてなるウエハ。
【請求項6】
請求項4に記載のシリコン単結晶を前記引き上げの中心軸と垂直に薄片状に切断されてなるウエハ。
【請求項7】
請求項5に記載のウエハを、非酸化性雰囲気中において1150℃以上1250℃以下で10分以上2時間以下熱処理することで前記熱処理後の酸化膜が2nm以下となったウエハ。
【請求項8】
前記非酸化性雰囲気は、不純物が5ppma以下の希ガス雰囲気である請求項7に記載のウエハ。
【請求項9】
請求項6に記載のウエハを、非酸化性雰囲気中において1150℃以上1250℃以下で10分以上2時間以下熱処理することで前記熱処理後の酸化膜が2nm以下となったウエハ。
【請求項10】
前記非酸化性雰囲気は、不純物が5ppma以下の希ガス雰囲気である請求項9に記載のウエハ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−148949(P2012−148949A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128562(P2011−128562)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】