説明

シリコン製部品の製造方法及びエッチング処理装置用のシリコン製部品

【課題】エッチング処理装置用のシリコン製部品に使用するシリコン廃材の選定を適正化する。
【解決手段】エッチング処理装置内に配置されるシリコン製部品をシリコン廃材から再生して製造するエッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法であって、シリコン廃材の不純物を測定する工程と、測定された不純物含有量と目標値に基づきシリコン廃材、シリコン原料、ドープ材の投入量を算出する工程と、算出された投入量のシリコン廃材、シリコン原料、ドープ材をるつぼに投入し、溶解する工程と、前記溶解された材料を冷却して固める工程と、前記固められた材料の少なくとも上面を含む部分を切除して多結晶シリコンを生成する工程と、前記生成された多結晶シリコンから前記シリコン製部品を製造する工程と、を含むことを特徴とするシリコン製部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン製部品の製造方法及びエッチング処理装置用のシリコン製部品に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング処理装置では、シリコン製の半導体ウエハ(以下、ウエハと称呼する。)上の各種シリコン膜にエッチング処理を実行する。エッチング処理装置内に配置される各種部品には、前記プロセスに影響を与えないようにシリコン製の部品が使用されている。例えば、エッチング処理装置内では、載置台上に載置されたウエハを囲むフォーカスリングにシリコン製部品が配置されている。また、載置台と対向するように設けられた対向電極の電極板にもシリコン製部品が配置されている。
【0003】
エッチング処理装置内に配置されるシリコン製部品は、プロセス中、プラズマに暴露されるため、消耗、劣化し、徐々にその形状が変化する。変化が進んだシリコン製部品をそのまま使用し続けるとプロセスの再現性が悪くなる。そこで、ある程度消耗し、劣化したシリコン製部品は、その時点で寿命が尽きたとみなされ、産業廃棄物として廃棄される。一方、このようなエッチング処理装置用のシリコン製部品には、従来、高価な単結晶シリコンが使用されていたため、エッチング処理装置のランニングに伴う消耗品コストを高める一因ともなっていた。
【0004】
そこで、近年、シリコン製部品に多結晶シリコン材が使用されるようになっている。たとえば、特許文献1には、シリコン廃材を回収し、回収したシリコン廃材から多結晶シリコンを製造する製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−71361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記製造方法により多結晶シリコンを製造する場合にも、たとえば、99.999999999%(以下、11Nとも表記する)の高純度かつ高価なシリコン材料が使用されていた。よって、単結晶の替わりに多結晶シリコン材料を使用してシリコン製部品を製造する場合にも材料コストの低減には限界があった。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、エッチング処理装置用のシリコン製部品に使用するシリコン廃材の選定を適正化することにより、材料コストを低減し、資源の有効活用を図ることが可能な、エッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法及びシリコン製部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、 エッチング処理装置内に配置されるシリコン製部品をシリコン廃材から再生して製造するエッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法であって、前記シリコン廃材又は該シリコン廃材を含んだ材料をるつぼに投入し、溶解する工程と、前記溶解された材料を冷却して固める工程と、前記固められた材料の少なくとも上面を含む部分を切除して多結晶シリコンを生成する工程と、前記生成された多結晶シリコンから前記シリコン製部品を製造する工程と、を含むことを特徴とするシリコン製部品の製造方法が提供される。
【0009】
前記シリコン廃材は所定のエッチング溶液で洗浄後、るつぼに投入されてもよい。
【0010】
前記シリコン廃材又は該シリコン廃材を含んだ材料は、所定の種類の離型材を内壁に塗布させた前記るつぼに投入されてもよい。
【0011】
前記固められた材料の切除は、離型材の種類に応じて、カットされる部分が表面から20mm以下となるように前記材料の全面をカットする、又は、カットされる部分が表面から15mm以下となるように前記材料の上面をカットするとともに上面以外の面をブラスト処理してもよい。
【0012】
前記離型材は、Si、SiC、SiO、SiNのいずれかであってもよい。
【0013】
前記シリコン廃材を含んだ材料は、前記シリコン廃材の投入量と、シリコン原料の投入量と、不純物とからなり、回収した前記シリコン廃材の不純物の含有率を測定し、測定された不純物の含有量と最終製品の抵抗値の目標値とに基づき、前記るつぼに投入する前記シリコン廃材の投入量と、前記シリコン原料の投入量と、前記不純物の投入量とを決定してもよい。
【0014】
前記最終製品の抵抗値の目標値は、1〜4Ωcmの範囲のいずれかの値であってもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の別の態様によれば、 ボロンをドープしたP型タイプの多結晶シリコンであって、純度が99.999%以上のシリコン廃材又は純度が99.999%以上のシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されたエッチング処理装置用のシリコン製部品が提供される。
【0016】
前記シリコン製部品は、抵抗値が0.01〜100Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されてもよい。
【0017】
前記シリコン製部品は、抵抗値が1〜4Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されてもよい。
【0018】
前記シリコン製部品は、抵抗値が60〜90Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されてもよい。
【0019】
前記シリコン製部品は、抵抗値の上限が0.02Ωcm以下となるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、エッチング処理装置用のシリコン製部品に使用するシリコン廃材の選定を適正化することにより、材料コストを低減し、資源の有効活用を図ることが可能な、エッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法及びエッチング処理装置用のシリコン製部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るエッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】一実施形態に係る製造方法における測定処理を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態に係る製造装置を示した縦断面図である。
【図4】一実施形態に係る製造方法を説明するための図である。
【図5】一実施形態に係る多結晶シリコン材及び多結晶シリコン材の抵抗値を示す図である。
【図6】一実施形態に係るシリコン製部品を配置したエッチング処理装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
以下では、本発明の一実施形態に係るエッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法について説明した後、そのシリコン製部品を用いたエッチング処理装置用について説明する。
【0024】
(はじめに)
エッチング処理装置内に配置される各種部品には、シリコン製の部品が使用されている。例えば、図6に示したようにエッチング処理装置10内では、載置台20上に載置されたウエハWを囲むフォーカスリング21や、絶縁板12を囲むグランドリング22にシリコン製部品が用いられている。また、載置台20に対向する対向電極30の電極板31にもシリコン製部品が配置されている。
【0025】
シリコン製部品には、ポリシリコン(Poly Si)を原材料とする単結晶又は多結晶が用いられる。エッチング処理装置向けポリシリコンメーカは、99.9999999(9N)〜99.999999999(11N)程度の純度の多結晶を作っていることが多い。一方、ソーラー向けポリシリコンメーカは、99.9999(5N)〜99.9999999(9N)程度の純度の多結晶を作っていることが多い。一般には、シリコン廃材を使用しない場合99.9999(6N)以上、シリコン廃材を使用する場合(リサイクル品の場合)99.999(5N)以上の純度の多結晶を生成している。
【0026】
以下の実施形態では、ボロンをドープしたP型タイプの多結晶シリコンであって、純度が5N以上のシリコン廃材、又は純度が5N以上のシリコン廃材を含んだ材料を再生して多結晶シリコンを生成し、エッチング処理装置用のシリコン製部品に用いる。
【0027】
エッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法には、使用済みのフォーカスリング21、グランドリング22、電極板31等のシリコン廃材を用いることができる。
【0028】
シリコン廃材の具体例としては、エッチング処理装置用のシリコン製部品の製造過程で発生したものが挙げられる。例えば、図4に示したように、シリコンインゴットを製造する際にできたインゴット100のトップテール100aやボトムテール100b、フォーカスリング21やグランドリング22を製造する際に繰り抜いた内側の円筒部分100c、インゴット100の外周部分110を用いることができる。また、製造途中で傷や欠け等の損傷が発生したもの、寸法が規格外となったもの、抵抗値等の電気特性が規格外となったものもシリコン廃材として用いることができる。
【0029】
本実施形態では、上記のようなリサイクル材であるシリコン廃材に、バージン材であるシリコン原料を混ぜた材料を用いてシリコン製部品を製造する。その製造方法について、図1のフローチャートを参照しながら説明する。
【0030】
なお、シリコン製部品は、図3に示す製造装置50を用いて製造することができる。製造装置50は、チャンバC内に石英のるつぼ55を内蔵させ、その上方、下方及び側方にカーボンヒ−タ60を設けたものである。るつぼ55の中にはシリコン廃材を含むポリシリコンの原料が投入される。カーボンヒ−タ60はポリシリコンの原材料を溶解するために用いられる。製造装置50には図示しない冷却機構も設けられていて、るつぼ55内の原材料を冷却するようになっている。
【0031】
(エッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法)
<1.廃材回収工程>
本実施形態では、まず、上記のような使用済みのフォーカスリング21、グランドリング22、使用済みの電極板31等のシリコン廃材を回収する(ステップ105)。
【0032】
<2.洗浄工程>
次に、上記の回収したシリコン廃材を洗浄する(ステップ110)。具体的には、エッチング溶液が酸の場合、HFとHNOとCHCOOHの混合溶液でエッチングする。エッチング溶液がアルカリの場合、KOH、もしくはKOHとHの混合溶液でエッチングする。シリコン廃材の外側の汚れは、酸エッチングの場合60ミクロン以上落とす必要があり、アルカリエッチングの場合30ミクロン以上落とす必要がある。
【0033】
なお、使用するシリコン廃材が、使用済みのシリコン製部品に由来するものではなく、製造途中で発生したシリコン廃材の場合には、上記洗浄工程を省略することができる。
【0034】
<3.測定工程>
次に、洗浄したシリコン廃材の電気特性(本実施形態では電気抵抗)と質量を測定し、シリコン廃材中のボロン等の不純物の含有量を求める測定工程を行う(ステップ115)。具体的測定処理を図2に示す。エッチング処理装置用のシリコン製部品では、その部品の性格から必要とされる電気特性(例えば電気抵抗値)に相違がある。
【0035】
例えば、図5に示したように、ボロンをドープしたP型タイプの多結晶シリコン材の場合、フォーカスリング21(FR)や電極板31(CEL)やグランドリング22(G−Ring)やリングプロテクト(Ring Protect)等、エッチング処理装置用のシリコン製部品のほぼすべてに適用できる電気抵抗の目標値は、0.01〜100Ωcmである(ケース4)。
【0036】
そのうち、例えば、フォーカスリング21(FR)や電極板31(CEL:O−CEL、I−CEL)にシリコン製部品を適用する場合、最終製品の電気抵抗の目標値は、1〜4Ωcmであってもよい(ケース1)。
【0037】
また、例えば、フォーカスリング21(FR)にシリコン製部品を適用する場合、最終製品の電気抵抗の目標値は、0Ωcmより大きく0.02Ωcm以下であってもよい(ケース2)。
【0038】
また、例えば、電極板31(CEL)にシリコン製部品を適用する場合、最終製品の電気抵抗の目標値は、60〜90Ωcmであってもよい(ケース3)。
【0039】
このように、エッチング処理装置10に取り付けるシリコン製部品の位置や機能によって最良の抵抗値(目標値)を変えることが望ましい。
【0040】
(測定方法)
図2では、まず、シリコン廃材中の不純物の含有量を測定する(ステップ205)。エッチング処理装置用のシリコン製部品毎に必要とされる電気抵抗値等に応じてインゴットを製造する際にボロン等の不純物が所定量添加される。上記の測定工程では、4探針測定器等による電気抵抗値の測定と精密量り等による質量の測定を行って、この不純物の含有量を求める。
【0041】
次に、上記の測定工程で求めた不純物の含有量と最終製品の電気特性(本実施形態では電気抵抗)の目標値とに基づき、シリコン廃材の投入量と、シリコン原料の投入量と、不純物の投入量を決定する(ステップ210)。
【0042】
前述したとおり、エッチング処理装置用のシリコン製部品では、その部品の位置や機能から必要とされる電気抵抗値等の電気特性に相違がある。以下の説明では、図5の上図に示したように、ボロンをドープしたP型タイプの多結晶シリコンであって、抵抗値の目標値が1〜4Ωcmの範囲のいずれかの値、純度が99.999%(5N)以上、Si、SiC、SiO等の含有物を含まない多結晶シリコンがシリコン製部品として再生される。
【0043】
この電気抵抗の目標値に基づいて、シリコン廃材の重量と不純物の含有量とからシリコン廃材の投入量、シリコン原料の投入量、不純物の投入量が決定される。なお、シリコン廃材のみでシリコンの量が充足される場合は、シリコン原料の投入量がゼロになる場合もある。また、シリコン廃材に含まれる不純物のみで不純物の量が充足される場合は、不純物の投入量がゼロになる場合もある。
【0044】
<3.投入、溶解工程>
図1に戻り、次に、決定された投入量のシリコン廃材と、シリコン原料と、不純物(ドープ材)をるつぼ55に投入し(ステップ120:図4のA参照)、カーボンヒ−タにより1400℃程度で加熱して、るつぼ55内の材料を溶融する(ステップ125:図4のB参照)。
【0045】
次に、製造装置50に設けられた図示しない冷却機構により、るつぼ55内の材料を冷却する(ステップ130:図4のC参照)。るつぼ55の内壁には離型材を塗布させているので、るつぼ内のシリコン材料が固まるときに収縮する際、るつぼ55とシリコン材料とを分離し易くなっている。これにより、シリコン材料が固形化する際のシリコン材料の割れを防止することができる。離型材は、Si、SiC、SiO、SiNのいずれかから選択され得る。離型材は、エッチング処理装置内でパーティクル源とならないものを選ぶ必要がある。
【0046】
次に、るつぼ55を壊してシリコン廃材から再生されたシリコン材料を取り出し、その表面をカットする(ステップ135:図4のD参照)。シリコン材料の表面近傍には、離型材の作用によりSi、SiC、SiO、SiN等が含有されている可能性がある。そこで、再生されたシリコン材料にパーティクル源となる含有物を含まないように、表面をカットし、るつぼ55の近くのシリコン材料の多結晶は使わないようにする。これにより、製造工程で混入する、るつぼ55に塗布されていた離型材を、再生されたシリコン材料から取り除くことができる。
【0047】
ここでは、離型材をとるため、再生されたシリコン材料の全面(6面)をそれぞれ20mmカットする。固められたシリコン材料の切除は、離型材の種類に応じて変えることが好ましい。例えば、離型材の種類がSiの場合、カットされる部分が表面から20mm以下となるようにシリコン材料の全面をカットする。
【0048】
また、例えば、離型材の種類がSiOの場合、シリコン材料の上面では、カットされる部分が表面から15mm以下となるようにシリコン材料の上面のみカットする。このように材料の上面は汚れているため15mmカットするが、上面以外の面はブラスト処理により30μ削る。
【0049】
これにより、シリコン廃材から純度5N以上の多結晶シリコンを生成することができる。そして、この工程で製造したシリコンインゴットに機械加工等を施し、所定形状とすることにより、新たなエッチング処理装置用のシリコン製部品、例えば、シリコン製フォーカスリングやシリコン製電極板等を製造することができる。
【0050】
以上に説明したように、本実施形態では、エッチング処理装置用のシリコン製部品に使用するシリコン廃材の選定及び製造方法を適正化することにより、エッチング処理装置用に適用可能なシリコン製部品を再生することができる。
【0051】
特に、本実施形態では、従来産業廃棄物として廃棄されていた使用済みのエッチング処理装置用シリコン製部品等を再生して新たなエッチング処理装置用のシリコン製部品を製造することができる。これによれば、原料にシリコン廃材を含むため、材料コストを低減し、資源の有効活用を図ることができる。よって、従来に比べてエッチング処理装置の消耗品コストを低減することができるとともに、産業廃棄物の発生量を低減でき、環境をよりよくすることができる。
【0052】
現在、単結晶で製造可能なサイズはほぼ460mmまでである。将来的には要求されるウエハサイズが大口径になり、単結晶で生成可能なサイズより大きくなり、この場合、多結晶を使わざるを得ない。また、多結晶は単結晶より安い。更に、本実施形態では、シリコン廃材として、エッチング処理装置用のポリシリコンの廃材だけでなく、ソーラーパネル用のポリシリコンの廃材を用いることができる。このように単結晶シリコン以外の材料選択範囲の拡大により、よりリサイクル材の有効活用と材料コストの低減を図ることができる。
【0053】
(エッチング処理装置)
最後に、新たに再生されたシリコン製部品を装着したエッチング処理装置の構成について図6を参照しながら説明する。図6は、エッチング処理装置の縦断面図である。エッチング処理装置10は、電極板が上下平行に対向し、プラズマ形成用電源が接続された容量結合型平行平板エッチング装置として構成されている。
【0054】
エッチング処理装置10は、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウム等からなり円筒形状に成形された処理室11を有している。処理室11は接地されている。処理室11内の底部にはセラミックスなどの絶縁板12を介して、ウエハWを載置するための略円柱状のサセプタ支持台13が設けられている。サセプタ支持台13の上には、下部電極を兼ねた載置台20が設けられている。
【0055】
サセプタ支持台13の内部には、冷媒室14が設けられており、冷媒室14には冷媒が冷媒導入管を介して導入されて循環し冷媒排出管から排出される。そして、その冷熱が載置台20を介してウエハWに対して伝熱され、これによりウエハWが所望の温度に調整される。
【0056】
載置台20は、その上側中央部が凸状の円板状に成形され、その上に円形でウエハWと略同径の静電チャック15が設けられている。静電チャック15は、絶縁材の間に配置された電極に所望の直流電圧を印加することにより、例えばクーロン力によってウエハWを静電吸着する。
【0057】
絶縁板12、サセプタ支持台13、載置台20、静電チャック15には、ウエハWの裏面に、伝熱媒体(例えばHeガス等)を供給するためのガス通路16が形成されており、この伝熱媒体を介して載置台20の冷熱がウエハWに伝達されウエハWが所定の温度に維持されるようになっている。
【0058】
載置台20の上端周縁部には、静電チャック15上に載置されたウエハWを囲むように、環状のフォーカスリング21が配置されている。また、絶縁板12の外周にはグランドリング22が配置されている。フォーカスリング21、グランドリング22はシリコン製とされており、シリコン製のフォーカスリング21、グランドリング22は、本実施形態における再生方法が適用されるエッチング処理装置用のシリコン製部品の1つである。
【0059】
載置台20の上方には、載置台20と平行に対向して上部電極30が設けられている。上部電極30は、処理室11の上部に支持されている。上部電極30は、電極板31と、電極板31を支持する導電性材料からなる電極支持体32とによって構成されている。電極板31は、多数の吐出孔を有し、載置台20との対向面を形成する。エッチング処理装置10において、この電極板31はシリコン製とされており、このシリコン製の電極板31は、本実施形態における再生方法が適用されるエッチング処理装置用のシリコン製部品の1つである。なお、上部電極30には図示しない直流電源が接続されている。直流電源から供給された直流電流は上部電極30に印加され、グランドリング22を通ってグラウンドに流れるようになっている。
【0060】
上部電極30における電極支持体32の中央にはガス導入口が設けられ、ガス導入口には、処理ガス供給源33が接続されている。処理ガス供給源33から、プラズマエッチング処理のためのエッチングガス等が供給される。
【0061】
処理室11の底部には、排気管34を介して排気装置35が接続されている。排気装置35はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、処理室11内を所定の減圧雰囲気、例えば1Pa以下の所定の圧力まで真空引き可能なように構成されている。また、処理室11の側壁にはゲートバルブ36が設けられており、このゲートバルブ36を開いた状態で、ウエハWを隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送する。
【0062】
上部電極30には、第1の高周波電源40が接続されており、その給電線には整合器41が介挿されている。第1の高周波電源40は、例えば、27〜150MHzの範囲の周波数を有している。このように高い周波数の高周波電力を印加することにより処理室11内に好ましい解離状態でかつ高密度のプラズマを形成することができる。
【0063】
下部電極としての載置台20には、第2の高周波電源50が接続されており、その給電線には整合器51が介挿されている。第2の高周波電源50は、第1の高周波電源40より低い周波数の範囲を有している。このような範囲の周波数の高周波電力を印加することにより、被処理基板であるウエハWに対してダメージを与えることなく適切なイオン作用を与えることができる。第2の高周波電源50の周波数は、例えば1〜20MHzの範囲が好ましい。
【0064】
以上、再生された多結晶シリコンから形成されたシリコン製のフォーカスリング21、シリコン製のグランドリング22、シリコン製の電極板31等が取り付けられたエッチング処理装置10の一例を説明した。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
例えば、上記実施形態では、エッチング処理装置用のシリコン製部品が、シリコン製フォーカスリング、シリコン製グランドリング、シリコン製電極板の場合について説明したが、これら以外のエッチング処理装置用のシリコン製部品についても同様にして適用することができる。また、上記実施形態では、電気抵抗と質量の測定によって不純物の含有量を求めたが、他の電気特性から不純物の含有量を求めてもよい。
【0067】
また、シリコン廃材を利用したシリコン製部品の再生に当たっては、トレサビリティ管理が重要である。たとえば、製造工程では、シリコン廃材を洗浄した後のシリコン廃材の識別情報とシリコン原料の識別情報を持っていて、どのシリコン廃材(リサイクル材)とどのシリコン原料(バージン材)を使っているかを特定することができるようになっている。
【符号の説明】
【0068】
10 エッチング処理装置
11 処理室
20 載置台
21 フォーカスリング
22 グランドリング
30 上部電極
31 電極板
50 製造装置
55 るつぼ
60 カーボンヒ−タ
100 インゴット
C チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング処理装置内に配置されるシリコン製部品をシリコン廃材から再生して製造するエッチング処理装置用のシリコン製部品の製造方法であって、
前記シリコン廃材又は該シリコン廃材を含んだ材料をるつぼに投入し、溶解する工程と、
前記溶解された材料を冷却して固める工程と、
前記固められた材料の少なくとも上面を含む部分を切除して多結晶シリコンを生成する工程と、
前記生成された多結晶シリコンから前記シリコン製部品を製造する工程と、
を含むことを特徴とするシリコン製部品の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン廃材は所定のエッチング溶液で洗浄後、るつぼに投入されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン製部品の製造方法。
【請求項3】
前記シリコン廃材又は該シリコン廃材を含んだ材料は、所定の種類の離型材を内壁に塗布させた前記るつぼに投入されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン製部品の製造方法。
【請求項4】
前記固められた材料の切除は、離型材の種類に応じて、カットされる部分が表面から20mm以下となるように前記材料の全面をカットする、又は、カットされる部分が表面から15mm以下となるように前記材料の上面をカットするとともに上面以外の面をブラスト処理することを特徴とする請求項3に記載のシリコン製部品の製造方法。
【請求項5】
前記離型材は、Si、SiC、SiO、SiNのいずれかであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシリコン製部品の製造方法。
【請求項6】
前記シリコン廃材を含んだ材料は、前記シリコン廃材の投入量と、シリコン原料の投入量と、不純物とからなり、
回収した前記シリコン廃材の不純物の含有率を測定し、測定された不純物の含有量と最終製品の抵抗値の目標値とに基づき、前記るつぼに投入する前記シリコン廃材の投入量と、前記シリコン原料の投入量と、前記不純物の投入量とを決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項にシリコン製部品の製造方法。
【請求項7】
前記最終製品の抵抗値の目標値は、1〜4Ωcmの範囲のいずれかの値である請求項6に記載のシリコン製部品の製造方法。
【請求項8】
ボロンをドープしたP型タイプの多結晶シリコンであって、純度が99.999%以上のシリコン廃材又は純度が99.999%以上のシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造されたエッチング処理装置用のシリコン製部品。
【請求項9】
前記シリコン製部品は、抵抗値が0.01〜100Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造された請求項8に記載のエッチング処理装置用のシリコン製部品。
【請求項10】
前記シリコン製部品は、抵抗値が1〜4Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造された請求項8に記載のエッチング処理装置用のシリコン製部品。
【請求項11】
前記シリコン製部品は、抵抗値が60〜90Ωcmとなるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造された請求項8に記載のエッチング処理装置用のシリコン製部品。
【請求項12】
前記シリコン製部品は、抵抗値の上限が0.02Ωcm以下となるようにシリコン廃材又はシリコン廃材を含んだ材料を再生して生成された多結晶シリコンから製造された請求項8に記載のエッチング処理装置用のシリコン製部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16532(P2013−16532A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146176(P2011−146176)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】