説明

シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法

シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの生産方法及びそのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。本方法は、以下の工程を含む:ソフトコンタクトレンズを製造するための型を準備する工程(ここで、この型は、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を持つ第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を持つ第2の型半とを有しており、そして該第1及び第2の型半は、該第1及び第2の成形面の間に空洞が形成されるよう相互に受けとめるように構成されている);レンズ形成材料のモノマー混合物をこの空洞に導入する工程(ここで、モノマー混合物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含み、そしてここで、レンズ形成材料は、約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒以内で硬化する能力を有することを特徴とする);及び化学線の空間的制限下で型中のレンズ形成材料を約120秒以内の時間照射することにより、レンズ形成材料を架橋してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程(ここで、生産されるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び化学線の空間的制限により画定されるレンズエッジを含む)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの、特に化学線の空間的制限下での製造方法に関する。更に、本発明は、本発明の方法により製造されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ここ数年、シリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトレンズが、その高い酸素透過度及び快適さのために、ますます人気を集めている。しかし、全ての市販のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、使い捨てプラスチックの型、及びマクロマーの存在下若しくは非存在下のモノマーの混合物の使用を伴う、従来の注型手法により生産される。しかし、使い捨てプラスチックの型は、プラスチックの型の射出成形中に、生産プロセスの変動(温度、圧力、材料特性)の結果として型の寸法の変動が発生しうるため、そしてまた、得られる型が、射出成形後、不均一に収縮を受けることがあるため、本質的に不可避の寸法の変動を持つ。これらの型の寸法変化は、生産されるコンタクトレンズのパラメーターの変動(頂点屈折率、直径、ベースカーブ、中心厚さなど)、及び複雑なレンズ設計を複製する際の忠実度の低下をもたらす。
【0003】
従来の注型手法において遭遇するこのような不都合は、米国特許第5,508,317号、5,789,464号、5,849,810号及び6,800,225号(これらは、全体が引用例として取り込まれる)に例証されるように、いわゆるLightstream Technology(商標)(CIBA Vision)を利用することにより克服できる。Lightstream Technology(商標)は、以下を伴う:(1)典型的には1種以上の実質的に精製されたエチレン不飽和基を持つプレポリマーの溶液であり、そして一般にモノマー及び低分子量の架橋剤を含まない、レンズ形成組成物、(2)高精度で生産された再利用可能な型、並びに(3)化学線(例えば、UV)の空間的制限下での硬化。Lightstream Technology(商標)により生産されるレンズは、再利用可能な高精度の型の使用のため、当初のレンズ設計に対して高い一致性及び高い忠実度を有することができる。更に、短い硬化時間及び高い生産収率に起因して比較的低コストで、高品質のコンタクトレンズを生産することができる。
【0004】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造する際にLightstream Technology(商標)を適用するために、米国特許第7,091,283号及び6,039,913号に、米国特許出願公開番号2008/0015315 A1、2008/0143958 A1、2008/0143003 A1、2008/0231798 A1、及び2008/0234457 A1に、並びに米国特許出願番号12/313,546号、61/114,216号及び61/114,228号(これらは、全体が引用例として取り込まれる)に記載されるように、シリコーン含有プレポリマーが開発されてきた。しかし、Lightstream Technology(商標)は、レンズ形成材料のモノマー混合物からシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するのに未だ適用されていない。したがって、Lightstream Technology(商標)によりレンズ形成材料のモノマー混合物からシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法に対するニーズがなお存在している。
【0005】
発明の要約
1つの態様において、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの生産方法を提供する。本方法は、以下の工程を含む:ソフトコンタクトレンズを製造するための型を準備する工程(ここで、この型は、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を持つ第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を持つ第2の型半とを有しており、そして該第1及び第2の型半は、該第1及び第2の成形面の間に空洞が形成されるよう相互に受けとめるように形状が決められている);レンズ形成材料のモノマー混合物をこの空洞に導入する工程(ここで、モノマー混合物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含み、そしてここで、レンズ形成材料は、約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒以内で硬化する能力を有することを特徴とする);及び化学線の空間的制限下で型中のレンズ形成材料を約120秒以内の時間照射することにより、レンズ形成材料を架橋してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程(ここで、生産されるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び化学線の空間的制限により画定されるレンズエッジを含む)。
【0006】
別の態様において、本発明は、化学線の空間的制限に基づく硬化方法によりシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するのに適切なレンズ形成組成物を提供する。レンズ形成組成物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有アクリレート又はアクリルアミド又はメタクリルアミドモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含むが、ただし、レンズ形成組成物中の全てのメタクリレートモノマーの総量は、約10重量%未満であり、かつ約100秒未満の時間内で約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により硬化できる特徴をレンズ形成組成物に与えるために充分に低い。
【0007】
本発明は、更に別の態様において本発明の方法により得られるコンタクトレンズを提供する。
【0008】
発明の実施態様の詳細な説明
特に断りない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の普通の技能者が共通に理解するものと同じ意味を有する。一般に、本明細書に使用される命名法及び実験手順は、当該分野において周知であり普通に利用されている。これらの手順には、当該分野及び種々の一般的参考文献に提供される方法のような従来法が使用されている。ある用語が単数形で与えられる場合、発明者らはその用語の複数形も考慮に入れる。本明細書に使用される命名法及び後述の実験手順は、当該分野において周知であり普通に利用されている。
【0009】
「コンタクトレンズ」とは、装用者の目に載せるか又は入れることができる構造体のことをいう。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、向上、又は改変することができるが、必ずしもそうでなくともよい。コンタクトレンズは、当該分野において知られているか、又は後に開発される任意の適切な材料でできていてよく、そしてソフトレンズ、ハードレンズ、又はハイブリッドレンズであってよい。「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」とは、シリコーンハイドロゲル材料を含むコンタクトレンズのことをいう。
【0010】
「ハイドロゲル」又は「ハイドロゲル材料」とは、完全に水和すると、少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるポリマー材料のことをいう。
【0011】
「シリコーンハイドロゲル」とは、少なくとも1種のシリコーン含有モノマー又は少なくとも1種のシリコーン含有マクロマー又は少なくとも1種の架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む、重合性組成物の共重合により得られるシリコーン含有ハイドロゲルのことをいう。
【0012】
「モノマー混合物」とは、少なくとも約20重量%の1種以上のビニルモノマーを含む組成物のことをいう。
【0013】
「親水性」とは、本明細書に使用されるとき、脂質よりも水と容易に結び付く材料又はその一部を表現する。
【0014】
「ビニルモノマー」とは、唯一のエチレン不飽和基を有する低分子量化合物のことをいう。低分子量は、典型的には700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0015】
「オレフィン不飽和基」又は「エチレン不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、そして>C=C<基を含有する任意の基を包含するものである。典型的なエチレン不飽和基は、特に限定されないが、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=C含有基を包含する。
【0016】
本明細書に使用されるとき、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関して「化学線により」とは、その硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が、化学線照射、例えば、UV照射、電離放射線(例えば、γ線又はX線照射)、マイクロ波照射などにより実行されることを意味する。熱硬化又は化学線硬化方法は、当業者には周知である。
【0017】
「アミド型ビニルモノマー」とは、下記式:
【0018】
【化1】


[式中、Xは、共有結合、水素、又はメチル基(−CH)である]で示される唯一のエチレン不飽和基を含む、ビニルモノマーのことをいう。
【0019】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、アクリルアミド又はメタクリルアミドのことをいう。
【0020】
「アクリルアミドモノマー」という用語は、下記式:
【0021】
【化2】


で示されるエチレン不飽和基を有するビニルモノマーのことをいう。
【0022】
「メタクリルアミドモノマー」という用語は、下記式:
【0023】
【化3】


で示されるエチレン不飽和基を有するビニルモノマーのことをいう。
【0024】
「アクリレートモノマー」という用語は、下記式:
【0025】
【化4】


で示されるエチレン不飽和基を有するビニルモノマーのことをいう。
【0026】
「メタクリレートモノマー」という用語は、下記式:
【0027】
【化5】


で示されるエチレン不飽和基を有するビニルモノマーのことをいう。
【0028】
「ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー」とは、少なくとも1種のエチレン不飽和基及び下記式:
【0029】
【化6】


[式中、R及びRは、独立に一価C−C10アルキル、一価C−C10アミノアルキル、一価のC−C10ヒドロキシアルキル、C−C10エーテル、C−C10フルオロアルキル、C−C10フルオロエーテル又はC−C18アリール基、−alk−(OCHCH−OR(ここで、alkは、C−Cアルキレン二価基であり、Rは、水素又はC−Cアルキルであり、そしてmは、1〜10の整数である)であり;nは、3以上の整数である]で示される二価基を含有する、ビニルモノマー又はマクロマーのことをいう。
【0030】
「流体」という用語は、本明細書に使用されるとき、ある材料が液体のように流動可能であることを示す。
【0031】
「疎水性ビニルモノマー」とは、重合することにより、水に不溶性で、かつ10重量パーセント未満の水を吸収することができるポリマーを形成することができる、ビニルモノマーのことをいう。
【0032】
「ビニルマクロマー」とは、1個以上のエチレン不飽和基を含む、中及び高分子量化合物のことをいう。中及び高分子量は、典型的には700ダルトンを超える平均分子量を意味する。
【0033】
「プレポリマー」とは、2個以上のエチレン不飽和基を含有し、化学線により硬化(例えば、架橋)することにより、出発ポリマーよりもはるかに高い分子量を有する架橋ポリマーを得ることができる、出発ポリマーのことをいう。
【0034】
「シリコーン含有プレポリマー」とは、シリコーンを含有するプレポリマーのことをいう。
【0035】
ポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を包含する)の「分子量」とは、本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、又は試験条件に別段の指示がなければ、数平均分子量のことをいう。
【0036】
「ポリマー」は、1種以上のモノマーを重合することにより形成される材料を意味する。
【0037】
本明細書に使用されるとき、コポリマー又は化合物に関して「エチレン官能基化」という用語は、1種以上の化学線により架橋可能な基が、カップリングプロセスによりコポリマー又は化合物のペンダント又は末端官能基を介して、コポリマー又は化合物に共有結合していることを記述するものである。
【0038】
本明細書に使用されるとき、「多数」という用語は、3以上のことをいう。
【0039】
「光開始剤」とは、光の使用によりラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質のことをいう。適切な光開始剤は、特に限定されないが、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocur(登録商標)型、及びIrgacure(登録商標)型、好ましくはDarocur(登録商標)1173、及びIrgacure(登録商標)2959を包含する。
【0040】
「重合性UV吸収剤」とは、エチレン不飽和基及びUV吸収部分又は潜在性UV吸収部分を含む化合物のことをいう。
【0041】
「UV吸収部分」とは、当業者には理解されるように、200nm〜400nmの範囲のUV線を吸収するか又は遮ることができる有機官能基のことをいう。
【0042】
「重合性潜在性UV吸収剤」とは、エチレン不飽和基、及び不安定な官能基により(その200nm〜400nmの波長範囲のUV線の吸収係数が、その不安定な官能基に保護されないUV吸収部分の係数の約50%以下、好ましくは70%以下、更に好ましくは約90%以下であるように)保護されているUV吸収部分を含む化合物のことをいう。
【0043】
「不安定な官能基」という用語は、この不安定な官能基により保護される別の官能基から脱離(開裂)することができる、保護官能基を意味する。
【0044】
「化学線の空間的制限」とは、線の形のエネルギー放射が、例えば、マスク若しくはスクリーン又はその組合せにより、空間的に制限されたやり方で、明確に規定された周辺境界を有する領域に作用するように向けられる、作用又はプロセスのことをいう。UV線の空間的制限は、米国特許第6,800,225号(図1〜11)、並びに6,627,124号(図1〜9)、7,384,590号(図1〜6)、及び7,387,759号(図1〜6)(これらの全ては、全体が引用例として取り込まれる)の図面に図解で説明されているように、放射線(例えば、UV)透過領域、放射線透過領域を囲む放射線(例えば、UV)不透過領域、及び放射線不透過領域と放射線透過領域の間の境界である投射輪郭を有する、マスク又はスクリーンを用いることにより得られる。マスク又はスクリーンは、マスク又はスクリーンの投射輪郭により規定される横断形状を有する放射線(例えば、UV線)のビームを空間的に投射させる。投射された放射線(例えば、UV線)のビームは、投射されたビームの経路に位置するレンズ形成材料に作用する放射線(例えば、UV線)を、型の第1の成形面から第2の成形面までに限定する。生じるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び投射されたUVビームの断面形状(即ち、放射線の空間的制限)により画定されるレンズエッジを含む。架橋に使用される放射線は、放射エネルギー、特にUV線、γ線、電子線又は熱線であり、放射エネルギーは、好ましくは、一方では良好な制限を達成するために、そしてもう一方ではエネルギーの効率的な使用を達成するために実質的に平行ビームの形である。
【0045】
従来の注型プロセスでは、型の第1及び第2の成形面は、相互に対してプレスされることにより、生じるコンタクトレンズのエッジを規定する円周の接触線を形成する。成形面の緊密な接触は、成形面の光学的品質を損なうことがあるため、型は再使用できない。対照的に、Lightstream Technology(商標)では、生じるコンタクトレンズのエッジは、型の成形面の接触により規定されるのでなく、代わりに放射線の空間的制限により規定される。型の成形面の間に何ら接触がないため、型は、繰り返し使用することにより、高い再現性を持つ高品質コンタクトレンズを生産することができる。
【0046】
「染料」は、レンズ形成流体材料に可溶性であり、そして色を着けるのに使用される物質を意味する。染料は、典型的には半透明であり、そして光を吸収するが散乱させない。
【0047】
「顔料」は、レンズ形成流体材料(この中で不溶性である)に懸濁されている粉末物質を意味する。
【0048】
シリコーンハイドロゲル材料又はコンタクトレンズに関して「親水性表面」は、そのシリコーンハイドロゲル材料又はコンタクトレンズが、約90度以下、好ましくは約80度以下、更に好ましくは約70度以下、更に好ましくは約60度以下の平均水接触角を有することを特徴とする、表面親水性を有することを意味する。
【0049】
「平均接触角」とは、水接触角(Whilhelmy Plate法により測定される前進角)のことをいい、これは、少なくとも3個の個別のコンタクトレンズの測定の平均値を求めることにより得られる。
【0050】
「抗菌剤」とは、本明細書に使用されるとき、当該分野において知られている用語同様に、微生物の増殖を減少又は除外又は阻害することができる化学物質のことをいう。抗菌剤の好ましい例は、特に限定されないが、銀塩、銀錯体、銀ナノ粒子、銀含有ゼオライトなどを包含する。
【0051】
「銀ナノ粒子」とは、本質的に金属銀でできており、かつ1マイクロメートル未満のサイズを有する粒子のことをいう。
【0052】
レンズの「酸素伝達率」は、本明細書に使用されるとき、酸素が特定の眼科用レンズを通り抜ける速度である。酸素伝達率、Dk/tは、従来からbarrer/mmの単位で表されるが、ここでtは、測定領域の材料の平均厚さ[単位mm]であり、そして「barrer/mm」は、以下のとおり定義される:
[(cm酸素)/(cm)(秒)(mmHg)]×10−9
【0053】
レンズ材料固有の「酸素透過度」、Dkは、レンズの厚さに依存しない。固有酸素透過度は、酸素が材料を通り抜ける速度である。酸素透過度は、従来からbarrerの単位で表されるが、ここで「barrer」は、以下の通り定義される:
[(cm酸素)(mm)/(cm)(秒)(mmHg)]×10−10
これらは、当該分野において普通に使用される単位である。即ち、当該分野における使用との整合性をとるために、「barrer」という単位は、上に定義される意味を有する。例えば、90barrer(「酸素透過度barrer」)のDk及び90ミクロン(0.090mm)の厚さを有するレンズは、100barrer/mm(酸素伝達率barrer/mm)のDk/tを有するだろう。本発明により、材料又はコンタクトレンズに関する高い酸素透過度は、実施例に記載されるクーロメトリー法により、厚さ100ミクロンの試料(フィルム又はレンズ)で測定される、少なくとも40barrer又はそれ以上の見かけの酸素透過度を特徴とする。
【0054】
レンズを通る「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数及びイオノトンイオン透過係数の両方に相関する。
【0055】
イオノフラックス拡散係数、Dは、以下の通り、Fickの法則を適用することにより決定される:
D=−n’/(A×dc/dx)
[ここで、n’=イオン輸送の速度[mol/分];A=曝露されるレンズの面積[mm];D=イオノフラックス拡散係数[mm/分];dc=濃度差[mol/L];dx=レンズの厚さ[mm]である]。
【0056】
次にイオノトンイオン透過係数、Pは、以下の等式により決定される:
ln(1−2C(t)/C(0))=−2APt/Vd
[ここで、C(t)=受容セルにおけるt時点のナトリウムイオンの濃度;C(0)=供与セルにおけるナトリウムイオンの初期濃度;A=膜面積、即ち、セルに曝露されるレンズ面積;V=セル区画の体積(3.0ml);d=曝露される領域の平均レンズ厚さ;P=透過性係数である]。
【0057】
約1.5×10−6mm/分を超えるイオノフラックス拡散係数Dが好ましく、更に約2.6×10−6mm/分を超えると更に好ましく、そして約6.4×10−6mm/分を超えると最も好ましい。
【0058】
良好な涙液交換を確保するため、そして最終的には良好な角膜の健康を確保するためには、レンズの眼上移動が必要とされることは知られている。イオン透過性は、眼上移動の予測因子の1つである(イオンの透過性は、水の透過性に正比例すると考えられているため)。
【0059】
一般に、本発明は、Lightstream Technology(商標)に基づく、モノマー混合物からのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法に関する。本発明は部分的には、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するためのモノマー混合物を調製するのにある分類のビニルモノマーを選択することにより、型中のモノマー混合物の硬化時間を大いに短縮させることができるため、モノマー混合物がLightstream Technology(商標)に基づくシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造に適切になるという予期せぬ発見に基づく。比較的長い硬化時間は、Lightstream Technology(商標)により製造されるコンタクトレンズのレンズエッジの品質に有害な影響を及ぼすことがあり、また生産高を低下させることにより製品コストを上昇させかねないと考えられている。硬化光強度及び/又はモノマー混合物中の光開始剤の濃度を上昇させることにより、モノマー混合物の硬化時間を短縮することができるかもしれないが、高い硬化光強度及び高い光開始剤濃度には限界があり、Lightstream Technology(商標)に足りる硬化時間を短縮するのに充分とはいえない。更に、これらの方策により、生じるレンズが、例えば、脆弱のような不適切な物性、及び未重合モノマーによる高含量の抽出可能物を持つかもしれない。本発明のモノマー混合物により、例えば、約4.0mW/cmの硬化光強度で30秒以内に、硬化時間を実質的に短縮させることができる。Lightstream Technologyによりこのようなモノマー混合物から製造されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、高いレンズエッジ品質及び比較的短い硬化時間のため比較的低いレンズ生産コストを有することができる。
【0060】
本発明は、1つの態様において、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを生産する方法を提供する。本方法は、以下の工程を含む:ソフトコンタクトレンズを製造するための型を準備する工程(ここで、この型は、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を持つ第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を持つ第2の型半とを有しており、そして該第1及び第2の型半は、該第1及び第2の成形面の間に空洞が形成されるよう相互に受けとめるように形状が決められている);レンズ形成材料のモノマー混合物をこの空洞に導入する工程(ここで、モノマー混合物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含み、そしてここで、レンズ形成材料は、約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒以内で硬化する能力を有することを特徴とする);及び化学線の空間的制限下で型中のレンズ形成材料を約120秒以内の時間照射することにより、レンズ形成材料を架橋してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程(ここで、生産されるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び化学線の空間的制限により画定されるレンズエッジを含む)。
【0061】
放射線の空間的制限に適切な再利用可能な型の例は、特に限定されないが、米国特許第6,800,225号、6,627,124号、7,384,590号、及び7,387,759号(これらは、全体が引用例として取り込まれる)に開示されたものを包含する。
【0062】
例えば、好ましい再利用可能な型は、第1の成形面を持つ第1の型半と、第2の成形面を持つ第2の型半とを含む。好ましい再利用可能な型のこの2つの型半は、相互に接触しておらず、この2つの型半の間には環状構造の細い隙間が配置されている。この隙間は、過剰なモノマー混合物がこの隙間に流入できるように、第1及び第2の成形面の間に形成された型の空洞に接続されている。当然ながら任意の構造の隙間を本発明に使用することができると理解される。
【0063】
好ましい実施態様において、第1及び第2の成形面の少なくとも一方は、架橋放射線(例えば、UV線)に透過性である。更に好ましくは、第1及び第2の成形面の一方は、架橋放射線(例えば、UV線)に透過性であるが、もう一方の成形面は、架橋放射線(例えば、UV線)を透過しにくい。例えば、型半の一方は、UV透過性材料から作ることができるが、もう一方の型半は、UV吸収材料(例えば、米国特許第7,387,759号及び7,384,590号に記載されるような、カーボンブラックなど)を含有する材料から作ることができる。
【0064】
再利用可能な型は、好ましくは、放射線透過性成形面を有する型半に(又はその内に若しくは上に)固定、構築又は配置されているマスクを含む。このマスクは、放射線透過性成形面の透過性に比較して不透過性であるか、又は少なくとも透過性が乏しい。このマスクは、型空洞に至るまで内側に伸び、かつ型空洞を囲むため、型空洞を除いてマスクの背後の全ての領域を遮蔽する。
【0065】
硬化放射線がUV光である場合、マスクは、好ましくはクロム薄層であってよく、これは、例えば、写真及びUVリソグラフィーにおいて知られているようなプロセスにより生産することができる。他の金属又は金属酸化物もまた、適切なマスク材料になりうる。このマスクはまた、型又は型半に使用される材料がクオーツであるならば、例えば、二酸化ケイ素の保護層で被覆することができる。
【0066】
あるいはこのマスクは、米国特許第7,387,759号(全体が引用例として取り込まれる)に記載されるように、UV吸収剤を含む材料でできており、かつそれを通して硬化エネルギーを実質的に遮断するマスキング環であってもよい。この好ましい実施態様において、マスクを持つ型半は、一般に円板形状の透過部分と、透過部分と密接にかみ合うように適合させた内径を有するマスキング環とを含むが、ここで該透過部分は、光学的に透明な材料から作られ、そこを硬化エネルギーが通過でき、そしてここでマスキング環は、UVブロッカーを含む材料から作られ、そこを硬化エネルギーが通過するのを実質的に遮断し、ここでマスキング環は、一般に透過部分を受けるための中心穴を持つ座金又はドーナツに似ており、ここで透過部分は、マスキング環の中心開口部に圧入されており、そしてマスキング環は、ブッシングスリーブ(bushing sleeve)内に取り付けられる。
【0067】
再利用可能な型は、クオーツ、ガラス、サファイア、CaF、環状オレフィンコポリマー(例えば、Ticona GmbH of Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey製のTopas(登録商標)COC等級8007-S10(エチレン及びノルボルネンの透明非晶質無定形コポリマー)、Zeon Chemicals LP, Louisville, KY製のZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標)など)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont製のポリオキシメチレン(Delrin)、G.E. Plastics製のUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などから作ることができる。型半が再利用可能であるため、極めて高い精度及び再現性の型を得るために、その生産時に比較的高い費用を費やすことができる。型半は、生産されるレンズの領域、即ち、空洞又は実際の成形面で相互に接触しないため、接触の結果としての損傷は無視できる。これが、高耐用性を保証し、そしてそのことがまた、特に生産されるコンタクトレンズの高い再現性及びレンズ設計への高い忠実度を保証する。
【0068】
任意の親水性アミド型ビニルモノマーを本発明に使用することができる。親水性アミド型ビニルモノマーの例は、特に限定されないが、2−アクリルアミドグリコール酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸又はこれらの塩、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、並びにこれらの混合物を包含する。好ましくは、親水性アミド型ビニルモノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリロイルグリコール酸一水和物、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物である。
【0069】
シロキサン含有ビニルモノマー、特にトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリルアルキル基を有するビニルモノマー(例えば、メタクリル酸トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(TRIS)など)は、製造中のハンドリング(特に比較的短時間(例えば、約300秒未満)以内にUV光により型中のモノマー混合物を硬化するとき)に由来する光学的欠陥の排除には不可欠であることが見い出された。TRISが、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ製造用のモノマー混合物から排除されると、得られるレンズには、ハンドリングに起因する永久歪み(光学的欠陥)が発生するだろう。このような歪み又は光学的欠陥とは、実施例1に記載されるようにレンズを手で折り畳んだ後に、コンタクトレンズ光学的品質分析器(Contact Lens Optical Quality Analyzer)(CLOQA)によりレンズ上に観測される永久的折り畳み跡のことをいう。しかし、TRISが存在すると、得られるレンズは「ヒーリング」効果を示して、光学的欠陥を排除した(即ち、折り畳み跡は一過性となり、短時間、例えば、約15分以内には消失しうる)。しかし、TRISを含むモノマー混合物は、比較的長い硬化時間を有する。TRISをトリス(トリメチルシリルオキシ)シリルアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドで置き換えることにより、製造中のハンドリングに起因する光学的欠陥をなおも排除しながら、モノマー混合物の硬化時間を著しく短縮できることが見い出された。
【0070】
任意のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーを本発明に使用することができる。好ましくは、シロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、式(1):
【0071】
【化7】


[式中、Rは、H又はCHであり、R及びRは、相互に独立に、H、C−Cアルキル、又は式(2):
【0072】
【化8】


(式中、Yは、C−Cアルキレン二価基又は1個以上のヒドロキシル基を含有するC−Cアルキレン二価基であり、mは、0〜5の整数であり、pは、1〜6の整数であり、そしてA、A及びAは、相互に独立に、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル、又は式(3):
【0073】
【化9】


(式中、B、B及びBは、相互に独立に、C−Cアルキル、フェニル、又はベンジルである)で示される基である)で示される一価基である(ただし、R及びRの少なくとも一方は、式(2)の基であり、そしてA、A及びAの少なくとも2個は、式(3)の基である)]により表される。
【0074】
式(1)のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーの例は、特に限定されないが、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル)メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドを包含する。最も好ましい式(1)のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド及びN−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドである。
【0075】
「任意のポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー」とは、少なくとも1個のエチレン不飽和基及び下記式:
【0076】
【化10】


[式中、R及びRは、独立に一価C−C10アルキル、一価C−C10アミノアルキル、一価のC−C10ヒドロキシアルキル、C−C10エーテル、C−C10フルオロアルキル、C−C10フルオロエーテル若しくはC−C18アリール基、−alk−(OCHCH−OR(ここで、alkは、C−Cアルキレン二価基であり、Rは、水素又はC−Cアルキルであり、そしてmは、1〜10の整数である)であり;nは、3以上の整数である]で示される二価基を含有する、ビニルモノマー又はマクロマーのことをいう。このようなビニルモノマー又はマクロマーの例は、種々の分子量のモノメタクリル化又はモノアクリル化ポリジメチルシロキサン類(例えば、モノ−3−メタクリルオキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン又はモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン);種々の分子量のジメタクリル化又はジアクリル化ポリジメチルシロキサン類;ビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン類;ビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;種々の分子量のビニル末端ポリジメチルシロキサン類;メタクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン類;アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン類;アクリレート末端ポリジメチルシロキサン類;メタクリレート末端ポリジメチルシロキサン類;ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン;ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル酸モノマー類;US 5,760,100(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されるマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDよりなる群から選択されるシロキサン含有マクロマー;メタクリル酸グリシジルとアミノ官能性ポリジメチルシロキサン類との反応生成物;ヒドロキシル官能基化シロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー類;米国特許第4,136,250号、4,153,641号、4,182,822号、4,189,546号、4,343,927号、4,254,248号、4,355,147号、4,276,402号、4,327,203号、4,341,889号、4,486,577号、4,543,398号、4,605,712号、4,661,575号、4,684,538号、4,703,097号、4,833,218号、4,837,289号、4,954,586号、4,954,587号、5,010,141号、5,034,461号、5,070,170号、5,079,319号、5039,761号、5,346,946号、5,358,995号、5,387,632号、5,416,132号、5,451,617号、5,486,579号、5,962,548号、5,981,675号、6,039,913号、及び6,762,264号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるポリシロキサン含有マクロマー類;米国特許第4,259,467号、4,260,725号、及び4,261,875号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるポリシロキサン含有マクロマー類である。ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドよりなるジ及びトリブロックマクロマーもまた有用であろう。例えば、酸素透過度を強化するために、メタクリレートで末端キャップしたポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドを使用する人がいるかもしれない。適切なモノ官能性ヒドロキシル官能基化シロキサン含有ビニルモノマー/マクロマー及び適切な多官能性ヒドロキシル官能基化シロキサン含有ビニルモノマー/マクロマーは、Gelest, Inc., Morrisville, PAから市販されている。
【0077】
好ましい実施態様において、モノマー混合物は、式(4):
【0078】
【化11】


[式中、
rは、0又は1の整数であり;
及びGは、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C10アルキレン二価基、下記式:
【0079】
【化12】


(式中、qは、1〜5の整数であり、そしてalk及びalk’は、相互に独立にC−Cアルキレン二価基である)で示される二価基、又は−R’−X−E−X−R’−〔ここで、R’及びR’は、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C10アルキレン二価基又は上記と同義の下記式:
【0080】
【化13】


で示される二価基であり、X及びXは、相互に独立に下記式:
【0081】
【化14】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)よりなる群から選択される連結部であり、Eは、主鎖にエーテル、チオ、又はアミン連結部を有していてもよい、40個以下の炭素原子を持つ、アルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル、又はアリールジラジカルである〕の二価基であり;
及びXは、相互に独立に、直接結合、下記式:
【0082】
【化15】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)よりなる群から選択される連結部であり;
PDMSは、式(5):
【0083】
【化16】


〔式中、vは、0又は1であり、ωは、0〜5の整数であり、U及びUは、相互に独立に、上記と同義の−R’−X−E−X−R’−の二価基又は上記と同義の下記式:
【0084】
【化17】


で示される二価基を表し、D、D及びDは、相互に独立に、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、tは、3〜40の整数である)、−CF−(OCF−(OCFCF−OCF−{ここで、a及びbは、相互に独立に0〜10の整数である(ただし、a+bは10〜30の範囲の数である)}、及び式(6):
【0085】
【化18】


{式中、R、R、R’、R、R、R、R及びR10は、相互に独立に、C−C−アルキル、C−C−アルキル−若しくはC−C−アルコキシ−置換フェニル、フルオロ(C−C18−アルキル)、シアノ(C−C12−アルキル)、−alk−(OCHCH−OR11(ここで、alkは、C−C−アルキレン二価基であり、R11は、C−C−アルキルであり、そしてnは、1〜10の整数である)であり、m及びpは、相互に独立に2〜698の整数であり、かつ(m+p)は、5〜700である}で示される二価基よりなる群から選択される二価基である(ただし、D、D及びDの少なくとも1個は、式(6)により表される)〕で示されるポリシロキサン二価基であり;そして
Qは、エチレン不飽和基を含有する有機基である]で示されるポリシロキサン含有ビニルマクロマーを含む。
【0086】
好ましくは、Qは、式(7):
【0087】
【化19】


[式中、Z及びZは、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C12アルキレン二価基、1個以上のヒドロキシル基を有する直鎖若しくは分岐のC−C12アルキレン二価基、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、dは、1〜10の整数である)の基、非置換フェニレン二価基、C−Cアルキル若しくはC−Cアルコキシ置換フェニレン二価基又はC−C12アラルキレン二価基であり;Aは、−O−又は下記式:
【0088】
【化20】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)で示される基であり;q及びqは、相互に独立に0又は1の整数であり;R14は、水素、C−Cアルキル又はハロゲンであり;R15及びR16は、相互に独立に、水素、C−Cアルキル、フェニル、カルボキシ、ハロゲン、又は下記式:
【0089】
【化21】


(式中、Xは、−O−、上記と同義の下記式:
【0090】
【化22】


で示される基又は−S−であり、そしてR17は、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル又はジアルキルアミノアルキル基である)で示される基である]で示されるエチレン不飽和基である。
【0091】
式(4)のポリシロキサン含有ビニルマクロマーは、任意の既知の手順、例えば、米国特許第4,136,250号、4,486,577号、4,605,712号、5,034,461号、5,416,132号及び5,760,100号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されている手順により調製することができる。
【0092】
光開始剤は、光の使用によりフリーラジカル重合及び/又は架橋を開始させることができる。適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacure型、好ましくはDarocur 1173(登録商標)、Irgacure 369(登録商標)、Irgacure 379(登録商標)、及びIrgacure 2959(登録商標)である。ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤の例は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO);ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを包含する。例えば、マクロマーに組み込むことができるか、又は特別なモノマーとして使用することができる、反応性光開始剤もまた適している。反応性光開始剤の例は、EP 632,329(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるものである。次に重合は、化学線、例えば、光、特に適切な波長のUV光により誘発することができる。スペクトルの要求は、適宜、適切な光増感剤の添加によりそれなりに制御することができる。
【0093】
本発明では、モノマー混合物はまた、アミド型ビニルモノマー以外の追加の親水性ビニルモノマーを含むことができる。ほとんど任意の親水性ビニルモノマーを本発明に使用することができる。適切な親水性ビニルモノマーは、これが網羅的リストではないが、アクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル類、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、全部で3〜6個の炭素原子を有するオレフィン不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)−(ここで、「アミノ」という用語は、第4級アンモニウムも包含する)、アクリル酸及びメタクリル酸モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)及びジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)、アリルアルコール、N−ビニルアルキルアミド、N−ビニル−N−アルキルアミドなどである。好ましい親水性ビニルモノマーには、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、トリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル塩酸塩、メタクリル酸アミノプロピル塩酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、メタクリル酸グリセロール(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、アクリル酸、200〜1500の重量平均分子量を有するC−C−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、及びN−ビニルカプロラクタムがある。更に好ましくは、アミド型ビニルモノマー以外の親水性ビニルモノマーは、アクリレートモノマーである。
【0094】
本発明のモノマー混合物はまた、シロキサン含有ビニルモノマーとは異なる疎水性モノマーを含むことができる。一定量の疎水性ビニルモノマーをモノマー混合物に組み込むことにより、得られるポリマーの機械的性質(例えば、弾性率)を向上できる。ほとんど任意の疎水性ビニルモノマーは、ペンダント又は末端官能基を持つ中間コポリマーの調製用の化学線重合性組成物に使用することができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、メタクリル酸ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘキサフルオロ−イソプロピル、メタクリル酸ヘキサフルオロブチルを包含する。
【0095】
当然のことながら、モノマー混合物中に存在する、アミド型ビニルモノマー以外の親水性ビニルモノマー又は疎水性ビニルモノマーがメタクリレートモノマーであるならば、メタクリレートモノマーの総量は、約10重量%未満、好ましくは約8重量%未満、更に好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは約1重量%未満である。好ましくは、これらの量は、約100秒以内の時間内で約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により硬化できる特徴をレンズ形成組成物に与えるために充分に低い。
【0096】
本発明では、UV源は、Hamamatsu K.K.により製造されたHamamatsu UVランプであってよい。光源からの光は、導光部を通り、そしてDuennschicht Technik GmbH Germanyにより製造された330nmカットオフフィルターを通り抜ける。この光学配置を通り抜ける光の強度は、好ましくはESE GmbH/ Germanyにより製造されたESE放射計で測定する。
【0097】
好ましい実施態様において、モノマー混合物は、重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤を含む。重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤をモノマー混合物中に有することにより、UV吸収性能を持つシリコーンハイドロゲルレンズを得ることができる。このようなレンズは、紫外線(「UV」)により引き起こされる損傷から、ある程度角膜を保護することができる。
【0098】
任意の適切な重合性UV吸収剤を本発明に使用することができる。好ましくは、重合性UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール残基又はベンゾフェノン残基を含む。好ましい重合性UV吸収剤の例は、特に限定されないが、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノンを包含する。
【0099】
重合性潜在性UV吸収剤は、上記の重合性UV吸収剤から、当業者に知られている任意の既知の方法により調製することができる。例えば、ベンゾトリアゾール部分又はベンゾフェノン部分は、保護不安定基と反応させることにより、UV吸収部分を潜在性UV吸収部分に変換することができる。
【0100】
ベンゾトリアゾール型のUV吸収剤には、ベンゾトリアゾール部分中のフェノール部分のヒドロキシル基を、保護不安定基で置き換えることにより、この物質を本質的に非UV吸収性にすることができる(即ち、保護基が、この化合物の吸収特性を本質的に変えるため、この物質は280〜400nm範囲ではあまり強く吸収しない)。保護不安定基の例は、特に限定されないが、アセチル基、アセチルアルキルシラン、アルキルエーテル、及びアルキルエステルを包含する。これらの保護基は、レンズを硬化後に任意の既知の方法によりヒドロキシル基に変換して戻し、そしてレンズをUV吸収性にすることができる。例えば、保護不安定基の脱離は、硬化レンズを飽和重炭酸溶液に浸漬して加熱することにより実行できる。
【0101】
同様に、ベンゾフェノン部分のフェノール性基の少なくとも1個のヒドロキシル基は、上記保護不安定基の1つで置き換えることにより、潜在性UV吸収部分を形成することができる。この潜在性UV吸収部分は、保護不安定基を脱離することにより、UV吸収部分に変換することができる。
【0102】
重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤は、一般に、モノマー混合物の硬化から得られ、妥当な場合は潜在性UV吸収部分を変換するための処理に付されるコンタクトレンズを、レンズに作用する約280nm〜約370nmの範囲のUV光を少なくとも約80パーセント吸収性にするのに充分な量でモノマー混合物中に存在する。当業者であれば、モノマー混合物中に使用されるUV吸収剤の具体的な量が、UV吸収剤の分子量及び約280〜約370nmの範囲のその吸光係数に依存することは理解しよう。本発明では、モノマー混合物は、約0.2〜約5.0重量%、好ましくは約0.5〜約2.5重量%のUV吸収剤を含む。
【0103】
モノマー混合物が重合性UV吸収剤を含む場合、本発明における光開始剤として、ベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤が好ましくは使用される。好ましいベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤は、特に限定されないが、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを包含する。当然のことながら、ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤以外の任意の光開始剤を本発明に使用することができる。
【0104】
本発明のモノマー混合物は、更に抗菌剤、好ましくは抗菌性金属ナノ粒子、更に好ましくは銀ナノ粒子を含むことができる。
【0105】
本発明では、モノマー混合物は、更に、当業者には知られているような、架橋剤、連鎖移動剤、開始剤、阻害剤、充填剤、可視性ティント剤(例えば、染料、顔料、又はこれらの混合物)、生物活性剤、浸出性潤滑剤などのような、種々の成分を含むことができる。
【0106】
架橋剤は、2個以上のエチレン不飽和基を有する、そして700ダルトン未満の分子量を有する化合物である。架橋剤は、構造的完全性及び機械的強度を向上させるために使用することができる。架橋剤の例は、特に限定されないが、ジアクリル酸テトラ(エチレングリコール)、ジアクリル酸トリ(エチレングリコール)、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジ(エチレングリコール)、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジ(エチレングリコール)、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリトリトール、ジメタクリル酸ビスフェノールA、メタクリル酸ビニル、エチレンジアミンジメチルアクリルアミド、ジメタクリル酸グリセロール、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、メタクリル酸アリル、及びこれらの組合せを包含する。好ましい架橋剤は、ジアクリル酸テトラ(エチレングリコール)、ジアクリル酸トリ(エチレングリコール)、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジ(エチレングリコール)、イソシアヌル酸トリアリル、又はシアヌル酸トリアリルである。
【0107】
使用される架橋剤の量は、総ポリマーに対する重量の含量で表され、そして好ましくは約0.05%〜約4%の範囲に、そして更に好ましくは約0.1%〜約2%の範囲にある。
【0108】
好ましい顔料の例は、D&C Blue No.6、D&C Green No.6、D&C Violet No.2、カルバゾールバイオレット、ある種の銅錯体、ある種の酸化クロム、種々の酸化鉄、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、二酸化チタンなどのような、医療機器に許可され、FDAに承認された任意の着色料を包含する。本発明で使用することができる着色料のリストについては、Marmiom DM Handbook of U.S. Colorantsを参照のこと。顔料の更に好ましい実施態様は、特に限定されないが、青色には、フタロシアニンブルー(青色顔料15:3、C.I. 74160)、コバルトブルー(青色顔料36、C.I. 77343)、Toner cyan BG(Clariant)、Permajet blue B2G(Clariant);緑色には、フタロシアニングリーン(Pigment green 7、C.I. 74260)及び三二酸化クロム;黄色、赤色、褐色及び黒色には、種々の酸化鉄;PR122、PY154、紫色には、カルバゾールバイオレット;黒色には、Monolith black C-K(CIBA Specialty Chemicals)を包含する(C.I.はカラーインデックス番号である)。
【0109】
ポリマーマトリックスに組み込まれる生物活性剤は、眼の病気を防ぐことができるか、眼の病気の症状を軽減することができる、任意の化合物である。生物活性剤は、薬物、アミノ酸、(例えば、タウリン、グリシンなど)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、又はこれらの任意の組合せであってよい。本明細書に有用な薬物の例は、特に限定されないが、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン(olaptidine)、クロモグリコレート(cromoglycolate)、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドキサミド、ケトチフェン、又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルを包含する。生物活性剤の他の例は、2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、α−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、クエン酸及びこれらの塩など)、リノール酸及びγ−リノール酸、並びにビタミン類(例えば、B5、A、B6など)を包含する。
【0110】
浸出性潤滑剤の例は、特に限定されないが、ムチン様物質(例えば、ポリグリコール酸)及び非架橋性親水性ポリマー(即ち、エチレン不飽和基を含まない)を包含する。
【0111】
エチレン不飽和基を含まない任意の親水性ポリマー又はコポリマーを、浸出性潤滑剤として使用することができる。非架橋性親水性ポリマーの好ましい例は、特に限定されないが、ポリビニルアルコール(PVA)類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、1種以上の親水性ビニルコモノマーの存在下又は非存在下の少なくとも1種のビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、1種以上の親水性ビニルモノマーとのアクリルアミド又はメタクリルアミドのコポリマー、ポリエチレンオキシド(即ち、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ−2−エチル−オキサゾリン、ヘパリン多糖類、多糖類、並びにこれらの混合物を包含する。
【0112】
非架橋性親水性ポリマーの数平均分子量Mは、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜300,000、更にもっと好ましくは20,000〜100,000である。
【0113】
本発明では、レンズ形成材料は、約20℃〜約85℃の温度で溶液又は融解物であってよい、組成物である。好ましくは、レンズ形成材料は、全ての所望の成分の水、若しくは有機溶媒、又は水と1種以上の有機溶媒との混合物中の溶液である。
【0114】
本発明のモノマー混合物は、全ての所望の成分を、当業者には知られている任意の適切な溶媒に溶解することにより調製できる。適切な溶媒の例は、特に限定されないが、水、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i−プロピル、塩化メチレン、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシル−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール及び3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノン、及びこれらの混合物を包含する。
【0115】
好ましい実施態様において、本発明のモノマー混合物は、以下を含む:(1)約5〜約60重量%、好ましくは約10〜約50重量%、更に好ましくは約15〜約45重量%、更にもっと好ましくは約20〜約40重量%の親水性アミド型ビニルモノマー;(2)約5〜約50重量%、好ましくは約10〜約40重量%、更に好ましくは約15〜約30重量%のシロキサン含有アクリレート又はアクリルアミド又はメタクリルアミドモノマー;(3)約5〜約50%、好ましくは約10〜約40重量%、更に好ましくは約15〜約35重量%のポリシロキサン含有ビニルマクロマー;(4)約0.05〜約1.5重量%、好ましくは約0.1〜1.3重量%、更に好ましくは約0.5〜約1.1重量%の光開始剤;及び(5)0〜5重量%、好ましくは約0.2〜5重量%、更に好ましくは約0.5〜約2.5重量%の重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤。前記の範囲の組合せは、リストされた成分及び任意の追加成分が、合計100重量%になるという条件で提示される。
【0116】
本発明では、モノマー混合物は、任意の既知の方法により、型によって形成される空洞に導入(分注)することができる。
【0117】
モノマー混合物を型中に分注した後、これを重合させることによりコンタクトレンズを生産する。架橋は、型中のモノマー混合物を空間的に制限した化学線に曝露することにより開始して、モノマー混合物中の重合性成分を架橋させることができる。本発明の架橋は、非常に短時間、例えば、≦約120秒、好ましくは≦約80秒、更に好ましくは≦約50秒、更にもっと好ましくは≦約30秒、そして最も好ましくは5〜30秒間で達成できる。
【0118】
成形レンズを型から取り外すことができるような型の型開きは、それ自体既知のやり方で行うことができる。
【0119】
成形コンタクトレンズは、レンズ抽出に付すことにより、未重合ビニルモノマー及びマクロマーを除去することができる。この抽出溶媒は、当業者に知られている任意の溶媒であってよい。適切な抽出溶媒の例は、モノマー混合物の調製について上記されたものである。抽出後、レンズは、水又は湿潤剤(例えば、親水性ポリマー)の水溶液中で水和することができる。
【0120】
成形コンタクトレンズは更に、例えば、表面処理(例えば、プラズマ処理、化学処理、レンズの表面への親水性モノマー又はマクロマーのグラフト、Layer-by-Layer(LbL)コーティングなど);パッケージング溶液[約0.005〜約5重量%の湿潤剤(例えば、上記の親水性ポリマー)及び/又は粘度増強剤(例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はこれらの混合物)を含有することができる]でのレンズパックへのパッケージング;滅菌などのような更なるプロセスに付すことができる。
【0121】
好ましい表面処理は、米国特許出願第6,451,871号、6,719,929号、6,793,973号、6,811,805号、6,896,926号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されるもののようなLbLコーティング、及びプラズマ処理である。好ましいプラズマ処理は、米国特許第4,312,575号及び4,632,844号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されるような、製品の表面にイオン化ガスを適用するプロセスである。
【0122】
本発明のコンタクトレンズは、少なくとも約40barrer、更に好ましくは少なくとも約60barrer、更にもっと好ましくは少なくとも約80barrerの酸素透過度を有する。本発明では、酸素透過度は、実施例に記載される手順による見かけの(約100ミクロンの厚さで試料を試験したとき直接測定される)酸素透過度である。
【0123】
本発明のコンタクトレンズは、約2.0MPa以下、好ましくは約1.5MPa以下、更に好ましくは約1.2以下、更にもっと好ましくは約0.4MPa〜約1.0MPaの弾性率を有する。
【0124】
本発明のコンタクトレンズは更に、好ましくは少なくとも約1.5×10−6mm/分、更に好ましくは少なくとも約2.6×10−6mm/分、更にもっと好ましくは少なくとも約6.4×10−6mm/分のイオノフラックス拡散係数Dを有する。
【0125】
本発明のコンタクトレンズは更に、完全に水和すると、好ましくは約15〜約70重量%、更に好ましくは約20〜約50重量%の含水率を有する。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの含水率は、US 5,849,811(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるBulk Techniqueにより測定することができる。
【0126】
別の態様において、本発明は、化学線の空間的制限に基づく硬化方法によりシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するのに適切な、レンズ形成組成物を提供する。このレンズ形成組成物は、少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有ビニルモノマー(シロキサン含有アクリレート、シロキサン含有アクリルアミド、シロキサン含有メタクリルアミド、及びこれらの混合物よりなる群から選択される)、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含むが、ただし、レンズ形成組成物中の全てのメタクリレートモノマーの総量は、約10重量%未満であり、かつ約100秒未満の時間内で約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により硬化できる特徴をレンズ形成組成物に与えるために充分に低い。
【0127】
好ましい実施態様において、シロキサン含有ビニルモノマーは、シロキサン含有アクリルアミド、シロキサン含有メタクリルアミド又はこれらの混合物である。
【0128】
更に好ましい実施態様において、シロキサン含有ビニルモノマーは、シロキサン含有アクリルアミドである。
【0129】
上記の本発明のモノマー混合物の全ての種々の実施態様は、本発明のこの態様において使用することができる。
【0130】
更なる態様において、本発明は、本発明の方法により得られるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0131】
上記の本発明の型、モノマー混合物、及び放射線の空間的制限、並びにコンタクトレンズの全ての種々の実施態様は、本発明のこの態様において使用することができる。
【0132】
前の開示により、当業者であれば本発明を実施することができよう。読者が、具体的実施態様及びその利点をより深く理解することができるように、以下の限定されない例への言及が示唆される。しかし、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものと読みとるべきではない。
【実施例1】
【0133】
酸素透過度測定
レンズの酸素透過度及びレンズ材料の酸素伝達率は、米国特許第5,760,100号及びWintertonら(The Cornea: Transactions of the World Congress on the Cornea 1 1 1 , H. D. Cavanagh Ed., Raven Press: New York 1988, pp273-280)の論文に記載されるもの(両方とも全体が引用例として本明細書に取り込まれる)と同様の手法により測定する。酸素フラックス(J)は、Dk1000装置(Applied Design and Development Co., Norcross, GAから入手できる)、又は同様の分析装置を用いて、ウェットセル(即ち、ガス流が約100%相対湿度に維持される)中で34℃で測定する。既知の百分率の酸素(例えば、21%)を有する空気流は、約10〜20cm/分の速度でレンズの片側を通過させ、一方、窒素流は、約10〜20cm/分の速度でレンズの反対側に通す。試料は、試験媒体(即ち、生理食塩水又は蒸留水)中で所定の試験温度で測定前に少なくとも30分間(しかし45分間を超えない)平衡化させる。被覆層として使用される任意の試験媒体は、所定の試験温度で測定前に少なくとも30分間(しかし45分間を超えない)平衡化させる。撹拌モーターの速度は、ステッピングモーター制御器での400±15の表示設定に対応する、1200±50rpmにセットする。系を囲む気圧、P測定値を測定する。試験用に曝露される領域におけるレンズの厚さ(t)は、MitotoyaマイクロメーターVL-50、又は同様の装置で約10箇所を測定し、そして測定値を平均することにより決定する。窒素流中の酸素濃度(即ち、レンズを通じて拡散する酸素)は、DK1000装置を用いて測定する。レンズ材料の見かけの酸素透過度、Dkappは、下記式から決定する:
Dkapp=Jt/(P酸素
(式中、
J=酸素フラックス[マイクロリットルO/cm−分]
酸素=(P測定値−P水蒸気)=(空気流中O%)[mmHg]=空気流中の酸素の分圧
測定値=気圧(mmHg)
水蒸気=34℃で0mmHg(ドライセル中)(mmHg)
水蒸気=34℃で40mmHg(ウェットセル中)(mmHg)
t=曝露される試験領域におけるレンズの平均厚さ(mm)
Dkappは、barrerの単位で表される)。
【0134】
材料の酸素伝達率(Dk/t)は、酸素透過度(Dkapp)をレンズの平均厚さ(t)で割ることにより計算できる。
【0135】
イオン透過性測定
レンズのイオン透過性は、米国特許第5,760,100号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載される手順により測定する。下記の実施例で報告されるイオン透過性の値は、標準材料としてのレンズ材料、Alsaconに対する相対イオノフラックス拡散係数(D/Dref)である。Alsaconは、0.314×10−3mm/分のイオノフラックス拡散係数を有する。
【0136】
水接触角(WCA)測定
水接触角(WCA)測定は、Kruess GmbH, Germany製のDSA 10液滴形状分析システムでの液滴法(sessile drop method)により純水(Fluka、20℃で表面張力72.5mN/m)で実施する。測定目的には、コンタクトレンズをピンセットで保存液から取り出し、穏やかな振盪により過剰な保存液を除去する。コンタクトレンズをレンズ型の雄部に置き、乾いた清浄な布で穏やかに吸い取る。水滴(約1μl)を次にレンズ頂点に載せて、この水滴の接触角の経時変化(WCA(t)、円周フィッティングモード)をモニターする。WCAは、グラフWCA(t)のt=0への外挿により算出する。
【0137】
折り畳み跡の測定
コンタクトレンズ光学的品質分析器(Contact Lens Optical Quality Analyzer)(CLOQA)は、Foucaultのナイフエッジ試験の原理に基づいて、コンタクトレンズの表面の歪み又は他の欠陥に起因する光学的歪みを測定するために開発された。当業者であれば、コリメート化光を作り出すための、コンタクトレンズを照らし出すための、及び機器(例えば、CCDカメラなど)で画像を捕捉するための、種々の光学素子を選択、整列及び配置する方法を理解している。本試験は、コンタクトレンズを近コリメート光で照らし出し、Foucaultナイフエッジを焦点付近に置き、集束光の大部分を遮断するためにナイフエッジを移動させ、そしてFoucaultナイフエッジの後方の機器、例えば、CCDカメラでコンタクトレンズの像を捕捉することを含む。コンタクトレンズに光学的歪みが存在しない場合、コンタクトレンズを通り抜ける全ての光線が、ナイフエッジで焦点に到達して、集束した光の大部分は遮断されるだろう。焦点化機能を持たない光学部の外側の領域では、ナイフエッジがレンズの半分からの光を遮断してこれを暗くするが、一方、あと半分は明るく見える。コンタクトレンズがその光学部に光学的歪みを持たないならば、どれほど光がナイフエッジにより遮断されるかに応じて、光学部全体が均一に暗いか又は明るいだろう。コンタクトレンズに光学的歪みが存在する場合、このような領域を通り抜ける光は一般に主な焦点には入らず、ナイフエッジに遮断される(暗く見える)か、又は自由に通り抜ける(明るく見える)かのいずれかであろう。コントラストのレベルは、歪みの大きさだけでなく、ナイフエッジの微細な位置にも依存する。欠陥領域は、CLOQA像ではコントラスト特性として現れる。CLOQAでのナイフエッジ試験は、光学部における光学的歪みの定性試験機器として設計される。
【0138】
折り畳み跡試験は、以下の通り行う。3個のオートクレーブ処理及び/又はオートクレーブ非処理コンタクトレンズを本試験に使用する。第一に、コンタクトレンズの像をCLOQAで撮る。第二に、各レンズを指で2回折り畳み(2本の直交する折り畳み線を作る)、次にその像をCLOQAで直ちに撮る。第三に、折り畳みの約15分後に各コンタクトレンズの像をCLOQAで撮る。3タイプのCLOQA像を得る:元の像(即ち、折り畳みなし)、折り畳みの直後、及び折り畳みの約15分後。折り畳み跡試験により、折り畳み線の経時変化の状況を測定できる。
【実施例2】
【0139】
末端アクリルアミド基を持つポリシロキサンビニルマクロマーIの調製法
4Lビーカーで、NaCO 24.13g及びNaCl 80gを脱イオン水1.52kgに溶解する。別の4Lビーカーで、ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu、MW約11500)700gをヘキサン1000gに溶解する。4L反応器に、タービン撹拌器を持つオーバーヘッド撹拌器と、マイクロ流量制御器を持つ250mL滴下ロートを取り付ける。次にこの2種の溶液を反応器に仕込み、激しく撹拌しながら15分間混合して、乳濁液を生成させる。塩化アクリロイル14.5gをヘキサン100mLに溶解して、滴下ロートに仕込む。この塩化アクリロイル溶液を、激しい撹拌下で1時間かけて乳濁液に滴下により加える。乳濁液を30分間撹拌して、添加を終了し、次に撹拌を停止して、一晩相を分離させる。水相をデカントして、有機相は、水に溶解した2.5% NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄する。次に有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、1.0μm排除(exclusion)で濾過し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる油状物は、高真空乾燥により一定重量になるまで更に精製する。滴定により得られる生成物を分析すると、0.175mEq/gのC=C二重結合が明らかになる。
【0140】
末端アクリルアミド基を持つポリシロキサンビニルマクロマーIIの調製法
4Lビーカーで、NaCO 61.73g及びNaCl 80gを脱イオン水1.52kgに溶解する。別の4Lビーカーで、ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu、MW約4500)700gをヘキサン1000gに溶解する。4L反応器に、タービン撹拌器を持つ頂部撹拌器と、マイクロ流量制御器を持つ250mL滴下ロートを取り付ける。次にこの2種の溶液を反応器に仕込み、激しく撹拌しながら15分間混合して、乳濁液を生成させる。塩化アクリロイル36.6gをヘキサン100mLに溶解して、滴下ロートに仕込む。この塩化アクリロイル溶液を、激しい撹拌下で1時間かけて乳濁液に滴下により加える。乳濁液を30分間撹拌して、添加を終了し、次に撹拌を停止して、一晩相を分離させる。水相をデカントして、有機相は、水に溶解した2.5% NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄する。次に有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、1.0μm排除で濾過し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる油状物は、高真空乾燥により一定重量になるまで更に精製する。滴定により得られる生成物を分析すると、0.435mEq/gのC=C二重結合が明らかになる。
【0141】
末端アクリルアミド基を持つポリシロキサンビニルマクロマーIIIの調製法
4Lビーカーで、NaCO 24.13g及びNaCl 80gを脱イオン水1.52kgに溶解する。別の4Lビーカーで、ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu、MW約11500)700gをヘキサン1000gに溶解する。4L反応器に、タービン撹拌器を持つ頂部撹拌器と、マイクロ流量制御器を持つ250mL滴下ロートを取り付ける。次にこの2種の溶液を反応器に仕込み、激しく撹拌しながら15分間混合して、乳濁液を生成させる。塩化アクリロイル14.5gをヘキサン100mLに溶解して、滴下ロートに仕込む。この塩化アクリロイル溶液を、激しい撹拌下で1時間かけて乳濁液に滴下により加える。乳濁液を30分間撹拌して、添加を終了し、次に撹拌を停止して、一晩相を分離させる。水相をデカントして、有機相は、水に溶解した2.5% NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄する。次に有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、1.0μm排除で濾過し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる油状物は、高真空乾燥により一定重量になるまで更に精製する。滴定により得られる生成物を分析すると、0.175mEq/gのC=C二重結合が明らかになる。
【0142】
末端アクリルアミド基を持つポリシロキサンビニルマクロマーIVの調製法
4Lビーカーで、NaCO 61.73g及びNaCl 80gを脱イオン水1.52kgに溶解する。別の4Lビーカーで、ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu、MW約4500)700gをヘキサン1000gに溶解する。4L反応器に、タービン撹拌器を持つ頂部撹拌器と、マイクロ流量制御器を持つ250mL滴下ロートを取り付ける。次にこの2種の溶液を反応器に仕込み、激しく撹拌しながら15分間混合して、乳濁液を生成させる。塩化アクリロイル36.6gをヘキサン100mLに溶解して、滴下ロートに仕込む。この塩化アクリロイル溶液を、激しい撹拌下で1時間かけて乳濁液に滴下により加える。乳濁液を30分間撹拌して、添加を終了し、次に撹拌を停止して、一晩相を分離させる。水相をデカントして、有機相は、水に溶解した2.5% NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄する。次に有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、1.0μm排除で濾過し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる油状物は、高真空乾燥により一定重量になるまで更に精製する。滴定により得られる生成物を分析すると、0.435mEq/gのC=C二重結合が明らかになる。
【実施例3】
【0143】
末端メタクリレート基を持つ鎖延長ポリジメチルシロキサンビニルマクロマー(CE−PDMSマクロマー)の調製法
第一段階において、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン(Mn=2000、Shin-Etsu、KF-6001a)は、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン49.85gをジイソシアン酸イソホロン(IPDI)11.1gと無水メチルエチルケトン(MEK)150g中でジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)0.063gの存在下で反応させることにより、ジイソシアン酸イソホロンでキャップする。この反応は、40℃で4.5時間保持することにより、IPDI−PDMS−IPDIを形成する。第二段階では、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン(Mn=3000、Shin-Etsu、KF-6002)164.8g及び無水MEK 50gの混合物を、DBTDL更に0.063gを加えたIPDI−PDMS−IPDI溶液に滴下により加える。反応器を40℃で4.5時間維持することにより、HO−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−OHを形成する。次にMEKを減圧下で除去する。第三段階では、メタクリル酸イソシアナトエチル(IEM)7.77g及びDBTDL更に0.063gの添加により第三段階で末端ヒドロキシル基をメタクリロイルオキシエチル基でキャップすることにより、IEM−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−IEMを形成する。
【0144】
末端メタクリレート基を持つCE−PDMSマクロマーの代替調製法
KF-6001 240.43gを、撹拌器、温度計、クライオスタット、滴下ロート、及び窒素/真空注入口アダプターを取り付けた1L反応器に加え、次に高真空(2×10−2mBar)の適用により乾燥させる。次に、1気圧の乾燥窒素下で、蒸留MEK 320gを反応器に加え、この混合物を充分に撹拌する。DBTDL 0.235gを反応器に加える。反応器を45℃まで温めた後、穏やかな撹拌下でIPDI 45.86gを滴下ロートにより10分間かけて反応器に加える。反応液を60℃で2時間保持する。次に蒸留MEK 452gに溶解したKF-6002 630gを加え、均質な溶液が生成するまで撹拌する。DBTDL 0.235gを加え、乾燥窒素のブランケット下で反応器を一晩55℃で維持する。翌日、MEKをフラッシュ蒸留により除去する。反応器を冷却し、次にIEM 22.7gを反応器に仕込み、次いでDBTDL 0.235gを仕込む。3時間後、IEM 更に3.3gを加え、反応を一晩進行させる。その次の日、反応混合物を18℃に冷却することにより、CE−PDMSマクロマーを得る。
【実施例4】
【0145】
レンズ調合物の調製法
1−プロパノールに実施例3で調製されるCE−PDMSマクロマー及び表1にリストされる他の成分を溶解することにより、3種のレンズ調合物を調製する。
【0146】
【表1】


Tris−メタクリレート:メタクリル酸トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
Tris−メタクリルアミド:N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド
Tris−アクリルアミド:N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
L-PEG2000:N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、ナトリウム塩
DC1173:Darocur 1173
【0147】
レンズ調合物の硬化時間の試験
UV源は、Hamamatsu K.K.により製造されたHamamatsu UVランプである。光源からの光は、導光部を通り、そしてDuennschicht Technik GmbH Germanyにより製造された330nmカットオフフィルターを通り抜け、次に2枚のクオーツの顕微鏡スライドの間に入った試料に作用する。この光学配置を通り抜ける光の強度は、ESE GmbH/ Germanyにより製造されたESE放射計で測定する。
【0148】
表2は、TrisメタクリレートをTrisメタクリルアミドで置換すると硬化時間が48%短縮し、TrisメタクリレートをTrisアクリルアミドで置換すると78%短縮することを示している。
【0149】
【表2】


*G’は、貯蔵弾性率であり、歪みによりポリマーに蓄えられるエネルギーの尺度である。これは、硬化溶媒中で測定する。
【実施例5】
【0150】
レンズは、米国特許第7,384,590号の図1〜6及び7,387,759号(図1〜6)に示される型と類似した再利用可能な型で、実施例4で調製される調合物IIIからキャスト成型(cast-molding)法により調製する。型は、CaFでできている半分の雌型と、PMMAでできている半分の雄型を含む。UV照射源は、約4mW/cmの強度でWG335+TM297カットオフフィルターを持つHamamatsuランプである。型中のレンズ調合物は、約25秒間UV線で照射する。生じるレンズは、イソプロパノールで抽出し、水中で濯ぎ、ポリアクリル酸のプロパノール溶液中に浸漬して、水中で水和する。得られるレンズは、以下の性質を有することを測定する:Alsaconレンズ材料に対して約8.0〜約9.0倍のイオン透過性:約90〜100の見かけのDk(一点);約30%〜約33%の含水率;及び約0.60MPa〜約0.65MPaの弾性率。
【実施例6】
【0151】
末端メタクリレート基を持つシリコーン含有ビニルマクロマーの合成法
本マクロマーは、マクロマーBの調製に関する米国特許第5,760,100号(実施例B1〜B14)に記載される手順により調製する。
【0152】
1030g/molの平均分子量を有し、末端基滴定による1.96meq/gのヒドロキシル基を含有する、ペルフルオロポリエーテルのFomblin(登録商標)ZDOL(Ausimont S.p.A., Milan製)51.5g(50mmol)を、ジラウリン酸ジブチルスズ50mgと一緒に三つ口フラスコに導入する。フラスコ内容物を撹拌しながら約20mbarまで脱気し、続いてアルゴンで減圧(decompressed)する。この操作を2回繰り返す。続いてアルゴン下で保持した新たに蒸留したジイソシアン酸イソホロン22.2g(0.1mol)をアルゴンの逆流(counterstream of argon)に加える。水浴で冷却することにより、フラスコ内の温度を30℃未満に保持する。室温で一晩撹拌後、反応が終了する。イソシアナート滴定により、1.40meq/g(理論値:1.35meq/g)のNCO含量が得られる。
【0153】
2000g/mol(滴定により1.00meq/gのヒドロキシル基)の平均分子量を有する、Shin-Etsu製のα,ω−ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンKF-6001 202gをフラスコに導入する。フラスコ内容物は、約0.1mbarまで脱気して、アルゴンで減圧(decompressed)する。この操作を2回繰り返す。この脱気シロキサンを、アルゴン下で保持した新たに蒸留したトルエン202mlに溶解して、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)100mgを加える。溶液の均質化終了後、ジイソシアン酸イソホロン(IPDI)と反応した全てのペルフルオロポリエーテルをアルゴン下で加える。室温で一晩撹拌後、反応が終了する。高真空下室温で溶媒を除去する。マイクロ滴定により、0.36meq/gのヒドロキシル基(理論値0.37meq/g)が示される。
【0154】
メタクリル酸2−イソシアナトエチル(IEM)13.78g(88.9mmol)をアルゴン下でα,ω−ヒドロキシプロピル末端ポリシロキサン−ペルフルオロポリエーテル−ポリシロキサン3ブロックコポリマー(化学量論平均で3ブロックコポリマーであるが、他のブロック長も存在する)247gに加える。この混合物を室温で3日間撹拌する。次にマイクロ滴定によると、もはやイソシアナト基は見られない(検出限界0.01meq/g)。0.34meq/gのメタクリル基が見い出される(理論値0.34meq/g)。
【0155】
こうして調製されるマクロマーは、2個の末端メタクリレート基を有しており、完全に無色で透明である。これは、分子量に何ら変化なしに数ヶ月間光の非存在下で室温で空気中で保存することができる。
【0156】
レンズ形成材料の調製法
上記で調製される、2個の末端メタクリレート基を持つシロキサン含有マクロマーは、2種のレンズ形成材料の調製に使用する。調合物1は、25.92%のシロキサン含有マクロマー、19.25%のTRIS(メタクリル酸3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)、28.88%のDMA(N,N−ジメチルアクリルアミド)、24.95%の変性エタノール、及び1.0%の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(Darocure(登録商標)1173)を含む。調合物2は、25.92%のシロキサン含有マクロマー、19.25%のTRIS−Am(N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド)、28.88%のDMA、24.95%の変性エタノール、及び1.0%のDarocure(登録商標)1173を含む。
【0157】
レンズの調製法
ポリプロピレンレンズ型の雌部に、上記のとおり調製されるレンズ形成材料約75マイクロリットルを充填し、そして型をポリプロピレンレンズ型の雄部(ベースカーブ型)で閉じる。コンタクトレンズは、約3.61mW/cmの頂部光強度(top light intensity)及び約3.54mW/cmの底部光強度(bottom light intensity)を持つPhillipsライト(40ワット、F405)を取り付けたUV硬化ボックス中で約2時間、閉じた型を硬化することにより得る。レンズの酸素透過度(Dk)及びイオン透過性(IP)は、実施例1に記載されるように測定する。レンズの性質は、表3に報告される。
【0158】
【表3】

【実施例7】
【0159】
1−ヘキサノールに、実施例3で調製されるCE−PDMSマクロマー、DMA、TRIS−AM、重合性UV吸収剤(Norbloc、(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール))、光開始剤、及び表4にリストされる他の成分を溶解することにより、種々の調合物を調製する。調合物は、成分が完全に混合されたことを確認するために、目視検査する。成分が混合されない(濁りなど)ならば、調合物が透明になり混合されるまで、調合物を40℃に加熱する。対照調合物は、Norblocを含まず、0.5%のDarocur1173、33%のCE−PDMS、17%のTRIS−AM、24%のDMA、及び24.5%の1−ヘキサノールを含むように調製する。
【0160】
【表4】


*調合物は、離型剤として1%のL-PEG2000を含有する。
【0161】
光レオロジーデータは、試料の直前に置いた330nm、376nm、又は330と395nmとの積み重ねの高域カットオフフィルターのいずれかを持つHamamatsuランプを用いて測定する。強度は、376又は395nmカットオフフィルターを使用した試料に対するSED005センサーを持つIL1700 UV検出器により測定する。対照調合物では、強度は、297nmカットオフフィルターを持つESE検出器を用いて測定し、次に調合物を硬化するために試料の前方に330nmフィルターを置く。光レオロジーにより測定される硬化時間の例は、表5に提供される。
【0162】
【表5】

【0163】
調合物86−1からのレンズは、再利用可能な型でキャスト成型法により調製する。型は、ガラスでできている半分の雌型と、クオーツでできている半分の雄型を含む。UV照射源は、IL1700検出器により測定するとき約4.2mW/cmの強度でWG335+TM297+TM330+TM395nmカットオフフィルターを持つHamamatsuランプである。型中のレンズ調合物は、約150秒間照射する。生じるレンズは、イソプロパノールで抽出し、水中で濯ぎ、ポリアクリル酸のプロパノール溶液中に浸漬して、水中で水和する。レンズのUV/Visスペクトルは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で測定する。このレンズは、UVA及びUVB範囲でそれぞれ3.2及び0.11の平均%Tを有する。これらの値は、UVA範囲で<10%透過率(Transmittance)及びUVB範囲で<1%透過率の要求に充分に収まる。
【0164】
上記UV/Visスペクトルに加えて、レンズの性質もまた試験する。結果は、表6に示す。
【0165】
【表6】


*EtB=破断点伸度
【実施例8】
【0166】
1−プロパノールに、実施例3で調製されるCE−PDMSマクロマー、DMA、TRIS−AM、重合性UV吸収剤(Norbloc、(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール))、光開始剤、及び表7にリストされる他の成分を溶解することにより、種々の調合物を調製する。
【0167】
【表7】


TPO=2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;CuP=銅(II)フタロシアニン
【0168】
光レオロジーデータは、試料の直前に置いた380nm、又は330nmと388nmとの積み重ねの高域カットオフフィルター、又は330nmと395nmとの積み重ねの高域カットオフフィルターのいずれかを持つHamamatsuランプを用いて測定する。強度は、International light製のSED005センサーを用いるIL1700検出器により測定する。光レオロジーにより測定される硬化時間の例は、表8に提供される。
【0169】
【表8】

【0170】
レンズは、調合物85−1から、実施例6に記載される再利用可能な型を用いて製造する。光源と型の間に330と388nmとの積み重ねのカットオフフィルター。調合物は、6.1mW/cmの強度で27秒間硬化する。レンズは、MEK(メチルエチルケトン)中で324秒間抽出し、0.1% DMPC(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)溶液中に合計100秒間浸漬し、次にポリアクリル酸(PAA)のイソプロパノール溶液(0.1重量%、pH2.5)中に浸漬することによりPAAでコーティングして、オートクレーブ処理する。レンズのUV/Visスペクトルは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で測定する。このレンズは、UVA及びUVB範囲でそれぞれ3.2及び0.06の平均%Tを有する。これらの値は、UVA範囲で<10%透過率(Transmittance)及びUVB範囲で<1%透過率の要求に充分に収まる。
【0171】
上記UV/Visスペクトルに加えて、レンズの性質もまた試験する。結果は、表9に示す。
【0172】
【表9】


*EtB=破断点伸度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、
ソフトコンタクトレンズを製造するための型を準備する工程(ここで、この型は、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を持つ第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を持つ第2の型半とを有しており、そして該第1及び第2の型半は、該第1及び第2の成形面の間に空洞が形成されるよう相互に受けとめるように構成されている);
レンズ形成材料のモノマー混合物をこの空洞に導入する工程(ここで、モノマー混合物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含み、そしてここで、レンズ形成材料は、約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒以内で硬化する能力を有することを特徴とする);及び
化学線の空間的制限下で型中のレンズ形成材料を約120秒以内の時間照射することにより、レンズ形成材料を架橋してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程(ここで、製造されるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び化学線の空間的制限により画定されるレンズエッジを含む)
を含む方法。
【請求項2】
シロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーが、式(1):
【化23】


[式中、Rは、H又はCHであり、R及びRは、相互に独立に、H、C−Cアルキル、又は式(2):
【化24】


〔式中、Yは、C−Cアルキレン二価基又は1個以上のヒドロキシル基を含有するC−Cアルキレン二価基であり、mは、0〜5の整数であり、pは、1〜6の整数であり、そしてA、A及びAは、相互に独立に、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル、又は式(3):
【化25】


(式中、B、B及びBは、相互に独立に、C−Cアルキル、フェニル、又はベンジルである)で示される基である〕で示される一価基である(ただし、R及びRの少なくとも一方は、式(2)の基であり、そしてA、A及びAの少なくとも2個は、式(3)の基である)]により表される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モノマー混合物が、式(4):
【化26】


[式中、
rは、0又は1の整数であり;
及びGは、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C10アルキレン二価基、下記式:
【化27】


(式中、qは、1〜5の整数であり、そしてalk及びalk’は、相互に独立にC−Cアルキレン二価基である)で示される二価基、又は−R’−X−E−X−R’−〔ここで、R’及びR’は、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C10アルキレン二価基又は上記と同義の下記式:
【化28】


で示される二価基であり、X及びXは、相互に独立に下記式:
【化29】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)よりなる群から選択される連結部であり、Eは、主鎖にエーテル、チオ、又はアミン連結部を有していてもよい、40個以下の炭素原子を持つ、アルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル、又はアリールジラジカルである〕の二価基であり;
及びXは、相互に独立に、直接結合、下記式:
【化30】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)よりなる群から選択される連結部であり;
PDMSは、式(5):
【化31】


〔式中、vは、0又は1であり、ωは、0〜5の整数であり、U及びUは、相互に独立に、上記と同義の−R’−X−E−X−R’−の二価基又は上記と同義の下記式:
【化32】


で示される二価基を表し、D、D及びDは、相互に独立に、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、tは、3〜40の整数である)、−CF−(OCF−(OCFCF−OCF−{ここで、a及びbは、相互に独立に0〜10の整数である(ただし、a+bは10〜30の範囲の数である)}、及び式(6):
【化33】


{式中、R、R、R’、R、R、R、R及びR10は、相互に独立に、C−C−アルキル、C−C−アルキル−若しくはC−C−アルコキシ−置換フェニル、フルオロ(C−C18−アルキル)、シアノ(C−C12−アルキル)、−alk−(OCHCH−OR11(ここで、alkは、C−C−アルキレン二価基であり、R11は、C−C−アルキルであり、そしてnは、1〜10の整数である)であり、m及びpは、相互に独立に2〜698の整数であり、かつ(m+p)は、5〜700である}で示される二価基よりなる群から選択される二価基である(ただし、D、D及びDの少なくとも1個は、式(6)により表される)〕で示されるポリシロキサン二価基であり;そして
Qは、式(7):
【化34】


〔式中、Z及びZは、相互に独立に、直鎖若しくは分岐のC−C12アルキレン二価基、1個以上のヒドロキシル基を有する直鎖若しくは分岐のC−C12アルキレン二価基、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、dは、1〜10の整数である)の基、非置換フェニレン二価基、C−Cアルキル若しくはC−Cアルコキシ置換フェニレン二価基又はC−C12アラルキレン二価基であり;Aは、−O−又は下記式:
【化35】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)で示される基であり;q及びqは、相互に独立に0又は1の整数であり;R14は、水素、C−Cアルキル又はハロゲンであり;R15及びR16は、相互に独立に、水素、C−Cアルキル、フェニル、カルボキシ、ハロゲン、又は下記式:
【化36】


(式中、Xは、−O−、上記と同義の下記式:
【化37】


で示される基又は−S−であり、そしてR17は、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル又はジアルキルアミノアルキルラジカルである)で示される基である〕で示されるエチレン不飽和基である]で示されるポリシロキサン含有ビニルマクロマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
親水性アミド型ビニルモノマーが、2−アクリルアミドグリコール酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸又はこれらの塩、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
シロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーが、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル)メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドよりなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
モノマー混合物が、D、D及びDが相互に独立に式(6)の二価基である、式(4)のポリシロキサン含有ビニルマクロマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
モノマー混合物が、重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤を約0.2〜約5.0重量%の量で含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
モノマー混合物が、ベンゾトリアゾール−及び/又はベンゾフェノン−部分を含む重合性UV吸収剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
光開始剤が、ベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
モノマー混合物が、重合性潜在性UV吸収剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
第1及び第2の成形面の少なくとも一方は、UV線に透過性であり、そして場合によりもう一方の成形面は、UV線を透過しにくい、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
型が、放射線透過性成形面を有する型半に、型において、又は型上に固定、構築又は配置されているマスクを含む、再利用可能な型である(ここで、このマスクは、放射線透過性成形面に比較してUV不透過性であるか、又は少なくともUV透過性が乏しく、そしてこのマスクは、型空洞に至るまで内側に伸び、かつ型空洞を囲むため、型空洞を除いてマスクの背後の全ての領域を遮蔽する)、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
型中のモノマー混合物が、化学線の空間的制限下で約50秒以内の時間照射される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
モノマー混合物が、(1)約10〜約50重量%の親水性アミド型ビニルモノマー;(2)約10〜約40重量%のシロキサン含有アクリレート又はアクリルアミド又はメタクリルアミドモノマー;(3)約10〜約40重量%のポリシロキサン含有ビニルマクロマー;(4)約0.1〜1.3重量%の光開始剤;及び(5)0〜5重量%の重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤を含む(ただし、(1)〜(5)の成分及び任意の追加成分は、合計100重量%になる)、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
請求項1により得られる、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項16】
コンタクトレンズが、好ましくは少なくとも約40barrerの酸素透過度、約2.0MPa以下の弾性率、少なくとも約1.5×10−6mm/分のイオノフラックス拡散係数、D、及び好ましくは約15〜約70%の含水率よりなる群から選択される、少なくとも1つの性質を有する、請求項15に記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項17】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、
ソフトコンタクトレンズを製造するための型を準備する工程(ここで、この型は、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を持つ第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を持つ第2の型半とを有しており、そして該第1及び第2の型半は、該第1及び第2の成形面の間に空洞が形成されるよう相互に受けとめるように構成されている);
レンズ形成材料のモノマー混合物をこの空洞に導入する工程(ここで、モノマー混合物は、少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー、少なくとも1種のシロキサン含有アクリレートモノマー、少なくとも1種のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含み、そしてここで、レンズ形成材料は、約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒以内で硬化する能力を有することを特徴とする);及び
化学線の空間的制限下で型中のレンズ形成材料を約120秒以内の時間照射することにより、レンズ形成材料を架橋してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程(ここで、生産されるコンタクトレンズは、第1の成形面により画定される前面、第2の成形面により画定される反対側の後面、及び化学線の空間的制限により画定されるレンズエッジを含む)
を含む方法。
【請求項18】
化学線の空間的制限に基づく硬化方法によりシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するのに適切なレンズ形成組成物であって;少なくとも1種の親水性アミド型ビニルモノマー;シロキサン含有アクリレート、シロキサン含有アクリルアミド、シロキサン含有メタクリルアミドよりなる群から選択される、少なくとも1種のシロキサン含有ビニルモノマー;及び約0.05〜約1.5重量%の光開始剤を含む(ただし、レンズ形成組成物中の全てのメタクリレートモノマーの総量は、約10重量%未満であり、かつ約4.1mW/cmのUV強度を有するUV光により約100秒未満の時間内で硬化できる特徴をレンズ形成組成物に与えるために充分に低い)、組成物。

【公表番号】特表2012−513042(P2012−513042A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542147(P2011−542147)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/047428
【国際公開番号】WO2010/071691
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】