説明

シリコーン・エラストマーの水分散液を含む化粧品組成物およびその使用方法

本発明は、30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液およびエモリエント系を含有する老化防止組成物および皮膚状態を改善するためのその使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア用化粧品組成物およびその使用方法に関する。特に、本発明は、シリコーン・エラストマーの水分散液を含有する新規化粧品組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる面で若さを持続しようとする中、加齢によるしわの出現を低減するための即効性の治療薬が、強く求められている。薬草抽出物、ビタミン、日焼け止め剤などを取り入れた製品は、老化防止効果をもたらすことによって皮膚状態を改善すると主張されている。即効性の治療法にはしばしば、美容整形手術、Botox(登録商標)注射およびコラーゲン注射を含む。しかし、このような治療法はしばしば、痛みを伴い、また平均的な消費者にとってはあまりにも高価である。そのため、局所的に塗布して、しわの出現を即座に低減してくれるような割りの良いスキンケア製品が未だ求められている。
【0003】
シリコーン・エラストマーは、皮膚軟化作用を生じるようにスキンケア系に組み入れられており、一般的にシリコーンベースの組成物中にある。しかし、ウォーターベースの組成物が、その保湿特性のために、非常に求められている。シリコーン・エラストマーは、エマルジョンの疎水性相に組み入れることができるが、そのような形態においては効果は希釈され得る。さらに、いくつかの方法は、水相内のシリコーン微粒子からなる分散液が皮膚を滑らかにする効果を生じることを示す。しかし、シリコーン・エラストマー粒子は親水性が低いために、均一に分散しづらく、そのためにシリコーン粒子の効果が低減する。さらに、エラストマーは少量で使用されるのみであり、それはエラストマーを高濃度で用いると、系が不安定になり得るためである。特許文献1を参照。したがって、エラストマーによる滑らかにする効果は、比例的に限定される。さらに、シリコーン・エラストマーは疎水性であるために、水性溶媒中にて適当な成分の組合せにより用いられなければ、その皮膚軟化作用は低減し得る。
【特許文献1】米国特許第5,871,761号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、しわの出現を迅速に低減する老化防止製品に対する要求は未だに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液およびエモリエント系を含有する老化防止組成物を提供する。
【0006】
本発明はさらに、30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液およびエモリエント系を含有する組成物を皮膚に塗布することによって、皮膚状態を改善し、しわの出現を低減するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施例および比較例を除いて、または特に明記しない限り、本明細書において材料の量もしくは割合または反応条件、材料の物理的性質および/あるいは使用を示す全ての数値は、「約」という単語によって修飾されているものと理解すべきである。全ての量は、特に明記しない限り、最終組成物の重量に基づく。
【0008】
シリコーン・エラストマーの特定の水分散液は、皮膚に塗布された場合に、軟化作用を有する。軟化という用語は、シリコーン・エラストマーの水分散液を局所的に塗布した後、ヒトの皮膚の手触りが、滑らかにまた柔らかく感じること意味する。このような水分散液は水性媒質中に懸濁され、ウォーターベースの溶液にスキンケア効果をもたらす。しかし、このような分散液は、皮膚に塗布されるとはがれやすく、不安定になる。不安定という用語は、組成物が皮膚に塗布されると、はがれるかまたははがれ落ちることを意味する。具体的には、分散液は塗布されるとはがれ落ちるために、持続的な美容効果をもたらすスキンケア組成物を必要とする消費者にとって、分散液は美学的にまた効果的に魅力のないものである。
【0009】
これらの分散液はこれまで、パーソナルケア組成物中に用いられていたが、しかしこれまでに開示された組成物中に用いられている量は、30重量%を超えないように制限されていた。それはそれより多い量では、エラストマーが大量に存在する場合、組成物は不安定であると考えられ、そのため組成物を皮膚に塗布した際に、皮膚上にて組成物の剥離が見られるということを見出した(下記表2を参照)。しかし、また、水ベースの組成物がもつ固有の性質が、組成物中に用いられている大量の水分散液によって、実質的に増強されることも見出した。特に、30%を超えるエラストマーの水分散液を含有する組成物は、皮膚の様子をなめらかにまたマティファイ(mattify)にするだけでなく、しわを隠すということを、予想外にも見出した。したがって、剥離/不安定性の問題が解消されれば、大量のエラストマー分散液を使用したいという十分な動機が存在する。
【0010】
本発明において驚くべきことに、特定のエモリエント系とシリコーン・エラストマーの水分散液との組合せが、たとえ最終組成物中に比較的大量の分散液が存在していても、当該組成物を安定させるということを見出した。さらに、このような組合せは、局所的に塗布された場合、本明細書中以下の実施例に見受けられるように、ヒト皮膚上のしわの出現を驚くほどまた急速に減じることを見出した。
【0011】
第1の必須要素として、シリコーン・エラストマーの水分散液を、本発明の組成物中に用いる。この水分散液は、硬化したシリコーンゴム粒子の水分散液を含有する。このような分散液は、界面活性剤を含有する水性媒質中にて乳化されたシリコーンゴムの液状オルガノポリシロキサン前駆体の微細な滴中で生じるin situ 架橋反応によって調製される。架橋方法は当業者に一般に知られている方法によって達成することができるが、米国特許第5,871,761号(本明細書中に参照として援用される)に記載されている方法が好ましい。すなわち、分子中のケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2つの水素原子を有する有機水素ポリシロキサンの混合物または組合せである、シリコーンゴムの液状前駆体をまず、撹拌しながら、乳化剤として界面活性剤を含有する水性媒質中において乳化して水性エマルジョンを形成し、これに触媒量の白金化合物を添加して、ヒドロシル化(hydrosilation)反応を触媒し、このヒドロシル化反応が、液状シリコーンゴム前駆体の滴を硬化シリコーンゴムの粒子に変換する。
【0012】
上記アルケニル含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基は、ビニル基またはアリル基であり得るが、ビニル基が好ましい。上記アルケニル基以外のアルケニル含有ジオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合されている有機基は、好ましくは、脂肪族不飽和がなく、場合によって、炭化水素基中の全てまたは一部の水素原子がハロゲン原子によって置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。オルガノポリシロキサンは、液状シリコーンゴム前駆体を硬化シリコーンゴムに変換するために、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するべきである。
【0013】
脂肪族不飽和のない、非置換のまたはハロゲン置換された一価炭化水素基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびオクタデシル基);アリール基(例えば、フェニル基およびトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基および2-フェニルプロピル基);ならびにハロゲン置換されたアルキル基(例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-(ペルフルオロ-n-ブチル) エチル基および2-(ペルフルオロ-n-オクチル) エチル基)を含む。単一種の一価炭化水素基または2種もしくはそれ以上の一価炭化水素基の組合せが、アルケニル含有オルガノポリシロキサン中に存在し得るが、アルケニル基以外の一価炭化水素基の全てまたは少なくとも90モル%がメチル基であり、残りは(もしあれば)フェニル基であることが好ましい。
【0014】
上記アルケニル含有オルガノポリシロキサンと組み合わせられ液状シリコーンゴム前駆体を形成するオルガノ水素ポリシロキサンは、分子中にケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有するべきである。オルガノ水素ポリシロキサン分子中のケイ素原子に結合した有機基は、アルケニル含有オルガノポリシロキサンに関連して上に例示されるような、脂肪族不飽和のない、非置換のまたはハロゲン置換された一価炭化水素基から選択することができる。また、全てまたは少なくとも90モル%の脂肪族不飽和のない一価炭化水素基がメチル基であり、残りは(もしあれば)フェニル基であることが好ましい。アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとオルガノ水素ポリシロキサンとの混合比は、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基対オルガノ水素ポリシロキサン中のケイ素に結合している水素原子のモル比が0.8〜1.2となるようにする。
【0015】
硬化シリコーンゴム粒子中の架橋密度は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基とオルガノ水素ポリシロキサン中のケイ素に結合している水素原子の含有量によって測定され、これはin situ架橋反応によって形成されるシリコーンゴム粒子が、JIS K 6301に特定される手順によって測定した場合に、JIS A基準で10〜90、好ましくは20〜80のゴム硬度を有すことができるように適当に選択すべきである。
【0016】
水分散液中の球形のシリコーンゴム粒子の形状が、アスペクト比(すなわち、長軸対短軸の比)が1.2を超えない、より望ましくは1.1を超えないながらも、可能な限り球形に近づくような条件が望ましい。
【0017】
硬化シリコーンゴム粒子は、シリコーン・エラストマーである。硬化シリコーンゴム粒子の平均粒径は、0.1〜100μm、好ましくは1〜10μmの範囲である。好ましい実施形態において、水分散液は、硬化シリコーンゴム粒子として、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーを含む。好ましい実施形態において、30%以上、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約60%の水分散液が用いられ、分散液の1〜70重量%、好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは60%〜70重量%の量でジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーを含む。
【0018】
上述の通り、シリコーン・エラストマーの水分散液は、オルガノ水素ポリシロキサンの水性エマルジョンの調製に用いられる少なくとも1種の界面活性剤を含む。界面活性剤は、シリコーン・エラストマーの水分散液が添加されるスキンケア用ウォーターベースの組成物からなるベース混合物に含まれる界面活性剤と両立し得る限り、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の性質であり得る。
【0019】
非イオン性界面活性剤の例としては、1.5〜20、好ましくは7〜19の範囲にHLB値を有する、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどを含む。アニオン性界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などを含む。カチオン性界面活性剤の例としては、長鎖アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルアミンハイドロクロリド、アルキルアミンアセテート、長鎖アルキルフェニルジメチルアンモニウムクロリドなどを含む。両性界面活性剤の例としては、N-アシルアミドプロピル-N, N-ジメチルアンモニオベタイン、N-アシルアミドプロピル-N,N’-ジメチル-N’-2-ヒドロキシプロピルアンモニオベタインなどを含む。
【0020】
界面活性剤の量は、シロキサン滴の粒径分布を決定するものであり、すなわち硬化シリコーンゴム粒子の平均粒径を決定するものである。従って、界面活性剤の量は、シリコーンゴム粒子について所望される平均粒径に応じて選択すべきである。好ましい実施形態において、界面活性剤は、非イオン性、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、組成物の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.2重量%〜20重量%、最も好ましくは10重量%〜20重量%の量で用いられる。好ましい非イオン性界面活性剤としては、C12-C14パレス-12が用いられる。
【0021】
本発明において好ましいシリコーン・エラストマーの水分散液は、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー/C12-C14パレス-12/水であり、Shin-Etsu Chemical Co., Ltd より、DC 9509 シリコーン・エラストマー懸濁液の製品名で購入することができる。
【0022】
本発明第二の必須要素は、エモリエント系である。本明細書中において先に述べたように、シリコーン・エラストマーの水分散液は、以下の実施例5に示すように、ウォーターベースの組成物中において高濃度で存在すると一般に不安定である。驚くべきことに、シリコーン・エラストマーの水分散液と共に特定のエモリエントを添加することによって、水分散液が比較的高濃度で用いられた場合でも、組成物を安定にできることが見出された。用いられるエモリエントは、固体であり、皮膚温度付近または皮膚温度における融点(すなわち約37℃)を有する。理論に捉われることなく、このようなエモリエントが一種の塗膜形成要素として作用して、使用者がシリコーン・エラストマーの水分散液を含有する本発明の組成物を、皮膚上に塗布した際に剥離することなく広く塗ることができるようにすると考えられる。さらに、このようなエモリエントが、エラストマーを皮膚上に、水分が蒸発した後も保持する。シリコーンベースのエモリエントは、以下の表3に示すように、両立できない。
【0023】
本発明のエモリエント系は、ペトロラタム、ココアバター、蜜ろうおよびシアバターからなるリストから選択される少なくとも1種のエモリエントを含む。エモリエントは、組成物中の総量が、組成物全体の1重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%、最も好ましくは3重量%〜7重量%となる限り、単独で用いても、任意の組合せで用いても良い。好ましいエモリエント系は、シアバター、ココアバターおよび蜜ろうの組合せを有する。
【0024】
本発明の組成物は必要に応じて、皮膚上で組成物が均一に分布するのを助けるように選択されたフィルム形成剤を含んでも良い。水分散性である任意のフィルム形成剤を用いることができる。好ましい実施形態において、フィルム形成剤は、オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、HDI/トリメチロールヘキシルアセトンクロスポリマー/シリカ、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート、ステアレス-2、ポリソルベート 40、ソルビタントリオレエート、ジメチコーン//ジメチコーン PEG- 10/15クロスポリマー、イソドデカン// PEG-15/ラウリルジメチコーンクロスポリマー、PEG-11 メチルエーテルジメチコーン、ポリグリセリル-3 ジシロキサンジメチコーン、およびPEG-10 ジメチコーンからなる群から選択される。
【0025】
本発明における好ましいフィルム形成剤は、HDI/トリメチロールヘキシルアセトンクロスポリマー/シリカであり、組成物の0.01重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜15重量%、最も好ましくは5重量%〜10重量%の量で存在する。
【0026】
好ましい組成物は、エマルジョンの形態である。好ましい実施形態において、本発明は水中油型エマルジョンの形態であるが、本発明はまた油中水型またはシリコーン中水型エマルジョンの形態であっても良い。好ましい実施形態において、水相は30%〜55%の量で存在する。
【実施例】
【0027】
以下の実施例はさらに、本発明の新規組成物および方法を例示するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0028】
実施例1
以下の組成物は、エマルジョン形態で本発明の組成物を含む好ましい実施形態の一例を提供する。以下の実施例は、下記の組成を用いて実施される。
【0029】


実施例2
以下の臨床研究は、本明細書中上に示される本発明の組成物を使用して実施される。女性の皮膚に対する本発明の組成物の塗布効果について試験する。
【0030】
試験パネルの形成:
本研究への参加に関心のある成人女性を、地元住民より採用する。試験対象者基準および除外基準についての以下の基準は、候補者から得た情報および本研究に関連する顔および手の試験より得られた情報に基づく。
【0031】
試験対象者基準:有効な被験体とみなすためには、各候補は以下のものでなければならない:
−唇の上に中程度〜深いしわがあること;
−調査員に協力する意欲があること;および
−本研究の目的を理解し、有意義な結論を得るために彼女がなすべきことが理解できること。
【0032】
除外基準:面接または試験によって、以下のいずれかが示された場合には、その参加予定者は除外される:
−参加への禁忌徴候を示す全身性疾患;
−本研究に用いられる領域における何らかの皮膚科疾患;
−妊婦または授乳中の母親;
−レチノイド、抗ヒスタミン薬または同様の薬剤の全身的または局所的使用。
【0033】
パネル構成:
パネルは、試験対象者基準および除外基準の項目に示された全ての要件を満たす24名の女性からなる。
【0034】
塗布方法:
彼女たちは、唇の上の領域に一日2回(朝と晩)に本製品を塗布するように指示される。試験日には、彼女たちは測定がなされる少なくとも12時間前には本製品を塗布しない。製品の使用は日ごとに管理し、本研究の終わりにパッケージの内容量を調べる。
【0035】
臨床試験の方法:
本試験は、2ヶ月間の製品使用からなる制御された試験である。試験部位は唇の上である。上記女性らは、与えられた試験製品を除いて、試験部位へのいずれの治療製品の使用も控える。皮膚の評価は、処理前(基準)、ならびに処置過程における1、4および8週目に実施する。
【0036】
皮膚の弾力
皮膚の弾力は、唇の上にて皮膚弾力計(Ballistometer)を用いて調べる。皮膚弾力計は、皮膚表面における硬い物質の跳ね返りを測定することによって、皮膚の動的性質を調べる器具である。非常に軽量(1〜5g)の振り子を皮膚表面に落とし、コンピューターによって振り子の跳ね返りパターンを測定することによって、皮膚の弾力性を測定する。プローブが皮膚表面に当たると、落下物の運動エネルギーが皮膚内に蓄えられ、その後そのエネルギーが放出され、最初の開始位置よりも低い高さにプローブを跳ね返す。振り子と皮膚間の相互作用を特徴付けるために、最初の跳ね返りの振幅における差異を分析する。
【0037】
皮膚のリフティング
皮膚のリフティングは、Dermascan C(登録商標)超音波計測器(Cortex Technology, Hadsund, Denmark)を用いて測定する。Bモードにてパルス出力20MHzを選択し、2次元の皮膚断面像を得る。テンプレートおよび1mmのゲルレイヤーを用いて、各試験より得られた画像の再現性を確実にする。各試験(visit)にて、唇上から2つの画像を得る。内臓された画像分析プログラムで、真皮の密度を算出する。
【0038】
しわ(Line & Wrinkle)
しわの減少は、近接写真を撮影することによって、評価および立証する。唇上の領域の写真はFuji S2デジタルカメラで撮影する。パネリストの頭部を、ヘッドレストに固定して、位置の再現性を確実にする。カメラは、比率1:3、Fストップ32に設定する。写真は、画像分析プログラム(Optimas 6.51)によって、製品の使用前後を比較することによって評価する。微細なしわは、製品の使用前後における積分光学密度(Integrated Optical Density:IOD)の変化を調べることによって評価する。IODの減少は、微細なしわの減少を示し、逆に、IODの増加は、微細なしわの増加を示す。
【0039】
結果:
【表1】

【0040】
上記表1に示すように、本発明の組成物は、製品の使用から1、4および8週間後に、皮膚弾力、皮膚リフティングおよびしわを改善した。特に、この試験結果は、本発明の組成物によって、処理前に比べて製品使用から8週後において、皮膚弾力が平均27%、皮膚リフティングが平均45%改善され、またしわが平均41%減少したことを示す。
【0041】
実施例3
以下の実施例は、市販の組成物中の様々な量の分散シリコーン・エラストマーの安定性についての結果を表2に提供する。以下に示されるように、組成物は、分散シリコーン・エラストマーの濃度が30%に達する場合、不安定である。
【表2】

【0042】
実施例4
以下の表は、様々なエモリエント系を含有する本発明の組成物を示す。表3は、いずれのバッファーも含有しない本発明の組成物の結果を示す。以下に示すように、本発明の組成物は、エモリエントなどバッファーの非存在下では、40%およびそれ以上の分散シリコーン・エラストマーの存在下にて不安定である。表4は、エモリエントとしてメチルトリメチコーンを含有する本発明の組成物を示す。以下に示すように、エモリエントとしてメチルトリメチコーンを含有する本発明の組成物は、40%およびそれ以上の分散シリコーン・エラストマーの存在下にて不安定である。表5は、エモリエントとしてココ-カプリレート/カプレートを含有する本発明の組成物を示す。以下に示すように、エモリエントとしてココ-カプリレート/カプレートを含有する本発明の組成物は、40% およびそれ以上の分散シリコーン・エラストマーの存在下にて不安定である。表6は、ある種のバッファーおよびワックスからなる、本発明のエモリエント系を含有する本発明の組成物を示す。以下に示すように、本発明のエモリエント系を含有する本発明の組成物は、80%の分散シリコーン・エラストマーまで安定である。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液;および
エモリエント系、
を含む、老化防止組成物。
【請求項2】
シリコーン・エラストマー分散液が30重量%超〜80重量%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン・エラストマーの水分散液が、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー/C12-14パレス-12/水である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
老化防止組成物がさらに、水分散性エラストマーであるフィルム形成剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
フィルム形成剤が、グリセリルオレエート/プロピレングリコール、HDI/トリメチロールヘキシルアセトンクロスポリマー/シリカ、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート、ステアレス-2、ポリソルベート 40、ソルビタントリオレエート、ジメチコーン//ジメチコーン PEG- 10/15クロスポリマー、イソドデカン//PEG-15/ラウリルジメチコーンクロスポリマー、PEG-11 メチルエーテルジメチコーン、ポリグリセリル-3 ジシロキサンジメチコーンおよびPEG-10 ジメチコーンからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
エモリエント系が、固体でありかつ皮膚温度に融点を持つ、少なくとも1種のエモリエントを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
エモリエントが、ペトロラタム、ココアバター、蜜ろうおよびシアバターからなる群から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
しわが生じるのを減じるための方法であって、
30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液、および
エモリエント系、
を含む組成物を、皮膚に塗布することを含む、上記方法。
【請求項9】
シリコーン・エラストマーの分散液が、30重量%超〜80重量%の量で存在する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
シリコーン・エラストマーの水分散液が、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー/C12-14パレス-12/水である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
老化防止組成物がさらに、水分散性エラストマーであるフィルム形成剤を含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
フィルム形成剤が、オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、HDI/トリメチロールヘキシルアセトンクロスポリマー/シリカ、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート、ステアレス-2、ポリソルベート 40、ソルビタントリオレエート、ジメチコーン//ジメチコーン PEG- 10/15クロスポリマー、イソドデカン//PEG-15/ラウリルジメチコーンクロスポリマー、PEG-11 メチルエーテルジメチコーン、ポリグリセリル-3 ジシロキサンジメチコーン、およびPEG-10 ジメチコーンからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
エモリエント系が、固体でありかつ皮膚温度に融点を持つ、少なくとも1種のエモリエントを含む、請求項8記載の方法。
【請求項14】
エモリエントが、ペトロラタム、ココアバター、蜜ろうおよびシアバターからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
皮膚状態を改善するための方法であって、
30重量%を超えるシリコーン・エラストマーの水分散液、および
エモリエント系、
を含む組成物を、皮膚に塗布することを含む、上記方法。
【請求項16】
シリコーン・エラストマーの分散液が、30重量%超〜80重量%の量で存在する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
シリコーン・エラストマーの水分散液が、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー/C12-14パレス-12/水である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
老化防止組成物がさらに、水分散性エラストマーであるフィルム形成剤を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
フィルム形成剤が、オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、HDI/トリメチロールヘキシルアセトンクロスポリマー/シリカ、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート、ステアレス-2、ポリソルベート 40、ソルビタントリオレエート、ジメチコーン//ジメチコーン PEG- 10/15クロスポリマー、イソドデカン//PEG-15/ラウリルジメチコーンクロスポリマー、PEG-11 メチルエーテルジメチコーン、ポリグリセリル-3 ジシロキサンジメチコーン、およびPEG-10 ジメチコーンからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
エモリエント系が、固体でありかつ皮膚温度に融点を持つ、少なくとも1種のエモリエントを含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
エモリエントが、ペトロラタム、ココアバター、蜜ろうおよびシアバターからなる群から選択される、請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2008−538765(P2008−538765A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507732(P2008−507732)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013958
【国際公開番号】WO2006/115816
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】