説明

シーソーボタン構造

【課題】 ボタンの両端部のうち一方を押圧操作してもその反対側の端部が手前側に突出せず、かつボタン周縁とその周囲を囲む枠との間の隙間を小さくすることができるシーソーボタン構造を提供する。
【解決手段】 特定方向の両端部が押圧操作されるボタン20を支持する支持部材30における上記両端部に対応する位置に軸心方向が上記押圧操作方向及び特定方向と直交するピン36aをそれぞれ設ける。上記ボタン20の上記ピン36aに対応する位置にピン36aが摺動可能に嵌合する長孔25aを上記押圧操作方向に延びるようにそれぞれ設ける。さらにボタン20を上記押圧操作方向と反対方向に付勢する付勢手段を設け、非操作状態では当該付勢手段によってボタン20が付勢されることによりピン36aが長孔25aの一端側に位置しており、ボタン20の両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピン36aを支点として付勢手段の付勢力に抗してボタン20が揺動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーソースイッチ等に利用されるシーソーボタンの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シーソーボタンの構造としては、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。このシーソーボタンでは、特定方向の両端部が押圧操作されるボタンが用いられ、その特定方向中央部が、軸心方向がボタンの長手方向及び押圧操作方向に略直交するピンを介して支持部材に支持されている。そして、上記ボタンの両端部のうち一方を押圧操作することにより、上記ピンを支点としてボタンが揺動して、押圧操作された方の端部が当該押圧操作方向に変位するようになっている。
【特許文献1】特開平5−41141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このシーソーボタンにおいては、シーソーボタンの美的な外観を向上させるために、ボタンを操作パネルの中に埋め込んでボタン周縁を枠で囲むとともに、ボタンの表面と操作パネルの表面とが略同一平面上に位置するようにすることが行われている。
【0004】
しかし、ボタンの特定方向中央部を支持する構造では、ボタンの両端部のうち一方を押圧操作すると、それと反対側の端部が手前側に突出してしまい、美観を損ねることになる。
【0005】
また、この構造では、ボタンを押圧操作すると、ボタンの両端部は支点を中心とする円弧状の軌跡を描くので、支点がボタンの表面からボタンの厚み以上に奥側に位置する場合には押圧操作された方の端部の表面側部分が、支点がボタンの厚み内に位置する場合は押圧操作された方の端部の表面側部分及び押圧操作された方の端部と反対側の端部の裏面側部分が、その特定方向において支点から遠ざかるように移動する。そのため、押圧操作された方の端部とその外側の枠との間の隙間が小さくなるので、当該端部と枠との干渉を防ぐためにボタン周縁とその外側の枠との間の隙間をある程度確保しておく必要があり、美観が劣る要因となっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、ボタンの両端部のうち一方を押圧操作してもその反対側の端部が手前側に突出せず、かつボタン周縁とその周囲を囲む枠との間の隙間を小さくすることができるシーソーボタン構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、特定方向の両端部が選択的に押圧操作されるボタンが支持部材に支持され、上記ボタンの両端部のうち一方を押圧操作することにより、その押圧操作された方の端部が当該押圧操作方向に変位するシーソーボタン構造において、上記ボタンと支持部材の一方には、軸心方向が上記特定方向及び押圧操作方向に略直交するピンが上記ボタンの両端部に対応する位置にそれぞれ設けられ、他方には、上記ピンが摺動可能に嵌合する長孔が上記押圧操作方向と略平行な方向に延びるように上記ピンに対応する位置にそれぞれ設けられ、この長孔に上記ピンがそれぞれ嵌合することによりボタンが支持部材に支持されており、さらに上記ボタンを上記押圧操作方向と反対方向に付勢する付勢手段が設けられ、上記ボタンはこの付勢手段に付勢されて、非操作状態で上記ピンが上記長孔の一端側に位置するようになっており、上記ボタンの両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピンを支点として上記付勢手段の付勢力に抗してボタンが揺動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシーソーボタン構造において、上記両長孔は、上記ボタンが非操作状態にあるときに反対側の長孔に嵌合しているピンの位置を中心とする円弧状になっていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のシーソーボタン構造において、上記ボタン及び支持部材には、ボタンの両端部が同時に押圧操作されたときまたは両端部の中央が押圧操作されたときに、当該ボタンが揺動せずにボタン全体がその押圧操作方向に平行移動することを防止する誤操作防止手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のシーソーボタン構造において、上記誤操作防止手段は、上記ボタン及び支持部材の一方において、上記ボタンの両端部の略中央に対応する位置に設けられた案内部と、他方に設けられて上記案内部に案内される被案内部とを有し、上記案内部は、上記ボタン全体が押圧操作方向に平行移動するのを阻止するように上記被案内部の動きを規制し、かつ、ボタンの揺動に伴う被案内部の動きは許容するように当該被案内部を案内することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ボタンの特定方向の両端部に対応する位置のそれぞれにピンが設けられ、この双方のピンを介してボタンが支持部材に支持されており、ボタンの両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピンを支点としてボタンが揺動するように構成されているので、ボタンの押圧操作する側と反対側の端部が手前側に大きく突出することがない。
【0012】
また、押圧操作する側と反対側のピンを支点としてボタンが揺動するので、ボタンの中央部を支持する従来構造と比べ、押圧操作された方の端部の揺動半径を大きくすることができるとともに、ボタンが揺動する角度を小さくすることができる。従って、ボタンを押圧操作したときの上記特定方向における押圧操作された方の端部の移動距離が小さくなるとともにボタンの揺動軌跡が押圧操作方向と平行な直線に近づくことになり、ボタンを操作パネル等に埋め込んだ場合でも、ボタン周縁とボタンを囲む枠との間の隙間を小さくすることができ、シーソーボタンの美観を向上させることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記双方のピンがそれぞれ嵌合する両長孔は、ボタンが非操作状態にあるときに反対側の長孔に嵌合しているピンの位置を中心とする円弧状になっているので、ピンの外周面と長孔の内周面との間のクリアランスを極力小さくすることができる。例えば、長孔の形状を上記のように円弧状でなく直線状とした場合には、ボタンの揺動を可能とするために上記クリアランスを若干大きくする必要があり、そのクリアランス分ボタンに遊びが生じることになるが、長孔の形状を円弧状にすれば上記クリアランスを極力小さくしてもボタンの揺動を可能とすることができ、ボタンの遊びを抑制することができる。従って、ボタン周縁の隙間を略均一に保って美観を向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、誤操作防止手段が設けられているので、ボタン全体が押圧操作方向に平行移動することを確実に防止することができる。例えば、シーソーボタンは、相反する操作を行うボタンとして採用されることが多く、ボタン全体が押圧操作方向に平行移動すると、相反する操作信号が同時に出力されるおそれがあるため、このような誤操作の防止に有効である。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、一方に案内部、他方に被案内部を設けるだけの簡単な構成で、ボタン全体が押圧操作方向に平行移動することを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2に、本発明のシーソーボタン構造を採用したシーソーボタン10が配設された操作パネル1を示す。この操作パネル1は、どのような姿勢で設置されていてもかまわないが、本実施形態では説明の便宜のため操作パネル1が立直した姿勢で設置されているものとして説明する。
【0018】
上記操作パネル1は、操作パネル1の本体を構成するパネル部材30と、このパネル部材30に設けられる操作部2と、上記パネル部材30の裏面側に配設されるプリント回路基板50とを備えている。上記プリント回路基板50にはスイッチ回路が形成され、このスイッチ回路が上記操作部2の操作によって開閉されるようになっている。
【0019】
この操作部2は、図例では円形の全体形状をなしており、中央に位置する円形状のボタン3と、このボタン3の上下に位置する円弧状のボタン4と、ボタン3の左右に位置する円弧状のボタン20とで構成されている。
【0020】
これらのボタン3,4,20は、上記パネル部材30の所定位置に設けられた凹部32内に配設されている。この凹部32は、上記パネル部材30のパネル表面30aから円形状に窪んでおり、この凹部32内に上記ボタン3,4,20が嵌め込まれることにより、これらのボタン3,4,20の表面が上記パネル表面30aと略同一面上に位置する状態で当該ボタン3,4,20がパネル部材30に支持されている。
【0021】
なお、上記凹部32の内周面とパネル表面30aとで挟まれるコーナー部には、当該コーナー部を縁取るリング状の枠体5が配設されており、操作部2の美観を向上させるようになっている。また、この実施の形態では、上記各ボタン3,4,20及びパネル部材30が全てABS等の合成樹脂により成形されている。
【0022】
上記ボタン3,4,20のうち、円形状のボタン3及びボタン3の上下に位置する円弧状のボタン4はそれそれ単純な押しボタンを構成し、ボタン3の左右に位置する円弧状のボタン20がそれぞれ上記シーソーボタン10を構成している。
【0023】
この実施の形態では、各ボタン20にそれぞれ対応してプリント回路基板50上に上下一対の接点部52が設けられており、上記ボタン20の上端部または下端部が択一的に押圧操作されることにより、その押圧操作力が上記パネル部材30に保持された支柱40を介していずれかの接点部52に伝えられ、これにより当該接点部52が切替操作されるようになっている。
【0024】
上記各接点部52は、上記押圧操作方向に移動可能な可動部52aを有し、この可動部52aの裏面に可動接点が、上記プリント回路基板50上に固定接点がそれぞれ設けられている。さらに、この接点部52は上記可動部52aを上記押圧操作方向と逆の方向に付勢する(すなわち両接点を離間させる状態に保持する)付勢手段を内蔵している。
【0025】
一方、上記ボタン20の裏面には図4に示すような周壁22が立設されており、この周壁22から上下両側にそれぞれ突出部25が突設されている。そして、これら突出部25と上記接点部52の可動部52aとの間にそれぞれ上記支柱40が介設されており、上記ボタン20の上端部または下端部が押圧操作されると、その押圧操作力が上記突出部25及びこれに当接する支柱40を介して上記接点部52の可動部52aに伝えられ、これにより当該接点部52のもつ付勢手段の付勢力に抗して当該接点部52の接点が閉じるようになっている。
【0026】
換言すれば、上記ボタン20の両突出部25は上記各接点部52に内蔵された付勢手段から上記支柱40を介して互いに均等な反力を受ける状態となっており、その反力により、上記ボタン20が操作を受けていない非操作状態では、当該ボタン20がその押圧操作方向と反対方向(図2では右方向)に上下均等に付勢されて図2に示すような中立位置に保持されるようになっている。
【0027】
なお、上記付勢手段としては、バネ等を採用することも可能であるが、接点部52の構成を、固定接点を弾性体で覆うようにするとともに弾性体の内側面に可動接点を設けるようにすれば、当該弾性体を付勢手段とすることも可能である。
【0028】
次に、上記ボタン20及び支柱40をパネル部材30側に支持するための具体的な構造について説明する。
【0029】
上記パネル部材30の凹部32の底壁32aには、この底壁32aを肉厚方向に貫く形状の筒状部35が形成されており、この筒状部35内に上記支柱40がその軸方向(すなわち押圧操作方向)に摺動可能に保持されている。そして、この筒状部35の手前側端部(ボタン20に近い側の端部)から左右一対の挟持部36が延長されており、これらの挟持部36がボタン20側の上記突出部25をそれぞれ挟持することにより、上記パネル部材30に対する上記ボタン20の左右方向の移動が規制されている(図6参照)。
【0030】
上記各挟持部36の内側面には、互いに対向するピン36aが突設されている。これらのピン36aの軸心方向は、上記押圧操作方向と略直交する方向(図1の左右方向)を向いている。これに対して上記ボタン20の突出部25にはそれぞれ当該突出部25を左右方向(図2では奥行き方向)に貫通する長孔25aが設けられており、これらの長孔25a内に上記ピン36aが嵌め込まれている。
【0031】
ここで、上記両長孔25aの形状は、概略的には上記押圧操作方向と略平行な方向に延びる形状となっている。この実施の形態では、ボタン20が上記非操作状態にあるとき、すなわち上記各ピン36aが各長孔25aの奥側端部(プリント回路基板50に近い側の端部)にあるときに、一方の長孔25aが他方の長孔25a内に嵌入されているピン36aを中心とする円弧状となるように両長孔25aの形状が設定されている。
【0032】
そして、ボタン20の上下両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピン36aを支点として付勢手段の付勢力に抗してボタン20が揺動し、上記ピン36aが上記長孔25a内を摺動する距離内で押圧操作された方の端部が変位するようになっている。
【0033】
さらに、本実施形態では、ボタン20の上下両端部が同時に押圧操作されたときまたは両端部の中央が押圧操作されたときに、当該ボタン20が揺動せずにボタン20全体がその押圧操作方向に平行移動することを防止する誤操作防止手段60が設けられている。
【0034】
この誤操作防止手段60は、パネル部材30に設けられた案内部62と、ボタン20に設けられて上記案内部62に案内される被案内部64とを有している。
【0035】
具体的に、上記ボタン20側においては、図4に示すように、上記周壁22の左右両側部からプリント回路基板50側(図4(c)では手前側)に延在部23が延長されており、これら延在部23の内側面にそれぞれ上記被案内部64が設けられている。
【0036】
これらの被案内部64は、上記ボタン20の上下両端部の略中央に対応する位置に形成されている。各被案内部64は互いに対向するように突出する略円柱状をなしており、その外周面がプリント回路基板50側に少し突出して突出端64aを形成している(図3参照)。
【0037】
一方、図5に示すように、パネル部材30の凹部32の底壁32aには、上記ボタン20の中央部裏側に位置する筒状部33が形成されるとともに、この筒状部33に対して左右に隣接する位置に上記底壁32aを貫通する矩形状の貫通孔34がそれぞれ設けられており、これらの貫通孔34を通じて上記ボタン20の延在部23が上記底壁32aの裏側(図5(b)では左側)に突出することが可能となっている。
【0038】
そして、この底壁32aの裏面から、上記筒状部33の左右方向の内周面と連続する壁面を構成する一対の舌片37が突出しており、この舌片37に板厚方向の貫通孔37aが形成されることにより、上記案内部62が設けられている。
【0039】
上記貫通孔37aは、上記舌片37が突出する向きと逆向きの略ハート形をなしており、図3に示すように、この貫通孔37aの内周面のうちボタン20側に向かって内向きに突出する部分が上述した被案内部64を案内する案内部62となっている。この案内部62は、その突出部分の頂点62bを境として左右に広がる案内面62aを有している。
【0040】
そして、図7に示すように、上記ボタン20の突出部23が上記パネル部材30の貫通孔34から底壁32aの裏面側に突出して、被案内部64が舌片37に形成された貫通孔37a内に挿入されるようになっている。
【0041】
上記案内部62及び被案内部64の形状は次の条件を満たすように設定されている。
【0042】
a)ボタン20が非操作状態にあるときには、図3に示すように、上記案内部62の頂点62bが上記被案内部64の突出端64aと対向し、この状態からボタン20全体が押圧操作方向に平行移動しようとするときには、上記被案内部64の突出端64aと案内部62の頂点62bとが当接することで案内部62が被案内部64の動きを規制して上記平行移動を阻止する。
【0043】
b)ボタン20が上記平行移動以外の動作をするときは、上記被案内部64の突出端64aと案内部62の頂点62bの位置がずれることにより、被案内部64の突出端64aが案内部62の案内面62a上を摺動して上記突出端64aが案内される方向と反対側に揺動するようにボタン20を導く。
【0044】
次に、このシーソーボタン10の作用を説明する。
【0045】
図2に示す中立位置からボタン20の上下両端部のうち一方を押圧操作すると、図8に示すように、押圧操作された方の端部は、上記付勢手段の付勢力に抗して変位するが、押圧操作された方と反対側の端部は、付勢手段によって付勢されているとともに上記長穴25aの形状により変位することが拘束されるので、当該ボタン20は、押圧操作する側と反対側のピン36aを支点として揺動する。
【0046】
なお、ボタン20の上下両端部を押圧操作する際には、必ずしも端部を押圧操作する必要はなく、上下両端部の中央からどちらか寄りの部分を押圧操作すればよい。
【0047】
そして、押圧操作する側に位置する支柱40が、上記ボタン20の変位に伴って移動し、接点部52の可動部52aを押圧して、プリント回路基板30に形成されたスイッチ回路の開閉が行われる。
【0048】
押圧操作を解除すれば、接点部52の付勢手段により可動部52が元の位置に復帰し、それに伴って支柱40が移動してボタン20の押圧操作された方の端部を押すことによりボタン20が元の状態に復帰する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、ボタン20の上下両端部に対応する位置のそれぞれにピン36aが設けられ、この双方のピン36aを介してボタン20がパネル部材30に支持されており、ボタン20の両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピン36aを支点としてボタン20が揺動するように構成されているので、ボタン20の押圧操作する側と反対側の端部が手前側に大きく突出することがない。
【0050】
また、押圧操作する側と反対側のピン36aを支点としてボタン36aが揺動するので、ボタンの中央部を支持する従来構造と比べ、押圧操作された方の端部の揺動半径を大きくすることができるとともに、ボタン20が揺動する角度を小さくすることができる。従って、ボタン20を押圧操作したときの上下方向における押圧操作された方の端部の移動距離が小さくなるとともにボタン20の揺動軌跡が押圧操作方向と平行な直線に近づくことになり、ボタン20周縁と枠体5との間の隙間を小さくすることができ、シーソーボタン10を含んだ操作部2の美観を向上させることができる。
【0051】
なお、ボタン20の揺動軌跡が押圧操作方向と平行な直線に近づくことになるので、ボタン20を押圧操作したときの支柱40に作用する軸心方向以外の荷重を小さくすることができ、支柱40や支柱40をガイドしている部分等の損傷を抑制することができる。
【0052】
また、上記両長孔25aは、ボタン20が非操作状態にあるときに反対側の長孔25aに嵌合しているピン36aの位置を中心とする円弧状になっているので、ピン36aの外周面と長孔25aの内周面との間のクリアランスを極力小さくすることができる。例えば、長孔25aの形状を上記のように円弧状でなく直線状とした場合には、ボタン20の揺動を可能とするために上記クリアランスを若干大きくする必要があり、そのクリアランス分ボタン20に遊びが生じることになるが、長孔25aの形状を円弧状にすれば上記クリアランスを極力小さくしてもボタン20の揺動を可能とすることができ、ボタン20の遊びを抑制することができる。従って、ボタン20周縁の隙間を略均一に保って美観を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、誤操作防止手段60が設けられているので、ボタン20全体が押圧操作方向に平行移動することを確実に防止することができる。例えば、シーソーボタン10は、相反する操作を行うボタンとして採用されることが多く、ボタン20全体が押圧操作方向に平行移動すると、相反する操作信号が同時に出力されるおそれがあるため、このような誤操作の防止に有効である。
【0054】
具体的に、この実施の形態ではパネル部材30に案内部62、ボタン20に被案内部64を設けるだけの簡単な構成で、ボタン20全体が押圧操作方向に平行移動することを確実に防止することができる。
【0055】
上述した実施形態では、パネル部材30にピン36a、ボタン20に長孔25aを設けた形態を示したが、パネル部材30に長孔25a、ボタン20にピン36aを設けるようにしてもよい。また、案内部62及び被案内部64についても同様に逆に構成することも可能である。
【0056】
誤操作防止手段60については、必ずしも案内部62及び被案内部64で構成されている必要はなく、例えばボタン20の裏面側にボタン20の上下両端部の略中央に対応する位置にバーを配設し、上記中央部分におけるボタン20が揺動する際の変位以上の変位を規制するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、複数のボタンからなる操作部2にシーソーボタン10を配設した形態を示したが、この形態に限らず、シーソーボタン10を単体で配設する際にも本発明のシーソーボタン構造を採用することは可能である。
【0058】
さらに、ボタン20の形状は、上記実施形態で示したように円弧状である必要はなく、円形状あるいは矩形状とすることも可能であり、選択的に押圧操作される端部も長手方向に限らず短辺方向とすることも可能である。
【0059】
なお、ボタン20の周壁22及びパネル部材30の筒状部33はなくてもかまわない。
【0060】
また、上記実施形態では、ボタン20とプリント回路基板50との間に支柱を介在させた形態を示したが、支柱40は省略することも可能である。
【0061】
さらに、付勢手段は、接点部52に設けられている必要はなく、ボタン20とパネル部材30の底壁32aとの間に設けることも可能である。
【0062】
なお、長孔25aの内周面とピン36aの外周面との間のクリアランスを極めて小さくすることによっても、ボタン20が揺動せずにボタン20全体がその押圧操作方向に平行移動することを防止することができる。この場合には、誤操作防止手段60を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のシーソーボタン構造を採用したシーソーボタンが配設された操作パネルの正面図である。
【図2】図1におけるI−I線断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明に係るボタンを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は下面図である。
【図5】本発明に係る支持部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)におけるII−II線断面図である。
【図6】図2におけるIII矢視から見たときのボタンと支持部材との関係を示す断面図である。
【図7】図2におけるIV矢視から見たときのボタンと支持部材との関係を示す断面図である。
【図8】ボタンを押圧操作したときの図1におけるI−I線断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 操作パネル
5 枠体
10 シーソーボタン
20 ボタン
23 延在部
25 突出部
25a 長孔
30 パネル部材(支持部材)
35 筒状部
36 挟持部
36a ピン
37 舌片
40 支柱
50 プリント回路基板
52 接点部
60 誤操作防止手段
62 案内部
62a 案内面
64 被案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向の両端部が選択的に押圧操作されるボタンが支持部材に支持され、上記ボタンの両端部のうち一方を押圧操作することにより、その押圧操作された方の端部が当該押圧操作方向に変位するシーソーボタン構造において、
上記ボタンと支持部材の一方には、軸心方向が上記特定方向及び押圧操作方向に略直交するピンが上記ボタンの両端部に対応する位置にそれぞれ設けられ、他方には、上記ピンが摺動可能に嵌合する長孔が上記押圧操作方向と略平行な方向に延びるように上記ピンに対応する位置にそれぞれ設けられ、この長孔に上記ピンがそれぞれ嵌合することによりボタンが支持部材に支持されており、
さらに上記ボタンを上記押圧操作方向と反対方向に付勢する付勢手段が設けられ、上記ボタンはこの付勢手段に付勢されて、非操作状態で上記ピンが上記長孔の一端側に位置するようになっており、
上記ボタンの両端部のうち一方を押圧操作すると、押圧操作する側と反対側のピンを支点として上記付勢手段の付勢力に抗してボタンが揺動するように構成されていることを特徴とするシーソーボタン構造。
【請求項2】
上記両長孔は、上記ボタンが非操作状態にあるときに反対側の長孔に嵌合しているピンの位置を中心とする円弧状になっていることを特徴とする請求項1に記載のシーソーボタン構造。
【請求項3】
上記ボタン及び支持部材には、ボタンの両端部が同時に押圧操作されたときまたは両端部の中央が押圧操作されたときに、当該ボタンが揺動せずにボタン全体がその押圧操作方向に平行移動することを防止する誤操作防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシーソーボタン構造。
【請求項4】
上記誤操作防止手段は、上記ボタン及び支持部材の一方において、上記ボタンの両端部の略中央に対応する位置に設けられた案内部と、他方に設けられて上記案内部に案内される被案内部とを有し、
上記案内部は、上記ボタン全体が押圧操作方向に平行移動するのを阻止するように上記被案内部の動きを規制し、かつ、ボタンの揺動に伴う被案内部の動きは許容するように当該被案内部を案内することを特徴とする請求項3に記載のシーソーボタン構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−40614(P2006−40614A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215650(P2004−215650)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】