説明

シート受け機構および画像形成装置

【課題】シートの積載数に対する制限が緩和されたシート受け機構を提供する。
【解決手段】排紙部37は、シート受け部51、凸部52およびシート押さえ部材53を備える。シート受け部51には、排紙口39から排出される用紙7が積載される。凸部52は、シート受け部51において、用紙7の厚み方向に突出する。シート押さえ部材53は、シート押さえ部541および542を備える。シート押さえ部541および542はそれぞれ、前後方向において凸部52を挟む2箇所で、シート受け部51上の用紙7をシート受け部51に向けて押さえる。シート押さえ部541および542は、用紙7の厚み方向に揺動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に適用可能なシート受け機構に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置では、印字後に排紙口から排出されたシートを受け取る、シート排出トレイが設けられる。シート排出トレイ上に排出されたシートは、例えば水分の蒸発が原因で、カールすることがある。その場合、カールしたシートが、排紙口からのさらなるシートの排出を妨げてしまう。
【0003】
特許文献1のインクジェット記録装置は、排出トレイと、排出ガイドとを備える。排出トレイは、幅方向(水平かつシートの搬送方向に垂直な方向)において中央付近で上側に凸となるように屈曲している。排出ガイドは、シートの厚み方向において排出トレイとの間に所定の間隔をおいて配置されている。排出ガイドは、シートの搬送方向に延びる形状で、幅方向において排出トレイの両側に固定されている。
【0004】
特許文献1には、この排出トレイに排出されたシートは、インクの乾燥に伴って、上方向にカールしようとするが、排出ガイドによってカールが阻止されると記載されている。また、特許文献1には、排出トレイの中央付近が上側に凸となるように屈曲していることにより、シートは上側に凸になった状態で乾燥するので、シートのカール発生が抑制される旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−193163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の排出ガイドは、排出トレイに対する位置が固定されているので、ユーザにとってはシートを取り出しにくいという問題がある。また、排出トレイ上に積載可能なシートの数も制限される。さらに、排出ガイドが幅方向において排出トレイの両端に設けられているので、適用できるシートは幅方向においてある程度の大きさを有するものに限られる。小さいシートに対応しようとすると、幅方向における排出ガイドの大きさを大きくしなければならず、排出トレイからシートを取り出すことがさらに難しくなる。
【0007】
本発明の課題は、シートの積載数に対する制限が緩和されたシート受け機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合わせることができる。
【0009】
本発明の一見地に係るシート受け機構は、シートを排出する装置に対して設けられるシート受け機構であって、シート受け部、凸部およびシート押さえ部材を備える。シート受け部には、排出されるシートが積載される。凸部はシート受け部に設けられ、シートの厚み方向に突出する。シート押さえ部材はシート押さえ部を備えている。シート押さえ部は、シートの排出方向に交差する第1方向において凸部を挟む少なくとも2箇所において、シートをシート受け部に向けて押さえる。また、シート押さえ部は、シートの厚み方向に揺動可能である。
【0010】
このシート受け機構において、シートは、凸部とシート押さえ部とによって凸形形状に保持されることで、第1方向におけるシートの両端の高さが抑えられる。また、シート押さえ部は、シートの厚み方向に揺動できるので、シートの積載数が多いときにはシート受け部から離れる方向へ移動し、シートの積載数が少ないときにシート受け部に近づく方向に移動することができる。従って、シート受け機構は、シートの積載数の変動にも対応することができる。さらに、シート受け部上に積載されたシートが取り出されるときに、シート押さえ部がシート受け部から離れる方向へ移動することで、ユーザはシートを容易に取り出すことができる。
【0011】
シート押さえ部材は、第1端を中心に第2端が回転可能に設けられており、シート押さえ部が第2端に設けられていてもよい。これによって、簡易な構成によってシート押さえ部が揺動可能に設けられる。
【0012】
凸部は、第1方向におけるシート受け部の中央部に設けられてもよい。これによって、第1方向におけるサイズが互いに異なるシートも、凸部によって、上方向に凸になるように保持される。
【0013】
1つのシート押さえ部材に2つ以上のシート押さえ部が設けられてもよい。また、シート受け機構が2つ以上のシート押さえ部材を備えてもよい。
【0014】
シート押さえ部材は、シート受け部に対して、シートの排出方向の上流端寄りに配置されていてもよい。これによって、シート押さえ部は、シートの排出方向におけるサイズが異なるシートであっても、押さえることができる。
【0015】
また、シート受け機構は、画像形成装置に適用可能である。画像形成装置は、筐体、画像形成部、シート搬送部、シート受け部、凸部、およびシート押さえ部材を備える。筐体は、シートを排出する排紙口を備える。画像形成部は、筐体内に配置され、シート上に画像を形成する。シート搬送部は、画像が形成された後のシートを、排紙口を介して筐体外に排出する。シート受け部は、シート搬送部によるシートの排出方向において排紙口の下流に配置される。この配置によって、シート受け部には排出されるシートが積載される。凸部は、シート受け部に設けられ、シートの厚み方向に突出する形状である。シート押さえ部材は、シートの排出方向に交差する第1方向において凸部を挟む少なくとも2箇所でシートをシート受け部に向けて押さえるシート押さえ部を備える。シート押さえ部は、シートの厚み方向に揺動可能に設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシート受け機構において、シートは、凸部とシート押さえ部とによって、上方向に突出する凸形形状に保持される。つまり、シート受け部上で、第1方向におけるシートの両端の高さが抑えられる。また、シート押さえ部が、シートの厚み方向に移動可能であることで、シートの積載数の変動にも対応することができる。さらに、シート受け部上に積載されたシートが取り出されるときに、シート押さえ部がシートの厚み方向に移動することで、ユーザはシートを容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置全体の模式図。
【図2】第1実施形態に係る排紙部の構成を模式的に示す正面図。
【図3】第1実施形態に係る排紙部の構成を模式的に示す側面図。
【図4】第2実施形態に係る排紙部の構成を模式的に示す側面図。
【図5】第3実施形態に係る排紙部の構成を模式的に示す側面図。
【図6】第1実施形態に係る排紙部において、シート受け部上に用紙が積載されたときのシート押さえ部の位置の位置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.第1実施形態
(1)画像形成装置の構造
図1を用いて、画像形成装置を説明する。図1は、本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置全体の模式図である。以下、画像形成装置1における各方向関係を明確にするために、画像形成装置1の前面(図1における手前側)に立った作業者にとっての各方向を左右方向、前後方向、上下方向とする。つまり、「左右方向」とは図1の左右方向を指す。「前後方向」とは図1の紙面に垂直な方向であって、前は図1の手前、後は図1の奥を指す。「上下方向」とは図1における上下方向を指す。
【0019】
画像形成装置1は、画像読取装置2と、画像形成装置本体3とを備える。
画像読取装置2は、画像読取部21と、原稿カバー22とを備える。画像読取部21は、原稿の画像データを読み取る装置であり、いわゆるフラットベッドスキャナである。画像読取部21は、光源23と、複数の反射鏡24と、スキャナユニット25とを有する。画像読取部21では、光源23からプラテンガラス26上の原稿に照射されて反射した光は、複数の反射鏡24によって反射されながらスキャナユニット25へと導かれる。原稿カバー22は、画像読取部21の上に回動自在に配置されている。
【0020】
画像形成装置本体3は、筐体31を備えると共に、筐体31の内部に他の装置や機構を備えている。具体的には、画像形成装置本体3は、画像形成部32、定着装置33、用紙搬送部(シート搬送部)34、給紙カセット35、手差し給紙トレイ36、および排紙部(シート受け機構)37を有する。
【0021】
画像形成部32は、画像読取装置2で読み取られた原稿の画像データおよびパーソナルコンピュータから送られてきた画像データに基づいて用紙(シート)Pに画像を形成する。画像形成部32は、感光体ドラム40、帯電器41、露光ヘッド42、現像器43、転写ローラ44、クリーニングローラ45を有する。
【0022】
感光体ドラム40は、表面に静電潜像が形成される装置である。感光体ドラム40は、回転可能に設けられた円柱状の部材である。感光体ドラム40は、図示しない駆動装置によって、図1の紙面方向に垂直な回転軸を中心に、図1における反時計回りに回転される。帯電器41、露光ヘッド42、現像器43、転写ローラ44、クリーニングローラ45は、感光体ドラム40の回転方向において、この順に設けられる。
【0023】
帯電器41は、感光体ドラム40の表面を所定電位に一様に帯電させる。
【0024】
露光ヘッド42は、帯電した感光体ドラム40の表面に光を照射することで、画像データに沿った静電潜像を描く。露光ヘッド42は、光源として、例えばLED(Light Emitting Diode)を備える。
【0025】
現像器43は、感光体ドラム40上の静電潜像にトナーを供給し、静電潜像を現像する。現像器43では、トナーに所定電位が付与される。その電位と静電潜像の電位との差に基づいて、静電潜像にトナーが付着されて、静電潜像が顕像化される。なお、この実施形態では負帯電トナーを用いて画像形成が行われるが、正帯電トナーを用いてもよい。
【0026】
転写ローラ44は、感光体ドラム40に対向して配置され、感光体ドラム40上のトナー像を、用紙7上に転写する。
クリーニングローラ45は、感光体ドラム40の外周面に付着する、転写されずに残ったトナーを除去する。
【0027】
定着装置33は、転写後の用紙7に熱および圧力を加えることで、トナー像を用紙7上に定着させる装置である。定着装置33は、加熱ローラ61および加圧ローラ63を備える。
加圧ローラ63は、金属製のローラ軸とその回りに設けられた弾性部材とから構成されている。加圧ローラ63は装置本体に回転自在に支持されており、図示しない付勢部材によって加熱ローラ61に付勢されてニップ部65を形成している。加圧ローラ63は、加熱ローラ61が回転すると従動回転するようになっている。
【0028】
用紙搬送部34は、搬送路および複数のローラを備える。用紙搬送部34は、ローラによって、搬送路に沿って用紙7を搬送することで、後述する給紙カセット35または手差し給紙トレイ36から、画像形成部32および定着装置33を通って排紙部37まで、用紙7を搬送する。用紙7は、用紙搬送部34によって、筐体31に設けられた排紙口39から後述の排紙部37に排出される。排紙口39は、前後方向(図1の紙面に垂直な方向)に長い開口部であり、排紙口39の前後方向の長さは、最大サイズの紙の幅に対応している。
なお、用紙搬送部34は、異なるサイズの用紙であっても、幅方向において排紙口39の中央に用紙7の中央が合うように、用紙を排出する。つまり、用紙7は、その幅方向中央が、後述のシート受け部51の幅方向中央に合うように排出される。
【0029】
給紙カセット35は、その内部に画像形成前の用紙7の束を収容する。給紙カセット35は、筐体31に対して出し入れ可能に設けられる。
手差し給紙トレイ36に、裏紙等の特殊な用紙が載置される。
【0030】
(2)排紙部37
排紙部37について、図2および図3を参照して説明する。図2は排紙部37の正面図であり、図3は排紙部37の側面図である。
【0031】
排紙部37は、画像が形成された後、排紙口39から排出される用紙7を受け取る部分である。排紙部37は、筐体31の上面で、排紙口39に対して排出方向101下流側に設けられている。排出方向101は、左右方向に平行な方向である。排紙部37は、シート受け部51、凸部52、シート押さえ部材53およびシャフト55を備える。
【0032】
シート受け部51は、用紙7が積載される部分である。シート受け部51の前後方向における幅は、排紙口39の前後方向の幅以上であり、排紙口39から排出され得るあらゆるサイズの用紙7を受け取ることができる。図2に示すように、シート受け部51は、用紙7の排出方向101において、上流側(図2の右側)が低くなった傾斜を有している。この傾斜によって、用紙7はシート受け部51の右端に揃えて積載される。
【0033】
図2および図3に示すように、凸部52は、シート受け部51の用紙7と接する面に設けられ、上方向に突出する部分である。本実施形態では、凸部52は、シート受け部51と一体に形成されている。ただし、凸部52が別部材として形成され、シート受け部51に装着されていてもよい。凸部52は、左右方向に垂直な断面が二等辺三角形であり、その頂角に対応する頂点が上を向くように、配置される。凸部52は、前後方向においてシート受け部51の中央部に、つまり前後方向において排紙口39の略中央に設けられる。凸部52は、シート受け部51の左端から右端まで連続している。また、凸部52の右端はシート受け部51に向かって下がる傾斜形状である。
【0034】
シート押さえ部材53は、用紙7を上方向から押さえる部材である。図2および図3に示すように、シート押さえ部材53は、細長い平板上の部材であり、長手方向における第1端58を中心に、第2端59が揺動可能に設けられる。
【0035】
具体的には、シート押さえ部材53の第1端58には、シャフト55が設けられている。さらに、シャフト55は、シート受け部51の上方であって、排出方向101におけるシート受け部51の上流端寄り(シート受け部51の右端寄り)の位置で、筐体31内に固定されている。つまり、シート押さえ部材53の第1端58は、排紙口39の近傍で筐体31に設けられた開口部311から、筐体31の内部に挿入されている。
なお、「寄り」とは、一方向における部材の中間点よりも、片方に近いことを意味する。つまり、「シート受け部51の上流端寄り」とは、排出方向101におけるシート受け部51の中央よりも、シート受け部51の上流端に近いことを意味する。
【0036】
シート押さえ部材53の第2端59は、シャフト55を中心に回転可能な自由端である。第2端59は、排出方向101において第1端58よりも下流に配置される。シート押さえ部材53の第2端59は、筐体31の外部に配置され、シート押さえ部材53の自重によって、用紙7が載っていないときはシート受け部51に接触し、用紙7が載っているときは用紙7に接触する。
【0037】
シート押さえ部材53の第2端59の縁は、図3に示すように、第1端58に向かって凹む凹部57を有する。凹部57の形状は、凸部52の凸形状に対応するように、二等辺三角形状に形成されている。凹部57は、凸部52を跨ぐように設けられる。言い換えると、シート押さえ部材53はその第2端59に、凸部52を前後方向における両側から挟むように配置された2つの凸部であるシート押さえ部541および542を有する。
この配置により、図3に示すように、シート押さえ部541および542はそれぞれ、凸部52の前後方向で、用紙7に接触する。シート押さえ部材53の自重により、シート押さえ部541および542は、シート受け部51に向けて用紙7を押す。用紙7は、シート押さえ部541および542に押さえられることで、上方向に突出する凸形状に保持される。その結果、用紙7の幅方向両端の高さが抑えられる。こうして、カールした用紙7によって、排紙口39が塞がれることが防止される。従って、排紙口39からの次の用紙7の排出が妨げられにくく、用紙の円滑な排出が可能となる。
【0038】
シート押さえ部材53がシャフト55を中心に回転することで、シート押さえ部541および542は、シート受け部51上の用紙7の厚み方向、つまり上下方向に揺動可能である。これによって、シート押さえ部541および542とシート受け部51との距離は、上下方向において変更可能である。
よって、図6に示すように、シート受け部51上の用紙7の積載数が増えると、シート押さえ部541および542は積載された用紙に持ち上げられて上方向に移動することができる。こうして、シート押さえ部541および542は、用紙7の数が変化しても、用紙を押さえる機能を果たすことができる。
また、ユーザが用紙7を排紙部37から取り出そうとすると、シート押さえ部541および542は上方向に容易に移動する。よって、ユーザは、用紙7を排紙部37から容易に取り出すことができる。
【0039】
上述したように、シート押さえ部材53は、シート受け部51の上方で、排出方向101においてシート受け部51の上流側端部(図2における右端部)の近傍に配置される。つまり、シート押さえ部材53は、排紙口39の近傍に設けられる。この配置によって、シート押さえ部541および542は、排紙口39の近傍、つまりシート受け部51の右端部の近傍で用紙7に接触する。上述したように、用紙7はシート受け部51の右端側に寄せて積載されるので、シート押さえ部材53(シート押さえ部541および542)は、様々なサイズの用紙に対応することができる。言い換えると、シート押さえ部材の配置位置は、シート押さえ部541および542が最小サイズの用紙を押さえることができる程度の位置である。具体的には、シート押さえ部541および542とシート受け部51の右端との距離が、排出方向101における用紙の長さの最小値よりも小さくなるように配置される。
【0040】
(3)特徴
以上に述べた実施形態は、以下のように表現可能である。
排紙部37は、シート受け部51、凸部52およびシート押さえ部材53を備える。シート受け部51には、排紙口39から排出される用紙7が積載される。凸部52は、シート受け部51において、上方向に突出する。シート押さえ部材53は、シート押さえ部541および542を備える。シート押さえ部541および542はそれぞれ、前後方向において凸部52を挟む2箇所で、シート受け部51上の用紙7をシート受け部51に向けて押さえる。シート押さえ部541および542は、上下方向に揺動可能である。
【0041】
用紙7は、凸部52とシート押さえ部541および542とによって、上方向に突出する凸形形状に保持される。つまり、シート受け部51上で、前後方向における用紙7の両端の高さが抑えられる。従って、用紙7によって画像形成装置1の排紙口39が塞がれることが防止され、次の用紙が円滑に排出される。また、シート押さえ部541および542が、上下方向に移動可能であることで、用紙7の積載数の変動にも対応することができる。さらに、シート受け部51上に積載された用紙7が取り出されるときに、シート押さえ部541および542が上方向に移動するので、ユーザは用紙7を取り出すことができる。
【0042】
シート押さえ部541および542が揺動可能である構成の一例として、シート押さえ部材53は、第1端58を中心に第2端59が回転可能に設けられており、シート押さえ部541および542が第2端59に設けられている。
【0043】
凸部52は、排出方向101におけるシート受け部51の中央部に設けられる。これによって、幅方向におけるサイズの異なる用紙に対しても、効果的にカールを抑えることができるという効果が得られる。特に、本実施形態では、用紙7がシート受け部51に対して、幅方向において用紙7の中央がシート受け部51の中央部に合うように排出されるので、この効果が高い。シート押さえ部541および542が、幅方向において凸部52の近傍で用紙7を押さえるように配置されることで、さらに高い効果が得られる。
【0044】
また、本実施形態では、シート押さえ部材の具体的な構成として、1つのシート押さえ部材53に、2個のシート押さえ部541および542が設けられている。ただし、後述するように、1個またはそれ以上のシート押さえ部を有する、2個以上のシート押さえ部材が設けられていてもよい。
【0045】
シート押さえ部材53は、シート受け部51に対して、シートの排出方向の上流端寄り(図2の右端近傍)に配置されている。
【0046】
また、画像形成装置1は、筐体31と、画像形成部32と、用紙搬送部34と、排紙部37とを備えている。筐体31は、開口部である排紙口39を備えている。画像形成部32は、筐体31内に配置され、シート上に画像を形成する。用紙搬送部34は、画像が形成された後の用紙7を、排紙口39を介して筐体31外に排出する。排紙部37は、シート受け部51と、凸部52と、シート押さえ部材53とを備える。シート受け部51は、用紙搬送部34による用紙の排出方向101において、排紙口39の下流に配置され、排出される用紙を受け取る。凸部52は、シート受け部に設けられる。シート押さえ部材53は、排出方向101に交差する第1方向の一例である前後方向において凸部52を挟む2箇所において、用紙7をシート受け部51に向けて押さえるシート押さえ部541および542を備えている。シート押さえ部541および542は、揺動可能に設けられている。
【0047】
II.第2実施形態
画像形成装置1は、排紙部37に代えて、図4に示す排紙部371を備えていてもよい。図4は、排紙部371の側面図である。以下では、既に説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、排紙部371は、シート押さえ部材53に代えて、2つのシート押さえ部材531および532を備える。シート押さえ部材531および532は、シート押さえ部材53と略同一の配置方法によって、排出方向101において略同一位置に設けられている。つまり、シート押さえ部材531および532は、一方向に長い部材である。シート押さえ部材531の長手方向の第1端581、およびシート押さえ532の長手方向の第1端582は、筐体31内でシャフト55と同様に前後方向に平行に配置されたシャフト(図示せず)に保持される。シート押さえ部材531および532の第2端591および592は、揺動可能な自由端である。シート押さえ部材531の自由端はシート押さえ部543であり、シート押さえ部材532の自由端はシート押さえ部544である。
【0049】
ただし、シート押さえ部材531および532はそれぞれ、前後方向において、凸部52の前後に配置されている。つまり、シート押さえ部543および544は、凸部52の前後方向において、用紙7を押さえるように配置される。
【0050】
よって、本実施形態においても、用紙7は、凸部52とシート押さえ部543および544とによって、前後方向において、つまり幅方向においてその中央部分が高い凸形状に保持される。その結果、幅方向における用紙7の両端の高さが抑えられ、排紙口39からの次の用紙7の排出が円滑に行われる。
【0051】
なお、2個以上のシート押さえ部材が設けられ、かつ1個のシート押え部材が2個以上のシート押え部を有していてもよい。
【0052】
III.第3実施形態
画像形成装置1は、排紙部37に代えて、図5に示す排紙部372を備えていてもよい。図5は、排紙部372の側面図である。以下では、既に説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、排紙部372は、凸部52に代えて、シート受け部511上に凸部521を備える。凸部521は、左右方向に垂直な断面が矩形である以外、形状、配置位置、および配置数等において凸部52と同様の構成を有する。凸部521は、「リブ」と言い換えることもできる。
【0054】
図5に示すように、排紙部372は、シート押さえ部材53に代えて、シート押さえ部材533を備える。シート押さえ部材533は、その第2端の形状が異なる以外は、シート押さえ部材53と同様の構成を有する。すなわち、シート押さえ部材533は、シート押さえ部材53と同一の配置方法によって、同一位置に設けられている。シート押さえ部材533は、一方向に長い部材である。また、シート押さえ部材533の長手方向の第1端583は、シャフト55と同様に筐体31内で前後方向に平行に配置されたシャフト(図示せず)に保持される。シート押さえ部材533の第2端593は、揺動可能な自由端である。
【0055】
ただし、第1実施形態のシート押さえ部材53の第2端59が二等辺三角形状に凹んだ凹部57を備えているのに対して、シート押さえ部材533の第2端593は、矩形状に凹んだ凹部571を備える。すなわち、シート押さえ部材533の第2端593には、前後方向において、この凹部571を挟むように、シート押さえ部545および546が設けられている。
【0056】
よって、本実施形態においても、用紙7は、凸部521とシート押さえ部545および546とによって、前後方向において、つまり幅方向においてその中央部分が高い凸形状に保持される。その結果、幅方向における用紙7の両端の高さが抑えられ、排紙口39からの次の用紙7の排出が円滑に行われる。
【0057】
なお、第1実施形態と第3実施形態とが組み合わされてもよい。すなわち、シート押さえ部材53とシート押さえ部材533とは、相互に交換可能である。
【0058】
IV.他の実施形態
以上に述べたシート受け部51上の凸部(52および521)は、用紙7が排紙口39を防ぐことができれば、さらに他の形状の凸部に変更可能である。例えば、シート受け部51上に左右方向および/または前後方向において2つ以上の凸部が設けられていてもよい。また、凸部はシート受け部51の右端から左端まで設けられる必要はなく、左右方向においてシート受け部51の一部のみに凸部が設けられていてもよい。ただし、シート受け部51の右端近傍に凸部が設けられていることで、サイズが異なる用紙にも対応できると共に、排紙口39近傍において用紙のカールを抑制することで、その後の用紙の排出をより円滑に行うことができる。
【0059】
また、シート受け部51上の凸部が、シート受け部51の幅方向中央または中央近傍に位置することで、上述のような効果が得られるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
以上では、画像形成装置として電子写真方式を採用した装置が例に挙げられているが、上述した全ての排紙部は、インクジェット方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0061】
インクジェット方式の画像形成装置でも電子写真方式の画像形成装置でも、印字後の用紙のカールという問題は生じる。インクジェット方式の画像形成においては、インクの乾燥時等に用紙にカールが生じることがある。また、電子写真方式の画像形成においては、トナーを熱および圧力で用紙上に定着させるときに、シートに含まれる水分が蒸発することで、用紙にカールが生じることがある。
【0062】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態は必要に応じて任意に組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、コピー機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置の排紙部として利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 画像形成装置本体
7 用紙
21 画像読取部
22 原稿カバー
23 光源
24 反射鏡
25 スキャナユニット
26 プラテンガラス
31 筐体
32 画像形成部
33 定着装置
34 用紙搬送部
35 給紙カセット
36 手差し給紙トレイ
37 排紙部
39 排紙口
40 感光体ドラム
41 帯電器
42 露光ヘッド
43 現像器
44 転写ローラ
45 クリーニングローラ
51 シート受け部
52 凸部
53 シート押さえ部材
55 シャフト
57 凹部
61 加熱ローラ
63 加圧ローラ
65 ニップ部
101 排出方向
311 開口部
371 排紙部
372 排紙部
511 シート受け部
521 凸部
531 シート押さえ部材
532 シート押さえ部材
533 シート押さえ部材
541 シート押さえ部
542 シート押さえ部
543 シート押さえ部
544 シート押さえ部
545 シート押さえ部
546 シート押さえ部
571 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する装置に対して設けられるシート受け機構であって、
排出される前記シートが積載されるシート受け部と、
前記シート受け部に設けられ、前記シートの厚み方向に突出する凸部と、
前記シートの排出方向に交差する第1方向において前記凸部を挟む少なくとも2箇所で前記シートを前記シート受け部に向けて押さえるシート押さえ部を備え、前記シート押さえ部はシートの厚み方向に揺動可能に設けられている、シート押さえ部材と、
を備える
シート受け機構。
【請求項2】
前記シート押さえ部材は、第1端を中心に第2端が回転可能に設けられており、
前記シート押さえ部が前記第2端に設けられている
請求項1に記載のシート受け機構。
【請求項3】
前記凸部は、前記第1方向における前記シート受け部の中央部に設けられる
請求項1または2に記載のシート受け機構。
【請求項4】
1つのシート押さえ部材に2つ以上のシート押さえ部が設けられる
請求項1〜3に記載のシート受け機構。
【請求項5】
2つ以上のシート押さえ部材を備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート受け機構。
【請求項6】
前記シート押さえ部材は、前記シート受け部に対して、前記シートの排出方向の上流端寄りに配置されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート受け機構。
【請求項7】
シートを排出する排紙口を備える筐体と、
前記筐体内に配置され、シート上に画像を形成する画像形成部と、
画像が形成された後のシートを、前記排紙口を介して前記筐体外に排出するシート搬送部と、
前記シート搬送部による前記シートの排出方向において、前記排紙口の下流に配置され、排出される前記シートが積載されるシート受け部と、
前記シート受け部に設けられ、前記シートの厚み方向に突出する凸部と、
前記シートの排出方向に交差する第1方向において前記凸部を挟む少なくとも2箇所で前記シートを前記シート受け部に向けて押さえるシート押さえ部を備え、前記シート押さえ部はシートの厚み方向に揺動可能に設けられている、シート押さえ部材と、
を備える
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235970(P2011−235970A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105895(P2010−105895)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】