説明

シート排出装置

【課題】専用の検知センサを用いることなく、シート受け部に積載されるシートが最大積載量に達したことを検知できるようにして、簡易な構造で低コストのシート排出装置を提供する。
【解決手段】シート排出装置は、排出されたシートを積載するシート受け部8と、シート受け部8のシート積載方向に対向して配置され、排出されるシートに対して積載量に応じた搬送負荷を与える押圧部材7と、シートをシート受け部8に搬送する駆動ローラ4aと、駆動ローラ4aの下流側に配置され、シートをシート受け部8に搬送する駆動ローラ5aと、各駆動ローラ4a,5a間に配置され、シートを検知する検知手段6とを備え、シート受け部8でのシート積載量が所定量を越えた場合の該積載量に応じた前記搬送負荷を、駆動ローラ4aの搬送力よりも小さく、駆動ローラ5aの搬送力よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、画像形成装置等に設けられ、印画後のシートをシート受け部に排出して積載するシート排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する画像形成装置は、シートとして、紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなど、種々の材質のものが使用される。この画像形成装置の印画方式には、シリアルタイプとラインタイプがあり、シリアルタイプは、印画ヘッドをシートの幅方向(主走査方向)とシートの搬送方向(副走査方向)とに交互に繰り返して移動させることでシートに画像を形成する。
【0003】
一方、ラインタイプは、シートの幅方向に延びる長尺の印画ヘッドを用いることにより、一括して1ライン分をシートに印画しながらシートの搬送(副走査)のみで画像を形成する。
【0004】
ここで、ラインタイプの画像形成装置は、熱転写式、感熱式、インクジェット式、レーザービーム式、ワイヤドット式などに分けることができる。これらの中で熱転写式の画像形成装置は、インクリボンを挟んでシートと印画ヘッドとを圧接させ、シートの搬送と同期させてインクリボンを走行させて、シートに対してインクを加熱転写することで画像を形成する。この熱転写式には、昇華型及び溶融型がある。
【0005】
図9及び図10を参照して、従来の熱転写式の画像形成装置における印画動作について説明する。図9は従来の熱転写式の画像形成装置の概略構成を示す斜視図、図10は図9の縦断面図である。
【0006】
図10において、印画ヘッド1は、複数の発熱素子を有する加熱部を備え、画像形成情報に応じて発熱素子を選択的に加熱して、インクリボンカセット3内のインクリボン3a上に一様に塗布されたインクをシートPに加熱転写する。
【0007】
印画ヘッド1とプラテンローラ2とは、シートPの搬送路を挟んで互いに対向配置されている。印画ヘッド1とプラテンローラ2とを押圧し、供給ロール収納部3b内の供給ボビンから供給されるインクリボン3aとシートPとを圧着させてシートPへの加熱転写が可能な状態とする。シートPへの加熱転写は、互いに対向配置されたキャプスタンローラ4aとピンチローラ4bとの回転駆動によって、シートPを印画方向Xに印画開始位置から印画終了位置まで搬送する間に行う。
【0008】
このとき、シートPから離間したインクリボン3aは、巻き取りロール収納部3c内の巻き取りボビンに巻き取られる。加熱転写によるカラー印画においては、シートPに複数の色を順次重ねることでカラー画像を得るのが一般的である。そのため、印画終了位置まで搬送されたシートPを、キャプスタンローラ4aとピンチローラ4bとの逆方向の回転駆動によって再び印画開始位置まで戻し、上述の印画動作を複数回繰り返す。
【0009】
このようにして印画されたシートPは、ユーザが取り出しやすい位置まで搬送され、接地面と平行な方向に装置外へ排出される。また、複数枚の連続印画にも対応するため、印画後のシートPが排出される際には、既に排出されたシートに積載されるように排出される構成が一般的である。なお、図9及び図10の例では、シートガイド14に沿うようにシートPを印画方向Xに搬送した後、搬送ローラ5aと紙押さえローラ5bとの回転駆動によってシートPをシートカセット10上に排出して積載する構成となっている。
【0010】
しかし、上記従来の画像形成装置では、印画動作中にシートPがシートPの長手方向(接地面と平行な方向)に往復するため、必要とされる接地面積が大きい。
【0011】
このような不具合を解消するために、図11〜図14に示すように、印画後のシートを排出する際、接地面に対して略上方にシートを排出する画像形成装置が提案されている。
【0012】
図11及び図13は従来の他の画像形成装置の概略構成を示す斜視図、図12及び図14はそれぞれ図11及び図13の縦断面図である。
【0013】
図11(図13)に示す画像形成装置においては、印画後のシートPは、シートガイド114(214)に沿って搬送されて、接地面に対して略上方に傾いて設けられたシート受け部8に排出されて積載される。
【0014】
このような構成の画像形成装置では、シートPの排出時には、印画後のシートPはシートガイド114(214)と既に積載されたシート束9(図12及び図14参照)との隙間に排出される。
【0015】
この場合、シート受け部8がシート束9の最大積載量に達するなどして、シートガイド114(214)とシート束9との隙間がシートPの厚みよりも狭くなると、排出されたシートPが詰まり、折れ曲がるなどしてジャムが発生するおそれがある。
【0016】
そのため、シートガイド114(214)とシート束9との隙間が一定以下になったことを検知するための専用の検知センサ15(115)を設ける構成となっている。
【0017】
図11及び図12に示す画像形成装置では、シート受け部8に対向して配置されたシートガイド114の先端に検知センサ15が設けられている。この検知センサ15により、シートガイド114とシート束9との隙間が一定以下になったことを検知する。
【0018】
図13及び図14に示す画像形成装置では、回動可能に配置されたシートガイド214の一部に、検知フラグ214aが設けられている。シートガイド214は、シート受け部8に積載されたシートの束9の積載量が増えるにつれて起立状態に近づいて接地面に対して大きな角度を持つ。
【0019】
シートガイド214は、ある角度までは起立状態に近づくが、それ以降はストッパ等に干渉するなどして回転が規制され、検知フラグ214aは、シートガイド214の回転が規制される前に検知センサ115で検知されるように検知時の角度が設定されている。
【0020】
そして、検知センサ115により検知フラグ214aを検知することによって、シートガイド114とシート束9との隙間が一定以下になったことを検知する。
このように、検出センサと検出フラグのような満載検出用の部材を用いてシート受け部のシートの満載状態を検出するシステムは、特許文献1にも開示されている。
【特許文献1】特開2007−062910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、図11〜図14に示す従来の画像形成装置では、シート束が最大積載量に達したことを検知する専用の検知センサ15(115)が必須となるため、その分装置の構造が複雑になり、コストが高くなるという問題がある。
【0022】
そこで、本発明は、専用の検知センサを用いることなく、シート受け部に積載されるシートが最大積載量に達したことを検知することができるようにして、簡易な構造で低コストのシート排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本発明のシート排出装置は、排出されたシートを積載するシート受け部と、該シート受け部のシートの積載方向に対向して配置され、前記シート受け部に積載されるシートを押圧することにより、前記シート受け部に排出されるシートに対して搬送負荷を与える押圧部材と、シートを前記シート受け部に向けて搬送する第1の駆動ローラと、該第1の駆動ローラよりも下流の前記シート受け部の側に配置され、前記シート受け部に向けてシートを搬送するための第2の駆動ローラと、前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間に配置され、前記第1の駆動ローラによりニップしたシートの先端を検知するための検知手段と、を備え、前記シート受け部のシートの積載量が所定量を越えた場合に、前記押圧部材による搬送負荷が前記第2の駆動ローラの搬送力よりも大きくなることにより、前記第2の駆動ローラによりシートを搬送させてもシートの後端が前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間にある状態となり、前記検知手段より前記状態を検出することにより前記シート受け部が満載であることを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、専用の検知センサを用いることなく、シート受け部に積載されるシートが最大積載量に達したことを検知することができるので、簡易な構造で低コストのシート排出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態であるシート排出装置を備える画像形成装置を説明するための斜視図、図2は図1の要部縦断面図である。
【0027】
図1及び図2に示す画像形成装置は、画像形成情報に基づいて印画を行うサーマルヘッド1の発熱素子を駆動し、インクリボン3aに含浸されたインクをシートPに昇華または溶融転写することにより画像を形成する。
【0028】
インクリボン3aは、インクリボンカセット3の供給ロール収納部3b内の供給ボビン及び巻き取りロール格納部3c内の巻き取りボビンに巻回されている。シートPは、シートカセット10の内部に積載された状態で収納されている。シートPには、カードサイズ、Lサイズ、ポストカードサイズ等、複数種のサイズが用意されており、それぞれ専用のシートカセット10に収納されている。
【0029】
印画動作を行うときには、装置本体に任意のサイズに対応したインクリボンカセット3とシートカセット10とを差し込んで準備する。このとき、シートカセット10は、シートカセット10内からシートPを分離可能なように、差し込み部が装置本体内に露出した状態で、更にシートPが給紙ローラ11に近接した状態となるように配置される。
【0030】
次に、図3〜図6を参照して、画像形成装置における給紙動作から印画終了までの一連の動作について説明する。
【0031】
図3は、画像形成装置の給紙動作を説明するための縦断面図である。給紙ローラ11と加圧板12とは、シートカセット10内のシートPを挟むように互いに対向配置されている。給紙動作時では、加圧板12が回動することによってシートPを給紙ローラ11に押圧し、給紙ローラ11の回転動作によってシートPを一枚ずつ分離して、搬送路に給紙する。
【0032】
搬送路に給紙されたシートPは、給紙ローラ11によって更に搬送され、サーマルヘッド1とプラテンローラ2との隙間を通過した後、ローラ対4に挟持される。ローラ対4は、図2に示すように、キャプスタンローラであるギザローラ(第1の駆動ローラ)4aとピンチローラ4bとで構成される。給紙ローラ11及びローラ対4によって搬送されたシートPは、例えば光学式の検知センサ6によってその先端を検知可能な位置まで至る。このとき、検知センサ6がシートPの位置を正確に検知することで、その後はシートPの位置を検知することなく、シートPの搬送量を任意に設定することができる。
【0033】
ここで、検知センサ6によるシートPの先端の検知と同時にシートPの搬送を停止し、加圧板12を退避させることで、一連の印画動作が終了するまでは、次のシートがシートカセット10から給紙されないようにする。そして、検知センサ6の検知情報に基づいた任意の印画開始位置へシートPを搬送した後、印画開始可能な状態になる。
【0034】
図4は、画像形成装置の印画動作を説明するための縦断面図である。印画動作は、印画開始位置から印画終了位置まで、シートPとインクリボン3aとをサーマルヘッド1における副走査方向と平行な方向に搬送する間に行われる。インクリボン3aは、シートPの印画領域を覆うようにシートサイズよりもやや大きいサイズでイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層とオーバーコート(OP)層とが画面毎に並べて設けられている。
【0035】
本実施形態では、サーマルヘッド1は、回動軸を備える取付フレーム13と不図示の弾性部材とで略一体的に構成されており、不図示のカムギア等の制御によって回動可能となっている。印画時には、取付フレーム13が所定の位置まで回動し、サーマルヘッド1をプラテンローラ2側に押圧する。
【0036】
このとき、インクリボン3aとシートPとが、サーマルヘッド1を押圧する不図示の弾性部材によって適当な圧力で圧着し、加熱転写が可能となる。そして、シートPを搬送してインク層毎の熱転写を行いながらシートPを印画開始位置まで逆搬送し、そこから残りの画面についても同様の印画動作を繰り返しながらシートPにインク層を順次重ねてカラー画像を形成する。
【0037】
図5は、画像形成装置におけるシートPの逆搬送動作を説明するための縦断面図である。シートPの逆搬送では、シートPのシートカセット10側の後端がシートカセット10内に戻されてシートカセット10内に積層されたシートの整列を乱したり、印画面が給紙ローラ11やシートカセット10に擦れたりすることを防ぐ構成が好適である。
【0038】
そのため、本実施形態では、給紙ローラ11の回転中心をシートガイド14の回動中心としている。シートガイド14は、シートカセット10内からシートPを給紙する場合にはシートPの先端によって図3に示すように押し上げられ、シートPの後端がシートガイド14を通過した後は、シートPの後端の下方に潜り込むようにして図4の位置で停止する。
【0039】
これにより、シートPが逆搬送されて、シートPの後端がシートガイド14に差しかかっても、シートガイド14が押し上げられることがないためシートカセット10へのシートPの逆流を防ぐことができ、円滑にシートPの経路を切り換えることが可能である。
【0040】
図6は、画像形成装置におけるシートの排出動作を説明するための縦断面図である。OP(保護層)の印画を終了すると、印画動作が終了し、シートPの排出動作に移る。このときの印画終了位置は、シートPがサーマルヘッド1とプラテンローラ2との間を通過して、シートPの後端が印画部を通過した位置である。
【0041】
シートPの排出時には、印画終了位置から更にサーマルヘッド1における副走査方向と平行な方向にシートPを搬送し、シートPの後端がローラ対4を抜けると、該ローラ対4の搬送方向下流側に配置されたローラ対5の搬送力のみでシートPを搬送する状態に至る。ローラ対5は、図2に示すように、搬送ローラであるゴムローラ(第2の駆動ローラ)5aと紙押さえローラ5bとで構成される。
【0042】
そして、シートPの排出動作として、シートPをゴムローラ5aの回転によって蹴り出すように略上方に排出してシート受け部8に積載させる。
【0043】
図1及び図2に戻って、シート受け部8のシート束9の積載方向に対向する位置には、シートPの積載量に応じた搬送負荷をシートPに与える押圧部材として板バネ7が配置されている。
【0044】
ここで、板バネ7は、シート束9がシート受け部8で一定の厚みを越えると、シートPの表面に接触するようになっている。そして、シート受け部8にシートPが更に積載されると、シート束9の厚みが増えて板バネ7が弾性変形し、シートPの表面を押圧する。なお、板バネ7は、シート排出時にシートをガイドする機能も兼ねている。
【0045】
ギザローラ4aは、印画中のシートPを搬送するキャプスタンローラであり、ゴムローラ5aは、印画後のシートPを排出する搬送ローラである。ギザローラ4a及びゴムローラ5aには、それぞれの従動ローラとして、ピンチローラ4b及び紙押さえローラ5bが対向配置されている。ピンチローラ4b及び紙押さえローラ5bは、不図示のバネ部材等により各ローラ4a,5a側に付勢されており、これにより、ローラ対4及びローラ対5に最適なニップ圧が設定される。
【0046】
ところで、各ローラ対4,5の搬送力を決定する要素は、ニップ圧だけではない。例えば、カラー印画動作中にシートPとギザローラ4aとの位相がずれた場合、シートPに順次重ねられた複数の色がそれぞれずれてしまい、印画の画質を低下させてしまう。
【0047】
そこで、ギザローラ4aの一部に、シートPの裏面に対して位相がずれないだけの深さまで食い込む突起(グリップ部)を設けている。そのため、キャプスタンローラ4aとピンチローラ4bとがシートPを挟持搬送する力は、他のローラ対と比べて大きく、ローラの滑りや変形によるずれが発生しにくいため、シートの搬送量を精度よく制御することが可能である。
【0048】
一方、ゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとがシートPを挟持搬送する力は、通常、シートPをシート受け部8に排出することができる程度でよく、また、ローラの滑りが発生した場合でも、印画の画質を低下させるおそれはない。
【0049】
本実施形態では、ゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとのニップ圧は、シートPがニップ状態であってもユーザが容易に引き抜くことできる程度に設定されている。また、ギザローラ4aはニップ圧が高いため、ユーザはギザローラ4aからシートPを容易に引き抜くことができないようになっている。
【0050】
また、ゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとのニップ圧の設定時には、シートPの剛性を考慮すると更に好適である。シートPを排出する際、シートPの先端が引っ掛かったり大きな抵抗を受ける等して搬送が停止している状態でゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとが強い搬送力で排出動作を継続すると、シートPが塑性変形して折れ曲がり、ジャムが発生してしまう。このため、本実施形態では、ゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとのニップ圧は、ゴムローラ5aの搬送力によってシートPが塑性変形しない程度に設定されている。
【0051】
ここで、検知センサ6は、ギザローラ4aとゴムローラ5aとの略中間位置に配置されており、ギザローラ4aによりシートPがニップされ、シートPの先端が達した場合に、シートPを検知する。そして、不図示の制御部は、検知センサ6による検知情報に基づいて、印画開始位置を判定する。また本実施形態においては、シート受け部にシートが満載であることを検知することも可能である。
【0052】
次に、図2を参照して、印画後のシートPをシート受け部8に排出する動作について説明する。
【0053】
印画後にシート受け部8に排出されたシートPは、シート束9となってシート受け部8に積載され、該積載量が増してシート束9と板バネ7との隙間がシートPの厚みよりも狭くなると、板バネ7によりシートPの表面が弾性的に押圧される。
【0054】
かかる押圧により、シートPはシート受け部8に積載されたシートの束9に押し付けられ、シートPの搬送負荷が通常状態と比べて大きくなる。そして、シートPの排出動作が繰り返されてシート束9の厚さが増えるにつれて板バネ7の押圧力が大きくなり、シート受け部へ排出されるシートPへの搬送負荷が増大する。
【0055】
ここで、本実施形態では、シート受け部8でのシートPの積載量が所定量を越えた状態、例えば、シートPの最大積載量に達した状態において、板バネ7がシートPに与える搬送負荷を最大搬送負荷とする。そして、本実施形態では、ゴムローラ5aの搬送力を最大搬送負荷より小さくし、ギザローラ4aの搬送力を最大搬送負荷より大きくしている。
【0056】
従って、シート受け部8でシートPの積載量が最大積載量に達した場合は、印画後に排出されるシートPは、ギザローラ4aの搬送力が最大搬送負荷より大きいため、シートPの後端がギザローラ4aを通過する位置まで、つまり少なくとも図2に示す位置までは搬送される。
【0057】
一方、ゴムローラ5aの搬送力は最大搬送負荷よりも小さいため、図2の位置まで搬送された後のシートPは、ゴムローラ5aが滑って搬送できず、シートPの後端がギザローラ4aとゴムローラ5aの間に位置する状態となる。
【0058】
この状態のときに、搬送できずに滑っているシートPを検知センサ6によって検知することで、該検知センサ6の検知情報から不図示の制御部がシート受け部8に積載されるシートPが最大積載量に達し満載状態であると判断する。
【0059】
そして、制御部は、シートPが最大積載量に達していると判断すると、シートPの搬送動作を停止させるように各ローラ対4,5等の駆動系を制御する。このとき、制御部は、シート受け部8のシートPが最大積載量に達したことをユーザに知らせるため、不図示の表示部等に任意のメッセージを表示する表示制御を行うようにしてもよい。
【0060】
その後、ゴムローラ5aと紙押さえローラ5bとでニップされたままのシートPとともに、シート受け部8に積載されたシート束9をユーザが取り出すことで、正常に印画動作が終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、専用の検知センサを用いることなく、シート受け部8に積載されるシートPが最大積載量に達したことを検知することができるので、簡易な構造で低コストのシート排出装置を提供することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施形態であるシート排出装置を備える画像形成装置について説明する。図7は本発明の第2の実施形態であるシート排出装置を備える画像形成装置を説明するための斜視図、図8は図7の要部縦断面図である。なお、上記第1の実施形態と重複する部分については、各図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、シート受け部8でのシートPの積載量に応じた搬送負荷を与える押圧部材として、シートガイド107aが、シート受け部8のシートPの積載方向に対向する位置に回動可能に配置されている。
【0064】
シートガイド107aの回動軸は、不図示の取付フレームに固定されたシートガイドホルダー107bに回転可能に支持されている。また、シートガイド107aを印画後に排出されるシートPに対して搬送負荷を与えるように付勢するため、シートガイド107aとシートガイドホルダー107bとの間には、トーションバネ107cが設けられている。
【0065】
シートガイド107aは、シート束9がシート受け部8で一定の厚みを越えると、トーションバネ107cの付勢力によりシートPの表面に接触する。そして、シート受け部8にシートPが更に積載されると、シート束9の厚みが増えてトーションバネ107cが更に弾性変形し、シートガイド107aによりシートPの表面を押圧する力が増して、シートPの搬送負荷が増大する。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、熱転写式の画像形成装置に搭載されたシート排出装置に本発明を適用した場合を例示したが、その他の印画方式の画像形成装置や画像形成装置以外の装置に搭載されたシート排出装置にも本発明を適用可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、シートの排出方向が略上方のシート排出装置に本発明を適用した場合を例示したが、シートの排出方向が略上方以外のシート排出装置にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態であるシート排出装置を備える画像形成装置を説明するための斜視図である。
【図2】図1の要部縦断面図である。
【図3】画像形成装置の給紙動作を説明するための縦断面図である。
【図4】画像形成装置の印画動作を説明するための縦断面図である。
【図5】画像形成装置におけるシートの逆搬送動作を説明するための縦断面図である。
【図6】画像形成装置におけるシートの排出動作を説明するための縦断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態であるシート排出装置を備える画像形成装置を説明するための斜視図である。
【図8】図7の要部縦断面図である。
【図9】従来の熱転写式の画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9の縦断面図である。
【図11】従来の他の画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図12】図11の縦断面図である。
【図13】従来の他の画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図14】図13の縦断面図である。
【符号の説明】
【0070】
P シート
1 サーマルヘッド
2 プラテンローラ
3 インクリボンカセット
3a インクリボン
3b 供給ロール収納部
3c 巻き取りロール収納部
4 ローラ対
4a ギザローラ
4b ピンチローラ
5 ローラ対
5a ゴムローラ
5b 紙押さえローラ
6 検知センサ
7 押圧部材
8 シート受け部
10 シートカセット
11 給紙ローラ
12 加圧板
13 取付フレーム
14 シートガイド
107a 押圧部材
107b シートガイドホルダー
107c トーションバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出されたシートを積載するシート受け部と、
該シート受け部のシートの積載方向に対向して配置され、前記シート受け部に積載されるシートを押圧することにより、前記シート受け部に排出されるシートに対して搬送負荷を与える押圧部材と、
シートを前記シート受け部に向けて搬送する第1の駆動ローラと、
該第1の駆動ローラよりも下流の前記シート受け部の側に配置され、前記シート受け部に向けてシートを搬送するための第2の駆動ローラと、
前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間に配置され、前記第1の駆動ローラによりニップしたシートの先端を検知するための検知手段と、を備え、
前記シート受け部のシートの積載量が所定量を越えた場合に、前記押圧部材による搬送負荷が前記第2の駆動ローラの搬送力よりも大きくなることにより、前記第2の駆動ローラによりシートを搬送させてもシートの後端が前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間にある状態となり、前記検知手段より前記状態を検出することにより前記シート受け部が満載であることを検出することを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、排出されるシートに対して弾性的に付勢された状態で接触することを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記第1の駆動ローラによるニップ圧が、前記第2の駆動ローラによるニップ圧より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記押圧部材が、前記第1の駆動ローラおよび前記第2の駆動ローラよりも上方に配置され、シートは上方へ排出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−47381(P2010−47381A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214102(P2008−214102)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】