シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
【課題】所定サイズの原稿シートのシート間距離を従来よりも縮めつつ、所定サイズよりも小さなサイズの原稿シートのシート間距離を却って延長してしまうことを回避する。
【解決手段】原稿載置部A上に載置された原稿シートの搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、分離搬送部Bよりも下流側で原稿シートの後端を検知する後端検知センサS3よりもシート搬送方向下流側における所定位置で原稿シートの先端を検知する第1先端検知センサS1とを設けた。長さ検知手段による検知結果が基準長さでない場合には、ピックアップローラ80の回転駆動開始タイミングとして、後端検知センサS3による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が基準長さである場合には、前記回転駆動開始タイミングとして、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングを採用する処理を実施する。
【解決手段】原稿載置部A上に載置された原稿シートの搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、分離搬送部Bよりも下流側で原稿シートの後端を検知する後端検知センサS3よりもシート搬送方向下流側における所定位置で原稿シートの先端を検知する第1先端検知センサS1とを設けた。長さ検知手段による検知結果が基準長さでない場合には、ピックアップローラ80の回転駆動開始タイミングとして、後端検知センサS3による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が基準長さである場合には、前記回転駆動開始タイミングとして、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングを採用する処理を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中の原稿シートの画像を順次読み取っていくスルー読取方式の画像読取装置や、搬送中の記録シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。また、それら画像読取装置や画像形成装置に用いられるシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置において、原稿載置部から原稿シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら原稿シートの画像を順次読み取っていく連続読取動作を行う場合には、読取時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。また、画像形成装置において、記録シート載置部から記録シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら記録シートに画像を順次形成していく連続プリント動作を行う場合にも、プリント時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0003】
ところが、載置部から送り出されたシート材を分離手段から抜け出させた直後のタイミングを把握することが困難であることが、シート間距離を短縮する上での足かせになっている。分離手段は、シート材を複数枚重ねた状態で搬送してしまうことを防止するために、載置部から送り出されたシート材を1枚ずつに分離するものである。この分離手段に対して複数のシート材の先端部が互いに重なった状態で進入すると、分離手段は最上位のシート材の先端部を給送方向に搬送する一方で、下位のシート材の先端部を載置部に向けて戻す。これにより、分離手段からは、最上位のシート材だけが排出される。シート間距離をできるだけ短くするためには、シート材の後端が分離手段を抜けた直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。より詳しくは、分離手段においては、例えば特許文献1に記載の自動原稿搬送装置のように、シート材を搬送方向に送るための給送ベルト(又は給送ローラ)と、下位のシート材を載置部に戻すためのリバースローラとの当接による分離ニップで、シート材を1枚に分離するのが一般的である。そして、その分離ニップからシート材の後端が抜け出た直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。ところが、分離ニップの出口の真上には、給送ベルト(又は給紙ローラ)の曲面が給送方向に突き出ている。また、出口の真下には、リバースローラの曲面が給送方向に突き出ている。このため、シート材の後端を検知する後端検知センサについては、分離ニップの出口に配設することができず、出口からある程度離れた位置に配設せざるを得ない。すると、分離ニップを抜け出てからある程度進んだシート材の後端を検知したタイミングを、次のシート材の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。
【0004】
従来、このような大きなシート間距離を空けてしまうことの対策として、次のようなことが行われてきた。即ち、載置部から、画像読取位置や画像形成位置の手前に至るまでの区間では、画像読取位置や画像形成位置におけるシート搬送速度よりも高速でシート材を搬送するのである。こうすることで、送出時に大きく空けてしまったシート間距離を、画像読取や画像形成の開始までにある程度縮めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、技術の進歩によって画像読取速度や画像形成速度の高速化が図られている近年においては、画像読取位置や画像形成位置でもシート材を高速で移動させることが可能になってきたため、前述のようにしてシート間距離を縮めることが困難になってきている。
【0006】
そこで、本発明者らは、次のような新規なシート搬送装置を開発中である。即ち、このシート搬送装置においては、載置台に載置されたシート材のサイズをおおまかに検知するサイズ検知手段を設けている。このサイズ検知手段は、所定サイズよりもほんの少しだけ大きなサイズのシート材が載置された場合に、そのシート材をギリギリ検知できる位置に配設されている。かかるサイズ検知手段によって検知されないシート材は、所定サイズ以下のサイズであることになる。また、このシート搬送装置においては、シート搬送経路の所定位置でシート材の先端を検知する先端検知センサを設けている。この先端検知センサは、前述した所定サイズのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する位置に配設されている。前述したサイズ検知手段によって所定サイズ以下のサイズであることが検知されたシート材の先端が先端検知センサによって検知されたタイミングでは、そのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後なのである。そこで、開発中のシート搬送装置においては、載置部に載置されたシート材のサイズが所定サイズを超える場合には、従来と同様に、上述した後端検知センサによってシート材の後端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。これに対し、シート材のサイズが所定サイズ以下である場合には、先端検知センサによってシート材の先端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出し開始する。かかる構成では、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めて、所定サイズのシート材の連続搬送時間を従来よりも短縮することができる。
【0007】
しかしながら、このシート搬送装置において、所定サイズよりもかなり小さいサイズのシート材が用いられた場合には、従来よりもシート間距離を長くしてしまうことがわかった。具体的には、従来のシート搬送装置では、上述したように、分離手段の分離ニップの出口からある程度下流側にずれた位置に配設された後端検知センサによってシート材の後端を検知したことをトリガーにして、次のシート材の送り出しを開始していた。後端検知センサを分離ニップの出口よりも下流側にずれた位置に配設するのは、出口にセンサ配置スペースがないためであり、そのずれ量は大きくてもせいぜい数cm程度である。一方、開発中のシート搬送装置に搭載されている先端検知センサは、所定サイズのシート材の後端が分離ニップの出口を抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する。所定サイズのシート材が用いられた場合、先端検知センサがシート材の先端を検知したとき、シート材の後端は後端検知センサよりも数cmほど上流側に位置している。このため、先端検知センサは、後端検知センサに比べて、その数cm分のシート搬送に要する時間だけ早く、分離ニップからのシート材の排出を検知することになる。ところが、所定サイズよりも小さいシート材が用いられた場合、先端検知センサによる先端検知タイミングにおけるシート材の後端位置は、シート材のサイズと所定サイズとの差分だけ下流側にシフトすることになる。シート材のサイズが所定サイズよりもかなり小さい場合には、先端検知センサがシート材の先端を検知したとき、シート材の後端が後端検知センサによる後端検知位置を既に通り過ぎている。この場合、先端検知センサによる先端検知タイミングが、後端検知センサによる後端検知タイミングよりも後になってしまうことから、従来よりもシート間距離を長くしてしまうのである。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなシート搬送装置や、これを用いる画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めつつ、所定サイズよりも小さなサイズのシート材のシート間距離を却って延長してしまうことを回避することができるシート搬送装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段とを設けるとともに、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さでない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さである場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知することに代えて、所定の基準長さ以下であり且つ所定の下限以上であるか否かを検知するように前記長さ検知手段を構成し、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上でない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のシート搬送装置において、前記載置部として、所定の送出動作位置にある前記送出手段に対してシート束の最上位シートをシート束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いるとともに、前記載置部の昇降方向における位置を昇降位置検知手段によって検知した結果と、前記載置部の昇降動作時の駆動負荷を駆動負荷検知手段によって検知した結果と、前記載置部に載置されたシート材の搬送方向長さについて前記基準長さ以下であるか否かを基準センサによって検知した結果とに基づいて、シート材の搬送方向長さについて、前記基準長さ以下で且つ前記下限以上であるか否かを判定する処理を実施するように、前記長さ検知手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3のシート搬送装置において、前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、前記所定位置としての送出開始基準位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1先端検知手段の他に、所定の準備開始基準位置でシート材の先端を検知する第2先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた後、前記第1先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記シート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のシート搬送装置において、前記送出手段の出口から前記第2先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくするとともに、前記分離手段のシート分離手段の出口から前記第1先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、前記基準長さたる第1基準長さと同等以下で且つ前記下限たる第1下限以上であるか否かに加えて、前記第1基準長さよりも小さい所定の第2基準長さ以下で且つ所定の第2下限以上であるか否かも検知するように前記長さ検知手段を構成し、前記第1基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1基準長さ用先端検知手段の他に、前記第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記第1基準長さ以下で且つ前記第1下限以上であるという第1条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第1基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、前記検知結果が前記第2基準長さ以下で且つ前記第2下限以上であるという第2条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第2基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、且つ前記検知結果が前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、前記原稿搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、請求項7の画像読取装置を設けて複写機として機能させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、所定サイズのシート材が用いられる場合には、先端検知タイミングを次のシート材の送り出し開始のトリガーにすることで、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めることができる。また、所定サイズよりも小さなサイズのシート材が用いられた場合には、従来と同様に、後端検知タイミングを次のシート材の送り出し開始のトリガーにすることで、そのシート材のシート間距離を却って延長してしまうことを回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFの要部構成を同スキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【図6】同ADFの電気回路の一部を示すブロック図。
【図7】固定画像読取部の電気回路の一部を示すブロック図である。
【図8】同ADFにおける原稿載置部、分離搬送部、レジスト部、及びターン部を示す部分構成図。
【図9】基準長さの前原稿の先端を第2先端検知センサによる先端検知位置に進入させた直後の同ADFを示す部分構成図。
【図10】基準長さの前原稿の先端を第1先端検知センサによる先端検知位置に進入させた直後の同ADFを示す部分構成図。
【図11】基準長さよりも短い長さの前原稿の後端を後端検知センサによる後端検知位置に通した直後の同ADFを示す部分構成図。
【図12】実施例に係る複写機のADFにおける原稿載置部と、分離搬送部と、レジスト部と、ターン部とを示す部分構成図。
【図13】可動原稿テーブルを上昇させた状態の同ADFを示す部分構成図。
【図14】原稿の質量、サイズ及び姿勢と、原稿の位置との関係を示す模式図。
【図15】原稿束の質量と原稿枚数との関係を示すグラフ。
【図16】可動原稿テーブルにかかる負荷Fと原稿束の厚さと原稿の載置態様との関係を示すグラフ。
【図17】同ADFのコントローラによって実施される連続搬送処理の処理フローを示すフローチャート。
【図18】具体例に係る複写機のADFにおける原稿載置部、分離搬送部、レジスト部、及びターン部Dを示す部分構成図。
【図19】従来のADFで、前原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングを説明するための説明図。
【図20】同ADFで、前原稿の先端が分離ニップ部を通過したタイミングを説明するための説明図。
【図21】同ADFで、ピックアップローラの上昇が終わったタイミングを説明するための説明図。
【図22】同ADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングを説明するための説明図。
【図23】同ADFで、次原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングを説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0013】
シート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つのシート供給カセット42、シート供給カセット42から記録シートを送り出す記録シート送出ローラ43、送り出された記録シートを分離してシート供給路44に供給する記録シート分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側シート供給路37に、シート状部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、シート供給カセット42内の記録シートを画像形成部1内の本体側シート供給路37内に給紙する。
【0014】
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側シート供給路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0015】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0016】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設された各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0017】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0018】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0019】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これらスクリュ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0020】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0021】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0022】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0023】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0024】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0025】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0026】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0027】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。シート供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートPは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に記録シートPの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、記録シートPの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0028】
記録シートPの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートPを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録シートPに一括二次転写され、記録シートPの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0029】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0030】
定着装置34に搬送された記録シートPは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0031】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、記録シート反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートPの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0032】
画像形成部1のレジストローラ対33に対しては、シート供給装置40から送り出された記録シートが送り込まれる他、画像形成部1の側壁に開閉可能に設けられた手差しトレイ38から送り出された記録シートが送り込まれることもある。
【0033】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された図示しない原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0034】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0035】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0036】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0037】
次に、ADF51について説明する。
図5は、シート搬送装置としてのADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。実施形態に係るADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の後端検知センサS3による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
【0038】
原稿載置部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、原稿スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
【0039】
図6は、ADF51の電気回路の一部を示すブロック図である。ADF51のコントローラ100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。このコントローラ100には、各モータ101〜105、113〜115、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)等が接続されている。
【0040】
図7は、固定画像読取部300の電気回路の一部を示すブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等を有している。
【0041】
先に示した図5において、画像の読み取りが行われる原稿MSは、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される原稿載置台53上に、第一面が上向きとなるように載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置決めがなされる。
【0042】
このようにして原稿載置台53にセットされた原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0043】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又は原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の長さ検知センサ(S4、57、58)が配置されている。これらの長さ検知センサによる検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される。
【0044】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。
可動原稿テーブル53bは、底板昇降モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図中矢印a、b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板昇降モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
【0045】
送出手段としてのピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図中矢印c、d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これを原稿上面レベル検知センサ59で検知することにより、原稿上面レベルの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板昇降モータ105が停止する。なお、原稿上面レベルセンサ59としては、ピックアップローラ80を移動可能に保持するピックアップホルダーの被検部材zを検知することで、原稿上面レベルの上限までの上昇を間接的に検知するものを用いた。係る構成のものに代えて、原稿上面レベルを直接的に検知するものを設けてもよい。
【0046】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51のコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、ピックアップ搬送モータ115が駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSを原稿載置部Aから送り出す。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0047】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離手段としての分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0048】
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。この当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッターが設けられており、給紙方向に向かう力がトルクリミッターのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接して分離ニップを形成しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは分離ニップに原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト84又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているため、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。これにより、重送が防止される。
【0049】
給紙ベルト84やリバースローラ85の作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。その後、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ給紙モータ102を駆動させて、停止する。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。そして、突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0050】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対で、プルアウトモータ113により2つのローラのうちの一方が駆動される。
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0051】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
【0052】
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
【0053】
画像読取ユニット50では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0054】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。
【0055】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0056】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
【0057】
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0058】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0059】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0060】
次に、従来のADF51について説明する。
従来のADF51は、図19に示すように、原稿載置部上に載置された原稿MSの束の最上部にある前原稿MS1の上面に当接させたピックアップローラ80を、図中の矢印で示すように回転駆動することで、前原稿MS1を分離部の給紙口48に向けて送り出す。送り出された前原稿MS1は、図20に示すように、分離部における給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップに挟み込まれる。前原稿MS2の先端が分離ニップを通過してしばらくすると、プルアウトローラ対86よりも少し手前に配設された突き当てセンサ72によってその先端が検知される。コントローラ(100)は、突き当てセンサ72が前原稿MS1の先端を検知したことをトリガーにして、図21に示すように、ピックアップローラ80を上昇させる制御をさせて原稿の束から離間させ始める。これにより、前原稿MS1の先端がプルアウトローラ対86を通過するタイミングでは、ピックアップローラ80は前原稿MS1から完全に離間して前原稿MS1に対して搬送力を付与しない状態となる。
【0061】
その後、前原稿MS1が給紙ベルト84、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66によって搬送されていくと、やがて図22に示すように、その後端が後端検知センサS3による後端検知位置を通過する。コントローラは、後端検知センサS3によって前原稿MS1の後端が検知されたことをトリガーにして、図中矢印dで示されるようにピックアップローラ80を下降させ始める。下降したピックアップローラ80が次原稿MS2に当接すると、図23で示されるように、コントローラはピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2の送り出しを開始する。
【0062】
かかる構成では、後端検知センサS3を分離ニップの出口近傍に配設できず、分離ニップの出口よりも下流側にある程度進んだ位置に配設せざるを得ない。このため、分離ニップを抜け出てからある程度進んだ前原稿MS1の後端を検知したタイミングを、次原稿MS2の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。更に、前述のタイミングでただ値にピックアップローラ80の回転駆動を開始させることができず、それに先立ってピックアップローラ80を下降させて原稿の束に当接させる準備動作が必要になることが、シート間距離を更に広げてしまう原因になっていた。
【0063】
次に、本発明者らが開発している途中のADF51について説明する。この開発中のADF51では、実施形態に係るADF51と同様に、第1先端検知センサS1、第2先端検知センサS2、及び第3長さ検知センサS4を備えている(図5参照)。第3長さ検知センサS4は、原稿の搬送方向において、所定の基準長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。この第3長さ検知センサS4によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、基準長さ以下であることになる。
【0064】
第2先端検知センサS2は、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている基準長さの前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。原稿載置部に対して、搬送方向の長さが基準長さ以下である原稿の束が載置されたとする。すると、第3長さ検知センサS4によって基準長さ以下であることが検知される。この場合、前原稿MS1の先端が第2先端検知センサS2によって検知されたタイミングでは、前原稿MS1の後端がピックアップローラによるピックアップ位置を確実に抜けている。また、同タイミングよりも前に、前原稿MS1と一緒に次原稿MS2が原稿載置部から送り出されていたとしても、次原稿MS2はリバースローラ85によって確実に原稿載置部に戻されている。よって、前記タイミングが到来した後には、それまで原稿の束から離間させていたピックアップローラ80を原稿の束に接触させてもかまわない。そこで、開発中のADF51においては、原稿載置部に載置された原稿の長さについて基準長さ以下であることが第3長さ検知センサS4によって検知された場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングに代えて、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始させる。かかる構成では、同後端検知タイミングをトリガーにする場合に比べて、ピックアップローラ80の下降をより早い時点から開始することができる。
【0065】
第2先端検知センサS2よりも原稿搬送方向の下流側に位置している第1先端検知センサS1は、基準長さの前原稿MS1の後端が、給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップを通過した瞬間に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。搬送方向の長さが基準長さ以下である前原稿MS1の先端が第1先端検知センサS1によって検知されたタイミングでは、前原稿MS1の後端が分離ニップを確実に抜けた直後であり、且つ、後端検知センサS3による後端検知位置よりもかなり上流側に位置している。コントローラは、このタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2を原稿載置部から送り出し始める。
【0066】
このように、開発中のADF51は、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、且つ、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始することで、基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0067】
しかしながら、このADF51において、基準長さよりもかなり短い原稿が用いられた場合に、その原稿の先端が第2先端検知センサS2による先端検知位置を通過したときに、既にその原稿の後端が後端検知センサS3による後端検知位置を抜けてしまっていることがある。この場合、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングでピックアップローラ80の下降を開始すると、従来のように後端検知タイミングで下降を開始する場合よりも、シート間距離を却って長くしてしまうことになる。
【0068】
次に、実施形態に係る複写機のADF51の特徴的な構成について説明する。なお、実施形態に係る複写機の画像形成部(1)は、最大でA3サイズの記録シートに対して画像を形成することができる。A3サイズの記録シートが用いられる場合、その記録シートは、長手方向(縦方向)をシート搬送方向に沿わせる姿勢でセットされる。各色の感光体の軸線方向の長さや、中間転写ベルトの幅方向の長さは、A3サイズの短手方向(横方向)サイズである210[mm]よりも少し大きくなっている。また、ADF51は、最大でA3サイズの原稿の画像を読み取ることができる。A3サイズの原稿が用いられる場合、その原稿は、縦方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢でセットされる。近年においては、A4サイズの書類が最も多く使用されているため、ADF51による原稿の連続搬送は、一般にA4サイズの原稿で行われることが多い。A4サイズの原稿は、縦方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢、横方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢の何れでセットされたとしても、その原稿を適切に搬送することができる。但し、後者の姿勢でセットされた方が、前者の姿勢でセットされる場合よりも、搬送方向の長さが小さくなるので、より速い速度で原稿を読み取ることができる。このため、後者の姿勢でセットされたA4サイズの原稿を連続読み取りする連続読取動作の需要が最も高い。そこで、実施形態に係る複写機においては、後者の姿勢でセットされたA4サイズの原稿の横方向長さを、基準長さとしており、かかる原稿の連続読取動作におけるシート間距離を従来よりも短くするようになっている。但し、本発明における基準長さは、A4サイズの横方向長さに限定されるものではない。
【0069】
図8は、実施形態に係る複写機のADF51における原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、及びターン部Dを示す部分構成図である。第3長さ検知センサS4は、既に説明したように、搬送方向において、基準長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。A4サイズの横方向長さは210[mm]であるが、実施形態に係る複写機においては、僅かな誤差寸法αを加味して、原稿載置部Aにおける原稿先端突き当て位置から第3長さ検知センサS4までの距離L1を、210+誤差寸法α[mm]に設定している。この第3長さ検知センサS4によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、210[mm]以下であることになる。
【0070】
プルアウトローラ対86よりも搬送方向下流側に位置している第2先端検知センサS2は、次のような位置に配設されている。即ち、図9に示すように、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている、長さ=210[mm]の前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置である。このような検知を可能にするために、実施形態に係る複写機においては、原稿載置部の先端から第2先端検知センサS2による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離L2を、「210+誤差寸法α[mm]」に設定している。コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて第3長さ検知センサS4によって基準長さ以下(210mm以下)であることが検知された場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始させる。かかる構成では、後端検知センサS3による後端検知タイミングをトリガーにする場合に比べて、ピックアップローラ80の下降をより早い時点から開始することができる。
【0071】
中間ローラ対66よりも搬送方向の下流側に位置している第1先端検知センサS1は、図10に示すように、長さ=210[mm]の前原稿MS1の後端が、給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップを通過した瞬間に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。かかる検知を可能にするために、実施形態に係る複写機においては、分離ニップの出口から第1先端検知センサS1による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離L3を、「210+誤差寸法α[mm]」に設定している。コントローラは、前原稿MS1の先端が第1先端検知センサS1によって検知されたタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2を原稿載置部から送り出し始める。
【0072】
このように、実施形態に係る複写機のADF51は、開発中のADF51と同様に、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、且つ、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始することで、長さ=210[mm]の原稿のシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0073】
ここまでの構成は、開発中のADFと同様である。実施形態に係る複写機のADF51が開発中のADFと異なっている点は、原稿載置部に載置された原稿のサイズを検知する方法にある。実施形態に係るADF51は、第3長さ検知センサS4による検知結果の他に、所定の情報を取得することで、原稿載置部上に載置された原稿の搬送方向の長さについて、「210mm以下であるか否か」ではなく、「210mmであるか否か(基準サイズであるか否か)」を検知することができる。より詳しくは、先に示した図6では、便宜上、図示を省略していたが、コントローラ100には、第1〜第3長さ検知センサ(57、58、S4)に加えて、第4長さ検知センサも接続されている。この第4長さ検知センサは、原稿載置部上に基準長さよりも僅かに短い原稿(210mm−誤差寸法α)が載置された場合に、その原稿の後端をギリギリ検知する位置に配設されている。よって、第3長さ検知センサS4によって検知されず、且つ第4長さ検知センサによって検知される原稿は、搬送方向の長さが基準長さ(=210mm)であることになる。このように、第3長さ検知センサS4による検知結果と、第4長さ検知センサによる検知結果との組み合わせにより、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、基準長さ(=210mm)であるか否かを検知する。
【0074】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さを検知した結果、長さについて基準長さであると判定した場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにしてピックアップローラ80の下降を開始することで、従来よりもシート間距離を縮める。これに対し、基準長さでないと判定した場合には、図11に示すように、後端検知センサS3による後端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始する。これにより、基準長さ(=210mm)よりも短い原稿のシート間距離を従来よりも延長してしまうことを回避することができる。
【0075】
なお、ADF51について詳しく説明してきたが、実施形態に係る複写機においては、先に図1に示した手差しトレイ38からレジストローラ対33を経て2次転写ニップに至るまでのシート搬送を行うシート搬送装置も、ADF51と同様の構成になっている。但し、このシート搬送装置は、ターン部(D)を具備しておらず、手差しトレイ38から送り出された記録シートを上下反転させることなく、2次転写ニップに送り込む。この点の他は、ADF51とほぼ同様の構成になっている。よって、手差しトレイ38上に基準長さの記録シートが載置された場合に、その記録シートのシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0076】
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した実施例の複写機について説明する。
図12は、実施例に係る複写機のADF51における原稿載置部Aと、分離搬送部Bと、レジスト部Cと、ターン部とを示す部分構成図である。同図においては、原稿載置部Aの可動原稿テーブル53bを可動範囲内における最下位に位置させている状態を示している。この最下位の位置が、可動原稿テーブル53bのホームポジションであり、このホームポジションでは可動原稿テーブル53bの先端部がピックアップローラ90から遠く離れた場所に位置している。この状態で図示のように原稿MSの束が可動原稿テーブル53b上に載置されて図示しないコピースタートボタンが押されると、底板昇降モータ105の正転駆動により、図13に示されるように、可動原稿テーブル53bがピックアップローラ80との当接位置に向けて上昇される。
【0077】
分離搬送部Bは、給紙ベルト84の近傍に、原稿上面レベル検知センサ59を有している。この原稿上面レベル検知センサ59は、可動原稿テーブル53bの先端部における原稿の高さ位置を検知するものであり、実施形態に係るADFや従来のADFにも搭載されているものである。可動原稿テーブル53b上に載置される原稿MSの束の厚さは、一定ではない。にもかかわらず、どのような厚さの束が載置されても、その束の上面レベルをピックアップローラ80に適切な圧力で当接させ得る一定の高さに維持する必要がある。そこで、原稿上面レベル検知センサ59により、可動原稿テーブル53b上の原稿束の上面レベルを検知している。コピースタートボタンが押されたときには、原稿上面レベル検知センサ59による検知結果が所定の基準高さになった時点で、底板昇降モータ105の正転駆動が停止される。これにより、可動原稿テーブル53b上の原稿束の原稿MSが適切な圧力でピックアップローラ80に当接した状態で、可動原稿テーブル53bの上昇が停止する。
【0078】
その後、可動原稿テーブル53b上の原稿MSの連続搬送が開始すると、原稿の送り出し枚数の増加に従って、原稿束の厚みが減少していくことから、そのままでは原稿MSが適切な圧力でピックアップローラ80に接触しなくなってしまう。そこで、連続搬送中には、原稿上面レベル検知センサ59によって原稿上面レベルの減少が検知されると、コントローラはその分に対応する時間だけ底板昇降モータ105を正転駆動して、ピックアップローラに対する原稿MSの当接圧力を復活させる。
【0079】
底板昇降モータ105は、DCサーボモータからなるものである。従来のADFにおいては、この底板昇降モータの消費電流を検知する電流計を設け、この電流計による検知結果が所定の閾値を超えた段階で、底板昇降モータ105を緊急停止させるようにするのが一般的である。これは、可動原稿テーブル53b上であって且つ原稿上面レベル検知センサ59に検知されない位置に異物などが置かれ、可動原稿テーブル53bの上昇中にその異物が周囲の何らかの部材に引っ掛かった場合に、その部材を破損することなくテーブルの上昇を緊急停止させるためである。可動原稿テーブル53bを上昇させているときの底板昇降モータ105の消費電流は、可動原稿テーブル53b上にかかる鉛直方向上方から下方に向けての負荷Fに相関する。負荷Fが大きくなるほど、消費電流値が増加するのである。そして、この負荷Fは、可動原稿テーブル53b上におかれた原稿MSの質量、サイズ、及び姿勢の組み合わせに相関する。
【0080】
図14は、原稿載置部(A)に載置される原稿MSの質量、サイズ及び姿勢と、原稿MSの位置との関係を示す模式図である。同図における一点鎖線Lxは、図示しない可動原稿テーブル(53b)の揺動軸線の位置を示している。つまり、図示しない可動原稿テーブルは、一点鎖線Lx上に延在する揺動軸線を中心にして、一点鎖線Lxよりも図中左側に存在している箇所を上下動させるのである。
【0081】
可動原稿テーブル上の原稿の後端までの距離が短くなるものから順に、原稿の姿勢を列記すると、A5横>A5縦=A4横>A4縦>A3縦という順になる。そして、それらの姿勢で、原稿束の重量が互いに同じである場合には、その順で、負荷Fが大きくなる。これは、揺動軸からの距離が大きくなるほど、テコの原理が大きく作用するからである。このように、負荷Fは、可動原稿テーブル53b上におかれた原稿MSの束の質量、サイズ、及び姿勢の組み合わせに相関するのである。
【0082】
また、原稿MSの質量[g]は、原稿MSの束の厚み[mm]と相関するので、負荷Fと原稿MSの束の厚み(質量の代替特性)とに基づいて、原稿MSのサイズ、及び姿勢を特定できる可能性がある。
【0083】
そこで、本発明者らは、まず、株式会社リコー社製の普通紙(80g/cm2紙)について、その束の厚み[mm]と、質量[g]との関係を調べた。この結果を、図15のグラフと、次の表1とに示す。なお、それらグラフや表では、原稿の厚みの代わりに、枚数[枚]を示しているが、原稿1枚の厚さは約0.1[mm]である。原稿のサイズや姿勢にかかわらず、原稿の質量[g]は、原稿束の厚みと良好な相関関係を示す。
【表1】
【0084】
次に、本発明者らは、A5横、A5縦、A4横、A4縦、A3縦の5通りについて、原稿束の質量[g]から原稿束の厚さ[mm]を求め、且つ原稿束の質量[g]及び原稿の後端位置から揺動軸までの距離に基づいて、負荷F[gf・cm]を計算した。負荷Fについては、底板昇降モータ105から可動原稿テーブル53bに至るまでの駆動伝達系内で所定の減速比で減速させる条件で計算した。この計算に基づいて得られた原稿のサイズ及び姿勢と負荷F[gf・cm]との関係を次の表2に示す。また、負荷F[gf・cm]と原稿束の厚さ[mm]との関係を図16のグラフに示す。なお、以下、原稿のサイズ及び姿勢の組み合わせを「載置態様」という。
【表2】
【0085】
図16のグラフからわかるように、原稿束の厚さ[mm]が比較的小さい場合には、各「載置態様」にそれぞれ個別に対応するグラフが互いに近い位置に存在することから、負荷F及び厚さの組み合わせに基づいて「載置態様」を精度良く特定することが困難である。しかし、原稿束の厚さ[mm]が比較的大きい場合には、各「載置態様」にそれぞれ個別に対応するグラフが互いにある程度の距離をおいて存在することから、負荷F及び厚さの組み合わせに基づいて「載置態様」を精度良く特定することが可能になる。より詳しくは、厚さ20[mm]以上であれば、A5横と、A4横やA5縦とを精度良く区別することが可能である。A5縦、A4横は何れも、搬送方向の長さを基準長さ(210mm)にするサイズである。そこで、実施例に係る複写機においては、図16に示したA4横の直線式(以下、A4横直線式という)や、A5縦の直線式(以下、A5縦直線式という)を、コントローラ100のROMに記憶させている。
【0086】
図17は、実施例に係る複写機のADF51のコントローラによって実施される連続搬送処理の処理フローを示すフローチャートである。コントローラは、セットフィラー(62)の押し上げによって原稿がセットされたことを検知すると(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、まず、原稿の搬送方向の長さを特定する。具体的には、第2長さ検知センサ(58)によって原稿が検知されている場合(S2でY)には、原稿の長さをA3縦長さ(420mm)であると判定する(S3)。また、原稿が第2長さ検知センサ(58)によって検知されず(S2でN)且つ第1長さ検知センサ(57)によって検知されている場合(S4でY)には、原稿の長さをA4縦長さ(297mm)であると判定する(S5)。また、原稿が第2長さ検知センサ(58)及び第1長さ検知センサ(57)に検知されず、且つ第3長さ検知センサ(S4)に検知されている場合には(S6でY)、原稿の長さを210[mm]より大きく且つ297[mm]よりも小さいと判定する(S7)。原稿の長さがA3縦長さ、A4縦長さ、210[mm]超〜297[mm]未満の何れかである場合には、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。後端検知タイミングは、後端検知センサ(S3)によって前原稿の後端が検知されたタイミングである。
【0087】
一方、原稿が3つの長さセンサの何れにも検知されない場合には(S6でN)、その後、コピースタートボタンが押されると(S9でY)、可動原稿テーブル(53b)の上昇を開始し(S10)、その直後に、底板昇降モータ(105)の消費電流の計測及び計時処理を開始する(S11)。次いで、原稿上面が基準高さまで移動した時点で底板昇降モータ(105)の正転駆動の停止によって可動原稿テーブルの上昇を停止させるとともに、計時処理を停止させる(S12)。
【0088】
コントローラのROMには、底板昇降モータ(105)の消費電流と、負荷Fとの関係を示す第1アルゴリズムを記憶させている。また、上記S10における計時処理での計時結果と、原稿の厚み[mm]との関係を示す第2アルゴリズムも記憶させている。コントローラは、可動原稿テーブルの上昇を停止させると、次に、前記計時結果と第2アルゴリズムとに基づいて、原稿の厚みを特定する(S13)。そして、原稿の厚みが20[mm](基準厚さ)未満である場合には(S14でN)、原稿の長さについて基準長さであるか否かを精度良く特定することが困難であることから、基準長さ未満であることを想定して(S15)、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。
【0089】
これに対し、原稿の厚みが20[mm]以上である場合には(S14でY)、原稿の長さについて基準長さであるか否かを精度良く特定することが可能であることから、基準長さであるか否かを特定する。具体的には、まず、底板昇降モータ(105)の消費電流と、前記第1アルゴリズムとに基づいて、負荷Fを特定する(S16)。次に、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す2次元座標平面における「負荷Fの特定値及び原稿束の厚さの特定値」の座標を計算する(S17)。この座標が、上述したA4横直線式で表される直線上、あるいはA5縦直線式で表される直線上に存在すれば、原稿は、A4横又はA5縦という載置態様で載置されたことになるので、原稿長さは基準長さ(210mm)である。しかし、たとえA4横又はA5横という載置態様であっても、測定誤差などにより、前述の座標がA4横直線式で表される直線上や、A5縦直線式で表される直線上に位置しないことがある。そこで、コントローラは、その座標を中心とする所定半径の円領域に対して、上述したA4横直線式あるいはA5縦直線式の何れかが交差するか否かを解析し(S18)、何れかが交差する場合には、原稿の長さについて基準長さであると判定する(S19)。その後、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、第2先端検知センサ(S2)による先端検知タイミングを選択する(S20)。また、交差しない場合には、原稿の長さについて基準長さ未満であると判定し(S15)、同トリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。
【0090】
かかる構成においては、原稿の長さについて、基準長さ以下であるか否かを検知するための第3長さ検知センサS3に加えて、基準長さよりも僅かに小さいサイズであるか否かを検知するための第4長さ検知センサS4を配設することなく、基準長さであるか否かを特定することができる。
【0091】
次に、実施例に係る複写機に、更なる特徴的な構成を付加した具合例の複写機について説明する。
図18は、具体例に係る複写機のADF51における原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、及びターン部Dを示す部分構成図である。このADF51は、第4長さ検知センサS5、A5横用第1先端検知センサS1’、及びA5横用第2先端検知センサS2’を具備している。第4長さ検知センサS5は、搬送方向において、第2基準長さであるA5横長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。A5サイズの横方向長さは148[mm]であるが、具体例に係る複写機においては、僅かな誤差寸法αを加味して、原稿載置部Aにおける原稿先端突き当て位置から第4長さ検知センサS5までの距離L4を、148+誤差寸法α[mm]に設定している。この第4長さ検知センサS5によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、148[mm]以下であることになる。
【0092】
コントローラのROMには、図16に示したA5横のグラフの直線式(以下、A5横直線式という)を記憶させている。
【0093】
プルアウトローラ対86と第2先端検知センサS2との間に配設されたA5横用第2センタ検知センサS2’は、次のような位置に配設されている。即ち、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている、長さ=148[mm]の前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置である。このような検知を可能にするために、具体例に係る複写機においては、原稿載置部の先端からA5横用第2先端検知センサS2’による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離を、「148+誤差寸法α[mm]」に設定している。
【0094】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて第4長さ検知センサS5によって第2基準長さ以下(=A5横長さ=148mm以下)であることが検知された場合には、原稿長さについて、第2基準長さであるか否かを特定する。具体的には、計時処理による計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、消費電流に基づいて特定される負荷Fとの組み合わせの2次元座標平面における座標を中心とする所定半径の円領域に対し、A5横直線式が交差する場合には、原稿の長さについて、第2基準長さ(=148mm)であると判定する。これに対し、交差しない場合には、原稿の長さについて第2基準長さ未満であると判定する。
【0095】
また、コントローラは、原稿の長さについて、第2基準長さであると判定した場合には、A5横用第2先端検知センサS2’による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始する。また、A5横用第1先端検知センサS1’による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の回転駆動を開始する。一方、原稿の長さについて、第2基準長さ未満であると判定した場合には、後端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始した後、ピックアップローラ80の回転駆動を開始する。
【0096】
次に、具体例に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した詳細例の複写機について説明する。詳細例に係る複写機のADF51においては、上述したA4横直線式に代えて、後述する近A4横直線式をコントローラのROMに記憶させている。また、上述したA5縦直線式に代えて、後述する近A5縦直線式をコントローラのROMに記憶させている。また、上述したA5横直線式に代えて、後述する近A5横直線式をコントローラのROMに記憶させている。
【0097】
近A4横直線式は、縦方向の寸法がA4と同じ297[mm]であり、且つ横方向の寸法がA4よりも少し短い200[mm]である普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。また、近A5縦直線式は、縦方向の寸法がA5よりも少し短い200[mm]であり、且つ横方向の寸法がA5と同じ148[mm]である普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。また、近A5横直線式は、縦方向の寸法がA5と同じ210[mm]であり、且つ横方向の寸法がA5よりも少し短い140[mm]であるの普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。
【0098】
第1先端検知センサS1、第2先端検知センサS2、後端検知センサS4、第3長さ検知センサS4、第4長さ検知センサS5、A5横用第1先端検知センサS1’、A5横用第2先端検知センサS2’の配設位置は、具体例に係る複写機と同じである。
【0099】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、第3長さ検知センサS4による検知結果と、上記計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、上記消費電流に基づいて特定される負荷Fと、近A4横直線式と、近A5縦直線式とに基づいて、第1基準長さ(210mm)以下であり、且つ所定の第1下限としての200[mm](近A4横、近A5縦)以上であるという第1条件を満たすか否かを判定する。そして、第1条件を満たす場合に、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにし、且つ第1先端検知センサS1による先端検知タイミングをピックアップローラ80の回転駆動開始のトリガーにする。
【0100】
また、コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、第4長さ検知センサS5による検知結果と、上記計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、上記消費電流に基づいて特定される負荷Fと、近A5横直線式とに基づいて、第2基準長さ(148mm)以下であり、且つ所定の第2下限としての140[mm](近A5横)以上であるという第2条件を満たすか否かを判定する。そして、第2条件を満たす場合に、A5横用第2先端検知センサS2’による先端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにし、且つA5横用第1先端検知センサS1’による先端検知タイミングをピックアップローラ80の回転駆動開始のトリガーにする。
【0101】
また、コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにする。
【0102】
載置態様が近A4横や近A5縦である場合、原稿の先端が第2先端検知センサS2によって検知されたとき、原稿の後端は後端検知センサS3の下にまだ到達していない。このタイミングでピックアップローラ80の下降を開始することで、後端検知センサS3による後端検知タイミングで下降を開始する場合に比べて、シート間距離を短くすることができる。つまり、原稿の長さが第1基準長さ(210mm)である場合だけでなく、200〜210[mm]である場合に、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0103】
また、載置態様がA5横である場合、原稿の先端がA5用第2先端検知センサS2’によって検知されたとき、原稿の後端は後端検知センサS3の下にまだ到達していない。このタイミングでピックアップローラ80の下降を開始することで、後端検知センサS3による後端検知タイミングで下降を開始する場合に比べて、シート間距離を短くすることができる。つまり、原稿の長さが第2基準長さ(148mm)である場合だけでなく、140〜148[mm]である場合に、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0104】
以上、詳細例に係る複写機においては、原稿載置部A上に載置された原稿の搬送方向長さについて、所定の第1基準長さや第2基準長さであるか否かを検知することに代えて、第1基準長さ以下で且つ第1下限以上であるという第1条件を満たすか否かや(200〜210mm)、第2基準長さ以下で且つ第2下限以上であるという第2条件を満たすか否か(140〜148mm)を検知するように、長さ検知手段を構成している。そして、第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、ピックアップローラ下降開始タイミングとして、後端検知センサS3による後端検知タイミングを採用する。この一方で、第1条件又は第2条件を満たす場合には、ピックアップローラ下降開始タイミングとして、先端検知センサによる先端検知タイミングを採用する。かかる構成では、原稿の長さが第1基準長さや第2基準長さである場合だけでなく、第1基準長さ以下で且つ第1下限以上である場合や、第2基準長さ以下で且つ第2基準長さ以上である場合にも、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0105】
また、実施例に係る複写機のADF51においては、原稿載置部Aの可動原稿テーブル53bとして、送出動作位置としてのピックアップ位置にあるピックアップローラ80に対して原稿束の原稿を原稿束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いている。そして、可動原稿テーブル53bの昇降方向における位置を昇降位置検知手段たるコントローラによる計時処理結果によって検知した結果と、可動原稿テーブル53bの上昇動作時の負荷F(駆動負荷)を駆動負荷検知手段たる電流計によって検知した結果と、原稿載置部Aに載置された原稿の搬送方向長さについて基準長さ(=210mm)以下であるか否かを基準センサたる第3長さ検知センサS3によって検知した結果とに基づいて、原稿の搬送方向長さについて基準長さであるか否かを判定する処理を実施するように、長さ検知手段の一部として機能するコントローラを構成している。かかる構成では、既に説明したように、原稿の長さについて、基準長さ以下であるか否かを検知するための第3長さ検知センサS3に加えて、基準長さよりも僅かに小さいサイズであるか否かを検知するための第4長さ検知センサS4を配設することなく、基準長さであるか否かを特定することができる。
【0106】
また、実施形態に係る複写機においては、送出手段たるピックアップローラ80として、シート送り出し動作たる回転駆動に先立って、回転駆動による送り出しを可能にするための準備動作たる下降動作を行うものを用いている。そして、送出開始基準位置で原稿の先端を検知する第1先端検知手段たる第1先端検知センサS1の他に、所定の準備開始基準位置で原稿の先端を検知する第2先端検知手段たる第2先端検知センサS2を設け、原稿の長さが基準長さである場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングに基づいてピックアップローラ80の下降を開始させた後、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングに基づいてピックアップを開始させる処理を実施するように、制御手段たるコントローラを構成している。かかる構成では、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングをトリガーにしてピックアップローラ80の下降を開始させる場合に比べて、基準長さの原稿のシート間距離を縮めることができる。
【0107】
また、実施形態に係る複写機においては、ピックアップローラ80の出口から第2先端検知センサS2による先端検知位置に至るまでの原稿搬送経路の長さ(L2)を、基準長さよりも大きくするとともに、分離搬送部Bの分離ニップの出口から第1先端検知センサS1による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さ(L3)を、基準長さよりも大きくしている。かかる構成では、基準長さの原稿について、後端をピックアップローラ80から抜け出させた後に先端を第2先端検知センサS2によって検知させ、且つ、後端を分離ニップから抜け出させた後に先端を第1先端検知センサS1によって検知させることができる。
【0108】
また、具体例に係る複写機においては、原稿載置部A上に載置された原稿の搬送方向長さについて、基準長さとしての第1基準長さ(210mm)であるか否かに加えて、第2基準長さ(148mm)であるか否かも検知するようにコントローラ100、第3長さ検知センサS4、第4長さ検知センサS5などからなる長さ検知手段を構成している。そして、第1基準長さに対応する位置で原稿の先端を検知する第1基準長さ用先端検知手段たる第1先端検知センサS1の他に、第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段たるA5横用第1先端検知センサS1’を設けている。更に、原稿の長さが第1基準長さである場合には、第1先端検知センサによる先端検知タイミングをピックアップ開始のトリガーにし、原稿の長さが第2基準長さである場合には、A5横用先端検知センサS1’による先端検知タイミングを同トリガーにし、且つ原稿の長さが第1基準長さ及び第2基準長さの何れでもない場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングを同トリガーにする処理を実施するように、コントローラを構成している。かかる構成では、第1基準長さの原稿や、第2基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも大幅に縮めつつ、第2基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも広げてしまうことを回避することができる。
【符号の説明】
【0109】
MS:原稿(シート材)
A:原稿載置部(載置部)
B:分離搬送部(分離手段)
S1:第1先端検知センサ(第1先端検知手段、第1基準長さ用先端検知手段)
S1’:A5横用第1先端検知センサ(第1基準長さ用先端検知手段)
S2:第2先端検知センサ(第2先端検知手段)
S3:後端検知センサ(後端検知手段)
S4:第3長さ検知センサ(基準センサ、長さ検知手段の一部)
S5:第4長さ検知センサ(長さ検知手段の一部)
66:中間ローラ対(搬送手段)
80:ピックアップローラ(送出手段)
86:プルアウトローラ対(搬送手段)
100:コントローラ(制御手段、長さ検知手段の一部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2005−324872号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中の原稿シートの画像を順次読み取っていくスルー読取方式の画像読取装置や、搬送中の記録シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。また、それら画像読取装置や画像形成装置に用いられるシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置において、原稿載置部から原稿シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら原稿シートの画像を順次読み取っていく連続読取動作を行う場合には、読取時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。また、画像形成装置において、記録シート載置部から記録シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら記録シートに画像を順次形成していく連続プリント動作を行う場合にも、プリント時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0003】
ところが、載置部から送り出されたシート材を分離手段から抜け出させた直後のタイミングを把握することが困難であることが、シート間距離を短縮する上での足かせになっている。分離手段は、シート材を複数枚重ねた状態で搬送してしまうことを防止するために、載置部から送り出されたシート材を1枚ずつに分離するものである。この分離手段に対して複数のシート材の先端部が互いに重なった状態で進入すると、分離手段は最上位のシート材の先端部を給送方向に搬送する一方で、下位のシート材の先端部を載置部に向けて戻す。これにより、分離手段からは、最上位のシート材だけが排出される。シート間距離をできるだけ短くするためには、シート材の後端が分離手段を抜けた直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。より詳しくは、分離手段においては、例えば特許文献1に記載の自動原稿搬送装置のように、シート材を搬送方向に送るための給送ベルト(又は給送ローラ)と、下位のシート材を載置部に戻すためのリバースローラとの当接による分離ニップで、シート材を1枚に分離するのが一般的である。そして、その分離ニップからシート材の後端が抜け出た直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。ところが、分離ニップの出口の真上には、給送ベルト(又は給紙ローラ)の曲面が給送方向に突き出ている。また、出口の真下には、リバースローラの曲面が給送方向に突き出ている。このため、シート材の後端を検知する後端検知センサについては、分離ニップの出口に配設することができず、出口からある程度離れた位置に配設せざるを得ない。すると、分離ニップを抜け出てからある程度進んだシート材の後端を検知したタイミングを、次のシート材の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。
【0004】
従来、このような大きなシート間距離を空けてしまうことの対策として、次のようなことが行われてきた。即ち、載置部から、画像読取位置や画像形成位置の手前に至るまでの区間では、画像読取位置や画像形成位置におけるシート搬送速度よりも高速でシート材を搬送するのである。こうすることで、送出時に大きく空けてしまったシート間距離を、画像読取や画像形成の開始までにある程度縮めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、技術の進歩によって画像読取速度や画像形成速度の高速化が図られている近年においては、画像読取位置や画像形成位置でもシート材を高速で移動させることが可能になってきたため、前述のようにしてシート間距離を縮めることが困難になってきている。
【0006】
そこで、本発明者らは、次のような新規なシート搬送装置を開発中である。即ち、このシート搬送装置においては、載置台に載置されたシート材のサイズをおおまかに検知するサイズ検知手段を設けている。このサイズ検知手段は、所定サイズよりもほんの少しだけ大きなサイズのシート材が載置された場合に、そのシート材をギリギリ検知できる位置に配設されている。かかるサイズ検知手段によって検知されないシート材は、所定サイズ以下のサイズであることになる。また、このシート搬送装置においては、シート搬送経路の所定位置でシート材の先端を検知する先端検知センサを設けている。この先端検知センサは、前述した所定サイズのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する位置に配設されている。前述したサイズ検知手段によって所定サイズ以下のサイズであることが検知されたシート材の先端が先端検知センサによって検知されたタイミングでは、そのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後なのである。そこで、開発中のシート搬送装置においては、載置部に載置されたシート材のサイズが所定サイズを超える場合には、従来と同様に、上述した後端検知センサによってシート材の後端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。これに対し、シート材のサイズが所定サイズ以下である場合には、先端検知センサによってシート材の先端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出し開始する。かかる構成では、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めて、所定サイズのシート材の連続搬送時間を従来よりも短縮することができる。
【0007】
しかしながら、このシート搬送装置において、所定サイズよりもかなり小さいサイズのシート材が用いられた場合には、従来よりもシート間距離を長くしてしまうことがわかった。具体的には、従来のシート搬送装置では、上述したように、分離手段の分離ニップの出口からある程度下流側にずれた位置に配設された後端検知センサによってシート材の後端を検知したことをトリガーにして、次のシート材の送り出しを開始していた。後端検知センサを分離ニップの出口よりも下流側にずれた位置に配設するのは、出口にセンサ配置スペースがないためであり、そのずれ量は大きくてもせいぜい数cm程度である。一方、開発中のシート搬送装置に搭載されている先端検知センサは、所定サイズのシート材の後端が分離ニップの出口を抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する。所定サイズのシート材が用いられた場合、先端検知センサがシート材の先端を検知したとき、シート材の後端は後端検知センサよりも数cmほど上流側に位置している。このため、先端検知センサは、後端検知センサに比べて、その数cm分のシート搬送に要する時間だけ早く、分離ニップからのシート材の排出を検知することになる。ところが、所定サイズよりも小さいシート材が用いられた場合、先端検知センサによる先端検知タイミングにおけるシート材の後端位置は、シート材のサイズと所定サイズとの差分だけ下流側にシフトすることになる。シート材のサイズが所定サイズよりもかなり小さい場合には、先端検知センサがシート材の先端を検知したとき、シート材の後端が後端検知センサによる後端検知位置を既に通り過ぎている。この場合、先端検知センサによる先端検知タイミングが、後端検知センサによる後端検知タイミングよりも後になってしまうことから、従来よりもシート間距離を長くしてしまうのである。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなシート搬送装置や、これを用いる画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めつつ、所定サイズよりも小さなサイズのシート材のシート間距離を却って延長してしまうことを回避することができるシート搬送装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段とを設けるとともに、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さでない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さである場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知することに代えて、所定の基準長さ以下であり且つ所定の下限以上であるか否かを検知するように前記長さ検知手段を構成し、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上でない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のシート搬送装置において、前記載置部として、所定の送出動作位置にある前記送出手段に対してシート束の最上位シートをシート束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いるとともに、前記載置部の昇降方向における位置を昇降位置検知手段によって検知した結果と、前記載置部の昇降動作時の駆動負荷を駆動負荷検知手段によって検知した結果と、前記載置部に載置されたシート材の搬送方向長さについて前記基準長さ以下であるか否かを基準センサによって検知した結果とに基づいて、シート材の搬送方向長さについて、前記基準長さ以下で且つ前記下限以上であるか否かを判定する処理を実施するように、前記長さ検知手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3のシート搬送装置において、前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、前記所定位置としての送出開始基準位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1先端検知手段の他に、所定の準備開始基準位置でシート材の先端を検知する第2先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた後、前記第1先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記シート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のシート搬送装置において、前記送出手段の出口から前記第2先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくするとともに、前記分離手段のシート分離手段の出口から前記第1先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、前記基準長さたる第1基準長さと同等以下で且つ前記下限たる第1下限以上であるか否かに加えて、前記第1基準長さよりも小さい所定の第2基準長さ以下で且つ所定の第2下限以上であるか否かも検知するように前記長さ検知手段を構成し、前記第1基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1基準長さ用先端検知手段の他に、前記第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記第1基準長さ以下で且つ前記第1下限以上であるという第1条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第1基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、前記検知結果が前記第2基準長さ以下で且つ前記第2下限以上であるという第2条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第2基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、且つ前記検知結果が前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、前記原稿搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、請求項7の画像読取装置を設けて複写機として機能させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、所定サイズのシート材が用いられる場合には、先端検知タイミングを次のシート材の送り出し開始のトリガーにすることで、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めることができる。また、所定サイズよりも小さなサイズのシート材が用いられた場合には、従来と同様に、後端検知タイミングを次のシート材の送り出し開始のトリガーにすることで、そのシート材のシート間距離を却って延長してしまうことを回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFの要部構成を同スキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【図6】同ADFの電気回路の一部を示すブロック図。
【図7】固定画像読取部の電気回路の一部を示すブロック図である。
【図8】同ADFにおける原稿載置部、分離搬送部、レジスト部、及びターン部を示す部分構成図。
【図9】基準長さの前原稿の先端を第2先端検知センサによる先端検知位置に進入させた直後の同ADFを示す部分構成図。
【図10】基準長さの前原稿の先端を第1先端検知センサによる先端検知位置に進入させた直後の同ADFを示す部分構成図。
【図11】基準長さよりも短い長さの前原稿の後端を後端検知センサによる後端検知位置に通した直後の同ADFを示す部分構成図。
【図12】実施例に係る複写機のADFにおける原稿載置部と、分離搬送部と、レジスト部と、ターン部とを示す部分構成図。
【図13】可動原稿テーブルを上昇させた状態の同ADFを示す部分構成図。
【図14】原稿の質量、サイズ及び姿勢と、原稿の位置との関係を示す模式図。
【図15】原稿束の質量と原稿枚数との関係を示すグラフ。
【図16】可動原稿テーブルにかかる負荷Fと原稿束の厚さと原稿の載置態様との関係を示すグラフ。
【図17】同ADFのコントローラによって実施される連続搬送処理の処理フローを示すフローチャート。
【図18】具体例に係る複写機のADFにおける原稿載置部、分離搬送部、レジスト部、及びターン部Dを示す部分構成図。
【図19】従来のADFで、前原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングを説明するための説明図。
【図20】同ADFで、前原稿の先端が分離ニップ部を通過したタイミングを説明するための説明図。
【図21】同ADFで、ピックアップローラの上昇が終わったタイミングを説明するための説明図。
【図22】同ADFで、ピックアップローラの下降が終わったタイミングを説明するための説明図。
【図23】同ADFで、次原稿の搬送が開始され、分離ニップ部に進入する直前のタイミングを説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0013】
シート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つのシート供給カセット42、シート供給カセット42から記録シートを送り出す記録シート送出ローラ43、送り出された記録シートを分離してシート供給路44に供給する記録シート分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側シート供給路37に、シート状部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、シート供給カセット42内の記録シートを画像形成部1内の本体側シート供給路37内に給紙する。
【0014】
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側シート供給路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0015】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0016】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設された各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0017】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0018】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0019】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これらスクリュ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0020】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0021】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0022】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0023】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0024】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0025】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0026】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0027】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。シート供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートPは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に記録シートPの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、記録シートPの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0028】
記録シートPの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートPを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録シートPに一括二次転写され、記録シートPの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0029】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0030】
定着装置34に搬送された記録シートPは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0031】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、記録シート反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートPの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0032】
画像形成部1のレジストローラ対33に対しては、シート供給装置40から送り出された記録シートが送り込まれる他、画像形成部1の側壁に開閉可能に設けられた手差しトレイ38から送り出された記録シートが送り込まれることもある。
【0033】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された図示しない原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0034】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0035】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0036】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0037】
次に、ADF51について説明する。
図5は、シート搬送装置としてのADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。実施形態に係るADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の後端検知センサS3による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
【0038】
原稿載置部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、原稿スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
【0039】
図6は、ADF51の電気回路の一部を示すブロック図である。ADF51のコントローラ100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。このコントローラ100には、各モータ101〜105、113〜115、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)等が接続されている。
【0040】
図7は、固定画像読取部300の電気回路の一部を示すブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等を有している。
【0041】
先に示した図5において、画像の読み取りが行われる原稿MSは、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される原稿載置台53上に、第一面が上向きとなるように載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置決めがなされる。
【0042】
このようにして原稿載置台53にセットされた原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0043】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又は原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の長さ検知センサ(S4、57、58)が配置されている。これらの長さ検知センサによる検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される。
【0044】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。
可動原稿テーブル53bは、底板昇降モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図中矢印a、b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板昇降モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
【0045】
送出手段としてのピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図中矢印c、d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これを原稿上面レベル検知センサ59で検知することにより、原稿上面レベルの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板昇降モータ105が停止する。なお、原稿上面レベルセンサ59としては、ピックアップローラ80を移動可能に保持するピックアップホルダーの被検部材zを検知することで、原稿上面レベルの上限までの上昇を間接的に検知するものを用いた。係る構成のものに代えて、原稿上面レベルを直接的に検知するものを設けてもよい。
【0046】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51のコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、ピックアップ搬送モータ115が駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSを原稿載置部Aから送り出す。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0047】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離手段としての分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0048】
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。この当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッターが設けられており、給紙方向に向かう力がトルクリミッターのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接して分離ニップを形成しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは分離ニップに原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト84又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているため、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。これにより、重送が防止される。
【0049】
給紙ベルト84やリバースローラ85の作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。その後、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ給紙モータ102を駆動させて、停止する。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。そして、突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0050】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対で、プルアウトモータ113により2つのローラのうちの一方が駆動される。
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0051】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
【0052】
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
【0053】
画像読取ユニット50では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0054】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。
【0055】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0056】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
【0057】
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0058】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0059】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0060】
次に、従来のADF51について説明する。
従来のADF51は、図19に示すように、原稿載置部上に載置された原稿MSの束の最上部にある前原稿MS1の上面に当接させたピックアップローラ80を、図中の矢印で示すように回転駆動することで、前原稿MS1を分離部の給紙口48に向けて送り出す。送り出された前原稿MS1は、図20に示すように、分離部における給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップに挟み込まれる。前原稿MS2の先端が分離ニップを通過してしばらくすると、プルアウトローラ対86よりも少し手前に配設された突き当てセンサ72によってその先端が検知される。コントローラ(100)は、突き当てセンサ72が前原稿MS1の先端を検知したことをトリガーにして、図21に示すように、ピックアップローラ80を上昇させる制御をさせて原稿の束から離間させ始める。これにより、前原稿MS1の先端がプルアウトローラ対86を通過するタイミングでは、ピックアップローラ80は前原稿MS1から完全に離間して前原稿MS1に対して搬送力を付与しない状態となる。
【0061】
その後、前原稿MS1が給紙ベルト84、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66によって搬送されていくと、やがて図22に示すように、その後端が後端検知センサS3による後端検知位置を通過する。コントローラは、後端検知センサS3によって前原稿MS1の後端が検知されたことをトリガーにして、図中矢印dで示されるようにピックアップローラ80を下降させ始める。下降したピックアップローラ80が次原稿MS2に当接すると、図23で示されるように、コントローラはピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2の送り出しを開始する。
【0062】
かかる構成では、後端検知センサS3を分離ニップの出口近傍に配設できず、分離ニップの出口よりも下流側にある程度進んだ位置に配設せざるを得ない。このため、分離ニップを抜け出てからある程度進んだ前原稿MS1の後端を検知したタイミングを、次原稿MS2の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。更に、前述のタイミングでただ値にピックアップローラ80の回転駆動を開始させることができず、それに先立ってピックアップローラ80を下降させて原稿の束に当接させる準備動作が必要になることが、シート間距離を更に広げてしまう原因になっていた。
【0063】
次に、本発明者らが開発している途中のADF51について説明する。この開発中のADF51では、実施形態に係るADF51と同様に、第1先端検知センサS1、第2先端検知センサS2、及び第3長さ検知センサS4を備えている(図5参照)。第3長さ検知センサS4は、原稿の搬送方向において、所定の基準長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。この第3長さ検知センサS4によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、基準長さ以下であることになる。
【0064】
第2先端検知センサS2は、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている基準長さの前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。原稿載置部に対して、搬送方向の長さが基準長さ以下である原稿の束が載置されたとする。すると、第3長さ検知センサS4によって基準長さ以下であることが検知される。この場合、前原稿MS1の先端が第2先端検知センサS2によって検知されたタイミングでは、前原稿MS1の後端がピックアップローラによるピックアップ位置を確実に抜けている。また、同タイミングよりも前に、前原稿MS1と一緒に次原稿MS2が原稿載置部から送り出されていたとしても、次原稿MS2はリバースローラ85によって確実に原稿載置部に戻されている。よって、前記タイミングが到来した後には、それまで原稿の束から離間させていたピックアップローラ80を原稿の束に接触させてもかまわない。そこで、開発中のADF51においては、原稿載置部に載置された原稿の長さについて基準長さ以下であることが第3長さ検知センサS4によって検知された場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングに代えて、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始させる。かかる構成では、同後端検知タイミングをトリガーにする場合に比べて、ピックアップローラ80の下降をより早い時点から開始することができる。
【0065】
第2先端検知センサS2よりも原稿搬送方向の下流側に位置している第1先端検知センサS1は、基準長さの前原稿MS1の後端が、給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップを通過した瞬間に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。搬送方向の長さが基準長さ以下である前原稿MS1の先端が第1先端検知センサS1によって検知されたタイミングでは、前原稿MS1の後端が分離ニップを確実に抜けた直後であり、且つ、後端検知センサS3による後端検知位置よりもかなり上流側に位置している。コントローラは、このタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2を原稿載置部から送り出し始める。
【0066】
このように、開発中のADF51は、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、且つ、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始することで、基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0067】
しかしながら、このADF51において、基準長さよりもかなり短い原稿が用いられた場合に、その原稿の先端が第2先端検知センサS2による先端検知位置を通過したときに、既にその原稿の後端が後端検知センサS3による後端検知位置を抜けてしまっていることがある。この場合、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングでピックアップローラ80の下降を開始すると、従来のように後端検知タイミングで下降を開始する場合よりも、シート間距離を却って長くしてしまうことになる。
【0068】
次に、実施形態に係る複写機のADF51の特徴的な構成について説明する。なお、実施形態に係る複写機の画像形成部(1)は、最大でA3サイズの記録シートに対して画像を形成することができる。A3サイズの記録シートが用いられる場合、その記録シートは、長手方向(縦方向)をシート搬送方向に沿わせる姿勢でセットされる。各色の感光体の軸線方向の長さや、中間転写ベルトの幅方向の長さは、A3サイズの短手方向(横方向)サイズである210[mm]よりも少し大きくなっている。また、ADF51は、最大でA3サイズの原稿の画像を読み取ることができる。A3サイズの原稿が用いられる場合、その原稿は、縦方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢でセットされる。近年においては、A4サイズの書類が最も多く使用されているため、ADF51による原稿の連続搬送は、一般にA4サイズの原稿で行われることが多い。A4サイズの原稿は、縦方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢、横方向をシート搬送方向に沿わせる姿勢の何れでセットされたとしても、その原稿を適切に搬送することができる。但し、後者の姿勢でセットされた方が、前者の姿勢でセットされる場合よりも、搬送方向の長さが小さくなるので、より速い速度で原稿を読み取ることができる。このため、後者の姿勢でセットされたA4サイズの原稿を連続読み取りする連続読取動作の需要が最も高い。そこで、実施形態に係る複写機においては、後者の姿勢でセットされたA4サイズの原稿の横方向長さを、基準長さとしており、かかる原稿の連続読取動作におけるシート間距離を従来よりも短くするようになっている。但し、本発明における基準長さは、A4サイズの横方向長さに限定されるものではない。
【0069】
図8は、実施形態に係る複写機のADF51における原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、及びターン部Dを示す部分構成図である。第3長さ検知センサS4は、既に説明したように、搬送方向において、基準長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。A4サイズの横方向長さは210[mm]であるが、実施形態に係る複写機においては、僅かな誤差寸法αを加味して、原稿載置部Aにおける原稿先端突き当て位置から第3長さ検知センサS4までの距離L1を、210+誤差寸法α[mm]に設定している。この第3長さ検知センサS4によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、210[mm]以下であることになる。
【0070】
プルアウトローラ対86よりも搬送方向下流側に位置している第2先端検知センサS2は、次のような位置に配設されている。即ち、図9に示すように、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている、長さ=210[mm]の前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置である。このような検知を可能にするために、実施形態に係る複写機においては、原稿載置部の先端から第2先端検知センサS2による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離L2を、「210+誤差寸法α[mm]」に設定している。コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて第3長さ検知センサS4によって基準長さ以下(210mm以下)であることが検知された場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始させる。かかる構成では、後端検知センサS3による後端検知タイミングをトリガーにする場合に比べて、ピックアップローラ80の下降をより早い時点から開始することができる。
【0071】
中間ローラ対66よりも搬送方向の下流側に位置している第1先端検知センサS1は、図10に示すように、長さ=210[mm]の前原稿MS1の後端が、給紙ベルト84とリバースローラ85との当接による分離ニップを通過した瞬間に、前原稿MS1の先端を検知する位置に配設されている。かかる検知を可能にするために、実施形態に係る複写機においては、分離ニップの出口から第1先端検知センサS1による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離L3を、「210+誤差寸法α[mm]」に設定している。コントローラは、前原稿MS1の先端が第1先端検知センサS1によって検知されたタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始して、次原稿MS2を原稿載置部から送り出し始める。
【0072】
このように、実施形態に係る複写機のADF51は、開発中のADF51と同様に、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、且つ、従来よりも早いタイミングでピックアップローラ80の回転駆動を開始することで、長さ=210[mm]の原稿のシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0073】
ここまでの構成は、開発中のADFと同様である。実施形態に係る複写機のADF51が開発中のADFと異なっている点は、原稿載置部に載置された原稿のサイズを検知する方法にある。実施形態に係るADF51は、第3長さ検知センサS4による検知結果の他に、所定の情報を取得することで、原稿載置部上に載置された原稿の搬送方向の長さについて、「210mm以下であるか否か」ではなく、「210mmであるか否か(基準サイズであるか否か)」を検知することができる。より詳しくは、先に示した図6では、便宜上、図示を省略していたが、コントローラ100には、第1〜第3長さ検知センサ(57、58、S4)に加えて、第4長さ検知センサも接続されている。この第4長さ検知センサは、原稿載置部上に基準長さよりも僅かに短い原稿(210mm−誤差寸法α)が載置された場合に、その原稿の後端をギリギリ検知する位置に配設されている。よって、第3長さ検知センサS4によって検知されず、且つ第4長さ検知センサによって検知される原稿は、搬送方向の長さが基準長さ(=210mm)であることになる。このように、第3長さ検知センサS4による検知結果と、第4長さ検知センサによる検知結果との組み合わせにより、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、基準長さ(=210mm)であるか否かを検知する。
【0074】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さを検知した結果、長さについて基準長さであると判定した場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをトリガーにしてピックアップローラ80の下降を開始することで、従来よりもシート間距離を縮める。これに対し、基準長さでないと判定した場合には、図11に示すように、後端検知センサS3による後端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始する。これにより、基準長さ(=210mm)よりも短い原稿のシート間距離を従来よりも延長してしまうことを回避することができる。
【0075】
なお、ADF51について詳しく説明してきたが、実施形態に係る複写機においては、先に図1に示した手差しトレイ38からレジストローラ対33を経て2次転写ニップに至るまでのシート搬送を行うシート搬送装置も、ADF51と同様の構成になっている。但し、このシート搬送装置は、ターン部(D)を具備しておらず、手差しトレイ38から送り出された記録シートを上下反転させることなく、2次転写ニップに送り込む。この点の他は、ADF51とほぼ同様の構成になっている。よって、手差しトレイ38上に基準長さの記録シートが載置された場合に、その記録シートのシート間距離を従来よりも大幅に短くすることができる。
【0076】
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した実施例の複写機について説明する。
図12は、実施例に係る複写機のADF51における原稿載置部Aと、分離搬送部Bと、レジスト部Cと、ターン部とを示す部分構成図である。同図においては、原稿載置部Aの可動原稿テーブル53bを可動範囲内における最下位に位置させている状態を示している。この最下位の位置が、可動原稿テーブル53bのホームポジションであり、このホームポジションでは可動原稿テーブル53bの先端部がピックアップローラ90から遠く離れた場所に位置している。この状態で図示のように原稿MSの束が可動原稿テーブル53b上に載置されて図示しないコピースタートボタンが押されると、底板昇降モータ105の正転駆動により、図13に示されるように、可動原稿テーブル53bがピックアップローラ80との当接位置に向けて上昇される。
【0077】
分離搬送部Bは、給紙ベルト84の近傍に、原稿上面レベル検知センサ59を有している。この原稿上面レベル検知センサ59は、可動原稿テーブル53bの先端部における原稿の高さ位置を検知するものであり、実施形態に係るADFや従来のADFにも搭載されているものである。可動原稿テーブル53b上に載置される原稿MSの束の厚さは、一定ではない。にもかかわらず、どのような厚さの束が載置されても、その束の上面レベルをピックアップローラ80に適切な圧力で当接させ得る一定の高さに維持する必要がある。そこで、原稿上面レベル検知センサ59により、可動原稿テーブル53b上の原稿束の上面レベルを検知している。コピースタートボタンが押されたときには、原稿上面レベル検知センサ59による検知結果が所定の基準高さになった時点で、底板昇降モータ105の正転駆動が停止される。これにより、可動原稿テーブル53b上の原稿束の原稿MSが適切な圧力でピックアップローラ80に当接した状態で、可動原稿テーブル53bの上昇が停止する。
【0078】
その後、可動原稿テーブル53b上の原稿MSの連続搬送が開始すると、原稿の送り出し枚数の増加に従って、原稿束の厚みが減少していくことから、そのままでは原稿MSが適切な圧力でピックアップローラ80に接触しなくなってしまう。そこで、連続搬送中には、原稿上面レベル検知センサ59によって原稿上面レベルの減少が検知されると、コントローラはその分に対応する時間だけ底板昇降モータ105を正転駆動して、ピックアップローラに対する原稿MSの当接圧力を復活させる。
【0079】
底板昇降モータ105は、DCサーボモータからなるものである。従来のADFにおいては、この底板昇降モータの消費電流を検知する電流計を設け、この電流計による検知結果が所定の閾値を超えた段階で、底板昇降モータ105を緊急停止させるようにするのが一般的である。これは、可動原稿テーブル53b上であって且つ原稿上面レベル検知センサ59に検知されない位置に異物などが置かれ、可動原稿テーブル53bの上昇中にその異物が周囲の何らかの部材に引っ掛かった場合に、その部材を破損することなくテーブルの上昇を緊急停止させるためである。可動原稿テーブル53bを上昇させているときの底板昇降モータ105の消費電流は、可動原稿テーブル53b上にかかる鉛直方向上方から下方に向けての負荷Fに相関する。負荷Fが大きくなるほど、消費電流値が増加するのである。そして、この負荷Fは、可動原稿テーブル53b上におかれた原稿MSの質量、サイズ、及び姿勢の組み合わせに相関する。
【0080】
図14は、原稿載置部(A)に載置される原稿MSの質量、サイズ及び姿勢と、原稿MSの位置との関係を示す模式図である。同図における一点鎖線Lxは、図示しない可動原稿テーブル(53b)の揺動軸線の位置を示している。つまり、図示しない可動原稿テーブルは、一点鎖線Lx上に延在する揺動軸線を中心にして、一点鎖線Lxよりも図中左側に存在している箇所を上下動させるのである。
【0081】
可動原稿テーブル上の原稿の後端までの距離が短くなるものから順に、原稿の姿勢を列記すると、A5横>A5縦=A4横>A4縦>A3縦という順になる。そして、それらの姿勢で、原稿束の重量が互いに同じである場合には、その順で、負荷Fが大きくなる。これは、揺動軸からの距離が大きくなるほど、テコの原理が大きく作用するからである。このように、負荷Fは、可動原稿テーブル53b上におかれた原稿MSの束の質量、サイズ、及び姿勢の組み合わせに相関するのである。
【0082】
また、原稿MSの質量[g]は、原稿MSの束の厚み[mm]と相関するので、負荷Fと原稿MSの束の厚み(質量の代替特性)とに基づいて、原稿MSのサイズ、及び姿勢を特定できる可能性がある。
【0083】
そこで、本発明者らは、まず、株式会社リコー社製の普通紙(80g/cm2紙)について、その束の厚み[mm]と、質量[g]との関係を調べた。この結果を、図15のグラフと、次の表1とに示す。なお、それらグラフや表では、原稿の厚みの代わりに、枚数[枚]を示しているが、原稿1枚の厚さは約0.1[mm]である。原稿のサイズや姿勢にかかわらず、原稿の質量[g]は、原稿束の厚みと良好な相関関係を示す。
【表1】
【0084】
次に、本発明者らは、A5横、A5縦、A4横、A4縦、A3縦の5通りについて、原稿束の質量[g]から原稿束の厚さ[mm]を求め、且つ原稿束の質量[g]及び原稿の後端位置から揺動軸までの距離に基づいて、負荷F[gf・cm]を計算した。負荷Fについては、底板昇降モータ105から可動原稿テーブル53bに至るまでの駆動伝達系内で所定の減速比で減速させる条件で計算した。この計算に基づいて得られた原稿のサイズ及び姿勢と負荷F[gf・cm]との関係を次の表2に示す。また、負荷F[gf・cm]と原稿束の厚さ[mm]との関係を図16のグラフに示す。なお、以下、原稿のサイズ及び姿勢の組み合わせを「載置態様」という。
【表2】
【0085】
図16のグラフからわかるように、原稿束の厚さ[mm]が比較的小さい場合には、各「載置態様」にそれぞれ個別に対応するグラフが互いに近い位置に存在することから、負荷F及び厚さの組み合わせに基づいて「載置態様」を精度良く特定することが困難である。しかし、原稿束の厚さ[mm]が比較的大きい場合には、各「載置態様」にそれぞれ個別に対応するグラフが互いにある程度の距離をおいて存在することから、負荷F及び厚さの組み合わせに基づいて「載置態様」を精度良く特定することが可能になる。より詳しくは、厚さ20[mm]以上であれば、A5横と、A4横やA5縦とを精度良く区別することが可能である。A5縦、A4横は何れも、搬送方向の長さを基準長さ(210mm)にするサイズである。そこで、実施例に係る複写機においては、図16に示したA4横の直線式(以下、A4横直線式という)や、A5縦の直線式(以下、A5縦直線式という)を、コントローラ100のROMに記憶させている。
【0086】
図17は、実施例に係る複写機のADF51のコントローラによって実施される連続搬送処理の処理フローを示すフローチャートである。コントローラは、セットフィラー(62)の押し上げによって原稿がセットされたことを検知すると(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、まず、原稿の搬送方向の長さを特定する。具体的には、第2長さ検知センサ(58)によって原稿が検知されている場合(S2でY)には、原稿の長さをA3縦長さ(420mm)であると判定する(S3)。また、原稿が第2長さ検知センサ(58)によって検知されず(S2でN)且つ第1長さ検知センサ(57)によって検知されている場合(S4でY)には、原稿の長さをA4縦長さ(297mm)であると判定する(S5)。また、原稿が第2長さ検知センサ(58)及び第1長さ検知センサ(57)に検知されず、且つ第3長さ検知センサ(S4)に検知されている場合には(S6でY)、原稿の長さを210[mm]より大きく且つ297[mm]よりも小さいと判定する(S7)。原稿の長さがA3縦長さ、A4縦長さ、210[mm]超〜297[mm]未満の何れかである場合には、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。後端検知タイミングは、後端検知センサ(S3)によって前原稿の後端が検知されたタイミングである。
【0087】
一方、原稿が3つの長さセンサの何れにも検知されない場合には(S6でN)、その後、コピースタートボタンが押されると(S9でY)、可動原稿テーブル(53b)の上昇を開始し(S10)、その直後に、底板昇降モータ(105)の消費電流の計測及び計時処理を開始する(S11)。次いで、原稿上面が基準高さまで移動した時点で底板昇降モータ(105)の正転駆動の停止によって可動原稿テーブルの上昇を停止させるとともに、計時処理を停止させる(S12)。
【0088】
コントローラのROMには、底板昇降モータ(105)の消費電流と、負荷Fとの関係を示す第1アルゴリズムを記憶させている。また、上記S10における計時処理での計時結果と、原稿の厚み[mm]との関係を示す第2アルゴリズムも記憶させている。コントローラは、可動原稿テーブルの上昇を停止させると、次に、前記計時結果と第2アルゴリズムとに基づいて、原稿の厚みを特定する(S13)。そして、原稿の厚みが20[mm](基準厚さ)未満である場合には(S14でN)、原稿の長さについて基準長さであるか否かを精度良く特定することが困難であることから、基準長さ未満であることを想定して(S15)、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。
【0089】
これに対し、原稿の厚みが20[mm]以上である場合には(S14でY)、原稿の長さについて基準長さであるか否かを精度良く特定することが可能であることから、基準長さであるか否かを特定する。具体的には、まず、底板昇降モータ(105)の消費電流と、前記第1アルゴリズムとに基づいて、負荷Fを特定する(S16)。次に、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す2次元座標平面における「負荷Fの特定値及び原稿束の厚さの特定値」の座標を計算する(S17)。この座標が、上述したA4横直線式で表される直線上、あるいはA5縦直線式で表される直線上に存在すれば、原稿は、A4横又はA5縦という載置態様で載置されたことになるので、原稿長さは基準長さ(210mm)である。しかし、たとえA4横又はA5横という載置態様であっても、測定誤差などにより、前述の座標がA4横直線式で表される直線上や、A5縦直線式で表される直線上に位置しないことがある。そこで、コントローラは、その座標を中心とする所定半径の円領域に対して、上述したA4横直線式あるいはA5縦直線式の何れかが交差するか否かを解析し(S18)、何れかが交差する場合には、原稿の長さについて基準長さであると判定する(S19)。その後、ピックアップローラ(80)の回転駆動による原稿送出開始のトリガーとして、第2先端検知センサ(S2)による先端検知タイミングを選択する(S20)。また、交差しない場合には、原稿の長さについて基準長さ未満であると判定し(S15)、同トリガーとして、後端検知タイミングを選択する(S8)。
【0090】
かかる構成においては、原稿の長さについて、基準長さ以下であるか否かを検知するための第3長さ検知センサS3に加えて、基準長さよりも僅かに小さいサイズであるか否かを検知するための第4長さ検知センサS4を配設することなく、基準長さであるか否かを特定することができる。
【0091】
次に、実施例に係る複写機に、更なる特徴的な構成を付加した具合例の複写機について説明する。
図18は、具体例に係る複写機のADF51における原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、及びターン部Dを示す部分構成図である。このADF51は、第4長さ検知センサS5、A5横用第1先端検知センサS1’、及びA5横用第2先端検知センサS2’を具備している。第4長さ検知センサS5は、搬送方向において、第2基準長さであるA5横長さよりも少しだけ大きな原稿が原稿載置部Aに載置された場合、その原稿の後端をギリギリ検知することができる位置に配設されている。A5サイズの横方向長さは148[mm]であるが、具体例に係る複写機においては、僅かな誤差寸法αを加味して、原稿載置部Aにおける原稿先端突き当て位置から第4長さ検知センサS5までの距離L4を、148+誤差寸法α[mm]に設定している。この第4長さ検知センサS5によって検知されない原稿の搬送方向における長さは、148[mm]以下であることになる。
【0092】
コントローラのROMには、図16に示したA5横のグラフの直線式(以下、A5横直線式という)を記憶させている。
【0093】
プルアウトローラ対86と第2先端検知センサS2との間に配設されたA5横用第2センタ検知センサS2’は、次のような位置に配設されている。即ち、原稿搬送方向において、給紙ベルト84によって給送されている、長さ=148[mm]の前原稿MS1の後端が、ピックアップローラ80によるピックアップ位置を抜けた直後に、前原稿MS1の先端を検知する位置である。このような検知を可能にするために、具体例に係る複写機においては、原稿載置部の先端からA5横用第2先端検知センサS2’による先端検知位置に至るまでの原稿搬送距離を、「148+誤差寸法α[mm]」に設定している。
【0094】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて第4長さ検知センサS5によって第2基準長さ以下(=A5横長さ=148mm以下)であることが検知された場合には、原稿長さについて、第2基準長さであるか否かを特定する。具体的には、計時処理による計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、消費電流に基づいて特定される負荷Fとの組み合わせの2次元座標平面における座標を中心とする所定半径の円領域に対し、A5横直線式が交差する場合には、原稿の長さについて、第2基準長さ(=148mm)であると判定する。これに対し、交差しない場合には、原稿の長さについて第2基準長さ未満であると判定する。
【0095】
また、コントローラは、原稿の長さについて、第2基準長さであると判定した場合には、A5横用第2先端検知センサS2’による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始する。また、A5横用第1先端検知センサS1’による先端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の回転駆動を開始する。一方、原稿の長さについて、第2基準長さ未満であると判定した場合には、後端検知タイミングをトリガーにして、ピックアップローラ80の下降を開始した後、ピックアップローラ80の回転駆動を開始する。
【0096】
次に、具体例に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した詳細例の複写機について説明する。詳細例に係る複写機のADF51においては、上述したA4横直線式に代えて、後述する近A4横直線式をコントローラのROMに記憶させている。また、上述したA5縦直線式に代えて、後述する近A5縦直線式をコントローラのROMに記憶させている。また、上述したA5横直線式に代えて、後述する近A5横直線式をコントローラのROMに記憶させている。
【0097】
近A4横直線式は、縦方向の寸法がA4と同じ297[mm]であり、且つ横方向の寸法がA4よりも少し短い200[mm]である普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。また、近A5縦直線式は、縦方向の寸法がA5よりも少し短い200[mm]であり、且つ横方向の寸法がA5と同じ148[mm]である普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。また、近A5横直線式は、縦方向の寸法がA5と同じ210[mm]であり、且つ横方向の寸法がA5よりも少し短い140[mm]であるの普通紙について、負荷Fと原稿束の厚さとの関係を示す直線式である。
【0098】
第1先端検知センサS1、第2先端検知センサS2、後端検知センサS4、第3長さ検知センサS4、第4長さ検知センサS5、A5横用第1先端検知センサS1’、A5横用第2先端検知センサS2’の配設位置は、具体例に係る複写機と同じである。
【0099】
コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、第3長さ検知センサS4による検知結果と、上記計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、上記消費電流に基づいて特定される負荷Fと、近A4横直線式と、近A5縦直線式とに基づいて、第1基準長さ(210mm)以下であり、且つ所定の第1下限としての200[mm](近A4横、近A5縦)以上であるという第1条件を満たすか否かを判定する。そして、第1条件を満たす場合に、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにし、且つ第1先端検知センサS1による先端検知タイミングをピックアップローラ80の回転駆動開始のトリガーにする。
【0100】
また、コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、第4長さ検知センサS5による検知結果と、上記計時結果に基づいて特定される原稿束の厚さと、上記消費電流に基づいて特定される負荷Fと、近A5横直線式とに基づいて、第2基準長さ(148mm)以下であり、且つ所定の第2下限としての140[mm](近A5横)以上であるという第2条件を満たすか否かを判定する。そして、第2条件を満たす場合に、A5横用第2先端検知センサS2’による先端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにし、且つA5横用第1先端検知センサS1’による先端検知タイミングをピックアップローラ80の回転駆動開始のトリガーにする。
【0101】
また、コントローラは、原稿載置部に載置された原稿の長さについて、前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングをピックアップローラ80の下降開始のトリガーにする。
【0102】
載置態様が近A4横や近A5縦である場合、原稿の先端が第2先端検知センサS2によって検知されたとき、原稿の後端は後端検知センサS3の下にまだ到達していない。このタイミングでピックアップローラ80の下降を開始することで、後端検知センサS3による後端検知タイミングで下降を開始する場合に比べて、シート間距離を短くすることができる。つまり、原稿の長さが第1基準長さ(210mm)である場合だけでなく、200〜210[mm]である場合に、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0103】
また、載置態様がA5横である場合、原稿の先端がA5用第2先端検知センサS2’によって検知されたとき、原稿の後端は後端検知センサS3の下にまだ到達していない。このタイミングでピックアップローラ80の下降を開始することで、後端検知センサS3による後端検知タイミングで下降を開始する場合に比べて、シート間距離を短くすることができる。つまり、原稿の長さが第2基準長さ(148mm)である場合だけでなく、140〜148[mm]である場合に、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0104】
以上、詳細例に係る複写機においては、原稿載置部A上に載置された原稿の搬送方向長さについて、所定の第1基準長さや第2基準長さであるか否かを検知することに代えて、第1基準長さ以下で且つ第1下限以上であるという第1条件を満たすか否かや(200〜210mm)、第2基準長さ以下で且つ第2下限以上であるという第2条件を満たすか否か(140〜148mm)を検知するように、長さ検知手段を構成している。そして、第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、ピックアップローラ下降開始タイミングとして、後端検知センサS3による後端検知タイミングを採用する。この一方で、第1条件又は第2条件を満たす場合には、ピックアップローラ下降開始タイミングとして、先端検知センサによる先端検知タイミングを採用する。かかる構成では、原稿の長さが第1基準長さや第2基準長さである場合だけでなく、第1基準長さ以下で且つ第1下限以上である場合や、第2基準長さ以下で且つ第2基準長さ以上である場合にも、シート間距離を従来よりも短くすることができる。
【0105】
また、実施例に係る複写機のADF51においては、原稿載置部Aの可動原稿テーブル53bとして、送出動作位置としてのピックアップ位置にあるピックアップローラ80に対して原稿束の原稿を原稿束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いている。そして、可動原稿テーブル53bの昇降方向における位置を昇降位置検知手段たるコントローラによる計時処理結果によって検知した結果と、可動原稿テーブル53bの上昇動作時の負荷F(駆動負荷)を駆動負荷検知手段たる電流計によって検知した結果と、原稿載置部Aに載置された原稿の搬送方向長さについて基準長さ(=210mm)以下であるか否かを基準センサたる第3長さ検知センサS3によって検知した結果とに基づいて、原稿の搬送方向長さについて基準長さであるか否かを判定する処理を実施するように、長さ検知手段の一部として機能するコントローラを構成している。かかる構成では、既に説明したように、原稿の長さについて、基準長さ以下であるか否かを検知するための第3長さ検知センサS3に加えて、基準長さよりも僅かに小さいサイズであるか否かを検知するための第4長さ検知センサS4を配設することなく、基準長さであるか否かを特定することができる。
【0106】
また、実施形態に係る複写機においては、送出手段たるピックアップローラ80として、シート送り出し動作たる回転駆動に先立って、回転駆動による送り出しを可能にするための準備動作たる下降動作を行うものを用いている。そして、送出開始基準位置で原稿の先端を検知する第1先端検知手段たる第1先端検知センサS1の他に、所定の準備開始基準位置で原稿の先端を検知する第2先端検知手段たる第2先端検知センサS2を設け、原稿の長さが基準長さである場合には、第2先端検知センサS2による先端検知タイミングに基づいてピックアップローラ80の下降を開始させた後、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングに基づいてピックアップを開始させる処理を実施するように、制御手段たるコントローラを構成している。かかる構成では、第1先端検知センサS1による先端検知タイミングをトリガーにしてピックアップローラ80の下降を開始させる場合に比べて、基準長さの原稿のシート間距離を縮めることができる。
【0107】
また、実施形態に係る複写機においては、ピックアップローラ80の出口から第2先端検知センサS2による先端検知位置に至るまでの原稿搬送経路の長さ(L2)を、基準長さよりも大きくするとともに、分離搬送部Bの分離ニップの出口から第1先端検知センサS1による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さ(L3)を、基準長さよりも大きくしている。かかる構成では、基準長さの原稿について、後端をピックアップローラ80から抜け出させた後に先端を第2先端検知センサS2によって検知させ、且つ、後端を分離ニップから抜け出させた後に先端を第1先端検知センサS1によって検知させることができる。
【0108】
また、具体例に係る複写機においては、原稿載置部A上に載置された原稿の搬送方向長さについて、基準長さとしての第1基準長さ(210mm)であるか否かに加えて、第2基準長さ(148mm)であるか否かも検知するようにコントローラ100、第3長さ検知センサS4、第4長さ検知センサS5などからなる長さ検知手段を構成している。そして、第1基準長さに対応する位置で原稿の先端を検知する第1基準長さ用先端検知手段たる第1先端検知センサS1の他に、第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段たるA5横用第1先端検知センサS1’を設けている。更に、原稿の長さが第1基準長さである場合には、第1先端検知センサによる先端検知タイミングをピックアップ開始のトリガーにし、原稿の長さが第2基準長さである場合には、A5横用先端検知センサS1’による先端検知タイミングを同トリガーにし、且つ原稿の長さが第1基準長さ及び第2基準長さの何れでもない場合には、後端検知センサS3による後端検知タイミングを同トリガーにする処理を実施するように、コントローラを構成している。かかる構成では、第1基準長さの原稿や、第2基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも大幅に縮めつつ、第2基準長さの原稿のシート間距離を従来よりも広げてしまうことを回避することができる。
【符号の説明】
【0109】
MS:原稿(シート材)
A:原稿載置部(載置部)
B:分離搬送部(分離手段)
S1:第1先端検知センサ(第1先端検知手段、第1基準長さ用先端検知手段)
S1’:A5横用第1先端検知センサ(第1基準長さ用先端検知手段)
S2:第2先端検知センサ(第2先端検知手段)
S3:後端検知センサ(後端検知手段)
S4:第3長さ検知センサ(基準センサ、長さ検知手段の一部)
S5:第4長さ検知センサ(長さ検知手段の一部)
66:中間ローラ対(搬送手段)
80:ピックアップローラ(送出手段)
86:プルアウトローラ対(搬送手段)
100:コントローラ(制御手段、長さ検知手段の一部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2005−324872号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、
前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、
前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、
所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、
後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段とを設けるとともに、
前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さでない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さである場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知することに代えて、所定の基準長さ以下であり且つ所定の下限以上であるか否かを検知するように前記長さ検知手段を構成し、
前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上でない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項2のシート搬送装置において、
前記載置部として、所定の送出動作位置にある前記送出手段に対してシート束の最上位シートをシート束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いるとともに、
前記載置部の昇降方向における位置を昇降位置検知手段によって検知した結果と、前記載置部の昇降動作時の駆動負荷を駆動負荷検知手段によって検知した結果と、前記載置部に載置されたシート材の搬送方向長さについて前記基準長さ以下であるか否かを基準センサによって検知した結果とに基づいて、シート材の搬送方向長さについて、前記基準長さ以下で且つ前記下限以上であるか否かを判定する処理を実施するように、前記長さ検知手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項2又は3のシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、
前記所定位置としての送出開始基準位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1先端検知手段の他に、所定の準備開始基準位置でシート材の先端を検知する第2先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた後、前記第1先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記シート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項4のシート搬送装置において、
前記送出手段の出口から前記第2先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくするとともに、
前記分離手段のシート分離手段の出口から前記第1先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくしたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかのシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、前記基準長さたる第1基準長さと同等以下で且つ前記下限たる第1下限以上であるか否かに加えて、前記第1基準長さよりも小さい所定の第2基準長さ以下で且つ所定の第2下限以上であるか否かも検知するように前記長さ検知手段を構成し、
前記第1基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1基準長さ用先端検知手段の他に、前記第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段を設け、
前記長さ検知手段による検知結果が前記第1基準長さ以下で且つ前記第1下限以上であるという第1条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第1基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、前記検知結果が前記第2基準長さ以下で且つ前記第2下限以上であるという第2条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第2基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、且つ前記検知結果が前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、
前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
請求項7の画像読取装置を設けて複写機として機能させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、
前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、
前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、
所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知する長さ検知手段と、
後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段とを設けるとともに、
前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さでない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さである場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、所定の基準長さであるか否かを検知することに代えて、所定の基準長さ以下であり且つ所定の下限以上であるか否かを検知するように前記長さ検知手段を構成し、
前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上でない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する一方で、前記検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項2のシート搬送装置において、
前記載置部として、所定の送出動作位置にある前記送出手段に対してシート束の最上位シートをシート束の厚みにかかわらず適切な圧力で接触させるための昇降動作を行うものを用いるとともに、
前記載置部の昇降方向における位置を昇降位置検知手段によって検知した結果と、前記載置部の昇降動作時の駆動負荷を駆動負荷検知手段によって検知した結果と、前記載置部に載置されたシート材の搬送方向長さについて前記基準長さ以下であるか否かを基準センサによって検知した結果とに基づいて、シート材の搬送方向長さについて、前記基準長さ以下で且つ前記下限以上であるか否かを判定する処理を実施するように、前記長さ検知手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項2又は3のシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、
前記所定位置としての送出開始基準位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1先端検知手段の他に、所定の準備開始基準位置でシート材の先端を検知する第2先端検知手段を設け、前記長さ検知手段による検知結果が前記基準長さ以下で且つ前記下限以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた後、前記第1先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記シート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項4のシート搬送装置において、
前記送出手段の出口から前記第2先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくするとともに、
前記分離手段のシート分離手段の出口から前記第1先端検知手段による先端検知位置に至るまでのシート搬送経路の長さを、前記基準長さよりも大きくしたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかのシート搬送装置において、
前記載置部上に載置されたシート材の搬送方向長さについて、前記基準長さたる第1基準長さと同等以下で且つ前記下限たる第1下限以上であるか否かに加えて、前記第1基準長さよりも小さい所定の第2基準長さ以下で且つ所定の第2下限以上であるか否かも検知するように前記長さ検知手段を構成し、
前記第1基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する前記先端検知手段としての第1基準長さ用先端検知手段の他に、前記第2基準長さに対応する位置でシート材の先端を検知する第2基準長さ用先端検知手段を設け、
前記長さ検知手段による検知結果が前記第1基準長さ以下で且つ前記第1下限以上であるという第1条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第1基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、前記検知結果が前記第2基準長さ以下で且つ前記第2下限以上であるという第2条件を満たした場合には、前記所定のタイミングとして、前記第2基準長さ用先端検知手段による先端検知タイミングを採用し、且つ前記検知結果が前記第1条件及び第2条件の何れも満たさない場合には、前記所定のタイミングとして、前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、
前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
請求項7の画像読取装置を設けて複写機として機能させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−192988(P2012−192988A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55874(P2011−55874)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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