説明

シート材の製造方法およびシート材の製造装置

【課題】吐出ヘッドのスリット状の吐出口から原料液をシート形状に吐出させ、これを乾燥させることによりシート材を形成するにあたって、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、膜厚精度を確保し、ピンホール欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】スリット状の吐出口11を有する吐出ヘッド10の当該吐出口11から、原料液20を、当該吐出口11の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させ、当該シート形状に吐出された原料液20を乾燥させることによりシート形状のシート材を成形するようにしたシート材の製造方法において、原料液20としてスラリーを用い、吐出ヘッド10のうち少なくとも吐出口11に超音波振動を発生させた状態で、原料液20の吐出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッドのスリット状の吐出口から原料液をシート形状に吐出させ、これを乾燥させることによりシート材を形成するシート材の製造方法、および、そのようなシート材の製造装置に関し、特に、セラミック粒子を含有するスラリーを原料液として形成するセラミックシートの製造に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
この種のシート材の製造方法、製造装置としては、たとえば特許文献1に記載のものが提案されている。このものでは、スリット状の吐出口を有する吐出ヘッドと、平坦面を有するキャリアとを備え、吐出ヘッドの吐出口から、キャリアの平坦面上に、原料液をシート状に塗布し、これを乾燥させることによりシート材を成形するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−351349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記特許文献1のような一般的な従来の製造方法に準じて、シート材の試作検討を行った。図5は、この本発明者の試作方法としてのシート材の製造方法を示す図である。
【0005】
図5によれば、スリット状の吐出口11を有する吐出ヘッド10の当該吐出口11から、原料液20を、キャリア30の平坦面上に、当該吐出口11の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させる。そして、キャリア30上に吐出されたシート形状の原料液20は、そのシート形状を維持したまま乾燥されてシート材となる。
【0006】
ここで、本発明者は、この原料液20として、スラリーを用いることした。スラリーとは固体粒子が液体の中に懸濁している流動体である。具体的にスラリーとしては、アルミナなどのセラミック粒子を有機溶媒に含有させたセラミックスラリーを用い、これをシート形状にて乾燥させ、焼結させることでセラミックシートを形成する。
【0007】
しかし、この試作においては、吐出口11から吐出されるスラリーとしての原料液20の流れ(以下、吐出流れという)に対して、当該原料液20の界面張力と粘性が大きく影響するため、以下の(a)〜(c)のような問題が生じることがわかった。
【0008】
(a)シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度(つまり吐出流れの速度)が大きくなるほど、吐出流れの度合に対する上記原料液20の界面張力および粘性の影響が大きくなり、吐出流れが変動して、その吐出量が不安定になる。そのため、吐出されたシート形状の原料液20において膜厚精度の向上が困難になる。
【0009】
具体的には、シート形状の原料液20における膜厚がばらつくのであるが、この膜厚ばらつきは、図従1中のキャリア30の進行方向yと、この方向yと直交する方向xとの両方向x、yにおいて部分的に膜厚がばらつくことと、さらに、ロット毎に膜厚がばらつくことの両方を意味する。
【0010】
(b)シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなるほど、上記(a)のように、吐出流れが変動するので、吐出口11からの原料液20の剥離度合いが変化し、その結果、吐出口11近傍に原料液20が滞留する。そのため、キャリア30への原料液20の転写量が不安定となり、結果、吐出されたシート形状の原料液20において膜厚精度の向上が困難になる。
【0011】
(c)シート材の成形速度が大きくなるほど、吐出口11の近傍にて原料液20が滞留しやすいが、その滞留部分にて原料液20の渦状の流れが発生しやすく、エアの巻き込みが発生しやすくなる。その結果、シート材にピンホール欠陥が発生しやすくなる。
【0012】
これら(a)〜(c)の現象は、スラリーのような表面張力および粘性が大きいものを原料液20として用いる場合には、特に顕著となってくる。つまり、本発明者の試作検討によれば、原料液にスラリーを用いた場合、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなるほど、膜厚精度が低くなり、ピンホール欠陥が発生しやすくなるので、成形膜厚が薄い場合に成形速度の向上が困難になるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、吐出ヘッドのスリット状の吐出口から原料液をシート形状に吐出させ、これを乾燥させることによりシート材を形成するにあたって、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、膜厚精度を確保し、ピンホール欠陥の発生を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、スリット状の吐出口(11)を有する吐出ヘッド(10)の当該吐出口(11)から、原料液(20)を、当該吐出口(11)の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させ、当該シート形状に吐出された原料液(20)を乾燥させることによりシート形状のシート材を成形するようにしたシート材の製造方法において、原料液(20)としてスラリーを用い、吐出ヘッド(10)のうち少なくとも吐出口(11)に超音波振動を発生させた状態で、原料液(20)の吐出を行うことを特徴とする。
【0015】
それによれば、吐出ヘッド(10)の吐出口(11)に超音波振動を発生させることで、吐出口(11)より流れ出す原料液(20)の吐出口(11)近傍部に対する剥離性を向上させることができ、原料液(20)の流れに作用する原料液(20)の界面張力および粘性を低減することができる。
【0016】
そのため、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、吐出量が安定し、吐出口近傍に滞留する原料液(20)の量が低減され、また、エアの巻き込みも抑制される。よって、本発明によれば、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、膜厚精度を確保し、ピンホール欠陥の発生を抑制することができる。
【0017】
ここで、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の製造方法においては、超音波振動の振動方向を吐出口(11)の長手方向と直交する方向とすることが好ましい。
【0018】
スリット状の吐出口(11)においては、吐出口(11)の内面やその近傍の面のうち吐出口(11)の長手方向に沿った面が面積の大きな面であり、当該面が原料液の剥離しやすさに対して支配的な部位であるため、上記振動方向とすることで、当該面における剥離性の向上が図れるためである。
【0019】
請求項3に記載の発明では、スリット状の吐出口(11)を有する吐出ヘッド(10)を備え、原料液(20)を、当該吐出口(11)の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させ、当該シート形状に吐出された原料液(20)を乾燥させることによりシート形状のシート材を成形するようにしたシート材の製造装置において、原料液(20)としてスラリーを用い、吐出ヘッド(10)のうち少なくとも吐出口(11)に超音波振動を発生させる超音波振動発生手段(41、42)を備え、この超音波振動発生手段(41、42)によって吐出口(11)に超音波振動を発生させた状態で、原料液(20)の吐出を行うことを特徴とする。
【0020】
それによれば、上記請求項1と同様の理由から、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、膜厚精度を確保し、ピンホール欠陥の発生を抑制することができる。
【0021】
ここで、請求項4に記載の発明のように、請求項3に記載の製造装置においても、超音波振動の振動方向を吐出口(11)の長手方向と直交する方向とするが好ましい。
【0022】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図であり、(b)は(a)中の吐出口近傍のA矢視概略平面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。
【図5】本発明者の試作方法としてのシート材の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図であり、図1(b)は、図1(a)中の矢印A方向からみたときの吐出口11近傍の概略平面図である。
【0026】
本実施形態は、この製造装置を用いて、吐出ヘッド10の吐出口11から、アルミナなどのセラミック粒子を有機溶媒に含有させたセラミックスラリーとしての原料液20を、キャリア30の平坦面上に、シート形状に吐出させ、この吐出されたシート形状の原料液20を乾燥し、シート材とするものである。そして、この乾燥したシート材をさらに焼結して、セラミックシートを製造する。
【0027】
まず、吐出ヘッド10は、ステンレスなどの金属よりなるものであり、内部に原料液20を貯留するとともに、その原料液20を吐出する吐出口11を備えたものである。吐出口11は、図1に示されるように、スリット状を成している。ここでは、吐出口11は、細長矩形の短冊状の開口形状をなすスリット形状とされている。
【0028】
そして、この吐出口11からは、吐出口11の開口形状に対応した形状にて、原料液20が吐出される。つまり、原料液20は、吐出口11の長手方向と直交する方向(図1(b)中の矢印x方向)の幅寸法を厚さとし、吐出口11の長手方向の寸法を幅とするシート形状にて、キャリア30の平坦面上に吐出される。
【0029】
ここで、キャリア30は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルムよりなり、図示しないベルトコンベアなどの移送機構により図1(a)中の進行方向Yに移動するようになっている。
【0030】
そして、キャリア30上に吐出されたシート形状の原料液20は、キャリア30とともに図示しない乾燥炉に運ばれ、そこで乾燥されてシート材となる。続いて、キャリア30とともに当該シート材は巻き取られるが、その後は、必要な分だけ、当該シート材はキャリア30から剥がされて、焼結され、セラミックシートとして形成される。
【0031】
ここで、本製造装置においては、さらに、吐出ヘッド10のうち少なくとも吐出口11に超音波振動を発生させる超音波振動発生手段41、42を備えている。この超音波振動発生手段41、42は、PZTなどの通電により超音波振動するピエゾ素子などの圧電振動子41と、この圧電振動子41に通電を行うための電圧印加手段42とを備えている。
【0032】
ここで、圧電振動子41は、接着剤などによって吐出ヘッド10における吐出口11近傍の外面に貼り付け固定されており、この圧電振動子41と電圧印加手段42とは、配線などにより電気的に接続されている。
【0033】
そして、電圧印加手段42から圧電振動子41に通電することで、圧電振動子41が超音波振動し、それにより吐出口11も超音波振動するようになっている。そして、この超音波振動発生手段41、42によって吐出口11に超音波振動を発生させた状態で、原料液20の吐出を行うようになっている。
【0034】
なお、吐出ヘッド10のうち吐出口11のみが超音波振動してもよいし、吐出ヘッド10の全体が超音波振動してもよい。つまり、少なくとも吐出口11が超音波振動すればよく、そのための圧電振動子41の貼り付け位置も図示例に限定されない。
【0035】
このような製造装置によって、本実施形態では、シート材を製造する。まず、吐出ヘッド10の吐出口11に超音波振動を発生させた状態で吐出口11から、原料液をキャリア30上に、吐出口11の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させる。そして、このシート形状に吐出された原料液20を、当該シート形状を維持したまま乾燥させ、シート形状のシート材を成形する。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、原料液20としてスラリーを用い、吐出ヘッド10のうち少なくとも吐出口11に超音波振動を発生させる超音波振動発生手段41、42を備え、この超音波振動発生手段41、42によって吐出口11に超音波振動を発生させた状態で原料液20の吐出を行うようにした製造装置、および、それによって、吐出口11に超音波振動を発生させた状態で原料液20の吐出を行う製造方法が提供される。
【0037】
ところで、本実施形態によれば、吐出ヘッド10の吐出口11に超音波振動を発生させることで、吐出口11より流れ出す原料液20の吐出口11近傍部に対する剥離性を向上させることができ、原料液20の流れに作用する原料液20の界面張力および粘性を低減することができる。これにより以下の効果がある。
【0038】
・シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくても、原料液20の吐出量が安定し、膜厚精度を向上できる。
【0039】
・シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくても、原料液20が一時的に吐出口11付近に滞留する量が減り、キャリア30への原料液20の転写量が安定し、膜厚精度を向上できる。
【0040】
・シート材の成形速度が大きくても、吐出口11の近傍部分に発生する原料液20の渦状の流れを低減できるので、エア巻き込みが減少し、シート材中のピンホール欠陥を低減することができる。
【0041】
つまり、本実施形態によれば、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、原料液20の吐出量が安定し、吐出口近傍に滞留する原料液20の量が低減され、また、エアの巻き込みも抑制される。
【0042】
よって、本実施形態によれば、シート材の成形膜厚が薄く、且つ、成形速度が大きくなっても、膜厚精度を確保し、ピンホール欠陥の発生を抑制することができる。その結果、本実施形態によれば、成形膜厚が薄い場合であっても成形速度の向上が容易に行え、生産性の向上などが期待できる。
【0043】
また、本実施形態の副次的効果として、超音波振動によりスラリーとして原料液20における凝集物の発生を低減することができ、且つ、吐出口11における当該凝集物の詰まりを低減できる。そのため、シート材の成形膜厚が薄く、吐出口11の長手方向と直交する方向の幅が狭い場合でも、吐出口11における上記凝集物の詰まりによる成形不良を低減することができる。
【0044】
ここで、本実施形態において、上記の超音波振動の振動方向は、吐出口11の長手方向と直交する方向(図1(b)中の矢印x方向)とすることが望ましい。
【0045】
これは、スリット状の吐出口11においては、吐出口11の内面やその近傍の面のうち吐出口11の長手方向に沿った面が面積の大きな面であり、当該面が原料液の剥離しやすさに対して支配的な部位(、つまり大きく影響する部位)であるため、上記振動方向とすることで、当該面における剥離性の向上が図れるためである。
【0046】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。本実施形態においても、図示しないが、超音波振動発生手段により、吐出口11に超音波振動を発生させた状態で原料液20の吐出を行うことは、上記第1実施形態と同様である。
【0047】
図2に示されるように、本実施形態の製造方法および製造装置では、原料液20の吐出方向を図2中の矢印zに示されるように、重力方向zとするものである。この場合、通電により回転するガイドローラ50によって、キャリア30を鉛直下方向すなわち重力方向zに移送する。
【0048】
それによれば、重力の作用によって、吐出される原料液20の流れ方向が重力方向zに安定するので、膜厚精度の向上の点で好ましい。
【0049】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態では、上記第2実施形態と同様、原料液20の吐出方向を重力方向zとするものであるが、キャリア30を省略したものであり、上記第2実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0050】
図3に示されるように、本実施形態の製造装置は、吐出ヘッド10の吐出口11よりも、原料液20の吐出方向の後流側に位置し互いに離間して配置された一対の熱風発生手段60を備えている。図3中の白矢印に示されるように、この熱風発生手段60は、一対の熱風発生手段60の間に向けて熱風を送り出すものである。
【0051】
そして、重力方向zに沿ってシート形状に吐出された原料液20を、一対の熱風発生手段60の間に送り、原料液20に対して、その両面側から一対の熱風発生手段60によって熱風を当てて乾燥を行うようになっている。つまり、シート形状の原料液20は、熱風発生手段60を通過した後はシート材となる。
【0052】
このように、本製造方法では、重力方向zに沿ってシート形状に吐出された原料液20に対して、その両面側から熱風を当てて乾燥を行うようにしている。この場合、シート形状に吐出された原料液20を、キャリア30を用いることなく、そのまま熱風で乾燥してシート材にできるので、キャリア30が不要となるという利点がある。
【0053】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態に係るシート材の製造装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、上記第3実施形態と同様、原料液20の吐出方向を重力方向zとしつつ、キャリアを省略して乾燥を行うものであるが、その乾燥方法を異ならせたものであり、上記第3実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0054】
図4に示されるように、本実施形態の製造装置は、シート材の膜厚寸法にて対向する一対のローラ70が、吐出口11よりも、原料液20の吐出方向の後流側に位置し互いに離間して配置されている。
【0055】
この一対のローラ70は、一側から当該ローラ70の間に挿入される部材を他側へ送り出すように回転するものであって、当該ローラ70自身が発熱するものである。具体的には、通電されたモータによって回転が制御され、また、ローラ70自身が、たとえば通電により発熱する金属発熱体などにより構成されたものとする。
【0056】
そして、本実施形態では、シート形状に吐出された原料液20を、一対のローラ70の間に送り込み、ローラ70を発熱させて乾燥を行うとともにローラ70の回転によってシート材として、ローラ70の間から送り出す。これにより、シート材が形成される。それによれば、キャリアが不要となるとともに、ローラ70による圧延によって膜厚精度の向上が期待できる。
【0057】
(他の実施形態)
なお、スラリーとしては、固体粒子が液体の中に懸濁している流動体であればよく、上記セラミック粒子を含有するもの以外にも、金属粒子などが懸濁したものであってもよい。
【0058】
また、超音波振動発生手段は、吐出ヘッド10のうち少なくとも吐出口11に超音波振動を発生させるものであればよく、上記した圧電振動子42を用いるもの以外の構成であってもかまわない。
【符号の説明】
【0059】
10 吐出ヘッド
11 吐出口
20 原料液
41 圧電振動子
42 電圧印加手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット状の吐出口(11)を有する吐出ヘッド(10)の当該吐出口(11)から、原料液(20)を、当該吐出口(11)の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させ、当該シート形状に吐出された前記原料液(20)を乾燥させることによりシート形状のシート材を成形するようにしたシート材の製造方法において、
前記原料液(20)としてスラリーを用い、
前記吐出ヘッド(10)のうち少なくとも前記吐出口(11)に超音波振動を発生させた状態で、前記原料液(20)の吐出を行うことを特徴とするシート材の製造方法。
【請求項2】
前記超音波振動の振動方向を前記吐出口(11)の長手方向と直交する方向とすることを特徴とする請求項1に記載のシート材の製造方法。
【請求項3】
スリット状の吐出口(11)を有する吐出ヘッド(10)を備え、原料液(20)を、当該吐出口(11)の長手方向と直交する方向の幅寸法を厚さとするシート形状に吐出させ、当該シート形状に吐出された前記原料液(20)を乾燥させることによりシート形状のシート材を成形するようにしたシート材の製造装置において、
前記原料液(20)としてスラリーを用い、
前記吐出ヘッド(10)のうち少なくとも前記吐出口(11)に超音波振動を発生させる超音波振動発生手段(41、42)を備え、
この超音波振動発生手段(41、42)によって前記吐出口(11)に超音波振動を発生させた状態で、前記原料液(20)の吐出を行うことを特徴とするシート材の製造装置。
【請求項4】
前記超音波振動の振動方向を前記吐出口(11)の長手方向と直交する方向とすることを特徴とする請求項3に記載のシート材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161366(P2011−161366A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26637(P2010−26637)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】