説明

シート材加熱装置

【課題】電力消費を削減して、効率よくシート材を加熱することができるシート材加熱装置を提供する。
【解決手段】シート材加熱装置1は、互いの周縁部が重ね合わされることにより、内部にシート材を収容する主空間30を備える箱状の容器が形成される第一容器半体10及び第二容器半体20と、第一容器半体に形成された、主空間に水蒸気を導入する導入路17と、第二容器半体に形成された、主空間から水蒸気を排出する排出路27と、第一容器半体及び第二容器半体にそれぞれ配設され、内部に流通させる水蒸気によって主空間を加熱する第一パイプ18及び第二パイプ28とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形に先立ちシート材を加熱するシート材加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装用部品など、薄肉のシート材が凹凸を有する形状に成形されている部品が存在する。このような成形部品は、表皮材の裏面に熱可塑性樹脂が積層されたシート材を加熱し、熱可塑性樹脂層を軟化させた状態で、所定形状の成形型で冷間プレスすることにより製造されている。
【0003】
成形に先立ちシート材を加熱する従来の装置としては、電気やガスバーナ等により加熱された空気(温風)によって、シート材を加熱する装置が一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、空気は熱容量が小さいため、加熱効率が悪い。また、産業界に対して節電が強く要請されている昨今では、電力消費を削減してシート材を加熱できる装置が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、電力消費を削減して、効率よくシート材を加熱することができるシート材加熱装置の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるシート材加熱装置は、「互いの周縁部が重ね合わされることにより、内部にシート材を収容する主空間を備える箱状の容器が形成される第一容器半体及び第二容器半体と、前記第一容器半体に形成された、前記主空間に水蒸気を導入する導入路と、前記第二容器半体に形成された、前記主空間から水蒸気を排出する排出路と、前記第一容器半体及び前記第二容器半体の少なくとも一方に配設され、内部に流通させる水蒸気によって前記主空間を加熱するパイプとを具備する」ものである。
【0006】
上記構成のシート材加熱装置では、主空間に収容されたシート材を、水蒸気で直接加熱する。水蒸気は空気より熱容量が大きいため、温風で加熱する従来の加熱装置に比べて、高い熱効率でシート材を加熱することができる。また、水蒸気は、水蒸気発生装置からシート材加熱装置まで配送される間の配管抵抗による圧力低下や放熱により、温度が低下し、乾き度が低下するおそれがあるところ、本発明のシート材加熱装置は、パイプ内を流通する水蒸気によって、シート材が収容された主空間が加熱される。これにより、シート材を加熱する水蒸気の温度低下、乾き度の低下を抑制して、効率良くシート材を加熱することができる。
【0007】
なお、直接加熱媒体として装置内に導入される水蒸気は、飽和水蒸気であっても過熱水蒸気であっても良い。仮に、飽和水蒸気として導入されても、パイプを介して加熱されることにより、装置内の圧力に相当した飽和温度より高い温度の過熱水蒸気とすることが可能である。過熱水蒸気は、潜熱に加えて大きな顕熱を有するため、直接加熱媒体として適している。また、シート材に熱を与えた後の水蒸気が過熱状態を保っていれば(飽和温度まで低下しなければ)凝縮しないため、乾いた状態でシート材を加熱することができる。
【0008】
加えて、本発明では、シート材を直接加熱する媒体として水蒸気を使用すると共に、シート材を収容する空間を加熱する媒体としても水蒸気を使用しており、水蒸気は燃料の燃焼により発生させることができる。これにより、電力消費を削減して、シート材を加熱することができる。なお、仮に電力により水蒸気を発生させた場合であっても、水蒸気による加熱は電熱加熱より効率が良く、水蒸気は配送に伴うエネルギー損失が小さいため、電熱加熱に比べて総合的に電力消費を削減することができる。
【0009】
本発明にかかるシート材加熱装置は、上記構成に加え、「前記第一容器半体は、第一区画部によって前記主空間と区画されると共に前記導入路を介して前記主空間と連通し、第一孔部を介して装置外部から水蒸気が導入される第一空間を備え、前記パイプとして、前記第一区画部に配設された第一パイプを具備する」ものとすることができる。
【0010】
本構成のシート材加熱装置では、主空間への導入に先立ち、第一空間内に水蒸気が導入され、ここで第一パイプを介して加熱される。従って、予め第一空間で加熱されることによって、温度が高められ、より乾いた状態となった水蒸気が、主空間に導入される。これにより、主空間内での水蒸気の温度低下や凝縮を、より有効に抑制することができる。
【0011】
加えて、第一パイプは、第一空間を主空間と区画する第一区画部に配設されるため、第一パイプを流通する水蒸気で、第一空間と主空間とを同時に加熱することができる。
【0012】
また、主空間の上流側に第一空間を設けることにより、装置外部から水蒸気を導入する第一孔部の数を少ないものとしつつ、第一空間と主空間を連通する導入路の数を多くする設定とすることが可能である。これにより、装置外部から装置まで水蒸気を配送する配管と装置との接続を簡易なものとしながら、主空間には多くの導入路を介して満遍なく水蒸気を導入することが可能となる。
【0013】
本発明にかかるシート材加熱装置は、上記構成に加え、「前記第一空間から装置外部へ凝縮水を排出するスチームトラップを具備する」ものとすることができる。
【0014】
本構成により、仮に第一空間内で水蒸気が凝縮しても、凝縮水はスチームトラップを介して排出される。これにより、水蒸気の乾き度を高めてから主空間に導入することができ、より高い熱効率でシート材を加熱することができる。
【0015】
本発明にかかるシート材加熱装置は、上記構成に加え、「前記第一容器半体及び前記第二容器半体は、前記第一容器半体を上にして上下に配されるものであり、前記第一容器半体は、前記第一区画部から前記第一空間内に突出した突出部を備え、前記導入路は、前記突出部の上端に開口している」ものとすることができる。
【0016】
本構成のシート材加熱装置では、第一空間内の高い位置に開口した導入路を介して、水蒸気が主空間に導入される。仮に、導入路が第一空間内の低い位置に開口していたとすると、第一空間内で水蒸気の凝縮が生じた場合に、水蒸気と共に凝縮水が主空間内に流入するおそれがある。これに対し、本構成では、凝縮水が生じたとしても、凝縮水と分離された水蒸気のみを、主空間に導入することができる。
【0017】
本発明にかかるシート材加熱装置は、上記構成に加え、「前記第二容器半体は、第二区画部によって前記主空間と区画されると共に前記排出路を介して前記主空間と連通し、第二孔部を介して装置外部へ水蒸気が排出される第二空間を備え、前記パイプとして、前記第二区画部に配設された第二パイプを具備する」ものとすることができる。
【0018】
上記構成では、主空間の下流側に第二空間が設けられているため、装置外部へ水蒸気を排出する第二孔部の数を少ないものとしつつ、主空間と第二空間とを連通する排出路の数を多くする設定とすることが可能である。これにより、多くの排出路を介して主空間からスムーズに水蒸気を排出しながら、シート材加熱装置から装置外部へ水蒸気を配送する配管と装置との接続を簡易なものとすることが可能となる。
【0019】
また、第二区画部に配設された第二パイプを流通する水蒸気で主空間を加熱し、水蒸気によるシート材の加熱の効率を高めながら、同時に第二空間を加熱することができる。これにより、使用済みの水蒸気の凝縮を抑制して水蒸気として回収し、再加熱して再利用する循環システムを構築しやすく、省エネルギーに資するものとなる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の効果として、電力消費を削減して、効率よくシート材を加熱することができるシート材加熱装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のシート材加熱装置の分解斜視図(上方から見た図)である。
【図2】図1のシート材加熱装置の分解斜視図(下方から見た図)である。
【図3】図1のシート材加熱装置の左側面図である。
【図4】図1のシート材加熱装置のA−C線断面図である。
【図5】図1のシート材加熱装置のA−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態であるシート材加熱装置1(以下、単に「加熱装置1」と称する)について、図1乃至図5を用いて説明する。
【0023】
加熱装置1は、互いの周縁部が重ね合わされることにより、内部にシート材を収容する主空間30を備える箱状の容器が形成される第一容器半体10及び第二容器半体20と、第一容器半体10に形成された、主空間30に水蒸気を導入する導入路17と、第二容器半体20に形成された、主空間30から水蒸気を排出する排出路27と、第一容器半体10及び第二容器半体20の少なくとも一方に配設され、内部に流通させる水蒸気によって主空間30を加熱するパイプとを具備している。
【0024】
また、加熱装置1において、第一容器半体10は、第一区画部12によって主空間30と区画されると共に導入路17を介して主空間30と連通し、第一孔部15を介して装置外部から水蒸気が導入される第一空間31を備え、パイプとして、第一区画部12に配設された第一パイプ18を具備すると共に、第二容器半体20は、第二区画部22によって主空間30と区画されると共に排出路27を介して主空間30と連通し、第二孔部25を介して装置外部へ水蒸気が排出される第二空間32を備え、パイプとして、第二区画部22に配設された第二パイプ28を具備している。
【0025】
より詳細には、第一容器半体10及び第二容器半体20は、第一容器半体10を上にして上下に配されるものである。まず、第一容器半体10の構成について説明する。第一容器半体10は、略矩形で平板状の第一区画部12、及び、第一区画部12の外周辺に沿って上方及び下方にそれぞれ延設された第一側壁部13を有する第一本体部11と、第一区画部12の上方において第一側壁部13に囲まれた空間を閉塞し、内部に第一空間31を形成させる第一被覆板14を備えている。
【0026】
第一区画部12の上面からは、第一空間31内に山型に突出する、第一被覆板14に達しない高さの突出部16が多数設けられている。それぞれの突出部16には、上下方向に貫通し、第一区画部12の下面に開口する導入路17が形成されている。また、第一パイプ18は、第一区画部12の上面に半ば埋設された状態で、複数の突出部16の間を縫うように蛇行して配されている。この第一パイプ18の上流端部18u及び下流端部18dは、それぞれ第一被覆板14に向かって立ち上がり、第一被覆板14に穿設された孔部41及び孔部45を介して、第一パイプ18に流通させる水蒸気用の流入配管41b及び流出配管45bにそれぞれ接続されている。
【0027】
また、第一孔部15は第一被覆板14に穿設されており、第一被覆板14の上面側から、直接加熱媒体としての水蒸気を導入する導入配管15bに接続されている。なお、本実施形態では、第一孔部15が二つ設けられ、二つの導入配管15bから第一空間31内に水蒸気が導入される構成である。
【0028】
更に、第一被覆板14の中央には、上方からスチームトラップ用のパイプ19が挿通されている。このパイプ19の下端は、突出部16と突出部16との間の「谷」の部分で、第一区画部12の上面近くに至っている。一方、パイプ19の上端は、図示しないスチームトラップに接続されている。なお、パイプ19の上端を、スチームトラップを介して吸引装置に接続しても良い。
【0029】
なお、第一本体部11と第一被覆板14との締結は、第一側壁部13に沿って上下に貫通する複数の孔部58のそれぞれに挿通したボルト75を、第一被覆板14において外周辺に沿って穿設された複数の孔部71に挿通して、ナット(図示しない)で留め付けることにより行っている。また、第一区画部12において中央寄りの位置には、第一区画部12の上面から突出した、第一被覆板14まで達する高さの締結用突起51が複数形成されており、この締結用突起51を貫通する孔部55及び第一被覆板14に穿設された孔部61にボルト65を挿通し、ナットで留め付けることによって、第一本体部11と第一被覆板14との締結を強固にしている。
【0030】
次に、第二容器半体20の構成について説明する。第二容器半体20は、略矩形で平板状の第二区画部22、及び、第二区画部22の外周辺に沿って下方に延設された第二側壁部23を有する第二本体部21と、第二区画部22の下方において第二側壁部23に囲まれた空間を閉塞し、内部に第二空間32を形成させる第二被覆板24とを備えている。
【0031】
第二区画部22の上面側には、外周辺に沿って一段低い段部26が形成されている。ここで、第二区画部22の外形寸法は、第一区画部12の外形寸法と等しく、段部26の幅は、第一容器半体10の第一側壁部13の厚さと等しい設定とされている。
【0032】
第二パイプ28は、第二区画部22の下面に半ば埋設された状態で、蛇行して配されている。この第二パイプ28の上流端部28u及び下流端部28dは、それぞれ第二被覆板24に向かって下方に延び、第二被覆板24に穿設された孔部42及び孔部46を介して、第二パイプ28に流通させる水蒸気用の流入配管42b及び流出配管46bにそれぞれ接続されている。
【0033】
また、第二パイプ28の配されていない部分において、第二区画部22を上下に貫通する排出路27が、多数設けられている。ここで、本実施気体では、排出路27の軸方向(排出路27の延びる上下方向)は、第一容器半体10における導入路17の軸方向と同一線上とならないよう、敢えて位置をずらしている。
【0034】
第二孔部25は第二被覆板24に穿設されており、直接加熱媒体としての水蒸気を排出する排出配管25bに、第二被覆板24の下面側から接続されている。なお、本実施形態では、第二孔部25を二つ設け、二つの排出配管25bを介して第二空間32から水蒸気が排出される構成である。
【0035】
なお、第一本体部21と第二被覆板24との締結は、第二側壁部23に沿って上下に貫通する複数の孔部59のそれぞれに挿通したボルト76を、第二被覆板24において外周辺に沿って穿設された複数の孔部72に挿通して、ナット(図示しない)で留め付けることにより行っている。また、第二区画部22において中央寄りの位置には、第二区画部22の下面から突出した、第二被覆板24まで達する高さの締結用突起52が複数形成されており、この締結用突起52を貫通する孔部56及び第二被覆板24に穿設された孔部62にボルト66を挿通し、ナットで留め付けることによって、第一本体部21と第二一被覆板との締結を強固にしている。
【0036】
上記構成の第一容器半体10及び第二容器半体20を上下に重ね合わせると、第一本体部11の第一側壁部13の下端面が第一本体部21の段部26の上面と当接する。これにより、第一区画部12の下方で第一側壁部13に囲まれた空間が第二区画部22で閉塞され、主空間30が形成される。
【0037】
次に、上記構成の加熱装置1を使用したシート材の加熱方法について説明する。まず、第一容器半体10を第二容器半体20から離隔した状態で、第二区画部22の上面にシート材を載置する。シート材は、表皮材の裏面に熱可塑性樹脂が積層されたシート材に限定されない。例えば、表皮材の裏面に熱可塑性樹脂と繊維材との混合層が積層されたシート材、熱可塑性樹脂層のみからなるシート材等であっても、加熱装置1で加熱することができる。シート材が通気性を有する場合は、シート材に水蒸気を通過させて加熱することができ好適であるが、シート材の通気性の有無を問わず、加熱装置1で加熱することができる。なお、第二区画部22の面積に対してシート材の寸法が小さい場合は、第二区画部22の上面に開口する複数の排出路27を、覆い板で部分的に覆うと良い。
【0038】
シート材のセットが終了したら、第一容器半体10を第二容器半体20に重ね合わせる。これにより、シート材が主空間30に収容された状態となる。この状態で、流入配管41b,42bから水蒸気を導入し、第一パイプ18及び第二パイプ28それぞれに水蒸気を流通させ、流出配管45b,46bから流出させる。これにより、第一パイプ18及び第二パイプ28を流通する水蒸気によって主空間30が加熱される。これと同時に、第一パイプ18を流通する水蒸気によって第一空間31が加熱され、第二パイプ28を流通する水蒸気によって第二空間32が加熱される。この状態で、導入配管15bから第一孔部15を介して、第一空間31内に水蒸気を導入する。
【0039】
水蒸気としては、例えば、燃料の燃焼によりボイラで発生させた120℃〜200℃の水蒸気を使用することができる。また、ボイラで発生させた水蒸気を一旦サブタンクに蓄えておき、サブタンクを介して加熱装置1に導入することもできる。
【0040】
水蒸気は、第一空間31内に導入されるまでの配管抵抗や放熱により、温度が低下し、乾き度が低下しているおそれがあるが、第一空間31が第一パイプ18によって加熱されているため、第一空間31内の圧力下で水蒸気の温度を高め、顕熱の大きな過熱水蒸気とすることができる。また、第一空間31内で水蒸気が凝縮した場合でも、凝縮水はパイプ19が接続されたスチームトラップを介して装置外部に排出されるため、水蒸気の乾き度を高めることができる。
【0041】
そして、温度が高められ、乾き度が高められた水蒸気は、突出部16の上端で開口する導入路17に入り、主空間30に流入する。これにより、主空間30に収容されたシート材を、温度の高い乾いた水蒸気で、効率よく加熱することができる。この際、主空間30は、第一パイプ18及び第二パイプ28を流通する水蒸気によって加熱されているため、主空間30内で水蒸気の温度が低下し凝縮するおそれが低減される。また、本実施形態では、導入路17が多数設けられている。これにより、主空間30の全体に満遍なく水蒸気が行き渡り、シート材を均一に加熱することができる。
【0042】
また、上述のように、排出路27の軸方向は導入路17の軸方向と同一線上に位置しないよう、敢えて位置をずらした設定とされているため、導入路17から主空間30に導入された水蒸気は、主空間30内で横方向に移動する。これにより、水蒸気の主空間30内での移動距離が増加し、水蒸気の熱をシート材の加熱のために十分に利用することができる。
【0043】
主空間30内でシート材に熱を与えた水蒸気は、排出路27を介して主空間30から排出されて第二空間32内に集められ、第二孔部25を介して排出配管25bから装置外部に排出される。その際、第二空間32は、第二パイプ28を流通する水蒸気によって加熱されているため、第二空間32に流入した水蒸気の温度が低下することが抑制され、水蒸気の状態で排出配管25bから排出させることができる。これにより、排出配管25bから排出された水蒸気を再加熱した後、再び第一空間31に導入するという循環システムで、シート材を加熱することができる。
【0044】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0045】
例えば、上記構成の加熱装置1において、第一孔部15、導入路17、排出路27、第二孔部25の総開口面積(開口している空間の横断面積の和)を、第一孔部15、導入路17、排出路27、第二孔部25の順に大きくすることができる。すなわち、水蒸気の流れにおいて、上流側から下流側に向かって、総開口面積を大きくする。これにより、水蒸気が上流から下流に向かってスムーズに流れやすく、加熱装置1内での水蒸気の滞留を抑制することができる。
【0046】
また、上記では、第一空間31内から凝縮水を排出するために、スチームトラップが設けられる場合を例示した。これに加えて、第一パイプ18及び第二パイプ28を流通する水蒸気から、凝縮水を排除するためのスチームトラップを設けることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 加熱装置(シート材加熱装置)
10 第一容器半体
12 第一区画部
15 第一孔部
16 突出部
17 導入路
18 第一パイプ(パイプ)
20 第二容器半体
22 第二区画部
25 第二孔部
27 排出路
28 第二パイプ(パイプ)
30 主空間
31 第一空間
32 第二空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開平11−240033号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの周縁部が重ね合わされることにより、内部にシート材を収容する主空間を備える箱状の容器が形成される第一容器半体及び第二容器半体と、
前記第一容器半体に形成された、前記主空間に水蒸気を導入する導入路と、
前記第二容器半体に形成された、前記主空間から水蒸気を排出する排出路と、
前記第一容器半体及び前記第二容器半体の少なくとも一方に配設され、内部に流通させる水蒸気によって前記主空間を加熱するパイプと
を具備することを特徴とするシート材加熱装置。
【請求項2】
前記第一容器半体は、第一区画部によって前記主空間と区画されると共に前記導入路を介して前記主空間と連通し、第一孔部を介して装置外部から水蒸気が導入される第一空間を備え、
前記パイプとして、前記第一区画部に配設された第一パイプを具備する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート材加熱装置。
【請求項3】
前記第一空間から装置外部へ凝縮水を排出するスチームトラップを、更に具備する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート材加熱装置。
【請求項4】
前記第一容器半体及び前記第二容器半体は、前記第一容器半体を上にして上下に配されるものであり、
前記第一容器半体は、前記第一区画部から前記第一空間内に突出した突出部を備え、
前記導入路は、前記突出部の上端に開口している
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシート材加熱装置。
【請求項5】
前記第二容器半体は、第二区画部によって前記主空間と区画されると共に前記排出路を介して前記主空間と連通し、第二孔部を介して装置外部へ水蒸気が排出される第二空間を備え、
前記パイプとして、前記第二区画部に配設された第二パイプを具備する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一つに記載のシート材加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−63524(P2013−63524A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202134(P2011−202134)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(311011346)山下機工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】