シート検知装置と画像形成装置
【課題】反射センサが外乱光に照射されたり、反射センサに塵埃が付着したりすることを少なくして、誤検知の発生を少なくする。
【解決手段】シート検知装置20は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ11と、搬送されてきたシートによって作動するフラグ12と、反射センサを照射する外乱光を反射センサに対向して遮蔽する遮蔽板13と、を備えている。遮蔽板は、フラグに設けられており、シートが搬送されてくるまで反射センサとの対向状態が保されている。これによって、反射センサが外乱光に照射されたり、反射センサアに塵埃が付着したりすることが防止される。シートが搬送されてくると、フラグがシートに押されて回転し、遮蔽板が移動して、上記の対向状態が解除される。これによって、反射センサがシートを検知できるようになる。
【解決手段】シート検知装置20は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ11と、搬送されてきたシートによって作動するフラグ12と、反射センサを照射する外乱光を反射センサに対向して遮蔽する遮蔽板13と、を備えている。遮蔽板は、フラグに設けられており、シートが搬送されてくるまで反射センサとの対向状態が保されている。これによって、反射センサが外乱光に照射されたり、反射センサアに塵埃が付着したりすることが防止される。シートが搬送されてくると、フラグがシートに押されて回転し、遮蔽板が移動して、上記の対向状態が解除される。これによって、反射センサがシートを検知できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを検知するシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、シートに高品質の画像を形成するため、搬送中のシートの位置や状態を検知するシート検知装置を備えていることが多い。シート検知装置は、シートの搬送経路上に設けたセンサによって、シートの詰まり、斜行、位置等を検知して、シートの搬送状態を画像形成装置の制御部に送信するようになっている。
【0003】
センサには、特許文献1に記載のように、光をシートに発する発光素子とシートからの反射光を受光する受光素子とを備えて、シートからの反射光を受光して、シートの位置や、状態を検知する反射センサがある。
【0004】
図11に、特許文献1以外の反射センサの従来の使用例を示す。
【0005】
反射センサ107は、画像形成装置としてのインクジェット印刷装置150の複数のラインヘッド101Y,101M,101C,101Kで構成された画像形成部105の上流に設けられている。反射センサ107は、ラインヘッドの下を循環する搬送ベルト102を案内支持する搬送プレート108に形成された光通過孔108aの下側に配置されて、光通過孔108aを通じてシートPの進入を検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−57892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1にしても図11にしても、反射センサは、シートと対向する位置に配置されているため、シートが搬送されてきていないとき受光素子を遮るものが無く、露出してむき出しの状態になっている。このため、反射センサは、外乱光に照射されると、シートが通過しているものと誤検知することがある。図11においては、光通過孔108aから外乱光が侵入して反射センサ107を照射することがある。
【0008】
外乱光として、太陽光、白熱灯等がある。白熱灯には赤外発光領域の光が多く含まれている。赤外発光領域の光はLEDの発光領域と共通であり、反射センサは、白熱灯の光を自ら発した光の反射光とご検知することがある。
【0009】
シート検知装置は、画像形成装置の筐体内に設けられていることが多く、外乱光が筐体の隙間、シートを手動で匡体に挿入する場合の挿入口、シートの排出口等から侵入することがあり、その外乱光をシートからの反射光として誤検知することがある。
【0010】
その他、反射センサは、長期間使用していると、塵埃が付着することがあり、塵埃をシートと誤って検知することもある。
【0011】
本発明は、反射センサが外乱光に照射されたり、反射センサに塵埃が付着したりすることを少なくして、誤検知の発生を少なくしたシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のシート検知装置は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサと、搬送されてきたシートによって作動する作動部材と、前記反射センサを照射する外乱光を前記反射センサに対向して遮蔽する遮蔽部材と、を備え、前記反射センサと前記遮蔽部材とのいずれか一方が前記作動部材に設けられ、シートが搬送されてくるまで前記遮蔽部材と前記反射センサとの対向状態が保持され、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、前記一方が移動して、前記対向状態が解除され、前記反射センサがシートを検知できるようにする、ことを特徴としている。
【0013】
本発明の画像形成装置は、上記のシート検知装置と、前記シート検知装置がシートを検知したタイミングに基づいて、シートに対する画像形成を開始してシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート検知装置は、シートが搬送されてくるまで遮蔽部材と反射センサとの対向状態を保持して反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0015】
また、本発明のシート検知装置は、遮蔽部材と反射センサとの対向状態を保持するようになっているので、遮蔽部材によって塵埃が反射センサに付着するのを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット印刷装置の概略正面図であり、本発明の実施形態のシート検知装置を備えた図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。
【図3】図2のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。
【図4】図3の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。
【図5】図2のシート検知装置の動作説明用の図である。(A)は、シートが搬送されてきた図である。(B)は、反射センサがシートを検知した図である。(C)は、シートが反射センサを通過した図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。
【図7】図6のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。
【図8】図7の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。
【図9】図6のシート検知装置の動作説明用の図である。(A)は、シートが搬送されてきた図である。(B)は、反射センサがシートを検知した図である。(C)は、シートが反射センサを通過した図である。
【図10】他の形態の反射板を示した図である。
【図11】反射センサの従来の使用例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態のシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置としてのインクジェット印刷装置とを図に基づいて説明する。
【0018】
(インクジェット印刷装置)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット印刷装置の概略正面図であり、本発明の実施形態のシート検知装置を備えた図である。
【0019】
インクジェット印刷装置10は、画像形成部7を備えている。画像形成部7は、複数のラインヘッド1Y,1M,1C,1K、搬送ベルト2、搬送モータ4及び搬送プレート8等を備えている。
【0020】
ラインヘッド1Y,1M,1C,1Kは、シート搬送方向に併設されると共に、シート搬送方向と直交する方向(シートの幅方向)に向いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクを吐出して、シートに画像を形成するようになっている。搬送ベルト2は、一対の搬送プーリ3A,3Bに張り渡されて、シートPを搬送して、シートPに画像を形成させるため、ラインヘッド1Y,1M,1C,1Kの下側を循環するようになっている。搬送モータ4は、搬送ベルト2の循環駆動源であり、搬送ベルト2にテンションを加えて、搬送ベルト2を張った状態にするテンショナでもある。搬送ベルト2は、内周に歯が形成された歯付きベルトであり、搬送モータ4の駆動プーリ4aは歯付きプーリである。搬送ベルト2と駆動プーリ4aは、歯同士の噛み合いによって、互いにスリップすることなく、搬送モータ4の回転力を搬送ベルト2に伝達するようになっている。
【0021】
搬送プレート8は、ラインヘッドと対向する搬送ベルト2の部分を支持して、シート搬送の搬送面の基準となる部材である。なお、図1における搬送プレート8は、インクジェット印刷装置10の構造を理解し易いように、搬送ベルト2から離しているが、実際には、搬送ベルト2に接触して搬送ベルト2を支持するようになっている。
【0022】
画像形成部7のシート搬送方向の上流には、搬送入口ローラ5が設けられている。搬送入口ローラ5は、不図示のばねによって搬送ベルト2を上流の搬送プーリ3Aに圧接して、従動回転するようになっている。搬送入口ローラ5は、シートが搬送されてくると、シートの厚みに応じて搬送ベルト2から離れる方向に逃げて搬送ベルト2とでシートを挟持して搬送するようになっている。
【0023】
搬送入口ローラ5とイエローのラインヘッド1Yとの間には、シートの先端を検知するシート検知装置20が設けられている。
【0024】
画像形成部7のシート搬送方向の下流には、搬送出口ローラ6が設けられている。搬送出口ローラ6も、不図示のばねによって搬送ベルト2を下流の搬送プーリ3Bに圧接して、従動回転するようになっている。搬送出口ローラ6は、シートが搬送されてくると、シートの厚みに応じて搬送ベルト2から離れる方向に逃げて搬送ベルト2とでシートを挟持して搬送するようになっている。
【0025】
搬送ベルト2と、搬送入口ローラ5及び搬送出口ローラ6との、シートPに対する摩擦力は、
搬送ベルト2>シートP>搬送入口ローラ5
搬送ベルト2>シートP>搬送出口ローラ6
となるように設計されている。
【0026】
シートPは搬送ベルト2の循環と摩擦力とにより搬送される。搬送入口ローラ5及び搬送出口ローラ6は、シートPを搬送ベルト2に圧接して、搬送ベルト2とシートPの密着を助け、シートPの浮き上がりを防止することでシートPを安定した状態で搬送できるようにしている。
【0027】
インクジェット印刷装置10は、不図示のカセットから給送したシートPを、搬送入口ローラ5と搬送ベルト2との間に搬送し、さらに、搬送ベルト2の循環によってラインヘッドの下を通過させて、搬送出口ローラ6と搬送ベルト2とによって排出する。この間に、シート検知装置20が、シートPの先端Paを検知して、ラインヘッドがインクを吐出するタイミングを計れるようにする。このため、インクジェット印刷装置10は、シート検知装置20によって、シートの先端から所望の位置に画像を形成することができる。
【0028】
(第1実施形態のシート検知装置)
図1は、本発明の第1実施形態のシート検知装置がインクジェット印刷装置に設けられた図であり、シート検知装置の正面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。図3は、図2のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。図4は、図3の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。図5は、図2のシート検知装置の動作説明用の図である。図5(A)は、シートが搬送されてきた図である。図5(B)は、センサがシートを検知した図である。図5(C)は、シートがセンサを通過した図である。
【0029】
シート検知装置の構成を説明する。
【0030】
シート検知装置20は、搬送入口ローラ5と画像形成部7との間に設けられて、シートPの先端Paを検知するようになっている。
【0031】
シート検知装置20は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ11と、搬送されてきたシートによって作動(回転)する作動部材としてのフラグ12とを備えている。さらに、シート検知装置20は、反射センサ11を照射する外乱光を反射センサ11に対向して遮蔽する遮蔽部材としての遮蔽板13を備えている。そして、反射センサ11は固定され、遮蔽板13はフラグ12に設けられている。シート検知装置20は、搬送されてきたシートによってフラグ12が作動(回転)することによって、遮蔽板13が移動(回転)して、反射センサ11との対向状態を解除してシートを検知するようになっている。
【0032】
反射センサ11は、搬送入口ローラ5とイエローのラインヘッド1Yとの間で、搬送プレート8の下方に不図示の固定部材(例えば、搬送プレート8)に固定されている。反射センサ11(図2)は、シートに光を照射する発光部11aと、シートからの反射光を受光する受光部11bとを備えている。反射センサ11は、シートPの先端Paを検知して、所定時間経過後に画像形成部7よりインクを吐出してシートPに画像を形成するタイミングを決めるために設けられている。搬送プレート8には、光通過孔8aが反射センサ11に対向して形成されている。光通過孔8aは、シートを照射する反射センサ11の光と、シートからの反射光とが通過するようになっている。また、反射センサ11には、信号を伝達するための不図示の束線が接続されており、機器を制御する基板ユニットへと信号を伝達するようになっている。
【0033】
フラグ12は、屈曲した形状をした板状の部材であり、不図示の固定部材に設けられた支持軸14を中心にシートの搬送方向に回転するようになっている。フラグ12の上端部分である検知片12aは、シートの先端Paが当接するように、搬送プレート8の長孔8bを貫通して、搬送プレート8の上面に突出している。長孔8bは、フラグ12の回転を許容するだけの長さにシート搬送方向に沿って形成されている。フラグ12の下端部12bには、フラグ12が起立状態を保持できるようにするウエイト15が設けられている。ウエイト15の重さは、フラグ12がシートに押されたとき、シートの先端部に撓みを生じさせることなく下流に倒れる程度に設定されている。通常、フラグ12は、ウエイト15によって検知片12aが長孔8bから突出して長孔8bの上流端8ba(図2)に受け止められて、起立状態が保持されている。
【0034】
なお、ウエイトの代わりにフラグ12と固定部材との間に不図示のばねを渡して設けてもよい。この場合においても、ばねの弾力は、フラグ12がシートに押されたとき、シートの先端部に撓みを生じさせることなく下流に倒れる程度に設定されている必要がある。
【0035】
遮蔽板13は、フラグ12とともに一体化されている。遮蔽板13(図4)の反射センサ11と対向する面に板状の反射板16が設けられている。
【0036】
反射板16には、光反射率がシートの光反射率より小さい(シートP>反射板16)部材が使用されている。
【0037】
シート検知装置20の動作を説明する。
【0038】
シートが搬送されてくるまで、フラグ12は起立状態に保持されており、検知片12aは搬送プレート8から上方に突出している。このとき、フラグ12と一体の遮蔽板13は、搬送プレート8の光通過孔8aと反射センサ11との間に位置して、反射センサ11に対向している。このため、シートが搬送されてくるまで、遮蔽板13は、反射センサ11との対向状態が保持される。これにより、遮蔽板13は、光通過孔8aから進入する外乱光を遮蔽する。その結果、遮蔽板13が反射センサ11に対向する対向位置に位置している場合、反射センサ11は、外乱光に照射されない。また、反射センサ11は、遮蔽板13に取り付けられて光反射率の分っている反射板16を検知しており、反射板16の光反射率から遮蔽板13を検知し、シートを検知していないことを判断できる。
【0039】
以上の状態において、搬送ベルト2と搬送入口ローラ5は、搬送されてきたシートPを挟持する。搬送ベルト2は、搬送モータ4によって循環しており、搬送入口ローラ5とともに、シートPをラインヘッドの下に搬送する。この間に、フラグ12の検知片12aが搬送されてくるシートの先端Paによって下流に押されて、フラグ12は支持軸14を中心に回転して下流方向に倒される。搬送ベルト2の摩擦力は、シートPよりも大きく、さらに、搬送入口ローラ5よりも大きい。このため、搬送ベルト2は、シートがフラグ12を下流に押し倒して反力を受けても、シートを滑らせることなく、搬送することができる。
【0040】
フラグ12は、シートの先端に押されて、支持軸14を中心に回転するのにともなって、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を解除し、遮蔽板13を反射センサ11から離間させる。これによって、遮蔽板13が搬送プレート8の光通過孔8aと反射センサ11との間から退避して、反射センサ11は光通過孔8aを通じてシートPに対向し、シートを検知する。シートPの光反射率は、遮蔽板13に取り付けられている反射板16の光反射率よりも高いため、反射センサ11は、シートPが進入したことを検知できる。インクジェット印刷装置10は、反射センサ11がシートを検知したタイミングに基づいて、シートの所定の位置に画像の形成を開始する。
【0041】
図5(B)において、反射センサ11がシートを検知したとき、シートの先端Paは、反射センサ11の上を距離Lだけ、下流に移動している。このため、インクジェット印刷装置10は、反射センサ11がシートの先端を検知したとき、シートが距離Lだけ移動していることを考慮して、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るようになっている。
【0042】
その後、シートPが検知片12aを通過すると、フラグ12は、ウエイト15により、元の起立状態に戻り、検知片12aが搬送プレート8上に突出して、搬送プレート8に対して直交した状態になる。この間に、遮蔽板13は反射センサ11に対向する。
【0043】
以上、説明したように、シート検知装置20は、シートが搬送されて来ていないとき、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を保持して、反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0044】
また、シート検知装置20は、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を保持することによって、遮蔽板によって塵埃が反射センサに付着することを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることもできる。
【0045】
インクジェット印刷装置10は、外乱光や塵埃による誤検知を少なくしたシート検知装置20を備えているので、シートに高画質の画像を形成することができる。
【0046】
(第2実施形態のシート検知装置)
図6は、本発明の第2実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。図7は、図6のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。図8は、図7の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。図9は、図6のシート検知装置の動作説明用の図である。図9(A)は、シートが搬送されてきた図である。図9(B)は、センサがシートを検知した図である。図9(C)は、シートがセンサを通過した図である。
【0047】
シート検知装置120の構成を説明する。
【0048】
第2実施形態のシート検知装置120も、第1実施形態のシート検知装置20と同様に、搬送入口ローラ5(図1)と画像形成部7との間に設けられて、シートPの先端Paを検知するようになっている。
【0049】
第2実施形態のシート検知装置120も、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ111と、搬送されてきたシートによって作動する作動部材としてのフラグ112とを備えている。さらに、シート検知装置120は、反射センサ111を照射する外乱光を反射センサ111に対向して遮蔽する遮蔽部材としての遮蔽板113を備えている。
【0050】
そして、遮蔽板113は反射板116を有して搬送プレート8の下面に固定され、反射センサ111は作動部材としてのフラグ112に設けられている。このため、シート検知装置120は、搬送されてきたシートによってフラグ112が作動(回転)して、反射センサ111がフラグ112とともに移動し、遮蔽部材としての遮蔽板113との対向状態を解除して、シートを検知する位置に移動するようになっている。その他の部分については、第1実施形態のシート検知装置20と同様であるので同一部分については同一符号を付して、同一部分の説明を一部省略する。
【0051】
シート検知装置120の動作を説明する。
【0052】
シートが搬送されてくるまで、フラグ112は起立状態に保持されており、検知片112aは搬送プレート8から上方に突出している。このとき、フラグ112と一体の反射センサ111は、遮蔽板113に対向している。このため、シートが搬送されてくるまで、反射センサ111は、遮蔽板113との対向状態が保持されて外乱光に照射されないようになっている。特に、反射センサ111は、光通過孔8aに向き合わないで遮蔽板113に対向しているため、光通過孔8aから進入する外乱光に照射されないようになっている。しかも、反射センサ111は、遮蔽板113に取り付けられて、予め、光反射率の分っている反射板116を検知しており、反射板116の光反射率から遮蔽板113を検知し、シートを検知していないことを判断できる。
【0053】
以上の状態において、フラグ112の検知片112aは、搬送ベルト2と搬送入口ローラ5とによって、搬送されているシートの先端Paによって下流に押され、フラグ112は支持軸14を中心に回転して下流方向に倒れる。搬送ベルト2の摩擦力は、シートPよりも大きく、さらに、搬送入口ローラ5よりも大きい。このため、搬送ベルト2は、シートがフラグ112を下流に押し倒して反力を受けても、シートを滑らせることなく、搬送することができる。
【0054】
フラグ112は、シートの先端に押されて、支持軸14を中心に回転するのにともなって、反射センサ111と遮蔽板113との対向状態を解除し、反射センサ111を遮蔽板113から離間させる。これによって、反射センサ111は光通過孔8aに対向し、光通過孔8aを通じてシートPに対向し、シートを検知する。シートPの光反射率は、遮蔽板113に取り付けられている反射板116の光反射率よりも高いため、反射センサ111は、シートPが進入したことを検知できる。
【0055】
インクジェット印刷装置10は、反射センサ111がシートを検知したタイミングに基づいて、シートの所定の位置に画像の形成を開始する。
【0056】
図9(B)において、反射センサ111がシートを検知したとき、シートの先端Paは、反射センサ111の上を距離Lだけ、下流に移動している。このため、インクジェット印刷装置10は、反射センサ111がシートの先端を検知したとき、シートが距離Lだけ移動していることを考慮して、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るようになっている。
【0057】
その後、シートPが検知片112aを通過すると、フラグ112は、ウエイト15により、元の起立状態に戻り、検知片112aが搬送プレート8上に突出して、搬送プレート8に対して直交した状態になる。この間に、反射センサ111は、遮蔽板113に対向する。
【0058】
なお、図6乃至図9において、符号112bはフラグの下端部を示している。また、符号111aは反射センサ111の発光部を示し、111bは受光部を示している。
【0059】
以上、説明したように、シート検知装置120は、シートが搬送されてきていないとき遮蔽板113と反射センサ111との対向状態を保持して、反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0060】
また、シート検知装置120は、遮蔽板113と反射センサ111との対向状態を保持することによって、遮蔽板によって塵埃が反射センサに付着することを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることができる。
【0061】
インクジェット印刷装置10は、外乱光や塵埃による誤検知を少なくしたシート検知装置120を備えているので、シートに高画質の画像を形成することができる。
【0062】
以上のシート検知装置20,120において、反射センサ11,111は、シートを照射したときの光反射率によってシートの材質による種類やサイズも検知できるようにするため、光通過孔8aを通して、シートを照射するようになっている。
【0063】
また、シート検知装置20,120は、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るため、シートの先端を検知するようになっているが、シートの幅方向に複数設けて、シートの先端検知の時間差によってシートの斜行を検知できるようにしてもよい。したがって、シート検知装置20,120は、シートに画像形成を開始するタイミングを計るためのみに、使用されるものではない。
【0064】
さらに、シート検知装置20,120は、反射板16,116の光反射率が予め分かっていることを利用して、反射センサ11,111の経年劣化に伴うLEDの発光量の低下に起因する受光電流の低下を調整できるようにしてもよい。具体的には、LEDへの発光電流を増やしたり、受光電流側の抵抗値を変動させたりすることで、発光量を調節して、受光量を一定にすることができる。
【0065】
また、シート検知装置20,120は、予め、シートPの光反射率が、反射板16,116の発射率よりも高いことが分かっている場合について説明した。しかし、図10に示すように、予め分かっている互いに光反射率の異なる反射板16a,16b,116a,116bを遮蔽板13,113に設けてもよい。このようにすると、反射センサ11,111が、反射板の光反射率が変わったことを検知することによって、シートを検知することができる。この場合、反射センサと遮蔽板とのいずれか一方が、矢印方向に移動するものとする。なお、光反射率の異なる反射板は、2種類に限定されることなく、複数種類設けられていればよい。
【符号の説明】
【0066】
P:シート、Pa:シートの先端、ラインヘッド:1Y,1M,1C,1K、2:搬送ベルト、3A,3B:搬送プーリ、4:搬送モータ、4a:駆動ローラ、7:画像形成部、8:搬送プレート、8a:光通過孔、10:インクジェット印刷装置(画像形成装置)、11:反射センサ、12:フラグ(作動部材)、12a:検知片、13:遮蔽板(遮蔽部材)、14:支持軸、15:ウエイト、16:反射板、16a:反射板、16b:反射板、20:第1実施形態のシート検知装置、111:反射センサ、112:フラグ(作動部材)、112a:検知片、111:反射センサ、113:遮蔽板(遮蔽部材)、116:反射板、120:第2実施形態のシート検知装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを検知するシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、シートに高品質の画像を形成するため、搬送中のシートの位置や状態を検知するシート検知装置を備えていることが多い。シート検知装置は、シートの搬送経路上に設けたセンサによって、シートの詰まり、斜行、位置等を検知して、シートの搬送状態を画像形成装置の制御部に送信するようになっている。
【0003】
センサには、特許文献1に記載のように、光をシートに発する発光素子とシートからの反射光を受光する受光素子とを備えて、シートからの反射光を受光して、シートの位置や、状態を検知する反射センサがある。
【0004】
図11に、特許文献1以外の反射センサの従来の使用例を示す。
【0005】
反射センサ107は、画像形成装置としてのインクジェット印刷装置150の複数のラインヘッド101Y,101M,101C,101Kで構成された画像形成部105の上流に設けられている。反射センサ107は、ラインヘッドの下を循環する搬送ベルト102を案内支持する搬送プレート108に形成された光通過孔108aの下側に配置されて、光通過孔108aを通じてシートPの進入を検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−57892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1にしても図11にしても、反射センサは、シートと対向する位置に配置されているため、シートが搬送されてきていないとき受光素子を遮るものが無く、露出してむき出しの状態になっている。このため、反射センサは、外乱光に照射されると、シートが通過しているものと誤検知することがある。図11においては、光通過孔108aから外乱光が侵入して反射センサ107を照射することがある。
【0008】
外乱光として、太陽光、白熱灯等がある。白熱灯には赤外発光領域の光が多く含まれている。赤外発光領域の光はLEDの発光領域と共通であり、反射センサは、白熱灯の光を自ら発した光の反射光とご検知することがある。
【0009】
シート検知装置は、画像形成装置の筐体内に設けられていることが多く、外乱光が筐体の隙間、シートを手動で匡体に挿入する場合の挿入口、シートの排出口等から侵入することがあり、その外乱光をシートからの反射光として誤検知することがある。
【0010】
その他、反射センサは、長期間使用していると、塵埃が付着することがあり、塵埃をシートと誤って検知することもある。
【0011】
本発明は、反射センサが外乱光に照射されたり、反射センサに塵埃が付着したりすることを少なくして、誤検知の発生を少なくしたシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のシート検知装置は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサと、搬送されてきたシートによって作動する作動部材と、前記反射センサを照射する外乱光を前記反射センサに対向して遮蔽する遮蔽部材と、を備え、前記反射センサと前記遮蔽部材とのいずれか一方が前記作動部材に設けられ、シートが搬送されてくるまで前記遮蔽部材と前記反射センサとの対向状態が保持され、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、前記一方が移動して、前記対向状態が解除され、前記反射センサがシートを検知できるようにする、ことを特徴としている。
【0013】
本発明の画像形成装置は、上記のシート検知装置と、前記シート検知装置がシートを検知したタイミングに基づいて、シートに対する画像形成を開始してシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート検知装置は、シートが搬送されてくるまで遮蔽部材と反射センサとの対向状態を保持して反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0015】
また、本発明のシート検知装置は、遮蔽部材と反射センサとの対向状態を保持するようになっているので、遮蔽部材によって塵埃が反射センサに付着するのを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット印刷装置の概略正面図であり、本発明の実施形態のシート検知装置を備えた図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。
【図3】図2のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。
【図4】図3の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。
【図5】図2のシート検知装置の動作説明用の図である。(A)は、シートが搬送されてきた図である。(B)は、反射センサがシートを検知した図である。(C)は、シートが反射センサを通過した図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。
【図7】図6のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。
【図8】図7の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。
【図9】図6のシート検知装置の動作説明用の図である。(A)は、シートが搬送されてきた図である。(B)は、反射センサがシートを検知した図である。(C)は、シートが反射センサを通過した図である。
【図10】他の形態の反射板を示した図である。
【図11】反射センサの従来の使用例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態のシート検知装置と、このシート検知装置を備えた画像形成装置としてのインクジェット印刷装置とを図に基づいて説明する。
【0018】
(インクジェット印刷装置)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット印刷装置の概略正面図であり、本発明の実施形態のシート検知装置を備えた図である。
【0019】
インクジェット印刷装置10は、画像形成部7を備えている。画像形成部7は、複数のラインヘッド1Y,1M,1C,1K、搬送ベルト2、搬送モータ4及び搬送プレート8等を備えている。
【0020】
ラインヘッド1Y,1M,1C,1Kは、シート搬送方向に併設されると共に、シート搬送方向と直交する方向(シートの幅方向)に向いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクを吐出して、シートに画像を形成するようになっている。搬送ベルト2は、一対の搬送プーリ3A,3Bに張り渡されて、シートPを搬送して、シートPに画像を形成させるため、ラインヘッド1Y,1M,1C,1Kの下側を循環するようになっている。搬送モータ4は、搬送ベルト2の循環駆動源であり、搬送ベルト2にテンションを加えて、搬送ベルト2を張った状態にするテンショナでもある。搬送ベルト2は、内周に歯が形成された歯付きベルトであり、搬送モータ4の駆動プーリ4aは歯付きプーリである。搬送ベルト2と駆動プーリ4aは、歯同士の噛み合いによって、互いにスリップすることなく、搬送モータ4の回転力を搬送ベルト2に伝達するようになっている。
【0021】
搬送プレート8は、ラインヘッドと対向する搬送ベルト2の部分を支持して、シート搬送の搬送面の基準となる部材である。なお、図1における搬送プレート8は、インクジェット印刷装置10の構造を理解し易いように、搬送ベルト2から離しているが、実際には、搬送ベルト2に接触して搬送ベルト2を支持するようになっている。
【0022】
画像形成部7のシート搬送方向の上流には、搬送入口ローラ5が設けられている。搬送入口ローラ5は、不図示のばねによって搬送ベルト2を上流の搬送プーリ3Aに圧接して、従動回転するようになっている。搬送入口ローラ5は、シートが搬送されてくると、シートの厚みに応じて搬送ベルト2から離れる方向に逃げて搬送ベルト2とでシートを挟持して搬送するようになっている。
【0023】
搬送入口ローラ5とイエローのラインヘッド1Yとの間には、シートの先端を検知するシート検知装置20が設けられている。
【0024】
画像形成部7のシート搬送方向の下流には、搬送出口ローラ6が設けられている。搬送出口ローラ6も、不図示のばねによって搬送ベルト2を下流の搬送プーリ3Bに圧接して、従動回転するようになっている。搬送出口ローラ6は、シートが搬送されてくると、シートの厚みに応じて搬送ベルト2から離れる方向に逃げて搬送ベルト2とでシートを挟持して搬送するようになっている。
【0025】
搬送ベルト2と、搬送入口ローラ5及び搬送出口ローラ6との、シートPに対する摩擦力は、
搬送ベルト2>シートP>搬送入口ローラ5
搬送ベルト2>シートP>搬送出口ローラ6
となるように設計されている。
【0026】
シートPは搬送ベルト2の循環と摩擦力とにより搬送される。搬送入口ローラ5及び搬送出口ローラ6は、シートPを搬送ベルト2に圧接して、搬送ベルト2とシートPの密着を助け、シートPの浮き上がりを防止することでシートPを安定した状態で搬送できるようにしている。
【0027】
インクジェット印刷装置10は、不図示のカセットから給送したシートPを、搬送入口ローラ5と搬送ベルト2との間に搬送し、さらに、搬送ベルト2の循環によってラインヘッドの下を通過させて、搬送出口ローラ6と搬送ベルト2とによって排出する。この間に、シート検知装置20が、シートPの先端Paを検知して、ラインヘッドがインクを吐出するタイミングを計れるようにする。このため、インクジェット印刷装置10は、シート検知装置20によって、シートの先端から所望の位置に画像を形成することができる。
【0028】
(第1実施形態のシート検知装置)
図1は、本発明の第1実施形態のシート検知装置がインクジェット印刷装置に設けられた図であり、シート検知装置の正面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。図3は、図2のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。図4は、図3の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。図5は、図2のシート検知装置の動作説明用の図である。図5(A)は、シートが搬送されてきた図である。図5(B)は、センサがシートを検知した図である。図5(C)は、シートがセンサを通過した図である。
【0029】
シート検知装置の構成を説明する。
【0030】
シート検知装置20は、搬送入口ローラ5と画像形成部7との間に設けられて、シートPの先端Paを検知するようになっている。
【0031】
シート検知装置20は、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ11と、搬送されてきたシートによって作動(回転)する作動部材としてのフラグ12とを備えている。さらに、シート検知装置20は、反射センサ11を照射する外乱光を反射センサ11に対向して遮蔽する遮蔽部材としての遮蔽板13を備えている。そして、反射センサ11は固定され、遮蔽板13はフラグ12に設けられている。シート検知装置20は、搬送されてきたシートによってフラグ12が作動(回転)することによって、遮蔽板13が移動(回転)して、反射センサ11との対向状態を解除してシートを検知するようになっている。
【0032】
反射センサ11は、搬送入口ローラ5とイエローのラインヘッド1Yとの間で、搬送プレート8の下方に不図示の固定部材(例えば、搬送プレート8)に固定されている。反射センサ11(図2)は、シートに光を照射する発光部11aと、シートからの反射光を受光する受光部11bとを備えている。反射センサ11は、シートPの先端Paを検知して、所定時間経過後に画像形成部7よりインクを吐出してシートPに画像を形成するタイミングを決めるために設けられている。搬送プレート8には、光通過孔8aが反射センサ11に対向して形成されている。光通過孔8aは、シートを照射する反射センサ11の光と、シートからの反射光とが通過するようになっている。また、反射センサ11には、信号を伝達するための不図示の束線が接続されており、機器を制御する基板ユニットへと信号を伝達するようになっている。
【0033】
フラグ12は、屈曲した形状をした板状の部材であり、不図示の固定部材に設けられた支持軸14を中心にシートの搬送方向に回転するようになっている。フラグ12の上端部分である検知片12aは、シートの先端Paが当接するように、搬送プレート8の長孔8bを貫通して、搬送プレート8の上面に突出している。長孔8bは、フラグ12の回転を許容するだけの長さにシート搬送方向に沿って形成されている。フラグ12の下端部12bには、フラグ12が起立状態を保持できるようにするウエイト15が設けられている。ウエイト15の重さは、フラグ12がシートに押されたとき、シートの先端部に撓みを生じさせることなく下流に倒れる程度に設定されている。通常、フラグ12は、ウエイト15によって検知片12aが長孔8bから突出して長孔8bの上流端8ba(図2)に受け止められて、起立状態が保持されている。
【0034】
なお、ウエイトの代わりにフラグ12と固定部材との間に不図示のばねを渡して設けてもよい。この場合においても、ばねの弾力は、フラグ12がシートに押されたとき、シートの先端部に撓みを生じさせることなく下流に倒れる程度に設定されている必要がある。
【0035】
遮蔽板13は、フラグ12とともに一体化されている。遮蔽板13(図4)の反射センサ11と対向する面に板状の反射板16が設けられている。
【0036】
反射板16には、光反射率がシートの光反射率より小さい(シートP>反射板16)部材が使用されている。
【0037】
シート検知装置20の動作を説明する。
【0038】
シートが搬送されてくるまで、フラグ12は起立状態に保持されており、検知片12aは搬送プレート8から上方に突出している。このとき、フラグ12と一体の遮蔽板13は、搬送プレート8の光通過孔8aと反射センサ11との間に位置して、反射センサ11に対向している。このため、シートが搬送されてくるまで、遮蔽板13は、反射センサ11との対向状態が保持される。これにより、遮蔽板13は、光通過孔8aから進入する外乱光を遮蔽する。その結果、遮蔽板13が反射センサ11に対向する対向位置に位置している場合、反射センサ11は、外乱光に照射されない。また、反射センサ11は、遮蔽板13に取り付けられて光反射率の分っている反射板16を検知しており、反射板16の光反射率から遮蔽板13を検知し、シートを検知していないことを判断できる。
【0039】
以上の状態において、搬送ベルト2と搬送入口ローラ5は、搬送されてきたシートPを挟持する。搬送ベルト2は、搬送モータ4によって循環しており、搬送入口ローラ5とともに、シートPをラインヘッドの下に搬送する。この間に、フラグ12の検知片12aが搬送されてくるシートの先端Paによって下流に押されて、フラグ12は支持軸14を中心に回転して下流方向に倒される。搬送ベルト2の摩擦力は、シートPよりも大きく、さらに、搬送入口ローラ5よりも大きい。このため、搬送ベルト2は、シートがフラグ12を下流に押し倒して反力を受けても、シートを滑らせることなく、搬送することができる。
【0040】
フラグ12は、シートの先端に押されて、支持軸14を中心に回転するのにともなって、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を解除し、遮蔽板13を反射センサ11から離間させる。これによって、遮蔽板13が搬送プレート8の光通過孔8aと反射センサ11との間から退避して、反射センサ11は光通過孔8aを通じてシートPに対向し、シートを検知する。シートPの光反射率は、遮蔽板13に取り付けられている反射板16の光反射率よりも高いため、反射センサ11は、シートPが進入したことを検知できる。インクジェット印刷装置10は、反射センサ11がシートを検知したタイミングに基づいて、シートの所定の位置に画像の形成を開始する。
【0041】
図5(B)において、反射センサ11がシートを検知したとき、シートの先端Paは、反射センサ11の上を距離Lだけ、下流に移動している。このため、インクジェット印刷装置10は、反射センサ11がシートの先端を検知したとき、シートが距離Lだけ移動していることを考慮して、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るようになっている。
【0042】
その後、シートPが検知片12aを通過すると、フラグ12は、ウエイト15により、元の起立状態に戻り、検知片12aが搬送プレート8上に突出して、搬送プレート8に対して直交した状態になる。この間に、遮蔽板13は反射センサ11に対向する。
【0043】
以上、説明したように、シート検知装置20は、シートが搬送されて来ていないとき、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を保持して、反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0044】
また、シート検知装置20は、遮蔽板13と反射センサ11との対向状態を保持することによって、遮蔽板によって塵埃が反射センサに付着することを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることもできる。
【0045】
インクジェット印刷装置10は、外乱光や塵埃による誤検知を少なくしたシート検知装置20を備えているので、シートに高画質の画像を形成することができる。
【0046】
(第2実施形態のシート検知装置)
図6は、本発明の第2実施形態に係るシート検知装置の斜視図である。図7は、図6のシート検知装置における遮蔽板、フラグ、ウエイトの斜視図である。図8は、図7の遮蔽板、フラグ、ウエイトを下方から見た斜視図である。図9は、図6のシート検知装置の動作説明用の図である。図9(A)は、シートが搬送されてきた図である。図9(B)は、センサがシートを検知した図である。図9(C)は、シートがセンサを通過した図である。
【0047】
シート検知装置120の構成を説明する。
【0048】
第2実施形態のシート検知装置120も、第1実施形態のシート検知装置20と同様に、搬送入口ローラ5(図1)と画像形成部7との間に設けられて、シートPの先端Paを検知するようになっている。
【0049】
第2実施形態のシート検知装置120も、搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサ111と、搬送されてきたシートによって作動する作動部材としてのフラグ112とを備えている。さらに、シート検知装置120は、反射センサ111を照射する外乱光を反射センサ111に対向して遮蔽する遮蔽部材としての遮蔽板113を備えている。
【0050】
そして、遮蔽板113は反射板116を有して搬送プレート8の下面に固定され、反射センサ111は作動部材としてのフラグ112に設けられている。このため、シート検知装置120は、搬送されてきたシートによってフラグ112が作動(回転)して、反射センサ111がフラグ112とともに移動し、遮蔽部材としての遮蔽板113との対向状態を解除して、シートを検知する位置に移動するようになっている。その他の部分については、第1実施形態のシート検知装置20と同様であるので同一部分については同一符号を付して、同一部分の説明を一部省略する。
【0051】
シート検知装置120の動作を説明する。
【0052】
シートが搬送されてくるまで、フラグ112は起立状態に保持されており、検知片112aは搬送プレート8から上方に突出している。このとき、フラグ112と一体の反射センサ111は、遮蔽板113に対向している。このため、シートが搬送されてくるまで、反射センサ111は、遮蔽板113との対向状態が保持されて外乱光に照射されないようになっている。特に、反射センサ111は、光通過孔8aに向き合わないで遮蔽板113に対向しているため、光通過孔8aから進入する外乱光に照射されないようになっている。しかも、反射センサ111は、遮蔽板113に取り付けられて、予め、光反射率の分っている反射板116を検知しており、反射板116の光反射率から遮蔽板113を検知し、シートを検知していないことを判断できる。
【0053】
以上の状態において、フラグ112の検知片112aは、搬送ベルト2と搬送入口ローラ5とによって、搬送されているシートの先端Paによって下流に押され、フラグ112は支持軸14を中心に回転して下流方向に倒れる。搬送ベルト2の摩擦力は、シートPよりも大きく、さらに、搬送入口ローラ5よりも大きい。このため、搬送ベルト2は、シートがフラグ112を下流に押し倒して反力を受けても、シートを滑らせることなく、搬送することができる。
【0054】
フラグ112は、シートの先端に押されて、支持軸14を中心に回転するのにともなって、反射センサ111と遮蔽板113との対向状態を解除し、反射センサ111を遮蔽板113から離間させる。これによって、反射センサ111は光通過孔8aに対向し、光通過孔8aを通じてシートPに対向し、シートを検知する。シートPの光反射率は、遮蔽板113に取り付けられている反射板116の光反射率よりも高いため、反射センサ111は、シートPが進入したことを検知できる。
【0055】
インクジェット印刷装置10は、反射センサ111がシートを検知したタイミングに基づいて、シートの所定の位置に画像の形成を開始する。
【0056】
図9(B)において、反射センサ111がシートを検知したとき、シートの先端Paは、反射センサ111の上を距離Lだけ、下流に移動している。このため、インクジェット印刷装置10は、反射センサ111がシートの先端を検知したとき、シートが距離Lだけ移動していることを考慮して、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るようになっている。
【0057】
その後、シートPが検知片112aを通過すると、フラグ112は、ウエイト15により、元の起立状態に戻り、検知片112aが搬送プレート8上に突出して、搬送プレート8に対して直交した状態になる。この間に、反射センサ111は、遮蔽板113に対向する。
【0058】
なお、図6乃至図9において、符号112bはフラグの下端部を示している。また、符号111aは反射センサ111の発光部を示し、111bは受光部を示している。
【0059】
以上、説明したように、シート検知装置120は、シートが搬送されてきていないとき遮蔽板113と反射センサ111との対向状態を保持して、反射センサが外乱光に照射されないようにしているので、外乱光による誤検知を少なくすることができる。
【0060】
また、シート検知装置120は、遮蔽板113と反射センサ111との対向状態を保持することによって、遮蔽板によって塵埃が反射センサに付着することを防止して、塵埃による誤検知を少なくすることができる。
【0061】
インクジェット印刷装置10は、外乱光や塵埃による誤検知を少なくしたシート検知装置120を備えているので、シートに高画質の画像を形成することができる。
【0062】
以上のシート検知装置20,120において、反射センサ11,111は、シートを照射したときの光反射率によってシートの材質による種類やサイズも検知できるようにするため、光通過孔8aを通して、シートを照射するようになっている。
【0063】
また、シート検知装置20,120は、シートに画像を形成し始めるタイミングを計るため、シートの先端を検知するようになっているが、シートの幅方向に複数設けて、シートの先端検知の時間差によってシートの斜行を検知できるようにしてもよい。したがって、シート検知装置20,120は、シートに画像形成を開始するタイミングを計るためのみに、使用されるものではない。
【0064】
さらに、シート検知装置20,120は、反射板16,116の光反射率が予め分かっていることを利用して、反射センサ11,111の経年劣化に伴うLEDの発光量の低下に起因する受光電流の低下を調整できるようにしてもよい。具体的には、LEDへの発光電流を増やしたり、受光電流側の抵抗値を変動させたりすることで、発光量を調節して、受光量を一定にすることができる。
【0065】
また、シート検知装置20,120は、予め、シートPの光反射率が、反射板16,116の発射率よりも高いことが分かっている場合について説明した。しかし、図10に示すように、予め分かっている互いに光反射率の異なる反射板16a,16b,116a,116bを遮蔽板13,113に設けてもよい。このようにすると、反射センサ11,111が、反射板の光反射率が変わったことを検知することによって、シートを検知することができる。この場合、反射センサと遮蔽板とのいずれか一方が、矢印方向に移動するものとする。なお、光反射率の異なる反射板は、2種類に限定されることなく、複数種類設けられていればよい。
【符号の説明】
【0066】
P:シート、Pa:シートの先端、ラインヘッド:1Y,1M,1C,1K、2:搬送ベルト、3A,3B:搬送プーリ、4:搬送モータ、4a:駆動ローラ、7:画像形成部、8:搬送プレート、8a:光通過孔、10:インクジェット印刷装置(画像形成装置)、11:反射センサ、12:フラグ(作動部材)、12a:検知片、13:遮蔽板(遮蔽部材)、14:支持軸、15:ウエイト、16:反射板、16a:反射板、16b:反射板、20:第1実施形態のシート検知装置、111:反射センサ、112:フラグ(作動部材)、112a:検知片、111:反射センサ、113:遮蔽板(遮蔽部材)、116:反射板、120:第2実施形態のシート検知装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサと、
搬送されてきたシートによって作動する作動部材と、
前記反射センサを照射する外乱光を前記反射センサに対向して遮蔽する遮蔽部材と、を備え、
前記反射センサと前記遮蔽部材とのいずれか一方が前記作動部材に設けられ、
シートが搬送されてくるまで前記遮蔽部材と前記反射センサとの対向状態が保持され、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、前記一方が移動して、前記対向状態が解除され、前記反射センサがシートを検知できるようにする、
ことを特徴とするシート検知装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記作動部材に設けられ、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、移動して、前記反射センサとの対向状態を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート検知装置。
【請求項3】
前記反射センサが、前記作動部材に設けられ、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、移動して、前記遮蔽部材との対向状態を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート検知装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材の光反射率は、シートに対する光反射率よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項5】
前記反射センサは、シートの光反射率によってシートの種類を検知できる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート検知装置と、
前記シート検知装置がシートを検知したタイミングに基づいて、シートに対する画像形成を開始してシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
搬送されてきたシートに照射して反射した光を受光してシートを検知する反射センサと、
搬送されてきたシートによって作動する作動部材と、
前記反射センサを照射する外乱光を前記反射センサに対向して遮蔽する遮蔽部材と、を備え、
前記反射センサと前記遮蔽部材とのいずれか一方が前記作動部材に設けられ、
シートが搬送されてくるまで前記遮蔽部材と前記反射センサとの対向状態が保持され、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、前記一方が移動して、前記対向状態が解除され、前記反射センサがシートを検知できるようにする、
ことを特徴とするシート検知装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記作動部材に設けられ、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、移動して、前記反射センサとの対向状態を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート検知装置。
【請求項3】
前記反射センサが、前記作動部材に設けられ、搬送されてきたシートによって前記作動部材が作動することによって、移動して、前記遮蔽部材との対向状態を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート検知装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材の光反射率は、シートに対する光反射率よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項5】
前記反射センサは、シートの光反射率によってシートの種類を検知できる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート検知装置と、
前記シート検知装置がシートを検知したタイミングに基づいて、シートに対する画像形成を開始してシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−43716(P2013−43716A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180631(P2011−180631)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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