説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】簡便な構造かつ制御によって貼付位置精度を向上させることができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】剥離手段4に設けた基準標識SPと接着シートSに設けた個別標識BMとに基づいて、剥離手段4に対する繰り出された接着シートSの相対位置および相対回転角を検出するとともに、これらに基づいて接着シートSの繰出位置(仮想中心点DCの位置)を算出し、この繰出位置に中心W1が合致するようにウェハWを支持手段2に受け渡すことで、接着シートSとウェハWとの位置ずれを防止することができ、貼付位置精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の剥離シート上に仮着された枚葉の接着シート(粘着テープや粘着フィルム)を原反から剥離するとともに、剥離した接着シートを半導体ウェハ等の被着体に貼付する貼付装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の貼付装置は、繰り出された原反から剥離シートを折り曲げる剥離手段(ガイド部材)を有し、この剥離手段で剥離シートから剥離した接着シートを繰出方向前方に送り出し、この送り出しと同期して被着体を移動させつつ押圧ローラで接着シートを被着体に押圧することで、接着シートを被着体に貼付するものである。また、この貼付装置には、剥離手段の所定位置に接着シートが到達したことを検知して原反の繰り出しを停止させる検知手段(光センサ)と、剥離手段上に接着シートの位置ずれを検出するずれ検出手段(CCDカメラ)とが設けられ、検出した位置ずれに応じて被着体との相対位置を補正してから接着シートを貼付するように構成されている。
【0003】
一方、剥離シートから剥離した帯状の接着シートを被着体の貼付面に対向させて配置し、配置した接着シートを被着体に押圧して貼付してから被着体の外縁に沿って接着シートを切断し、切断した接着シートの不要部分を回収する貼付装置も利用されている(例えば、特許文献2参照)。このような帯状の接着シートを貼付後に切断する場合には、前記特許文献1記載の枚葉の接着シートのように被着体との位置ずれを厳密に補正する必要がないことから、前述したような検知手段等が設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−195527号公報
【特許文献2】特開2007−227552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の貼付装置のように、貼付後に接着シートを切断するものであっても、接着シートの特徴や特性によっては、特定部位を被着体の特定の部位に合致させて貼付することが要求される場合があり、その場合には、接着シートの特定部位を検知するために、特許文献1に記載されたような検知手段や検出手段を用いることが考えられる。しかしながら、特許文献1記載の検知手段等は、剥離手段における停止前または停止中の接着シートの外縁を検知するものであるため、繰り出しを再開してから被着体に貼付するまでに生じる位置ずれを検出することができない。このため、特許文献1記載の検知手段や検出手段を特許文献2に記載の貼付装置に利用したとしても、貼付位置精度の向上が期待できない上、多数のセンサやカメラ等が必要になることから、構造の複雑化や制御の煩雑さを招いてしまうという不都合も生じる。
【0006】
本発明の目的は、簡便な構造かつ制御によって貼付位置精度を向上させることができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した前記接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記被着体を非貼付面側から支持する支持手段と、前記原反を繰り出して前記接着シートを繰出位置に配置する繰出手段と、前記繰り出される原反の剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記繰り出された接着シートと前記剥離手段との相対位置を検出する検出手段と、前記支持手段における前記被着体の支持位置を調節する調節手段と、前記接着シートを押圧して前記被着体の貼付面に貼付する押圧手段とを備え、前記検出手段は、前記剥離手段に設けられた基準標識と前記接着シートに設けられた個別標識とに基づいて前記相対位置を検出し、検出した相対位置から前記接着シートの繰出位置を算出し、前記調節手段は、前記接着シートの繰出位置に基づいて前記被着体の支持位置を調節する、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記被着体を前記支持手段に搬送する搬送手段をさらに備え、この搬送手段は、前記調節した支持位置に基づいて位置決めしつつ前記被着体を前記支持手段に受け渡すことが好ましい。
さらに、前記接着シートは、帯状に形成され、前記被着体に貼付した前記接着シートを当該被着体の形状に応じて切断する切断手段をさらに備え、この切断手段は、前記調節した支持位置に基づいて前記接着シートを切断可能に設けられていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記剥離手段に設けられた基準標識は、前記原反の繰出方向に直交する方向に互いに離隔して設けられた第1基準標識および第2基準標識を少なくとも有し、前記接着シートに設けられた個別標識は、前記原反の繰出方向に直交する方向に互いに離隔して設けられた第1個別標識および第2個別標識と、これら第1および第2の個別標識の中間にて繰出方向にずれて設けられた第3個別標識とを有して構成されることが好ましい。
【0009】
一方、本発明のシート貼付方法は、接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した前記接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記原反を繰り出して前記接着シートを繰出位置に配置するとともに、繰り出される原反の剥離シートから前記接着シートを剥離手段により剥離し、前記剥離手段に設けた基準標識と前記接着シートに設けた個別標識とに基づいて前記繰り出した接着シートと前記剥離手段との相対位置を検出し、検出した相対位置から前記接着シートの繰出位置を算出し、前記接着シートの繰出位置に基づいて調節した支持位置にて前記被着体を非貼付面側から支持し、支持した被着体の貼付面に前記接着シートを押圧して貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、検出手段によって、剥離手段に設けた基準標識と接着シートに設けた個別標識とに基づいて剥離手段と接着シートとの相対位置を検出し、この相対位置から接着シートの繰出位置を算出することで、繰出位置の算出後に再度の繰り出し動作がないことから、再繰り出しによる位置ずれを防止することができ、貼付位置精度を向上させることができる。また、剥離手段の基準標識と接着シートの個別標識とを検出手段で検出することで、例えば、剥離手段の近傍に設けた1つのセンサや撮像手段で検出手段を構成することができる。従って、装置を簡便な構造にすることができるとともに、検出位置の位置合わせや補正なども不要になることから、検出および調節の動作制御を簡単化して、貼付位置精度のさらなる向上を図ることができる。
【0011】
また、搬送手段を設け、この搬送手段が位置決めしつつ被着体を支持手段に受け渡すようにすれば、搬送しながら位置調節をして受け渡すことが可能となり、支持手段の位置調節が完了した後に被着体を受け渡したり、被着体の受け渡し動作が完了した後に支持手段の位置調節をしたりすることに比べ、処理速度を速めることができるとともに、搬送手段は、通常、被着体を搬送する駆動手段を有していることから、駆動手段に支持位置を入力して指令するような制御を付加すればよいだけなので、装置の複雑化や大型化を抑制することができる。
さらに、被着体に貼付した前記接着シートを当該被着体の形状に応じて切断する切断手段は、前述のように搬送手段に調節後の支持位置が入力されているため、このような既知の支持位置に従って切断位置を制御すればよいだけなので、装置の構造および動作制御をさらに簡単化することができる。
また、剥離手段の基準標識を第1および第2の基準標識からなる少なくとも2つで構成し、接着シートの個別標識を第1〜第3の個別標識からなり同一直線上に位置しない少なくとも3つで構成することで、接着シートに平行な二次元平面内(直交2方向および回転方向)の位置ずれを補正し、貼付位置精度を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図3】図1のシート貼付装置における剥離手段および検出手段の斜視図。
【図4】接着シートの位置検出手順を説明する図。
【図5】図4とは異なる位置検出手順を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態において基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥といった方向を示した場合は、全て図1を基準としている。
図1において、シート貼付装置1は、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有する接着シートSを半導体ウェハW(以下、単にウェハWという場合がある)に貼付する貼付装置である。接着シートSは、接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rとして準備され、この原反Rから剥離シートRLと接着シートSとが剥離され、剥離された接着シートSがウェハWに貼付されるとともに、ウェハWの外縁に沿って切断されてから、外側の不要シートS’が回収されるようになっている。一方、被着体であるウェハWは、図2に示すように、接着シートSを貼付する表面(貼付面)WAに複数の電極等のバンプWBと、バンプWBが形成されないフラットな外周部WCとを有するバンプウェハである。そして、接着シートSの接着剤層ADには、バンプWBが形成された領域に対応した円形の開口部Oが形成され、接着剤層ADは、ウェハWのバンプWB部分には貼付されずに、外周部WCに貼付されるようになっている。
【0014】
シート貼付装置1は、非貼付面である裏面WD側からウェハWを支持する支持手段2と、原反Rを繰り出してウェハWの表面WAに接着シートSを対向させて配置する繰出手段3と、繰り出した原反Rから接着シートSと剥離シートRLとを剥離する剥離手段4と、繰り出した接着シートSと剥離手段4との相対位置を検出する検出手段5と、対向配置された接着シートSをウェハWの表面WAに押圧して貼付する押圧手段6とを備えて構成されている。さらに、シート貼付装置1は、ウェハWを支持手段2に搬送する搬送手段7と、この搬送手段7に対してウェハWを位置決めして受け渡す図示しないアライメント装置と、ウェハWに貼付された接着シートSを当該ウェハWの外縁に沿って切断する切断手段9と、以上各部の動作を制御する図示しない制御手段とを備えて構成されている。
【0015】
支持手段2は、図示しない吸引口を介して裏面WD側からウェハWを吸着保持するとともに、ウェハWと略同一の外形でかつ平坦な支持面を有する円盤形状のテーブル21と、内部に円形の凹部を有してテーブル21を支持するともにテーブル21の支持面と平行な平坦面22Aを有する外周テーブル22と、外周テーブル22の凹部底面に固定されるとともに出力軸23Aがテーブル21下面に固定された駆動機器としての直動モータ23とを備えている。なお、平坦面22Aには、貼付された接着シートSを剥離可能なように、フッ素樹脂等が積層されて不接着処理が施されている。
【0016】
繰出手段3は、支持手段2の左側である接着シートSの供給側に設けられる供給側フレーム3Aと、この供給側フレーム3Aと支持手段2との間に設けられて剥離手段4を移動可能に支持する中間フレーム3Bと、支持手段2の右側である回収側から支持手段2に重なる位置まで左右方向に移動可能に設けられた回収側フレーム3Cとを備えて構成されている。中間フレーム3Bには、駆動機器としての直動モータ3Dのスライダ3Hを介して斜め上下方向に移動可能に支持される移動フレーム3Eが設けられ、この移動フレーム3Eに剥離手段4が固定されている。回収側フレーム3Cは、駆動機器としての直動モータ3Fのスライダ3Gを介して左右方向に移動可能に支持されている。
【0017】
供給側フレーム3Aには、ロール状に巻回された原反Rを支持する支持ローラ31と、支持ローラ31に隣り合って原反Rを案内するガイドローラ31Aと、駆動機器としての回動モータ32Aで駆動されるとともに剥離手段4で折り返された剥離シートRLを回収する駆動ローラ32と、この駆動ローラ32との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ32Bと、図示しない駆動機器で駆動され剥離シートRLを回収する回収ローラ33とが設けられている。
【0018】
移動フレーム3Eには、原反Rを案内する複数のガイドローラ34A,34Bと、剥離手段4で折り返された剥離シートRLを案内する複数のガイドローラ35A,35Bと、ガイドローラ34A,35Bとの間に原反Rや剥離シートRLを挟み込み、繰出しを抑制する一対の駆動機器としての直動モータ36とが設けられている。ガイドローラ34Bは、接着シートSの貼付動作による張力を測定するロードセル等の張力検知手段34Cを介して移動フレーム3Eに支持されている。
【0019】
回収側フレーム3Cには、駆動機器としての回動モータ37Aで駆動されて不要シートS’を回収する駆動ローラ37と、不要シートS’を巻き取って回収する回収ローラ38と、不要シートS’を駆動ローラ37へ案内するガイドローラ39とが設けられている。回収ローラ38は、支持アーム38Aを介して回収側フレーム3Cに支持され、この支持アーム38Aに連結されたバネ38Bによって付勢されることで、駆動ローラ37との間に挟み込んだ不要シートS’を巻き取るように構成されている。
【0020】
剥離手段4は、移動フレーム3Eから右方向に片持ち状に延びた姿勢で支持され、右端側が剥離シートRLを折り返す折返縁42と、図示しない照明手段により接着シートを接着剤層側から透過照明するための開口43が設けられた剥離板41を備え、剥離板41の上面で案内した原反Rから剥離シートRLをガイドローラ35Aに向かって折り返すことで、接着シートSを剥離シートRLから剥離するように構成されている。
【0021】
検出手段5は、図示しないフレーム等に支持されて剥離板41の上方に対向して設けられたCCDカメラ等の撮像装置51を有して構成されている。この撮像装置51は、剥離板41および接着シートSを上方から撮像し、撮像した画像データを制御手段に出力するように構成されている。そして、検出手段5および制御手段は、剥離板41に設けられた基準標識SPと接着シートSに設けられた個別標識BMとを検出し、検出した基準標識SPおよび個別標識BMに基づいて、繰り出した接着シートSと剥離手段4との相対位置を検出するようになっている。
【0022】
押圧手段6は、直動モータ3Fの図示しないスライダを介して左右方向に移動可能に設けられたフレーム61と、このフレーム61に支持されて接着シートSの基材シートBS側に当接可能な押圧ローラ62と、押圧ローラ62を上下動させる駆動機器としての直動モータ63とを備えて構成されている。なお、押圧ローラ62は、ゴムや樹脂等で構成された弾性変形可能な部材によって形成されている。
【0023】
搬送手段7は、駆動機器としての多関節ロボット71と、この多関節ロボット71の先端部に着脱可能に設けられた吸着ツール72とを備えて構成されている。多関節ロボット71は、6箇所に回転可能な関節を有する所謂6軸ロボットであり、ツール保持チャック73によって、吸着ツール72を支持可能に設けられ、当該多関節ロボット71の作業範囲内において吸着ツール72を何れの位置、何れの角度にでも変位可能に設けられている。吸着ツール72は、図示しない複数の吸着孔が設けられた吸着部72Aと、ツール保持チャック73が嵌合される嵌合穴72Bが設けられたフレーム部72Cとを有して構成され、多関節ロボット71を介して図示しない吸引ポンプ等の吸引手段に接続することでウェハWを吸着できるようになっている。
【0024】
切断手段9は、搬送手段7と兼用される多関節ロボット71と、この多関節ロボット71のツール保持チャック73に着脱可能に設けられたカッターツール91とを備えて構成されている。カッターツール91は、カッタ刃91Aと、ツール保持チャック73が嵌合される嵌合穴91Bが設けられたフレーム部91Cとを備えて構成されている。
【0025】
図示しない制御手段は、CPUなどの演算手段やメモリなどの記憶手段を有したコンピュータからなる制御装置、オペレータの操作や適宜な検出手段に基づいてウェハWや接着シートS等に関する各種情報を制御装置に入力するキーボードや操作パネル等の入力手段などを備えて構成されている。ここで、各種情報としては、ウェハWの径寸法や厚み寸法、周方向の位置情報、接着シートSの厚み寸法、接着剤層ADの開口部Oの位置情報や寸法情報などが例示できる。なお、それら情報は、適宜な入力手段から制御装置に入力してもよいし、前記検出手段5の撮像装置51やその他の図示しないセンサ等から制御装置に入力してもよいし、予め制御装置のメモリに記憶されていてもよい。そして、制御装置は、各種情報に応じた制御指令を各部の駆動機器に出力して制御するようになっている。
【0026】
以上のシート貼付装置1における接着シートSの繰出位置算出方法について、図3〜図5を参照して説明する。
剥離手段4には、基準標識SPが設けられている。基準標識SPは、図3に示すように、剥離板41の折返縁42側端部近傍に設けられた第1基準標識SP1および第2基準標識SP2で構成されている。これら第1および第2の基準標識SP1,SP2は、剥離板41を上下に貫通する孔で構成され、接着シートSの繰出方向Aに直交する直交方向Bに沿って互いに離隔して設けられている。そして、検出手段5の撮像装置51で上方から剥離板41を撮像して撮像データを制御手段に出力することで、制御手段が画像処理によって第1および第2の基準標識SP1,SP2を識別し、これらを結んだ中間点を仮想基準標識SP’として制御手段が記憶する。また、予め制御手段に記憶させた基準標識SP1,SP2間の既知の距離を基に撮像データの基準標識SP1,SP2間の距離を数値化し、ずれ量を数値で出力するための基準を算出する。ここで、本実施形態におけるシート貼付装置1は、貼付動作時に剥離手段4が下降し、貼付動作終了後に元の位置に戻る動作を行うため、剥離手段4が元の位置に戻って停止したときに、原反Rが必ずしも一定の位置で停止していない可能性があるので上記の算出方法を貼付動作ごとに行う。なお、第1および第2の基準標識SP1,SP2は、貫通孔に限らず、凹みや塗装等による印でもよいし、LEDやレーザー等の光源を剥離板41に埋め込んだ発光標識などであってもよく、さらに2箇所に限らず3箇所以上で構成されていてもよい。
【0027】
一方、接着シートSには、個別標識BMが設けられている。個別標識BMは、図3に示すように、接着剤層ADの隣り合う開口部O間に設けられた第1個別標識BM1、第2個別標識BM2および第3個別標識BM3で構成されている。これら第1〜第3個別標識BM1、BM2,BM3は、接着剤層ADから剥離シートRLの一部にかけて設けられた切り込みで形成されている。また、第1および第2の個別標識BM1,BM2は、繰出方向Aに直交する直交方向Bに沿って互いに離隔して設けられ、これらの中間かつ接着シートSの幅中央における繰出方向Aの上流側に略半分だけずれて第3個別標識BM3が設けられている。そして、繰り出された状態の接着シートSを検出手段5の撮像装置51で上方から撮像して撮像データを制御手段に出力することで、制御手段が画像処理によって第1〜第3個別標識BM1、BM2,BM3を識別し、第1および第2の個別標識BM1,BM2を結んだ直線上で第3個別標識BM3と接する点を仮想個別標識BM’として制御手段が記憶する。第3個別標識BM3は仮想個別標識BM’を算出する手段であるとともに、折返縁42で折り返された剥離シートRLに形成された個別標識BMを誤って識別しないために設けられており、剥離シートRLが繰出方向Aとは反対方向に折り返されることにより、第3個別標識BM3は接着シートSの繰出方向Aの下流側に略半分だけずれた状態となり、その状態を検出手段5が撮像しても繰り出し動作を停止しないよう制御されている。なお、第1〜第3個別標識BM1、BM2,BM3は、接着剤層ADから剥離シートRLの一部にかけて形成した切り込みに限らず、基材シートBSや接着剤層ADに設けた塗装等による印で構成されてもよい。
【0028】
また、開口部Oの中心が接着シートSの繰出位置の算出点となる仮想中心点DCであり、制御手段は、以下のように接着シートSの繰出位置(仮想中心点DC)を算出する。
先ず、制御手段は、1枚のウェハWに接着シートSを貼付する都度かつ接着シートSを繰り出す前の時点で、前述のように検出手段5を用いて剥離手段4の第1および第2の基準標識SP1,SP2を識別するとともに、基準標識SP1,SP2間距離および仮想基準標識SP’を算出する。次に、図4、図5に示すように、接着シートSが繰り出された時点で、前述のように検出手段5を用いて接着シートSの第1〜第3の個別標識BM1、BM2,BM3を識別するとともに、仮想個別標識BM’を算出する。このように算出した仮想基準標識SP’と仮想個別標識BM’との繰出方向Aおよび直交方向Bに沿ったずれ量に基づき、制御手段は、剥離手段4と接着シートSとの相対位置を検出する。この際、図5に示すように、接着シートSが繰出方向Aに傾斜して繰り出された場合には、第1および第2の個別標識BM1,BM2を結んだ直線と第1および第2の基準標識SP1,SP2を結んだ直線との傾きθを算出し、この傾きθに基づき、制御手段は、剥離手段4と接着シートSとの相対回転角を検出する。以上のように剥離手段4と接着シートSとの相対位置および相対回転角が検出できれば、仮想個別標識BM’から仮想中心点DCまでの既知の距離に基づき、制御手段は、仮想基準標識SP’に対する仮想中心点DCの位置すなわち接着シートSの繰出位置を算出する。
【0029】
以下、シート貼付装置1におけるウェハWに対する接着シートSの貼付動作を説明する。
先ず、制御手段からの指令に基づき、繰出手段3は、回動モータ32A,37Aで駆動ローラ32,37を駆動して原反Rを所定量だけ繰り出してから、回動モータ32A,37Aを停止するとともに直動モータ36で原反Rおよび剥離シートRLの移動を拘束し、接着シートSを図1に示す貼付待機位置にて待機させる。この待機状態において、制御手段は、前述した繰出位置算出手順を実行して接着シートSと剥離手段4との相対位置(ずれ量)を検出し、接着シートSの繰出位置(仮想中心点DC)を算出しておく。
【0030】
次に、制御手段は、繰出位置算出手順で算出した接着シートSの繰出位置および図示しないアライメント装置におけるウェハWの中心W1に基づく搬送指令を搬送手段7に出力する。この搬送指令を受けた搬送手段7は、多関節ロボット71を駆動して、ツール保持チャック73に取り付けた吸着ツール72によって図示しないアライメント装置で位置決めされたウェハWを吸着保持する。さらに、搬送手段7は、吸着保持したウェハWを支持手段2に向かって搬送し、ウェハWの中心W1が接着シートSの仮想中心点DCと合致するように、テーブル21上の適宜な支持位置に載置してウェハWを支持手段2に受け渡す。具体的には、図2に示すように、接着シートSの仮想中心点DCが繰出方向Aの上流側(図中左側)にずれていた場合には、そのずれ量だけテーブル21の中心TCよりも図中左側に偏心した支持位置にウェハWの中心W1が位置するようにウェハWを受け渡す。すなわち、本発明の調節手段は、搬送手段7によって実現され、接着シートSの仮想中心点DCとウェハWの中心W1とが合致するように支持手段2にウェハWを受け渡すことで、接着シートSの繰出位置に基づいてウェハWの支持位置を調節するように構成されている。その後、支持手段2は、テーブル21の支持面でウェハWを吸引支持するとともに、ウェハWの表面WAと外周テーブル22の平坦面22Aとが同一平面内に位置するように、直動モータ23を駆動してテーブル21を上昇または下降させる。
【0031】
次に、図1に示すように、支持手段2の外周テーブル22右側端部に直動モータ3Fが押圧手段6を移動させてから、直動モータ63を駆動して押圧ローラ62を下降させ、接着シートSの接着剤層ADを平坦面22Aに押圧する。次に、押圧手段6を左方向に移動させ、接着シートS上に押圧ローラ62を転動させることで、図2に示すように、平坦面22AおよびウェハWの外周部WCに順次接着剤層AD面を押圧して貼付する。この際、ガイドローラ34Bに接着シートSに張力が付与されるので、適宜な張力を維持するように張力検知装置34Cで張力を検知しながら制御手段を介して直動モータ3Dを駆動して移動フレーム3Eおよび剥離手段4を下降させる。押圧手段6が外周テーブル22の左側端部まで移動して接着剤層ADの貼付をしている間に、制御手段は搬送手段7に指令を出力し、吸着ツール72をカッターツール91に取り替えさせ、切断手段9を構成する。切断手段9は、制御手段から搬送手段7に出力された搬送指令に基づくウェハWの外縁に対して、多関節ロボット71を駆動してカッタ刃91Aを接着シートSに突き刺すとともに、ウェハWの外縁に沿って移動させて接着シートSを切断し、切断が完了したらカッタ刃91Aを退避させる。そして、搬送手段7は、多関節ロボット71を駆動して、カッターツール91を吸着ツール72に取り替えるとともに、接着シートSを貼付したウェハWを吸着ツール72で吸着保持して支持手段2から次工程に搬出する。
【0032】
次に、繰出手段3は、直動モータ3Fを駆動して回収側フレーム3Cを左方向に移動させつつ、回動モータ37Aで駆動ローラ37を駆動して回収ローラ38に不要シートS’を巻き取り、外周テーブル22の平坦面22Aから不要シートS’を剥離して回収する。回収側フレーム3Cが外周テーブル22の左側端部まで移動して不要シートS’の回収が完了したら、繰出手段3は、回動モータ37Aを停止するとともに、直動モータ36で原反Rおよび剥離シートRLの拘束を解除してから、回動モータ32A,37Aで駆動ローラ32,37を駆動して原反Rを繰り出しつつ、直動モータ3Dを駆動して移動フレーム3Eおよび剥離手段4を上昇させるとともに、直動モータ63を駆動して押圧ローラ62を上昇させる。そして、直動モータ3Fを駆動して押圧手段6および回収側フレーム3Cを右方向に移動させることで、次回貼付する接着シートSの未使用部分を引きだして支持手段2の上方に対向配置し、以降上述同様の動作を繰り返す。
【0033】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、剥離手段4に設けた基準標識SPと接着シートSに設けた個別標識BMとに基づいて、剥離手段4に対する繰り出された接着シートSの相対位置および相対回転角を検出するとともに、これらに基づいて接着シートSの繰出位置(仮想中心点DCの位置)を算出し、この繰出位置に中心W1が合致するようにウェハWを支持手段2に受け渡すことで、接着シートSとウェハWとの位置ずれを防止することができ、貼付位置精度を向上させることができる。また、剥離手段4の近傍に設けた検出手段5によって基準標識SPおよび個別標識BMを検出することで、複数のセンサ等を各部に配置しなくても接着シートSの繰出位置が算出できることから、シート貼付装置1の構造を簡素化することができるとともに、検出位置間の位置合わせや補正なども不要になることから、検出や繰出位置算出の動作制御を簡単化することができる。
【0034】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0035】
例えば、前記実施形態のシート貼付装置1では、接着シートSとして帯状の基材シートBSに開口部Oを有した接着剤層ADが設けられたものを用い、ウェハWに貼付した後に接着シートSを切断手段9で切断する構成を採用したが、接着シートSとしては枚葉のものであってもよい。また、接着シートは基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有する2層構造の接着シートSを例示したが、3層以上の接着シートSであってよいし、例えば、ダイアタッチフィルムのような接着剤層ADだけの1層構造の接着シートSであってもよい。すなわち、剥離シートRLに枚葉の接着シートSを仮着した原反Rを繰り出し、剥離シートRLから接着シートSの一部を剥離手段4で剥離するとともに、剥離した接着シートSを剥離手段4から片持ち状に突出した繰出位置に配置し、この接着シートSを被着体に押圧して貼付するような構成であってもよい。この場合でも、前記実施形態のシート貼付装置1と同様に、繰り出した接着シートSの繰出位置に合致するように支持手段における被着体の支持位置を調節することで、貼付位置精度を向上させることができる。
【0036】
また、被着体の支持位置を調節する調節手段としては、前記実施形態のように搬送手段7によって構成されて支持手段2に被着体を受け渡す際に位置決めするものに限らず、支持手段2に設けられていてもよい。具体的には、前記実施形態のテーブル21を平面内の2方向(A,B方向)および回転方向(θ方向)に位置調節可能に支持し、ウェハWを載置した後に制御手段からの指令によってテーブル21を平面内で移動させるように構成すればよい。また、調節手段をアライメント装置に設けてもよく、この場合には、アライメント装置がウェハWの位置を制御手段からの指令によって位置調節してから搬送手段に受け渡すようにすればよい。さらに、調節手段としては、搬送手段7や支持手段2、アライメント装置などの各部に分散して設けられていてもよい。
【0037】
また、検出手段5は、CCDカメラ等の撮像装置51に限らず、その他の光学センサを有して構成されてもよいし、機械的に位置を検出可能な装置で構成されてもよい。また、検出手段5は、剥離手段4から離れて設けられるものに限らず、剥離手段4の一部に設けられてもよく、例えば剥離板41と一体で設けられる接触センサなどを有して構成されてもよい。そして、基準標識や個別標識の形態、材質等としては、検出手段の構成に応じて適宜に選択可能であり、検出手段で検出できるものであれば標識の構成は特に限定されるものではない。
また、前記実施形態における接着シートSの繰出位置算出手順では、貼付動作時に剥離手段が移動するため、1枚のウェハWに接着シートSを貼付する都度ごとに剥離手段4の第1および第2の基準標識SP1,SP2を識別することとしたが、剥離手段と検出手段との距離が不変の場合、所定数の貼付ロットごとでもよいし、1巻きの原反Rをセットした最初の1度または数度でもよく、さらにはシート貼付装置1のメンテナンス時や剥離手段4のメンテナンス時に基準標識の識別を実施するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では透過照明を用いて接着シートに設けた個別標識BMの検出をしたが、落射照明を用いて個別標識BMの検出をしてもよい。落射照明を用いることにより剥離板41に設けた開口部43および第3の個別標識BM3が不要となり、仮想個別標識BM’は仮想基準標識SP’と同様に2つの個別標識により算出することもできる。
【0038】
また、前記実施形態では、被着体として半導体ウェハWを採用し、これに貼付する接着シートSを例示したが、本発明における被着体および接着シートSの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、被着体が適宜な物品(例えば、段ボールケースや樹脂容器等)であって、接着シートSがラベルであってもよく、被着体が半導体ウェハである場合には、接着シートSが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。また、半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートSが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体としては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【0039】
また、剥離手段4としては、前述したような剥離板41を備えたものに限らず、剥離シートRLを所定半径で折り返すローラを有して構成されたものでもよい。
また、前記実施形態では、原反Rは、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートSが仮着されたものを利用し、ウェハWに貼付してから切断する構成であったが、被着体に貼付する直前に接着シートを適宜なサイズに切断してから剥離し、被着体に貼付するような構成であってもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0040】
1 シート貼付装置
2 支持手段
3 繰出手段
4 剥離手段
5 検出手段
6 押圧手段
7 搬送手段(調節手段)
9 切断手段
AD 接着剤層
BM 個別標識
BS 基材シート
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
SP 基準標識
W ウェハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した前記接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記被着体を非貼付面側から支持する支持手段と、
前記原反を繰り出して前記接着シートを繰出位置に配置する繰出手段と、
前記繰り出される原反の剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記繰り出された接着シートと前記剥離手段との相対位置を検出する検出手段と、
前記支持手段における前記被着体の支持位置を調節する調節手段と、
前記接着シートを押圧して前記被着体の貼付面に貼付する押圧手段とを備え、
前記検出手段は、前記剥離手段に設けられた基準標識と前記接着シートに設けられた個別標識とに基づいて前記相対位置を検出し、検出した相対位置から前記接着シートの繰出位置を算出し、
前記調節手段は、前記接着シートの繰出位置に基づいて前記被着体の支持位置を調節することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記被着体を前記支持手段に搬送する搬送手段をさらに備え、この搬送手段は、前記調節した支持位置に基づいて位置決めしつつ前記被着体を前記支持手段に受け渡すことを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記接着シートは、帯状に形成され、前記被着体に貼付した前記接着シートを当該被着体の形状に応じて切断する切断手段をさらに備え、この切断手段は、前記調節した支持位置に基づいて前記接着シートを切断可能に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記剥離手段に設けられた基準標識は、前記原反の繰出方向に直交する方向に互いに離隔して設けられた第1基準標識および第2基準標識を少なくとも有し、
前記接着シートに設けられた個別標識は、前記原反の繰出方向に直交する方向に互いに離隔して設けられた第1個別標識および第2個別標識と、これら第1および第2の個別標識の中間にて繰出方向にずれて設けられた第3個別標識とを有して構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した前記接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記原反を繰り出して前記接着シートを繰出位置に配置するとともに、繰り出される原反の剥離シートから前記接着シートを剥離手段により剥離し、
前記剥離手段に設けた基準標識と前記接着シートに設けた個別標識とに基づいて前記繰り出した接着シートと前記剥離手段との相対位置を検出し、
検出した相対位置から前記接着シートの繰出位置を算出し、
前記接着シートの繰出位置に基づいて調節した支持位置にて前記被着体を非貼付面側から支持し、
支持した被着体の貼付面に前記接着シートを押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate