説明

シート類包装体ヒートシール装置

【課題】本発明は精度の低下を生じることなく、如何なる種類、サイズに対しても効率良く生産できるヒートシール装置を提供する。
【解決手段】本発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記ヒートシール機構が前記製袋用フィルムの進行方向に対して垂直の位置に平行に併設された複数個の前記ヒートシール機構からなる2連ヒートシール機構からなり、前記連結機構が該2連ヒートシール機構の加圧ヒートシール部を支持する前記枠体部の底板の下方両端に、一対のレール上を摺動するレール摺動部材と、その中間に前記駆動源に連結する結合部材と、その結合部材に前記2連ヒートシール機構の間隔を調整する間隔調整部材からなり、前記駆動機構が該駆動源を該結合部材に固定された可動子とその側壁に固定された固定子のリニアモータからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体に収納されたシート類を取り出す蓋ユニット部品を製袋用フィルムに加圧シールするシート類包装体ヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シート類の例としてウエットティッシュを収納し、取り出し口より1枚1枚取り出せるようにしたウエットティッシュ包装体が知られている(特許文献1参照)。前記ウエットティッシュ包装体は図6及び7に示す構造を備えており、図6はウエットティッシュ包装体の斜視図で、図7は図6のII−II線縦断面図である。
図6及び7を参照して、前記ウエットティッシュ包装体の構造を説明する。
符号1は袋体、2は蓋ユニット部品であり、この蓋ユニット部品2を備えた袋体1の内部に、図7に示すようにウエットティッシュ積層体3が収納されている。
【0003】
袋体1を形成する材料としては気密性を有するフィルム、即ち、ウエットティッシュにおける薬剤、化粧料等の含浸物が浸み出したり、揮散したりするのを防止できる性質を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックからなるフィルム等が利用できる。
蓋ユニット部品2は、袋体1の上面に設けた開口部4に対して袋体上面に取付けられており、上記部品2における基板の周辺部6aの上面と開口部4の周縁部4aの下面とが相互に当接する当接部を、ヒートシール等の接合手段により接合することにより、該部品2は開口部4に対して該袋体1の上面に固着されている。
【0004】
図8は製袋用フィルム26と蓋ユニット部品2をヒートシールにより接合一体化した後に、ウエットティッシュを包装してウエットティッシュ包装体を製造する工程を示す略図である。
上記ウエットティッシュ包装体の製造工程として、図8に示すように、A〜Fの工程によりウエットティッシュ包装体を得る工程が知られている(特許文献1の図13参照)。その製造工程はA工程で気密性フィルム素材からなる製袋用フィルム26を、袋体の内面となる側が表側となるようにして供給装置により連続的に送り出し、B工程で打ち抜き装置27により、フィルムに適当な大きさの穴を打ち抜き、開口部4を形成し、C工程で蓋ユニット部品2を供給して、該部品2をフィルムの開口部形成面上に載せ、仮止めする。そして、D工程でフィルム26の裏側よりヒートシール装置28を作用させ、開口部4の周縁部にヒートシール装置28の加熱板を押し当て、フィルム26と蓋ユニット部品2とをヒートシールにより接合一体化する。
【0005】
E工程で紙等のシート素材に薬剤等を含浸せしめたウエットティッシュを折り畳み、端部同士が引っ掛かるように複数層に積層してなるウエットティッシュ積層体3を供給し、フィルム26の蓋ユニット部品形成面上に載置し、F工程で製袋装置を用いて、ウエットティッシュ積層体3をフィルム26で包み込み、フィルム26の中央重ね合せ部5aをヒートシール等の接合手段により接合し、更にこの中央重ね合せ部5aの両端部側に形成される端部側重ね合せ部5b、5cも同様にヒートシール等の接合手段により接合して袋体を形成して、次いで、このようにして次々と連続して作られる袋体と袋体との境界部を熱刃29で溶断し、袋体を分離することで、ウエットティッシュ包装体が得られる。
【0006】
図8に示すように、上記D工程のヒートシール装置28は、フィルム26の裏側より作用させ、開口部4の周縁部にヒートシール装置28の加熱板を押し当て、フィルム26と蓋ユニット部品2とを加熱等により接合一体化している。この当時のヒートシール装置28は、往復運動をさせるための駆動源として回転モータを用いており、その回転運動を往復運動に変換する機構としてボールねじ機構を用いるのが一般的であった。図示されていないが、ヒートシール装置28上のフィルム26を押しつけて挟む加圧装置が上方に設けられており、フィルム26上に載置された蓋ユニット部品2が搬送されてくると、加圧装置が降下すると同時にヒートシール装置28が上昇してフィルム26と蓋ユニット部品2を挟持しながら、フィルム26に蓋ユニット部品2をヒートセットして約2秒間で一体化し、その後、加圧装置が上昇すると同時にヒートシール装置28が下降しながら、加圧装置及びヒートシール装置28が元の位置に戻り、上記した操作を繰り返し行う。上記装置で製袋用フィルム上に載置された蓋ユニット部品を一体化できる個数は1分間当たり約20個程度であった。
また、今日、シート類包装体の種類、サイズ等の多様なニーズが増えており、その多用な種類、サイズのニーズに応じて製造できるヒートシール装置は知られていない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,729,955号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示したウエットティッシュ包装体に用いられているヒートシール装置28は、一体化できる個数が1分間当たり約20個程度と生産性が悪く、また、回転運動を往復運動に変換する機構としてボールねじ機構を用いているためにボールねじが摩耗して精度の低下を生じるという問題があり、また、如何なる種類、サイズに対しても効率良く生産できるヒートシール装置が必要とされている。
それ故、本発明は精度の低下を生じることなく、如何なる種類、サイズに対しても効率良く生産できるヒートシール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、請求項1に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、製袋用フィルムに蓋ユニット部品を加圧してヒートシールするシート類包装体ヒートシール装置であって、移動する製袋用フィルム上に載置された蓋ユニット部品を加圧してヒートシールする加圧ヒートシール部と、それを支持する枠体部とを有するヒートシール機構と、該ヒートシール機構を往復動させる駆動源であるリニアモータを有する駆動機構と、これら両者の機構を連結する連結機構とを備え、前記ヒートシール機構が前記製袋用フィルムの進行方向に対して垂直の位置に平行に併設された2個の前記ヒートシール機構からなる2連ヒートシール機構からなり、前記駆動機構のリニアモータが複数の対の固定子と、その間に備えられた可動子とからなり、前記連結機構が前記製袋用フィルムの進行方向の前列のヒートシール機構の枠体部と、前記駆動機構の可動子を結合する結合部材と、前記2連ヒートシール機構を摺動可能に支持するレール及びレール摺動部材とからなることを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記加圧ヒートシール部が前記蓋ユニット部品を加圧する加圧部と製袋用フィルムを加熱して該蓋ユニット部品を一体化するヒートシール部からなり、前記枠体部が天板、底板及び支柱からなることを特徴とする。
請求項3に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記加圧部が加圧用油圧アクチュエータのシリンダーロッドに取り付けられ、前記ヒートシール部がヒートシール用油圧アクチュエータのシリンダーロッドに取り付けられ、前記天板及び底板が長方形状であることを特徴とする。
請求項4に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記ヒートシール部がヒートシール部材とヒートシール板からなることを特徴とする。
請求項5に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記ヒートシール部のヒートシール板が取り替え可能であることを特徴とする。
請求項6に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記結合部材が前記前列ヒートシール機構の枠体部の底板の中央部に固定され、該結合部材の下端部に前記可動子が結合されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記レールが前記シート類包装体ヒートシール装置のベースの左右端に備えられたレール架台の上に設置され、前記レール摺動部材が該レールに嵌合するレール溝を備えることを特徴とする。
請求項8に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記前列ヒートシール機構の枠体部の底板の左端の中央部、及び、後列のヒートシール機構の枠体部の底板の中央部に装着した装着部材に前記2連のヒートシール機構の間隔を調整する間隔調整部材を取り付けたことを特徴とする。
請求項9に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記間隔調整部材が操作ハンドル付きボールねじからなることを特徴とする。
請求項10に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記操作ハンドル付きボールねじの操作ハンドルが、前記後列の底板の中央部に装着した装着部材に取り付けられ、前記操作ハンドル付きボールねじのねじ部が、前記前列の底板の左端の中央部に装着した装着部材に取り付けられたことを特徴とする。
請求項11に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記後列及び前列の装着部材が前記底板に吊り下げられた状態で取り付けられていることを特徴とする。
請求項12に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記2連ヒートシール機構の間隔が前記操作ハンドルの操作により調節できることを特徴とする。
請求項13に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記駆動機構の固定子が、前記シート類包装体ヒートシール装置のベースの中央部に、可動子を挟むようにベース上に立設された固定子固定部材の内壁に等間隔で取り付けられていることを特徴とする。
請求項14に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記駆動機構の可動子が、前記両固定子の間に前記結合部材に吊り下げられた状態で結合されていることを特徴とする。
請求項15に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記可動子がその上部に断面コの字状のカバーが固定され、該カバーが前記可動子及び固定子固定部材を覆うように設置されていることを特徴とする。
請求項16に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記2連ヒートシール機構が、前記リニアモータの可動子の往復動により、該可動子に連結する結合部材を介して往復動することを特徴とする。
請求項17に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記連結機構のレール摺動部材が前記連結機構のレール上を摺動しながら往復動することを特徴とする。
請求項18に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記製袋用フィルムが中央に空間を有するフィルム搬送パネル上を走行することを特徴とする。
請求項19に係る発明のシート類包装体ヒートシール装置は、前記フィルム搬送パネルがローレット加工されたステンレスからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート類包装体ヒートシール装置は、2連ヒートシール機構と駆動源としてリニアモータを用いることで、従来のヒートシール装置の生産効率の2.5倍以上に上げることができ、長期間連続操業を行っても精度の低下を防ぐことができる。
また、シート類包装体ヒートシール装置は、2連ヒートシール機構の間隔を調整する間隔調整部材を有すること、そして、ヒートシール板が取り替え可能であることで、2連ヒートシール機構の間隔を調整すると共に、シート類包装体の種類、サイズに合ったヒートシール板を用いることができるので、多様化するシート類包装体の種類、サイズに応じた生産ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一つの実施の最良形態を添付図面に従って説明する。なお、本発明のシート類包装体ヒートシール装置(以下、「包装体ヒートシール装置」という。)は、上記した図8の工程Dで用いられるものであり、各工程を経て製造されたウエットティッシュ包装体は特許文献1に記載のものと同じものであるから、ウエットティッシュ包装体に関連する部材等の名称は同じものを用いるが、本発明はウエットティッシュ包装体に限定するものではなく、シート類であればどの様なものでも含むものであり、ウエットティッシュ包装体はシート類包装体の一例として示すものである。
【0012】
図1は包装体ヒートシール装置100の平面図である。
符号31はフィルム搬送パネルで、該フィルム搬送パネル31は、図1では格子状の模様で示されているが、フィルムの走行方向に向かって中央が山状に盛り上がった楕円形ないし紡錘形の形状にローレット加工されたステンレスからなり、架台を介して固定されており、その上を製袋用フィルム30(図示せず)が蓋ユニット部品を載置した状態で巻き取られながら移動する。製袋用フィルム30が搬送パネル31上を移動しても、フィルム搬送パネル31がローレット加工されたステンレスを用いているので、摩擦抵抗による静電気の発生が防止されており、移動が容易に行えるようになっている。
【0013】
符号110はヒートシール機構であって、該ヒートシール機構110は上記した製袋用フィルム上に載置された蓋ユニット部品2(図示せず)を加圧してヒートシールする加圧ヒートシール部34と、それを支持する枠体部37とから構成されている(図2参照)。前記製袋用フィルム30の矢印が示す進行方向に対して垂直の位置に、前記ヒートシール機構110が平行に併設された2連ヒートシール機構110、110を備えており、一対の長方形状の部材37′が進行方向に対して前列のヒートシール機構110(以下、「前列ヒートシール機構」という。)の天板37−1の上面に固定され、進行方向に対して後列のヒートシール機構110(以下、「後列ヒートシール機構」という。)の天板37−1に摺動可能に設けられているので、後列ヒートシール機構110は移動できる。
【0014】
前記フィルム搬送パネル31の中央には空間31′が形成されていて、その上を移動する製袋用フィルム30には等間隔で蓋ユニット部品2が載置されており、矢印方向に移動して前記2連ヒートシール機構110、110の適正な位置で、製袋用フィルム30と蓋ユニット部品2が加圧ヒートシール部34(図3参照)により押し当てられながら加熱等により接合一体化される。
符号38は前列ヒートシール機構110に対して後列ヒートシール機構110を前後に移動させて両者の間隔を調整する間隔調整部材を示し、符号38−2はボールねじを示し、符号38−1はその操作ハンドルを示す。前記間隔調整部材38の説明は図3を説明する際に詳説する。
符号43は前記ヒートシール機構110及び駆動機構120と制御装置(図示せず)との間を連結する各種のケーブルを収納するケーブル収納部を示し、ケーブルの絡み合うのを防止すると共に破断するのを防止している。
【0015】
図2は図1のI−I線の縦断面図であり、ヒートシール機構110、駆動機構120及び連結機構130の縦断面図を示している。
最初に駆動機構120を説明する。駆動機構120は、コアとコイルの可動子50a及びマグネットトラックの固定子50b、50bから構成される駆動源であるリニアモータ、該リニアモータを保護する断面コの字状のカバー52、固定子50b、50bを取り付けて固定する固定子固定部材51、51から構成されている。前記固定子50b、50bを取り付けて固定する固定子固定部材51、51は、ベース55の中央部に可動子50aを挟むようにベース55上に立設されている。
図3に示すように、前記固定子固定部材51、51の内壁に固定子50b、50bが等間隔で取り付けられていて、前記可動子50aが両固定子50b、50bの間に結合部材41に吊り下げられた状態で結合されており、該可動子50aの上部には断面コの字状のカバー52が固定され、該カバー52は可動子50a、固定子50b、50b及び固定子固定部材51、51を覆うように設置されている。
【0016】
次にヒートシール機構110を説明する。ヒートシール機構110は、巻き取られながら矢印方向に移動する製袋用フィルム30上に載置された、蓋ユニット部品2を加圧してヒートシールする加圧ヒートシール部34と、その加圧ヒートシール部34を支持する天板37−1、底板37−2及び支柱37−3からなる枠体部37から構成されている。この枠体部37の天板37−1及び底板37−2は長方形状であり、支柱37−3は長尺の四角柱であり、該天板37−1及び底板37−2の4隅に垂直に固定されている。天板37−1の上面には上述した一対の長方形状の部材37′が設けられており、図2に示すヒートシール機構110の後列ヒートシール機構110が、前後方向に移動できるように構成されている。
【0017】
前記加圧ヒートシール部34は加圧部32とヒートシール部33から構成されている。
最初に加圧部32を説明する。この加圧部32は、前記枠体部37の天板37−1に固定された加圧用油圧アクチュエータ35のシリンダーロッドに取り付けられた板状の加圧部材32aと、その中央凸部に固定して取り付けられた加圧板32bからなり、その両端部には支柱60に摺動可能なように上の外筒62に固定されている。前記ヒートシール部33はヒートシール部材33aとヒートシール板33bからなり、図示のように該ヒートシール部材33aの中央凸部に、ヒートシール板33bが固定して取り付けられている。
【0018】
ヒートシール用油圧アクチュエータ36がアクチュエータ吊架部材63の中央にそのシリンダーロッドが貫通した状態で吊架されており、そのシリンダーロッドに両端に短い棒材が取り付けられた板状のヒートシール部材33aが、アクチュエータ吊架部材63に摺動可能に取り付けられている。前記アクチュエータ吊架部材63は、前記4本の支柱37−3の近傍で枠体部37の奥行きの中間に、左右の円柱状の支柱60が天板37−1と底板37−2の間に垂直に設置されており、その支柱60の下の外筒61を介して固定されている。
【0019】
上記のように、前記ヒートシール機構110は、加圧部材32a及び加圧板32bからなる加圧部32と、それを上下動させる加圧用油圧アクチュエータ35とからなる加圧部32、ヒートシール部材33a及びヒートシール板33bからなるヒートシール部33と、それを上下動させるヒートシール用油圧アクチュエータ36とからなるヒートシール部32、天板37−1と、底板37−2と、その両者の4隅に垂直に固定された4本の支柱37−3からなる枠体部37から構成されている。
【0020】
上記した構成を有するヒートシール機構110の動作を以下に述べる。
図2の背面方向に移動する製袋用フィルム30上の蓋ユニット部品2が前記2連ヒートシール機構110、110のヒートシール板33bと加圧板32bが置かれた位置で、前記加圧板32bを下動させる加圧用油圧アクチュエータ35、及び、ヒートシール板33bを上動させるヒートシール用油圧アクチュエータ36が作動して、該ヒートシール板33bと加圧板32bの間に製袋用フィルム30と蓋ユニット部品2を押し当てながら加熱することにより両者を接合一体化して、その後に前記加圧板32bが上動すると共に、ヒートシール板33bが下動する。
【0021】
最後に、ヒートシール機構110と駆動機構120を連結する連結機構130を図2及び3を参照して説明する。
連結機構130は、前記底板37−2にレール摺動部材40、40を取り付けるベース39、39と、レール溝が設けられたレール摺動部材40と、そのレール溝に摺動可能に嵌合しているレール53、53と、そのレールを載置するレール架台54、54と、前列ヒートシール機構110とリニアモータ50の可動子50aを結合する結合部材41と、ボールねじ38のハンドル38−1を装着するハンドル装着部材42−1と該ボールねじ38のナット38−2″を装着するナット装着部材42−2からなる装着部材42と、ボールねじ38とから構成されている。前記連結機構130はヒートシール機構110と駆動機構120を連結すると共に、レール53、53を介して摺動可能にヒートシール機構110を支持している。前記レール53、53は前記底板37−2の横幅の約四分の一の位置に取り付けられている。前記ハンドル装着部材42−1及びナット装着部材42−2は、図3に示すように枠体部37の底板37−2に吊り下げられた状態で取り付けられている。
【0022】
前記前列の底板37−2の中央には結合部材41の上端部が固定されていて、その下端部にはリニアモータ50を覆う断面コの字状のカバー52を介して前記可動子50aの上端部が結合されている。
前記レール摺動部材40は、その下方中央に前記レール53に嵌合する形状のレール溝が設けられていて、このレール溝は前記2連のヒートシール機構110、110がリニアモータ50の駆動によりレール53、53上を摺動しても、脱線しないように構成されている。
この様に連結機構130の結合部材41は、駆動機構120にヒートシール機構110を結合し、連結機構130のレール53、53とレール摺動部材40、40は、駆動機構120のリニアモータ50の駆動による往復運動ができるようにヒートシール機構110と摺動させると共に脱線しないように支持している。
【0023】
図3は図1のII−II線の縦断面図であり、前記ヒートシール機構110が平行に併設された2連ヒートシール機構110、110、駆動機構120及び連結機構130の縦断面図を示している。
図2を説明する際に示したように、加圧部32は、前記枠体部37の天板37−1に固定された加圧用油圧アクチュエータ35のシリンダーロッドに取り付けられた板状の加圧部材32aと、その中央凸部に固定して取り付けられ加圧板32bからなり、ヒートシール部33は、ヒートシール用油圧アクチュエータ36のシリンダーロッドに取り付けられたヒートシール部材33aと、その中央凸部に固定して取り付けられヒートシール板33bからなっている。
【0024】
前記枠体部37の底板37−2の下方には、右側ヒートシール機構110に対して左側ヒートシール機構110を左右に移動させて両機構の間隔を調整する間隔調整部材38が設けられており、この間隔調整部材38は間隔を調整する際に操作する操作ハンドル38−1とボールねじ38−2から構成され、ボールねじ38−2はねじ軸38−2′とナット38−2″から構成されている。
前記両機構はその間隔が50〜100mmの範囲で設置されており、シート類包装体の種類、サイズに応じてその間隔を調整することができる。
【0025】
前記間隔調整部材38は、調整する左側のヒートシール機構110と調整される右側のヒートシール機構110との間に取り付けられている。具体的には、図示するように前記操作ハンドル38−1は後列ヒートシール機構110の下部に設けたハンドル装着部材42−1に取り付けられ、そのハンドル装着部材42−1に設けられた貫通孔にボールねじ38−2のねじ軸38−2′が挿入されており、前列ヒートシール機構110の左下部に設けたナット装着部材42−2にナット38−2″が固定されている。
【0026】
操作ハンドル38−1を回転操作することでねじ軸38−2′を回転させ、レール53、53上に挟持された調整される後列ヒートシール機構110のレール摺動部材40が左右方向にレール53、53上を移動するので、後列ヒートシール機構110が移動することで、両者のヒートシール機構110の間隔を調整することができる。前記後列ヒートシール機構110のレール摺動部材40が左右方向に移動する際には、後列ヒートシール機構110の天板37−1はその移動に合わせて一対の長方形状の部材37’に対して摺動する。
符号44はリニアモータ50及び固定子固定部材51,51を保護するための蛇腹状のカバーであり、前記断面コの字状のカバー52の両端部が該蛇腹状のカバー44、44の端部と固定されている。
【0027】
図3を参照して、移動している製袋用フィルム30に蓋ユニットを加圧してヒートシールするために、ヒートシール装置110の加圧ヒートシール部34が上下動して、駆動機構120のリニアモータ50が往復動する際の、相互の関連動作を説明する。
前記2連ヒートシール機構110、110を駆動する駆動源であるリニアモータ50は、コアとコイルの可動子50a及びマグネットトラックの固定子50b、50bから構成されていることは既述した通りである。前記可動子50aのコイルに所定の電流を流すことで可動子50aが前後動するので、その動力が前記結合部材41を介して前列のヒートシール機構110に伝わることで、前記2連ヒートシール機構110、110が前後動することになる。
【0028】
ところで、製袋用フィルム30は矢印の示す進行方向に一定速度で移動しているので、該製袋用フィルムに蓋ユニット部品を加圧してヒートシールするには、2連ヒートシール機構110、110が進行方向に製袋用フィルム30と同じ速度で移動しなければならない。そのために、前記2連ヒートシール機構110、110は、適正な位置で加圧ヒートシール部34、34が上下動して製袋用フィルム30と蓋ユニット部品2を押し当てた状態で移動しながらヒートシールを行い、接合完了後には、該加圧ヒートシール部34、34を製袋用フィルム30と蓋ユニット部品2を開放すると同時に前記速度より高速で元の位置に戻り、上記した同じ動作を継続して繰り返す。この動作を継続して繰り返すためには、前記可動子50aのコイルに所定の電流を流すように所定の制御が行われている。
【0029】
図4は加圧部32の加圧部材32a及び加圧板32bを下から見た平面図である。
加圧部材32aは中央の幅が大きく両端に向かって幅が小さい平板状部材であり、加圧板32bが載置される位置には凸状部が形成されており、その凸状部に平板状の加圧板32bが固定されている。
図5はヒートシール部33のヒートシール部材33a及びヒートシール板33bを上から見た平面図である。ヒートシール部33はヒートシール部材33aとヒートシール板33bからなり、図示のように該ヒートシール部材33aの中央凸部に、ヒートシール板33bが取り替えできるようにボルト・ナットで取り付けられている。ヒートシール板33bの形状は蓋ユニット部品2の形状と同じである。
生産ラインで取り扱うシート類包装体の種類、サイズが変更された場合、その種類、サイズに応じて上記したようにヒートシール機構を移動してその間隔を調整すると共に、ヒートシール板33bの形状を生産するシート類包装体の蓋ユニット部品2の形状に合わせるために、取り替える必要がある。
【0030】
本発明の包装体ヒートシール装置を用いて、製袋用フィルム上に載置された蓋ユニット部品2を一体化できる個数を計ったところ、1分間当たり50個の一体化が可能となった。従来の1分間当たり約20個に対して2.5倍の生産効率が上げられることが判った。
前記包装体ヒートシール装置が2連ヒートシール機構110、110を備えることで2倍、駆動源として回転モータをリニアモータ50に代えたことで0.5倍、合計2.5倍の生産効率が上げられることが判った。また、駆動源としてリニアモータ50を用いることで長期間連続操業を行っても精度の低下を防ぐことができる。
【0031】
前記ヒートシール機構110及び駆動機構120を制御するためには、ヒートシール機構110の制御としては、蓋ユニット部品2の適切な位置において加圧用油圧アクチュエータ及びヒートシール用油圧アクチュエータを作動させる制御、ヒートシール板33bを適切な時間で加熱等を行う制御等、また、駆動機構120の制御としては、リニアモータ50の通電、遮断、正逆反転等のシーケンス制御が必要であるが、包装体ヒートシール装置の構造が上述したものであることを、該ヒートシール装置の技術分野に属する当業者が理解すれば、上記の各種のシーケンス制御を実施することができるので、ヒートシール機構110及び駆動機構120を制御するため制御装置については説明を省略する。
【0032】
なお、上記実施形態では2連ヒートシール機構を説明したが、本発明は2連ヒートシール機構に限定するものではなく、前列ヒートシール機構と後列ヒートシール機構の間に更に第3番目のヒートシール機構を備えた3連ヒートシール機構でも良く、一層生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】シート類包装体ヒートシール装置の平面図である。
【図2】図1のI−I線の駆動機構とヒートシール機構の縦断面図である。
【図3】図1のII−II線の駆動機構、ヒートシール機構、間隔調整部材の縦断面図である。
【図4】加圧部の加圧部材及び加圧板を下から見た平面図である。
【図5】ヒートシール部のヒートシール部材及びヒートシール板を上から見た平面図である。
【図6】ウエットティッシュ包装体の斜視図である。
【図7】図6のII−II線縦断面図である。
【図8】ウエットティッシュを包装してウエットティッシュ包装体を製造する工程を示す略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋用フィルムに蓋ユニット部品を加圧してヒートシールするシート類包装体ヒートシール装置であって、
移動する製袋用フィルム上に載置された蓋ユニット部品を加圧してヒートシールする加圧ヒートシール部と、それを支持する枠体部とを有するヒートシール機構と、該ヒートシール機構を往復動させる駆動源であるリニアモータを有する駆動機構と、これら両者の機構を連結する連結機構とを備え、前記ヒートシール機構が前記製袋用フィルムの進行方向に対して垂直の位置に平行に併設された2個の前記ヒートシール機構からなる2連ヒートシール機構からなり、前記駆動機構のリニアモータが複数の対の固定子と、その間に備えられた可動子とからなり、前記連結機構が前記製袋用フィルムの進行方向の前列のヒートシール機構の枠体部と、前記駆動機構の可動子を結合する結合部材と、前記2連ヒートシール機構を摺動可能に支持するレール及びレール摺動部材とからなることを特徴とするシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項2】
前記加圧ヒートシール部が前記蓋ユニット部品を加圧する加圧部と製袋用フィルムを加熱して該蓋ユニット部品を一体化するヒートシール部からなり、前記枠体部が天板、底板及び支柱からなることを特徴とする請求項1に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項3】
前記加圧部が加圧用油圧アクチュエータのシリンダーロッドに取り付けられ、前記ヒートシール部がヒートシール用油圧アクチュエータのシリンダーロッドに取り付けられ、前記天板及び底板が長方形状であることを特徴とする請求項2に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒートシール部がヒートシール部材とヒートシール板からなることを特徴とする請求項3に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項5】
前記ヒートシール部のヒートシール板が取り替え可能であることを特徴とする請求項4に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項6】
前記結合部材が前記前列ヒートシール機構の枠体部の底板の中央部に固定され、該結合部材の下端部に前記可動子が結合されていることを特徴とする請求項1に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項7】
前記レールが前記シート類包装体ヒートシール装置のベースの左右端に備えられたレール架台の上に設置され、前記レール摺動部材が該レールに嵌合するレール溝を備えることを特徴とする請求項6に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項8】
前記前列ヒートシール機構の枠体部の底板の左端の中央部、及び、後列のヒートシール機構の枠体部の底板の中央部に装着した装着部材に前記2連のヒートシール機構の間隔を調整する間隔調整部材を取り付けたことを特徴とする請求項7に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項9】
前記間隔調整部材が操作ハンドル付きボールねじからなることを特徴とする請求項8に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項10】
前記操作ハンドル付きボールねじの操作ハンドルが、前記後列の底板の中央部に装着した装着部材に取り付けられ、前記操作ハンドル付きボールねじのねじ部が、前記前列の底板の左端の中央部に装着した装着部材に取り付けられたことを特徴とする請求項9に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項11】
前記後列及び前列の装着部材が前記底板に吊り下げられた状態で取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項12】
前記2連ヒートシール機構の間隔が前記操作ハンドルの操作により調節できることを特徴とする請求項11に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項13】
前記駆動機構の固定子が、前記シート類包装体ヒートシール装置のベースの中央部に、可動子を挟むようにベース上に立設された固定子固定部材の内壁に等間隔で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項14】
前記駆動機構の可動子が、前記両固定子の間に前記結合部材に吊り下げられた状態で結合されていることを特徴とする請求項13に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項15】
前記可動子がその上部に断面コの字状のカバーが固定され、該カバーが前記可動子及び固定子固定部材を覆うように設置されていることを特徴とする請求項14に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項16】
前記2連ヒートシール機構が、前記リニアモータの可動子の往復動により、該可動子に連結する結合部材を介して往復動することを特徴とする請求項11に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項17】
前記連結機構のレール摺動部材が前記連結機構のレール上を摺動しながら往復動することを特徴とする請求項16に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項18】
前記製袋用フィルムが中央に空間を有するフィルム搬送パネル上を走行することを特徴とする請求項1に記載のシート類包装体ヒートシール装置。
【請求項19】
前記フィルム搬送パネルがローレット加工されたステンレスからなることを特徴とする請求項18に記載のシート類包装体ヒートシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−99952(P2010−99952A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274037(P2008−274037)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000212005)
【出願人】(595118010)
【Fターム(参考)】