説明

シームレス衣料品

本発明の主題は、任意の種類の糸を用いて製織された、裁断された小片の何らかの手段による縫製、インターロック、又は縫い合せが無いオーダーメイドのシームレス衣料品であって、それらは、デザイン、装飾/装飾品/付属品を備えている紳士服、婦人服、及び子供服である。前記シームレス衣料品は、様々な高さにおいて1又は複数の縦糸を巧みに連動、連動解除、及び交差させることにより製織される。本発明はまた、事前にデザインされた図案通りに縦糸を連動、連動解除、及び交差させることに使用できる織機についても記載する。縦糸が布ビームで終わる従来の製織方法に対し、本発明においては、縦糸の始まりも終わりも縦糸ビームである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「シームレス衣料品」に関する。詳細には本発明は、製織されたシームレス衣料品に関する。より詳細には本発明は、寸法が合うように製織されたシームレス衣料品に関する。さらに詳細には本発明は、すぐに使用できる、製織されたシームレス衣料品を直接的に製造することに関する。さらにより詳細には本発明は、紳士用、婦人用、子供用の、平坦に製織された(flat woven)シームレス衣料品に関し、これには様々な形状及び形態、多色デザイン並びに前記衣料品の表面の装飾、刺繍若しくはその他の手工芸細工等の装飾又は付属品が含まれるが、これらに限定されない。さらに前記衣料品は、任意の種類の糸を用いて製織される。さらに詳細には本発明は、かかる衣料品の製造方法に関する。具体的には、布地を所望の形状に裁断すること、及びそのようにして得られた裁断された布片のインターロック、縫製、又は縫い合わせが除外される。また本方法では、前記衣料品と一体化した(built-in)裏地を同時に提供することができる。さらにより詳細には本発明は、すぐに使用できる衣料品の製織に用いられる機械も提供する。
【背景技術】
【0002】
シームレス衣料品が流行しており、そのような衣料品、特に下着類に対する需要が増加している。現在、市場で入手可能なこれらのシームレス衣料品は、ニットの衣料品(knitted one)であり、製織されたシームレス衣料品は入手可能ではない。筒形の素材製のシームレス衣料品がよく知られている。さらに市場では、一体型衣料品、特にシームレスな下着類が知られており、入手可能である。丸編み(circular knit)のウールの衣料品も知られている。しかしこれらの衣料品はほとんどが、軽量の細い糸を用い、丸編みで製造される。さらに、単一の回転編み(rotary knit)で用いられる糸は、一本だけである。様々なデサイン、パネル柄(panel)、及び付属品を織物の一部分として含む、寸法が合った、平坦に製織されたシームレス衣料品に関する先行技術は知られていない。
【0003】
本発明者が知る、本発明に多少関連する先行技術は、米国特許第4,956,879号及びその分割出願である米国特許第5,058,208号である。これらの特許は、縫い目がない、シート状の素材で作られた身ごろ部分を有する、子供用の室内履きのような衣料品について記載している。かかる衣料品は、長手方向に開口部と閉鎖部とを有する作りとなっている。かかる衣料品の脚部等の部分には、それらを閉じるため、長手方向に延在する縫い目がある。さらに足部及び袖は、身ごろ部分に縫い付けるか、又は身ごろ部分にインターロックすることにより、所定の位置に固定しなくてはならない。
【0004】
米国特許第3,937,039号は、張力の異なるニットステッチを用いた、単一の回転編みによる筒形の空所(tubular blank)から形成される、一体型の丸編みパンティーストッキングに関する。かかるストッキングは、中間のパンティー部及び一体的な2本の脚部を有する。所望の伸縮性及び形状特性をもたらすために、前記衣料品は、その全体が熱可塑性プラスチック製の伸縮糸を用いて編まれている。さらに、胴の開口部をつくるため、細長く切ったゴムバンドを取り付けなければならない。
【0005】
米国特許第6,821,294号は、軟部組織に埋込み可能な、筒形に成形、製織された人工器官及びその製造方法に関する。かかる発明によれば、筒の直径、形状、及び構成は、従来の製織技術を用い、単に多くの経糸と緯糸を段階的に変えていくことにより監視(monitor)される。連続する部分間に穴ができるのを防止するため、経糸の連動(engaging)及び連動解除(disengaging)は段階的に行わなくてはならない。この方法は、特殊な形状の一体的部分を衣料品に提供するために用いることはできない。
【0006】
英国特許第15,767号は、機械の改良、即ち継続的かつ自動的に経糸を選択して分け、それにより一人当たりの時間仕事量を向上させる織機について開示している。
【0007】
Joseph Marie Jacquardは、動力織機に適用できる、あらゆるデザインの製織を可能にする付属装置を開発、完成させた。Jacquardにより、経糸の動作を大きく制御することが可能になっている。さらに、カードに穴を開け、かかるカードと綜絖(heddle)を上昇させるワイヤの動作を制御する針とを接触させることにより、前記付属装置はデジタル化されており、これにより経糸の動作が制御される。
【0008】
米国特許第6,000,442号は、経糸及び緯糸の交差点(crossing points)の密度を高めることにより、立体的に膨らんだ区域(zone)を有する布地を織るための方法及び器具に関する。これは、織糸の本数と織り目を変化させることにより達成される。この織機は、複数の経糸を張るための多数の個別の経糸ボビンを備えることで、選択した経糸を張ることができるようになっている。
【0009】
図1に示す織機には一般的に、以下のものが含まれる。
1.経糸ビーム(1)は、布に用いられる経糸が、互いに平行になるように巻かれた大型のローラである。このビームは、織機の後部に位置する。
2.ハーネス(2)は、綜絖(heddle)(3)と呼ばれる一連の細い垂直のワイヤを保持する額のような形をしており、経の織糸(threads)/糸(yarns)の間に杼口(shed)を形成して緯糸(weft threads)を挿入できるように動作させる。通常、各綜絖の中央には、経糸を通すための「目」と呼ばれる孔がある。ハーネスは、経糸の上げ下げを補助するものである。少なくとも2つのハーネスが設けられる。
3.筬(reed)(5)は垂直で非可動の細いワイヤ(6)を有する枠であり、各ピック又は横列を形成した後(after each pick or row)、所望の方法で緯糸(水平方向の糸)を、織られた布(finished cloth)に対して強く押すために、経糸同士の隔てを維持するためのものである。
4.織機の前方に位置する胸木(breast beam)は、織られた布を巻きとるためのものであり、経糸ビームとの間に張力を生じさせる。
5.布ビームは布を巻くように構成されている。
【0010】
通常、織物の幅は一定であり、製織は、経糸を連続的に供給して縦方向に行われる。上記に記載の従来の機械には、経糸又は綜絖が単独で動作することを可能とする一定の変更が加えられている。しかし、筬のワイヤは非可動であり、経糸の終端は常に布の末端である。
【特許文献1】米国特許第4,956,879号
【特許文献2】米国特許第5,058,208号
【特許文献3】米国特許第3,937,039号
【特許文献4】米国特許第6,821,294号
【特許文献5】英国特許第15,767号
【特許文献6】米国特許第6,000,442号
【発明の開示】
【0011】
本発明の主な目的は、「シームレス衣料品」を提供することである。本発明の別の目的は、製織されたシームレス衣料品を提供することである。本発明のさらに別の目的は、寸法が合うように製織されたシームレス衣料品を提供することである。本発明のさらに別の目的は、製織された、すぐに使用できるシームレス衣料品を直接製造することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、これらに限定されないが、様々な形状、構成、多色デザイン、及び前記衣料品の装飾又は付属品を含む、紳士用、婦人用、及び子供用の、平坦に織られた(flat woven)シームレス衣料品を提供することである。さらに前記衣料品は、任意の種類の糸を用いて製織される。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、前記衣料品の製造方法を提供することである。具体的には、布地を所望の形状に裁断し、このようにして得られた裁断された小片を、インターロック、縫製、又は縫い合わせて衣料品を製造するステップが、この方法では除外される。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、上記のすぐに使用できる衣料品を製織するために用いられる機械を提供することである。この機械は、多数の個別の経糸ボビンを備えることにより、複数の経糸ビームを保持し、選択した経糸を張れるようになっている。さらに、経糸ビーム及び個別の経糸ローラ/ボビンは、垂直方向及び水平方向に動かすことができる。前記機械はまた、個々の綜絖が互いに独立して単独で動作できる機構を備えており、それにより、綜絖において手動的、機械的、又は電気的に、特定の経糸を、選択的に連動又は連動解除させることができる。
【0015】
従来の機械において筬は通常、多数のワイヤを保持する枠である。しかし、従来の機械では、枠全体が動いて打ち上げる(beating up)動作をするのに対して、本発明の機械の筬は、異なる直径の半球(hemisphere)を有する複数の平板を保持する棒である。これにより、個々の平板の動作の柔軟性が保たれる。さらにかかる平板は、筬のもう一方の側、即ち製織された衣料品の側に緯糸を導くために180°回転し、かつ、経糸の、所望の均一な張力を維持するようになっている。さらに前記機械では、同一又は別の筬及びハーネスを通り、経糸が経糸ビームに戻るようになっている。また必要に応じ、経糸を選択的に布ビーム端で終わらせられるようになっている。前記機械は、特定の形状及び構成を達成するために、経糸ビーム、綜絖、及び筬を換えるための、十分な手段を備えている。機械はまた、経糸との均一な張力を維持すると同時に、選択した経糸を経糸ビームに戻す(take back)機能を付与する追加的な手段を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
したがって本発明は、裁断された小片の何らかの手段による縫製、インターロック、又は縫い合わせがない、押したたまれた(compressed)筒状に製織された、すぐに使用できるシームレス衣料品を提供する。
【0017】
本発明の一実施形態において、製織されたシームレス衣料品は、寸法に合わせたオーダーメイド(customized)品であり、任意の種類の糸を用いて製織され、多様な色彩、刺繍、アップリケ、ポケット、多様なえりの形態を用いた様々な従来のデザインの型のように、様々なデザイン、装飾(decoration)/装飾品(ornamentation)/付属品(accessories)を備えている。
【0018】
本発明の別の実施形態においては、製織されたシームレス衣料品は、紳士服、婦人服、又は子供服であり得る。本発明のさらに別の実施形態においては、製織されたシームレス衣料品は、同一又は別の生地若しくは色の裏地を備えている場合がある。
【0019】
本発明によれば、このような衣料品を製織する方法が提供され、かかる方法には、本出願に記載される特別な製織機を用い、所望の数の織糸/糸を提供するように用いることができる所望の数の経糸ボビン/ローラを提供する、1又は複数の経糸ビームを連動させるステップと、達成されるデザイン及び形状に応じ、所定の位置で経糸を連動、連動解除、又は交差(cross over)させるステップと、調節された制御方法で、ハーネスに備えられた綜絖の目及び筬に経糸を通すステップと、経糸ビームとの所望の均一な張力を維持しながら、織られた衣料品を保持し、従来の緯糸機構を用いつつ、同一又は別の方法で、経糸を選択的に回帰させ(returning back)、経糸ビームで終わらせるステップとが含まれる。
【0020】
本衣料品は、特定のたたみ方をされた平坦に押したたまれた筒状に製織され、かかる衣料品は、シャツ、ブラウス、ズボン、又は任意のデザインの、オーダーメイド衣料品となる。特定の曲線、又は袖、ポケット、えり、何らかの装飾若しくは裏地等の追加的な付属物を前記衣料品に設ける場合には、複数層にすることにより追加的な経糸を提供する。
【0021】
経糸は調節された圧力及び張力で張られるが、用いられる手段は本出願の記載に限定されない。当業者であれば、同一の効果をもたらす他の任意の手段によって、前記手段の代替とすることができる。
【0022】
綜絖及び筬を、単独又は群(in groups)で調整することにより、任意の方法で経糸を換える(exchange)ことができる。場合によっては綜絖を用い、一層又は複数の層で同時に経の織糸/糸を上昇させることがある。これにより、任意の手段で複数の緯糸を連動させながら、異なる層で、同時に緯糸を通すことができる。
【0023】
糸の回帰(returning)は、かかる糸を、別の経糸における対応する糸でインターロックすることにより代替とすることができる。個々の糸はまた、布ビーム端において、所望の形状に応じて連動、連動解除、又は迂回(divert)させることができる。
【0024】
また本発明によれば、シームレス衣料品を製織するための製織機が提供される。かかる製織機には、必要に応じ複数の経糸ビームを保持する機構と、複数の経糸ボビン/ローラと、選択した経糸を所望の張力及び所望の方法で単独又は群で張るように適用できる糸張り機構と、1又は複数の層で同時に動作するように適用できる、経糸の上昇又は下降のために設けられた、先端が開口した綜絖と、個々の経糸又は経糸の群を交差させ、筬の後ろに緯糸を導くために180°回転するように適用できる、直径の異なる2つの半球を有する複数の円形の筬と、経糸ビームとの所望の均一な張力を維持しながら織られた衣料品を保持する布ビームと、経糸を選択的に経糸ビームに回帰させる手段とが含まれる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、溝(slot)を備えた棚に複数のビームが重ねられ、一つの場所から別の場所に容易にビームを移動できるようになっている。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、所望の経糸の供給要求にしたがって、水平又は垂直に移動させることができるように、個々のローラ/ボビンがビームに引っ掛かるようになっている。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、抜出機構(draw off mechanism)が、選択した経糸を、所定の張力及び速度で張るための一組のローラを備えている。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態によれば、経糸を綜絖に導く機構は、一組の平板、棒、又は筬等であり、それにより糸が、前記一組の2つの要素の間を通ることができる。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態によれば、糸をスムーズに上昇又は下降させることができるように綜絖の先端が開口しており、かつ、場合によっては、任意の手段で複数の緯糸を連動させながら、異なる層で同時に緯糸を通すことができるように、一層又は複数の層で同時に、綜絖を用いて経の織糸/糸を上昇させることができる。
【0030】
本発明のさらにまた別の実施形態によれば、筬は、直径の異なる2つの半球を有する円形の平板を備え、より大きな直径を有する半球は、180°回転し、かつ、横方向に動いて入れ替わることができる。これにより、織られた、又は織られていない経糸の交差に柔軟性がもたらされる。
【0031】
本発明のさらにまた別の実施形態によれば、反対方向に移動する一組のローラ及び横方向に移動可能な上部ローラにおいて織られた衣料品を保持することにより、所望の均一な張力が維持される。
【0032】
さらに、糸を回帰させる手段は、経糸ビームの方向を向くボビン又はローラであり、かかるボビン又はローラに糸を渡すことができる。経糸ビームに回帰する前記糸は、同じ筬及び綜絖の中を通ってもよく、又は他の経路を選択してもよい。
【0033】
以下の図面を用い、本発明を詳細に説明する。
【0034】
図1では、経糸が綜絖を通り、筬が緯糸を織り(reed get matted by filling yarns)、作製された布がビームに巻かれている。したがって、経糸は経糸ビームから始まり、布ビームで終わる。さらに、機械を変更し、複数の経糸ボビンを糸巻軸架(creel)につるすようにすると、個々の経糸の動きに柔軟性がもたらされる。また、経糸の上昇及び下降を可能にするためのジャカード付属装置が取付けられている機械がある。しかし、個別の糸、又は糸の群の交差を制御して所望の図案を達成するための機構及び筬のレベルでの柔軟性を、この機械は有さない。さらに、本発明者の知る限りでは、経糸を経糸ビームに回帰させ、その結果、経糸が経糸ビームで始まり、経糸ビームで終わる機構を備えた機械はない。
【0035】
図2には、本発明の要素を有する製織機が示されている。複数の経糸ボビン/ローラ1が経糸2を提供し、ローラ等の機構3が、調節された張力で経糸が張られるように補助し、機構4が、経糸を交差させることを含め、個々の経糸を、目6を有する複数の綜絖5、及び筬7に導き、機構9が織られた織物を均一の張力で保持し、布ビーム9a及び機構/手段10が、経糸を選択的に回帰させる。
【0036】
図3には、枠14からなる、経糸ホルダ又は経糸ビームに経糸を回帰させる手段の詳細が示されている。前記経糸ホルダは、選択した経糸を所望の方向に張るため、複数の経糸ボビン/ローラ/フック13を保持できるように、複数の棒/経糸ビーム11を有する。
【0037】
図4には、目17を有する一連の綜絖16を保持するハーネス15、及び個々の経糸/綜絖を上昇又は下降させるための手段18、及びハーネス内で所望の数の綜絖を調整又は格納するための手段19の詳細が示されている。経糸はこのように、上下運動によって、連動又は連動解除される。また、全部の綜絖を動かすことも可能な場合がある。場合によっては、綜絖を用いて1又は複数の層で同時に経の織糸/糸を上昇させることも可能である。それにより、任意の手段で複数の緯糸を連動させ、別々の層で同時に緯糸を通すことができる。
【0038】
図5には、棒20を備える筬が示されており、かかる棒20は、直径の異なる半球をもち、X1として延びるスリットXを有する、互いに入れ替わることが可能な平行な円形の盤/平板22を多数保持している。かかる盤/平板は、緯糸23を綜絖の側から他方の側(織られた側)へと導くために、180°動くこと、及び経糸(A)の所望の均一な張力を維持することが可能である。より小さな直径(X2)を有する半球は常に、織られた衣料品に接触している。従来の手段22は、所望の数の盤を収容するために備えられている。
【0039】
図6には、複数のローラ及びかかるローラを渡って経糸が通る様子の詳細が示されている。しかしこれは、所望の方向に経糸(24)を導くための、ローラ、フック、又はボビンの設け方の一つに過ぎない。
【0040】
図7には、形状の要求に応じて、経糸(S)(24)が連動又は連動解除される方法が示されている。
【0041】
図8には、織られた衣料品を保持するための布ビームの詳細が示されている。この機構には基本的に、所望の均一な張力を維持するために、反対方向に動くことができる二つのローラ24及び25が含まれる。さらにローラ25は、横方向にも動くことができる。
【0042】
図9において点線は、衣料品が、折りたたまれた状態でどのように製織されるかを示している。
【0043】
図10には、従来の製織図案及び、本発明によって用いられる製織図案が示されている。見てのとおり、本発明の製織図案には、調整された張力で、二つのローラの間に個々の糸を張るために、経糸(warps)26から一組のローラ27を通り、続いて一組の筬28を通るように複数の経糸を通すことが含まれ、かかる筬において、経糸は必要に応じて所望の方法で交差させることができる。本発明の製織図案にはさらに、綜絖を上昇又は下降させ、続いて個々の綜絖/経糸を柔軟に上昇又は下降させる綜絖29に糸を通し、次に、第2の組の筬板(30)(reed plate)に糸を通すことが含まれる。ここで、図案のように織るために、第2の筬の後ろで、織られた束又は織られていない糸を交差させ、筬板を回転させることにより、前記筬板の後ろに緯糸を押し、織られた衣料品を布ビーム端のローラ間に保持し、選択した経糸を、経糸端に戻すことができる。
【0044】
選択的な連動及び連動解除を技術的に広く適用し、オーダーメイドのすぐに使用できる衣料品を巧みに製造することができる。それにより、布の浪費を抑えることができ、一人当たりの時間仕事量を向上させ、ひいては総コストを減少させることができる。衣料品を製織しながら曲線を設けることにより、付加価値のある製品が得られる。
【0045】
一体化した裏地及び多様な性質の様々なパネル柄/付属品を製造するための機構を備え、任意の糸の使用に対応できるという能力は、使い勝手が良く、消費者にとって簡単で満足のいくものである。
【0046】
[利点]
1)シームレスかつすぐに使用できる、紳士用、婦人用、及び子供用衣料品である。
2)前記衣料品は、図案及び布地の選択にしたがい、装飾を含め、オーダーメイド品とすることができる。
3)前記衣料品は、布、時間、及び金銭の節約をもたらすことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の織機の各部を示す図である。
【図2】本発明の製織機の各部を示す図である。
【図3】経糸ホルダ及び経糸を回帰させる手段の詳細な図である。
【図4】ハーネス及び綜絖の詳細な図である。
【図5】筬の詳細な図である。
【図6】ローラのさらに詳細な図である。
【図7】製織図案の斜視図である。
【図8】布ビームの詳細な図である。
【図9】衣料品が製織される筒形の図案の詳細である。
【図10】製織図案の詳細である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押したたまれた筒状に製織され、すぐに使用でき、裁断された小片の何らかの手段による縫製、インターロック、又は縫い合せが無いことを特徴とするシームレス衣料品。
【請求項2】
任意の種類の糸を用いて製織された、寸法に合わせたオーダーメイドの衣料品であって、多様な色彩、刺繍、アップリケ、ポケット、多様なえりの形態を用いた様々な従来のデザインの型のように、様々なデザイン、装飾/装飾品/付属品を備えていることを特徴とする請求項1記載のシームレス衣料品。
【請求項3】
同一若しくは別の生地又は色の裏地を備えることができる、紳士服、婦人服、又は子供服であることを特徴とする、請求項1又は2記載のシームレス衣料品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のシームレス衣料品を提供する方法であって、本出願に記載される特別な製織機を用い、所望の数の織糸/糸を提供するように用いることができる所望の数の経糸ボビン/ローラを提供する、1又は複数の経糸ビームを連動させるステップと、達成されるデザイン及び形状に応じ、所定の位置で経糸を連動、連動解除、又は交差させるステップと、調節された制御方法で、ハーネスに備えられた綜絖の目及び筬に経糸を通すステップと、経糸ビームとの所望の均一な張力を維持しながら織られた衣料品を保持し、従来の緯糸機構を用いつつ、同一又は別の方法で経糸を選択的に回帰させ、経糸ビームで終わらせるステップとを含む方法。
【請求項5】
衣料品が、特定のたたみ方をされた平坦に押したたまれた筒状に製織され、シャツ、ブラウス、ズボン、又は任意のデザインのオーダーメイドの衣料品となることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
特定の曲線、又は袖、ポケット、えり、何らかの装飾若しくは裏地等の追加的な付属物を衣料品に設ける場合、複数層において追加的な経糸が提供され、前記経糸が、本出願の記載に限定されない手段を用いて調節された圧力及び張力で張られることを特徴とする、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
綜絖及び筬を、単独又は群で調整することにより、任意の方法で経糸を換えることができることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
糸の回帰が、別の経糸における対応する糸で、前記糸をインターロックすることにより代替でき、個々の糸も、布ビーム端において、所望の形状に応じて連動、連動解除、又は迂回させることができることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか記載の方法。
【請求項9】
シームレス衣料品を製織するための製織機であって、必要に応じ複数の経糸ビームを保持する機構と、複数の経糸ボビン/ローラと、選択した経糸を所望の張力及び所望の方法で単独又は群で張るように適用できる糸張り機構と、1又は複数の層で同時に動作するように適用できる、経糸の上昇及び下降のために設けられた、先端が開口した綜絖と、個々の経糸又は経糸の群を交差させ、筬の後ろに緯糸を導くために180°回転するように適用できる、直径の異なる2つの半球を有する複数の円形の筬と、経糸ビームとの所望の均一な張力を維持しながら織られた衣料品を保持する布ビームと、経糸を選択的に経糸ビームに回帰させる手段とを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
一つの場所から別の場所に容易にビームを移動できるように、複数のビームが、溝を備えた棚に重ねられていることを特徴とする、請求項9記載の製織機。
【請求項11】
所望の経糸の供給要求にしたがって、水平又は垂直に移動させることができるように、個々のローラ/ボビンが、ビームに引っ掛けられることを特徴とする、請求項9又は10記載の製織機。
【請求項12】
抜出機構が、選択した経糸を所定の張力及び速度で張るための、一組のローラを備えていることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか記載の製織機。
【請求項13】
経糸を綜絖に導く機構が、一組の平板、棒、又は筬等であり、それにより糸が、前記一組の2つの要素の間を通ることができることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか記載の製織機。
【請求項14】
糸をスムーズに上昇又は下降させることができるように綜絖の先端が開口しており、かつ、任意の手段で複数の緯糸を連動させながら、異なる層で同時に緯糸を通すことができるように、一層又は複数の層で同時に、綜絖を用いて経の織糸/糸を上昇させ得ることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか記載の製織機。
【請求項15】
筬が、直径の異なる2つの半球を有する円形の平板を備え、より大きな直径を有する半球が、180°回転し、かつ横方向に動いて入れ替わることが可能であり、これにより、織られた、又は織られていない経糸の交差に柔軟性がもたらされることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか記載の製織機。
【請求項16】
反対方向に移動する一組のローラ及び横方向に移動可能な上部ローラにおいて織られた衣料品を保持することにより、所望の均一な張力が維持されることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか記載の製織機。
【請求項17】
糸を回帰させる手段が、経糸ビームの方向を向くボビン又はローラであり、前記ボビン又はローラに糸を渡すことができ、経糸ビームに回帰する前記糸が、同じ筬及び綜絖の中を通るか、又は他の経路を選択し得ることを特徴とする、請求項9〜16のいずれか記載の製織機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−528821(P2008−528821A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552810(P2007−552810)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000035
【国際公開番号】WO2006/080027
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507257079)
【氏名又は名称原語表記】YENGKHOM,Devson, Singh
【Fターム(参考)】