説明

シール装置、シール構造、およびシール装置付きコネクタ

【課題】ケースとコネクタの位置ずれを吸収しながら、防水性能の向上を図ることができるシール装置、シール構造、およびシール装置付きコネクタを提供すること。
【解決手段】シール装置30は、ケース窓部11の周縁部外面に接着固定される外周環状部材31と、外周環状部材の内周側に間隔をおいて略同心状に配置され、ケース窓部を通してケース内側の基板に固定されるコネクタ2の外周部の鍔部4の外面に接着固定される内周環状部材32と、外周環状部材と内周環状部材にそれぞれ外周縁部35bと内周縁部35aが固着され、ケース外部から作用する水圧に押されてケース窓部とコネクタとの隙間に入り込んで、ケース窓部とコネクタとの隙間を封じる環状の可撓性薄膜体35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品(主にコネクタ)とケースとの隙間を封止するためのシール装置、当該シール装置を使用したシール構造、および当該シール装置付きコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板にコネクタを取り付けて、その上から回路基板をケースで覆う場合、ケースを防水構造にするには、コネクタと該コネクタを露出させるケース窓部との隙間をシールしなければならない。その際、ゴム等でできた防水リングをコネクタとケースとに介在させて、隙間を封じることが一般的に行なわれている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、接着剤で隙間を封じることも行なわれている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−339880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路基板上にコネクタの端子を接合した場合、製作誤差や取付誤差等によって、コネクタと回路基板の位置関係が少しずれた形になることがある。そのような場合、ケースに対してもコネクタが角度ずれを生じた形になる。従って、本来は、ケースの窓部の周縁部外面の凹部にコネクタの外周の鍔部を嵌めて、その上から鍔部とケース窓部との隙間に接着剤を充填することでシールするのであるが、その隙間が大きくなって、接着剤の充填だけでは該隙間を完全に封じることができないことがある。そうなると、防水性に不具合を来たし、水漏れのおそれが出てくる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケースとコネクタの位置ずれを吸収しながら、防水性能の向上を図ることのできるシール装置、シール構造、およびシール装置付きコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係るシール装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) ケース窓部の周縁部外面に接着固定可能で且つ、前記ケース窓部を通してケース内側の部材に固定される部品の外周部に接着固定可能であるシール装置であって、
前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定される外周環状部材と、
前記外周環状部材の内周側に間隔をおいて略同心状に配置され、前記部品の外周部に接着固定される内周環状部材と、
前記外周環状部材と前記内周環状部材にそれぞれ固着される外周縁部と内周縁部を有し、前記ケース外部から作用する流体圧に押されて前記ケース窓部と前記部品との隙間に入り込んで、前記ケース窓部と前記部品との隙間を封じる環状の可撓性薄膜体と、
を備えていること。
(2) 上記(1)の構成のシール装置において、
前記内周環状部材が、内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合体として構成されており、それら内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合隙間に、前記可撓性薄膜体の内周縁部が挟持された上で接着固定されていること。
(3) 上記(1)または(2)の構成のシール装置において、
前記部品が、前記ケース内側の部材である基板に、端子が接合されるコネクタであり、前記シール装置全体が前記コネクタの外周形状に対応した形に形成されていること。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかの構成のシール装置において、
前記部品の外周部に、前記ケース窓部の周縁部外面の凹部に嵌まる鍔部が形成されており、前記内周環状部材が前記鍔部の外面に接着固定され、前記環状の可撓性薄膜体が、ケース外部からの流体圧の作用によって前記鍔部と前記凹部の隙間に入り込むように形成されていること。
【0007】
上記(1)の構成のシール装置によれば、外周環状部材と内周環状部材との間に、ケースと部品との隙間に入り込ませることの可能な環状の可撓性薄膜体を設けているので、外周環状部材をケースに固着し、内周環状部材を部品に固着することで、可撓性薄膜体の柔軟性によって、ケースと部品との位置ずれを吸収しながら、ケースと部品との隙間を確実に封じることができ、防水性の向上を図れる。
上記(2)の構成のシール装置によれば、前記内周環状部材が、内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合体として構成されており、それら内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合隙間に、可撓性薄膜体の内周縁部が挟持された上で接着固定されているので、可撓性薄膜体の内周縁部の保持が確実強固に行なわれることになる。
上記(3)の構成のシール装置によれば、前記部品が、ケース内側の部材としての基板に端子が接合されるコネクタであり、シール装置全体がコネクタの外周形状に対応した形に形成されているので、コネクタとケース間に多少の位置ずれがある場合でも、確実にコネクタとケース間の隙間を封じることができる。
上記(4)の構成のシール装置によれば、前記部品の外周部に、ケース窓部の周縁部外面の凹部に嵌まる鍔部が形成されており、前記内周環状部材が前記鍔部の外面に接着固定され、前記環状の可撓性薄膜体が、ケース外部からの流体圧の作用によって前記鍔部と前記凹部の隙間に入り込むように形成されているので、シール装置の装着が容易であり、しかも、ケース外部から水圧(即ち、流体圧)が作用した場合に、内周環状部材が鍔部の外面に強く圧接されることになって、コネクタと内周環状部材の防水性が増す。
【0008】
また同様に、前述した目的を達成するため、本発明に係るシール構造は、
ケース窓部を通して外部からケース内側の部材にコネクタを取り付けた場合の前記ケース窓部と前記コネクタとの間の隙間を封止したシール構造であって、
前記隙間をシールするための手段として、上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置を使用し、当該シール装置の外周環状部材を前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定すると共に、当該シール装置の内周環状部材を前記コネクタの外周部の鍔部の外面に接着固定し、当該シール装置の可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によって前記ケース窓部と前記コネクタとの隙間に入り込むようにしたことを特徴としている。
【0009】
上記構成のシール構造によれば、ケース窓部を通して外部からケース内側の部材にコネクタを取り付けた場合のケース窓部とコネクタとの間の隙間を封止するための手段として、上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置を使用し、当該シール装置の外周環状部材をケース窓部の周縁部外面に接着固定すると共に、内周環状部材をコネクタの外周部の鍔部の外面に接着固定し、可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によってケース窓部とコネクタとの隙間に入り込むようにしたので、可撓性薄膜体の柔軟性によって、ケースとコネクタとの位置ずれを吸収しながら、ケースとコネクタとの隙間を確実に封じることができ、防水性の向上を図れる。
【0010】
また同様に、前述した目的を達成するため、本発明に係るシール装置付きコネクタは、下記(A)および(B)を特徴としている。
(A) 上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置と、当該シール装置が固定された外周部を有するハウジングと、当該ハウジングから部分的に突出するように前記ハウジングに収容された端子と、を備え、
前記シール装置は、前記ハウジングがケース窓部に挿通され且つ前記端子がケース内側の部材に電気的に接続されるように、前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定可能であること。
(B) 上記(A)の構成のシール装置付きコネクタにおいて、
前記シール装置の外周環状部材が前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定され、
前記シール装置の可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によって前記ケース窓部と前記ハウジングとの隙間に入り込むように構成されていること。
【0011】
上記(A)の構成のシール装置付きコネクタによれば、上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置と、当該シール装置が固定された外周部を有するハウジングと、当該ハウジングから部分的に突出するように該ハウジングに収容された端子と、を備え、上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置は、ハウジングがケース窓部に挿通され且つ端子がケース内側の部材に電気的に接続されるように、ケース窓部の周縁部外面に接着固定可能であるので、シール装置によりケースに対するコネクタの位置ずれが吸収され、防水性能の向上が図られる。
より詳細には、上記(B)の構成のシール装置付きコネクタのように、上記(1)〜(4)のいずれかの構成のシール装置の外周環状部材がケース窓部の周縁部外面に接着固定され、当該シール装置の可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によってケース窓部とハウジングとの隙間に入り込むように構成されているので、可撓性薄膜体の柔軟性によって、ケースとコネクタとの位置ずれが吸収されると共に、ケースとコネクタとの隙間が確実に封じられ、よって防水性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケースとコネクタの位置ずれを吸収しながら、防水性能の向上を図ることができるシール装置、シール構造、およびシール装置付きコネクタを提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1(a)および図1(b)は本発明に係るシール装置の一実施形態の構成図であって、図1(a)は平面図、そして図1(b)は図1(a)のIb−Ib矢視断面図である。また、図2は図1のシール装置を使用したケースとコネクタのシール構造を示すとともに仮想の回路基板を鎖線で示した、シール装置とケースの縦断面図(コネクタのみその側面が示される。)である。
【0016】
このシール装置30は、ケース10の窓部11(本明細書では「ケース窓部」とも記述する。)の周縁部外面に接着固定される外周環状部材31と、この外周環状部材31の内周側に間隔(即ち、環状の開口41)をおいて略同心状に配置され、ケース窓部11を通してケース10の内側の部材(即ち、図2に示される回路基板1)に固定されるコネクタ(即ち、部品)2の外周部に接着固定される内周環状部材32と、外周環状部材31と内周環状部材32にそれぞれ外周縁部35bと内周縁部35aが固着され、ケース10の外部から作用する流体圧(即ち、水圧)に押されてケース窓部11とコネクタ2のハウジング2aとの隙間に入り込んで、ケース窓部11とコネクタ2のハウジング2aとの隙間を封じる環状の可撓性薄膜体35と、を備える。
【0017】
本例において、環状の可撓性薄膜体35は、外周環状部材31および内周環状部材32と別体に製作されており、ここでは、外周環状部材31や内周環状部材32が樹脂やゴム等の比較的硬質の材料で作製されているのに対し、環状の可撓性薄膜体35は、塩化ビニルシートやポリエチレンシート等の、外力が作用したときに柔軟に撓み易い薄いシート状の材料によって作製されている。
【0018】
この可撓性薄膜体35の外周端35bは、断面矩形状に形成された外周環状部材31の外周側に寸法S1だけ残した部分のケース11側に位置する表面(ここでは「内側面」と記述する。)に接着固定されている。また、内周環状部材32は、内周と外周の2つの断面矩形状の環状パッキン32a、32bの嵌合体として構成されており、それら内周と外周の2つの環状パッキン32a、32bの嵌合隙間に、可撓性薄膜体35の内周端35aが挟持された上で接着固定されている。
【0019】
より具体的には、断面矩形状の2つの環状パッキン32a、32bは、内周側の環状パッキン32aの外周面に外周側の環状パッキン32bの内周面が密接するように各径が決められた上で嵌合されており、それらの嵌合面間に、シール装置30の外面側から、可撓性薄膜体35の内周縁部35aが挿入され挟持されている。そして、当該可撓性薄膜体35の内周縁部35aより外周側の部分は、いったん内周側の環状パッキン32aの外側面に被さりながら、外周環状部材31の内側面へ向けて延びており、前記外周縁部35bが外周環状部材31の内側面に接着固定されている。また、2つの環状パッキン32a、32bに挟まれた可撓性薄膜体35の内周縁部35a側は、その上で、内周側および外周側の環状パッキン32a、32bに接着されている。これにより、外周環状部材31と内周環状部材32の間の環状開口41が、可撓性薄膜体35によって完全に塞がれている。また、内周環状部材32の内周側は、コネクタ2のハウジング2aの外周に対する嵌合孔40として、そのまま開口している。
【0020】
ここでは、対象となる部品が、ハウジング2aと、当該ハウジング2aから部分的に突出するようにハウジング2aに収容された端子3と、を備え、ケース10の内側の回路基板1に端子3が接合されて電気的に接続する正面視角形のコネクタ2であるから、シール装置30は、全体がコネクタ2の外周形状に対応した正面視角形に形成されている。つまり、外周環状部材31、内周環状部材32、可撓性薄膜体35は、すべて角形環状に形成されている。また、コネクタ2のハウジング2aの外周部には、ケース窓部11の周縁部外面の凹部11aに嵌まる鍔部4が形成されており、内周環状部材32がコネクタ2の鍔部4の外面に接着固定され、且つ、環状の可撓性薄膜体35がケース10の外部からの水圧(即ち、流体圧)の作用によって鍔部4とケース10側の凹部11aとの隙間に入り込むように、内周環状部材32の寸法や可撓性薄膜体35の柔らかさ等が決められている。
【0021】
このシール装置30を使用してコネクタ2とケース10の間の隙間をシールする場合は、まず、コネクタ2の頭をシール部材30の内周環状部材32の中心の嵌合孔40に潜らせる。そして、鍔部4の外面に内周環状部材32を接着固定する。次に、シール装置30の外周環状部材31の内側面(図2中、寸法S2の範囲)を、ケース10の窓部11の周囲の外側面に接着固定する。このとき、寸法S1の部分については、直接、外周環状部材31をケース10に接着固定することができる。従って、内周方向へ引張力が作用した場合にも、外周環状部材31を確実にケース10上の定位置に固定しておくことができ、たとえ外周環状部材31をゴムで形成している場合であっても、その定常時の形状を維持することができる。
【0022】
以上のように接着することにより、ケース10の外部から水圧が作用した場合に、鍔部4とケース窓部11との隙間に可撓性薄膜体35が入り込む構成のシール構造ができあがる。
【0023】
このように本実施形態のシール装置30は、外周環状部材31と内周環状部材32との間に、ケース10とコネクタ2との隙間に入り込む環状の可撓性薄膜体35を設けているので、外周環状部材31をケース10に固着し、内周環状部材32をコネクタ2に固着することで、可撓性薄膜体35の柔軟性によって、ケース10とコネクタ2とが位置ずれしている場合であっても、その位置ずれを吸収しながら、ケース10とコネクタ2との隙間を確実に封じることができ、防水性の向上を図れる。
【0024】
また、上記シール装置30においては、内周環状部材32が、内周と外周の2つの環状パッキン32a、32bの嵌合体として構成されており、それら内周と外周の2つの環状パッキン32a、32bの嵌合隙間に、可撓性薄膜体35の内周縁部35aが挟持された上で接着固定されているので、可撓性薄膜体35の内周縁部35aの保持が確実強固に行なわれることになる。つまり、外周側の環状パッキン32bの収縮力と、この収縮力に対する内周側の環状パッキン32aの反発力(即ち、形状保持力)と、接着力とによって、可撓性薄膜体35の内周縁部35aが強固に保持されることになる。
【0025】
また、コネクタ2の外周部に、ケース窓部11の周縁部外面の凹部11aに嵌まる鍔部4が形成されており、シール装置30の内周環状部材32が鍔部4の外面に接着固定され、環状の可撓性薄膜体35が、ケース10の外部からの水圧(即ち、流体圧)の作用によって鍔部4と凹部11aの隙間に入り込むように形成されているので、シール装置30の装着が容易であり、しかも、ケース10の外部から水圧が作用した場合に、内周環状部材32が鍔部4の外面に強く圧接されることになって、コネクタ2と内周環状部材32のシール性が増す。
【0026】
また、上記のシール構造によれば、可撓性薄膜体35の柔軟性によって、ケース10とコネクタ2との位置ずれを吸収しながら、ケース10とコネクタ2との隙間を確実に封じることができので、防水性の向上を図れる。また、水圧が外側から作用することで、可撓性薄膜体35がコネクタ2、ケース10に押さえ付けられる形となるため、可撓性薄膜体35のコネクタ2およびケース10に対する接触面の摩擦力が増して、可撓性薄膜体35の保持力が増す。
【0027】
さて、ここで、本発明の顕著な効果をより明確に理解するため、図3を参照しながら、図2のシール装置30を使用しなかった場合の問題点を説明する。
【0028】
図3に示されるように、回路基板1上にコネクタ2の端子3を接合した場合、製作誤差や取付誤差等によって、コネクタ2と回路基板1の位置関係が少しずれた形になる。その場合、ケース10に対してもコネクタ2が角度ずれを生じた形になっている。従って、ケース10の窓部11の周縁部外面の凹部11aにコネクタ2の外周の鍔部4を嵌めて、その上から鍔部4とケース窓部11との隙間に接着剤を充填することでシールすべきであるが、図中Hで示す部分のように隙間が大きくなって、接着剤の充填だけでは隙間を完全に封じることができない。そうなると、防水性に不具合を来たし、水漏れのおそれがある。
【0029】
これに対して、本発明のシール装置30、シール構造、およびシール装置30付きのコネクタ2によれば、ケース10とコネクタ2の位置ずれを吸収しながら、防水性能の向上を図ることができる。
【0030】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、可撓性薄膜体35を、外周環状部材31や内周環状部材32と別体に作製して後から固着する場合について説明したが、可撓性薄膜体35を、外周環状部材31や内周環状部材32と連続した薄膜状に一体成形してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、シール装置30がコネクタ2のハウジング2aと別体に設けられているが、シール装置30が予めハウジング2aの外周部に固定されたコネクタ2を設けてもよい。尚、シール装置30をハウジング2aに固定する手段は、接着に限らず、その他、例えば、超音波溶着、レーザービーム溶着、液密嵌合、等でもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、対象部品が正面視角形のコネクタ2であるために、シール装置30の全体が正面から見て角形であったが、全体を円形や楕円形に形成してもよい。また、ケースとの間をシールする必要のある部品は、コネクタ2以外のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るシール装置の一実施形態の構成図であって、(a)は平面図、そして(b)は(a)のIb−Ib矢視断面図である。
【図2】図1のシール装置を使用したケースとコネクタのシール構造を示すとともに仮想の回路基板を鎖線で示した、シール装置とケースの縦断面図(コネクタのみその側面が示される。)である。
【図3】図2のシール装置を使用しなかった場合の問題点を説明するための参考図である。
【符号の説明】
【0035】
1 回路基板(ケース内側の部材)
2 コネクタ(部品)
4 鍔部
10 ケース
11 窓部
11a 凹部
30 シール装置
31 外周環状部材
32 内周環状部材
32a 内周側の環状パッキン
32b 外周側の環状パッキン
35 可撓性薄膜体
35a 内周縁部
35b 外周縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース窓部の周縁部外面に接着固定可能で且つ、前記ケース窓部を通してケース内側の部材に固定される部品の外周部に接着固定可能であるシール装置であって、
前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定される外周環状部材と、
前記外周環状部材の内周側に間隔をおいて略同心状に配置され、前記部品の外周部に接着固定される内周環状部材と、
前記外周環状部材と前記内周環状部材にそれぞれ固着される外周縁部と内周縁部を有し、前記ケース外部から作用する流体圧に押されて前記ケース窓部と前記部品との隙間に入り込んで、前記ケース窓部と前記部品との隙間を封じる環状の可撓性薄膜体と、
を備えていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記内周環状部材が、内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合体として構成されており、それら内周と外周の2つの環状パッキンの嵌合隙間に、前記可撓性薄膜体の内周縁部が挟持された上で接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載したシール装置。
【請求項3】
前記部品が、前記ケース内側の部材である基板に、端子が接合されるコネクタであり、前記シール装置全体が前記コネクタの外周形状に対応した形に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したシール装置。
【請求項4】
前記部品の外周部に、前記ケース窓部の周縁部外面の凹部に嵌まる鍔部が形成されており、前記内周環状部材が前記鍔部の外面に接着固定され、前記環状の可撓性薄膜体が、ケース外部からの流体圧の作用によって前記鍔部と前記凹部の隙間に入り込むように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載したシール装置。
【請求項5】
ケース窓部を通して外部からケース内側の部材にコネクタを取り付けた場合の前記ケース窓部と前記コネクタとの間の隙間を封止したシール構造であって、
前記隙間をシールするための手段として、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシール装置を使用し、当該シール装置の外周環状部材を前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定すると共に、当該シール装置の内周環状部材を前記コネクタの外周部の鍔部の外面に接着固定し、当該シール装置の可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によって前記ケース窓部と前記コネクタとの隙間に入り込むようにしたことを特徴とするシール構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシール装置と、当該シール装置が固定された外周部を有するハウジングと、当該ハウジングから部分的に突出するように前記ハウジングに収容された端子と、を備え、
前記シール装置は、前記ハウジングがケース窓部に挿通され且つ前記端子がケース内側の部材に電気的に接続されるように、前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定可能であることを特徴とするシール装置付きコネクタ。
【請求項7】
前記シール装置の外周環状部材が前記ケース窓部の周縁部外面に接着固定され、
前記シール装置の可撓性薄膜体が、ケース外部から作用する流体圧によって前記ケース窓部と前記ハウジングとの隙間に入り込むように構成されていることを特徴とする請求項6に記載したシール装置付きコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−127206(P2007−127206A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321002(P2005−321002)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】