説明

ジヒドロピリミドピリミジン誘導体

本発明は、以下の一般式(I)の化合物に関する。
【化1】


式中、Arは置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を;Rは水素原子、置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基、又は置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を;Rは置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を;Rは水素原子又はC1−C6アルキル基を意味する。
本発明の化合物は、優れたWee1キナーゼ阻害作用を有することから医薬の分野、特に各種がん治療の分野において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の分野において有用である。更に詳しくは、本発明のジヒドロピリミドピリミジン誘導体は、キナーゼ阻害剤、特にWee1キナーゼ阻害剤として、各種がん治療の分野において有用である。
【背景技術】
【0002】
細胞は、DNAに損傷を受けると細胞周期を一時的に停止し、DNAを修復するチェックポイント機構を持っている[セル・プロリフェレーション(Cell Proliferation)、第33巻、261−274頁]。ヒトのがんの約半数において、がん抑制遺伝子であるp53が変異あるいは欠損しているためにG1チェックポイントの機能が失われている。しかしながら、そのようながん細胞にはまだG2チェックポイント機能が残されており、DNA作用性の抗がん剤や放射線に対して感受性を低下させる要因の1つとなっていると考えられている。
【0003】
Wee1キナーゼは細胞周期のG2チェックポイントに関与するチロシンキナーゼである。Wee1は、細胞周期のG2期からM期への進行に関与するCdc2(Cdk1)のチロシン15をリン酸化することによりCdc2を不活性化し、細胞周期を一時的にG2期に停止させる[ザ・エンボ・ジャーナル(The EMBO Journal)、第12巻、75−85頁]。したがって、p53の機能が欠損したがん細胞では、DNA損傷時にDNAを修復し細胞死を回避するために、G2チェックポイント機能におけるWee1の役割が重要であると考えられる。これまでに、RNA干渉によるWee1発現の低下や化合物によるWee1の阻害は、がん細胞のアドリアマイシンやエックス線、ガンマ線に対する感受性を増加させることが報告された[キャンサー・バイオロジー・アンド・セラピー(Cancer Biology & Therapy)、第3巻、305−313頁,及びキャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第61巻、8211−8217頁]。以上のことから、Wee1阻害剤は、p53欠損がん細胞のG2チェックポイント機能を阻害することにより、DNA作用性の抗がん剤や放射線に対する感受性を高めることが出来ると考えられる。
【0004】
低分子のWee1キナーゼ阻害剤としては、例えば米国特許出願US2005/0250836号公報(特許文献1)、国際公開第2003/091255号パンフレット(特許文献2)、キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第61巻、8211−8217頁(非特許文献1)又はバイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorg & Med.Chem.Lett.)、第15巻、1931−1935頁(非特許文献2)等に記載の化合物が知られている。しかしながら、これら文献に記載の化合物は本発明の化合物とは構造が全く異なる。
【0005】
一方、国際公開第99/61444号パンフレット(特許文献3)及び国際公開第2004/041823号パンフレット(特許文献4)には、本発明の化合物と骨格の一部が比較的類似する化合物が開示されている。しかしながら、それらの文献には本発明化合物について何ら開示も示唆もされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、キナーゼ阻害作用、特にWee1キナーゼ阻害作用を有する新規な抗がん剤、及びがんの化学療法若しくは放射線療法の増感剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、一般式(I)で表される化合物が優れたキナーゼ阻害作用、特に優れたWee1キナーゼ阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【化1】

式中、
Arはハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q−R1aで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
1aは水素原子、水酸基、ホルミル基、C1−C6アルキル基、ジ−C1−C6アルキルアミノ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基若しくはカルボキシフェニル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)を意味し;
1bは−Q−A(R1c)R1dで表される基を意味し;
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、イミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
は窒素原子を意味するか、又は水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し;
1c及びR1dは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基を意味するか、又は一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1e)−で表される基で置き換えられていてもよく、また、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよく;
1eは水素原子、ホルミル基、アセチル基又はC1−C6アルキル基を意味し;
は水素原子を意味するか、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
は水素原子又はC1−C6アルキル基を意味する。
【0009】
本発明化合物(I)は、キナーゼ阻害作用、特にWee1キナーゼ阻害作用を有することにより、例えば脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、肺がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユ−イング腫、軟部肉腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫等、各種がんの治療剤として有用である。又、本発明化合物(I)は、これらのがん及びその他のがんに対する化学療法若しくは放射線療法の増感剤としても有用である。
【0010】
特に、本発明化合物(I)は、例えば乳がん、肺がん、膵がん、結腸がん、卵巣がん、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫等の治療剤、及びこれらに対する化学療法若しくは放射線療法の増感剤として有用である。
【0011】
本発明は、一般式(I)で表される化合物、その薬学的に許容され得る塩又はN−オキシド誘導体並びにそれらの製造法及び用途に関する。
【0012】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味を記載し、本発明について更に詳細に説明する。
【0013】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0014】
「C1−C6アルキル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
【0015】
「C3−C6シクロアルキル基」とは、炭素数3ないし6のシクロアルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0016】
「ハロ−C1−C6アルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1ないし3の同一又は異なる前記ハロゲン原子で置換された前記C1−C6アルキル基を意味する。例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等が挙げられる。
【0017】
「C1−C6アルコキシ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
「C1−C6アルコキシ基−C1−C6アルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1の前記C1−C6アルコキシ基で置換された前記C1−C6アルキル基を意味し、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基等が挙げられる。
【0019】
「C2−C7アルカノイル基」とは、前記C1−C6アルキル基を有するアルカノイル基、具体的には、炭素数2ないし7のアルカノイル基を意味し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。
【0020】
「アリール基」としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0021】
「アラルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1の前記アリール基で置換された前記C1−C6アルキル基を意味する。例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0022】
「ヘテロアリール基」とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より、同一若しくは異なって選ばれる1若しくは2以上、好ましくは1ないし3の複素原子を含有する5員若しくは6員の単環式ヘテロアリール基又は該単環式ヘテロアリール基と前記アリール基が縮合した、若しくは同一若しくは異なる該単環式ヘテロアリール基が互いに縮合した縮合環式ヘテロアリール基を意味する。例えばピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、ピリド[3,2−b]ピリジル基等が挙げられる。
【0023】
「C1−C6アルキルスルホニル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキルスルホニル基を意味し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0024】
「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1又は2の水酸基で置換された前記C1−C6アルキル基を意味する。例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0025】
「ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基」とは、前記ヒドロキシ−C1−C6アルキル基でモノ置換されたアミノ基を意味する。例えばヒドロキシメチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルアミノ基、1,2−ジヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0026】
「ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基」とは、前記ヒドロキシ−C1−C6アルキル基でモノ置換されたカルバモイル基を意味する。例えばヒドロキシメチルカルバモイル基、2−ヒドロキシエチルカルバモイル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルカルバモイル基、1,2−ジヒドロキシエチルカルバモイル基、3−ヒドロキシプロピルカルバモイル基等が挙げられる。
【0027】
「ジ−C1−C6アルキルアミノ基」とは、同一又は異なる前記C1−C6アルキル基でジ置換されたアミノ基を意味する。例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
「複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)」とは、少なくとも1の窒素原子を含み、該窒素原子に加えて酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より、同一若しくは異なって選ばれる1若しくは2以上、好ましくは1の複素原子を含有する各環3ないし7の環原子からなる単環式又は二環式の複素環基を意味する。当該複素環基は芳香族であっても、脂肪族であってもよい。また、当該二環式の複素環基は2つの環が1の環原子を共有するスピロ構造を有していても、2以上の環原子を共有するビシクロ構造を有していてもよい。かかる含窒素複素環基の例としては、例えばピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、ピリド[3,2−b]ピリジル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル基、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル基、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル基、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル基、ジヒドロ−1,2,3,5−オキサチアジアゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ジヒドロピリジル基、ジヒドロピリダジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ジヒドロピラゾロ[3,2−b]オキサゾリル基、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノニル基、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノニル基、2,7−ジアザスピロ[4.5]デシル基、2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクチル基、3,6−ジアザビシクロ[3.3.0]オクチル基、キヌクリジル基等が挙げられる。
【0029】
「C1−C6アルキレン基」とは、炭素数1ないし6のアルキレン基を意味する。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が挙げられる。
【0030】
本発明化合物の「薬学的に許容され得る塩」とは、医薬として許容され得る慣用的に使用されるものを意味する。例えばカルボキシル基若しくは水酸基を有する場合、該塩は当該カルボキシル基若しくは水酸基における塩基付加塩であってもよい。アミノ基若しくは塩基性の含窒素複素環基その他のヘテロ環基を有する場合の、該塩は当該アミノ基若しくは塩基性の含窒素複素環基その他のヘテロ環基における酸付加塩の塩類であってもよい。
【0031】
該塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
【0032】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えばマレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0033】
本発明化合物の「N−オキシド誘導体」とは、当該化合物上に存在するN−オキシド形成可能な1又は2以上の任意の窒素原子が酸化されN−オキシドを形成した化合物であって、薬学的に許容され得るものを意味する。例えば本発明化合物のジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン骨格における環上の窒素原子が酸化された化合物等が挙げられる。
【0034】
本発明の化合物を更に具体的に開示するため、本明細書等において用いられる各種記号につき、その好適な具体例を挙げて更に詳細に説明する。
【0035】
Arはハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q−R1aで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味する。
【0036】
「ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q−R1aで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基」とは、無置換の前記アリール基若しくはヘテロアリール基、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリール基若しくはヘテロアリール基を意味する。該置換基はハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q−R1aで表される基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1又は2選択することができる。
【0037】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
【0038】
該置換基のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0039】
該置換基のハロ−C1−C6アルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が好適である。
【0040】
該置換基のヒドロキシ−C1−C6アルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が好適である。
【0041】
該置換基のC1−C6アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
【0042】
該置換基のC2−C7アルカノイル基としては、例えばアセチル基等が好適である。
【0043】
該置換基のヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基としては、例えばヒドロキシメチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基等が好適である。
【0044】
該置換基のヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基としては、例えばヒドロキシメチルカルバモイル基、2−ヒドロキシエチルカルバモイル基等が好適である。
【0045】
該置換基の−Q−R1aで表される基において、Qは単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい。R1aは水素原子、水酸基、ホルミル基、C1−C6アルキル基、ジ−C1−C6アルキルアミノ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基若しくはカルボキシフェニル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)を意味する。
【0046】
の「C1−C6アルキレン基」としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基等が好適である。
【0047】
のC1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよい。そのような置き換えられた基としては、例えば式(aa1’)から選択される基が好適である。
【0048】
【化2】

【0049】
中でも、式(aa1)から選択される基がより好ましい。
【0050】
【化3】

【0051】
ここで、QのC1−C6アルキレン基又は式(aa1’)若しくは式(aa1)で表される基において、該基中の置換可能な任意の位置がハロゲン原子、シアノ基、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0052】
1aの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0053】
1aの「ジ−C1−C6アルキルアミノ基」としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基等が好適である。
【0054】
1aの「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が好適である。
【0055】
1aの「ハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)」とは、無置換の前記複素環基であるか、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記複素環基を意味する。該置換基はハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1又は2選択することができる。
【0056】
1aの「ハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)」の「複素環基」それ自体としては、例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジヒドロピラゾロ[3,2−b]オキサゾリル基、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノニル基、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノニル基、2,9−ジアザスピロ[4.5]デシル基、キヌクリジル基等が好適である。
【0057】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
【0058】
該置換基のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0059】
該置換基のヒドロキシ−C1−C6アルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基等が好適である。
【0060】
該置換基のC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基としては、例えばメトキシメチル基等が好適である。
【0061】
該置換基の−R1bで表される基は−Q−A(R1c)R1dで表される基を意味する。
【0062】
−Q−A(R1c)R1dで表される基において、Qは単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、イミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;Aは窒素原子を意味するか、又は水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し;R1c及びR1dは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基を意味するか、又は一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1e)−で表される基で置き換えられていてもよく、また、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよく;R1eは水素原子、ホルミル基又はC1−C6アルキル基を意味する。
【0063】
の「水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基」としては、無置換のメチン基であるか、又は水酸基、C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有するメチン基を意味する。
【0064】
該置換基のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0065】
該置換基のヒドロキシ−C1−C6アルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メチル−2−ヒドロキシプロピル基等が好適である。
【0066】
該置換基としては、水酸基、C1−C6アルキル基等が好適である。
【0067】
の「C1−C6アルキレン基」としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基等が好適である。
【0068】
のC1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよい。そのような置き換えられた基としては、例えば以下の式(aa2)から選択される基が好適である。
【0069】
【化4】

【0070】
ここで、QのC1−C6アルキレン基又は式(aa2)で表される基において、該基中の置換可能な任意の位置がハロゲン原子、シアノ基、水酸基、イミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0071】
該置換基のC1−C6アルキル基としてはメチル基等が好適である。
【0072】
1c又はR1dの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好適である。
【0073】
1c又はR1dの「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が好適である。
【0074】
1c及びR1dが一緒になって形成するC1−C6アルキレン基としては、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が好適である。これらが結合する「A」が窒素原子のとき、R1c及びR1dが一緒になって形成するC1−C6アルキレン基は該窒素原子とともに、それぞれ1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基を意味する。「A」がメチン基のとき、R1c及びR1dが一緒になって形成するC1−C6アルキレン基は該メチン基とともに、それぞれシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を意味し、中でもシクロブチル基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基等がより好ましい。
【0075】
上記C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1e)−で表される基で置き換えられていてもよい。そのような基としては、例えばアゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジノ基が好適である。ここで、これらの基は、該基中の置換可能な任意の位置が水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0076】
−N(R1e)−で表される基において、R1eは水素原子、ホルミル基、アセチル基又はC1−C6アルキル基を意味する。
【0077】
1eの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基等が好適である。
【0078】
−Q−A(R1c)R1dで表される基の好ましい態様としては、例えば
(i)Qが単結合であり、Aが窒素原子であり、かつR1c及びR1dが、それぞれ独立して、水素原子若しくはC1−C6アルキル基であるとき;
(ii)Qが単結合若しくはC1−C6アルキレン基であり、ここで、該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基がカルボニル基で置き換えられていてもよく、Aがメチン基であり、かつR1c及びR1dが水素原子であるとき;、
(iii)QがC1−C6アルキレン基であり、ここで、該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基が、酸素原子若しくはカルボニル基で置き換えられていてもよく、また、C1−C6アルキル基で置換されていてもよく、Aが窒素原子であり、かつR1c及びR1dが、それぞれ独立して、C1−C6アルキル基であるとき;又は
(iv)Qが単結合であり、Aがメチン基であり、かつR1c及びR1dが、一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基が−N(R1e)−で表される基(ここで、R1eは請求項1における定義と同じ意味を有する)で置き換えられていてもよい基であるとき等が挙げられる。
【0079】
上記(ii)の条件がより好ましい。
【0080】
より具体的には、−Q−A(R1c)R1dで表される基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、1−アセチル−3−アゼチジニル基、3−ヒドロキシ−1−アゼチニル基、2−メチル−2−アゼチニル基、1−ピロリジニル基、シクロペンチル基、2−ヒドロキシシクロペンチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メチルイミノ基、メトキシ基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メトキシアセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、メチルスルホニル基、2−(メチルスルホニル)エチル基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、ジメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイルメチル基、2−(ジメチルアミノ)アセチル基、2−ジメチルアミノ−2-メチル−アセチル基等が挙げられる。中でもメチル基、1−アセチル−3−アゼチジニル基、3−ヒドロキシ−1−アゼチニル基、2−メチル−2−アゼチニル基、1−ピロリジニル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メチルイミノ基、メトキシ基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、ホルミル基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、ジメチルカルバモイル基、2−(ジメチルアミノ)アセチル基、2−ジメチルアミノ−2-メチル−アセチル基等が好ましい。メチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−(ジメチルアミノ)アセチル基等がより好ましい。
【0081】
1aの前記置換基を有していてもよい複素環基の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、1−アセチル−3−アゼチジニル基、3−ヒドロキシ−1−アゼチニル基、2−メチル−2−アゼチニル基、1−ピロリジニル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メチルイミノ基、メトキシ基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、ホルミル基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、ジメチルカルバモイル基、2−(ジメチルアミノ)アセチル基、2−ジメチルアミノ−2-メチル−アセチル基等が挙げられる。より好ましくはメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−(ジメチルアミノ)アセチル基等が挙げられる。特にメチル基が好ましい。
【0082】
−Q−R1aで表される基の好ましい態様としては、例えば以下の 式(a1)から選択される基が好適である。
【0083】
【化5】

【0084】
ここで、式(a1)で表される基を構成する1又は2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R10aは水素原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基又は−R1bで表される基を意味し、かつR1bが前記と同じ意味を有する。
【0085】
10aの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基等が好適である。
【0086】
10aの「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル等が好適である。
【0087】
より具体的には、−Q−R1aで表される基としては、例えば1−ピペラジニル基、4−メチル−1−ピペラジニル基、4−エチル−1−ピペラジニル基、4−プロピル−1−ピペラジニル基、4−イソプロピル−1−ピペラジニル基、4−tert−ブチル−1−ピペラジニル基、4−ヒドロキシメチル−1−ピペラジニル基、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−1−ピペラジニル基、4−シクロブチル−1−ピペラジニル基、4−シクロプロピルメチル−1−ピペラジニル基、4−(1−アセチル−3−アゼチジニル)−1−ピペラジニル基、4−シクロペンチル−1−ピペラジニル基、4−(2−ヒドロキシシクロペンチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−メトキシエチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−エトキシエチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−ピペラジニル基、4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−ピペラジニル基、4−アセチル−1−ピペラジニル基、4−プロピオニル−1−ピペラジニル基、4−メチル−2−メトキシメチル−1−ピペラジニル基、4−(2−メトキシアセチル)−1−ピペラジニル基、4−tert−ブトキシカルボニル−1−ピペラジニル基、4−メチルスルホニル−1−ピペラジニル基、4−(2−(メチルスルホニル)エチル)−1−ピペラジニル基、4−(ジメチルカルバモイル)基、4−(ジメチルカルバモイルメチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル基、4−メチル−3−オキソ−1−ピペラジニル基、ピペリジノ基、4−ヒドロキシピペリジノ基、モルホリノ基、3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ基、3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ基、チオモルホリノ基、1,1−ジオキシドチオモルホリノ基、ペルヒドロ−1H−アゼピン−1−イル基、ペルヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル基、4−メチル−ペルヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル基、5−オキソ−ペルヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル基、4−メチル−5−オキソ−ペルヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル基、3−アゼチジニル基、3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル基、3−(tert−ブチルアミノ)−1−ピロリジニル基、4−ピペリジル基、1−メチル−4−ピペリジル基、1−エチル−4−ピペリジル基、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル基、1−(2−メチルスルホニルエチル)−4−ピペリジル基、4−ヒドロキシ−4−ピペリジル基、4−ヒドロキシ−1−メチル−4−ピペリジル基、1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−ピペリジル基、2−ピリジルメチル−(メチル)−アミノ基、1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジル基、1−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−ピラゾリル基、3−アゼチジニルオキシ基、1−メチル−3−アゼチジニルオキシ基、1−エチル−3−アゼチジニルオキシ基、1−プロピル−3−アゼチジニルオキシ基、1−イソプロピル−3−アゼチジニルオキシ基、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−アゼチジニルオキシ基、4−ピペリジルオキシ基、1−メチル−4−ピペリジルオキシ基、1−エチル−4−ピペリジルオキシ基、1−シクロブチル−4−ピペリジルオキシ基、2−ジメチルアミノエトキシ基、3−(ジメチルアミノ)−プロピル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、メチルプロピルアミノメチル基、イソプロピルメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−1−メチル−エトキシ基、2−ジメチルアミノ−プロポキシ基、3−ジメチルアミノ−プロポキシ基、7−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル基、2−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−7−イル基、2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル基、2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナ−7−イル基等が挙げられる。中でも4−メチル−1−ピペラジニル基、4−(1−アセチル−3−アゼチジニル)−1−ピペラジニル基、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル基、4−アセチル−1−ピペラジニル基、4−メチル−2−メトキシメチル−1−ピペラジニル基、4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル基、モルホリノ基、3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ基、3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ基、3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル基、3−(tert−ブチルアミノ)−1−ピロリジニル基、2−ピリジルメチル−(メチル)−アミノ基、1−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−ピラゾリル基、3−(ジメチルアミノ)−プロピル基、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−1−メチル−エトキシ基、2−ジメチルアミノ−プロポキシ基、3−ジメチルアミノ−プロポキシ基、7−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル基、2−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−7−イル基、2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル基、2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナ−7−イル基等が好ましい。4−メチル−1−ピペラジニル基、4−メチル−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル基、4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル基、3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ基、3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ基、3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル基等がより好ましい。
【0088】
Arの置換基としては、例えばC1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、−Q−R1aで表される基等が好適である。
【0089】
Arの前記置換基を有していてもよいアリール基の「アリール基」それ自体としては、例えばフェニル基等が好適である。また、Arの前記置換基を有していてもよいヘテロアリール基の「ヘテロアリール基」それ自体としては、例えばピラゾリル基、ピリジル基等が好適である。
【0090】
したがって、Arとしては、例えばフェニル基、ピラゾリル基又はピリジル基等に、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基又は−Q−R1aで表される基等が置換した基が好適である。より好ましくは、Arは、1つの−Q−R1aで表される基が置換したフェニル基か、1つの−Q−R1aで表される基に加えて、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基又はヒドロキシ−C1−C6アルキル基等が置換したフェニル基等である。
【0091】
具体的には、Arとしては、例えばフェニル基、4−ヒドロキシメチル−3−メチルフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、4−アセチルフェニル基、3,5−ジメチル−4−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル基、4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)フェニル基、4−(1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(1−ピペラジニル)フェニル基、3−ヒドロキシメチル−4−(1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−ヒドロキシメチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−エチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−エチル−1−ピペラジニル)−3−ヒドロキシメチルフェニル基、4−(4−イソプロピル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−イソプロピル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−tert−ブチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)−3−メチルフェニル基、4−(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)−3−ヒドロキシメチルフェニル基、4−(4−シクロブチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−シクロブチル−1−ピペラジニル)−3−メチルフェニル基、4−(4−シクロプロピルメチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−シクロプロピルメチル−1−ピペラジニル)−3−メチルフェニル基、4−(4−(1−アセチル−3−アゼチジニル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)−3−メチルフェニル基、4−(4−(2−メトキシエチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−メトキシアセチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、3−ヒドロキシメチル−4−(4−(2−メトキシアセチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−メチル−2−メトキシメチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−メチルスルホニル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−メチルスルホニル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−メチル−3−オキソ−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−メチル−3−オキソ−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−ヒドロキシピペリジノ)フェニル基、4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−3−メチルフェニル基、4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−3−ヒドロキシメチルフェニル基、4−モルホリノフェニル基、3−メチル−4−モルホリノフェニル基、3−ヒドロキシメチル−4−モルホリノフェニル基、4−(3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ)フェニル基、4−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)フェニル基、3−メチル−4−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)フェニル基、4−(4−メチル−5−オキソ−ペルヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル)フェニル基、4−(3−(tert−ブチルアミノ)−1−ピロリジニル)フェニル基、4−(4−ピペリジル)フェニル基、4−(1−メチル−4−ピペリジル)フェニル基、3−メチル−4−(4−ピペリジル)フェニル基、4−(4−ヒドロキシ−4−ピペリジル)フェニル基、4−(4−ヒドロキシ−1−メチル−4−ピペリジル)フェニル基、4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル)フェニル基、4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル)−3−メチルフェニル基、4−(1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−ピペリジル)フェニル基、4−(2−ピリジルメチル−(メチル)−アミノ)フェニル基、4−(1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジル)フェニル基、3−メチル−4−(1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジル)フェニル基、4−(1−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−ピラゾリル)フェニル基、4−(3−アゼチジニルオキシ)フェニル基、4−(3−アゼチジニルオキシ)−3−メチルフェニル基、4−(1−エチル−3−アゼチジニルオキシ)フェニル基、4−(1−エチル−3−アゼチジニルオキシ)−3−メチルフェニル基、4−(1−イソプロピル−3−アゼチジニルオキシ)フェニル基、4−(1−イソプロピル−3−アゼチジニルオキシ)−3−メチルフェニル基、4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−3−アゼチジニルオキシ)フェニル基、4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−3−アゼチジニルオキシ)−3−メチルフェニル基、4−(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)フェニル基、4−(ジメチルアミノメチル)フェニル基、4−(2−ジメチルアミノ−1−メチル−エトキシ)フェニル基、4−(2−ジメチルアミノ−プロポキシ)フェニル基、3−(3−ジメチルアミノ−プロポキシ)−4−メトキシフェニル基、4−(7−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−7−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナ−7−イル)フェニル基等が好適である。中でも4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(1−アセチル−3−アゼチジニル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−メチル−2−メトキシメチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、3−メチル−4−モルホリノフェニル基、3−ヒドロキシメチル−4−モルホリノフェニル基、4−(3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル)フェニル基、4−(3−(tert−ブチルアミノ)−1−ピロリジニル)フェニル基、4−(2−ピリジルメチル−(メチル)−アミノ)フェニル基、4−(1−(2−(ジメチルアミノ)−エチル)−ピラゾリル)フェニル基、4−(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)フェニル基、4−(ジメチルアミノメチル)フェニル基、4−(2−ジメチルアミノ−1−メチル−エトキシ)フェニル基、4−(2−ジメチルアミノ−プロポキシ)フェニル基、3−(3−ジメチルアミノ−プロポキシ)−4−メトキシフェニル基、4−(7−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−7−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル)フェニル基、4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナ−7−イル)フェニル基等が好ましい。4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、3−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(4−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)−1−ピペラジニル)フェニル基、4−(3−(ジメチルアミノメチル)−1−モルホリノ)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−1−モルホリノ)フェニル基、4−(3−ヒドロキシメチル−3−ジメチルアミノ−1−ピロリジニル)フェニル基等がより好ましい。
【0092】
は水素原子を意味するか、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味する。
【0093】
の「ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基」とは、無置換の前記C1−C6アルキル基であるか、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基で置換された、前記C1−C6アルキル基を意味する。当該置換基は各基の置換可能な任意の位置に同一又は異なって、1又は2以上、好ましくは1ないし3置換することができる。
【0094】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
【0095】
該置換基のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0096】
の「ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等が好適である。
【0097】
の「ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基」とは、無置換の前記アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基であるか、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味する。該置換基はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1又は2選択することができる。
【0098】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
【0099】
該置換基のC1−C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0100】
の前記置換基を有していてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−シアノフェニル基、2−クロロ−6−シアノフェニル基等が好適である。
【0101】
の前記置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、例えば2−ピリジル基、3−クロロ−2−ピリジル基等が好適である。
【0102】
の前記置換基を有していてもよいアラルキル基としては、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基等が好適である。
【0103】
の好ましい態様としては、例えば水素原子であるか、又はハロゲン原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1−C6アルキル基が好ましい。
【0104】
具体的には、例えば水素原子、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基等が好適である。中でも水素原子、メチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。水素原子、メチル基等がさらに好ましい。
【0105】
はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味する。
【0106】
の「ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基」とは、無置換の前記アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基であるか、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味する。該置換基はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1ないし3選択することができる。
【0107】
該置換基としては、塩素原子若しくはフッ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基等のC1−C6アルキル基;メトキシ基若しくはエトキシ基等のC1−C6アルコキシ基;トリフルオロメチル基等のハロ−C1−C6アルキル基;又はヒドロキシメチル基等のヒドロキシ−C1−C6アルキル基等が好適である。中でも塩素原子若しくはフッ素原子等のハロゲン原子;又はメチル基等のC1−C6アルキル基等がより好適である。
【0108】
の前記置換基を有していてもよいアリール基の「アリール基」それ自体としては、フェニル等が好適である。
【0109】
の前記置換基を有していてもよいアラルキル基の「アラルキル基」それ自体としては、ベンジル等が好適である。
【0110】
の前記置換基を有していてもよいヘテロアリール基の「ヘテロアリール基」それ自体としては、ピリジル等が好適である。
【0111】
の好ましい態様としては、式(a)
【0112】
【化6】

【0113】
で表される基が挙げられる。
【0114】
上記式中、R2aはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルキルスルホニル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基を意味し;T、U、V及びWは窒素原子、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルキルスルホニル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し、そのうち少なくとも2つが該メチン基を意味する。より好ましくは、Rが式(a)で表される基であり、R2aがハロゲン原子であり、かつTがハロゲン原子又はC1−C6アルキル基で置換されたメチン基のとき等が挙げられる。
【0115】
2aの「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子等が好適である。
【0116】
2aの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基等が好適である。
【0117】
2aの「C1−C6アルキルスルホニル基」としては、例えばメチルスルホニル基等が好適である。
【0118】
2aの「C1−C6アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基等が好適である。
【0119】
2aの「ハロ−C1−C6アルキル基」としては、例えばフルオロメチル基、トリフルオロメチル等が好適である。
【0120】
2aの「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基等が好適である。
【0121】
2aの「C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばメトキシメチル基等が好適である。
【0122】
2aとしては塩素原子がより好ましい。
【0123】
Tとしては無置換のメチン基、又はフッ素原子若しくは塩素原子等のハロゲン原子で置換されたメチン基;メチル基等のC1−C6アルキル基で置換されたメチン基;若しくはドリフルオロメチル基等のハロ−C1−C6アルキル基で置換されたメチン基等が好適である。中でも塩素原子等のハロゲン原子で置換されたメチン基がより好ましい。
【0124】
U,V及びWとしては、いずれも無置換のメチン基が好ましい。
【0125】
はより具体的には、例えばフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−クロロ−3−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−5−フルオロフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2−シアノフェニル基、2−アルコキシフェニル基、2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシメチルフェニル基、又は2,4−ジクロロ−3−ピリジル基等が好適である。中でも2,6−ジクロロフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、又は2,4−ジクロロ−3−ピリジル基等が好ましい。特に2,6−ジクロロフェニル基等がより好適である。
【0126】
は水素原子又はC1−C6アルキル基を意味する。
【0127】
の「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基等が好適である。
【0128】
としては水素原子が好ましい。
【0129】
本発明の好ましい一態様としては、一般式(I−1)
【0130】
【化7】

【0131】
で表される基が挙げられる。
【0132】
上記式中、Q、R1a、R及びRは前記の意味を有し、ここで、該Q、R1a、R及びRの好適例は式(I)と同様であり;R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基又はヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基を意味する。
【0133】
又はRの「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
【0134】
又はRの「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
【0135】
又はRの「ハロ−C1−C6アルキル基」としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基が好適である。
【0136】
又はRの「ヒドロキシ−C1−C6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が好適である。
【0137】
又はRの「C1−C6アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
【0138】
又はRの「C2−C7アルカノイル基」としては、例えばアセチル基等が好適である。
【0139】
又はRの「ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基」としては、例えばヒドロキシメチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルアミノ基、1,2−ジヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基等が好適である。中でもヒドロキシメチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基等がより好適である。
【0140】
又はRの「ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基」としては、例えばヒドロキシメチルカルバモイル基、2−ヒドロキシエチルカルバモイル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルカルバモイル基、1,2−ジヒドロキシエチルカルバモイル基、3−ヒドロキシプロピルカルバモイル基等が好適である。中でもヒドロキシメチルカルバモイル基、2−ヒドロキシエチルカルバモイル基等がより好適である。
【0141】
又はRとしてはより具体的には、例えば水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、ヒドロキシメチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルアミノ基、1,2−ジヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、ヒドロキシメチルカルバモイル基、2−ヒドロキシエチルカルバモイル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルカルバモイル基、1,2−ジヒドロキシエチルカルバモイル基、3−ヒドロキシプロピルカルバモイル基等が好適である。中でも、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシ基がより好適である。特に水素原子等が好適である。
【0142】
任意の変数(例えば、R1aなど)が任意の構成要素中に2回以上現れる場合は、各出現に関するその定義は、他のすべての出現とは無関係である。また、置換基及び変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。置換基から環系中に引かれる線は、示された結合が置換可能な環原子のいずれとも結合してもよいことを表す。
【0143】
用語「置換可能な任意の位置」とは、本明細書で用いられる場合、炭素、窒素、酸素及び/又は硫黄原子上に置換可能な水素原子を有し、当該水素原子の置換が化学的に許容され、その結果、安定な化合物をもたらす部位を意味する。
【0144】
本発明化合物において、C1−C6アルキレン基を構成するメチレン基の例えば酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、カルボニル、ビニレン、又は置換若しくは無置換のイミン等による置き換えは、その置き換えが化学的に許容され、その結果、安定な化合物をもたらす場合に許容される。
【0145】
本発明の化合物は、その置換基の態様又は塩型によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体又は互変異性体が存在する場合がある。本発明の化合物はこれら全ての立体異性体、互変異性体及びそれらの混合物をも包含する。
【0146】
本発明は、本発明化合物の種々の結晶、アモルファス、塩、水和物及び溶媒和物を含む。
【0147】
更に本発明化合物のプロドラッグもまた本発明の範囲に属する。一般的に、そのようなプロドラッグは、生体内で必要とされる化合物に容易に変換され得る本発明化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明に係る各種疾患の処置方法においては、「投与」という言葉は、特定した化合物の投与のみならず、患者に投与した後、生体内で当該特定した化合物に変換される化合物の投与を含む。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための常套手段は、例えば“Design of Prodrugs” ed. H.Bundgaard, Elsevier,1985等に記載され、ここに引用してその記載全体を本願明細書の一部となす。これらの化合物の代謝物は、本発明化合物を生物学的環境に置くことによって産生される活性化合物を含み、そのような代謝物は、本発明の範囲に属する。
【0148】
一般式(I)で表される化合物、その塩又はN−オキシド誘導体の具体例としては、例えば実施例記載の化合物、その塩又はN−オキシド誘導体等が挙げられる。好ましい化合物の例としては
(1)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(2)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ヒドロキシメチル)モルホリン−4−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(3)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{4−[(ジメチルアミノ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(4)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(5)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(6)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(7)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(8)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3R)−3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(9)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(10)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(11)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(12)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[(2R)−2−(メトキシメチル)−4−メチルピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(13)7−({4−[3−(tert−ブチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(14)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3S)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(15)7−{[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−3−メチルフェニル]アミノ}−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(16)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3,5]ノナ−7−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(17)7−({4−[4−(1−アセチルアゼチジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(18)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(モルホリン−4−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(19)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)−1−メチルエトキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(20)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[メチル(ピリジン−2−イルメチル)アミノ]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(21)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(22)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)プロポキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(23)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(24)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({3−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−4−メトキシフェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(25)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(26)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[3−(ジメチルアミノ)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(27)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(28)3−(2,6−ジクロロフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン等が好適である。中でも
(1)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(2)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ヒドロキシメチル)モルホリン−4−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(3)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{4−[(ジメチルアミノ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(4)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(5)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(6)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(7)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
(8)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3R)−3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン等がより好適である。
【0149】
次に、本発明に係る化合物の製造法について説明する。
【0150】
本発明化合物(I)は、例えば下記の製造法又は実施例・製造例に示す方法等により製造することができる。ただし、本発明化合物(I)の製造法はこれら反応例に限定されるものではない。
【0151】
製造法1
一般式(I)で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体は、一般式(IV)で表される化合物が得られるように、一般式(II)で表される化合物と、一般式(III)で表される化合物又はその塩とを反応させて製造することができる。
【0152】
【化8】

【0153】
上記式中、
1pは水素原子を意味するか、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基を意味するか、又はハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、シアノ基、保護されていてもよいアミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及び保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
2pはハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、シアノ基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
は脱離基を意味する。
【0154】
【化9】

【0155】
上記式中、
Ar1pはハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q1p−R1apで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
1pは単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、保護されていてもよいカルボニル基、保護されていてもよいイミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、保護されていてもよい水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
1aは水素原子、保護されていてもよい水酸基、ホルミル基、C1−C6アルキル基、ジ−C1−C6アルキルアミノ基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基若しくはカルボキシフェニル基を意味するか、又はハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bpで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)を意味し;
1bpは−Q2p−A1p(R1cp)R1dpで表される基を意味し;
2pは単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、保護されていてもよいカルボニル基、保護されていてもよいイミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいイミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
1pは窒素原子を意味するか、又は保護されていてもよい水酸基、C1−C6アルキル基若しくは保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し;
1cp及びR1dpは、それぞれ独立して、水素原子、保護されていてもよいカルボキシル基、C1−C6アルキル基若しくは保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基を意味するか、又は一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、保護されていてもよいカルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1ep)−で表される基で置き換えられていてもよく、また、保護されていてもよい水酸基、C1−C6アルキル基若しくは保護されていてもよいヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよく;
1epはイミノ基の保護基、水素原子、ホルミル基、アセチル基又はC1−C6アルキル基を意味し;
は水素原子又はC1−C6アルキル基を意味する。
【0156】
【化10】

【0157】
上記式中、Ar1p、R1p、R2p及びRは前記の意味を有する。該化合物(IV)がアミノ基、イミノ基、水酸基又はカルボニル基の保護基を有する場合には、当該製法には、
(1)当該保護基を除去する工程;又は
(2)目的化合物がN−オキシド誘導体である場合には化合物中の窒素原子を酸化する工程;
を適宜選択して行うことが含まれる。
【0158】
なお、上記一般式(IV)の化合物がアミノ基、イミノ基、水酸基及びカルボニル基の保護基を有しない場合は、当該化合物(IV)は一般式(I)の化合物を表す。
【0159】
で示される脱離基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等の有機スルホニル基又はメチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、p−トリルスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基等が挙げられる。中でも塩素原子、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基等が好適である。
【0160】
本製造法は、一般式(I)で表される化合物の一般的な製造法である。
【0161】
上記反応において、反応物質中に反応に関与しないアミノ基、イミノ基、水酸基、カルボニル基等が存在する場合、当該アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボニル基は、適宜、アミノ基若しくはイミノ基の保護基、水酸基の保護基又はカルボニル基の保護基で保護した後に反応を行うことができる。反応後に当該保護基を除去することができる。
【0162】
「アミノ基若しくはイミノ基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されない。例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基等の低級アルカノイル基;例えばベンゾイル基;例えばフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えばベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の低級アルキルスルホニル基等;例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等が挙げられる。特にアセチル基、ベンゾイル基、tert−ブトキシカルボニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、メチルスルホニル基等が好ましい。
【0163】
「水酸基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されない。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,3−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基等のアシル基等が挙げられる。特にメチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、トリチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、アセチル基等が好ましい。
【0164】
「カルボニル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されない。例えばエチレンケタール、トリメチレンケタール、ジメチルケタール等のアセタール、ケタール等が挙げられる。
【0165】
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物との反応は、通常、化合物(II)の1モルに対して、化合物(III)を等モルないし過剰モル、好ましくは等モルないし1.5モル用いて行われる。
【0166】
反応は、通常、反応に悪影響を与えない不活性溶媒中で行われる。当該不活性溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類の極性溶媒;又はそれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0167】
また、上記反応は塩基又は酸の存在下に行うことが好ましい。
【0168】
本発明で用いる酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;例えばマレイン酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;例えばメタンスルホン酸、イセチオン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸等;例えばトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテリビウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム等のルイス酸が挙げられる。p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム等が好ましい。
【0169】
当該酸の使用量は、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対して、0.01ないし過剰モル、好ましくは0.02ないし1.5モルである。
【0170】
本発明で用いる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0171】
当該塩基の使用量は、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対して、等モルないし過剰モル、好ましくは1ないし3モルである。
【0172】
反応温度は、通常、0℃ないし200℃、好ましくは20℃ないし150℃である。
【0173】
反応時間は、通常、5分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
【0174】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(IV)で表される化合物の粗生成物を得ることができる。このようにして得られた一般式(IV)で表される化合物を、常法に従って精製し、又は精製することなく、一般式(I)で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体を製造することができる。該化合物(IV)がアミノ基、イミノ基、水酸基又はカルボニル基の保護基を有する場合には、
(1)当該保護基を除去する工程;又は
(2)目的化合物がN−オキシド誘導体である場合には化合物中の窒素原子を酸化する工程;
を適宜選択して行うことが、前記に続く。
【0175】
保護基の除去法は、当該保護基の種類及び目的化合物(I)の安定性等により異なるが、アミノ基、水酸基及びカルボニル基の保護基の除去反応を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、保護基は、文献記載の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley & Sons社(1999年)参照]又はそれに準じる方法に従って、例えば酸又は塩基を用いる加溶媒分解、具体的には、0.01モルないし大過剰の酸、好ましくはトリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸等、又は等モルないし大過剰の塩基、好ましくは水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いる方法により除去できる。除去法の別の例として、水素化金属錯体等を用いる化学的還元又はパラジウム−炭素触媒、ラネーニッケル触媒等を用いる接触還元等を用いてもよい。
【0176】
窒素原子を酸化してN−オキシド誘導体を製造する工程は、例えばm−クロロ過安息香酸、ジオキシラン、過ヨウ素酸ナトリウム、過酸化水素等の酸化剤を用いて行われる。
【0177】
当該酸化剤の使用量は、通常、一般式(IV)で表される化合物1モルに対して、0.5モルないし過剰モル、好ましくは1ないし5モルである。
【0178】
反応は、通常、反応に用いられる酸化剤に応じて適宜選択された溶媒中で行われる。例えば、酸化剤としてm−クロロ過安息香酸を用いる場合には、塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒が好ましい。酸化剤としてジオキシランを用いる場合にはアセトン、水等の溶媒が好ましい。
【0179】
反応温度は、通常、−50℃ないし100℃、好ましくは−20℃ないし50℃である。
【0180】
反応時間は、通常、15分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
【0181】
一般式(I)の化合物又はそのN−オキシド誘導体は、通常の分離手段により容易に単離精製でき、例えば溶媒抽出、再結晶、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
【0182】
これらの化合物は、常法によりその薬学的に許容され得る塩とすることができる。また逆に塩から遊離化合物への変換も常法に従って行うことができる。
【0183】
本明細書で用いる場合、一般式(III)で表される化合物の「塩」とは、有機化学の分野で用いられる慣用的なものを意味する。アミノ基若しくは塩基性の複素環基を有する場合の該塩は、当該アミノ基若しくは塩基性複素環基における酸付加塩の塩類等を挙げることができる。
【0184】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えばマレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0185】
一般式(II)又は(III)で表される化合物は、例えば市販品を用いるか、文献記載の方法[国際公開第2007/067506号パンフレット、国際公開第2004/104007号パンフレット、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ(Journal of Medicinal Chemistry)、第48巻、2371−2387頁等参照]若しくはこれらの方法に準じる方法、あるいは以下の方法又は実施例・製造例に記載する方法等を必要に応じ適宜組み合わせることにより製造することができる。
製造法A


【0186】
[式中、R1p、R2p及びLは前記の意味を有する]
本製造法は一般式(II)で表される化合物の製造法である。
【0187】
本製造法によれば、一般式(II)で表される化合物は、式(1)で表される化合物と式(2)で表されるアミンとを反応させて式(3)で表される化合物とし、該化合物(3)と式(4)で表されるイソシアナートとを反応させることにより製造することができる。
【0188】
式(1)で表される化合物と式(2)で表されるアミンとを反応させて式(3)で表される化合物とする工程は、通常、化合物(1)1モルに対して、アミン(2)を0.5モルないし過剰モル、好ましくは等モルないし3.0モル用いて行われる。
【0189】
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド等又はその混合溶媒等が好適である。
【0190】
また、上記反応は塩基の存在下に行うことが好ましい。当該塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を使用することができる。
【0191】
当該塩基は、通常、化合物(1)1モルに対して、等モルないし過剰モル用いるのが好適である。また当該塩基が液体である場合には、当該塩基を溶媒兼塩基として用いることができる。
【0192】
反応温度は、通常、−78℃ないし100℃、好ましくは20℃ないし80℃である。
【0193】
反応時間は、通常、5分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
【0194】
化合物(3)と式(4)で表されるイソシアナートとを反応させて一般式(II)で表される化合物を製造する工程は、通常、化合物(3)1モルに対して、イソシアナート(4)を0.5モルないし過剰モル、好ましくは等モルないし3.0モル用いて行われる。
【0195】
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド等又はその混合溶媒等が好ましい。ジメチルホルムアミド等がより好適である。
【0196】
また、上記反応は、通常、塩基の存在下に行われ、当該塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は例えば水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム等の無機塩基を使用することができる。
【0197】
当該塩基は、通常、化合物(3)1モルに対して、等モルないし過剰モル用いるのが好適である。また当該塩基が液体である場合には、当該塩基を溶媒兼塩基として用いることができる。
【0198】
反応温度は、通常、−78℃ないし100℃、好ましくは20℃ないし80℃である。
【0199】
反応時間は、通常、5分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
【0200】
なお、一般式(1)、(2)又は(4)で表される化合物は市販品を用いるか、公知の方法若しくは実施例記載の方法又はそれらに準じる方法を必要に応じ適宜組み合わせることにより製造することができる。
(別法)
一般式(I)で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体は、まず、上記式(3)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物又はその塩とを反応させて、一般式(V−1)で表される化合物とすることで製造することができる。

【0201】
上記式中、Ar1p、R1p及びRは前記の意味を有する。
【0202】
次いで、該化合物(V−1)と、上記式(4)で表されるイソシアナートを反応させることにより、一般式(IV)で表される化合物を得る。

【0203】
上記式中、Ar1p、R1p、R2p及びRは前記の意味を有する。
【0204】
該化合物がアミノ基、イミノ基、水酸基又はカルボニル基の保護基を有する場合には、
(1)当該保護基を除去する工程;又は
(2)目的化合物がN−オキシド誘導体である場合には化合物中の窒素原子を酸化する工程;
を適宜選択して行うことが続く。
【0205】
式(3)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物又はその塩とを反応させて、一般式(V−1)で表される化合物を製造する工程は、前記製造法1における式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物又はその塩とを反応させて式(IV)で表される化合物を製造する工程に準じて行うことができる。
【0206】
本工程で使用し得る式(III)で表される化合物の塩としては、製造法1において例示した式(III)で表される化合物の塩を挙げることができる。
【0207】
化合物(V−1)と式(4)で表されるイソシアナートを反応させて、一般式(IV)で表される化合物を製造する工程は、前記製造法Aにおける化合物(3)と式(4)で表されるイソシアナートとを反応させて一般式(II)で表される化合物を製造する工程に準じて行うことができる。
【0208】
必要に応じて行われる保護基の除去及び/又はN−オキシド誘導体の製造工程は、製造法1に記載した方法と同様に行うことができる。
【0209】
下記に本発明化合物の薬理試験例を示す。
薬理試験1(Wee1キナーゼ阻害作用)
(1)Wee1キナーゼの精製
アミノ末端にグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を融合したWee1キナーゼのcDNAをバキュロウイルス発現ベクタ−に組み込み、組み換えバキュロウイルスを作製し、昆虫細胞Sf9株に感染させて標的のたんぱく質を高発現させた。感染細胞を回収して可溶化した後、GSTタグ付加Wee1キナーゼタンパク質をグルタチオンカラムに吸着させ、グルタチオンでカラムから溶出し、活性画分を脱塩カラムで脱塩し精製酵素とした。
(2)Wee1キナーゼの活性測定
Wee1キナーゼの活性測定において、基質は合成ペプチドであるPoly(Lys,Tyr)Hydrobromide(Lys:Tyr (4:1))をシグマ社より購入して用いた。
【0210】
反応液量は21.1μLで、反応緩衝液の組成は50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)/10mM塩化マグネシウム/1mMジチオトレイトールであった。精製したWee1キナーゼ、2.5μgの基質ペプチド、10μMの非標識アデノシン三リン酸(ATP)及び1μCiの[γ−33P]標識ATP(2500Ci/mmol以上)を反応緩衝液に添加して、得られた反応混合物を30℃で30分間インキュベートさせた。その後、10μLの350mMリン酸緩衝液を反応系に添加して反応を停止させた。基質ペプチドをP81ペ−パ−フィルタ−96ウエルプレ−トに吸着させた後、130mMリン酸緩衝液で数回洗浄し、その放射活性を液体シンチレ−ションカウンタ−で測定した。[γ−33P]標識ATPはアマシャムバイオサイエンス社から購入した。
【0211】
被検化合物の反応系への添加は、まずジメチルスルホキシド(DMSO)で化合物の希釈系列を調製し、各希釈系列1.1μLを反応系へ加えることで行った。反応系へDMSOを1.1μLを加えたものを対照とした。
【0212】
本発明に係る化合物は、表1に示されるように優れたWee1阻害活性作用を示す。
【0213】
【表1】

【0214】
次に、本発明に係る一般式(I)の化合物の細胞におけるCdc2−チロシン15リン酸化阻害作用について以下説明する。
薬理試験2(細胞を用いた薬剤効果判定方法(Cdc2(Cdk1)チロシン15−リン酸化阻害作用))
a)試薬
ウシ胎児血清(FBS)はモルゲート社から、RPMI1640培地とDMEM培地はインビトロジェン社から、カンプトテシンはシグマ社から、ゲムシタビンは日本イーライリリー社から、ノコダゾールとプロテアーゼインヒビターカクテルはシグマ社から、ウサギ抗Cdc2抗体とマウス抗Cdc2抗体はサンタクルズバイオテクノロジー社から、ウサギ抗チロシン15−リン酸化Cdc2抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体はセルシグナリングテクノロジー社から、シュアブルーリザーブTMBペルオキシダーゼ基質はキルケガードアンドペリーラボラトリーズ社から、それぞれ入手した。
b)細胞
ヒト非小細胞肺がん細胞(NCI−H1299)及びヒト大腸がん細胞(WiDr)は、アメリカン・タイプ・カルチャ・コレクション(American Type Culture Collection; ATCC)より入手できる。
c)効果判定法
NCI−H1299細胞を用いる方法では、細胞を10%FBS添加RPMI1640培地に懸濁し、1穴あたり2000個/100マイクロリットルの細胞懸濁液をヌンク社より購入した96穴ヌンクロンデルタ処理プラスチックプレートに分注し、37℃、5%CO−95%空気中で1晩培養した。カンプトテシンをジメチルスルホキシド(DMSO)にて溶解し更に10%FBS添加RPMI1640培地で希釈した後、あらかじめ細胞を播いておいたプレートにカンプトテシンの終濃度が200nMになるように50マイクロリットルずつ分注し、16時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養した。被検化合物をDMSOにて段階希釈し、更に4000nMノコダゾールを含む10%FBS添加RPMI1640培地で希釈した後、カンプトテシンを処理した細胞を播いてあるプレートに50マイクロリットルずつ分注した。8時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養後、培養液を取り除き、細胞溶解緩衝液を100マイクロリットルずつ加え、4℃で2時間震盪した後、−80℃で凍結・融解したものを細胞溶解液とした。この細胞溶解液中のCdc2及びチロシン15−リン酸化Cdc2を酵素結合免疫測定法(ELISA法)で測定し、Cdc2に対するチロシン15−リン酸化Cdc2の割合を算出し、被検化合物の細胞に対する50%リン酸化阻害濃度(EC50,nM)を求めた。ここで、細胞溶解緩衝液とは、20mM ヘペス(pH7.5)、150mM 塩化ナトリウム、1mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.1% ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、1% プロテアーゼインヒビターカクテル、1mM ジチオトレイトール、2mM オルトバナジン酸ナトリウム、10mM フッ化ナトリウム、及び10mM グリセロール2リン酸を含んだ水溶液である。ELISA法によるCdc2測定は下記の通り行った。ヌンク社より購入した96穴マキシソープイムノプレートに50mM 炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.6)で200倍に希釈したウサギ抗Cdc2抗体溶液を1穴あたり50マイクロリットルずつ分注し、免疫プレート(immunoplate)を4℃で1晩静置し抗体を固相化した。次に、各穴をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、5%ウシ血清アルブミンを含むPBS(5%BSA/PBS)を300マイクロリットルずつ加え、免疫プレートを2時間室温で静置し、再びPBSで3回洗浄し、0.05%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート及び1%BSA含有トリス−塩酸緩衝生理食塩水(1%BSA/TBS−T)で100倍に希釈により得られたマウス抗Cdc2抗体溶液を50マイクロリットルずつ加え、細胞溶解液を5マイクロリットル添加し、免疫プレートを4℃で1晩静置した。次に各穴に0.05%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート及び0.1%BSA含有トリス−塩酸緩衝生理食塩水(0.1%BSA/TBS−T)で3回洗浄後、1%BSA/TBS−Tで2000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を70マイクロリットルずつ加え、免疫プレートを室温で3時間静置した。最後に0.1%BSA/TBS−Tで5回洗浄後、シュアブルーリザーブTMBペルオキシダーゼ基質を100マイクロリットルずつ分注し、暗所室温にて15分間発色反応を行い、1M 塩酸を100マイクロリットルずつ分注することで反応を停止させ、比色法にて測定した。ELISA法によるチロシン15−リン酸化Cdc2測定は下記の通り行った。96穴マキシソープイムノプレートに50mM 炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.6)で100倍に希釈したウサギ抗チロシン15−リン酸化Cdc2抗体溶液を1穴あたり50マイクロリットルずつ分注し、免疫プレートを4℃で1晩静置し抗体を固相化した。次に、各穴をPBSで3回洗浄し、5%BSA/PBSを300マイクロリットルずつ加え、免疫プレートを2時間室温で静置し、再びPBSで3回洗浄し、1%BSA/TBS−Tで100倍に希釈したマウス抗Cdc2抗体溶液を50マイクロリットルずつ加え、細胞溶解液を5マイクロリットル添加し、免疫プレートを4℃で1晩静置した。次に各穴を0.1%BSA/TBS−Tで3回洗浄後、1%BSA/TBS−Tで2000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を70マイクロリットルずつ加え、免疫プレートを室温で3時間静置した。最後に各穴を0.1%BSA/TBS−Tで5回洗浄後、シュアブルーリザーブTMBペルオキシダーゼ基質を100マイクロリットルずつ分注し、暗所室温にて5分間発色反応を行い、各穴に1M 塩酸を100マイクロリットルずつ分注することで反応を停止させ、比色法にて測定した。結果を表2に示す。
【0215】
WiDr細胞を用いる方法では、細胞を10%FBS添加DMEM培地に懸濁し、1穴あたり2000個の密度で100マイクロリットルの細胞懸濁液を96穴ヌンクロンデルタ処理プラスチックプレートに分注し、37℃、5%CO−95%空気中で1晩培養する。ゲムシタビンをPBSにて溶解し更に10%FBS添加DMEM培地で希釈した後、あらかじめ細胞を播いておいたプレートにゲムシタビンの終濃度が100nMになるように50マイクロリットルずつ分注し、24時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養する。被検化合物をDMSOにて段階希釈し更に1200nMノコダゾールを含む10%FBS添加DMEM培地で希釈した後、ゲムシタビンで処理した細胞を播いてあるプレートに50マイクロリットルずつ分注する。8時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養後、培養液を取り除き、細胞溶解緩衝液を100マイクロリットルずつ加え、4℃で2時間震盪した後、−80℃で凍結・融解したものを細胞溶解液として利用する。この細胞溶解液中のCdc2及びチロシン15−リン酸化Cdc2をELISA法で測定し、Cdc2に対するチロシン15−リン酸化Cdc2の割合を算出し、被検化合物の細胞に対する50%リン酸化阻害濃度(EC50,nM)を求めた。ELISA法によるCdc2測定は下記の通り行う。96穴マキシソーププラスチックプレートに50mM 炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.6)で200倍に希釈したウサギ抗Cdc2抗体溶液を1穴あたり50マイクロリットルずつ分注し4℃、1晩静置し抗体を固相化する。次に、PBSで3回洗浄し、5%BSA/PBSを300マイクロリットルずつ加え2時間室温で静置し、再びPBSで3回洗浄し、1%BSA/TBS−Tで100倍に希釈したマウス抗Cdc2抗体溶液を50マイクロリットルずつ加え、細胞溶解液を10マイクロリットル添加し4℃で1晩静置する。次に0.1%BSA/TBS−Tで3回洗浄後、1%BSA/TBS−Tで2000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を70マイクロリットルずつ加え室温で3時間静置する。最後に0.1%BSA/TBS−Tで5回洗浄後、シュアブルーリザーブTMBペルオキシダーゼ基質を100マイクロリットルずつ分注し、暗所室温にて15分間発色反応を行い、1M 塩酸を100マイクロリットルずつ分注することで反応を停止させ、比色法にて測定する。ELISA法によるチロシン15−リン酸化Cdc2測定は下記の通り行う。96穴マキシソーププラスチックプレートに50mM 炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.6)で100倍に希釈したウサギ抗チロシン15−リン酸化Cdc2抗体溶液を1穴あたり50マイクロリットルずつ分注し4℃、1晩静置し抗体を固相化する。次に、PBSで3回洗浄し、5%BSA/PBSを300マイクロリットルずつ加え2時間室温で静置し、再びPBSで3回洗浄し、1%BSA/TBS−Tで100倍に希釈したマウス抗Cdc2抗体溶液を50マイクロリットルずつ加え、細胞溶解液を10マイクロリットル添加し4℃で1晩静置する。次に0.1%BSA/TBS−Tで3回洗浄後、1%BSA/TBS−Tで2000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を70マイクロリットルずつ加え室温で3時間静置する。最後に0.1%BSA/TBS−Tで5回洗浄後、シュアブルーリザーブTMBペルオキシダーゼ基質を100マイクロリットルずつ分注し、暗所室温にて10分間発色反応を行い、1M 塩酸を100マイクロリットルずつ分注することで反応を停止させ、比色法にて測定する。
【0216】
本発明に係わる化合物は、表2に示されるように、ヒト由来のがん細胞に対し、優れたCdc2−チロシン15リン酸化阻害作用を示す。
【0217】
【表2】

【0218】
次に、本発明に係る一般式(I)の化合物の細胞におけるチェックポイント解除作用について以下説明する。
薬理試験3(細胞を用いた薬剤効果判定方法(チェックポイント解除作用))
a)試薬
牛胎児血清(FBS)はモルゲート社から、DMEM培地はインビトロジェン社から、ゲムシタビンは日本イーライリリー社から、ノコダゾールと4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールはシグマ社から、ウサギ抗リン酸化ヒストンH3抗体はアップステイト社から、蛍光標識(Alexa Fluor 488)抗ウサギIgG抗体はモレキュラープローブ社から、それぞれ入手できる。
b)細胞
ヒト大腸がん細胞(WiDr)は、アメリカン・タイプ・カルチャ・コレクション(American Type Culture Collection; ATCC)より入手できる。
c)効果判定法
細胞を10%FBS添加DMEM培地に懸濁し、1穴あたり2000個の密度で100マイクロリットルの細胞懸濁液をベクトン・ディッキンソン社より購入したポリ−D−リジンコートの96穴プラスチックプレートに分注し、37℃、5%CO−95%空気中で1晩培養する。ゲムシタビンをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて溶解し、更に10%FBS添加DMEM培地で希釈した後、あらかじめ細胞を播いておいたプレートにゲムシタビンの最終濃度が100nMになるように50マイクロリットルずつ分注し、24時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養する。被検化合物をジメチルスルホキシドにて段階希釈し更に1200nMノコダゾールを含む10%FBS添加DMEM培地で希釈した後、ゲムシタビンを処理した細胞を播いてあるプレートに50マイクロリットルずつ分注する。8時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養後、培養液を取り除き、−20℃に冷却しておいたメタノールを100マイクロリットルずつ加え、プレートを−20℃に一晩置くことで細胞を固定する。次に、メタノールで固定した細胞をPBSで洗い、1%ウシ血清アルブミンを含むPBS(1%BSA/PBS)を50マイクロリットルずつ加え30分間室温で静置し、続いて1%BSA/PBSで250倍に希釈したウサギ抗リン酸化ヒストンH3抗体を50マイクロリットルずつ加え室温で90分間静置する。次にPBSで洗浄後、1%BSA/PBSで10μg/mLに希釈した4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール及び250倍に希釈した蛍光標識(Alexa Fluor 488)抗ウサギIgG抗体を含む溶液を50マイクロリットルずつ加え暗所室温で60分間反応させる。最後にPBSで洗浄後、蛍光強度を測定することによりリン酸化ヒストンH3陽性細胞(チェックポイントを解除することで細胞分裂期へと移行した細胞)の割合を算出し、被検化合物の細胞に対する50%チェックポイント解除作用濃度(EC50,nM)を求める。
【0219】
以上により、本発明に係わる化合物のヒト由来の癌細胞(WiDr)に対する優れたチェックポイント解除作用を測定することができる。
薬理試験4(腫瘍増殖抑制効果)
ヒト大腸癌株WiDr(ATCCより入手)をF344/N Jcl−rnuヌードラットの背部皮下に移植する。移植12日後にゲムシタビン(Gemcitabine)5mg/kg(Gemzar注、イーライリリー)を静脈内投与し、その24時間後に被験化合物を溶媒(0.5%メチルセルロース)に懸濁し、経口投与する。これを1週間に1度、3週間繰り返す。腫瘍体積(0.5x長径x短径)の測定は初回ゲムシタビン投与日をDay0とし、Day0,3,6,10, 13,17,20,24及び27に行う。腫瘍体積率(Relative tumor volume)はDay0における腫瘍体積を1として算出する。また、腫瘍増殖率(%T/C)は次式により求める。
被験化合物投与群のDay0からの腫瘍体積変化量が>0の場合:
%T/C=(Day3,6,10,13,17,20,24,27における各被験化合物群の腫瘍体積変化量/Day3,6,10,13,17,20,24,27におけるコントロール群の腫瘍体積変化量)x100
被験化合物投与群のDay0からの腫瘍体積変化量が<0の場合:
%T/C=(Day3,6,10,13,17,20,24,27における各被験化合物群の腫瘍体積変化量/Day0における各被験化合物群の腫瘍体積)x100
以上により、本発明化合物が他の抗がん剤と組み合わせて使用することにより他の抗がん剤の作用を増強させることを測定することができる。
薬理試験5(細胞を用いた薬剤効果判定方法(放射線(X線)増感作用))
a)試薬
ウシ胎児血清(FBS)はモルゲート社から、RPMI1640培地と0.25%トリプシンEDTAはインビトロジェン社から、サイクルテストプラスDNAリージェントキットはベクトン・ディッキンソン社から、ナイロンネットフィルターはミリポア社から、それぞれ入手できる。
b)細胞
ヒト非小細胞肺がん細胞(NCI−H1299)はATCCより入手できる。
c)効果判定法
NCI−H1299細胞を10%FBS添加RPMI1640培地に懸濁し、1穴あたり100000個の密度で2ミリリットルの細胞懸濁液をヌンク社より購入した6穴ヌンクロンデルタ処理プラスチックプレートに分注し、37℃、5%CO−95%空気中で1晩培養する。ソフテックス社のM−150WEを用いて細胞に5000RのX線を照射した後、16時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養する。被検化合物をDMSOにて段階希釈した後、X線を処理した細胞を播いてあるプレートに2マイクロリットルずつ添加する。8時間、37℃、5%CO−95%空気中で培養後、培養液を各サンプルの一部として取り置き、プレートに残った細胞は0.25%トリプシンを600マイクロリットルずつ加えて室温で静置することで単細胞懸濁液とする。この単細胞懸濁液と取り置いた培養液をサンプルごとに混合し、遠心分離した後上清を除くことでサンプリングを完了する。このサンプルをサイクルテストプラスDNAリージェントキットの緩衝液1ミリリットルに懸濁し−80℃で凍結保存する。保存したサンプルは測定日に融解させ、遠心分離後上清を除き、サイクルテストプラスのA溶液250マイクロリットルに懸濁し室温にて10分間静置した後、B溶液を150マイクロリットル加え室温で更に10分間静置する。その後C溶液を150マイクロリットル加え4℃で10分間静置し、ナイロンネットフィルターを通過させることでDNAの染色を完了する。ベクトン・ディッキンソン社のFACS Caliburを用いてFACS法により各細胞のDNA量の定量を行い、DNA断片化を起こした細胞の割合を測定する。
【0220】
以上により、本発明化合物のヒト由来のがん細胞(NCI−H1299)に対する優れたDNA断片化誘導作用を測定することができ、本発明化合物のX線増感作用を測定することができる。
【0221】
一般式(I)で表される化合物は、経口又は非経口的に投与することができ、そしてそのような投与に適する形態に製剤化することにより、医薬組成物、抗がん剤として供することができる。
【0222】
本明細書で用いる「がん」という用語は、各種肉腫及び癌腫を含み、固形がん及び造血器がんを含む。ここで、固形がんは、例えば、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、肺がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫、軟部肉腫等である。一方、造血器がんとしては、例えば、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫等である。
【0223】
本明細書で用いる「がんの治療」という用語は、がん患者に対して、抗がん剤を投与することにより、がん細胞の増殖を阻害することを意味する。好ましくは、かかる治療は、がん増殖を後退、即ち、測定可能ながんの大きさを減縮させることができる。更に好ましくは、かかる治療は、がんを完全に消失させる。
【0224】
本発明に係る化合物の治療効果が期待される好適ながんとしては、例えばヒトの固形がん等が挙げられる。ヒトの固形がんとしては、例えば、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、肺がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユ−イング腫、軟部肉腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫等が挙げられる。
【0225】
本発明に係る医薬組成物又は抗がん剤は、薬学的に許容できる担体又は希釈剤を含んでいてもよい。ここで、「薬学的に許容できる担体又は希釈剤」は、賦形剤〔例えば、脂肪、蜜蝋、半固体及び液体のポリオール、天然若しくは硬化オイルなど〕; 水(例えば、蒸留水、特に、注射用蒸留水など)、生理学的食塩水、アルコール(例えば、エタノール)、グリセロール、ポリオール、ブドウ糖水溶液、マンニトール、植物オイルなど; 添加剤〔例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、調味料若しくは芳香剤、濃化剤、希釈剤、緩衝物質、溶媒若しくは可溶化剤、貯蔵効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤、又は抗酸化剤〕などを意味する。
【0226】
本発明の医薬組成物又は抗がん剤に係る製剤は、各種の形態を選択することができ、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤若しくは液剤等の経口製剤、或いは、例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の非経口製剤、坐剤、軟膏剤等が挙げられる。
【0227】
固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできるが、適当な担体(添加物)を使用して製造することもできる。そのような担体(添加物)としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖等の糖類;例えばトウモロコシ、小麦若しくは米等の澱粉類;例えばステアリン酸等の脂肪酸;例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウム等の無機塩;例えばポリビニルピロリドン若しくはポリアルキレングリコール等の合成高分子;例えばステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩;例えばステアリルアルコール若しくはベンジルアルコール等のアルコール類;例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の合成セルロース誘導体;その他、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴム等通常用いられる添加物が挙げられる。
【0228】
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉末等の固形製剤は一般的には、製剤全体の重量を基準として、例えば、上記式(I)で示される化合物0.1〜100重量%、好ましくは5〜98重量%の有効成分を含んでいてもよい。
【0229】
液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピーナツ油、ゴマ油等の植物由来の油等の液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用し、懸濁液、シロップ剤、注射剤、点滴剤(静脈内輸液)等の形態として製造される。
【0230】
特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射又は皮下注射の形で投与する場合の適当な溶剤又は希釈剤としては、例えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、静脈内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム等の水溶液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈内注射用)等、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0231】
これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末のまま或いは適当な担体(添加物)を加えたものを用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
【0232】
また、経口投与用の懸濁剤、シロップ剤等の液剤は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
【0233】
これら製剤は常法又は慣用技術に従って当業者が容易に製造することができる。例えば経口製剤の場合、例えば本発明化合物の適量と、乳糖適量を混合し、経口投与に適した硬ゼラチンカプセルに詰めることにより製造することができる。一方、本発明化合物を含む製剤が注射剤の場合は、例えば、本発明化合物適量を0.9%生理食塩水適量と混合し、この混合物を注射用バイアルに詰めることにより製造することができる。
【0234】
本発明化合物は各種がん治療に有用な他剤と組み合わせて、又は放射線療法と組み合わせて使用することができる。そのような組み合わせの個々の成分は、処置期間中、別々の異なる時に又は同時に、分割された又は単一の製剤で投与することができる。したがって、本発明は同時の又は時間が異なる投与の全てを含むと解釈すべきであり、本発明における投与はそのように解釈すべきである。本発明化合物と上記の疾患の処置に有用な他剤との組み合わせの範囲には、原則として上記疾患の処置に有用ないかなる医薬製剤との組み合わせも包含される。
【0235】
放射線療法それ自体は、がん治療の分野における一般的な方法を意味する。当該放射線療法にはX線、γ線、中性子線、電子線、陽子線等、種々の放射線種、線源が用いられる。最も一般的な放射線療法は線形加速器を用いる外部放射線によるものでγ線を照射する。
【0236】
本発明化合物は放射線療法と組み合わせることにより、当該放射線療法の治療効果を高めることができ、がん治療の分野において放射線増感剤としても有用なものとなり得る。
【0237】
本発明化合物のもう1つの側面は、がん治療の分野において他の抗がん剤の増感剤としても有用なことである。
【0238】
本発明化合物は、放射線療法と組み合わせ、及び/又は以下に示す他の抗がん剤と組み合わせて使用することができる。
【0239】
ここで放射線又は抗がん剤の「増感剤」とは、がん治療の分野において、放射線療法及び/又は抗がん剤を使用した化学療法と組み合わせて使用することにより、それら放射線療法及び/又は化学療法の治療効果を相加的又は相乗的に高める薬剤を意味する。
【0240】
本発明に係る組み合わせ製剤中の各製剤は、各種の形態を選択することができ、それぞれ上記製剤と同様に製造することができる。また、本発明化合物と他の抗がん剤を含む合剤の場合にも、常法又は慣用技術に従って、当業者が容易に製造することができる。
【0241】
上記組み合わせは、本発明の組成物に一つの他の活性物質のみならず、2又はそれ以上の他の活性物質を組み合わせたものを包含する。本発明の組成物と、上記疾患の治療薬から選ばれた1、2又はそれ以上の活性化物質との組み合わせには多くの例が存在する。
【0242】
本剤と組み合わせる薬剤としては、例えば抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルを含む製剤が挙げられる。
【0243】
本明細書で用いる「抗がん性アルキル化剤」は、抗がん活性を有するアルキル化剤を意味し、ここで、「アルキル化剤」とは、一般に、有機化合物の水素原子をアルキル基で置換するアルキル化反応において、アルキル基を与えるものをいう。「抗がん性アルキル化剤」は、例えば、ナイトロジェンマスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファサミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンなどである。
【0244】
本明細書で用いる「抗がん性代謝拮抗物質」は、抗がん活性を有する代謝拮抗物質をいい、ここで、「代謝拮抗物質」とは、広義には、生体にとって重要な代謝物(ビタミン、補酵素、アミノ酸、糖類など)と構造上又は機能上類似しているために、正常な物質代謝を行わなくさせる物質や、電子伝達系を阻害することによって高エネルギー中間体をつくれなくさせる物質を包含する。「抗がん性代謝拮抗物質」は、例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムなどであり、好ましくは、シタラビン、ゲムシタビンなどである。
【0245】
本明細書で用いる「抗がん性抗生物質」は、抗がん活性を有する抗生物質をいい、ここで、「抗生物質」とは、微生物によってつくられ、微生物その他の生物細胞の発育その他の機能を阻害する物質を包含する。「抗がん性抗生物質」は、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス又はバルルビシンなどであり、好ましくは、ドキソルビシン、マイトマイシンCなどである。
【0246】
本明細書で用いる「植物由来抗がん剤」は、植物を起源として見いだされた抗がん活性を有する化合物であるか、或いは、その化合物に化学修飾を加えた化合物を包含する。「植物由来抗がん剤」は、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビンなどであり、好ましくは、エトポシドなどである。
【0247】
本明細書で用いる「抗がん性カンプトテシン誘導体」は、カンプトテシン自身を含み、構造的にカンプトテシンに関連するがん細胞増殖阻害性化合物を意味する。「抗がん性カンプトテシン誘導体」としては、特に限定されないが、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテシンなどが挙げられ、好ましくは、カンプトテシンなどである。なお、イリノテカンは、生体内で代謝されてSN−38として抗がん作用を示す。カンプトテシン誘導体は、作用機構及び活性はほぼカンプトテシンと同様と考えられる(新田 他、癌と化学療法、14,850−857(1987)など)。
【0248】
本明細書で用いる「抗がん性白金配位化合物」は、抗がん活性を有する白金配位化合物をいい、ここで、「白金配位化合物」は、イオンの形態で白金を提供する白金配位化合物を意味する。好ましい白金化合物としては、シスプラチン;シス−ジアンミンジアコ白金(II)−イオン;クロロ(ジエチレントリアミン)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミン)−白金(II);ジアンミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアンミン(2−エチルマロナト)白金(II);エチレンジアミンマロナト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)スルファト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)マロナト白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタラト)(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II);オルマプラチン;テトラプラチン;カルボプラチン;ネダプラチン及びオキザリプラチンであり、好ましくは、カルボプラチン又はシスプラチンなどである。また、本明細書で挙げた他の抗がん性白金配位化合物は、公知であり、商業的に入手可能であり、及び/又は、慣用技術によって当業者が製造することができる。
【0249】
本明細書で用いる「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」とは、抗がん活性を有するチロシンキナーゼ阻害剤をいい、ここで、「チロシンキナーゼ阻害剤」とは、ATPのγ−リン酸基をタンパク質の特定のチロシンのヒドロキシル基に転移する「チロシンキナーゼ」を阻害する化学物質をいう。「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」としては、ゲフィチニブ、イマチニブ、エルロチニブなどが挙げられる。
【0250】
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」は、単クローン性抗体ともいわれ、単一クローンの抗体産生細胞が産生する抗体をいい、例えば、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブなどが挙げられる。
【0251】
本明細書で用いる「インターフェロン」とは、抗がん活性を有するインターフェロンをいい、一般に、ウイルス感染に際して、ほとんどすべての動物細胞が生産・分泌する分子量約2万の糖タンパク質である。ウイルス増殖抑制のみならず、細胞(特に腫瘍細胞)の増殖抑制や、ナチュラルキラー細胞活性の増強をはじめ多様な免疫エフェクター作用があり、サイトカインの1種と位置づけられる。「インターフェロン」としては、例えば、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−n1などが挙げられる。
【0252】
本明細書で用いる「生物学的応答調節剤」とは、いわゆるバイオロジカル・レスポンス・モディファイヤー(biological response modifier; BRM)であり、一般に、生体のもつ防御機構や組織細胞の生存、増殖、又は分化など生物学的反応を調節することによって、腫瘍や感染あるいはその他の疾病に対して、個体に利する方向にもっていくことを目的とする物質や薬剤の総称をいう。「生物学的応答調節剤」としては、例えば、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクスなどが挙げられる。
【0253】
本明細書で用いる「その他抗がん剤」とは、抗がん活性を有する上記のいずれにも属しない抗がん剤をいう。「その他抗がん剤」としては、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、ゴセレリン、などが挙げられる。
【0254】
上記「抗がん性アルキル化剤」、「抗がん性代謝拮抗物質」、「抗がん性抗生物質」、「植物由来抗がん剤」、「抗がん性白金配位化合物」、「抗がん性カンプトテシン誘導体」、「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」、「モノクローナル抗体」、「インターフェロン」、「生物学的応答調節剤」、及び「その他抗がん剤」は、いずれも公知であり、商業的に入手可能であり、或いは、それ自体公知の方法ないし周知・慣用的な方法によって当業者が製造することができる。また、ゲフィチニブの製造方法は、例えば、米国特許第5,770,599号明細書に;セツキシマブの製造方法は、例えば、国際公開WO96/40210号パンフレットに;ベバシズマブの製造方法は、例えば、国際公開WO94/10202号パンフレットに;オキザリプラチンの製造方法は、例えば、米国特許第5,420,319号明細書、同第5,959,133号明細書に;ゲムシタビンの製造方法は、例えば、米国特許第5,434,254号明細書、同第5,223,608号明細書に;カンプトテシンの製造方法は、米国特許第5,162,532号明細書、同第5,247,089号明細書、同第5,191,082号明細書、同第5,200,524号明細書、同第5,243,050号明細書、同第5,321,140号明細書に;イリノテカンの製造方法は、例えば、米国特許第4,604,463号明細書に;トポテカンの製造方法は、例えば、米国特許第5,734,056号明細書に;テモゾロミドの製造方法は、例えば、日本特許公報平4−5029号明細書に;リツキシマブの製造方法は、日本公表特許公報平2−503143号明細書に、それぞれ記載されている。
【0255】
上記の抗がん性アルキル化剤については、例えば、ナイトロジェンマスタード N−オキシドは、ナイトロミン(登録商標)として三菱ウェルファーマから;シクロホスファミドは、エンドキサン(登録商標)として塩野義製薬から;イホスファサミドは、イフォミド(登録商標)として塩野義製薬から;メルファランは、アルケラン(登録商標)としてグラクソスミスクラインから;ブスルファンは、マブリン(登録商標)として武田薬品から;ミトブロニトールは、ミエブロール(登録商標)として杏林製薬から;カルボコンは、エスキノン(登録商標)として三共から;チオテパは、テスパミン(登録商標)として住友製薬から;ラニムスチンは、シメリン(登録商標)として三菱ウェルファーマから;及びニムスチンは、ニダラン(登録商標)として三共から;テモゾロミドは、テモダール(登録商標)としてシェリングから;及びカルムスチンは、グリアデル ウォファー(登録商標)としてグリフォードから、それぞれ市販で入手することができる。
【0256】
上記の抗がん性代謝拮抗剤については、例えば、メトトレキサートは、メトトレキセート(登録商標)として武田薬品から;6−メルカプトプリンリボシドは、チオイノシ(登録商標)としてアベンティスから;メルカプトプリンは、ロイケリン(登録商標)として武田薬品から;5−フルオロウラシルは、5−FU(登録商標)として協和発酵から;テガフールは、フトラフール(登録商標)として大鵬薬品から;ドキシフルリジンは、フルツロン(登録商標)として日本ロシュから;カルモフールは、ヤマフール(登録商標)として山之内製薬から;シタラビンは、シロサイド(登録商標)として日本新薬から;シタラビンオクホスファートは、ストラシド(登録商標)として日本化薬から;エノシタビンは、サンラビン(登録商標)として旭化成から;S−1は、TS−1(登録商標)として大鵬薬品から;ゲムシタビンは、ゲムザール(登録商標)としてイーライ リリーから;フルダラビンは、フルダラ(登録商標)として日本シェーリングから;及びペメトレクスド ジソディウムは、アリムタ(登録商標)としてイーライリリーから、それぞれ市販で入手することができる。
【0257】
上記の抗がん性抗生物質としては、例えば、アクチノマイシンDは、コスメゲン(登録商標)として万有製薬から;ドキソルビシンは、アドリアシン(登録商標)として協和発酵から;ダウノルビシンは、ダウノマイシン(登録商標)として明治製菓から;ネオカルチノスタチンは、ネオカルチノスタチン(登録商標)として山之内製薬から;ブレオマイシンは、ブレオ(登録商標)として日本化薬から;ペプロマイシンは、ペプロ(登録商標)として日本化薬から;マイトマイシンCは、マイトマイシン(登録商標)として協和発酵から;アクラルビシンは、アクラシノン(登録商標)として山之内製薬から;ピラルビシンは、ピノルビン(登録商標)として日本化薬から;エピルビシンは、ファルモルビシン(登録商標)としてファルマシアから;ジノスタチンスチマラマーは、スマンクス(登録商標)として山之内製薬から;イダルビシンは、イダマイシン(登録商標)としてファルマシアから;及びシロリムスは、ラパムン(登録商標)としてワイスから;バルルビシンは、バルスター(登録商標)としてアンスラ ファーマシューティカルからそれぞれ市販で入手することができる。
【0258】
上記の植物由来抗がん剤としては、例えば、ビンクリスチンは、オンコビン(登録商標)として塩野義製薬から;ビンブラスチンは、ビンブラスチン(登録商標)として杏林製薬から;ビンデシンは、フィルデシン(登録商標)として塩野義製薬から;エトポシドは、ラステット(登録商標)として日本化薬から;ソブゾキサンは、ペラゾリン(登録商標)として全薬工業から;ドセタキセルは、タキソテール(登録商標)としてアベンティスから;パクリタキセルは、タキソール(登録商標)としてブリストルから;及びビノレルビンは、ナベルビン(登録商標)として協和発酵から、それぞれ市販で入手することができる。
【0259】
上記の抗がん性白金配位化合物としては、例えば、シスプラチンは、ランダ(登録商標)として日本化薬から;カルボプラチンはパラプラチン(登録商標)としてブリストルマイヤーズスクイブから;ネダプラチンは、アクプラ(登録商標)として塩野義製薬から;及びオキザリプラチンは、エロキサチン(登録商標)としてサノフィから、それぞれ市販で入手することができる。
【0260】
上記の抗がん性カンプトテシン誘導体としては、例えば、イリノテカンは、カンプト(登録商標)としてヤクルトから;トポテカンは、ハイカムチン(登録商標)としてグラクソスミスクラインから;及びカンプトテシンは、米国アルドリッチケミカルなどから、それぞれ市販で入手することができる。
【0261】
上記の抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲフィチニブは、イレッサ(登録商標)としてアストラゼネカから;イマチニブは、グリベック(登録商標)としてノバルティスから;及びエルロチニブは、タルセバ(登録商標)としてオーエスアイ ファーマシューティカルから、それぞれ市販で入手することができる。
【0262】
上記のモノクローナル抗体としては、例えば、セツキシマブは、エルビタックス(登録商標)としてブリストルマイヤーズスクイブから;ベバシズマブは、アバスチン(登録商標)としてジェネンテックから;リツキシマブは、リツキサン(登録商標)としてバイオジェンから;アレムツズマブは、カンパス(登録商標)としてベルレックスから;及びトラスツズマブは、ハーセプチン(登録商標)として中外製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0263】
上記のインターフェロンとしては、例えば、インターフェロンαは、スミフェロン(登録商標)として住友製薬から;インターフェロンα−2aは、カンフェロン−A(登録商標)として武田薬品から;インターフェロンα−2bは、イントロンA(登録商標)としてシェリングプラウから;インターフェロンβは、IFNβ(登録商標)として持田製薬から;インターフェロンγ−1aは、イムノマックス−γ(登録商標)として塩野義製薬から;及びインターフェロンγ−n1は、オガンマ(登録商標)として大塚製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0264】
上記の生物学的応答調節剤としては、例えば、クレスチンは、クレスチン(登録商標)として三共から;レンチナンは、レンチナン(登録商標)としてアベンティスから;シゾフィランは、ソニフィラン(登録商標)として科研製薬から;ピシバニールは、ピシバニール(登録商標)として中外製薬から;及びウベニメクスは、ベスタチン(登録商標)として日本化薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0265】
上記のその他抗がん剤としては、例えば、ミトキサントロンは、ノバントロン(登録商標)として日本ワイスレダリーから; L−アスパラギナーゼは、ロイナーゼ(登録商標)として協和発酵から;プロカルバジンは、ナツラン(登録商標)として日本ロシュから;ダカルバジンは、ダカルバジン(登録商標)として協和発酵から;ヒドロキシカルバミドは、ハイドレア(登録商標)としてブリストルマイヤーズスクイブから;ペントスタチンは、コフォリン(登録商標)として化学及び血清療法研究所から;及びトレチノインは、ベサノイド(登録商標)として日本ロシュから;アレファセプトは、アメビブ(登録商標)としてバイオジェンから;ダルベポエチン アルファは、アラネスプ(登録商標)としてアムジェンから;アナストロゾールは、アリミデックス(登録商標)としてアストラゼネカから;エキセメスタンは、アロマシン(登録商標)としてファイザーから;ビカルタミドは、カソデックス(登録商標)としてアストラゼネカから;リュープロレリンは、リュープリン(登録商標)として武田薬品から;フルタミドは、ユーレキシン(登録商標)としてシェリングプラウから;フルベストラントは、ファスロデックス(登録商標)としてアストラゼネカから;ペガプタニブ オクタソディウムは、マクゲン(登録商標)としてギリードサイエンスから;デニリューキン ジフティトクスは、オンタック(登録商標)としてリガンドから;アルデスリューキンは、プロリューキン(登録商標)としてキロンから;チロトロピン アルファは、チロゲン(登録商標)としてゲンザイムから;アルセニック トリオキシドは、トリセノックス(登録商標)としてセル セラピューティクスから;ボルテゾミブは、ベルケイド(登録商標)としてミレニウムから;カペシタビンは、ゼロダ(登録商標)としてロシュから;及びゴセレリンは、ゾラデックス(登録商標)としてアストラゼネカから、それぞれ市販で入手することができる。
【0266】
本発明は治療的に有効量の本発明化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはエステルを、投与が必要な対象に投与することからなるがんの治療法をも包含する。
【0267】
本発明に係る方法において、好ましい治療単位は、本発明化合物の投与形態、使用される本発明化合物の種類、使用される本発明化合物の剤型;併用される他の抗がん剤の種類、投与形態、剤型など;及び治療されるがん細胞、患者の状態などによって変化してもよい。所定の条件において最適な治療は、慣用の治療決定単位を基にして、及び/又は、本明細書を考慮して、当業者が決定することができる。
【0268】
本発明に係る方法において、本発明化合物の治療単位は、具体的に言うと、使用される化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及び治療すべき特定部位、病気の軽重、患者の年令、医師の診断、がんの種類等によって変えることができる。しかしながら、一応の目安として、例えば、1日当たりの成人1人当りの投与量は、経口投与の場合、例えば、1ないし1000mgの範囲内とすることができる。また非経口投与、好ましくは静脈内投与、更に好ましくは点滴静注の場合、例えば、1日当たり1ないし100mg/m(体表面積)の範囲内とすることができる。ここで、点滴静注の場合、例えば、1〜48時間連続して投与してもよい。なお、投与回数は、投与方法及び症状により異なるが、例えば、1日1回ないし5回である。また、隔日投与、隔々日投与などの間けつ投与等の投与方法でも用いることができる。非経口投与の場合の治療の休薬期間は、例えば、1〜6週間である。
【0269】
また、本発明化合物と併用される他の抗がん剤の治療単位は、特に限定されないが、公知文献などにより当業者が必要に応じて決定することができる。例えば、以下に示す通りである。
【0270】
5−フルオロウラシル(5−FU)の治療単位は、経口投与の場合、例えば、1日200〜300mgを1〜3回に連日投与し、注射剤の場合は、例えば、1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静注又は点滴静注し、以後、5〜7.5mg/kg を隔日に1日1回静注又は点滴静注する(投与量は、適宜増減してもよい)。
【0271】
S−1(テガフール・ギメスタット・オスタットカリウム)の治療単位は、例えば、初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。体表面積当たりの初回基準量(テガフール相当量)は、1.25m2未満:40mg/回、1.25m2以上〜1.5m2未満:50mg/回、1.5m2以上:60mg/回である。投与量は、患者の状態により適宜増減する。
【0272】
ゲムシタビンの治療単位は、例えば、ゲムシタビンとして1回1g/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。投与量は、年齢、症状又は副作用の発現に応じて適宜減量する。
【0273】
ドキソルビシン(例えば、塩酸ドキソルビシン)の治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回10mg(0.2mg/kg)(力価)で4〜6日間連日静脈内ワンショット投与後、7〜10日間休薬する。これを1コースとし、2〜3コース繰り返す。ここで、総投与量は、500mg(力価)/m2(体表面積)以下が好ましく、その範囲内で適宜増減してもよい。
【0274】
エトポシドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日60〜100mg/m2(体表面積)で5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。一方、経口投与の場合は、例えば、1日175〜200mgを5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0275】
ドセタキセル(ドセタキセル水和物)の治療単位は、例えば、1日1回、ドセタキセルとして60mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する(投与量は、適宜増減することができる)。
【0276】
パクリタキセルの治療単位は、例えば、1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1コースとして、繰り返す。投与量は適宜増減することができる。
【0277】
シスプラチンの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回50〜70mg/m2(体表面積)で投与し、3週間以上休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0278】
カルボプラチンの治療単位は、例えば、1日1回300〜400mg/m2を30分以上かけて点滴静注し、少なくとも4週間休薬する(投与量は適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0279】
オキザリプラチンの治療単位は、1日1回85mg/m2を静注し、2週間休薬し、これを1コースとして繰り返す。
【0280】
イリノテカン(例えば、塩酸イリノテカン)の治療単位は、例えば、1日1回100mg/m2、1週間間隔で3〜4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。
【0281】
トポテカンの治療単位は、例えば、1日1回1.5mg/m2を5日間点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。
【0282】
シクロホスファミドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回100mg連日静注する。患者が耐えられる場合は1日200mgに増量してもよい。総量で3000〜8000mg投与するが、適宜増減してもよい。また必要に応じて筋肉内、胸腔内、又は腫瘍内に注射又は注入してもよい。一方、経口投与の場合は、例えば、1日100〜200mgで投与する。
【0283】
ゲフィチニブの治療単位は、例えば、1日1回250mgを経口投与する。
【0284】
セツキシマブの治療単位は、例えば、第1日目に400mg/m2を点滴静注し、その後250mg/m2を毎週点滴静注する。
【0285】
ベバシズマブの治療単位は、例えば、3mg/kgを毎週点滴静注する。
【0286】
トラスツズマブの治療単位は、例えば、通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブとして初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
【0287】
エキセメスタンの治療単位は、例えば、通常、成人には1日1回25mgを食後に経口投与する。
【0288】
リュープロレリン(例えば、酢酸リュープロレリン)の治療単位は、例えば、通常、成人には12週に1回として11.25mgを皮下に投与する。
【0289】
イマチニブの治療単位は、例えば、通常、慢性骨髄性白血病の慢性期の成人には1日1回400mgを食後に経口投与する。
【0290】
5−FUとロイコボリンを組み合わせた場合の治療単位は、例えば、第1日目から第5日目に5−FU 425mg/m2、ロイコボリン 200mg/m2を点滴静注し、これを4週間間隔で繰り返す。
【発明の効果】
【0291】
本発明の化合物は、優れたWee1キナーゼ阻害作用を有することから医薬の分野、特に各種がん治療の分野において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0292】
実施例・製造例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0293】
実施例及び製造例の薄層クロマトグラフィーは、プレートとしてSilica gel60254(Merck)を、検出法としてUV検出器を用いた。カラム用シリカゲルとしては、WakogelTMC−300又はC−200(和光純薬)又はNH(FUJI SILYSIA CHEMICAL)を用いた。MSスペクトルは、JMS−SX102A(日本電子(JEOL))又はQUATTROII(マイクロマス)を用いて測定した。NMRスペクトルは、重ジメチルスルホキシド溶液で測定する場合には内部基準としてジメチルスルホキシドを用い、JNM−AL 400(400MHz;JEOL)、Mercury400(400MHz;Varian)、又はInova400(400MHz;Varian)型スペクトロメータを用いて測定し、全δ値をppmで示した。
【0294】
製造例・実施例における略号の意味を以下に示す。
【0295】
s:シングレット
d:ダブレット
dd:ダブル ダブレット
ddd:ダブル ダブル ダブレット
t:トリプレット
dt:ダブル トリプレット
ddt:ダブル ダブル トリプレット
q:クァルテット
m:マルチプレット
br:ブロード
J:カップリング定数
Hz:ヘルツ
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
CDCl:重クロロホルム
CDOD:重メタノール
mCPBA:3−クロロ安息香酸
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
TsOH:p−トルエンスルホン酸
【0296】
製造例1
7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0297】
【化11】

【0298】
4−アミノ−2−クロロピリミジン−5−カルボニトリル3.0gのN,N−ジメチルホルムアミド(35mL)溶液に水素化ナトリウム1.12gを加え、混合物を室温にて5分間攪拌した。反応液に2,6−ジクロロフェニルイソシアネート4.38gを加え室温にて1時間撹拌した。次いで、反応溶液に酢酸エチル及び1N塩酸水溶液を加え、有機層を分離した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。析出した固体をメタノール−酢酸エチル混合溶媒で固化させた。ろ取し、表題化合物を白色固体として3.8g得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:9.33(1H,s),7.66(2H,d,J=8.2Hz),7.53(1H,t,J=8.2Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]342
【0299】
製造例2
7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0300】
【化12】

【0301】
製造例1で得た7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン1.00gのN,N−ジメチルホルムアミド5mL溶液に炭酸カリウム484mg、ヨウ化メチル456mgを加え、混合物を室温にて1時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルと0.5N塩酸水溶液に攪拌しながら加え、有機層を分離した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をクロロホルム−メタノール−ヘキサンから固化させ、表題化合物を黄色固体として700mg得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:9.78(1H,s),9.44(1H,s),7.67(2H,d,J=8.0Hz),7.54(1H,t,J=8.0Hz).3.48(1H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]356
【0302】
実施例1
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0303】
【化13】

【0304】
2−[4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノール18.6mgのn−ブタノール5ml溶液に製造例2で得た7−クロロ−3−(2,4−ジクロロピリジン−3−イル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン30mg及びTsOH1水和物16mgを加え混合物を15分間100℃で加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、塩基性カラムクロマトグラフィーにより精製した。結果として、表題化合物を白色固体として21mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.97(1H,s),7.60−7.46(5H,m),7.00(2H,d,J=8.8Hz),3.76(2H,brs),3.61(3H,s),3.24(4H,br),2.76(4H,brs),2.64(2H,br).
ESI−MSFound:m/z[M+H]542
【0305】
実施例2
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ヒドロキシメチル)モルホリン−4−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0306】
【化14】

【0307】
4−[4−(アミノフェニル)モルホリン−2−イル]メタノール17.5mgのn−ブタノール5ml溶液に製造例2で得た7−クロロ−3−(2,4−ジクロロピリジン−3−イル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン30mg及びTsOH1水和物16mgを加え混合物を15分間100℃で加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、塩基性カラムクロマトグラフィーにより精製した。結果として、表題化合物を白色固体として11mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:9.00(1H,s),7.58−7.47(5H,m),6.97(2H,d,J=8.8Hz),4.04−4.01(1H,m),3.83−3.72(2H,m),3.67−3.60(2H,m),3.50(3H,s),3.47−3.39(1H,m),3.38−3.30(1H,m),2.85−3.79(1H,m),2.60−2.54(1H,m).
ESI−MSFound:m/z[M+H]529
【0308】
実施例3
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{4−[(ジメチルアミノ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0309】
【化15】

【0310】
1−[4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル]−2−(ジメチルアミノ)エタノン22.1mgのn−ブタノール5ml溶液に製造例2で得た7−クロロ−3−(2,4−ジクロロピリジン−3−イル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン30mg及びTsOH1水和物16mgを加え混合物を15分間100℃で加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、塩基性カラムクロマトグラフィーにより精製した。結果として、表題化合物を白色固体として37mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.97(1H,s),7.63−7.56(3H,m),7.51−7.47(2H,m),7.00(2H,d,J=8.8Hz),3.77(4H,br),3.61(3H,s),3.23(2H,s),3.21−3.18(4H,br),2.34(6H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]583
【0311】
実施例4
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0312】
【化16】

【0313】
4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}アニリン20mgのn−ブタノール5ml溶液に製造例2で得た7−クロロ−3−(2,4−ジクロロピリジン−3−イル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン30mg及びTsOH1水和物16mgを加え混合物を15分間100℃で加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、塩基性カラムクロマトグラフィーにより精製した。結果として、表題化合物を白色固体として27mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:9.05(1H,s),7.60−7.50(5H,m),7.00(2H,d,J=8.8Hz),4.07−4.03(1H,m),3.86−3.61(2H,m),3.52(3H,s),3.46−3.35(2H,m),2.86−2.80(1H,m),2.60−2.48(2H,m),2.42−2.37(1H,m),2.33(6H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]556
【0314】
実施例5
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
1)4−アミノ−2−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}ピリミジン−5−カルボニトリルの製造
【0315】
【化17】

【0316】
4−アミノ−2−(メチルスルファニル)ピリミジン−5−カルボニトリル1gのテトラヒドロフラン(100mL)溶液にmCPBA1.91gを加えた。混合物を室温で10分間攪拌後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をトルエン/N,N−ジメチルホルムアミド(80ml/20ml)に溶解し、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン1.15g及びDIPEA2.3gを加え、80℃にて4時間攪拌した。反応液を冷却後、溶媒を留去した。これに水を加え混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を白色固体として720mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.19(1H,s),7.48(2H,d,J=8.0Hz),6.96(2H,d,J=8.0Hz),3.19(4H,br),2.65(4H,br),2.37(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]310
2)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0317】
【化18】

【0318】
上記1)で得た化合物1.38gのN,N−ジメチルホルムアミド(25mL)溶液に水素化ナトリウム643mgを加え、混合物を室温にて5分間攪拌した。反応液に2,6−ジクロロフェニルイソシアネート1.01gを加え室温にて90分間撹拌した。反応溶液に水を加え続いてクロロホルム及び5N塩酸水溶液を加え中和し有機層を分離した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、酢酸エチル−ヘキサン−クロロホルムから固体化した。結果として、表題化合物を白色固体として1g得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.93(1H,s),7.56(2H,d,J=8.8Hz),7.55−7.53(2H,m),7.46(1H,t,J=8.8Hz),6.97(2H,d,J=8.8Hz),3.20(4H,brs),2.65(4H,brs),2.38(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]497.
【0319】
実施例6
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
1)4−アミノ−2−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}ピリミジン−5−カルボニトリルの製造
【0320】
【化19】

【0321】
4−アミノ−2−(メチルスルファニル)ピリミジン−5−カルボニトリル70mgのクロロホルム(20mL)溶液にmCPBA145mgを加えた。混合物を室温で10分間攪拌後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をトルエン/N,N−ジメチルホルムアミド(10ml/1ml)に溶解し、3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン86mg及びDIPEA163mgを加え、80℃にて4時間攪拌した。反応液を冷却後、溶媒を留去した。次いで、これに水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を白色固体として65mg得た。
ESI−MSFound:m/z[M+H]324
2)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0322】
【化20】

【0323】
上記1)で得た化合物65mgのN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に水素化ナトリウム24mgを加え、混合物を室温にて5分間攪拌した。反応液に2,6−ジクロロフェニルイソシアネート49mgを加え室温にて30分間撹拌した。反応溶液に水を加え続いてクロロホルム及び1N塩酸水溶液を加え中和し有機層を分離した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、メタノールから固体化した。結果として、表題化合物を白色固体として72mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.93(1H,s),7.56(2H,d,J=8.8Hz),7.55−7.53(2H,m),7.46(1H,t,J=8.8Hz),6.97(2H,d,J=8.8Hz),3.20(4H,brs),2.65(4H,brs),2.38(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]512.
【0324】
実施例7
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0325】
【化21】

【0326】
(1)4−(メチルアミノ)−2−(メチルスルファニル)ピリミジン−5−カルボニトリルの製造
4−クロロ−2−(メチルスルファニル)ピリミジン−5−カルボニトリル150mgのテトラヒドロフラン(10mL)溶液にメチルアミンメタノール溶液3ml及びトリエチルアミン246mgを加え、混合液を30分間室温で攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮し表題化合物を白色固体として134mg得た。
ESI−MSFound:m/z[M+H]181
(2)4−(メチルアミノ)−2−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}ピリミジン−5−カルボニトリルの製造
【0327】
【化22】

【0328】
4−(メチルアミノ)−2−(メチルスルファニル)ピリミジン−5−カルボニトリル130mgのトルエン:テトラヒドロフラン(3:1)(30mL)溶液にmCPBA248mgを加え、混合物を室温で15分間攪拌した。ついで、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン138mg及びDIPEA280mgを加え、80℃にて8時間攪拌した。反応液を冷却後、溶媒を留去した。次いで、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を白色固体として170mg得た。
ESI−MSFound:m/z[M+H]324
3)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0329】
【化23】

【0330】
上記1)で得た化合物50mgのN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に水素化ナトリウム22mgを加え、混合物を室温にて5分間攪拌した。次いで、反応液に2,6−ジクロロフェニルイソシアネート35mgを加え室温にて60分間撹拌した。反応溶液に水を加え続いてクロロホルム及び1N塩酸水溶液を加え中和し有機層を分離した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗精製物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、酢酸エチル−ヘキサン−クロロホルムから固体化した。結果として、表題化合物を白色固体として35mg得た。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:9.05(1H,s),7.65−7.51(5H,m),7.00(2H,d,J=8.8Hz),3.61(3H,s),3.24(4H,brs),2.66(4H,brs),2.38(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]511
【0331】
実施例8
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3R)−3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの製造
【0332】
【化24】

【0333】
実施例4で用いた7−クロロ−3−(2,4−ジクロロピリジン−3−イル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの代わりに、製造例1で得た7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンを用い、実施例4で用いた4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}アニリンの代わりに(3R)−1−(4−アミノフェニル)−N,N−ジメチルピロリジン−3−アミンを用いる以外は実施例4と同様の方法で表題化合物を黄色固体として18.8mg得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.62(1H,s),9.02(1H,s),8.76(1H,s),7.73−7.58(3H,m),7.46(1H,t,J=8.0Hz),6.50(2H,d,J=9.3Hz),3.41(1H,t,J=8.3Hz),3.21(1H,dd,J=16.1,9.3Hz),3.02(1H,t,J=8.5Hz),2.80(1H,brs),2.20(6H,s),2.16−2.11(1H,m),1.80(1H,t,J=10.5Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]511
【0334】
適宜対応する原料を用い、上記実施例と同様の方法により、以下の実施例9−28及び1a〜82aの化合物を得た(前記又は以下の構造式において、−NH−又は−NHで表される基の水素原子の表記が便宜的に省略され、それぞれ−N−又は−Nと表記されている場合がある)。
【0335】
実施例9
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0336】
【化25】

【0337】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.91(1H,s),7.57−7.46(5H,m),6.60(2H,d,J=8.5Hz),4.13−3.50(1H,m),3.10−2.53(6H,m),2.30(3H,s),2.28−1.73(3H,m).
ESI−MSFound:m/z[M+H]523
【0338】
実施例10
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0339】
【化26】

【0340】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.90(1H,s),7.51−7.31(5H,m),6.85(2H,d,J=8.0Hz),3.44−3.38(2H,m),3.04−2.64(6H,m),2.27(3H,s),1.73−1.24(6H,m).
ESI−MSFound:m/z[M+H]551
【0341】
実施例11
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0342】
【化27】

【0343】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.93(1H,s),7.60−7.44(5H,m),6.71(2H,d,J=8.5Hz),3.53−3.31(1H,m),3.30−3.22(1H,m),3.09−2.99(5H,m),2.37(3H,s),2.37−2.34(1H,m),2.27−2.12(1H,m),1.79−1.63(1H,m).
ESI−MSFound:m/z[M+H]524
【0344】
実施例12
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[(2R)−2−(メトキシメチル)−4−メチルピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0345】
【化28】

【0346】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.16(1H,s),7.62−7.40(5H,m),6.87(2H,d,J=9.0Hz),3.83−3.75(1H,m),3.69−3.60(1H,m),3.29(3H,s),3.28−3.25(2H,m),3.13−3.03(1H,m),2.97−2.89(1H,m),2.82−2.74(1H,m),2.37−2.19(2H,m),2.32(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]541
【0347】
実施例13
7−({4−[3−(tert−ブチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0348】
【化29】

【0349】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:9.81(1H,s),9.00(1H,s),8.74(1H,s),7.66−7.44(5H,brm),6.45(2H,d,J=8.8Hz),3.52−3.40(2H,m),3.32(2H,s),3.26(1H,td,J=8.8,3.4Hz),3.17(1H,dd,J=16.1,8.8Hz),2.82(1H,t,J=7.6Hz),2.18−2.10(1H,m),1.74−1.64(1H,m),1.06(9H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]539
【0350】
実施例14
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3S)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0351】
【化30】

【0352】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.62(1H,s),9.02(1H,s),8.76(1H,s),7.73−7.58(3H,m),7.46(1H,t,J=8.0Hz),6.50(2H,d,J=9.3Hz),3.41(1H,t,J=8.3Hz),3.21(1H,dd,J=16.1,9.3Hz),3.02(1H,t,J=8.5Hz),2.80(1H,brs),2.20(6H,s),2.16−2.11(1H,m),1.80(1H,t,J=10.5Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]511
【0353】
実施例15
7−{[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−3−メチルフェニル]アミノ}−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0354】
【化31】

【0355】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.00(1H,brs),7.60−7.40(5H,m),7.00(1H,d,J=8.8Hz),3.75(2H,br),3.63(2H,br),2.93−2.86(4H,m),2.35(3H,s),2.16(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]539
【0356】
実施例16
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3,5]ノナ−7−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0357】
【化32】

【0358】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.95(1H,s),7.60−7.53(4H,m),7.51−7.45(1H,m),6.99(2H,d,J=8.3Hz),3.19(4H,s),3.08−3.05(4H,m),2.41(3H,s),1.92−1.88(4H,m)
ESI−MSFound:m/z[M+H]537
【0359】
実施例17
7−({4−[4−(1−アセチルアゼチジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0360】
【化33】

【0361】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:9.97(1H,s),7.61−7.46(5H,m),7.00(2H,d,J=8.8Hz),4.29−4.24(1H,m),4.15−4.06(3H,m),3.93−3.89(1H,m),3.61(3H,s),3.34(4H,br),2.61(4H,br),1.91(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]595
【0362】
実施例18
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(モルホリン−4−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0363】
【化34】

【0364】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.70(1H,s),9.06(1H,s),8.82(1H,s),7.75−7.62(2H,brm),7.60(2H,d,J=7.8Hz),7.46(1H,t,J=8.0Hz),6.89(2H,d,J=8.8Hz),3.73(4H,t,J=4.9Hz),3.05(4H,t,J=4.6Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]484
【0365】
実施例19
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)−1−メチルエトキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0366】
【化35】

【0367】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.16(1H,brs),7.54(3H,brs)、7.44(2H,d,J=5.0Hz),6.87(2H,d,J=5.0Hz),4.46(1H,q、J=5.5Hz),2.69−2.38(2H,m),2.30(6H,s),1.28(3H,d,J=5.5Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]519
【0368】
実施例20
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[メチル(ピリジン−2−イルメチル)アミノ]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0369】
【化36】

【0370】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.62(0H,s),9.01(1H,s),8.77(1H,s),8.52(1H,d,J=3.9Hz),7.72−7.68(1H,m),7.64−7.42(4H,m),7.26−7.21(1H,m),7.16(1H,d,J=7.8Hz),6.65(2H,d,J=9.3Hz),4.61(2H,s),3.08(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]519
【0371】
実施例21
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0372】
【化37】

【0373】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.68(1H,s),9.94(1H,s),9.05(1H,s),8.81(1H,s),7.80−7.54(4H,m),7.46(1H,t,J=8.2Hz),6.88(2H,d,J=9.0Hz),4.42(1H,t,J=5.4Hz),3.52(2H,td,J=6.3,5.4Hz),3.11−3.04(4H,m),2.58−2.52(4H,m),2.42(2H,t,J=6.3Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]527
【0374】
実施例22
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)プロポキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0375】
【化38】

【0376】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.16(1H,brs),7.46(3H,brs),7.40(2H,d,J=5.0Hz),6.86(2H,d,J=5.0Hz),4.03−3.79(2H,m),2.94(1H,q,J=3.8Hz),2.34(6H,s),1.12(3H,d,J=3.8Hz).
ESI−MSFound:m/z[M+H]500
【0377】
実施例23
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0378】
【化39】

【0379】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.95(1H,s),7.59−7.40(5H,m),6.99(2H,d,J=8.8Hz),4.06−4.03(1H,m),3.84−3.78(2H,m),3.51−3.42(2H,m),3.61(3H,s),2.84−2.77(1H,m),2.60−2.39(3H,m),2.34(6H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]542
【0380】
実施例24
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({3−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−4−メトキシフェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0381】
【化40】

【0382】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.18(1H,brs),7.60−7.05(5H,m),6.82(1H,d,J=5.1Hz),4.00−3.82(2H,m),3.83(3H,s),2.59−2.40(2H,m),2.25(6H,s),2.05−1.95(2H,m).
ESI−MSFound:m/z[M+H]530
【0383】
実施例25
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0384】
【化41】

【0385】
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.79(1H,s),10.13(1H,s),9.12(1H,s),8.90(1H,s),7.79−7.75(2H,m),7.64−7.58(2H,m),7.47(1H,t,J=8.0Hz),7.23−7.19(2H,m),3.35(2H,brs),2.14(6H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]456
【0386】
実施例26
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[3−(ジメチルアミノ)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0387】
【化42】

【0388】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.92(1H,s),7.58(2H,d,J=8.0Hz),7.50−7.45(3H,m),6.58(2H,d,J=8.0Hz),3.75(1H,d,J=10.2Hz),3.66(1H,d,J=10.2Hz),3.42−3.24(4H,m),2.45(6H,s),1.52−1.48(1H,m),1.40−1.36(1H,m)
ESI−MSFound:m/z[M+H]541
【0389】
実施例27
3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0390】
【化43】

【0391】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.96(1H,brs),7.80(1H,s),7.74(1H,s),7.69(2H,d,J=8.8Hz),7.56−7.52(2H,m),7.47−7.45(3H,m),4.26(2H,t,J=4.0Hz),2.83(2H,t,J=4.0Hz),2.28(6H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]537
【0392】
実施例28
3−(2,6−ジクロロフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【0393】
【化44】

【0394】
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:8.98(1H,brs),7.61−7.56(4H,m),7.00(1H,d,J=8.8Hz),4.41(2H,t,J=5.4Hz),3.87(2H,t,J=5.4Hz),3.23(4H,br),2.67(4H,br),2.39(3H,s).
ESI−MSFound:m/z[M+H]542
【0395】
【化45】

【0396】
【化46】

【0397】
【化47】

【0398】
【化48】

【0399】
【化49】

【0400】
【化50】

【0401】
【化51】

【0402】
【化52】

【0403】
【化53】

【0404】
【化54】

【0405】
【化55】

【0406】
【化56】

【0407】
【化57】

【0408】
下表に上記化合物のH−NMRデータとMSデータを示す。
【0409】
【表3】

【0410】
【表4】

【0411】
【表5】

【0412】
【表6】

【0413】
【表7】

【0414】
【表8】

【0415】
【表9】

【0416】
【表10】

【0417】
【表11】

【0418】
【表12】

【0419】
【表13】

【0420】
【表14】

【産業上の利用可能性】
【0421】
本発明の化合物は、優れたWee1キナーゼ阻害作用を有することから医薬の分野、特に各種がん治療の分野において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
Arはハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基及び−Q−R1aで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
1aは水素原子、水酸基、ホルミル基、C1−C6アルキル基、ジ−C1−C6アルキルアミノ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基若しくはカルボキシフェニル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)を意味し;
1bは−Q−A(R1c)R1dで表される基を意味し;
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、イミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
は窒素原子を意味するか、又は水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し;
1c及びR1dは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基を意味するか、又は一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1e)−で表される基で置き換えられていてもよく、また、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよく;
1eは水素原子、ホルミル基、アセチル基又はC1−C6アルキル基を意味し;
は水素原子を意味するか、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;そして
は水素原子又はC1−C6アルキル基を意味する]で表される化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項2】
一般式(I−1)
【化2】

[式中、
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
1aは水素原子、水酸基、ホルミル基、C1−C6アルキル基、ジ−C1−C6アルキルアミノ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基若しくはカルボキシフェニル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい複素環基(ここで、該複素環は複素原子として少なくとも1以上の窒素原子を有する)を意味し;
1bは−Q−A(R1c)R1dで表される基を意味し;
は単結合又はC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、イミノ基、スルフィニル基若しくはスルホニル基で置き換えられていてもよく、また、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、イミノ基、C1−C6アルキル基若しくはC1−C6アルコキシ基で置換されていてもよく;
は窒素原子を意味するか、又は水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基を意味し;
1c及びR1dは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基を意味するか、又は一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1若しくは2以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ビニレン基若しくは−N(R1e)−で表される基で置き換えられていてもよく、また、水酸基、C1−C6アルキル基若しくはヒドロキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよく;
1eは水素原子、ホルミル基、アセチル基又はC1−C6アルキル基を意味し;
は水素原子を意味するか、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−C6アルコキシ基、C3−C6シクロアルキル基、C2−C7アルカノイル基及びC1−C6アルキルスルホニル基からなる群より選択される置換基を有していてもよいC1−C6アルキル基を意味するか、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;
はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルスルホニル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基、アラルキル基若しくはヘテロアリール基を意味し;そして
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C2−C7アルカノイル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキルアミノ基、カルバモイル基又はヒドロキシ−C1−C6アルキルカルバモイル基を意味する]で表される請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項3】
が式(a)
【化3】

で表される基であり;
2aがハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルキルスルホニル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基であり;かつ、
T、U、V及びWが窒素原子、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルバモイル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルキルスルホニル基、C1−C6アルコキシ基、ハロ−C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基で置換されていてもよいメチン基であって、そのうち少なくとも2つが該メチン基である請求項2記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項4】
が式(a)で表される基であり、R2aがハロゲン原子であり、かつTがハロゲン原子又はC1−C6アルキル基で置換されたメチン基である請求項3記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項5】
が2,6−ジクロロフェニル基である請求項4記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項6】
が水素原子であるか、又はハロゲン原子若しくは水酸基で置換されていてもよいC1−C6アルキル基である請求項2、3、4又は5記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項7】
が水素原子又は水酸基で置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、かつ、−Q−R1aで表される基が式(a1)
【化4】

で表される基から選択される基であって、該基を構成する1又は2以上のメチレン基が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、オキソ、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基及び−R1bで表される基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、R10aが水素原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基又は−R1bで表される基を意味し、かつR1bが請求項1における定義と同じ意味を有する、請求項2,3、4又は5記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項8】
1bが−Q−A(R1c)R1dで表される基であって、ここで、
(i)Qが単結合であり、Aが窒素原子であり、かつR1c及びR1dが、それぞれ独立して、水素原子若しくはC1−C6アルキル基であるか、
(ii)Qが単結合若しくはC1−C6アルキレン基であり、ここで、該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基がカルボニル基で置き換えられていてもよく、Aがメチン基であり、かつR1c及びR1dが水素原子であるか、
(iii)QがC1−C6アルキレン基であり、ここで、該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基が、酸素原子若しくはカルボニル基で置き換えられていてもよく、また、C1−C6アルキル基で置換されていてもよく、Aが窒素原子であり、かつR1c及びR1dが、それぞれ独立して、C1−C6アルキル基であるか、又は
(iv)Qが単結合であり、Aがメチン基であり、かつR1c及びR1dが、一緒になってC1−C6アルキレン基を意味し、ここで該C1−C6アルキレン基を構成する1のメチレン基が−N(R1e)−で表される基(ここで、R1eは請求項1における定義と同じ意味を有する)で置き換えられていてもよい、請求項7記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体。
【請求項9】
以下の化合物である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩。
(1)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(2)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ヒドロキシメチル)モルホリン−4−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(3)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{4−[(ジメチルアミノ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(4)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(5)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(6)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(7)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(8)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3R)−3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(9)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(10)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[4,5]デカ−7−イル)フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(11)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(12)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[(2R)−2−(メトキシメチル)−4−メチルピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(13)7−({4−[3−(tert−ブチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(14)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(3S)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(15)7−{[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−3−メチルフェニル]アミノ}−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(16)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(2−メチル−2,7−ジアザスピロ[3,5]ノナ−7−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(17)7−({4−[4−(1−アセチルアゼチジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−1−メチル−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(18)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−{[4−(モルホリン−4−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(19)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)−1−メチルエトキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(20)3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−({4−[メチル(ピリジン−2−イルメチル)アミノ]フェニル}アミノ)−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(21)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(22)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[2−(ジメチルアミノ)プロポキシ]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(23)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]モルホリン−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(24)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({3−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−4−メトキシフェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(25)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(26)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−({4−[3−(ジメチルアミノ)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]フェニル}アミノ)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;
(27)3−(2,6−ジクロロフェニル)−7−[(4−{1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1H−ピラゾール−4−イル}フェニル)アミノ]−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン;又は
(28)3−(2,6−ジクロロフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−イミノ−7−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン。
【請求項10】
治療的に有効量の請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体及び薬学的に許容され得る担体又は希釈剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
請求項10記載の医薬組成物を含むことを特徴とする抗がん剤。
【請求項12】
がん治療において同時に、別々に、又は順次に投与するための組み合わせ製剤であって、以下の(a)及び(b)の2つの別個の製剤を含むことを特徴とする組み合わせ製剤。
(a)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と一緒に、上記一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはN−オキシド誘導体を含む製剤、並びに
(b)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と一緒に、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容し得る塩若しくはN−オキシド誘導体を含む製剤;
ここで、抗がん性アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファサミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンであり、
抗がん性代謝拮抗剤は、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムであり、
抗がん性抗生物質は、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス、又はバルルビシンであり、
植物由来抗がん剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、又はビノレルビンであり、
抗がん性白金配位化合物は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、又はオキザリプラチンであり、
抗がん性カンプトテシン誘導体は、イリノテカン、トポテカン、又はカンプトテシンンであり、
抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、イマチニブ、又はエルロチニブであり、
モノクローナル抗体は、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ又はトラスツズマブであり、
インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、又はインターフェロンγ−n1であり、
生物学的応答調節剤は、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、又はウベニメクスであり、そして、
その他抗がん剤は、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、又はゴセレリンである。
【請求項13】
薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくはN−オキシド誘導体、並びに抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、請求項12の記載と同じである)からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容し得る塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
請求項10記載の医薬組成物を含むことを特徴とする放射線増感剤。
【請求項15】
請求項10記載の医薬組成物を含むことを特徴とする、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、請求項12の記載と同じである)からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容し得る塩の増感剤。
【請求項16】
抗がん剤を製造するための請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくはN−オキシド誘導体の使用。

【公表番号】特表2012−511502(P2012−511502A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525314(P2011−525314)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/JP2009/070930
【国際公開番号】WO2010/067886
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(595152759)MSD株式会社 (22)
【Fターム(参考)】