説明

ジャックの防水構造

【課題】簡単な構成で、ジャックそれ自体から取付対象の電子機器内への水の滲入を防止し、取付対象の電子機器への水の滲入による損傷を回避する。
【解決手段】ジャック1のハウジング2の後部開口部3から直線的に後方に延長する端子基部4a、4b、4c、4d、4eと、これらを各々後方に貫通させるスリット部5a、5b、5c、5d、5eを備えた、後部開口部3を閉じるための板状ラバー部材6と、端子基部4a、4b、4c、4d、4eの外端部と各々電気的に接続しかつ外部に延長する延長端子部7a、7b、7c、7d、7eを備え、板状ラバー部材6を後部開口部3の所定の位置に固定保持するカバー部材8とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中又は保管中その他において雨水その他の水に接触する可能性のある種々の電子機器に取り付けられ、対応するプラグを介して電気信号等の授受のために使用されるジャックの防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のジャックの防水構造には、そのプラグ挿入孔をゴムキャップ等のキャップ類で閉じる構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、その一例が示されており、これは、携帯電話等の電子機器のジャックのプラグ挿入口にその口部形状に合わせた挿入部を挿入してこれを閉じる防水ゴムの例である。この防水ゴムは、該ジャックと別体に構成されているため、該プラグ挿入口にプラグを挿入している際に紛失しやすいとか、該プラグ挿入口をこれで閉じると、これが該電子機器のケースから突出した状態となり、機器のデザイン上の制約が生じる問題がある。また防水ゴムで閉じていない状態では、水密性は確保されないので、該ジャックを通じて機器の内部に水分が滲入する虞がある。
【0004】
また特許文献2には他の例が示されており、それは、携帯電話装置に構成されたキャップの例で、イヤホンジャックに付設されたイヤホンキャップと、外部機器との通信を行うためのコネクタに付設されたキャップの例である。いずれも筐体の該当部位に起伏自在に構成され、伏状態で、それぞれを水密状態に閉じ、起立状態でそれぞれを開くようになっている。これらのキャップは、機器の筐体と一体に構成されているので、これを紛失する虞はないが、該ジャック等にプラグ等を接続する際には、当然、該キャップを起立させて該部位を開く必要があり、その際に該キャップが邪魔になる等の問題がある。また美観にも優れているとは言い難い。更にこれらのキャップを開いている状態では、ジャック等のコネクタの水密性は保持できないので、この場合も、機器の内部に水分が滲入する虞がある。
【0005】
特許文献3は、ジャックの内部にパッキンを配し、かつ必要部位に接着剤を配して防水性を確保している防水ジャックに関する例であり、これは、プラグ挿入孔を有しプラグ挿入方向に直交する方向に開いた開口部が形成されたジャック本体と、該プラグ挿入孔内に挿入されるプラグに接触するコンタクトが貫通して取り付けられる貫通孔を有し前記開口部を防水シールして閉じる絶縁体と、を備えた防水ジャックにおいて、前記開口部には環状のパッキン受け面を備えさせ、前記絶縁体にはパッキン押圧面を備えさせ、前記パッキン受け面とパッキン押圧面との間に弾性材からなる環状パッキンを介在させ、前記開口部を前記絶縁体で塞いだ状態で該絶縁体を抜け止め係止する係止部を前記ジャック本体に設けた防水ジャックである。
【0006】
これは、前記特許文献1、2と比較すると、キャップでプラグ挿入孔を閉じるのではなく、ジャックの機器内部に開く開口部を常時閉じているため、防水性能がより高いものとなっている。しかしこの防水ジャックでは、コンタクトの端子側を絶縁体の貫通孔を通じて外部に貫通させているものであり、コンタクトの端子側を直線的に構成したものでなければ貫通孔を貫通させ得ない問題がある。さらに絶縁体の貫通孔とこれを貫通させるコンタクトの端子側との間には水密性を確保するために接着剤を充填する必要がある問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−205809号公報(段落0015、図1)
【特許文献2】特開2009−159403号公報(図1)
【特許文献3】実開平06−23176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の従来技術の問題点を解消し、簡単な構成で、ジャックそれ自体から取付対象の電子機器内への水の滲入を防止し、取付対象の電子機器への水の滲入による損傷を回避するジャックの防水構造を提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1は、プラグの電極に接触するコンタクト片から延長し、ジャックハウジングの後部開口部から該後部開口部の内周面に接することなく直線的に後方に延長する端子基部と、
該ジャックハウジングの後部開口部を閉じる板状ラバー部材であって、該後部開口部を閉じるべく配した状態で、前記端子基部の外端側を水密性を保持しつつその後方に貫通させ得るスリット部を備えた板状ラバー部材と、
該ジャックハウジングの後部開口部にこれを閉じるべく配した板状ラバー部材をその位置に保持すべくその後面側に固設するカバー部材であって、該板状ラバー部材のスリット部を通じて後方に貫通突出した端子基部の外端部に接触して電気的に接続しかつ外部に延長する延長端子部を備えたカバー部材と、
で構成したジャックの防水構造である。
【0010】
本発明の2は、本発明の1のジャックの防水構造において、
前記スリット部を、前記板状ラバー部材の前記端子基部を貫通させる部位であって、該板状ラバー部材の後面側に突出部を突出させた部位に形成したものである。
【0011】
本発明の3は、本発明の2のジャックの防水構造において、
前記カバー部材の内面側に前記板状ラバー部材の突出部が嵌合する嵌合孔を開口したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1のジャックの防水構造によれば、コンタクト片から延長する端子基部を直線的に構成したので、板状ラバー部材のスリット部にこれを容易に貫通させることが可能であり、かつ板状ラバー部材は弾力性を有する部材であるから、該端子基部のスリット部を貫通する部位を水密性を持った状態で確実に挟持できることになる。従って、該スリット部と端子基部との間に接着剤を充填するようなことをせずに高い水密性を保持できることになる。それ故、端子をはんだ付けした場合の熱膨張又は収縮の差による水密性の劣化の問題が生じる余地もない。
【0013】
また本発明の1のジャックの防水構造によれば、該板状ラバー部材をカバー部材で所定の位置に固定すると共に、前記端子基部の外端を該カバー部材に配した延長端子部に接触させて電気的に接続するように構成したものであるため、該端子基部と該延長端子部との組み合わせにより自由な形態の端子を構成することが可能になる。すなわち、延長端子部は、その位置関係上、導電性であれば、自由な材質で自由な形状に構成することが可能であり、それ故、DIPタイプ、SMDタイプ又はスプリングコンタクトタイプのいずれに構成することも可能となる。
【0014】
本発明の2のジャックの防水構造によれば、前記板状ラバー部材のスリット部を構成する部位に後面側に突出する突出部を構成したため、スリット部の深さ方向の寸法を大きくすることが可能になり、ここを貫通させる端子基部との間の水密性を一層高い水準のものとすることができる。
【0015】
本発明の3のジャックの防水構造によれば、前記板状ラバー部材の突出部が前記カバー部材の嵌合孔に嵌合状態となるため、端子基部の位置決めが確実となり、該カバー部材の延長端子部との接続関係も一層確実なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は実施例のジャックの防水構造の分解斜視図、(b)はカバー部材中の延長端子部を示す斜視図。
【図2】(a)は実施例のジャックの背面側の斜視図、(b)は正面側の斜視図。
【図3】(a)は実施例のジャックの正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は底面図。
【図4】(a)は図3(a)のA−A線断面図、(b)は図3(c)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図、(d)は(b)のD−D線断面図。
【図5】(a)は実施例の板状ラバー部材の背面図、(b)は平面図、(c)は正面図。
【図6】(a)は実施例のカバー部材の正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は背面側から見た斜視図、(e)は正面側から見た斜視図。
【図7】(a)は延長端子部を省略した状態のカバー部材の平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は背面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための形態を、実施例に基づき、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
この実施例のジャックの防水構造は、図1(a)、(b)に示すように、基本的に、ジャック1のハウジング2の後部開口部3から直線的に後方に延長する端子基部4a、4b、4c、4d、4eと、該端子基部4a、4b、4c、4d、4eをそれぞれ後方に貫通させるスリット部5a、5b、5c、5d、5eを備えた、該ハウジング2の後部開口部3を閉じるための板状ラバー部材6と、該端子基部4a、4b、4c、4d、4eの外端部とそれぞれ電気的に接続しかつ外部に延長する延長端子部7a、7b、7c、7d、7eを備え、前記板状ラバー部材6を該ハウジング2の後部開口部3の所定の位置に固定保持するカバー部材8とで構成したものである。
【0019】
前記ジャック1は、そのハウジング2の前部にプラグ挿入孔を開口し、後部に、コンタクト片に繋がる端子基部4a、4b、4c、4d、4eを引き出す後部開口部3を開口したタイプ、すなわち、それ以外には開口部を有しないタイプのそれであり、そのようなハウジング2の構成を有するものであれば、用途等に関して特定のものに限定されない。なお、この実施例のジャック1は対応するプラグとの間でオーディオ信号の授受に用いられる5極のそれである。
【0020】
前記後部開口部3は、前記端子基部4a、4b、4c、4d、4eを後方に引き出すための開口部であり、この実施例では、図1(a)に示すように、その開口形状はほぼ四辺形としてあるが、これに限定されない。例えば、円形又は楕円形その他の形状であっても特に不都合はない。なお、この後部開口部3は、その前方のプラグ挿入孔等との間に、端子基部4a、4b、4c、4d、4eの基部を支持するハウジング2の一部から構成される隔壁が形成してある。この隔壁の後面は、該後部開口部3を閉じるために後方からここに装入する前記板状ラバー部材6をこれ以上前方に移動しないように位置決めする位置決め当接面3aとなるものである。また該後部開口部3の両側面には、更に該板状ラバー部材6の背後から該後部開口部3に装入する前記カバー部材8の両側の固定突起8a、8aのそれぞれを係止する係止孔3b、3bが形成してある。
【0021】
前記端子基部4a、4b、4c、4d、4eは、プラグ挿入孔内に臨み、プラグ挿入孔内に挿入されるプラグの対応する各電極に接触する複数のコンタクト片(チップ接片、リング接片、スリーブ接片等)の各々から延長する構成要素であり、前記し、図1(a)及び図4(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、後部開口部3中を直線的に後方に延びる構成としてある。また各々は、いずれも該後部開口部3の内周面から若干離れた位置を後方に延長するように構成してある。材質は、コンタクト片から延長するものであるから、当然、該コンタクト片と同一である。
【0022】
また該端子基部4a、4b、4c、4d、4eは、図1(a)及び図4(a)〜(d)に示すように、そのうち、端子基部4a、4d、4eを縦向き(ジャック1を基板に取り付けた状態で基板に垂直な向き)に、端子基部4b、4cを横向き(前記状態で基板に水平な向き)に配し、それらの各後端には、各中央部に、その間に前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの内端を挿入して接続するための接続溝4a1、4b1、4c1、4d1、4e1が形成してある。
【0023】
前記板状ラバー部材6は、文字どおり、弾性ゴムで作成され、図1(a)及び図5(a)〜(c)に示すように、前記ハウジング2の後部開口部3の開口部形状に対応させ、これに水密状態に装入可能なほぼ四辺形の正面又は背面形状を有するように構成した板状部材である。また該板状ラバー部材6には、図1(a)、図4(a)〜(d)及び図5(a)、(b)に示すように、この板状ラバー部材3を前記後部開口部3にこれを閉じるべく装入した状態で、該後部開口部3から後方に延びている端子基部4a、4b、4c、4d、4eの位置に対応させてその後面側に突出部6a、6b、6c、6d、6eを突出させ、その各々に対応する端子基部4a、4b、4c、4d、4eを貫通させるスリット部5a、5b、5c、5d、5eを形成してある。該スリット部5a、5b、5c、5d、5eは、各々対応する前記端子基部4a、4b、4c、4d、4eを密に挟持した状態で貫通させうるように適切な長さに単に裂いたような状態に構成する。
【0024】
前記カバー部材8は、図1(a)、(b)、図2(a)、図3(b)、(d)、図4(a)〜(d)、図6(a)〜(e)及び図7(a)〜(d)に示すように、基本的に、前記板状ラバー部材6より厚い、正面及び背面から見て、同様の四辺形をした板材に構成したものである。絶縁性のプラスチックで作成したものである。このカバー部材8は、図1(a)、図2(a)、図3(b)及び図4(a)〜(d)に示すように、板状ラバー部材6の後面に当接させた場合に、該板状ラバー部材6の後面に突出させてある突出部6a、6b、6c、6d、6eを各々嵌合させる嵌合孔9a、9b、9c、9d、9eを備え、それぞれの嵌合孔9a、9b、9c、9d、9eには、その中に前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの各内端が突出させてある。
【0025】
該各延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの各内端は、図1(b)、図4(a)〜(d)及び図6(a)、(e)に示すように、前記嵌合孔9a、9b、9c、9d、9e中に、それぞれ前方を向けて配してある。また、同図に示すように、該延長端子部7a、7b、7c、7d、7eのうち、該延長端子部7a、7d、7eは内端を横向きに配し、該延長端子部7b、7cは縦向きに配してある。
【0026】
前記嵌合孔9a、9b、9c、9d、9eは、図1(a)、図2(a)、図3(b)、図4(a)〜(d)、図6(a)、(d)、(e)及び図7(c)、(d)に示すように、前面側から後面側に貫通状態であり、前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eは、前記カバー部材8を成形する際に、以上のようになるように、該カバー部材8中に埋め込むこととする。
【0027】
前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eは、以上のように、カバー部材8中に埋め込むものであるが、図1(b)に示すように、その外端部は、基板への結合の都合上、この実施例では、そのうち、該延長端子部7a、7c、7eは、該カバー部材8の下端面から直線的に垂下させ、該延長端子部7b、7dは、該カバー部材8の下端面の直下で後方に屈曲させ若干延長した上で垂下させたものである。また該延長端子部7a、7eは、内端側から外端側を直接垂下させ、相互の干渉を回避する趣旨で、該延長端子部7b、7c、7dは、内端側から外端側を側方にずらした上で、垂下させている。
【0028】
なお、前記カバー部材8の両側には、図1(a)、(b)、図3(c)、図4(b)、図6(a)〜(e)及び図7(a)〜(d)に示すように、これを前記後部開口部3に装入した場合に、その係止孔3b、3bに係止してその位置に固定するための固定突起8a、8aを構成してある。
【0029】
従ってこの実施例のジャックの防水構造は、前記し、図2(a)、(b)、図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(d)に示すように、前記板状ラバー部材6を前記ハウジング2の後部開口部3に装入し、その背後から前記カバー部材8を該後部開口部3に装入して固定すれば、その防水が完了する構成である。
【0030】
該板状ラバー部材6は、該後部開口部3に装入する際に、プラグ挿入孔側のコンタクト片から該後部開口部3側に延長する端子基部4a、4b、4c、4d、4eを各々そのスリット部5a、5b、5c、5d、5eに貫通させる。該端子基部4a、4b、4c、4d、4eは、該後部開口部3より後方では直線的に構成されているので、このとき、該スリット部5a、5b、5c、5d、5eに容易かつスムーズに貫通させることができる。該板状ラバー部材6は、図4(a)〜(d)に示すように、その前面側が該後部開口部3の前端である位置決め当接面3aに強く接触するまで押し込む。
【0031】
こうして、該板状ラバー部材6の前面側と該後部開口部3の該位置決め当接面3aとは密に接触して水密性を保持できるようになる。また該スリット部5a、5b、5c、5d、5eを貫通した該端子基部4a、4b、4c、4d、4eは、該板状ラバー部材6を構成するゴム材の弾力性によりその表面と該スリット部5a、5b、5c、5d、5eとの間の水密性をやはり確保することができることになる。
【0032】
この後、該板状ラバー部材6の背後側から該後部開口部3内に前記カバー部材8を装入し、図4(a)〜(d)に示すように、その前面側を該板状ラバー部材6の後面側に圧接する。このとき、該板状ラバー部材6の後面側に突出している突出部6a、6b、6c、6d、6eが該カバー部材8の各々対応する嵌合孔9a、9b、9c、9d、9eに嵌合し、該突出部6a、6b、6c、6d、6eに形成されたスリット部5a、5b、5c、5d、5eから突出する前記端子基部4a、4b、4c、4d、4eの後端が該嵌合孔9a、9b、9c、9d、9e中に位置する前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの内端と係合し、電気的に接続することになる。
【0033】
該端子基部4a、4b、4c、4d、4eの外端と該延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの内端との接続は、図4(a)〜(d)に示すように、前者の外端の接続溝4a1、4b1、4c1、4d1、4e1に後者の内端が挿入状態となることで確実に行われる。またこのような接続は、前記板状ラバー部材6の後面側の突出部6a、6b、6c、6d、6eが前記カバー部材8の嵌合孔9a、9b、9c、9d、9eに嵌合することで、正確に位置決めされることにより、確実に行われることになる。
【0034】
またこのとき、該カバー部材8の両側の固定突起8a、8aは、図3(c)及び図4(b)に示すように、前記後部開口部3の両側に開口してある係止孔3b、3bに係止して、該カバー部材8は、この状態に固定される。こうして、前記板状ラバー部材6は、前記状態に固定されることになる。
【0035】
従ってこの実施例のジャックの防水構造によれば、前記のように、端子基部4a、4b、4c、4d、4eを、前記後部開口部3の内周面に接することなく、後方に延長したため、前記のように、前記板状ラバー部材6を該後部開口部3を閉じるべく配置すれば、該端子基部4a、4b、4c、4d、4eと該後部開口部3の内周面との間に前記板状ラバー部材6の対応する部位が介在することになる。すなわち、該後部開口部3の内周面とは該板状ラバー部材6の周縁部が弾力的・水密状態に接し、かつ該端子基部4a、4b、4c、4d、4eの該当部位の表面とも該板状ラバー部材6の該当部位が弾力的・水密状態に接することとなる。
【0036】
それ故、該板状ラバー部材6の周縁部と該後部開口部3の内周面との間及びスリット部5a、5b、5c、5d、5eと端子基部4a、4b、4c、4d、4eの表面との間に接着剤を充填して防水性を確保するような必要性はない。従って、前記延長端子部7a、7b、7c、7d、7eをはんだ付けした場合にも熱膨張又は収縮の差による水密性の劣化の問題が生じる余地もない。
【0037】
またこの実施例のジャックの防水構造によれば、該板状ラバー部材6を前記カバー部材8で前記所定の位置に固定すると共に、前記端子基部4a、4b、4c、4d、4eの後端を該カバー部材8に配した延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの内端に接触させて電気的に接続し、この実施例では、該延長端子部7a、7b、7c、7d、7eの外端側を下方に屈曲して基板の所定の接続部位に挿入して接続できるようにしたものである。このように、該カバー部材8に、該端子基部4a、4b、4c、4d、4eと接触接合する延長端子部7a、7b、7c、7d、7eを配したため、後者の形状は自由に設定可能であり、上記構成に限定されず、自由な構成を採用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ジャック
2 ハウジング
3 後部開口部
3a 位置決め当接面
3b 係止孔
4a、4b、4c、4d、4e 端子基部
4a1、4b1、4c1、4d1、4e1 接続溝
5a、5b、5c、5d、5e スリット部
6 板状ラバー部材
6a、6b、6c、6d、6e 突出部
7a、7b、7c、7d、7e 延長端子部
8 カバー部材
8a 固定突起
9a、9b、9c、9d、9e 嵌合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの電極に接触するコンタクト片から延長し、ジャックハウジングの後部開口部から該後部開口部の内周面に接することなく直線的に後方に延長する端子基部と、
該ジャックハウジングの後部開口部を閉じる板状ラバー部材であって、該後部開口部を閉じるべく配した状態で、前記端子基部の外端側を水密性を保持しつつその後方に貫通させ得るスリット部を備えた板状ラバー部材と、
該ジャックハウジングの後部開口部にこれを閉じるべく配した板状ラバー部材をその位置に保持すべくその後面側に固設するカバー部材であって、該板状ラバー部材のスリット部を通じて後方に貫通突出した端子基部の外端部に接触して電気的に接続しかつ外部に延長する延長端子部を備えたカバー部材と、
で構成したジャックの防水構造。
【請求項2】
前記スリット部を、前記板状ラバー部材の前記端子基部を貫通させる部位であって、該板状ラバー部材の後面側に突出部を突出させた部位に形成した請求項1のジャックの防水構造。
【請求項3】
前記カバー部材の内面側に前記板状ラバー部材の突出部が嵌合する嵌合孔を開口した請求項2のジャックの防水構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−155873(P2012−155873A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11573(P2011−11573)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】