説明

ジョブ処理装置、ジョブ処理装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 キャンセル対象となるジョブの種類によって、簡単な操作によるジョブキャンセルを防止する。
【解決手段】 実行対象のジョブを保持する保持手段と、保持手段に保持されたジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、受付手段によって中止指示を受け付けた場合に、保持手段に保持されたジョブが特定の種類以外の種類のジョブであれば当該ジョブを中止し、保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブであれば当該ジョブを中止しないよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ処理装置、ジョブ処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジョブ処理装置は、ユーザによって投入されたジョブをメモリに保持し、保持されたジョブを順に実行する。このようなジョブ処理装置に投入したジョブをキャンセルする場合、ユーザは、ジョブ処理装置の操作部を介して、特許文献1に示されるような操作を行うことにより、ジョブのキャンセルを行っていた。
【0003】
具体的に、ユーザは、ジョブ処理装置に保持されているジョブの一覧を表示部に表示させ、一覧表示されたジョブから所望のジョブを選択し、選択したジョブのキャンセルを指示するという手順を踏んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−003004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法は、キャンセルを指示されたジョブの種類に関わらず、簡単な操作でジョブのキャンセルを実行していた。
【0006】
そのため、ジョブの種類によっては、誤ってキャンセルしてしまうと困るジョブであっても、簡単な操作でキャンセルされてしまっていた。例えば、FAX受信ジョブは、キャンセルを指示したユーザが、元となる原稿を持っていない。そのため、FAX受信ジョブを誤ってキャンセルしてしまうと、キャンセルを指示したユーザは、原稿を持っている送信者に画像データの再送を要求しなければならず、キャンセルを指示したユーザの負担になっていた。
【0007】
このように、ジョブの種類によっては、キャンセルしてよいか否かをユーザがしっかり確認してからキャンセルすべきジョブがある。このようなジョブを、簡単な操作でキャンセルしてしまうことは好ましくない。
【0008】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、キャンセル対象となるジョブの種類によって、簡単な操作によるジョブキャンセルを防止する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、実行対象のジョブを保持する保持手段と、保持手段に保持されたジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、受付手段によって中止指示を受け付けた場合に、保持手段に保持されたジョブが特定の種類以外の種類のジョブであれば当該ジョブを中止し、保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブであれば当該ジョブを中止しないよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャンセル対象となるジョブの種類によって、簡単な操作によるジョブキャンセルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るジョブ処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を実施形態に係る操作部の構成を示す図である。
【図4】本発明を実施形態に係る操作部に表示される画面を示す図である。
【図5】本発明を実施形態に係るジョブ管理テーブルに表示される画面を示す図である。
【図6】本発明を実施形態に係る操作部に表示される画面の遷移を示す図である。
【図7】本発明を実施形態に係るフローチャートを示す図である。
【図8】本発明を実施形態に係るフローチャートを示す図である。
【図9】本発明を実施形態に係る操作部に表示される画面の遷移を示す図である。
【図10】本発明を実施形態に係るフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施形態を示すジョブ処理システムを説明するための図である。
【0014】
本発明のジョブ処理システムは、PC(Personal Computer)103と、ジョブ処理装置の一例である画像形成装置101とを有する。それらは、LAN(Local Area Network)105を介して接続されている。
【0015】
画像形成装置101は、例えば、カラーMFP(Multi Functional Peripheral)であり、画像形成装置101は、制御部(コントローラ部)102、リーダ部13、プリンタ部45、操作部131を有する。
【0016】
リーダ部13は、スキャナユニット11と、原稿給紙ユニット(DFユニット)12を備える。
【0017】
スキャナユニット11は、原稿の画像を光学的に読み取り、画像データに変換するユニットである。原稿給紙ユニット(DFユニット)12は、セットされた原稿をスキャナユニットによって読取可能な位置まで搬送するユニットである。
【0018】
当該スキャナユニット11は、原稿給紙ユニット(DFユニット)12によって搬送された原稿の画像を読み取って画像データに変換する。また、スキャナユニット11は、不図示の圧板を備え、圧板にセットされた原稿を読み取ることもできる。
【0019】
プリンタ部45は、給紙ユニット43、マーキングユニット41、排紙ユニット42を備える。
【0020】
給紙ユニット41は、印刷用のシートを保持し、マーキングユニット41にシートを搬送するユニットである。マーキングユニット41は、画像データに基づいて印刷を行うユニットである。具体的に、マーキングユニット41は、トナーを印刷用のシートに転写した後、定着することによって印刷を行う。なお、印刷の方法はこれに限らず、インクを用いて印刷する方法を用いてもよい。排紙ユニット42は、印刷されたシートに対して、必要に応じて、ソート、ステイプル等の後処理を実行し、排紙するユニットである。
【0021】
操作部131は、LCD(Liquid Crystal Display)135で構成される表示部と、ハードキーを備える。操作部131は、表示部に、設定画面や画像形成装置101の状態を表示する。また、操作部131は、ハードキーによって、ユーザからの各種指示を受け付け、受け付けた指示を制御部102に送信する。また、操作部131は、LCD135と一体型に構成されるタッチパネルを備えていてもよい。タッチパネルを備える場合、操作部131は、タッチパネルを介して受け付けた指示を制御部102に送信する。
【0022】
制御部102は、リーダ部13、プリンタ部45、操作部131に接続され、それらを統括的に制御する。また、制御部102は、LAN105を介してPC103に接続されており、PC103とデータの送受を行う。制御部102は、操作部131またはPC103を介して受け付けたユーザからの指示に従って、各種ジョブを実行する。
【0023】
例えば、制御部102は、コピージョブを実行する。コピージョブを実行する場合、制御部102は、操作部131を介してユーザからコピー設定とコピーの実行開始指示を受け付けると、リーダ部13によって原稿の読み取りを実行させる。そして、制御部102は、リーダ部13によって読み取られた原稿の画像データを受信して記憶した後、コピー設定に従って、所定の画像処理を施した後、プリンタ部45に画像データを転送し、プリンタ部45によって画像の印刷を実行させる。コピー設定で、ステイプル等の後処理を実行するよう設定されている場合、制御部102は、プリンタ部45に後処理を実行させる。
【0024】
また、コピージョブ以外に、制御部102は、プリントジョブを実行する。プリントジョブを実行する場合、制御部102は、PC103から画像データと印刷設定とを受信し、受信した画像データを受信した印刷設定に従ってプリンタ部45に印刷させる。
【0025】
さらに、制御部102は、FAX受信ジョブ(ファックス受信ジョブ)を実行する。FAX受信ジョブを実行する場合、制御部102は、後述するFAX送受信部208を介して受け付けた画像データに従って、プリンタ部45によって画像を印刷する。
【0026】
また、制御部102は、BOXプリントジョブを実行する。BOXプリントジョブを実行する場合、制御部102は、後述するメモリ部207等の記憶部に画像データを保持し、保持された画像データのうち、ユーザによって選択された画像データに従って、プリンタ部45によって印刷を実行する。
【0027】
さらに、制御部102は、データ送信ジョブを実行する。データ送信ジョブを実行する場合、制御部102は、リーダ部13によって読み取られた原稿を、記憶部に記憶した後、PC103に送信する。
【0028】
また、制御部102は、自動レポートジョブを実行する。制御部102は、画像形成装置101で実行された上記のジョブの実行履歴を後述するメモリ部207等の記憶部に管理しておく。そして、プリンタ部45によって所定の枚数印刷するたびに、または不図示のタイマによって所定の時間を計測するたびに、メモリ部207に記憶された実行履歴をプリンタ部45に印刷させる。
【0029】
なお、本実施形態では、画像形成装置101が、MFPである場合について説明するが、単一の機能のみを備えるSFP(Single Functional Peripheral)であってもよい。また、本実施形態では、画像形成装置101が、カラー機である場合について説明するが、モノクロ機であってもよい。
【0030】
次に、このような制御部102の構成について、図2を用いて説明する。
【0031】
CPU201は、ROM202からプログラムを読み出して実行することによって、各種制御を実行する。
【0032】
ROM202は、CPU201によって読み出されるプログラムを記憶する。
【0033】
RAM203は、CPU201の作業領域として機能する。
【0034】
操作部I/F(インタフェース)部204は、操作部131とのデータの送受を制御する。例えば、CPU201から送信された表示用のデータを、操作部131に転送する。また、操作部I/F部130は、操作部131を介してユーザから受け付けた指示をCPU201に伝える。
【0035】
ネットワークI/F部205は、CPU201が、LAN105を介して外部装置(例えば、PC103)と通信する際に、データの送受を制御する。
【0036】
メモリ制御部206は、第1BUS(バス)83、第2BUS(バス)84及び第3BUS(バス)85に接続され、メインメモリ100に対するデータの書き込み、読み出しのためのデータ転送を制御する。
【0037】
メモリ部207は、画像データを記憶する。また、メモリ部207は、画像データと、当該画像データを処理する際の設定値を、ジョブとして記憶する。なお、メモリ部207は、このようなジョブを複数記憶することができる。メモリ部207に記憶されたジョブは、CPU201によって、順に実行される。このように、メモリ部207は、実行対象のジョブが実行されるまで、当該ジョブを保持する保持部として機能する。
【0038】
スキャナI/F部10は、リーダ部13に接続されており、リーダ部13とのデータの送受を制御する。例えば、スキャナI/F部10は、CPU201からのコマンドをリーダ部13に転送したり、リーダ部13によって読み取られた、原稿の画像データをメモリ制御部207に転送したりする。
【0039】
スキャナ画像処理部20は、スキャナI/F部10によって受信され、メインメモリ100に書き込まれた画像データに対して、ユーザの設定に応じた画像処理を実行する。例えば、ユーザによってモノクロコピーを行うように設定されている場合に、リーダ部13によって読み取られたカラー画像データをモノクロ画像データに変換する処理を行う。
【0040】
プリンタ画像処理部30は、画像データをプリンタ部45にて印刷可能なデータにするための画像処理を行う。
【0041】
プリンタI/F(インタフェース)部40は、プリンタ部45に接続されており、プリンタ部45とのデータの送受を制御する。例えば、プリンタI/F部40は、印刷対象の画像データを、プリンタ部45に出力する。
【0042】
DMAC(DMAコントローラ)91は、各ユニット10、20、30、40とメモリ制御部206との間のデータ転送を制御する。
【0043】
図3を用いて、操作部131の構成を説明する。
【0044】
操作部131は、LCD135、選択キー301、テンキー302、リセットキー303、ストップキー(中止キー)304、スタートキー305から構成される。なお、本実施形態における301〜305はハードキーである。
【0045】
LCD135は、制御部102からの指示に基づいて、各種画面の表示を行う。
【0046】
選択キー301は、上下左右キーと、決定キーから構成される。ユーザは、上下左右キーを用いて、LCD135に表示されるメニュー画面内のカーソルを移動させ、決定キーを押すことによって、カーソルによって選択された項目を決定する。
【0047】
テンキー302は、ユーザから印刷部数等の数値入力を受け付けるためのキーである。
【0048】
リセットキー303は、設定途中の設定値をクリアして、設定を初期値に戻すためのキーである。
【0049】
スタートキー305は、画像形成装置101によって、コピージョブや、プリントジョブ、データ送信ジョブといった各種ジョブの実行要求を、ユーザから受け付けるためのキーである。
【0050】
ストップキー304は、実行するよう要求されたジョブを、キャンセル(中止)するための指示(中止指示)をユーザから受け付けるためのキーである。
【0051】
次に、図4を用いて、LCD135に表示される画面の例を説明する。
【0052】
図4に示す画面は、初期画面であり、画像形成装置101の電源が投入された場合や、リセットキー303が押された場合に表示される。
【0053】
ユーザは、図4に示す画面を見ながら、選択キー301を操作して、コピーの設定を行う。図4に示す画面の例の場合、ユーザは、「拡大/縮小率」、「用紙サイズ」、「濃度」、「原稿の種類」、「両面」の設定を行うことができる。
【0054】
拡大/縮小率は、ユーザが、0〜200%の間で指定することができる項目であり、制御部102は、リーダ部13で読み取った原稿の画像データを、指定された拡大/縮小率に従って変倍して、印刷用紙に印刷する。
【0055】
用紙サイズは、ユーザが、A4、A3、B4、B5等を指定することができる項目であり、制御部102は、指定された用紙サイズの用紙を給紙ユニット43から給紙して印刷する。
【0056】
その他、ユーザは、各種項目を操作することによって、濃度、原稿の種類、両面等の設定を行う。
【0057】
制御部102は、これらの設定値をメモリ部207に記憶しておく。操作部131を介して設定値の変更指示を受け付けると、制御部102は、当該変更指示に従って、LCD135に表示される内容と、メモリ部207に記憶された設定値を変更する。
【0058】
設定値が変更された状態で、スタートキー305が押されると、制御部102は、リーダ部13によって原稿の画像の読み取りを実行させ、読み取られた画像データをメモリ部207に記憶する。そして、制御部102は、記憶された画像データと設定値とを関連付けてジョブを生成し、生成されたジョブをメモリ部207に保持させる。
【0059】
また、制御部102は、メモリ207に保持されたジョブの情報を、メモリ部207内で管理するジョブ管理テーブル(図5参照)に登録する。その後、制御部102は、ジョブ管理テーブル内に登録されたジョブの情報に従って、ジョブの実行状況や、実行順序を管理する。
【0060】
図5は、ジョブ管理テーブルである。
【0061】
このジョブ管理テーブル内の情報は、制御部102によってジョブを受け付けた場合の他に、ジョブの実行が完了した場合、ジョブがキャンセルされた場合等に、制御部102によって更新される。
【0062】
まず、制御部102は、スタートキー305が押され、メモリ部207にジョブを保持させた場合に、当該ジョブの情報を図5(a)に示すようなジョブ管理テーブルに登録する。
【0063】
このジョブ管理テーブルは、各ジョブについて、実行順序、ジョブID、ジョブ名、ジョブ種、印刷設定、ステータス等のパラメータを管理する。
【0064】
ジョブ管理テーブルに登録されたジョブは、制御部102によって、実行順序に従って実行される。具体的には、実行順序が示す値が小さいほうから実行され、ジョブの実行が完了したら、実行が完了したジョブをジョブ管理テーブルから削除し、他のジョブの実行順序を繰り上げる。
【0065】
ジョブIDは、ジョブの生成時に、制御部102によって割り当てられる、当該ジョブを一意に識別するためのコードである。
【0066】
ジョブ名は、当該ジョブに割り当てられた名前である。ジョブがコピージョブである場合、ジョブの名前は、「copy1」、「copy2」、「copy3」、、、というように制御部102によって自動的に割り当てられる。一方、PC103から受け付けたジョブである場合、PC103のアプリケーションソフトによって生成されたファイル名がジョブ名としてジョブ管理テーブルに登録される。
【0067】
ジョブ種は、ジョブの種類を示す情報である。制御部102は、ジョブを受け付けると、そのジョブの種類を識別し、識別したジョブの種類を示す情報をジョブ管理テーブルに登録する。ジョブの種類には、コピージョブ、FAX送信ジョブ、FAX受信ジョブ、画像データ送信ジョブ、プリントジョブ、自動レポートジョブ等がある。
【0068】
印刷設定は、ユーザによって、操作部131またはPC103のプリンタドライバを介して受け付けた印刷設定である。
【0069】
ステータスは、各ジョブの実行状況を示す値である。具体的に、ステータスには、「実行中」、「実行待ち」、「停止中」、「キャンセル中」等があり、制御部102によって管理される。
【0070】
図5(a)は、ジョブ管理テーブルに、ジョブID「0015」のジョブが登録されている状態を示す。
【0071】
図5(a)のジョブ数は1つであり、当該ジョブ「0015」は、制御部102によって実行されている。当該ジョブのステータスは「実行中」である。これは、制御部102が、リーダ部13に原稿の画像データの読み取りを実行させ、画像処理を実行した後、プリンタ部45によって、A4サイズの印刷用紙に片面印刷を実行させるという一連の処理を実行中であることを示す。
【0072】
図5(a)に示す状態で、制御部102が、さらに他のジョブを受付け、実行対象のジョブとしてメモリ部207に保持させた後のジョブ管理テーブルを図5(b)に示す。
【0073】
図5(b)のジョブ数は4つである。ジョブ「0015」が、制御部102によって実行されている状態であり、当該ジョブのステータスは「実行中」である。また、それ以外のジョブのステータスは「実行待ち」である。これは、各ジョブが、メモリ部207によって保持され、まだ制御部102によって実行されていない状態であることを示す。
【0074】
次に、図6を用いて、画像形成装置101の操作部131に表示される画面の遷移を説明する。この画面遷移は、CPU201がROM202のプログラムに従って制御される。
【0075】
図6の401は、実行中のジョブの実行状況を示す状況画面を示す。
【0076】
状況画面401は、図4に示す画面が表示された状態で、スタートキー305が押された場合に表示される画面である。この画面から、図4に示す画面に画面を戻したい場合、ユーザは、<閉じる>を選択キー301によって選択するか、リセットキー304を押せばよい。
【0077】
状況画面401には、<閉じる>、<中止>といった選択項目が表示されている。また、当該状況画面には、実行中のジョブに関する設定値が表示されている。
【0078】
ユーザは、当該実行中のジョブをキャンセルしたい場合、選択キー301によってカーソルを操作し、<中止>にカーソルを合わせた後、決定キーを押下することによって、実行中のジョブをキャンセルすることができる。また、状況画面401が表示された状態で、ユーザによって、ストップキー304が押下された場合、制御部102は、<中止>にカーソルを合わせた後、決定キーが押下された場合と同様の動作を行う。それによって、ユーザは、カーソルによる項目の選択を行わずとも、ジョブをキャンセルしたいという意思を迅速に制御部102に伝えることができる。
【0079】
この状況画面401で、<中止>が選択された場合、あるいはストップキー304が押された場合、制御部102は、メモリ部207に保持された、実行対象のジョブを全て一時停止状態にする。そして、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの数を判定する。ジョブの数が単数であると判定した場合、制御部102は、中止確認画面402をLCD135に表示させ、ジョブの数が複数であると判定した場合、選択画面404をLCD135に表示させる。
【0080】
中止確認画面402には、選択項目として、<いいえ>、<はい>が表示されている。ユーザは、実行中のジョブをキャンセルしたい場合に、選択キー301を操作して、<はい>を選択し、決定キーを押下する。一方、ユーザは、実行中のジョブをキャンセルしたくない場合に、<いいえ>を選択し、決定キーを押下する。
【0081】
<はい>が選択された状態で、決定キーが押された場合、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルする。ジョブのキャンセルを実行している間、制御部102は、中止実行画面403をLCD135に表示させる。一方、<いいえ>が選択された状態で、決定キーが押下された場合、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルせずに、状況画面401をLCD135に表示させる。<いいえ>が選択された場合、状況画面401をLCDに表示させつつ、制御部102は、ジョブの実行を再開する。
【0082】
また、中止確認画面402が表示された状態で、ユーザは、ストップキー304を押すことによってジョブをキャンセルさせることもできる。中止確認画面402における<はい>が選択された状態で決定ボタンを押下された場合に対し、中止確認画面402が表示された状態でストップキー304の押下により実行中のジョブをキャンセルすることを簡易ジョブキャンセルと呼ぶ。
【0083】
ここで、メモリ部207に保持された実行対象のジョブの数が単数である場合には、状況画面401が表示された状態からストップキー304を2回押すことによって簡単にジョブのキャンセルを実行することができる。しかしながら、ユーザが誤ってストップキー304を2回押してしまうことがある。そのような場合に、ファックスを受信して印刷するFAX受信ジョブや、画像形成装置で実行されたジョブの実行履歴をレポートとして印刷する自動レポートジョブ等の所定の種類のジョブが、キャンセルされてしまうことは好ましくない。なぜならば、FAX受信ジョブの場合、誤ってキャンセルしてしまうと、送信側に原稿を再送するように連絡しなければならず、ユーザに煩わしい作業を強いてしまうことになる。また、自動レポートジョブは、所定枚数の印刷が実行されるごとや、所定の時間が経過するごとに実行履歴をレポートする機能である。自動レポートジョブが誤ってキャンセルされてしまうと、次の自動レポートの実行タイミングまで、自動レポートジョブが実行されなくなる。そのため、例えば、レポートによって画像形成装置における実行履歴を確認している管理者が、実行履歴を確認するタイミングを逃してしまう。
【0084】
そこで、本実施形態では、中止確認画面402が表示された状態でストップキー304が押された場合に、制御部102は、実行中のジョブが簡易ジョブキャンセル可能かどうかを判断する。具体的に、この判断は、後述する図7のS506で行われる。ここで、制御部102は、キャンセル対象のジョブの種類がFAX受信ジョブまたは、自動レポートジョブである場合に、簡易ジョブキャンセルが「不可」と判定される。一方、制御部102は、キャンセル対象のジョブが、FAX受信ジョブまたは、自動レポートジョブといたジョブの種類以外の種類のジョブである場合に、簡易ジョブキャンセルが「不可」と判定される。
【0085】
なお、FAX受信ジョブ、自動レポートジョブのようなジョブ種による簡易ジョブキャンセルの可否の判定は一例である。
【0086】
他の条件で簡易ジョブキャンセル可否を判定するようにしてもよい。
【0087】
例えば、BOXプリントジョブを実行する場合、BOX(メモリ部207の特定の領域)内に記憶されたデータを、BOXプリントジョブ実行後に消去するか消去しないかを予め設定しておくことができる。そして、実行中のジョブが、BOXプリントジョブであり、BOX内に記憶されたデータをBOXプリントジョブ実行後に消去するよう設定されている場合、制御部102は、そのジョブについて簡易ジョブキャンセルを「不可」と判定する。一方、実行中のジョブが、BOXプリントジョブであり、BOX内に記憶されたデータをBOXプリントジョブ実行後に消去するよう設定されている場合には、簡易ジョブキャンセルを「可能」と判定する。このように制御することによって、BOXプリントジョブを誤ってキャンセルしたことによって、BOXプリントジョブの元となる画像データが消去されてしまう場合には、簡易ジョブキャンセルを制限することができる。このように、制御部102は、キャンセル対象のジョブの種類だけでなく、そのジョブをキャンセルすることによって、そのジョブを再実行するために必要なデータが失われる場合には、そのジョブの簡易ジョブキャンセルを制限するようにしてもよい。
【0088】
例えば、図5に示すジョブ管理テーブルに、ユーザIDや部門等の情報をジョブに紐づけて管理しておき、制御部102は、特定のユーザIDや特定の部門である場合に、そのジョブのキャンセルを制限するようにしてもよい。具体的には、制御部102は、外部のPC103から、ユーザIDまたは部門を示す情報をジョブとともに受信し、ユーザIDや部門を示す情報をジョブに関連付けて管理しておく。そして、ユーザから簡易ジョブキャンセルの指示を受け付けた場合に、キャンセル対象のジョブが特定のユーザIDまたは特定の部門を示す情報に関連付けて管理されている場合にはジョブのキャンセルを制限すればよい。一方、ユーザから簡易ジョブキャンセルの指示を受け付けた場合に、キャンセル対象のジョブが特定のユーザID以外のユーザIDまたは特定の部門以外の部門を示す情報に関連付けて管理されている場合にはジョブのキャンセルを実行すればよい。
【0089】
また、キャンセルを制限するジョブの種類や、特定のユーザID、特定の部門を示す情報は、操作部131や外部のPC103を介して予めユーザが設定できるようにすればよい。
【0090】
上述した方法で、制御部102が簡易ジョブキャンセル不可と判断した場合には、制御部102はジョブをキャンセルせず、中止確認画面402を表示した状態を維持する。制御部102が簡易ジョブキャンセル可能と判断した場合には、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルする。ジョブのキャンセルを実行している間、制御部102は、中止実行画面403をLCD135に表示させる。
【0091】
このような制御によって、ユーザは、簡易ジョブキャンセル可能なジョブであれば、カーソルによる項目の選択を行わずとも、ストップキー304の操作によってジョブをキャンセルしたいという意思を迅速に制御部102に伝えることができる。また、ストップキー304を誤って2回押してしまった場合に、簡易ジョブキャンセル不可能なジョブがキャンセルされてしまうことを防ぐことができる。さらに、簡易ジョブキャンセル不可能なジョブであっても、ユーザは、中止確認画面402で、カーソルによって<はい>を選択すれば、キャンセル対象のジョブをキャンセルすることができる。それによって、ユーザは、確実にジョブキャンセルの意思を制御部102に伝えることができる。
【0092】
ジョブのキャンセルが完了すると、図4に示す初期画面が表示される。
【0093】
一方、状況画面401で<中止>が選択された、またはストップキー304が押された場合に、ジョブの数複数であれば、選択画面404が表示される。選択画面404が表示された場合、制御部102は、ユーザからキャンセル対象のジョブの選択を受け付ける。
【0094】
選択画面404には、選択項目として<再開>が表示されている。また、メモリ部207に保持されているジョブが、制御部102により、ジョブ管理テーブルに基づいて一覧表示される。
【0095】
ユーザは、一時停止されたジョブの実行を再開させたい場合、選択キー301を操作して、<再開>を選択し、決定キーを押下する。<再開>が選択された状態で、決定キーが押下された場合、制御部202は、一時停止していたジョブの実行を再開させ、状況画面401に表示を戻す。
【0096】
一方、ユーザは、メモリ部207に保持された複数のジョブのうち、いずれかのジョブをキャンセルしたい場合、選択キー301を操作して、いずれかのジョブを選択し、決定キーを押すことによってジョブのキャンセルを指示する。ジョブのキャンセルが指示されると、制御部102は、中止確認画面405をLCD135に表示させる。なお、選択画面404が表示された状態でストップキー304が押されても、制御部102は、ジョブのキャンセルを実行しないように制御する。なぜならば、メモリ部207に複数のジョブが保持されている場合、ユーザがキャンセルしたいジョブが、複数のジョブのうち、どのジョブであるのかを制御部が特定できないためである。
【0097】
中止確認画面405は、中止確認画面402と同様に、選択項目として、<いいえ>、<はい>が表示されている。ユーザは、選択画面402で選択されたジョブをキャンセルしたい場合に、選択キー301を操作して、<はい>を選択し、決定キーを押下する。一方、ユーザは、選択画面402で選択されたジョブをキャンセルしたくない場合に、<いいえ>を選択し、決定キーを押下する。
【0098】
<はい>が選択された状態で、決定キーが押された場合、制御部102は、選択画面402で選択されたジョブをキャンセルし、中止実行画面403をLCD135に表示させる。一方、<いいえ>が選択された状態で決定キーが押下された場合、制御部102は、状況画面401をLCD135に表示させる。
【0099】
そして、当該ジョブのキャンセルが完了すると、制御部102は、次のジョブを実行し、実行されたジョブの状況を、状況画面401に表示させる。
【0100】
このように制御することによって、メモリ部207に保持されたジョブの数に応じた適切なキャンセル処理を実行することができる。
【0101】
例えば、ユーザは、状況画面401が表示された状態で、ストップキーを2回押すことによって、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であれば、迅速にジョブをキャンセルすることができる。
【0102】
また、一方で、ユーザによってストップキーが2回押され、メモリ部207に保持されたジョブの数が複数である場合に、メモリ部207に保持された複数のジョブのうち、ユーザの意図しないジョブがキャンセルされることを防ぐことができる。
【0103】
なお、本実施形態では、状況画面401が表示された状態でストップキーが2回押されたことに応じて、制御部102が、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルする場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らず、図4に示す画面が表示された状態でストップキーが2回押されたことに応じて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルするようにしてもよい。
【0104】
次に、図7のフローチャートを用いて、ストップキー304が押下されたときに制御部102によって実行される処理手順を説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理は、制御部102のCPU201が、ROM202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0105】
まず、S501にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたことを検知する。S501で、ストップキー304が押されたことを検知した場合、メモリ部207に保持されたジョブを一時停止させ、S502に処理を進める。
【0106】
S502にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であるか、複数であるかを、ジョブ管理テーブルに基づいて判定する。制御部102は、ジョブの数が単数であると判定した場合、S503に処理を進め、複数であると判定した場合、S509に処理を進める。
【0107】
S503にて、制御部102は、中止確認画面402をLCD135に表示させ、ユーザからの指示を待つ。ユーザから指示を受け付けた場合、制御部102は、S504に処理を進める。
【0108】
S504にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたか否かを判定する。ストップキー304が押下されたと判定した場合、制御部102は、S506に処理を進める。また、ストップキー304が押下されていないと判定した場合、制御部102は、S505に処理を進める。
【0109】
S506にて、制御部102は、キャンセル対象となるジョブが簡易ジョブキャンセル可能なジョブかどうかを判定する。具体的には、図6を使って説明した判定方法で判定を行う。簡易ジョブキャンセル可能と判断される場合には、制御部102はS507に処理を進める。簡易ジョブキャンセル不可能と判断される場合、制御部102はS504に処理を進める。
【0110】
S507にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。このとき、制御部102は、中止実行画面403をLCD135に表示させる。
【0111】
一方、S505に処理を進めた場合、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面402の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S507に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0112】
<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S508に処理を進め、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。このとき、制御部102は、状況画面401をLCD135に表示させる。
【0113】
一方、S502からS509に処理を進めた場合、S509で、制御部102は、ストップキー304による中止指示を無効化する。すなわち、S509以降、図7に示すフローチャートの処理が終わるまで、ストップキー304による中止指示を受け付けても、制御部102は、メモリ部102に記憶されたジョブをキャンセルしないよう制御する。
【0114】
そして、S510で、制御部102は、選択画面404をLCD135に表示させる。
【0115】
次に、S511にて、制御部102は、<再開>が選択された状態で決定キーが押されたか否かを判定する。<再開>が選択された状態で決定キーが押されたと判定した場合、制御部102は、S508に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0116】
一方、<再開>が選択された状態で決定キーが押されていない場合には、S512に処理を進め、制御部102は、選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押されるまで待つ。
【0117】
選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押された場合、制御部102は、S513に処理を進め、中止確認画面405をLCD135に表示させ、S514に処理を進める。
【0118】
S514にて、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面405の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S507に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0119】
一方、<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S508に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0120】
以上のように、制御部102は、ストップキー402が押された場合に、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であるか、複数であるかを判定する。そして、単数であると判定した場合、制御部102は、選択画面404を表示することなく、中止確認画面を表示させる。そして、中止確認画面402が表示された状態で、ユーザによってジョブを中止するよう指示された場合に、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブを簡易ジョブキャンセル可能か否かを判定する。そして、制御部102は、簡易ジョブキャンセル可能である場合に、当該ジョブをキャンセルし、簡易ジョブキャンセルできないと判定された場合に、当該ジョブのキャンセルを禁止する。
【0121】
一方、メモリ部207に保持されたジョブの数が複数であると判定した場合、制御部102は、選択画面404を表示し、まず、ユーザからキャンセルすべきジョブの選択を受け付ける。そして、キャンセルすべきジョブの選択を受け付けた後に、中止確認画面405を表示させる。そして、中止確認画面405が表示された状態で、ユーザによってジョブを中止するよう指示された場合に、制御部102は、ジョブをキャンセルする。
【0122】
このように、ジョブが単数である場合に、ジョブが複数である場合よりも、ジョブをキャンセルするために必要な手順を少なくすることによって、メモリ部207に保持されたジョブの数に応じた迅速なキャンセル処理を行うことができる。
【0123】
また、ユーザが誤ってストップキーを2回押した場合に、キャンセルすべきでないジョブがキャンセルされてしまうことを防ぎ、ユーザがキャンセルしたいと望むジョブを確実に選択させることができる。
【0124】
なお、本実施形態では、中止確認画面402、405を表示する場合について説明したが、当該中止確認画面402、405をスキップして、中止実行画面403を表示するようにしてもよい。また、中止確認画面402、405を表示するか否かをユーザによって設定可能にしてもよい。
【0125】
なお、本実施形態では、スタートキー305によってジョブの実行要求を受け付けた場合に自動的に状況画面401を表示する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、状況画面を表示するためのキーを操作部131に設け、当該キーが押下された場合に、状況画面を表示してもよい。
【0126】
なお、本実施形態では、スタートキー305によってジョブの実行要求を受け付けた場合に自動的に状況画面401を表示する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、状況画面を表示するためのキーを操作部131に設け、当該キーが押下された場合に、状況画面を表示してもよい。
【0127】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、簡易ジョブキャンセル可能かどうかの判断を2回目のストップキー押下以降のストップキー304の押下のたびに行う。第2の実施形態では、1回目のストップキー押下後に、対象のジョブが簡易ジョブキャンセル可能なジョブかを判定し、「不可」と判定された場合にはストップキーによる中止指示を無効化する例を説明する。それによって、ストップキー304が押されるたびに簡易ジョブキャンセル可能かどうかの判断を行わなくて済む。
【0128】
1回目のストップキー押下後に、対象のジョブが簡易ジョブキャンセル可能なジョブかを判定し、「不可」と判定された場合にはストップキーによる中止指示を無効化するよう制御する処理について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0129】
実施形態2に係るジョブ処理システムの構成(図1)、制御部の構成(図2)、操作部の構成(図3)、操作部に表示される画面(図4)、ジョブ管理テーブルに表示される画面(図5)、操作部に表示される画面の遷移(図6)は第1の実施形態と同様である。
【0130】
なお、図8のフローチャートに示す処理は、制御部102のCPU201が、ROM202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0131】
まず、S601にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたことを検知する。S601で、ストップキー304が押されたことを検知した場合、メモリ部207に保持されたジョブを一時停止させ、S602に処理を進める。
【0132】
S602にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であるか、複数であるかを、ジョブ管理テーブルに基づいて判定する。制御部102は、ジョブの数が単数であると判定した場合、S603に処理を進め、複数であると判定した場合、S612に処理を進める。
【0133】
S603にて、制御部102は、キャンセル対象となるジョブ(メモリ部207に保持された単数のジョブ)が簡易ジョブキャンセル可能なジョブかどうかを判定する。具体的には、図6を使って説明した判定方法で判定を行う。簡易ジョブキャンセル不可能と判断される場合には、制御部102はS609に処理を進める。簡易ジョブキャンセル可能と判断される場合、制御部102はS604に処理を進める。
【0134】
S604にて、制御部102は、中止確認画面402をLCD135に表示させ、ユーザからの指示を待つ。ユーザから指示を受け付けた場合、制御部102は、S605に処理を進める。
【0135】
S605にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたか否かを判定する。ストップキー304が押下されたと判定した場合、制御部102は、S607に処理を進める。また、ストップキー304が押下されていないと判定した場合、制御部102は、S606に処理を進める。
【0136】
S607にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。このとき、制御部102は、中止実行画面403をLCD135に表示させる。
【0137】
一方、S606に処理を進めた場合、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面402の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S607に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0138】
<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S608に処理を進め、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。このとき、制御部102は、状況画面401をLCD135に表示させる。
【0139】
一方、S603からS609に処理を進めた場合、S609で、制御部102は、ストップキー304による中止指示を無効化する。すなわち、S609以降、図8に示すフローチャートの処理が終わるまで、ストップキー304による中止指示を受け付けても、制御部102は、メモリ部102に記憶されたジョブをキャンセルしないよう制御する。
【0140】
制御部102は、S610に処理を進め、中止確認画面405をLCD135に表示させ、S611に処理を進める。S611にて、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面405の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S607に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0141】
一方、<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S608に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0142】
また、S602からS612に処理を進めた場合、S612で、制御部102は、ストップキー304による中止指示を無効化する。すなわち、S612以降、図8に示すフローチャートの処理が終わるまで、ストップキー304による中止指示を受け付けても、制御部102は、メモリ部102に記憶されたジョブをキャンセルしないよう制御する。
【0143】
そして、S613で、制御部102は、選択画面404をLCD135に表示させる。
【0144】
次に、S614にて、制御部102は、<再開>が選択された状態で決定キーが押されたか否かを判定する。<再開>が選択された状態で決定キーが押されたと判定した場合、制御部102は、S608に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0145】
一方、<再開>が選択された状態で決定キーが押されていない場合には、S615に処理を進め、制御部102は、選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押されるまで待つ。
【0146】
選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押された場合、制御部102は、S616に処理を進め、中止確認画面405をLCD135に表示させ、S617に処理を進める。
【0147】
S617にて、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面405の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S607に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0148】
一方、<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S608に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0149】
このように、本実施形態では、ジョブが単数であっても、キャンセル対象となるジョブが簡易ジョブキャンセルすべきでないジョブである場合、2回目以降のストップキー押下によるジョブキャンセル指示を無効にする。それによって、ストップキー304が押されるたびに簡易ジョブキャンセル可能かどうかの判断を行わなくてよくなるため、制御部102にかかる負荷を軽減することができる。
【0150】
<第3の実施形態>
第1の実施形態及び第2の実施形態では、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であり、そのジョブが容易に削除されるべきでないジョブである場合には、ストップキー304による簡易ジョブキャンセルを制限する例を説明した。
【0151】
これによって誤ってジョブがキャンセルされることを防ぐことができる。しかしながら、場合によっては、ユーザが、FAX受信ジョブや自動レポートジョブのように容易に削除されるべきでないジョブを簡単な操作で削除したい場合もある。
【0152】
そこで、第3の実施形態ではストップキーの押下回数がN回以上押下された場合には簡易ジョブキャンセルが許可されていない場合でも当該ジョブのキャンセルを実行する制御について説明する。Nはユーザによって任意に設定できるものとする。誤って押されたことによる簡易ジョブキャンセルを防ぐために、ユーザは、Nを3以上に設定することが望ましい。
【0153】
第3の実施形態に係るジョブ処理システムの構成(図1)、制御部の構成(図2)操作部の構成(図3)、操作部に表示される画面(図4)、ジョブ管理テーブルに表示される画面(図5)は、実施形態1、2と同様である。図6を用いて説明したような、操作部に表示される画面の遷移もほぼ同様であるが、表示画面402から403への遷移条件にSTOPキーのN回以上の押下が追加される(図9)。
【0154】
第3の実施形態における制御フローを図10のフローチャートを用いて説明する。なお、図10のフローチャートに示す処理は、制御部102のCPU201が、ROM202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0155】
まず、S701にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたことを検知する。S701で、ストップキー304が押されたことを検知した場合、メモリ部207に保持されたジョブを一時停止させ、S702に処理を進める。
【0156】
S702にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの数が単数であるか、複数であるかを、ジョブ管理テーブルに基づいて判定する。制御部102は、ジョブの数が単数であると判定した場合、S703に処理を進め、複数であると判定した場合、S711に処理を進める。
【0157】
S703にて、制御部102は、中止確認画面402をLCD135に表示させ、ユーザからの指示を待つ。ユーザからの指示を受け付けた場合に、制御部102は、S704に処理を進める。
【0158】
S704にて、制御部102は、ストップキー押下回数カウンタTを0にし、S705に処理を進める。
【0159】
S705にて、制御部102は、ストップキー304が押下されたか否かを判定する。ストップキー304が押下されたと判定した場合、制御部102は、S707に処理を進める。また、ストップキー304が押下されていないと判定した場合、制御部102は、S706に処理を進める。
【0160】
S707にて、制御部102は、キャンセル対象となるジョブが簡易ジョブキャンセル可能なジョブかどうかを判定する。具体的には、図6を使って説明した判定方法で判定を行う。そして、制御部102は、キャンセル対象となるジョブが簡易ジョブキャンセル可能なジョブであると判定した場合、S709に処理を進める。また、簡易ジョブキャンセル可能なジョブでなくても、ストップキー押下回数カウンタTが所定のストップキー304の押下を所定の回数以上受け付けたと判断される場合には、制御部102は、S709に処理を進める。そのほかの場合には、制御部102はS708に処理を進める。
【0161】
S708にて制御部102はストップキー押下回数カウンタTをインクリメントし、S705に処理を進める。
【0162】
S709にて、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。このとき、制御部102は、中止実行画面403をLCD135に表示させる。
【0163】
一方、S705からS706に処理を進めた場合、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面402の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S709に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0164】
<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S710に処理を進め、制御部102は、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。このとき、制御部102は、状況画面401をLCD135に表示させる。
【0165】
一方、S702からS711に処理を進めた場合、S711で、制御部102は、ストップキー304による中止指示を無効化する。すなわち、S711以降、図7に示すフローチャートの処理が終わるまで、ストップキー304による中止指示を受け付けても、制御部102は、メモリ部102に記憶されたジョブをキャンセルしないよう制御する。
【0166】
そして、S712で、制御部102は、選択画面404をLCD135に表示させる。
【0167】
次に、S713にて、制御部102は、<再開>が選択された状態で決定キーが押されたか否かを判定する。<再開>が選択された状態で決定キーが押されたと判定した場合、制御部102は、S710に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0168】
一方、<再開>が選択された状態で決定キーが押されていない場合には、S714に処理を進め、制御部102は、選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押されるまで待つ。
【0169】
選択画面404に表示された複数のジョブのうち、いずれかが選択された状態で決定キーが押された場合、制御部102は、S715に処理を進め、中止確認画面405をLCD135に表示させ、S716に処理を進める。
【0170】
S716にて、制御部102は、ジョブを中止するための指示を受け付けたか否かを判定する。具体的に、制御部102は、中止確認画面405の<はい>が選択され、決定キーが押されたか否かを判定する。<はい>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S709に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブをキャンセルし、処理を終了する。
【0171】
一方、<いいえ>が選択され、決定キーが押されたと判定した場合、S710に処理を進め、メモリ部207に保持されたジョブの実行を再開し、処理を終了する。
【0172】
このように制御することにより、ユーザの誤操作によってキャンセルすべきでないジョブはN回以上ストップキーを押下しない限りキャンセルされないため、ユーザの誤操作による意図しないジョブの削除を防ぐことが可能になる。また、容易にキャンセルすべきでないジョブをキャンセルする際に、ユーザは、ストップキー304を用いて容易にキャンセルを実行することができる。
【0173】
本実施形態におけるフローチャートに示す機能は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をコンピュータパソコン等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0174】
13 リーダ部
45 プリンタ部
102 制御部
131 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行対象のジョブを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合に、前記保持手段に保持されたジョブが特定の種類以外の種類のジョブであれば当該ジョブを中止し、前記保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブであれば当該ジョブを中止しないよう制御する制御手段とを備えることを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブであっても、前記受付手段によって前記中止指示を所定の回数以上受け付けた場合には、当該ジョブを中止するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のジョブ処理装置。
【請求項3】
前記特定の種類のジョブは、ファックス受信ジョブ、または自動レポートジョブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のジョブ処理装置。
【請求項4】
前記特定の種類のジョブは、特定のユーザのジョブ、または特定の部門のジョブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のジョブ処理装置。
【請求項5】
前記特定の種類は、ユーザによって設定可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のジョブ処理装置。
【請求項6】
前記受付手段は、前記保持手段に保持されたジョブの実行を中止する中止指示をストップキーによって受け付けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のジョブ処理装置。
【請求項7】
実行対象のジョブを保持部に保持する保持工程と、
前記保持部に保持されたジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記中止指示を受け付けた場合に、前記保持部に保持されたジョブが特定の種類以外の種類のジョブであれば当該ジョブを中止し、前記保持部に保持されたジョブが特定の種類のジョブであれば当該ジョブを中止しないよう制御する制御工程とを備えることを特徴とするジョブ処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のジョブ処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
実行対象のジョブを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合に、
前記保持手段に保持されたジョブの数が複数であれば、当該複数のジョブのいずれを中止するかを選択するための選択画面を表示部に表示させ、当該選択画面を介して選択されたジョブを中止するよう制御し、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合に、
前記保持手段に保持されたジョブの数が単数であり、且つ、当該保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブ以外のジョブであれば、前記選択画面を前記表示部に表示させることなく、前記保持手段に保持されたジョブを中止し、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合に、
前記保持手段に保持されたジョブの数が単数であり、且つ、当該保持手段に保持されたジョブが特定の種類のジョブであれば、前記選択画面を前記表示部に表示させることなく、前記保持手段に保持されたジョブを中止しないよう制御する制御手段とを有することを特徴とするジョブ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−49977(P2012−49977A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192382(P2010−192382)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】