説明

ス−プ状コンブの製造方法

【課題】褐藻、紅藻及び緑藻等の海藻特に昆布のス−プ状食品の製造方法に係り、栄養的、生理的、薬効的、食用的等に優れた効果を有すると共に、取り扱い易いス−プ状海藻食品の提供。
【解決手段】乾昆布又は生昆布を水でヨ−ド抜き処理した後、水分率60−65%にして細断し、擂砕してペ−スト化する。その後水処理で失われたミネラル、ビタミン等を補う為に、特定の機能水及クエン酸等で処理して粘度を下げると共にPHを所定値に整え、更に所望の栄養分並びに微量のイオン化したミネラル成分を加えてペ−スト状昆布基材とし、得られた基材に、特定割合の機能水をと好み又は必要に応じて他の栄養分、ビタミン類、旨味成分等を添加して種々の液体調味料にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐藻類、緑藻類、紅藻類特に昆布のス−プ状食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、極めて栄養価が高く、健康に適した海藻類特に昆布は、種々な食品、薬品、工業用品、農林水産業用品等に種々利用されており、特に近時に至っては、飽食、運動不足、食事の欧米化及び社会環境の悪化等が原因で発病する生活習慣病、癌疾病等の予防、治療に極めて有効である事が判明し、種々研究され、人体生理に有効な物質や技術が次々に発表されている。
【0003】
特に昆布成分の機能と各種の疾病との治療、予防の相関関係は、図1に示す如く極めて複雑且つ多岐にわたっている事が判明しており、此の様な成分を抽出又は加工して薬品に利用する場合は勿論の事、日々の食卓上での利用に於ても、医食同源の言葉通り、すこぶる有効である事が実証されつつある。
【0004】
例えば、昆布には多量のヨ−ドを含み、その適量はバセド−氏病の特効薬である事は周知の通りであると同時に、図示の如くその水溶性或は不溶性の植物繊維及びセルロ−ズ中のアルギン酸、フコイダンは、高血圧症、心臓病、胃潰瘍、肥満防止、大腸ガンを含む種々の癌、便秘、痔等の予防、治療に有効であると共に、含有されるグルタミン酸並びにマンニットは、食品の旨味成分を構成して料理調味料として欠かせない成分である事も周知の事実である。
【0005】
従って昆布は、現在激増している生活習慣病、癌、胃腸疾患等の予防用の食品並びにサプリメント又は医療製造用原料として脚光を浴びる様に成って来たが、その繊維質の軟質化、海藻独特の臭い、ペ−スト加工時の粘性等に関して解決せねばならない技術が未々多く存在している。
【0006】
此の様な情勢に鑑み、近時、海藻を含む原料を煮熟する工程、及びこの工程で同時に或は別途に煮熟した原料をペ−スト化する工程とを有し、此等工程の少なくとも一方で海藻の増粘成分による粘性をコントロ−ルし、ドレッシング状或はソ−ス状の低粘性物質に変成して、食用時に使用し易い食品とする製造法が開示されている。
【特許文献1】 特開平11−196826
【発明の開示】

【発明が解決とする課題】
【0007】
此の様にして製造されたドレシング状又はソ−ス状の昆布食品は、一応昆布ペ−スト特有の強粘性が薄められて仕分け易く、取り扱い易い食品又は調味料に変成されているが、当初の原料煮熟工程に依って、昆布成分に変化を来たし、熱に弱いビタミンや蛋白質が消失したり分解したりして、その効果を弱める欠点がある。
本発明は、此の様なペ−スト状昆布の製造上の欠点を改善し、一層使用し易い昆布特有の薬効、生理、調理効果を失う事の無いス−プ状の昆布を提供する事を課題とする。
【課題を解決する為の手段】
【0008】
本発明のス−プ状昆布を製造する為には、先ず原料として、乾昆布に60−65%の水分を吸収させた湿昆布か、乾燥前の生状の昆布かを、加熱又は化学的処理を行なう事なく擂砕して擂り潰し、その細胞を破壊して、生理的、栄養学的成分を分解又は消失させる事なくペ−スト状に変成し、ミネラル水やクエン酸等を加えて粘度を下げ、PHを調整すると同時に、イオン化したミネラルを加えて栄養価及びPHを調整してペ−スト基材を生成する。
【0009】
此のペ−スト基材は、粘度が高くべたついていて、容器等えの仕分けや食品えの添加が難しい上に、図2の5欄に示す様に、ヨ−ド分も相当高い濃度で含有されているので、適当に機能水を加えて希釈すると同時に、比較的少ない含有分の旨味成分、生理活性成分を補給する必要がある。
【0010】
そこで此のペ−スト状基材は、高速擂砕して更に細分化し、適量の機能水、旨味成分、生理活性成分等を加えてス−プ状に低粘性化される。
此の際、磯臭さを消す為に好みのスパイスを適量混合する事も出来る。
【0011】
更に又此のス−プ状昆布は、保存を必要とする時はPH2の機能水を加えて防腐力を高めて保存し、場合に依っては殺菌、消臭用機能水を加えて使用する事も出来る。
又その味を改善する為には、天然の食材を調味料として加えて、好みの味に整え事も出来、更に他の栄養分をス−プ状にして加えてその栄養分を高め、飲むサプリメント又は食べるサプリメントとして提供され、更にその水分を蒸発させて固形の食物とし、又他の食品に添加して、つなぎ、増量、又は添加材として利用される。
一方、このス−プは、皮膚からも吸収されるので、美容剤、エステ基材、食用肉質改善材としても又利用される。
【0012】
他方、低利用で廃棄物扱いにされていた脂質分も、上記した煮熟又は化学処理する事なく機械加工でス−プ状にする事が出来るので再利用する事が出来るが、此の脂質分は、腸内で分離し難いので、他の分解し易い食材と一緒に混ぜて食し、腸内の細菌を増やして消化する様に配慮する必要がある。
従って他の食材に混ぜたり、塗ったりして使用するのが好ましい。
本発明は此の様な点に配慮すれば、物理的に全ての食材に利用され得るス−プ状の昆布を提供する事が出来る。
【発明の効果】
【0013】
斯の如く本発明は、素材として乾昆布又は生昆布何れを使用しても、加熱並びに化学薬品処理を行なう事なく擂砕に依って機械的にペ−スト化するので、このペ−スト基材は、図2の欄5に示す様に栄養成分が他の加工法に比して充分保存されており、特にス−プ状に加工されたものは素材の擂砕が細かく、然も失われ勝ちな栄養分を加えながら適度のPHの機能水で処理されるので、殆ど乾昆布に等しい栄養分を保持しており(図2の欄6参照)、必要に応じて加えられる味覚、臭覚、色彩、栄養成分等に依って、夫々の好みに合った食材、調理品、食品とする事が出来、その薄められた粘性に依って量的自在に仕分けする事が出来る。
【0014】
従って本発明のペ−スト状昆布の調理法は、焼く、煮る、蒸す、揚げる等自在であり、其を適量の機能水等で薄める事でソ−ス、ディップ、ドレッシング、タレ、ス−プ等何れの状態でも自由に利用する事が出来る。
又使用水の硬度を変えてス−プ状昆布に加えれば、和、洋、中華、イタリヤ料理の何れにも使用出来、然も飲用、食用両食品用として利用出来るので、その消費量は拡大出来る。
【0015】
他方、その含有する栄養成分の効果は、先ずグルタミン酸、アスパラギン酸(ペプチッド)が旨味成分、マンニットが甘み成分として作用するので食品として味が良く、含有する各種のビタンミンは陸上野菜よりも相当多く、20種以上のアミノ酸と共に人体の生理作用を活性化し、又、海水の数百倍も含有するミネラル、微量元素イオンは、美肌、美容、健康の改善並びに向上に大いに役立つ効果を有している。
【0016】
更に又、含有するアルギン酸、フコイダンは、成人病、便秘、大腸ガン、各種癌、肥満等の病理、生理現象を抑制治癒し、且つ中性脂肪を分解し、EPA,DNAの合成能力を高める効果を有している。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0017】
本発明を実施する為の最良の形態は、先ず第一に乾昆布又は生コンブ何れを使用しても、(1):ペ−スト化前に水処理してヨ−ド分をを除去し、クエン酸又は酢酸を加えて水分率、PHを一定(4以下)にし、加熱する事なく擂砕してペ−スト状にする。次いで(2):此のペ−ストを基材としてミネラル水等の機能水を加えて更に上記ヨ−ド分を少なくし、(3):此の処理で失われるミネラル分を補給する為に、イオン化した微量のミネラルを添加する。(4):保存を必要とする時、殺菌並びに消臭等を必要とする時、除菌及び消臭を必要とする時には、夫々の機能を持つ機能水を使用する。又、調味料として”美味”を引き出す場合には、和食、中華料理、洋食、イタリア食用に使用する水を硬水、軟水として使い分ける。(5):斯の如く、加水量に依ってディップ、たれ、ソ−ス、ス−プ状に調整して夫々の料理に使用する。(6):ス−プ状にして適量に仕分けし、他の食材の味、栄養分を加えて所望の味、栄養価を調整し、更に粘度を調整するかせずして食べるサプリメント、又は飲むサプリメントとして提供する。(7):斯くて此のス−プ状食品は、水分を飛ばして固形食品とし、他の食品を添加して増量材、つなぎ材、添加材としても使用される。(8):更に、食用として使用するばかりで無く、皮膚からもその栄養分が吸収されるので化粧品として使用され、肉等に塗って肉質改善材とし、他の食品に添加して、重金属、化学薬品薬害の緩和材としても役立てる事が出来る。
斯くの如く本発明は、昆布をペ−スト化を経てス−プ化昆布とする事に依って、健康、食品、調理、美容等用の基礎素材として提供する事が出来る。
【実施例】
【0018】
細断した乾昆布(水分率10%)を水に浸してその水分率を60−65%にした湿昆布か或は海中から収穫した細断生昆布を、水中に浸して90%のヨ−ド分と磯臭さとを除去する。
【0019】
次いで、此の湿昆布を擂砕機で擂り潰して繊維細胞を破壊し、舌ざわりの悪いつぶ状の繊維が残らない様に粘性化し、ペ−スト状昆布を生成する。
この昆布は、上記ヨ−ド抜き水処理で消失したミネラルや栄養分を補給調整する為に、適量のミネラル水(氷層深層水等)、クエン酸、酢酸、ビタミン等を加えてPHを整え(4以下に調整する)、栄養分、生理作用成分を補充してペ−スト状基材に変成される。
此の状態では粘性が高過ぎて使い勝手が悪いので、使用する食材、調味料の目的に応じて以下の如く粘性を薄めて分別しておくのが良く、又この希釈工程で、此等中に好みの成分或は必要成分を添加する事も出来る。
各種調味料の昆布ペ−ストと水との混合割合
ディップ 水1対ペ−スト1
たれ、ソ−ス 水5対ペ−スト3
ドレシング 水2対ペ−スト1
ム−ス、ス−プ 適量(仕分け可能迄)
勿論、上記添加物中には肉、魚、野菜、果実等を加えた天然食材調味料又はス−プが含まれ、これらで味を整え、ダシの利き具合等を調整しておくのが有利である。
特にス−プ状にすると浸透力が増してタレの利き具合が良く、少量の使用で味を整える事が出来、又使い勝手も極めて良く、塗ったり、垂らしたり、浸したりする事も自由に出来る利益がある。
更に上記粘性昆布特にス−プ状昆布は、更なる栄養分、ビタミン類を加えて飲むサプリメントとし、水分を飛ばして食べるサプリメントとしても利用する事が出来る。
【0020】
他方、利用頻度が低く廃棄物扱いの昆布脂質分も又、上記の方法でペ−スト化し、ス−プ化出来、その効果に於ても乾昆布、生昆布使用のペ−スト又はス−プ状昆布と変わりないので、立派なリサイクル品となり環境の浄化に役立つ事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 昆布成分の機能と疾病との関連を示す説明図表である。
【図2】 海藻特に昆布の食品利用加工法による栄養成分比較表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨ−ド抜きをした水分率60−65%の乾昆布又は生昆布或は其等の脂質成分を、適当寸法に細断し、適当時間擂砕してペ−スト状昆布を生成し、此のペ−スト状昆布に所定量の機能水及びクエン酸等を加えて粘度を下げると同時に、そのPHを4以下に調整し、所望の栄養分と微量のイオン化したミネラル成分を補給してペ−スト基材を生成し、更に此の基材を機能水を加えて再度擂砕する事を特徴とするス−プ状昆布の製造方法。
【請求項2】
上記ペ−スト基材からス−プ状昆布を調整する工程に於て、必要に応じて更に防腐、除菌、防臭用機能水を加えるか、或は此のス−プ状昆布に種々の天然食材調味料を添加する事を特徴とする請求項1記載のス−プ状昆布の製造方法。
【請求項3】
上記機能水が氷層深層水、海中深層水或は此等に均等な金属イオン水である事を特徴とする請求項1又は2何れか1項に記載のス−プ状昆布の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法で製造されたペ−スト状基材に、種々の割合の下記機能水を加えて高速混合する事を特徴とする下記調味料の製造方法。

【請求項5】
請求項1記載の方法で製造されたス−プ状昆布に、種々な栄養価を有する他のス−プ物質を添加混合し、此を濃縮するか濃縮しない事を特徴とする食べるサプリメント或は飲むサポリメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−54655(P2008−54655A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269460(P2006−269460)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(505198400)有限会社ユア (5)
【Fターム(参考)】